NextView Venturesがスタートアップ向けリモートアクセラレーターを開始

シリコンバレーのリーダーであるMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏は先週末、いつもの沈黙を破りシリコンバレーに向けいくつかのアドバイスを送った。「It’s time to build(構築するのは今だ)」。有名な投資家である同氏はCEO、起業家、投資家すべてに新しい企業を迎えようと呼びかた。

ブログの投稿で数々の野心的な提案を披露しているが、読者の立場によって受け取り方は異なるだろう。だが、自分はビジネスにオープンであると証明したがるベンチャーキャピタリストを試すにはもう少し地に足のついた方法がある。タームシートにサインして、小切手を切れるかどうかだ。

ブログで語られた言葉は、ボストンに本拠を置くベンチャーキャピタルであるNextView Venturesの理論、そして4月20日に発表された新しいリモートアクセラレータプログラムと不気味なほどに似ている。

「現在の新型コロナウイルス(COVID-19)危機の間に多くのVCが『ビジネスにオープン』であると公言するのを見てきたが、当社は投資に関して言行一致でありたい」とパートナーのDavid Beisel(デイビッド・ベイゼル)氏は語る。

NextViewは、既存ファンドから資金を一部振り向け、10に満たない数のプレシードおよびシードスタートアップの株式の8%に20万ドル(約2150万円)を投資する。プログラムは完全にバーチャルで行われ、「市井の人々の日常の生活」を変える力になる創業者に投資する。

NextViewの共同創業者であるRob Go(ロブ・ゴー)氏は、プログラム開始についてツイートした。

NextViewアクセラレータの立ち上げは、Y Combinator500 Startupsなどの従来の名だたるインキュベーターが自身の戦略を考え直しているこの時期に行われる。Y Combinatorは4月20日、次のバッチが完全にリモートになると発表した。500 Startupsは2020年3月にコホートモデルを廃止すると発表した。

同社はまた、大きなバッチサイズや派手なデモデイなど、従来のアクセラレータープログラムのどこが悪いかについてコメントを出した。「アクセラレーターは小規模で親密な雰囲気なら最高だ。YCの最初のバッチはわずか8社だった」とベイゼル氏は参加者の少なさについて語った。「だが時間が経つにつれ、アクセラレーターは数字ゲームのようになった」。

ベイゼル氏はこう付け加えた。「もともとアクセラレーターのデモデイは、スタートアップをフォローしたい投資家への紹介手段として始まったが、最近は多くの関係者を満足させる念入りなショーへと進化した」。

とはいえ、デモデイについて避けられない真実は、それがスタートアップと創業者を結び付け、うまくいけば最初の小切手をもたらすきっかけになるということだ。ジャーナリストやベンチャーキャピタリストが集まる場所で創業者の顔にスポットライトが当たるような機会がなければ、ディールに成功をもたらすことなどできるだろうか。

YCと500 Startupsが2020年に初めてバーチャルデモデイを開催した後、筆者らはさまざまな不平を耳にした。Y Combinator先週、YCの卒業生に常に投資する方針を変え、原則としてケースバイケースでレビューする方針とした。アクセラレーター内部にある保守主義をほのめかす例だ。

NextViewはアクセラレータープログラムの後の資金調達にも控えめに取り組んでいる。同社は、小規模なコホートを次のラウンドに参加する投資家につなげるものの「次のラウンドの資金調達をリードすることはあえてしない」と述べている。同社がプログラム後の投資ラウンドをリードしない方針を明らかにしたのは「将来の資金調達で何らかのシグナルを送ってしまう可能性を回避する」ためだという。ただ同社は、コホートを支援するため、プログラム後のすべての企業の資金調達ラウンドに少なくとも同じ割合で参加する。

この決定を楽観的に捉えるなら、NextViewは自身のアクセラレーター機能を投資会社とは別のものと見ており、ディールフローのパイプラインを厚くするというよりは助けになればいいと考えているのかもしれない。あるいはそうではなくて、今後の景気が予測不可能な時期に投資に過剰にコミットしたくないだけかもしれない。ただ、バッチの中に宝石を見つけたとしてもNextViewがその会社に投資しないのは驚くべきことだ。

はっきりしているのは、NextViewがアクセラレーターを立ち上げ、多くのVCが投資を控える中でNextViewはスタートアップに投資しようとしているということだ。すばらしいリターンをもたらす若いスタートアップの育成に同社がどれだけ成功するかは時を待たなければならないが、今のところ、同社は何かを構築しているといえる。今日のニューノーマルの下では、構築することは歓迎すべき兆候だ。

画像クレジット:erhui1979 / Getty Images

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大学の講義のスケジュールを合理化して学生と大学経営を助けるCoursedog

2年前に、コロンビア大学の寮で同じ部屋にいたJustin Wenig(ジャスティン・ヴェニグ)氏とNicholas Diao(ニコラス・ディアオ)氏は、学生たちに人気のあるコンピューター科学のクラスを受講しようと苦労していた。結局、2人は受講に成功したが、クラスのスケジューリングをめぐるそのときのフラストレーションから「こんな問題はコンピューターが解決すべきだ」と決意した。

ヴェニグ氏とディアオ氏が創業したCoursedogは、クラスや教授や演習などのスケジュールを、それらに対する需要や関心に基づいて作るソフトウェアを提供している。「クラスのスケジューリングシステムのためのSuperhumanみたいなソフトだ」とヴェニグ氏は説明する。

米国時間3月9日、CoursedogはFirst RoundのJosh Kopelman(ジョシュ・コペルマン)氏など多くの投資家から420万ドル(約4億3400万円)を調達したことを発表した。その他の投資家や、投資に伴って同社の取締役会に入ることになった者について、同社は公表していない。Y Combinatorを卒業した同社のこれまでの調達総額は570万ドル(約5億9000万円)になる。同社の投資家はFoundersX VentureやEFund、そして学校の入学事務をコンピューター化するSchoolMintのCEOであるJinal Jhaveri(ジナル・ジャベリ)氏などだ。

資金は同社の新製品開発、特にコースの需要を予測し、そのコースで学生たちが効果的に勉強できるための席数を求めるプロダクトの開発に充当される。

ヴェニグ氏はTechCrunchのインタビューに対して「現在の高等教育は遅い、と考えている人が多いけど、勉強をしっかり身につけるためには遅いことも必要だ」と述べている。ただし、現在の大学はテクノロジーを採用することよりも、データの保護に関心があると彼は言う。

競合についてヴェニグ氏は、学習管理サービスのBlackboardは今でも大学に強いが、Coursedogは大学の管理者がスケジューリングのために利用する学生情報システムであるため方向性が違う、競合関係にはないと言う。

ヴェニグ氏とディアオ氏が何百もの大学に電話セールスとしたとき、最初に契約できたのがColumbia Law School(コロンビア大学のロースクール)だった。その後同社は、大小さまざまの60校のカレッジや大学を顧客にできている。

Coursedogの顧客は本当に大小さまざまで、最小は学生数約600人のLaguna School of Art and Designだ。顧客には公立校と私立校が入り混じっているが、ヴェニグ氏によると、公立校のほうがイノベーションに熱心だとのこと。

ヴェニグ氏によると「多くの州が州立大学を補助金で支えているが、ユタ州などでは大学の大きさで補助金の額がわかる」そうだ。Coursedogのソフトを利用してひとりひとりの学生に合ったクラスを受講させれば、無事に卒業できる学生が増えるという。

「今、我々は大学の学生情報システムを利用してスケジューリングやカリキュラムの計画、要覧の発行などを助けている。これによって徐々に、彼らがスプレッドシートを使ってやっていたような古いやり方を駆逐しつつある」という。

Coursedogの目標は、顧客である大学の数を年内に100まで増やし、製品開発チームをもっと大きくすることだ。

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外回りの営業社員を効率的に管理するSkeduloが30億円のシリーズBを調達

企業の外回りの社員の管理を助けるサービスSkeduloが米国時間3月22日、マイクロソフトのベンチャーファンドM12がリードするシリーズBのラウンドで2800万ドル(約30億円)を調達したことを発表した。これまでの投資家BlackbirdとCastanoa Venturesもこのラウンドに参加した。

同社のサービスは、企業が外で動いている社員のスケジュールなどを管理するために必要なすべてのツールを提供する。小企業の多くはいまだにスプレッドシートとメールを使っているが、社員と仕事を正しくマッチングさせるといった管理業務をあまり効率的に行えない。

SkeduloのCEOで共同創業者のMatt Fairhurst氏はこう言う。「ワークフォース管理といえば従来はもっぱら、会社にいてほとんど1日中机にかじりついている社員が対象だった。でも2020年には労働者の圧倒的多数、80%がデスクレスになる、と予想されている。しかしこれまでは誰も、この増加する人口のニーズに十分な規模で対応してこなかった。エンタープライズは今、急速に変化している顧客と社員の期待に応えて競争力を高めようと、躍起になっている。そういう前向きな企業を助ける仕事には、本当にやりがいを感じる」。

SkeduloのサービスはモバイルのアプリとWebから提供され、同社が「Mastermind」と呼ぶエンジンが、社員と仕事を企業が定めた優先順に基づいて自動的に正しくマッチングする。同社は今回の資金で機械学習の機能を導入し、このツールを強化する計画だ。近くアナリティクスのツールと、人事や給与、財務管理などサードパーティのサービスとの統合も提供する予定だ。

また、とくにオーストラリアのブリスベーンとシドニーで60名以上の新社員を雇用したい、と考えている。

このラウンドの一環として、M12のプリンシパル(パートナーの下)であるPriya Saiprasad氏がSkeduloの取締役会に加わる。Fairhurst氏は次のように語る。「Priya SaiprasadおよびM12のチームとは、目的観が見事に一致している。彼らもまた、労働者の時間効率を上げるようなツールやサービスに投資したいと考えている。基本的には、Skeduloもそんな生産性企業だ。うちは企業とバックオフィスと外回りのワークフォースを助けて、仕事から無駄な時間を排除する。それによって企業と社員は、もっとも重要な仕事に時間を割り当てることができるようになる”。

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500 Startups Japanが50億円の新ファンドでCoral Capitalに生まれ変わる

500 Startups Japanのメンバーが独立する。このVCは2015年に3000万ドル(約33.5億円)のファンドを発表し、そして今回そのフォローアップがCoral Capitalと呼ばれる4500万ドル(約50億円)のファンドだ。

James Riney(ジェームズ・ライニー)氏と澤山陽平氏が仕切るCoralは、500 Startups Japanと同様、この米国VCが日本で行う事業を継続する。500 Startups Japanはすでに40件あまりの投資を行っており、その中にはカケハシ、衛星通信のインフォステラSmartHR日本語版記事)、American Expressに買収されたポケットコンシェルジュなどがいる。

本誌のインタビューでライニー氏はこう述べた。「Coral(サンゴ)は海洋生態系の中で基盤的な役割を担っている。われわれは日本のスタートアップのエコシステムにおいて同様の基盤的役割を提供したい。そこで、それを象徴する名前にした」。

このファンドのLPには、500 Startups Japanを支援しているみずほ銀行や三菱地所、ソフトバンクのCEO孫正義氏の弟でMistletoeのファウンダー孫泰蔵氏、新生銀行らがおり、非公表の機関投資家たちもいる。その機関投資家たちは、ライニー氏によるとLPの半分近くを占める。ファンドの資金調達は2年半で完了し、関心を示した一部の将来的投資家を断らざるをえなかった。

ライニー氏によると、セクハラを認めて2017年に退陣した創設パートナーDave McClureの一件は「Coralの創設にあたって重要な考慮事項ではなかった」という。

「Coralはそれよりもずっと前からあたためていた企画だからね」と彼は説明した。

Coral Capitalの創設パートナーであるジェームズ・ライニー氏と澤山陽平氏はこれまで500 Startups Japanを率いていた。

ライニー氏によると、Coralが500 Startups Japanの投資とバッティングすることはないし、Coralをやりながらそのポートフォリオの管理も継続する。

理屈の上では、500 Startups Japanからの継続という計画になり、全体として、スタートアップの初期段階の投資が主力になる。彼のこれまで4年間の経験では、安定した仕事を辞めてスタートアップを始めるファウンダーが多く、それが日本の場合はうまくいっている。

インタビューで彼は曰く、「今のキャリアに深入りすればするほど、自分の業界を抜本的に変えるには起業家精神しかない、と思えてくる人が多い。日本人はリスクを避けようとする気持ちの方が一般的に強いが、そういう人たちにおいてはリスク回避よりも起業指向の方が強くなるんだ」。

彼は、Coralの誕生が日本におけるスタートアップ文化をプッシュし続けていくための機会になる、と見ている。これまで圧倒的に企業社会で、仕事は会社でするもの、という慣行の強かった日本では、ファウンダーたちの初期段階の資本獲得の機会が不在だったのだ。

「ここではわれわれにやれることがたくさんあり、日本でわれわれが作り出すインパクトは、シリコンバレーなどよりずっと強いものになるだろう」と彼は展望している。

「今ではどこの企業にもスタートアップの計画はあるが、シードや初期段階を強力に引っ張れるところはほどんどない。彼らが比較的安心してやれるのは、後期段階の投資だ。スピンオフする勇気のある企業に投資する投資家も、昔からいないことはないが、他の国に比べるとあまりにも少なすぎる」と彼は付け加えた。

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Salesforceが日本で$100Mのファンドを設立、パブリッククラウド市場の成長を確信

日本のスタートアップにとって、良い週だった(12/2-8)。Googleがこの国でまれな投資をしてAIのABEJAを支援したかと思ったら、そのすぐ次はSalesforce…同じくアメリカのテクノロジー巨大企業…が、日本のエンタープライズ系スタートアップのための1億ドルのファンドを発表した

そのJapan Trailblazer Fundは、Salesforce Ventureのアジアにおける初めての、ローカルファンドだ。S8eのこのVC部門は2011年以降、日本のスタートアップ40社を支援している。そのポートフォリを企業は275社だから40は小さいし、日本でのファンド1億ドルも、全世界で10億ドルを超える投資額のごく一部にすぎない。

しかしそれでも、日本への注力はこの国にとって嬉しいニュースだ。GDPベースでは世界第三位の経済大国でありながら、日本は海外からの投資を呼びこむのに苦労している。でもSalesforceの場合は、日本のパブリッククラウドサービスの市場を拱手傍観することは許されない。なにしろ2022年には今の倍の130億ドルの市場になる、とIDCは試算しているのだ。〔参考ページ(IDC原本は有料)〕

Salesforce Venturesのポートフォリオに今いる日本企業は、8月に6000万ドルを調達した会計サービス/人事労務サービスFreeeや、2650万ドルを得て東南アジアに進出しようとするコンタクト管理(名刺管理)のSansanなどだ。

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女性起業家が調達した資金は米国VCのわずか2.2%(今年も)

女性起業家に公平な活躍の場を与えようとする数々の努力にもかかわらず、2018年に米国女性が設立したスタートアップの調達金額はベンチャー資金全体のわずか2.2%だった。

この数字に見覚えがあるかもしれない。PitchBookによると、これは昨年、女性ファウンダー単独あるいは女性のみのチームのスタートアップが調達した資金の割合とまったく同じだ。

この数字は、女性起業家や支援者たちがこの長きにわたる問題の解決を試みる際の一種のスローガンとして使われている。女性起業家が調達する民間資本は男性起業家と比べて著しく少ない。いくつかの新しい試みや、All Raiseのような専門組織が、メンターによる指導プログラムによってこの問題を解決しようとしているが、変化を達成するだけのリソースを追加するためには1年以上必要なのは明らかだ。

現在ベンチャーキャピタル会社の意思決定者に女性の占める割合は10%以下であり、米国VC会社の74%には女性投資家が一人もいない。こうした数字が変わり始めるまで、資金調達のギャップが縮まる見込みは小さい。

良いニュースもある。2018年を2ヶ月残した時点で、女性たちが調達したVC資金の額は過去最高を記録している。過去10ヶ月間に女性が起業したスタートアップは計391件、23億ドルの調達契約を完了し、2017年の20億ドルを超えた。男女混合チームによる今年の資金調達も132億ドル、1346件で、昨年の127億ドルより増えている。

一方米国スタートアップ全体では2018年に967億ドルを調達しており、年内に1000億ドルを超えるペースだ。女性が起業した会社はそのわずか2.2%しか調達していない。男女混合チームの数字は12.8%で前年の約10.4%より増えている。

昨年米国のスタートアップは9000件以上の案件で総額820億ドルを調達し、ベンチャー業界にとって今年同様に印象的な年だった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

VCたちはどれだけ稼いでいるか

ベンチャーキャピタルは不透明な業界と思われているので、われわれの多くが、平均的なVCの年収などを知らなくても当然だ。

しかし、ベンチャー企業の報酬に関するJ. Thelander Consultingの調査報告書を見ると、やはりVCたちは大金を稼いでいる。

では、どれだけ? そう、VCたち204名のうち(男172女32)、平均的なゼネラルパートナー(GP)の今年の予想年収は63万4000ドルだ。この中には2017年の業績に対するボーナスも含まれる。

VC企業の規模によって、平均年収に差がある。たとえば運用資産残高(AUM)が2億5000万ドル未満のVC企業のVCたちは、それより大きなVC企業のVCよりも年収が低い。

[VCたちの2018年平均総報酬]

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VC企業でランクのトップにいるGPたちは、報酬パッケージも最大だ。彼らの年額ボーナスの平均は、アソシエイトパートナーやエントリーレベルの投資家たちの平均基本給より大きい。

この調査は、Sequoias, NEAs, Kleiner Perkinsといった、AUM 数十億ドルクラスの世界的VC企業を調べていない。しかし上の結果を外挿すれば、彼らはもっと稼いでいるだろう。

注記: 実際の年収は、上記にVC企業の運用益の分け前、いわゆるcarried interestを加えた額である。

〔訳注: VCといえば個人のVC、VC firmといえばVC企業のこと。〕

[あるミーティングでVCたちの真実を垣間見た](未訳)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

何千もの暗号通貨プロジェクトがすでに死んだ、そして詐欺も多い

失敗した暗号通貨プロジェクトの目録を熱心に作り続けているCoinopsyDeadCoinsによると、2018年に失敗したプロジェクトは現時点(6月)で1000を超える。それらのプロジェクトは、本物のabandonware(アバンダンウェア)から単なる詐欺にいたるまでさまざまで、その中には、二人の“自称兄弟”Jack/Jay Brigによる詐欺BRIGや、SECによる捜査で終わったTitaniumなどもある。

どんな分野でも新人は自分たち独自のルールを作って新機軸を志向するが、ブロックチェーンの世界でもまさにそれが起きている。しかし彼らが相手にしているのは、トークン(私的代用通貨)による資金調達という、大きな可能性の世界だから、発生する諸問題も大きい。スタートアップに失敗はつきものでも、これらのプロジェクトを洪水のように押し流す膨大なキャッシュの量が、大きな問題だ。スタートアップが、あまりにも多くの燃料をあまりにも短期間で入手すると、それによって起きる大火災は会社とファウンダーの両方を焼きつくし、そのあとに、投資家の救いになるものは何もない。

そんな大火災は至るところで発生し、今やグローバルな現象だ。2017年には、詐欺と死んだICOの調達総額は10億ドルに達し、その中には、いかがわしいスタートアップが297社もいる

破綻したICOを“修復する”と称する、ケープタウンのCoinJanitorのような怪しげな企業もいるが、そんな、明日になったら夜逃げして行方不明のような企業が多いことは、この業界にとって良い前兆ではない。

ICOで資金調達をしたスタートアップは現在、結果的/実質的に、マルチ商法(multi-level marketing, MLM)のような策略で事業を構築している。そうではなくて彼らは、KickstarterやIndiegogoにページを持つべきだ。これらのクラウドファンディングプラットホームは、信頼をアートにした。お金を出した支援者たちは一種のチームであり、それがプロジェクトとリスクとアイデアの未来を定義する。多くの資金がなくても、容易にビジネスを構築できる。残念なことに、合理的な思考よりもむしろ貪欲を教唆するために現在のICO市場が使っているロックアップ(監禁、封じ込め)と詐欺的な価格設定は、業界を支えるのではなく、傷つけている。

ではどうすべきか? 失ってもよい額だけを投資し、どんなトークンにも失敗がありえることを覚悟しよう。そして究極の望みは、万一失敗しなかったときの嬉しい意外性だ。それ以外では、あなたは失望の世界へ向かって踏み出すのだ。

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一般企業とデベロッパーの機械学習導入を助けるPetuumがSoftbankらから$93Mを調達

機械学習のデベロッパーの不足が産業界の足かせになっている今、スタートアップも大手テクノロジー企業も人工知能を商用化するために必要なツールの民主化に取り組もうとしている。その方面の最新のスタートアップPetuumは今朝(米国時間10/10)、Softbankおよび Advantech Capitalからの、9300万ドルのシリーズBを発表した。

昨年カーネギーメロン大学の機械学習の教授Dr. Eric XingとDr. Qirong Ho、そしてDr. Ning Liが立ち上げたPetuuは、機械学習の開発を支える二つの部位のためのソフトウェアを作っている。ひとつは、データの準備と機械学習のモデルの選択を自動化することだ。機械学習の初心者である一般企業は、このようなツールの助けがなければ、TensorFlowやCaffeのような、広く使われている機械学習のフレームワークすら、使いこなすことができない。

そしてモデルが決まったら、今度はPetuumは、ユーザーが使用するハードウェアの特性や制約に合わせた最適化を、デベロッパーをアシストしながら行う。こちらが、二つめ。その主な工程は、ハードウェアを仮想化して障害を取り除き、分散GPUクラスターの管理という余計なステップをなくすことだ。

Dr. Xingはこう語る: “私たちのAIの扱い方は、職人芸ではない。私たちはきわめて標準化されたビルディングブロックを作って、それらをLegoのように組み立てたり、組み立てなおしたりする”。

PetuumのファウンダーEric Xing博士とピッツバーグの同社オフィス

つまり同社のサービスは、さまざまな機械学習の問題を解くことではなく、ユーザー企業とそのデベロッパーたちが、0の段階から1の段階へ踏み出せるために、そのプロセスを自動化することだ。ただしPetuumはそれと同時に、エキスパートたちが十分に使えるシステムも目指している。この両立が、かなり難しい。

Dr. Xingは曰く、“Excelの使い方は誰でも知ってる。一般社員はExcelを使って表を作るだろう。それと同時に、高度な技能を持ってる統計家が何かの現象のモデルを作るときも、Excelを使うことがある”。

また、市場戦略も難しい。テクノロジー業界がいくら大金を投じてAIを称揚しても、投資家たちの多くはヒューリスティックスで不確実性を管理する方向へ向かおうとする。そこでは、AIが得意とする水平的な〔業種業態の違いを問わない〕プラットホームが、役に立たない。

それに、機能の開発と支出の均衡が必要なスタートアップが、MLaaSやMLプラットホームでGoogleやAmazonに対抗するのは難しい。Dr. Xingは自分のチームのスキルを高く評価しているが、Softbankらからの資金はありがたいはずだ。H2O.aiAlgorithmiaなどの競合他社にはまだ、これほどの資金源はないだろう。

なお、同社はヘルスケアやフィンテック分野の顧客を開拓中だ。しかし長期的には、あらゆる業種業態に対応する気はない。ベータテストにはさまざまな業界から参加しているが、しかし今後は、他の業種業界に対して、このプラットホームをベースとするソリューションを同社以外のスタートアップが構築できるだろう。

今日の投資はSoftbank本体からで、930億ドルのSoftbank Vision Fundからではない。将来このファンドから投資されるのかは、不明だ。Petuumの現在の社員は70名で、今後は製品開発と営業とマーケティングを同時に増員したい、と言っている。

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LA-SF間の寝台バスCabinが$3.3Mを調達、飛行機より高いけど人気

寝台バス(上図)のCabinが、330万ドルのシード資金の獲得を発表した。この投資をリードしたのはFounders FundのFF Angel、これに半ダースほどの投資家が参加した。この新たな資金でCabinは、その夜間運行サービスの国内供用地を増やすことができる。

ご覧のようにこの“走るホテル”は、ふつうのバスを改造して、中央に廊下のある寝台車にしている。列車みたいに。社交的で不眠症の人たちのために、小さなラウンジもある。孤独好きな不眠症の人たちには、Wi-Fiがある。耳栓と紅茶は全員にサービスされる。乗務員が待機しているし、バスルームもある。手荷物は二個まで無料だ。

今は、ロサンゼルス|サンフランシスコ便しかない。中心市街地で午後11時に乗車、翌朝7時に着く。会議なんか、十分に間に合う。料金は片道115ドルだ。飛行機なら100ドル足らずだが、Cabinならベッドがあるし、アームレストの取り合いもない。

CabinはTesloopのような企業に参加しているので、飛行機よりも快適な長距離の路上の旅を共有できる、お急ぎでなければ。けっこう、関心を集めている。Cabinが2016年に行ったパイロットプロジェクトSleepBusは、チケットが三日で売り切れた。予約リストには20000名が載り、予想の15000名を超えた。ロサンゼルス|サンフランシスコ間の運行は、毎日だ。

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DellのVC部門Dell Technologies Capitalは市場に独自の視点で臨み27のエグジットを経験

エグジットを27も抱えたVCがステルスであることは、めったにない。それどころか、今日のVCの多くは、そんなにたくさんのエグジットを経験していない。しかし、今日(米国時間5/8)までステルスだったDell Ventures(正式名: Dell Technologies Capital)は、各年1億ドルという着実なペースで投資を続けてきた。同グループは、マーケットが何を買いたがっているのかを、よく知っている。これまで同社では、70あまりの投資案件のうち、その37%近くがエグジットした。もちろん、その結果はさまざまだが。

今日まで、Dellの投資のうち、エンタープライズ方面で話題になり名前が知れたのは、ごくわずかだ。中でもいちばん目立ったのは、NutanixとJoyentだろう。前者はクラウドコンピューティング企業で、昨年40億ドルでIPOしたが、最近は出血気味で、その価値はほぼ半減した(ロックアップ期間が終わった途端)。Joyentはクラウドサービス企業で、1億3100万ドルを調達したが、その後1億7000万ドルでSamsung Electronicsへ売られた。

とはいえ、Dellのエグジットだけで計13億ドルに達している。同グループはそのスタートアップのポートフォリオに、企業のVC部門が従来から持つ利点を、うまく持ち込んでいる。それらは、データへのアクセス、戦略的営業チャネル、そしてエンジニアリングとリサーチ方面のさまざまなコネだ。

さらにDell Technologies Capitalは、マーケットに対して中立的(偏らない)である点でも他のVCとは差別化される。とくにクラウドが支配するエンタープライズでは、マーケットリーダーであるGoogleやMicrosoftからお金を取るやり方は、自分の活動を制限することに近い。

Dell Technologies CapitalのトップScott Darlingは、ほかの企業のVC部門と同社が重要な点で違うのは、そのフラットな構造だ、と言う。DarlingはCEOのMichael Dellとたえず連絡を取り合うし、投資についても率直に差し向かいで議論する。

なぜ今日、ステルスを脱けるのか、と問うと、Darlingは、現在の規模では、身を隠すための費用や活動がたいへんすぎるし、その意味も価値もない、と答えた。同社の現在のポートフォリオの中では、とくに大きく賭けているのがMongoDBとRichRelevanceであり、今後の大きなリターンで報われ、同グループにスポットライトが当たり続けることを期待している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

DeepgramがオープンソースにしたKurを使えばディープラーニングのDIYが楽にできる

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Y Combinator出身のDeepgramは、機械学習を利用して顧客企業のためにオーディオデータの分析をやっている。その同社がこのほど、Kurと呼ばれるディープラーニングツールをオープンソースにした。この分野に関心のある人たちは、自分のアイデアを形にするのがより容易になるだろう。同社はまた、10時間ぶんの録音データを10秒単位に切り刻んたものを、訓練用の教材として提供している。

ディープラーニングライブラリのKerasと同じくKurも、ディープラーニングのモデルを構築して訓練するプロセスを高度に抽象化している。そうやってディープラーニングをより容易にすることによってKurは、画像認識や音声分析などのタスクの、敷居を低くしている。

DeepgramのCEO Scott Stephensonの説明によると、立ち上げ当時の同社はLibriSpeechを使っていた。それは、パブリックドメインのオーディオブックを、初期の機械学習モデルを訓練するために細かく分割した、ネット上のデータセットだ。

しかしDeepgramは、車輪を再発明しているわけではない。同社のデータダンプとオープンソースのプロジェクトがあれば、大学やテクノロジー企業は、Tensorflow, Caffe, Torchなどのフレームワークを利用しやすくなる。画像認識用にはImageNetデータベースがあるし、音声用にはVoxForgeがよく使われているが、オープンソースのデータセットはもっといろいろある方がよい。

“自動運転車も、出発点は画像の分類技術だ”、とStephensonは語る。“つまり、誰かに最初、小さなかけらみたいなものを与えれば、やがて人びとが寄ってたかってモデルを変えるようになり、これまでとは違うことが、できるようになるんだ”。

デベロッパーがKurを自由に使えるようになれば、Deepgramが欲しい人材も育つ。今、機械学習やデータサイエンスの分野では、そういう実地教育を、大手のテクノロジー企業ならどこでもやっているし、成果も上げている。

デベロッパーがモデルやデータセットや重みを共有してイノベーションを加速するためのソーシャルサイトKurhub.comを、もうすぐ同社はオープンする。今日リリースされるデータセット用の重みは、いずれDeepgramがリリースしたいと考えているので、DIY派の人びとも、プロセッサーを酷使する訓練で苦労しなくてもよくなる。10時間のオーディオデータというと、訓練用のデータとして大きくはないが、それでもモデルの訓練にはGPUを使った場合で約1日、一般市販のコンピューターなら相当長くかかる。

Deepgramのデータセットを全部使ったら、適当に自分のデータを加えればよい。必要なものは、音声の録音を10秒単位で刻んだWAVファイルだ。パブリックドメインで提供されている録音データを、データに飢えているディープラーニングのモデルにたくさん食わせてやれば、精度はさらに向上する。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

学生が(技術がなくても)アイデアを無料でアプリにできるアプリビルダーBizness Apps、すでに3万名50校が登録

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“協同ファウンダーになってくれる技術者いないかなぁ”

“今、このアイデアを形にしてくれる、CS出身者を探してるんだ”

2016年ともなると、世の中の全員が(彼らのお母さんすら)アプリのアイデアを持っている。今や大学では、アプリ作りがビアポンに代わって課外活動の主役だ。唯一の問題は、アイデアの数だけデベロッパーがいないこと。あなたが学食でナプキンにスケッチしたアイデアを、3%のマージンで完全なアプリにしてくれるCS専攻の友人もいない。

でも、学生が起業すること自体は(アプリでなくっても)すばらしい。起業体験は、教室では得られない貴重な学習体験だ。ビジネスとして軌道に乗れば経済にも貢献する。

そこで、技術のない人のためのDIYアプリ開発プラットホームBizness Appsは、.eduアカウントの学生に無料アクセスをを提供している。

このプラットホームは最初の数か月で約3万名の学生が登録し、同社は約50の大学の起業学科とパートナーして、その学生たちもユーザーにした。

このプラットホームにアクセスすると、何がどうなるのか? ユーザーが自分でアプリを作れるためのツールが提供されたり、あるいはBizness Appのホワイトレーベルソリューションを利用してアプリを地元の小企業に売ったりできる。どちらも、起業に結びつけることができる。

同社のツールは、一般ユーザーが使えば月額59ドルだ。ホワイトレーベルでアプリを作る場合の設計料は2000ドルだ。これらがすべてただとは、どういうこと?

それは主に、Bizness Appsが、ファウンダーが学生のときに創業されたからだ。協同ファウンダーのAndrew Gazdeckiによると、大学で企業を興したことによって人生が一変した。だから、“今の学生たちに同じ体験を提供できたら、自分も本当の達成感を得られるはずだ”。

もちろん、そうやって多くの学生がこのプラットホームを利用するようになれば、その口コミ効果は大きいだろう。でも、そんなことよりもGazdeckiの関心は、できるかぎり多くの学生に起業家になってもらうことにある。そして、誰もかれもがアプリづいている今の世の中では、学生たちにアプリビルダーへのアクセスを提供することが、彼の関心にいちばん叶うやり方なのだ。そのほかの業種よりも。

このプラットホームを、ネイティブアプリの作り方を本格的に勉強することと比較するのは酷だ。でも多くの学生にとっては、このプラットホームへの無料アクセスによって、今後の売り込みのための最小限のアプリは作れるから、投資家や本物のデベロッパーの関心を惹くには十分だ。

9月1日までに、.eduのメールアドレスでここに登録した学生は、いつまでも無料でアクセスできる。同社によると、締め切りがあるのは学生たちにできるだけ早くアプリ作りを始めてもらいたいため。もっと早く登録すれば、夏休みに何かを作って、秋にそれを大学に持ち込むこともできるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Tovalaは、調理済食品を完璧に加熱するスマートオーブン

Tovalaは、Y Combinator出身の新しいスタートアップで、低価格で、プロ用オーブンレンジに取って代わる製品を作ろうとしている。Tovalaは、焼く、煮る、蒸すを、最大550度F(288度C)、10~30分でこなすスマートオーブンだ。

料理はTovalから、調理済パッケージを購入するか、クラウドソースのレシピを利用する。

Tovalaは、電子レンジ方式の代わりに、乾式および湿式の調理法を用いて、料理ごとに最適な温度で調理する。例えば1台でチキン、米、アスパラガスを同時に調理することができる。

最初の製品が今日(米国時間3/8)Kickstarterでデビューし、すでに数百人の支援者によって目標10万ドルを達成している。

Tovalaは、早期Kickstarterサポーターには199ドルで販売されるが、小売価格は349ドルになる。家庭用の調理道具としては高いと感じるかもしれないが、プロのシェフが使うコンビネーションオーブンの何分の一かでしかない。

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本当の稼ぎ手は、Tovalが提供する「パッケージ済み料理」だ。各パッケージは4人前で、Tovalaキッチンで材料から作られ1食当たり400~800カロリーだ。

Tovalaは、レシピライブラリも準備中で、パレオ、ベガン、グルテンフリー等の食事制限のある人向けもある。Tovalaの共同ファウンダー、David RabieとBryan Wilcoxによると、Tovalaのマスターシェフが毎週最大6種類のメニューを用意する。

そして、最新のつながるキッチンモノの例に漏れず、Tovalaはスマホアプリを通じて調理時間を監視できる。料理のバーコードをスキャンして、料理をオーブンに入れ、指示にしたがっていくつかボタンを押せば、あとはスマートフォンで様子を見られる。

私は共同ファウンダーのDavid Rabieと、Tovalに触れ試食する機会を得た。上のビデオで、このスマートオーブンの動くところをご覧あれ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook