Epic Games、「フォートナイト」有料コンテンツの収益をウクライナ人道支援に寄付へ

Epic Games、「フォートナイト」有料コンテンツの収益をウクライナ人道支援に寄付へ

Epic Games

Epic Gamesが、3月20日から4月3日までの2週間分の『Fortnite』における収益をウクライナの人々に向けた人道支援活動に寄付することを発表しました。プレイヤーはゲームをプレイし、V-Bucksやコスメティックパックといった有料アイテムを購入することが、ロシアによる軍事侵攻で苦しめられているウクライナの人たちの助けにつながります。

EpicはFortniteだけでなくギフトカードの販売による収益金も含めてDirect ReliefやUNICEFといったウクライナ支援を行っている計4つの団体に送るとしています。さらにマイクロソフトも、Microsoft StoreでのすべてのFortniteに関するコンテンツからの純収入を寄付することに同意したとのこと。Epicはさらに多くの組織が参加すると述べています。

ただ、ウクライナでは日々ロシアの攻撃が続いており、決済パートナーなどからの入金を待つのは時間がかかりすぎます。そのため、Epicはトランザクションを監視して有料アイテムの売上げ金額を速やかに送金する予定とのこと。

ゲームプレイにおける収益をウクライナ支援に充てるアイデアとしては、Riot Gamesが3月7~12日の間、『League of Legends』『Valorant』などにおけるバトルパスや『League of Legends』での新しいBeeスキンの販売による収益をプレイヤー募金として寄付するとし、3月9日の時点で200万ドル以上を集めたと発表していました。ほかにもItch.ioHumble Bundleといったゲーム販売プラットフォームが、収益全額をウクライナの被害者たちを支援する団体に寄付するバンドルを販売しています。

(Source:Epic GamesEngadget日本版より転載)

Netflix、PayPal、Adobe、Epic Games、任天堂もロシアでの事業停止

ロシアのウクライナ侵攻を受けて、ロシアでの事業を停止するハイテク企業のリストが増え続けている。この動きに最近加わった企業には、Netflix(ネットフリックス)、PayPal(ペイパル)、Mastercard(マスターカード)、Visa(ビザ)などの有名どころが含まれている。

Varietyが最初に報じたように、Netflixは米国時間3月6日、ロシアでのサービスを停止すると発表した。この措置は、同社が先週、ストリーミング配信会社にロシアの20のプロパガンダチャンネルホスティングを義務づけるロシアの新法に従わないと述べたことを受けたものだ。Netflixはまた、ロシアで制作を予定していた今後のすべてのプロジェクトを一時停止している。

Adobe(アドビ)も、ロシアにおける自社製品・サービスの新規販売をすべて停止すると発表した。同社は、自社の製品やサービスが「法律に反した戦争の支援に使用されない」ようにする責任があると信じている、と述べている。

PayPal(ペイパル)は、米国時間3月5日にロイターが最初に報じたように、ロシアでのサービスを停止すると発表した。ウクライナのMykhailo Fedorov(ミハイロ・フェドロフ)副首相はツイートで、PayPalのCEOであるDan Schulman(ダン・シュルマン)氏がこの措置を確認している書簡を公開した。

ロシアから撤退した決済企業はPayPalだけではない。Mastercardは米国時間3月5日、ロシアにおけるネットワークサービスを停止すると発表した。つまり、ロシアの銀行が発行したカードは、今後Mastercardのネットワークではサポートされなくなる。また、ロシア国外で発行されたすべてのカードは、ロシアの商店やATMで使用できなくなる。同社は、適切な時期に業務を復活させるとしている。

同様にVisaも同日、ロシアでの全業務を停止したと発表した。同社は、ロシア国内の顧客やパートナーと協力し、すべてのVisa取引を停止するとしている。ロシア国内で発行されたVisaカードでの取引はすべてロシア国外では機能しなくなり、ロシア国外の金融機関が発行したVisaカードはロシア国内で使えなくなる。

ゲーム会社もまた、テック業界の他の企業とともにロシア国内でのビジネスを終了する。Epic Games(エピックゲームズ)は米国時間3月5日、ゲームに関するロシアとの取引を停止すると発表した。しかし同社は「他のコミュニケーションツールがオンラインであるのと同じ理由で、アクセスをブロックしていない。自由な世界は、すべての対話をオープンにしておくべきだ」と述べた。

態度を明らかにしたゲーム会社はEpic Gamesだけではない。Activision Blizzard(アクティベーションブリザード)も同じ日にロシアの消費者へのゲーム販売を一時停止すると発表した。同社はまた、ロシアでのゲーム内購入の提供も停止する予定だ。

任天堂も、利用している決済サービスが「ルーブルでの決済処理を停止した」ため、ロシアのeショップを一時的にメンテナンスモードにし、同国でのデジタル販売を停止した。

Snapchat(スナップチャット)は先日、安全予防策としてウクライナで公開されているSnap Mapの「ヒートマップ」を無効化すると発表し、対応を拡大した。ヒートマップ機能は通常、人々が多数のSnapを共有した場所を目立たせる。この措置は、同社がその前にロシアで広告を一時停止していると発表したのに続くものだ。

また、TikTok(ティクトック)は米国時間3月6日、ロシアの新しい「フェイクニュース」法に対応して、ライブストリーミングと動画サービスの新コンテンツを停止すると発表した。この法律では、ロシア政府がウクライナ侵攻に関する偽情報と見なすものを公開した者は刑務所に入ることになる、と脅している。TikTokは、従業員とユーザーの安全を維持するために、同国での事業を停止することを決定した。

Samsung Electronics(サムスン電子)は「このところの地政学的な動きにより」ロシアへの全製品の出荷を停止すると発表した。出荷が停止された製品には、スマートフォン、半導体、家電製品などが含まれる。この動きは、デバイスメーカーのApple(アップル)やDell(デル)、チップメーカーのIntel(インテル)、ソフトウェア大手のMicrosoft(マイクロソフト)からの同様の発表に続くものだ。

GrubHub(グラブハブ)は、ロイターが最初に報じたように、ロシアのテック大手Yandex(ヤンデックス)との提携を終了すると発表した。複数年にわたるこの提携は、大学生に食事を配達するドライバーレスロボットに関するものだった。Grubhubは、欧州最大の食事宅配会社Just Eat Takeaway.com(ジャストイート・テイクアウェイ・ドットコム)の一部門だ。

ロシアに対抗する姿勢を示したこれらの最新の企業グループは、AppleやGoogleなどの仲間入りをしている。Appleは3月1日、ロシアでの製品販売を停止したことを認めた。また、App StoreからSputnikとRT Newsを削除し、同国でのApple Payサービスの一部を無効にしたGoogleはAppleに続き、自社のモバイルアプリストアからRT(ロシア・トゥデイ)とSputnikのアプリを削除した。Googleはロシアでの広告販売も一時停止した

画像クレジット:NurPhoto / Contributor / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

Epic Gamesが楽曲販売プラットフォームBandcampを買収、音楽分野へ進出

ハッピーBandcamp(バンドキャンプ)ウェンズデイ。Fortnite(フォートナイト)開発元であるEpic Games(エピックゲームズ)が、Bandcampを丸ごと買収することになった。音楽配信・販売プラットフォームを提供するBandcampは、米国時間3月2日のブログ記事で買収を発表し、共同創設者兼CEOのEthan Diamond(イーサン・ダイアモンド)氏が指揮をとる独立した組織として、今後も機能し続けることを付け加えた。

「我々は、世界で最もオープンでアーティストフレンドリーなエコシステムを構築するというビジョンを共有しており、ともにアーティストが作品に対して公正な報酬を得る機会をさらに増やすことができるでしょう」とダイヤモンド氏は投稿で述べている。

今回の買収では、Bandcampのマーケットプレイス、コミュニティ、エディトリアル製品であるThe Dailyは独立した組織として引き続き運営されるなど、業務は比較的いつもどおりに続くアプローチがとられている。また、同社が毎月第一金曜日に行ってきたBandcamp Friday(バンドキャンプ・フライデー)も予定通り継続するとしている。Bandcamp Fridayは、コロナ禍でコンサートツアーが中止され、多くのミュージシャンが生活を維持するのに苦労している中、購入額から通常Bandcampが差し引く手数料を受け取ることなく、その分もアーティストやレーベルに還元するという毎月恒例のイベントで、非常に人気がある。

「2008年の設立以来、当社は音楽が持つ癒しの力を広め、ファンからの直接的な支援によってアーティストが成功するコミュニティを構築するというミッションを追求してきました」とダイアモンド氏は続けた。「そのシンプルな発想が功を奏し、アーティストやレーベルへの支払いは10億ドル(約1155億円)に迫る勢いです」。

確かにテーマからすると奇妙な買収だ。しかし、Epicは近年、Fortniteの熱狂的な人気のおかげで、大量の資金を手に入れ、買収に明け暮れている。一方、パンデミックによって、多くのミュージシャンが自分の作品と、それを世に送り出すためのプラットフォームとの関係を見直す必要に迫られている。Bandcampは、Spotify(スポティファイ)のような巨大サービスに対して、はるかにミュージシャンフレンドリーなサービスと位置づけで、ストリーミングコンサートなどを提供サービスに追加している。

EpicのVPであるSteve Allison(スティーブ・アリソン)氏は、別のブログ投稿でこう述べている。「Epic GamesにBandcampのチームを迎えることができ、これ以上ないほどうれしく思っています。Bandcampは、新進気鋭のアーティストが、ファンの直接的なサポートによって成功できるようなすばらしいコミュニティとビジネスを構築しており、音楽界で最高レベルの収益モデルと条件を備えています。これは、あらゆるメディアでクリエイターを支援し、ファンと直接つながることを可能にするというEpicのアプローチと良く調和しています」。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Den Nakano)

