SoftBankのVision FundがCohesityのハイパーコンバージドデータプラットホームへのシリーズD$250Mの投資をリード

サンノゼのエンタープライズソフトウェア企業Cohesityが、SoftBankのVision Fundが率いる応募過多のシリーズDラウンドで2億5000万ドルを調達し、その調達総額が4億1000万ドルに達した。同社は、プロダクションアプリケーションの外に発生する二次的データをすべて保存し管理するための、ハイパーコンバージドデータプラットホームを顧客に提供している。

今日(米国時間6/11)のプレスリリースで同社は、SoftBankの巨大なVision Fundがエンタープライズソフトウェア企業に投資するのは今回でわずか二度目だ、と言っている。総サイズ約1000億ドルと言われるこのファンドは、今後の投資計画を除外して言えば、2017年の9月にエンタープライズメッセージング企業Slackへの同じく2億5000万ドルの投資をリードしている。

Cohesityはハイパーコンバージドセカンダリーストレージ を、パブリックおよびプライベートなクラウドにまたがる、エンタープライズのインフラストラクチャのもっと大きな変容を目指す第一歩として開拓した。SoftBank Investment AdvisersのシニアマネージメントパートナーDeep Nisharは、この投資を支持する声明の中で、こう述べている: “CohesityのWebスケールでGoogle的なアプローチと、クラウドネイティブなアーキテクチャ、そしてそのとてつもない単純性は、ITのビジネスを抜本的に変えようとしている”。

今回の投資にはCohesiveの既存の戦略的投資家たちも参加している。それらは、Cisco Investments, Hewlett Packard Enterprise(HPE), そしてMorgan Stanley Expansion Capital, 初期の投資家であるSequoia Capitalらも参加した。

同社によるとこの投資は同社の今後の“大規模なグローバル展開”に充てられ、同社プロダクトのコストメリットや、複数の別々の点的ソリューションを一点に統合することによる大きな節約効果を、もっと多くのエンタープライズに訴求していきたい、としている。顧客獲得のためのもうひとつの重要な訴求が、同社の戦略的投資家であるCiscoやHPEからのサポートがある、という点だ。

Cohesityによると、最前の二つの四半期で200社以上の新たなエンタープライズ顧客が増えた。それらは、Air Bud Entertainment, AutoNation, BC Oil and Gas Commission, Bungie, Harris Teeter, Hyatt, Kelly Services, LendingClub, Piedmont Healthcare, Schneider Electric, San Francisco Giants, TCF Bank, U.S. Department of Energy(合衆国エネルギー省), U.S. Air Force(アメリカ空軍), などだ。年商は、2016年から2017年にかけて600%増加した。

同社のファウンダーでCEOのMohit Aronは、こう述べている: “私のビジョンはつねに、エンタープライズにクラウドのような単純性を提供し、彼らの複雑に断片化しているアプリケーションやデータをシンプルに統一することだった。そうすれば、バックアップでもテストでも開発でもアナリティクスでも確実に同じデータが使われていることが保証され、IT全体の費用効率と質が向上する”*。〔*: これがハイパーコンバージド(超収束)のキモである。統一には、ハードウェアの統一も含まれる。参考記事。〕

“Cohesityは過去12か月で業績に大きな勢いがつき、マーケットシェアも伸びた。まだスタートしたばかりの企業なのに〔創業2013年〕”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

MuleSoftのIPO価格は予想を上回って17ドル、エンタープライズ系スタートアップの上場ブームとなるか

エンタープライズソフトウェアのMuleSoftが明日(米国時間3/17)上場するが、そのIPO価格は17ドルとなり、提案されていた14-16ドルよりもやや高い。

明日の上場先はニューヨーク証券取引所で、チッカーシンボルは“MULE”になる。2006年に創業したMuleSoftは、いろんなところのAPIを駆使して複数のアプリケーションを統合化したい、という企業のビジネスニーズに奉仕する。

同社の獲得資金は約2億2100万ドルになり、MuleSoftは上場の一環として1300万株の普通株を発行する。これにより同社の総評価額は21億4000万ドルとなり、この前プライベートに資金調達をしたときの15億ドルを大きく上回る。

