Engageliがコラボレーション型の動画ベース教育プラットフォームに約36.3億円を確保

学校が再び対面学習の機会を増やす動きを見せる中、2020年は多くの教育機関が重要な学びを得た。物理的体験を断絶しなければならない状況でこそ、リモートで教えるための優れたツールを持つことが極めて重要だ。しかし優れたテクノロジーがあれば、物事が「通常に戻る」時も、教育者と学生ができること、そして教育を受ける人自身を強化することができる。現在、あるスタートアップが高等教育における仮想学習に力を入れ、それを提供するためのイノベーションに投資している。そしてその事業を引き続き強化するために新たな資金調達を告知している。

Engageliはオンラインの教育プラットフォームを基礎から構築しており、授業を行い会話を可能にする独自の内蔵型の動画テクノロジーだけでなく、学生が学習グループに「参加」し共同作業ができるようにするツールや、講義メモを共有したり注釈を付けたり、クイズを受けたりする機能を提供している。同社は今回3300万ドル(約36億3000万円)の資金調達を行った。

CEOのDan Avida(ダン・アヴィダ)氏は妻のDaphne Koller(ダフニー・コラー)氏(Courseraの共同設立者)、Serge Plotkin(セルジュ・プロトキン)氏とともに会社を共同設立した。アヴィダ氏は、同社がより多くのツールの構築を続け、プラットフォームを拡張し、より多くの学校、特に顧客としてターゲットとしている高等教育を行うカレッジや大学といった層に広げることに慣れるだろうと述べた。このような教育機関はライブセッションを提供する優れた動画ツールの将来性を享受し、Engageliの動画プラットフォームに関するさらにオンデマンドな機能や他の機能を開発し続けているからだ。

「当初は優れた同期体験が優先されていた」。アヴィダ氏はインタビューで、リモート学習に関する大学の優先順位について話す。「今は全員がマルチモダリティに大きな注目を置いているわけではない」。

シリーズAの資金調達はMaveronや別の(無名の)投資家が共同で行い、Corner Ventures、Good Friends、 Educapital、そしてEngageliが「個人のテクノロジーエグゼクティブ」と呼ぶ人物も数名参加している。

特に、このスタートアップが2020年10月にステルスモードを脱してからたった7カ月で資金を調達し、同時に発表した1450万ドル(約16億円)のシードラウンドの投資家も参加している。現在4700万ドル(約51億8000万円)以上の資金を調達しているが、その企業価値評価額は公開していない。

教室以外の場所での学習を助けるツールが数十ないし何百とある中、Engageliは教育目的を念頭に置いて基礎から動画ベースのプラットフォームを構築することにより、他とは少し違う手法を採用している。

それに関しては、MicrosoftのTeams、Google Classroom、Zoomなどの同類のサービスからの大きな変革である。この3つの動画プラットフォームは教育の場で最もよく使われているが、元々は企業や全般向けに構築されたテクノロジーに基づいている。

そのためEngageliは動画体験を強化するだけでなく、教育者と学習者にとって合理的な方法でそれを強化するツール、つまり両者が直感的に使用できるツールにより、プラットフォームの拡張に取り組んできた。

  1. Engageli_learners_gallery

  2. Engageli_Learners_Experience

  3. Engageli_Educator_tools2

  4. Engageli_Educator_Tools

  5. Engageli_hybrid_class

これまで、学生同士や学生が教師と交わす会話、そしてクイズ、ダウンロードして書き込めるノート、質疑応答など教師が学生に積極的に参加してもらうための手段が重視されてきた。現在Engageliは独自のテクノロジーの確立に焦点を置いているが、そのうちいかにプラットフォームが教育機関によりすでに定期的に使用されている大きな学習管理システムや他のツールと連携して開発されるかを目にするようになるだろう。

アヴィダ氏は、Engageliがまだエンゲージメント時間、顧客数やユーザー数、他の数字について何も測定基準を公表していないと語った。今のところこのスタートアップは米国、英国、イスラエル(設立者たちの出身地。初めに国の軍事部隊でテクノロジーの確認済み)の大学の顧客を選んでおり、授業ではすでに「何百人もの」学生に利用されている。

また、多くの学校が対面学習に戻っていること、秋学期に新たなユーザーの増加が期待できると付け加えた。リモート学習が後退することはなくなり、その効果が持続しているためだ。

「パンデミック前でさえ何千万人もの学生がオンラインで授業を受け、学生の半数が何らかの形でオンラインコースをとっていた。私たちはこれがオンラインでの日常の買い物や遠隔医療と同じようにもっと発展すると予想している」。と彼はいう。「ある教授がこんな風に説明した。『幻滅の谷』 とはガートナーのマジック・クアドラントの可視化を参考にしたものだが、『それがここでは非常に浅い。私たちが後戻りすることはない』」。

これは教育者が選びそうな意見でもある。

「一度エンゲージメントのレベルを上げると、後戻りすることは難しい。Engageliの体験は現実の教室とほぼ同じレベルになっている。学生は机を前に着席し、私は彼らが何をしているか見られる。彼らは他の学生に質問できるし、おしゃべりしたり交流したりしている」。と、ロンドン大学クイーンメアリー校のTheodora Christou(テオドラ・クリストウ)博士はいう。「私は意義あるグループワークや事例研究をついに簡単にオンラインでできるようになった。大学で提供される既存のツールよりも、Engageliを選ぶだろう」。

学習のデジタルモードを受け入れるため、また多くの場合はオフライン、そして若年層でも起きていることを補完するため、より多くのツールの大量採用と開発を実際に目にしている今、会社の資金調達と成長が生じる。

先にKahootは米国のCleverを買収し、多くのK-12学校がオンライン学習のインタラクションを管理するために使用する人気のプラットフォームを取り入れる。そしてStuDocuは大学の授業ノートをクラウドソーシングし、レーティングし、共有するプラットフォームのために資金を調達した。このプラットフォームは現在1500万人の学生が利用し、非常に速い成長を見せている。これらはすべてEngageliも参戦を望む将来の優れたテクノロジーへの高い期待を集める。

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「ダン・アヴィダ氏と、教授陣、才能あるテクノロジスト、熟練したEdTechのエグゼクティブを含むEngageliのチームは、一部の対面授業よりも優れた教室および機能のように感じるデジタル教育ソリューションを構築することに他に例を見ないほどに適している」。と、Maveron のパートナーであるJason Stoffer(ジェイスン・ストファー)氏は声明で述べた。「パンデミックがあろうとなかろうと、すべての学校が、学生が全日リモート授業を受けたり、柔軟さが必要な時はデジタルを選択したりしながら優れた成果を導き出すためにEngageliを求めている。私たちは高等教育の現場のレベルを高めることに情熱を燃やしている。Engageliのユニークプラットフォームは、教育機関があらゆるタイプの学生のニーズを満たしサポートするのを助けるだろう」。

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カテゴリー:EdTech
タグ:オンライン学習資金調達Engageli

画像クレジット:Engageli

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)