米国35州・マイクロソフト・電子フロンティア財団がEpic支持を表明、アップル対Epic裁判はまだまだ続く

アップル対Epic裁判、米国35州・マイクロソフト・電子フロンティア財団がEpic支持を表明

CHRIS DELMAS/AFP via Getty Images

アップルとEpic Gamesが『フォートナイト』のアプリ内課金をめぐって揉めている訴訟はいったんは判決が下されました。が、両社とも判決を不服として控訴したため、法廷での戦いはまだまだ続く見通しです。

この訴訟については、米国35州の司法長官とマイクロソフト、そして電子フロンティア財団が、Epicを支持することを表明しました。各州の弁護士が控訴裁判所に提出した準備書面では「アップルによるApp Storeの管理は独占禁止法に違反しない」とする先の判決を覆すべきだと主張されています。

Epic Gamesがアップルに対して起こした「App Storeの管理が独占禁止法に違反する」ことを問う裁判では、アップルにはアプリ開発者がユーザーを独自の決済システムに誘導することを認めなければならないとの判決が下されました。

その一方でアップルが反訴した「問題は独禁法違反かどうかではなく、EpicがApp Store開発者としての契約に違反して独自の決済システムを使ったこと」に関してはアップルの主張が認められ、Epic側にはアップルが本来得るべきだった手数料の支払いが命じられています

これによりEpicは金銭的には敗北を喫した一方で、アップルに対して「12月9日までに開発者がアプリ内でユーザーを他の決済システムに誘導できるようにしなければならない」との判決が下されたことで、一定の勝利を勝ちえたはずでした。

アップルはこの命令に対して期日延期を要請し、一度は却下されたものの、12月には控訴裁判所が延期に合意したことで先送りに成功しています。つまりアップルとEpicとの控訴審が終わるまで、App Storeアプリ内に外部決済リンクを認めることは何年も先延ばしにされるかもしれないわけです。

さて今回、35の州政府が提出した準備書面では「アップルはiPhone向けのアプリ配信とアプリ内課金ソリューションを独占し続け、競争を抑圧し、年間ほぼ1兆ドル規模のスマートフォン業界で超競争的利益(競争の激しい市場で維持できる利益を超えた利益)を蓄積しています」と簡潔に書かれています。

またMSも準備書面を提出し、同社が隣接する市場で「競争を封じるためにiOSを支配する」ことを可能にすると主張。「アップルがオンラインサービスを持つ全ての企業とiPhoneユーザーの間に介入することが許されるなら、巨大なモバイル経済のほとんどはアップルの干渉と最終的な支配から逃れられられない」と述べられています。

MSは自社のクラウドゲーミングサービスをiPhone向けに展開する上で大きな制約を受けたこともあり、以前からアップルを遠回しに批判していました

アップルはEpicとの訴訟について「(先の)判決が控訴で肯定されることを楽観視している」として、勝利を確信しているとの趣旨をコメント。さらに我々は、App Storeは消費者のための安全で信頼できる市場であり、開発者のための絶好の機会であることを保証するために引き続き取り組んでいきます」と述べています。この声明は、米上院で審議されているアプリストア規制法案へのけん制も兼ねていると思われます。

しかしアプリ課金については、アップルに対して自社システム以外の決済方法を認めるようオランダや韓国ほか世界各国で圧力が高まりつつあります。そこに米国の35州も加わるとなれば、アップルもいつまでも現状を守り続けるのは厳しいかもしれません。

(Source:CNETFOSS PATENTEngadget日本版より転載)

Valveの携帯ゲームPC「Steam Deck」でEpic GamesのアンチチートEAC必須のゲームが動作しやすく

Valveの携帯ゲームPC「Steam Deck」でEpic GamesのアンチチートEAC必須のゲームが動作しやすく

Valve

Valveは携帯ゲームPC「Steam Deck」につき、Epic Gamesのアンチチートソフト「Easy Anti-Cheat」(EAC)必須のゲームが動作しやすくなったことを発表しました。既存のEACゲームに対するSteam Deckサポートを、新サービスとの統合や、SDKバージョン、ゲームバイナリのアップデートなしで、簡単に追加できるようになったとのことです。

EACとはオンラインゲームプレイ中の不正行為、いわゆるチートを検出して取り締まるためのソフトウェアの一種です。Epicの『フォートナイト』のほか『Apex Legends』や『Dead by Daylight』、『Gears 5』などのマルチプレイゲームに採用されており、EACをインストールせずにこれらゲームを開始することはできません。

つまりEACを採用したゲームにSteam Deckサポートを「簡単に追加」できるようになったのは、それだけ遊べるゲームライブラリの幅が広がったことを意味するわけです。

Valveはこれに先立ち、同じく不正防止プログラム「BattleEye」をProton(WindowsゲームをLinux上で実行できるようにする互換レイヤー)に統合し、開発者がBattleEyeに連絡するだけで有効化できるようにしています

さらに今回の発表も加わったことで、Valveは「これは二大アンチチートサービスが、ProtonとSteam Deckで簡単にサポートされることを意味します」と述べています。EACにしろBattleEyeにせよ、個別のゲームについては早い時期から対応を発表しているものもありましたが、それ以外のゲームがSteam Deck対応しやすくなったといえます。

もともとSteam Deckの出荷は2021年末に予定していたものの「部品が工場に届かない」ために2022年2月に延期されましたが、いち早く入手できた人たちは多くのお気に入りゲームをすぐに楽しめることになりそうです。

とはいえ、当初の販売は米国・英国・カナダや一部の欧州向けのみで、日本を含むそのほかの地域では2月に初回出荷して以降になる見込みです。

ようやく2大アンチチートソフトがSteam Deck上でサポートしやすくなったとはいえ、それと個別のゲームタイトルが動くかどうかは別の問題です。これについてはValveが検証プログラムを開始しており、各ゲームに対して「Verified(検証済み)」「Playable(プレイ可能)」「Unsupported(サポート外)」「Unknown(不明)」の4つのステータスが確認できます。

ちなみに、先日発売されたばかりのPC版『ゴッド・オブ・ウォー』を、ソニー・インタラクティブエンタテインメント インディーズ イニシアチブ代表の吉田修平氏が「Steam Deck」上で動作している写真を公開して「Yeeessss!!!」と感動を露わにしています。

吉田氏が公開したのは静止画であり、実際のフレームレートやプレイの快適さなどは不明ですが、日本でもSteam Deckが発売される日を楽しみにしたいところです。

(Source:ValveEngadget日本版より転載)

「フォートナイト」がiOSで復活(ただしApp Store経由ではない)

「Fortnite(フォートナイト)」がiOSに帰ってきた……まあ、言ってみればだが。NVIDIAのストリーミングゲームサービスGeForce NOWを通じて、iOSおよびAndroidのモバイルユーザーは、クラウドゲーミングを通じてタッチコントロール版のFortniteをプレイできるようになる。プレイヤーはNVIDIAサイトから、Fortniteの新しいモバイル向け回避策のクローズドベータテストに参加するためのウェイティングリストに登録できる。有料アカウントを持っていなくてもプレイすることは可能で、有料アカウントがあっても優先権は得られない。しかし、モバイルでFortniteを1時間以上プレイしたい場合は、アップグレードする必要に迫られるかもしれない。

Fortniteは2020年8月以降、iOSデバイスではプレイできなくなっている。アプリ内課金に対するApple(アップル)の30%手数料を回避しようとしたため、App Storeから追放されたのだ。その後、Fortniteの開発元であるEpic Games(エピックゲームズ)は、テック巨人が独占禁止法に違反していると主張してAppleを訴えた。9月、カリフォルニア州の裁判所は、Appleは開発者がApp Store以外の代替決済リンクを追加することを禁止できないという判決を下した。しかし、この判決では最終的にAppleが優位に立った。裁判所は、Epicが主張するような独占的な行為はAppleはしていないと判断したのである。

AppleもEpicもこの判決に満足しなかったため、両者は控訴した。また、Appleは、差止命令が発効するまでの時間を延期するよう控訴裁判所に認めさせた。これによりAppleは、当初の判決で裁判所が指示したApp Storeの変更を行う必要がなくなった。

Epic GamesのTim Sweeney(ティム・スウィーニー)CEOは、相変わらずAppleに対し反体制派の旗手として声をあげているため、たとえ両社が合意に達したとしても、すぐにFortniteのiOSアプリが復活するかどうかは不明だ。

画像クレジット:Kyle Grillot/Bloomberg / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

アップルは控訴審の判決が出るまでApp Storeのポリシー変更の必要なし

Apple(アップル)は、Epic Gamesとの法廷闘争で判事が下したアプリ内購入とAPP Storeのガイドラインの変更命令を、実行しなくてもよくなった。判決は、Appleは独占ではなかったというほぼ勝訴だが、同社は、開発者がアプリ内購入の決済先であるApp Store以外のリンクをアプリに追加することを禁じてはならないと命じられた。最初の判決に対してAppleとEpicの両方が上訴し、Epicはメインの主張が認められなかったこと、そしてAppleはアプリ内購入に関する当の判決そのものが不服であるとした。判決ではApp Storeのポリシーの改定は12月9日までとなっていたが、Appleはアプリ内購入ガイドラインの変更は控訴への判決が決まるまで猶予とすることを求めた。

関連記事:アップルのApp Store外での決済方法への誘導ブロックが禁止に、Epic Gamesとの裁判で

控訴裁判所は今回、差し止め命令が発効するまでの猶予をAppleに認めた。つまり、開発者はAppleが提供する既存のアプリ内課金システムを使い続けなければならない。アプリ内での支払いのために、自社のウェブサイトにリンクしたり、ユーザーを誘導したりすることは許されない。

米国時間12月8日、米国第9巡回区控訴裁判所に提出された文書(下記参照)では、Epic Games Inc.がAppleの行為が反トラスト法に違反していることを証明できなかったが、同じ行為がカリフォルニア州の不正競争防止法に違反していることは証明できた、という連邦地裁の判断に対して、「少なくとも、その控訴が本質的な問題を提起するものである」とAppleは判断した。

裁判所はさらに、Appleは「修復不能な損害の十分な提示」を行ったとして、判決の一部を猶予にするAppleの申し立てを認めている。

その文書によると、猶予は控訴が審理されるまで有効だ。

Appleは、以前にも停止の申し立てを試みたが、裁判所はその申し立てを却下した。今回の申請は、App Store以外で行われた購入を委託するためのまったく新しいシステムを考え出さなければならないなどと主張し、戦術を変えた後に認められた。

Epic Gamesは、裁判所の決定についてのコメントを控えている。

一方、Appleの広報担当者は、以下のような声明を発表した。

私たちはApp Storeを絶えず進化させて、さらに良いユーザー体験と、優れたiOS開発者のをコミュニティを築くことに努めています。私たちは、これらの変化によってプライバシーとセキュリティのリスクが生じ、また、顧客がApp Storeに関して愛する、ユーザー体験が壊されることを懸念しています。私たちは、この猶予を認めて控訴のプロセスを継続される裁判所に感謝します。

The Verge9to5Macがこの猶予のニュースを先に報じている。

Apple granted stay on injunction in Epic ruling by TechCrunch on Scribd

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

このキアヌは本物?CG?キアヌが映画「マトリックス」世界に誘うUnreal Engine 5技術デモ、PS5・Xbox版無料公開

このキアヌは本物?CG?キアヌが映画「マトリックス」世界に誘うUnreal Engine 5技術デモ、PS5・Xbox版無料公開

Epic Games/Warner Bros.

12月17日に公開の映画『マトリックス・レザレクションズ』は本予告編が月曜に世界一斉に公開され、いよいよ期待も高まってきましたが、その映画のテーマでもあるコンピューターの世界ではEpic Gamesは、『マトリックス・レザレクションズ』とのタイアップにより、映画の世界感をUnreal Engine 5(UE5)で再現するデモンストレーション「The Matrix Awakens: An Unreal Engine 5 Experience」を先行公開しました。

YouTubeで公開されたこのデモのティーザー動画では、例の緑色のテキストの雨のなかネオことキアヌ・リーブスが現れ「それが現実だと、なぜわかる?」と問いかけます。そして、このキアヌを観た人たちの感想は、これが本人の実写映像なのか、UE5で描かれたCGなのかで意見が分かれています。前置きを含めてわずか15秒の映像ながら、すでに映画『マトリックス』の世界感を再現していると言っても過言ではありません。

このデモはラナ・ウォシャウスキー監督をはじめ映画のスタッフがEpic Gamesその他パートナー企業と制作したもの。デモ内ではキアヌ・リーブスに加えて、キャリー=アン・モスも登場します。

記事執筆時点でPS5およびXbox Series X|S版がそれぞれのストアからダウンロード可能になっており、ほとんどの人にとってはこれがUE5を実際に動かしてみる最初の機会となるはずです。今年5月、EpicはPC向けにUE5の早期アクセス版をリリースしていますが、要求されるPCハードウェア要件的に、それを試せた人はほんのわずかしかいませんでした。もし、手もとにPS5もしくはXbox Series X|Sをお持ちなら、デモをダウンロードして試してみてはいかがでしょうか。

(Source:Unreal EngineEngadget日本版より転載)

Epic Games「フォートナイト」がチャプター3開始、スパイダーマンやドウェイン・ジョンソンなどが登場

Epic Games「フォートナイト」がチャプター3開始、スパイダーマンやドウェイン・ジョンソンなどが登場

Epic Games

Epic Gamesは、人気ゲーム『フォートナイト』のチャプター3とその最初のシーズンとなる「Flipped(フリップ)」を簡単に紹介する予告映像を公開しました。チャプター2の最後のイベントで発生したフリップ現象によって島が反転し、まったく新しいマップに切り替わったフォートナイトの世界は、ゲームプレイそのものにも変化を及ぼしている模様です。

たとえば「スライド」と「スイング」という2つのアクションが追加され、以前よりも素早い移動が可能になりました。スライドはスライディングと言う方がわかりやすいでしょう。下り斜面で使えば普通に走るよりも早く移動し、敵にに撃たれにくくもなります。スイングはスパイダーマンのようにロープを射出して、遠心力を利用して飛ぶように立体的に移動します。

ほかにもアイテムのテントを使ってキャンプを張れば、スクワッドの体力回復を助けると共に最大3つのアイテムを保管し、次回以降のマッチでそのアイテムを使用できます。

また、マッチで十分上位(ソロなら4位以上、デュオは2位以上、トリオとスクワッドは勝利が条件)に進出すればビクトリークラウンを獲得、次回マッチではそのクラウンを被ってプレイでき、さらにXPを獲得できます。またクラウンを被ったまま勝利すれば、限定エモートも貰えるとのこと。このエモートではシーズン中に王冠を被って勝利した回数を反映するものになっているとのことです。

前シーズンのv18.40パッチからはバトルロイヤル以外でもXPを獲得することが可能になっており、フォートナイトはトッププレイヤーたちを維持してバトルロイヤルの面白さを維持しつつ、必ずしも戦闘を目的としないプレイヤーたちによるメタバース的な利用も促進していきたいと考えているようです。

そのほか、チャプター3シーズン1のバトルパスでは、コラボによるスパイダーマンのほか6キャラクターがアンロック可能になるのほか、ドウェイン・ジョンソンの演じるファウンデーションもシーズンが進めばアンロックできます。さらにはEpic Gamesの別のゲーム「Gears of War」のキャラクター、マーカス・フェニックスとカイト・ディアスもトレーラー映像に登場しています。

いろんなキャラクターの登場は、フォートナイトに新たなプレイヤーを呼び込むのに役立つかも知れません。またスライドやスイングといったアクションの追加はフォートナイトのプレイスタイルの幅を拡げる要素になりそうです。

なお、さっそく新チャプターをプレイした人たちからは、スライドや追加された新武器などが『Apex Legends』に似ているとの感想も多く出ている模様。フォートナイトはTPS、Apex LegendsはFPSという違いはあるものの、アクションが似てくるとゲーム性も同じように感じるところはあるかもしれません。

(Source:Epic GamesEngadget日本版より転載)

PS4/PS5のリードシステムアーキテクトが明かす、PS5のSSD重視設計の理由は? Unreal Engine 5とも深い関わり

PS4/PS5のリードシステムアーキテクトが明かす、PS5のSSD重視設計の理由は? Unreal Engine 5とも深い関わり

WIERD

PS4/PS5のリードシステムアーキテクトとして知られるマーク・サーニー氏(メガドライブの『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』にも関わる)が、PS5の設計が高速SSDに重点を置くことになったのはEpic Games社のティム・スウィーニーCEOの要望によるところが大きいと明かしています。

サーニー氏はテックメディアWiredの動画にて、PS5がどのように設計されたかを語っています。そのほとんどはGPUやコントローラー、3Dオーディオなど発表済みの内容を繰り返しているだけですが、いくつかの興味深い新情報も含まれています。

その1つが、PS5の最大の特徴の一つであるSSDにつき、「フォートナイト(Fortnite)」などを送り出しているEpicのスウィーニーCEOがこの技術を最も強く要望したという事実です。

サーニー氏いわく「PlayStation 4の頃からずっと、SSDを搭載してほしいという要望が寄せられていました。特にEpic Games創設者のティム・スウィーニー氏は、ハードディスクが業界の妨げになっていると言っていました。彼はHDDといわず「錆びついた回転メディア」と読んでいたのです。(開発者からは)最低でも1GB/sの読み込み速度を持つNVME SSDが求められました。私たちはそれを見て、その5~10倍の速度を出すことにしたのです。高い目標を設定するのは、常に良いことです」とのことです。

さらにサーニー氏はEpicの次世代ゲームエンジンUnreal Engine 5の新技術「Nanite」にも言及しています。Naniteは映画用の高精細なアセットなど、従来のゲームエンジンでは扱えなかった規模のデータをインポートした上でリアルタイム処理可能にするものであり、(高速にデータを読み書きするため)SSDに依存しているとのことです。

つまりPS5そのものが、EpicとUE5の要求仕様に沿って設計されたようにも思われます。UE5のデモが初めてPS5ライブ動作の「Lumen in the Land of Nanite」として公開されたことは、単なるPRではなかった模様です。

ほかサーニー氏は、PS5のファイルサイズを小さくする技術「見えない圧縮」など、これまであまり詳細に説明されなかったテーマにも触れています。たとえば『バイオハザード ヴィレッジ』のファイルサイズはPS5版がXbox版の半分程度だと判明したことがありますが、これはロード時間の短縮にも結びつくことであり、かなり興味深いと言えます。

スウィーニー氏と言えばアップルとApp Storeの手数料を巡って訴訟を繰り広げ、最近ではXboxやPlayStation、Nintendo SwitchやPCゲームなどを全て扱える統一アプリストアを提唱していました。あまりに壮大すぎる構想にも思えますが、EpicのUEは今やマルチプラットフォームでのゲーム開発には必須のゲームエンジンだけに、それほどの影響力があるのかもしれません。

(Source:How PlayStation 5 Was Built (feat. Mark Cerny) | WIRED(YouTube)。Via WccftechEngadget日本版より転載)

プレイも開発も、Manticoreのゲーム制作プラットフォームCoreは「メタバースの入り口」

自称「終わりなきアーケード」のCoreは、90年代のサイバーパンク熱の夢が現実のものとなったようだ。プレイ可能なゲームライブラリでもあり、ノーコードのゲームクリエイターでもある。すべてがネオンライト。この新しいプラットフォームは、誰もが最近話題にしていそうなこのメタバースのビジョンを驚くほど巧みに具現化している。

「マルチバースへのポータル」と謳うCoreは、長年の命題をテストする準備が整っている。構築すれば実現に向かう。RobloxやFacebookのような巨大企業は大規模なプラットフォームを確立しているかもしれないが、Coreはクリエイターにとってもプレイヤーにとっても非常に魅力的な基盤を築いている。

ログインすると、プレイヤーはコアの中心的なハブに移動する。そこはテーマパーク、ハイテクモール、カジノがちょうどよく交差した場所で、エンターテインメントやショッピングは重力の影響を受けずにあらゆる方向に広がっている。巨大なネオンサインに誘導され、プレイヤーは多種多様なユーザー生成バーチャルワールドに飛び込んでいく。服やゲーム内のギアを交換したり、友人を誘って自分と一緒に参加させたりするのも、ほんの数回クリックするだけで実行できる。

Coreが「Fortnite」(フォートナイト)によく似ているとしても、それは偶然ではない。Manticore Games(マンティコア・ゲームズ)が作ったCoreは、FortniteのメーカーであるEpic(エピック)のUnreal Engine(アンリアル・エンジン)で動く。Epicは2019年に同社への1500万ドル(約17億円)の投資ラウンドを主導しており、同プラットフォームはPC向けのEpic Games Store(エピック・ゲームズ・ストア)を通じてのみ提供されている。Manticoreは2021年3月、大手投資家からさらに1億ドル(約114億円)を調達し、クリエイタープラットフォームを公開した。

画像クレジット:Manticore Games

Coreはまだ誰もが知っている名前ではないかもしれないが、メタバースを熱望する人なら克服しなければならない課題の1つをすでに解決している。Coreでプレイしていたとき、ある場所から別の場所への移動の体験があまりにもシームレスで、間違った場所に迷い込んでしまったことがよくあった。これはユーザーのミスだろうと思うが、Deadmau5(デッドマウス)のショーや、肥大化したディストピアの荒れ地、アイソメトリックな海賊ゲームなど、さまざまなポータルを経由して瞬時に移動することは、こうしたゲームに10年以上携わってきた中で、最もシームレスなオンラインマルチプレイヤー体験といえるものだった。

Coreはすばらしい。メタバースのビジョン構築で最も成功した企業の1つRoblox(ロブロックス)に対して際立つ攻撃力を示している。Fortniteと同様、Coreのグラフィックは非現実的ながら、あまりにも非現実的というものでもない。Robloxの13歳以下の層は年齢を重ねている。この層はRobloxが意欲的に構想を練っているファクターだ。そしてそれほど若くないプレイヤーたちは遠からず、より成熟した雰囲気のある新しいバーチャルハウスを探すようになるかもしれない。

野心的なedgelord(背伸びをした思春期の若者のような意味のスラング)なら、Coreの豊富なカスタム衣装やアバターのセレクションに自分が真剣になるような要素を見出すだろう。あるいは子猫になるかもしれない。

画像クレジット:Manticore Games

Deadmau5、メタバースの住人

Coreのコンテンツのほとんどは、UGC、つまりユーザー生成コンテンツである。これは時代を定義するオンライン現象を象徴している、やや新しい呼称だ(頭字語から総合格闘技を連想しても自分を責めないで欲しい)。しかしManticoreには、ミュージシャンやブランドと提携し、テーマを絞ったゲーム内体験を提供する余地も十分にある。

DJとEDMのフェスティバルの常連であるDeadmau 5は先に「メタバースの恒久的居住地」として描かれた広大でカラフルな一連の体験をローンチした。Coreはその大部分がユーザー作成のゲームで構成されているが、エンターテインメントや教育にも適している。一部のユーザーはゲーム開発の講座をホストし始めたと同社のチームは指摘する。

RobloxのLil Nas X(リル・ナズ・X)やFortniteのAriana Grande(アリアナ・グランデ)のような他のバーチャルワールドの最近のショーとは異なり、Deadmau 5をテーマにしたコンテンツはデビューした後もライブのままで、探索の可用性を広げている。Manticoreのチームはこれを、コメディグループPenn and Teller(ペン&テラー)のようなパフォーマーがラスベガスで進行中のショーのためにキャンプする様子になぞらえている。しかしラスベガスと違って、パフォーマーは同時に2つの場所に滞在できる。Deadmau 5は2021年10月半ば、Ethereum(イーサリアム)ベースのバーチャルプラットフォームDecentraland(ディセントラランド)で開催される音楽フェスティバルに参加することを発表した。

筆者は早めの内覧として、Deadmau 5ことJoel Zimmerman(ジョエル・ジマーマン)氏と一緒にこのショーを鑑賞した。同氏は自身のトレードマークである巨大な動物のヘルメット(ネコだろうか?)とサイボーグの天使の翼を身にまとい、一方筆者はメタバースの小さな黒いドレスともいえる地味な黒のパーカーを選んだ。

ジマーマン氏は、Deadmau 5マウスが飾られたゲーミングチェアに座って現実世界でくつろぎながら、Coreの中をあちこち飛び回り、筆者にこう語った。「私がこれに惹かれたのは、すべてがモジュール化されていて、クリエイターたちにより多くのツールを提供しているからだと考えています」。

画像クレジット:Manticore Games

バーチャルコンサートに期待されるように、このインタラクティブなパフォーマンスには、溶けるようなサイケデリック感のあるビジュアル、ミニゲーム、ターンテーブルの耳がついた威嚇的なChain Chump(ワンワン)風マウスなどがそろっている。ジマーマン氏、そしてCoreの共同創業者であるFrederic Descamps(フレデリック・デスキャンプス)氏とJordan Maynard(ジョーダン・メイナード)氏も、筆者と一緒にこのショーを少なくとも10回は回ったが、全員が本当に楽しんでいるようだった。

ある時、筆者は溶岩に落ちたか、巨大な金属の拳の一撃を受けてコンベヤーベルトにぶつかってしまったようで、近くにはDeadmau 5をテーマにした悪役がそびえ立っていた。「死ぬことを疑似体験できる唯一のインタラクティブコンサートになると思います」とメイナード氏。このショーは、視覚的にも楽しく、創造的にもインタラクティブで、最終的にはFortniteのコンサートのようなものになっていた。

Oberhasli(オーバーハスリ)と呼ばれるこの精巧なバーチャル体験は、薄気味悪いジャングルの廃墟から、浮遊する宇宙ゴミでいっぱいの不気味な世界まで、ゲーム開発の経験のないファンたちによるユニークな世界も見せてくれる。Core Deadmau 5のパフォーマンスは10月中旬に行われ、現在はオンデマンドで、EDMをバックにたくさんの要素が詰め込まれた世界に浸りたい人たちに向けて配信される。

画像クレジット:Manticore Games

クリエイターのためのCore

後にDiscord(ディスコード)で行われた電話会議の場では、Coreツアーはあらゆる人に寄り添う形で展開されており、破壊可能な壁の裏の秘密の門を走り抜けたり、ゲームのジャンルを超えて世界を飛び回るような体験が、コードやゲーム開発経験を必要としない、驚くほど洗練されたものに仕上がっていた。Wi-Fi接続が悪かったとしても、ゲームの世界から別の世界へと移動するのにほんの数秒しかかからない。World of Warcraft(ワールド・オブ・ウォークラフト)の暗いポータルのようなものを通り抜けて、最後にはアイソメトリックな海賊船で航海に出た。

このWoW(World of Warcraft)に向けた賛同は、おそらく偶然ではないのだろう。デスキャンプス氏は、真剣な長年のプレイヤーにしかできないような、キャプチャされたゲームプレイで構築されている物語風のムービー、WoWマシニマの全盛期への郷愁に満ちていた。デスキャンプス氏とメイナード氏は以前、10年以上にわたって忠実に支持されているファンタジーMMOのRift(リフト)にも関わっていた。(メイナード氏は7人目の従業員だった。)最近では誰もがそのメタバースを称賛しているが、驚くべきことに、この分野において、何年も前から人々を結びつけてきたシームレスなバーチャルゲームの世界にルーツを持つ企業はほとんどない。

画像クレジット:Manticore Games

Coreで何かを作ることがいかに簡単かを強調すべく、メイナード氏は、私たちがプレイできる1人称視点のシューティングゲームを手早く作成した。それはドラッグ・アンド・ドロップのプロセスで、Coreのシステムを使って作られたオリジナルのゲーム内アセットの膨大なライブラリに、おそらく2分ほど入り込むだけだった。いくつかの3Dオブジェクトが用意されており、テンプレート(バトルロワイヤル、レース、ダンジョンクローラーなど)からゲームモードを選ぶと、Coreのモジュール式サンドボックスに組み込まれている洗練されたプレイ可能なゲームにほぼたどり着く。冷たい雪景色や不毛な砂漠の中でのゲーム設定も、ドラッグ・アンド・ドロップと同じくらいシンプルな操作で、環境に広がりを与えてくれる。

ゲームプレイはさておき、Robloxで目にするUGCよりCoreゲームの方が何光年も先を行っているように見えるが、プラットフォームのユーザーはそのことを特に気に留めていないようだ。ビジュアルスタイルやゲームのジャンルの広さも、他のプラットフォーム上の同じようなUGCから抜け出してきた人たちにとっては驚きに値するだろう。

コンテンツを作成するコアユーザーには、Manticoreが「perks」と呼ぶ収益化のオプションがかなり充実している。これには、ゲーム内のコスメティックアイテムの提供だけでなく、プレミアムゲームへの課金、Fortniteのようなバトルパスの販売、サブスクリプションモデルの導入などが含まれている。収益の配分は50対50で、Robloxがクリエイターに渡す25%と比べると寛大だ。また、Coreでは他のモジュール式ゲーム制作プラットフォームと同様に、誰もがクリエイターであり、開発経験は必要ではない

現在のところCoreはPC限定だが、Manticoreは2022年からiOSを含む他のプラットフォームにも展開する予定だ。ゲーム制作はPCに限定されるだろうが、同社は誰もがどこでもCoreのゲームをプレイできるようにしたいと考えている。プラットフォームにとらわれないビジョンは、初期のFortniteや最近のRobloxを確実に後押ししたものだ。

「ゲーム開発はお菓子作りに似ています。非常に正確な手順と技術が必要で、何週間もかけて繰り返し行うものです」とデスキャンプス氏はいう。しかしCoreでは、技術的なことを抜きにして、通常は長引いてしまうプロセスを数分で終わらせることが可能。残りの時間を実験やプレイに充てることができる。

「マリオカートにポータルガンを取り入れたらどうだろう?」というメイナード氏の質問にも、間違いなくその場で答えが出ただろう。

画像クレジット:Manticore Games

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Dragonfly)

アップルにEpic Games訴訟のアプリ内課金をめぐる裁判所の決定に従うよう命令

カリフォルニア州でのEpic Games(エピックゲームズ)対Apple(アップル)訴訟の判決で、米連邦判事はAppleがApp Storeポリシーの更新期限を延期することはできない、と裁定した。この訴訟では、Epic Gamesが主張していたような独占的な行為をAppleが行っているわけではないと判事が宣言したことでAppleはほぼ勝訴したが、アプリ内課金の制限に関するAppleの反ステアリングポリシー(「転向」行為の禁止)の問題では、裁判所は「Fortnite」メーカーのEpic Gamesに味方した。裁判所の当初の判決では、開発者がApple独自の決済システム以外の決済手段を取ることをAppleが禁止することはもはや許されないとしていたが、Appleはこの決定を控訴審の判決が出るまで保留とすることを望んでいた。保留となった場合、App Storeの変更は事実上数年後に延期されることになる。

具体的には、Epic Gamesの反トラスト訴訟について米地方裁判所のYvonne Gonzalez Rogers(イボンヌ・ゴンザレス・ロジャーズ)判事が2021年9月10日に下した判決では、Appleが以下のことを開発者に禁止しないよう命じていた。

「……アプリとそのメタデータボタンに、外部リンク、またはアプリ内購入に加えて顧客を購入メカニズムに誘導するその他のコールトゥアクションを含めること」

裁判所はまた、アプリ内でのアカウント登録を通じて顧客から自発的に取得した連絡先を通じて顧客とコミュニケーションをとることを、Appleが開発者に禁止することはできないとしている。

Appleは、開発者がユーザーとコミュニケーションを取れるよう、10月にApp Storeの規則を正式に更新した。この変更も、同じ問題で集団訴訟を起こした米国の開発者グループとの和解の一部だった。しかし、Epic Gamesとの訴訟を控訴したAppleは、ゴンザレス・ロジャーズ判事が下した、App StoreをApple以外の決済システムに開放することになる差し止め命令の保留を求めた。

判事は、9月10日の判決から90日以内に差止命令を実施するよう命じたため、判決によると、求められるApp Storeのポリシー変更は12月初旬が期限となっていた。つまり、Appleが差止命令の保留を認められなかった場合、同社は開発者がiOSアプリ内で代替の決済手段を示すことを許可しなければならない。

11月9日に行われた差止命令に対する双方の主張の公聴会で、Appleの顧問弁護士は、Appleが実施を余儀なくされている変更は「プラットフォームを混乱させる」と主張した。

「消費者に害を与えます。開発者にも悪影響を及ぼします。それが事実なのです。これから起こることです」と、Epic Gamesの訴訟でAppleの主任弁護士を務めたGibson, Dunn & Crutcherのパートナー、Mark Perry(マーク・ペリー)氏は述べた。ペリー氏は、アプリ内のリンクを許可することは、iOSエコシステムにセキュリティやプライバシーのリスクをもたらす可能性があるというAppleの立場を繰り返した。

Epic Gamesの弁護士Gary Bornstein(ゲーリー・ボーンステイン)氏は、Appleは裁判中に、同社のファーストパーティ決済プラットフォームはウェブ決済と競合すると述べていた、と指摘した。方向転換して、この競合する代替手段について消費者の認識を高めることは「回復不能な損害」をもたらすとはいうことはできない。ボーンステイン氏はまた、これまでのところAppleがApp Store開放のために取った措置の多くは、集団訴訟や法規制の動向に対応するためのものであったため、Appleが自分たちだけで変更を整理するようにはすべきではないとも付け加えた。Appleは、App Storeのプライバシーラベルのような、消費者に配慮した他の変更を指摘し、同氏の主張に反論した。

最終的に判事は11月9日、Appleが保留を求める訴えをうまく主張できなかったと判断し、申し立てを却下した。

ゴンザレス・ロジャーズ判事は「要するに、Appleの申し立ては、当裁判所の所見を選択的に読んだものであり、差止命令を支持した所見のすべてを無視しています。超競争的な手数料率を含む初期の反トラスト行為は、非常に高い営業利益率をもたらし、知的財産の価値とは相関していません」と判決に書いた。「このような初期の反トラスト行為は、Appleが競争を阻害するために実施した反ステアリングポリシーの結果でもあります」。

コメントを求められたAppleは、再挑戦するつもりだと述べた。

「Appleは、この訴訟のすべての控訴が解決されるまで、追加のビジネス上の変更を要求すべきではないと考えています。このような状況に基づき、当社は第9巡回区控訴裁判所に保留を求めるつもりです」と同社広報担当は述べた。

Epic Gamesは直ちにコメントを出さなかった。

判決が支持された場合、App Storeの事業モデルに大きな影響を与える可能性がある。というのも、Appleの手数料を回避したいと考えている開発者は、ポリシーが更新された場合、ユーザーに他の支払い方法を紹介することができるからだ。この決定の影響は、どれだけのデベロッパーがこの機会を利用するか、またどれだけの消費者がApp Store以外での支払いを決断するかによって変わってくるが、Appleに数十億ドル(数千億円)損害を与える可能性がある。

すでに市場では、ポリシーが正式に改訂される前に、その潜在的な変化を利用しようとする動きが見られた。

例えば、サブスクリプション事業のソリューションプロバイダーであるPaddle(パドル)は、差し止め命令が発効すると同時に、iOS開発者向けにApple独自の決済システムを置き換えることができる新しいアプリ内課金システムを導入すると、見切り発車的に発表した(ただし、Appleのアプリ内課金システムを完全に置き換えることはできず、外部リンクのみとなる)。一方、Facebook(フェイスブック)は、App Storeを通さずにクリエイターに直接支払うシステムを導入した。このシステムは、Facebookが当面クリエイターの売上から手数料を取らないため、技術的には認められていた。しかし、他の支払い方法を認める決定が下されたことで、このシステムは将来的に変更され、Facebookの新たな収益源となる可能性がある。

裁判所がAppleの申し立てを認めなかった場合、Appleが裁判所の決定に従うためにどのようにルールを書き換えるのかは不明だ。韓国がアプリストアに他の支払い方法を認めることを義務付ける新しい法律を施行したとき、Google(グーグル)は手数料を調整しながらこれに従ったが、Appleは法律内容に現在のポリシーは準拠している、と述べた。

裁判所はAppleに対し、当初の判決では差止命令に従うために90日間の猶予があり、発効までにはまだ約30日あることを念押しした。

画像クレジット:Andrew Harrer/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Epic Gamesが「フォートナイト」の中国進出を断念

米国時間11月1日、Epic Games(エピックゲームズ)はビデオゲームのメガタイトル、Fortnite(フォートナイト)の中国市場参入を中止したことを発表した

同社は、中国における長らく続いていた人気シューティング・ゲームのテストを11月15日に終了することを公式声明で発表した。今日から新規ユーザーは登録できない。

中国のインターネット巨人、Tencent(テンセント)はEpic Gamesの株を保有している他、別の米国ゲーム会社で世界的ヒット作ゲームを作っている, Riot Games(ライオット・ゲームズ)も完全所有している。

中国のゲーム業界では、最近の規制当局による審査の変更や政府による若者のゲーム時間制限の検討が起きている。中国共産党による若年層のゲーム時間を減らす動きの影響はまだ明らかではないが、この決定によって中国におけるFortniteの公開が困難になった可能性がある。

Epciは中国に特化したバージョンのFortniteを開発した。世界中でよく知られているタイトルの変種だ。ゲーマーが作っているwikiに、ゲームプレイや収益化の変更、現地法に沿うためのキャラクター・グラフィクスの変更などの詳細が載っている。同じ項目に、一定時間プレイした後はゲーム内の体験ポイントを獲得できなくなると書かれている。

EpicによるFortnite China中止の決定は、同国のゲーミング市場変更への対応と見ることができる。ゲーム時間制限のさらなる強化と、少額決済の制限による収益の低下によって、単純に計算が立たなくなった。

先月のLinkedIn(リンクトイン)の撤退によって、中国デジタル世界からもう1つ人気プロダクトが消えたことは注目に値する。2つの動きは、非中国企業がこの国で製品を提供することが、たとえ現地に支援者がいても困難であることを浮き彫りにしている。

他の文化的コンテンツの実績も芳しくない。最近のMarvel(マーベル)映画 “Eternals”(エターナルズ)は同国で公開される様子がない。おそらく、監督である北京出身のChloé Zhao(クレオ・ジャオ)氏のコメントが国家批判にあたるという意見が一部にあるからだろう。

規制の強化に加えて国際的な映画やゲームを中国に持ち込む能力、あるいは意欲の減少によって、この国はますます国際文化から隔離されていくだろう。そして、おそらくそれと同時に、中国が自国の文化的創造物を通じて「ソフトパワー」(軍事・経済力以外の政治的価値観)を獲得する機会は制限されるだろう。

いずれにせよ、中国のFortniteファンにとって、中国当局を回避するトリックを使わずにゲームをプレイする手段は失われつつある。

Epic Gamesは、中国のプレイヤーに向けて発信した以下の声明以外、中止についてコメントしていない。

Fortnite Chinaプレイヤーのみなさまへ:

Fortnite Chinaのベータテストはまもなく終了し、サーバーは閉鎖されます。詳細は以下をご参照ください。

11月1日月曜日午前11時をもって、新しいユーザー登録の入口とゲーム・ダウンロード・ポータルを閉鎖します。

11月15日月曜日午前11時、Fortniteのサーバーを停止し、プレイヤーはWeGameクライアント経由でゲームに接続できなくなります。

Fortnite Chinaプレイヤーとしてベータに参加し、私たちとともにBattle Busを苦しめてきたみなさん全員に感謝いたします。

サーバー閉鎖に関する質問あるいは提案のある方は、こちらをクリックしてフィードバックを送ってください。

画像クレジット:Kyle Grillot/Bloomberg / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

グーグルがEpic Gamesの裁判で反訴状を提出、損害賠償を要求

Apple(アップル)対Epic Games(エピック・ゲームズ)の裁判控訴される中、Google(グーグル)は米国時間10月11日、同社に対するEpic Gamesの反トラスト訴訟への答弁と反訴を提出した。テック巨人のAndroidメーカーは、反トラスト行動に関するEpicの訴えを否定し、逆にEpic GamesがGoogle Play(グーグル・プレイ)デベロッパー販売 / 配布規約(DDA)に反して、Google Playを通じてアプリをダウンロードしたFortnite(フォートナイト)プレイヤーが自社の決済処理システムを使用することを許していることについて補償される権利があると訴えた。

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この状況は、App Store(アップ・ストア)で起きた状況と似ている。Epic Gamesはアプリを改訂してApp Storeのポリシーを回避し、Appleとの法的契約に違反して自社の決済システムをする支払いを促した。Appleの裁判における法廷の判決は、EpicがAppleに対して600万ドル(約6億8000万円)を支払うことを命じた。

Epic GamesはGoogle Playでもほぼ同じことをしたと反訴状は主張している。2020年、EpicはFortniteのビルドをGoogle Playに申請したが、そのアプリはGoogle Play Billingではなく自社の直接決済システムを使用していた。申請はGoogleのポリシーに違反しているとして直ちに却下された。Epicは2020年4月に適合するバージョンを申請したが、現在Googleはそれを「訴訟を引き起こすために企まれた不当な行為」と呼んでいる。

新バージョンはEpicの決済システムを隠蔽する改訂が施されたもので、AppleとGoogle両方のアプリ・ストアに送られた。このアプリでは、Epicがサーバー側の設定変更を適用することで、Googleに知られることなく自社の決済システムに切り替える「hotfix(ホットフィックス)」が可能になっている。

そのスイッチは2020年8月13日に切り替えられた。その結果FortniteユーザーはGoogle Play BillingとEpic独自の直接決済システムのどちらかを選べるようになった。これはゲームがアプリストアに拒否されるきっかけを作り、Epicが計画した訴訟を進める道を開くことを目的とした行動だった。Googleによると、同社はEpic Gamesに対しホットフィックスが適用されたその日に、それがDDA、Googleの「Malicious Behavior Policy(悪意ある行為ポリシー)」、およびGoogle Play Billingポリシーに違反していることを通知し、FortniteをGoogle Playから削除した。しかしGoogleはEpicのアカウントを無効化せず、ゲームメーカーが適正バージョンを再申請できるようにした。

しかし、Google PlayからこのゲームをダウンロードしたAndroidユーザーは、アプリが削除された後もEpicの独自決済システムを使うことができるため、Epicは契約で義務づけられたGoogleへの手数料支払を回避することが可能である、と反訴状は述べている。Googleは、この収入損失の補償を、その他の損害、弁護士費用、利息、およびその他法廷が必要と認めた賠償に加えて法廷に要求している。

「Epicは世界最大級のビデオゲームデベロッパー2社に支えられている数十億ドル(数千億円)規模企業であり、Google Playが提供する安全・確実なプラットフォームから膨大な利益を上げています。そのプラットフォームに支払う手数料は他の主要プラットフォームプロバイダーと同等あるいはそれ以下です」と反訴状に書かれている。「同社はこうした膨大な利益に満足せず、従う意図のない法的契約をGoogleと結ぶことでGoogleを欺き、今日まで続く法的および広報上の衝突を引き起こすという真の意図を隠蔽しています」。

Epic Gamesは新たな反訴に対してコメントを出していない。

しかし、Epicの主張は、専用アプリ内決済システムの排他的使用というAppleとGoogleの要求が、デベロッパーを不利にする独占的行為であるというものだ。Appleの事例では、デベロッパーが自社アプリ内でその他の決済システムへのリンクを提示したり、顧客と会話したりすることをAppleは阻止すべきではないという主張に法廷は同意した。Appleが独占行為を行っているとは宣言していない。

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しかしGoogleの状況はやや異なる。それはAndroidがアプリのサイドローディングをすでに認めており、これはAndroidユーザーにGoogle Play以外でも接触する方法が存在することを意味しているため、反トラストの主張はより困難だ。

Googleは、州の司法長官、デベロッパー、および消費者の訴訟に対する回答も提出した。

Epicに対する被告の答弁、防御、および反訴をTechCrunchが編集した文書をScribdで公開したものを以下に引用する。

画像クレジット:Epic Games

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルが「大勝利」と呼んだ対Epicの判決に不服申し立て、App Store変更の延期を要求

米連邦判事は9月、カリフォルニア州のEpic Games(エピックゲームズ)対Apple(アップル)の訴訟について裁判所の決定を出す際に、Appleは独占企業ではないと判断した。しかし、Appleが地歩を失ったのは、自社のApp Storeでどのようなルールを作れるかという点だった。この点については、判事はEpic Gamesを支持し、Appleはもはや開発者がApple独自の決済システム以外の決済手段へリンクするのを禁止することはできないとした。現在、Appleはこの判決を不服とし、裁判官が下した差し止め命令の延期を求めている。この動きにより、控訴審の判決後に最終決定が下されるまで、App Storeのルールに何らかの変更を加えることが遅れる可能性がある。

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Appleは、App Storeのポリシーを更新し、開発者がアプリ内に外部リンクやその他のコールトゥアクション(CTA)を含め、顧客をアプリ内課金(IAP)以外の購入方法に誘導することを禁止することをやめるよう命じられていた。また、開発者がアプリの登録を通じて顧客から自主的に入手した連絡先を通じて顧客と連絡を取ることも、Appleは止めることができないと差し止め命令は述べている。

これは、日本の規制当局が「リーダーアプリ」に対する方針を変更したのを受け、アプリ内にウェブサイトへのリンクを追加できるようにしたことなど、Appleが最近行った米国内外での和解と軌を一にするものだ。韓国でも、AppleとGoogle(グーグル)が開発者に自社のアプリ内課金システムの使用を強制することを防ぐ法案が可決された。また、米国で行われた開発者との集団訴訟の和解において、Appleは、開発者がEメールなどの通信手段を利用して、iOSの顧客に代替決済手段に関する情報を共有できることを明確にした。

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しかし、Epic Gamesの判決では、Appleは2021年9月10日の裁判所の判決から90日以内に新しいルールを導入することが求められた。市場の一部では、この変化に対応するための動きがすでに始まっていた。例えば、サブスクリプションビジネス向けのソリューションプロバイダーであるPaddleは、差し止め命令の発効と同時に、Apple独自のIAPに取って代わるものとして、iOS開発者を対象とした新しい代替アプリ内課金システムを提供開始すると、やや早まった形で発表した。

もしAppleが停止を勝ち取った場合、差し止め命令に従うべき12月初旬の期限は、控訴審が法廷で争われている間に破棄されることになる。つまり、App Storeの開発者にとっては今後何カ月も変化がない可能性があるということだ。

AppleはEpic Gamesとの戦いにおいて「アンチステアリング」ルールに関するこの1つの些細な点を除いて、ほぼすべてのポイントで勝利した。しかし、Epicの控訴により、Appleはいずれにしても法廷に戻ることを余儀なくされる予定だった。

Epic Gamesは、代替決済システムへのリンクを追加する権利を獲得したものの、Appleの成功は「違法ではない」とした裁判所の最初の判決には満足していなかった。Epic側も、Appleが独占的な行為を行っていると控訴裁判所に納得させることを目指し、9月中旬に控訴していた。

この2つのテック巨人の戦いは、法廷外でも続けられている。先週、Epic GamesのTim Sweeney(ティム・スウィーニー)CEOは、Twitter(ツイッター)への投稿を通じ、Appleが自社のプラットフォームを利用して、iPhoneの設定画面内で自社アプリをユーザーに売り込んでいると指摘した。これは、サードパーティの競合他社がアクセスできない、事実上の広告枠であると同氏は述べた。ただし、この点を後の裁判で提起するかどうかについては、明言を避けた。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

Epic GamesのCEOがアップルはiPhoneの「設定」で自社サービスを宣伝していると非難

Apple(アップル)を相手取った反トラスト訴訟(現在控訴中)で大きな注目を集めているEpic Games(エピック・ゲームズ)CEOのTim Sweeney(ティム・スウィーニー)氏は米国時間10月7日、iPhoneメーカーは他社が利用できない広告枠を自身に与えていると非難した。その場所はiPhoneの設定画面だ。一部のiOS 15ユーザーが、Appleが設定画面のトップ、Apple IDのすぐ下で自社サービスを広告していることを報告している。提示されるサービスは、端末オーナー向けにカスタマイズされていて、すでにサブスクライブしているサービスに基づいていると見られる。

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例えばApple Musicをサブスクライブしていないユーザーには、6カ月の無料トライアルをすすめる広告が表示される。一方現在のApple Musicサブスクライバーには、AppleCareなどのまだ利用していないサービスの追加が促される。

スウィーニー氏は、この種のファーストパーティー広告はAppleによる反競争的行為の可能性があることを指摘している。推奨されているサービスの中にはApp Store(アップストア)で提供されているサードパーティー・アプリと直接競合するものがあるためから。しかしそれらのサードパーティー製アプリは、もちろんiPhoneの設定画面に近づくことができない。できるのはApp Store上の広告スロットに入札することだけだ。

「Fortnite(フォートナイト)を締め出した連中の新しいやり口。自社の音楽サービスのための設定画面広告は実際の設定画面より早く現れ、他の広告主、Spotify(スポティファイ)やSound Cloud(サウンド・クラウド)は利用できません」とスウィーニー氏はいう。

スウィーニー氏は、Mobile Dev Memo(モバイル・デブ・メモ)のアナリストであるEric Seufert(エリック・スーファート)氏の別の投稿をリツイートしており、スーファート氏はGlassfy(グラスファイ)の共同ファウンダーFrancesco Zucchetta(フランセスコ・ズチェッタ)氏の作成した画像をシェアしている。

ズチェッタ氏はTechCrunchに、その広告は自身が所有するiOS 15が動くiPhone 8で見つけたと語った。しかしもっと新しいデバイスで広告を見た人もいる。中には、Appleの宣伝をプッシュ通知でも受け取ったと指摘するコメントもあった。

この問題が微妙なのは、こうした広告は、Appleが自身の利益のために他社を不利な立場においているとは必ずしも言えないことだ。

例えば私たちのiOS 15.1が動作しているiPhone 13 Pro Maxでは、その掲示がAppleCare+(アップルケア・プラス)の保証を追加できる期限までまだ一定の日数があることを知らせるために使用されていた(我々はすでにAppleの他のサブスクリプションをほとんど利用している)。この場合、SpotifyがApple Musicと直接競合するのと同じようなAppleCareと直接競合するサードパーティーアプリは存在しない。Asurion(アシュリオン)などの保証会社はAT&T(エー・ティー・アンド・ティー)やVerizon(ベライゾン)などの 携帯キャリアと提携して、iPhoneの保険プランを販売し、App Storeを通じた消費者への直接販売は行っていない。

保証追加の喚起は有益な情報であり、望まない侵入ではないと指摘する向きさえある。

スウィーニー氏のツイートは、設定アプリ内のファーストパーティー広告の認知度を高めたが、実際これは新しいことではない。

AppleはこれまでにもiPhoneの設定画面を使ってユーザーに自社サービスを売り込むことがよくあり、今回と概ね同じやり方だった。

たとえば2020年、AppleはApple ArcadeAppleCare、およびApple TV+のプロモーションを設定アプリ内で展開しているところを見つけられた。設定画面以外にも、Appleは別の変わった方法で自社サービスを宣伝しており、プッシュ通知を使ったものもあった。さらに同社は、何年も前から自社アプリの中で別のアプリのクロスプロモーションを行っている。例えばApple Musicのサブスクリプションのおすすめが、iTunesを使っている時に表示されるといったものだ。

しかし現在規制当局は、プラットフォームが自らのマーケティングパワーを利用あるいは濫用する様子を綿密に監視している。現在Google(グーグル)は、端末製造メーカーが自社のスマートフォンを販売する際に一連のGoogleアプリをプリインストールすることを必須としていることに対するEUの記録的な罰金命令を控訴している。一方Samsung(サムスン)は、Galaxy(ギャラクシー)端末上で自社アプリの広告を掲載することを中止すると発表した(これまで同社は、他の企業が自社製品を宣伝する広告を時々掲載していた)。

Epic Gamesのスウィーニー氏のツイートについて補足コメントを出しておらず、同社がこのちょっとした最新情報を次の控訴審で使用するかどうかも明らかにしていない。Appleにはコメントを要求しているがまだ応答はない。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Windows 11のアプリストアはサードパーティにも開放、Epic Games Storeも登場予定

Microsoft(マイクロソフト)がWindows 11のポータルにサードパーティのアプリストアを増やしたいと言ったのは、単に夢想に耽っていたわけではなかった。The Vergeによると、Microsoft Storeの新しいポリシーは、サードパーティのストアフロントアプリの展開が可能になるという。Amazon(アマゾン)のアプリストアだけでなく、Epic Games Storeも「今後数カ月」内にMicrosoft Storeに登場する見込みだ。約束通り、マイクロソフトはこれらのストアから得られる収益の分配を要求しない。

同社がライバルのブラウザに対する方針を緩めたこと(マイクロソフト以外のエンジンを搭載したブラウザを認めるようになった)も実を結ぶ。Microsoft Storeでは、OperaとYandex Browserが、Edgeの代替品として提供される。最初から衝動的にChromeやFirefoxをダウンロードしてしまう人には、これらの追加はあまり役に立たないだろうが、マイクロソフトが少なくとも、自分のところのストアで競争することには、寛容であることを示している。

SteamやGOGなどの有名なアプリやゲームストアについての言及はない。Epicが早いうちから選ばれていることは驚くに値しない。EpicはApple(アップル)のApp Storeポリシーに声を大にして反対しており、できるだけEpic Games Storeを提供したいと考えている。マイクロソフトがこれを利用しない手はない。Microsoft Storeを、アップルのApp Storeよりもオープンなストアであると宣伝できるからだ。もっとも、Mac(マック)ユーザーがEpic Games Storeや他のストアフロントにアクセスするのに、何か実際に問題があるわけではないのだけれど。

編集部注:本稿の初出はEngadget執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿ライター。

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アップルは控訴決着まで「フォートナイト」のApp Store復帰認めず、Epicが通告メール公開
Windows 11の提供開始は10月5日から、マイクロソフトが発表

画像クレジット:Microsoft

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(文:Jon Fingas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アップルは控訴決着まで「フォートナイト」のApp Store復帰認めず、Epicが通告メール公開

Apple(アップル)と「Fortnite(フォートナイト)」の大規模でドラマチックな訴訟は、どちらの当事者にとっても実際に望んでいた結論には至らなかったようだが、その解決策はフォートナイトファンにとって、同タイトルがApp StoreやAppleデバイスに戻ってくるかもしれないという希望を与えた。

しかし、そうは問屋が卸さない。法律用語が再びこのバトルロワイヤルに割り込んでくることになりそうだ。米国時間9月22日に投稿されたEpic Games(エピックゲームズ)のTim Sweeney(ティム・スウィーニー)CEOのツイートスレッドを見ると、同氏とAppleの法務チームとの間で交わされたコミュニケーションは、Epicが裁判所の判決を不服として訴え続けている間は、Appleがフォートナイトを復活させる気がないことを裏付けているようだ。スウィーニー氏は、このプロセスによって、フォートナイトがあと5年以上App Storeから姿を消してしまう可能性があると見積もっている。

Appleは嘘をつきました。Appleは過去1年、世界、裁判所、報道機関に「Epicが他の企業と同じルールでプレイすることに同意するなら、EpicのApp Storeへの復帰を歓迎する」と伝えました。Epicはこれに同意しましたが、Appleは10億人を超えるユーザーに対する独占的な力をまたもや乱用し、これを反故にしました。

スウィーニー氏は、自身がAppleのPhil Schiller(フィル・シラー)氏に送ったメールと、Appleの法務チームから受け取った手短な返信メールを共有した。「Appleは、Epicの開発者プログラムアカウントを現時点で復活させないという裁量権を行使しました」と説明されており「さらにAppleは、連邦地裁の判決が確定して上訴できなくなるまで、再登録を求めるさらなる要請について検討することはない」という内容だった。

以下がそのメールの全文だ。

ゲイリー様

2020年、正当な理由により解約されたEpicの開発者プログラムのアカウントを復活させて欲しいというAppleへの要請についてお答えします。Epicは、Appleからコードを隠し、関連する不実表示と不作為を行うことで、意図的な契約違反と信頼の失墜を犯しました。裁判所は判決の中で「Appleは、同社の行動に関し契約上の権利を持っていた。(Epicの) 内部文書によれば、Epic Gamesが期待していたように、これらの権利を行使したに過ぎない」と認めました(ECF No. 812 178-79頁)。さらに裁判所は「Appleによる、Epic GamesとAppleとの間の [開発者プログラムライセンシング契約] および関連する契約の解除は、有効かつ合法的であり、強制力がある」と判断しました(判決文179頁)。この判決を受けて、スウィーニー氏は、Epicが「フォートナイトをiOSに戻すために(代替決済システムを)引き換えにすることはない」と公言しました。裁判所の判決以降のこのような発言やその他の発言、そしてEpicの過去の二枚舌的な行動を考慮して、Appleは現時点ではEpicの開発者プログラムアカウントを復活させないという裁量権を行使しました。さらにAppleは、連邦地裁の判決が確定し上訴が不可能になるまで、今後の復帰要請を検討しないこととしました。

マーク・ A・ペリー

裁判所は2021年9月初めの判決で、Appleは「反トラスト法に違反していない」と判断し、Epic GamesはAppleに失われたApp Storeの手数料を返済しなければならないとした。だが最も興味深いことに、AppleはApp Store内での代替的な支払い方法をブロックし続けることはできないとした。この判決はAppleのApp Storeの経済状況を非常に複雑にするものだが、Appleはこの判決を全体的に圧倒的な勝利とみなし、控訴しなかった。一方のEpic Gamesは、この判決を不服とし「戦い続ける」ことを誓った。

判決の直後に行われた記者会見で、Appleは、Epic GamesがApp Storeの他の開発者と同じルールに従うことに同意すれば、フォートナイトの復活を歓迎すると述べていたが、この発言は、Epicが判決に対して公式に控訴する前のことだった。

スウィーニー氏は、同氏のスレッドのさらに下の方にあるツイートで、Appleがフォートナイトの開発者アカウントの復活を拒否したことについて「Appleによるもう1つの途方もない反競争的な動きであり、彼らの市場を再構築して勝者と敗者を選ぶ力を示している」と述べている。

TechCrunchはAppleにコメントを求めている。

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画像クレジット:Christian Petersen / Getty Images

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(文:Lucas Matney、翻訳:Aya Nakazato)

Epic Gamesがアップルとの独禁法違反訴訟で先週の判決を不服として控訴

「Fortnite(フォートナイト)」の開発元であるEpic Games(エピックゲームズ)は米国時間9月12日、Apple(アップル)との法廷闘争における先週の判決を不服として控訴した。判決の中で連邦判事は、Appleは開発者に対し代替決済のリンクを追加することを阻止することは許されないとしながらも、Appleを独占企業と判断するまでには至らなかった。後者が実現した場合、Epic Gamesは、iOSユーザーにサービスを提供するための代替手段として、サードパーティのアプリストアや、Google(グーグル)のAndroid OSと同様にサイドローディング機能をAppleのモバイルOSに組み込むことなどを主張できるかもしれない。

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米連邦地裁の判事は、Appleが「反トラスト法に違反していない」という立場に同意し、また、アプリやゲームのエコシステムにおける同社の成功を「違法ではない」と判断したため、Appleは直ちにこの裁判での勝利を宣言した。一方、Epic Gamesの創業者兼CEOであるTim Sweeney(ティム・スウィーニー)氏は、今回の判決は開発者にとっても消費者にとっても勝利ではないと述べた。同氏はTwitter(ツイッター)で「我々は戦い続ける」と述べ、同社が判決を不服として控訴する可能性を示唆していた。

Epic Gamesは、9月12日に公開された控訴の申立て(下記参照)の中で、米連邦地裁のYvonne Gonzalez Rogers(イボンヌ・ゴンサレス・ロジャーズ)判事の最終判決と「その判決に至るまでの、またはその判決を生み出すすべての命令」を控訴する意向を正式に表明した。

同判事の判決の一部として、Epic Gamesは、iOSのFortniteに代替決済システムを導入した際に得た1200万ドル(約13億2000万円)のうち30%をAppleに支払うよう命じられていた。これは当時、Appleとの法的契約に違反していた。

控訴審では、Epic GamesがAppleが独占企業として行動していると主張していた市場を、ゴンサレス・ロジャーズ判事がどのように定義したかが再検討される。両者の希望に反して同判事は、特に「デジタルモバイルゲームトランザクション」の市場と定義した。控訴された場合、裁判所がEpic Gamesに有利な方向に意見を変えるかどうかはわからないが、新たな判決によって、ユーザーを外部の決済方法に誘導したいと考えている開発者にAppleがどのように対応しなければならないのか、差止命令で使われている曖昧な表現が明確になる可能性がある。

これまでのところ、開発者コミュニティの間では、Appleは「リーダーアプリ」カテゴリーの例外を、すべての非リーダーアプリ(購入したコンテンツへのアクセスを提供するアプリ)に拡大するだけではないかと予想されている。Appleは最近、リーダーアプリがユーザーを自社ウェブサイトに誘導することを認め、日本の規制当局と和解した。こうしたウェブサイトでは、ユーザーはアカウントにサインアップしたり管理したりできるが、その中には、例えばNetflix(ネットフリックス)やSpotify(スポティファイ)の購読料を支払っている顧客も含まれる。Appleは、この変更はグローバルに行われると述べている。

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だがAppleは記者への説明の中で、Epic Gamesとの判決で出された差止命令の詳細については、まだ調整が必要であると述べている。判決が出て間もないこともあり、この変更が開発者にどのような影響を与えるかについては、まだ開発者と連絡を取っておらず、App Storeのガイドラインに新しい文言を追加することもしていないとのこと。

Epic Gamesは、現時点では控訴の決定についてこれ以上の発表はないとコメントしている。

 

画像クレジット:Andrew Harrer/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

アップルがApp Store外での決済方法への誘導ブロック禁止に、Epic Gamesとの裁判で

カリフォルニア州で行われているEpic Games対Appleの訴訟において、米国時間9月10日朝、判事がサードパーティによる支払いに関して「Fortnite」のメーカーに味方する判決を下した。事実上、判事はAppleが開発者に対して、AppleはApp Storeベースの収益化以外の代替決済のリンクを追加することを禁止することはできないという判決を下している。

Epic Gamesは、ゲーム購入が現金収入源であるiOSの料金をAppleが管理していることに長年悩まされてきた。

今回の判決では、以下のように述べられています。

Apple Inc.およびその役員、代理人、使用人、従業員ならびにこれらの者と積極的に協力または参加している者(以下「Apple」)は、開発者が(i)アプリ内での購入に加えて、購入メカニズムに顧客を誘導するボタン、外部リンク、その他の行動喚起をアプリとそのメタデータに含めること、および(ii)アプリ内でのアカウント登録を通じて顧客から自発的に取得した連絡先を通じて顧客と連絡を取ることを禁止するよう、永久的に拘束および差し止められるものとする。

この判決は、Appleと大規模開発者、特にApp Storeにおいてその収益の70%を占めるゲームカテゴリーの開発者との間で何年にもわたって繰り広げられてきた争いの結果だ。

2020年8月、Epic Gamesの「Fortnite」アプリが、Appleのアプリ内課金の枠組みを回避できる新しい決済方法を導入したことを理由にAppleから禁止された。その後、Epic GamesはAppleは決済システムの使用を企業に強制することで市場で力を乱用していると主張してAppleを提訴している。また、Epic GamesはGoogleも提訴し、他のアプリ開発者と共同でCoalification for App Fairnessを結成し、米国の州レベルでの法案作成のための個別の取り組みに関与するなど、アプリストア改革のための積極的な働きかけを行ってきている。

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その中には、日本の規制当局との和解により「リーダーアプリ」(購入したコンテンツへのアクセスを提供するアプリ)のポリシーを変更し、ユーザーがサインアップしたりアカウントを管理したりできる自社のウェブサイトを紹介できるようにしたことも含まれている。また、別の和解案には、アプリ内で収集した顧客の連絡先情報を使い、他の支払い方法を顧客に伝えることを許可するというものもある。韓国では、新しい法律によりAppleとGoogleは開発者が独自のサードパーティ製決済システムを使用することを認めざるを得なくなった。法律成立後、Epic Gamesは同市場のApp Storeに「Fortnite」を復活させることを求めたが、Appleはその要求を拒んでいる。

Appleは、App Storeのルールを環境の変化に適応させることを拒否し続けているのは、消費者保護のためだと歴史的に主張してきた。以前の声明では、アプリ内課金の代替手段を認めることは、ユーザーを詐欺のリスクにさらし、プライバシーを損なう可能性があるとしていた。

今回の判決により、Appleは開発者に対して、支払いができる他の場所へのボタンやリンクを含めるという選択肢を認めることで対応せざるを得なくなった。しかし「独占」とみなされなかったという意味では、Appleの勝利だ。Yvonne Gonzalez Rogers(イボンヌ・ゴンザレス・ロジャース)連邦地裁判事は、AppleとEpic Gamesの両社が関連市場をどのように定義しているかについて同意しておらず、モバイルゲームのデジタル取引において、Appleは独占していないと述べている。

「法廷は、Appleが55%以上というかなりの市場シェアと非常に高い利益率を享受していることを認めているが、これらの要素だけでは反トラスト行為であると示すことはできない。成功は違法ではない」とロジャース氏は述べている。

Appleの広報担当者は「本日、裁判所はApp Storeが独占禁止法に違反していないという、我々がずっと知っていたことを確認した」と述べている。「裁判所が認めたように『成功は違法ではない』のです。Appleは、事業を展開するすべての分野で厳しい競争に直面していますが、お客様や開発者がAppleを選ぶのは、Appleの製品とサービスが世界で最も優れているからだと信じています。私たちは引き続き、App Storeが安全で信頼できる市場であり、繁栄する開発者コミュニティと210万人以上の米国内の雇用を支え、ルールが誰にでも平等に適用されるよう尽力していきます」という。

この度の判決は、開発者コミュニティには長期的な影響を与える可能性がある。というのも、Appleは他の支払い方法を示すアプリに対応するために、規則を調整しなければならないためだ。例えば、アプリにApple独自のアプリ内決済オプションを選択肢として含めることを要求するようになるかもしれない。また「リーダーアプリ」を別のカテゴリーとして認定することは、今回の新しい要件を考慮すると、もはや意味がないと判断することもできる。これらに関する動きや決定は、今後数日のうちに展開されるだろう。

Epic Gamesが勝利できなかったのは、Appleを「独占企業」と呼んでしまったからだ。これは最終的には米国政府の規制につながる可能性のある、はるかに大きな問題だ。また、Appleはサードパーティのアプリストアやサイドロードを許可する必要はないが、App Storeビジネス全体の長期的な見通しに大きな影響を与える可能性がある。消費者にとっては、購入や価格設定のためにアプリを終了しなければならないためApp Storeがより複雑になる可能性がある。消費者が外部の決済システムを利用する場合、すべての購読契約を一括して管理することができなくなり、解約がより困難になる可能性もある。

訴訟の結果、ロジャース氏は、Epic Gamesが「Fortnite」に代替決済システムを導入した際に得た1200万ドル(約13億2000万円)のうち30%をAppleに支払わなければならないという判決を下したが、これは当時、Appleとの法的契約に違反していたためだ。

判決を受けて、Epic GamesのCEOであるTim Sweeney(ティム・スウィーニー)氏は「Fortnite」は「Appleのアプリ内課金との公正な競争」のもと、アプリ内課金を提供できる時と場所でApp Storeに復帰し、その節約分を消費者に還元するとツイートしている。

「また、非常に複雑な訴訟を迅速に対応してくれた裁判所にも感謝しています。私たちは、これからも戦い続けます」。

画像クレジット:Andrew Harrer/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Brian Heater、Sarah Perez、翻訳:Katsuyuki Yasui)