このところ、うまくいっているIPOが多いから、明日のMuleSoftも上々だろう。

Snapchatの親会社Snap Inc.は先週上場して39億ドルを発行、価格は予想を上回る同じく17ドルだった。SNAPは初日の売買で44%アップし、最近株価は下がっているものの、商い額はIPO価格より上だ。今朝はラグジャリーグッズのメーカーCanada Gooseが上場して2億2500万ドルを獲得、終値はIPO価格12ドルを25%上回った(その12ドルも予想域より高い)。

MuleSoftのIPOは、大手エンタープライズソフトウェア企業の上場としては今年初めてである。それが成功すれば、そのほかのエンタープライズソフトウェア企業も後に続くだろう。先週は消費者テクノロジー企業Snap Inc.のまあまあの成功を見ているだけに、なおさら気が逸(はや)るところだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

IoTに投資(あるいは起業)するのは今がチャンス?!

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編集部注:本稿はTim Chouによる。元Oracle On Demandのプレジデントであり、スタンフォードでコンピューターサイエンスのレクチャーを行い、またIoT Track of the Alchemist Acceleratorの議長も務める。

2004年に、私は最初の著書となる『The End of Software』を上梓した。当時はOracle On Demandのプレジデントであった。当時生まれたこのビジネスは数年をかけて10億ドルを稼ぎだすクラウドビジネスに発展した。そのような時代にあった私は『The End of Software』の中で、ソフトウェアは「サービス」として提供されるべきである経済面から期待される必然的な動きについて論じたのだった。

例として私は、サービスとしてのソフトウェアを提供する4社を検討した。VMwareSalesforceNetSuite、そしてOpenHarborだ。この時代にあって、Salesforceは未だ売り上げが8600万ドルという状況だった。ただ、この4つをとりあげた私も、時代を正しく予見していたというわけではない。4つのうち3つは押しも押されぬ大企業となり、エンタープライズソフトウェアの新世代を担うこととなったのだった。

そしてそこからさらに12年が過ぎ、第二世代エンタープライズソフトウェアは最盛期を迎えた。CRMやERPは当然のものとなり、ソフトウェアを購入すればほとんどがクラウドサービスとして提供されるようになっている。第二世代で、エンタープライズソフトウェアはその「完成形」となったのだろうか。

そういうわけでもないと思う。第二世代ソフトウェアの登場により、コストは下がり効率はあがった企業も多い。しかし私たちの住む世界の様子を変えるにはいたっていないと思うのだ。エネルギー、水、農業、交通、建築業界や健康問題について、当時生まれた第二世代エンタープライズソフトウェアは大した成果を示さなかった。ようやくそれが変わりつつあるように思うのだ。

工業機械やその他さまざまなモノたちは、センサーを搭載されてそれぞれが繋がるようになってきている。前CiscoのCEOであるJohn Chambersは2025年までに5000億のデバイスがインターネットに繋がるようになると語っている。風力タービンについてみれば、10万台がすでに400個のセンサーを搭載して5秒毎にデータを取得するようになっている。この数は今後ますます増えていくことは間違いない。

人のためのモノではなく、モノのためのモノを作るつもりなら、すぐに取り掛かった方がいい。

これまでも、デバイスを繋いでデータを収集したり、それを分析したり何らかの知見を得たりするミドルウェアやアプリケーションは存在した。しかしこれまでは、そうしたすべてを活用するのが「人間である」という前提になっていたのだ。人のインターネット(Internet of People)の時代だったのだ。しかしようやくモノに注目が集まってきた。モノは人のいないところにも存在する。モノの方にこそよりたくさんの「伝えたいこと」があるはずで、しかも人間よりもはるかに雄弁に語ることができる。Joy Globalの振動センサーを搭載した採掘マシンは、1秒間に1万回もデータを取得するのだ。エンタープライズアプリケーションやミドルウェア、分析ツール、などがモノを繋ぐことにより、より正確な採掘ツールを構築することができるのだ。きっと交通、健康管理、建築、発電、水や農業を巡る問題についても新たなソリューションを産んでいってくれることだろう。

すでにこの分野で走り出している企業もある。GE Softwareは2011年に10億ドルの資金を集めて設立さた。CEOのJeff Immeltは、産業用の機械がより一般的なものになっていく中、GEはソフトウェアおよびアナリティクス企業として成長していくと語っていた。Immeltは2020年までにソフトウェア関連ビジネスで150億ドルを稼ぎだすと言っていた。GEはそのためにGE DigitalのCEOであるBill Ruhを中心的な担い手としてPredix という新しいソフトウェアプラットフォームを構築した。

またPTCに関していえば、4億ドル以上を投じてM&Aのみちを突き進んでいる。ThingWorxを1億1200万ドルを投じ、ColdLightを1億500万ドルで買収した。Axedaは1億7000万ドルで買収している。ベンチャーについてみれば、おそらくご存じないかもしれないが、シカゴに拠点をおくIoT系スタートアップのUptakeがSlackやUberを上回ってForbesにおける2015年のHottest Startupに選出されている。4500万ドルを集め、資金調達が後の評価額も10億ドルとなっている。

IoTに投資すべきタイミングというのは、それぞれがはかるものなのだろう。しかしアーリーステージの、あるいはレイトステージでも良いかもしれないが、いずれにしても投資家であるのなら、エンタープライズソフトウェアの第二世代に革命をもたらすこの分野に注目しておいて良いはずだ。また、自身がスタートアップを運営する起業家であり、かつモノのためのプロダクトを生み出そうとしているのなら、ただちにスタートするのが良いだろう。12年もすれば、誕生したスタートアップはVMwareやNetSuite、あるいはSalesforceのような成長を遂げる可能性があるだろう。

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(翻訳:Maeda, H

今やシャドーITは怖がらないで歓迎すべき時期にきている

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[筆者: James Quigley ](CanvasのCEOで協同ファウンダ、Washington, DC郊外のコワーキングスペースRefraction Restonの協同ファウンダ。)

今ぼくが原稿を書いているまさにこの時点でも、多くの企業のIT部門は、社員や部課などからのITプロジェクトのリクエストの、膨大なリストを抱えている。それらにはたとえば、倉庫業務のためのモバイルのカスタムアプリもあれば、Salesforce.comをバックエンドのオフィスシステムと統合したいというリクエストもあるだろう。

この無限に長いリストを管理するために、IT部門は、リクエストを会社の業績に与える影響の大きさや、現時点での重要性の順に並べ替えたりする。そして整列したリストの上の方に来るのは、売上を上げたり、顧客体験を改良するプロジェクトになりがちだ。逆に、ロジスティクスを合理化するなどの内部的なリクエストは後回しにされる。そしてこのやり方では、プライオリティの高いリクエストは完了するが、その他大勢は未着手のまま放置されたり、着手されてもだらだらとデリバリが遅れがちになる。

これらの問題は、IT部門の責任ではなく、また彼らのさまざまな社内顧客が悪いのでもない。イノベーションが急速に進む今日では、社員や各部課等は、自分たちのアイデアが実装されるのを何週間も何か月も待つことはできない。ITが慢性過負荷であることを知った彼らは、Webやモバイル上などですぐに使えるアプリケーションや、クラウドサービスを利用しようとする。それが、今ではShadow IT(シャドーIT)と呼ばれているトレンドの起源だ。それは、大まかな定義としては、IT部門が知らないうちに、あるいは認めたおぼえがないのに、社内的に作られて/使われてしまうアプリケーションやITソリューションを指す。

シャドーITはイノベーションを推進するか?

世界の200名のCIOにアンケート調査をしたBrocadeの報告書によると、回答者の83%が、部課等によるクラウドサービスの勝手な利用を経験している。それどころか最近まで、企業の役員やIT部門は、シャドーITをセキュリティやコントロールを脅かす危険な兆候とみなしていた。しかし、シャドーITを悪者視せずに、むしろ、イノベーションを促進し費用を低減するための貴重なツール、と考えたらどうだろうか? 企業が社員を‘市民デベロッパ’とみなし、プロダクトやプロセスが完成するまでの過程で革新的なアイデアを自由に持ち込んでよい、と彼らを奨励したらどうだろう?

ITのスペシャリストでない社員が社内でイノベーションを主導する機会は、現状では、従来的なアプリケーション開発や製品開発の方式に、邪魔されてぽしゃることが多い。しかしシャドーITの勃興は、ある面では、人不足力不足のITにまかせていたのではいつまで経ってもらちが明かないプロジェクトを、自分たちで前へ進めたい、という社員の欲求を反映している。

そうすることによって、一般社員が‘市民デベロッパ’(citizen developers)になる。それは、組織内のITスペシャリストでない人たちが、自らの力を発揮して、 ITが無関与のまま、自分たちのビジネスニーズを満たすソリューションを即席で構築展開することを指す。それがうまくいき、他の部課が見倣うようになると、このイノベーションが全社化する。

シャドーITはIT部門の仕事を楽にするか?

リストのうしろの方へ追いやられてしまいがちなITタスクは、現場仕事の生産性を上げるものとか、コミュニケーションを簡素化するもの、プロセスを改善するもの、などが多い。これらは顧客や消費者に関連するセクシーなプロジェクトではないが、でも、業績向上に大きく貢献するものもありえる。

企業はシャドーITのセキュリティリスクと、市民デベロッパによるイノベーションを封殺する機会損失とを、秤(はかり)にかけてみるべきだ。

今人気が盛り上がっている企業向けのメッセージングアプリSlackは、シャドーITがイノベーションを刺激しITのリソースに余裕を作り出す好個の例だ。Slackのデプロイは多くの企業において“land and expand”方式(まず上陸、それから拡大)で行われている。ひとつの部署が使い始めて好評が社内に広まり、まるで山火事のように利用が全社に広がる、というパターンだ。

IT部門が自分たちの過負荷を防ぐためには、自ら進んで社内の顧客たちの先手をうち、彼ら自身の力で問題解決に取り組むよう仕向けるべきだ。そうすればIT部門は、専門知識と専門技能を要する高度なイノベーションのプロジェクトに専念できる。言い換えると企業のIT部門は、率先して、シャドーITの推進役に徹した方がよい。

シャドーITのセキュリティは大丈夫か?

2015年のVanson Bourneの調査によると、イギリスのエンタプライズのCIOの89%が、未承認のシャドーITは企業に長期的なセキュリティリスクをもたらす、と感じている。もちろん、目の届かないところで社員たちがアプリケーションやサービスをデプロイするときには、セキュリティの弱点について十分注意しなければならない。ときには、IT経験の浅い社員が勝手に導入したテクノロジによって、既存のシステムやネットワークが破壊されることもありえる。それは、不注意によって弱点を見過ごすことよりも、さらに危険だ。

企業はシャドーITのセキュリティリスクと、市民デベロッパによるイノベーションを封殺する機会損失とを、秤(はかり)にかけてみるべきだ。シャドーITが、会社のメインシステムのデータに触るかどうかも、よく調べなければならない。データを変えないまでも、重要な企業情報の勝手なアーカイブを作ったりしないか? そのシャドーITの環境は、どれだけ安全か? シャドーITはデフォルトではセキュアではないが、事前に重要なパラメータをすべてチェックすれば、良い防備ができる。

シャドーITにおけるIT部門の役目

シャドーITのネガティブなイメージは、それがIT部門に隠れて秘密裏に行われる、という考え方にも原因がある。そういう場合も少しはあるかもしれないが、でもいちばん多いのは、そういうことが行われているのをIT部門は知っているけど、そのwho、what、howなどの詳細を知らないケースだ。その効果も、IT部門は認識していない。今年の初めにCloud Security AllianceがIT部門の役員に対して行った調査[PDF]によると、役員たちの72%は、自分の会社でどれだけのシャドーITアプリケーションが使われているか知らない。会社内のシャドーITの全体像を把握している者は、わずかに8%だった。

組織がシャドーITから十分な利益を得るためには、IT部門が具体的に指導的役割を発揮すべきである。その背後にあるプラットホームを技術的によく調べて承認したり、あるいは自ら新しいサービスやアプリケーションを発見してもよい。そしてそれらの発見を社内の市民デベロッパたちに伝えれば、シャドーITの効果そのものが大きく向上するだろう。

社内における市民デベロッパの登場は今後数年間で業界共通のテーマになり、そしてシャドーITのポテンシャルを前向きに歓迎する企業こそが、明日のイノベーションと繁栄にいちばん近い位置につけるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa