Keyweeが読者のロイヤルティを測定するスコア機能を公開

すべての読者を同じ条件で獲得するわけではない。そう聞くと気分を害するかもしれないが、これは事実だ。

画像:Jon S / Flickr under a CC BY 2.0 license.

少なくともユーザーの獲得という観点では、確かにそうだ。新しい読者にリーチするためにパブリッシャーが広告キャンペーンを実施しても、自分たちのサイトを再訪しそうもない大多数の無作為な訪問者を呼び込んだだけに終わってしまうかもしれない。

マーケティングのスタートアップであるKeywee(キーウィー)の最高コマーシャル責任者のJared Lansky(ジャレド・ランスキー)氏は「パブリッシャーにとっては、コンテンツの訪問者数よりも、ロイヤルティの方が価値がある」と言う。

Googleの元CEOのEric Schmidt(エリック・シュミット)氏が率いるInnovation Endeavorsとニューヨークタイムズが支援するKeyweeは、ロイヤルティスコアという新しい機能でこの問題を解決しようとしている。ランスキー氏は筆者に対し、スコアとはまさにその名前通りのもので、ある人が何回サイトに戻ってきたか、何ページ表示させたかに基づいて読者のロイヤルティを測定すると説明した。

結果としてこのスコアは、パブリッシャーがより良い決定をして成長につなげるのに役立つ。パブリッシャーは、Keyweeを介して実施したどのFacebookの広告キャンペーンがロイヤルティの高い読者を実際に呼び込み、どのキャンペーンは呼び込まなかったかを知ることができる。それに応じてキャンペーンを修正し、無作為の訪問者ではなくロイヤルティの高い読者をもっと引きつけられるように、オーディエンスの的を絞り記事を選んで取り上げる。

このスコアを、パブリッシャーがサイト訪問者とのやり取りに生かすこともできる。例えばサブスクリプションのビジネスを構築しようとしているパブリッシャーなら、ロイヤルティスコアの高い読者に対してのみ、サブスクリプションの割引や有料購読者専用コンテンツを提供することが考えられる。ランスキー氏は、スコアを計算するためのデータはKeyweeのピクセルとFacebookピクセルから取得し、そのほかのデータを収集する必要はないと補足した。

Kiplinger.comのデジタルオペレーション&広告ディレクターであるAndy Price(アンディ・プライス)氏は、発表の中で次のように述べている。「ロイヤルティスコアは、私たちのユーザー獲得キャンペーンにまったく新しい知見をもたらした。例を挙げれば、退職のプランニングに関するコンテンツのプロモーションは、日用品や食費を節約する投稿よりも多くの再訪者を集められることがわかっている」。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Eric SchmidtがAlphabetの会長の座を降りて‘テクニカルアドバイザー’になる

休日を控えて、すこし遅すぎたニュースかもしれないが、長年Googleの役員を務めたEric Schmidtが今日(米国時間12/21)、Alphabetの取締役会の常勤会長の役割を降りる、と発表した。

Alphabetは本誌TechCrunchに、この異動を確認し、Schmidtの声明を提示した。

その声明中で彼は曰く、“Larry, Sergey, Sundar, そして私の全員が、この異動がAlphabetの進化における正しいタイミングだと信じている。Alphabetという構造体は良好に作動しており、Googleおよびそのほかも栄えている。最近の数年間の私は、自分の時間の多くを科学とテクノロジーの諸問題、および博愛事業に費やしており、今後はその仕事を拡大するつもりだ”。

Schmidtは2001年にGoogleに加わり、ファウンダーのLarry PageとSergey Brinの強い要請によりCEOの座についた。それまでの彼は、Sun MicrosystemsとNovellに在籍した。Googleが2004年にIPOしたときは、この三人組があと20年間一緒に仕事をすることを誓った、といわれている。

しかしご存知のようにSchmidtは、2011年にバトンをPageに渡した。4年後、Googleの構造再編でAlphabetが生まれたとき、PageがそのCEOになり、GoogleはSundar PichaiがCEOになった。

今回の再度の異動についてAlphabetは詳細を明らかにしていないが、Pageは自分の声明の中で、何事(なにごと)にも積極的であったSchmidtについて述べている: “2001年以降、Ericはわれわれにビジネスとエンジニアリングの専門的能力と、テクノロジーの未来に関する明快なヴィジョンを提供した。17年間の奉職のさらなる継続として彼は、科学とテクノロジーの諸問題に関するテクニカルアドバイザーとして、われわれを助けてくれるだろう。弊社が成し遂げつつある進歩と、そのイノベーションを駆動する強力なリーダーがいることに、私はとても感激している”。

Alphabetは、来月の会議で新しい会長を任命する。今度は、非常勤タイプになるだろう。SchmidtはAlphabetの取締役会に残り、“テクニカルアドバイザー”〔技術顧問〕という、やや軽い役職になる模様だ。その具体的な仕事はまだ不明だが、いずれにしても2004年の誓いどおりに、彼は2024年までは在職するのだろう。

声明の全文はAlphabetの投資家サイトで読める。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

オバマの選挙戦で分析を担当したDan Wagnerのデータ活用コンサルCivis Analyticsが$22Mを調達…‘なぜデータの専門家がTrump勝利を当てられなかったのか’

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Barack Obamaの2012年の選挙戦で主席分析官を務めた人物が創業したCivis Analyticsが、このほどシリーズAで2200万ドルの資金を調達した。

ファウンダーでCEOのDan Wagnerが選挙後に語ったところによると、彼が選挙戦の期間中に直面したさまざまな問題は、今多くの組織(企業だけでなく政党や政府機関なども含む)が対応に腐心している問題でもある。

今Civisの顧客たちが悩んでいる問題も、まさにそれで、それは、データから得られた情報の現実的な活用(“operationalize data intelligence”)、という目の前の生きた課題だ。たとえば、企業が抱える問題の典型が、“データからどうやって真実と予測を確立するのか、そして、その真実をどうやって行動指針に結びつけるのか”、だ。そこでCivisが作ったのは、顧客の企業等がデータを理解し、そのデータを利用して予測を作り出し、次に取るべき推奨ステップを得るための、“ワンストップショップ”だ。

そしてWagnerによれば、“今世の中には十分な数のデータサイエンティストが存在しない”。そこでCivisは本来のコンサルティングビジネスをより充実させるとともに、今では、“100名のデータサイエンティストの知識を集めてそれをワンセットの技術へとラップする”、ということをやっている。そういう、知識と技術をパッケージ化したツールによって、少人数のデータサイエンティストのチームがこれまでよりも効率的に、より多くのクライアントに対し、仕事ができるようになっている。

Civis Analyticsの顧客は公共部門と民間部門の両方にいて、その中にはAirbnb, 2020年国勢調査(Young & Rubicamとパートナー)、Verizon(本誌TechCrunchのオーナー)などもいる。

Wagnerによると、同社はありとあらゆるデータサイエンスの問題を解こうとしているわけではない。むしろ同社が望むのは、顧客を支援して“人間を本当に理解することによって、これから行うべき正しい態度や行動を予測できるように”していくことだ。企業の場合は、顧客や潜在的な顧客を理解しなければならないし、政府機関なら住民や国民を、そして選挙戦なら投票者を理解しなければならない。

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Civis Analyticsは以前、シード資金をAlphabetの執行会長Eric Schmidtから調達したが、それまでの3年半はほとんど自己資金のみでやってきた。Wagnerが語る思い出話によれば、資金を提供する時Schmidtは彼に、“きみはこれで苦しむ必要がある”、と言った。〔投資家への責任という重荷を負うべき、の意。〕

ではなぜ、今また資金を調達するのか? Wagner曰く、今の同社の収益で社員を135名に増員することは可能だが、でも今は、もっと積極的に会社を大きくすべきタイミングだ、と。

今回の新たな投資ラウンドはDrive Capitalがリードし、Schmidt, Verizon Ventures, そして世界最大の広告持ち株企業WPPが参加した*。DriveのChris Olsenが、Civisの取締役会に加わる。〔*: 複数の有力広告代理企業を傘下に抱える。〕

同社は今年の大統領選には関与しなかったが、Wagnerの経歴を知る者としては、選挙について聞かないわけにはいかない。彼は、結果には“大いに落胆した”と認め、しかし、Donald Trumpの、選挙人団(Electoral College)制度*による意外な勝利で、選挙戦におけるデータサイエンスが無意味になるわけではない、と主張する。〔*: 選挙人団制度にはアメリカ国内でも批判がある。問題の性格が、日本の“一票の格差問題”とやや似ている。〕

“Trumpはテクノロジーで一風変わった予想外のことをした”、とWagnerは言う。“それによって選挙戦とデータ分析の関係が変わることはないが、選挙戦のあるべきやり方がたぶん変わるだろう”。

彼によれば、“壊れていたのは”、分析の方ではなく測定の方だ、それは“変わらなければならない”、という。

“電話による世論調査を政治的測定の手段にすることは、たぶん、もうだめだろう。それは今や死に体だし、誰もがそのことを知っている。国内では、商業的にも公共的にも、電話だけに限定されないマルチモード、そしてオンラインのパネル〔討論場, Twitterなど〕に移行が進んでいる。そういう新しい状況に適応する必要があり、しかも非常に迅速に適応しなければならない”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

シリコンバレーの偉大なメンター、ビル・キャンベルが逝去。愛情あふれる追悼文が寄せられる

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フットボールの古い諺がある。「重要なのは注ぎ込んだ時間ではなく、その時間に何を注ぎ込んだかだ」。

ビル・キャンベル ― 誰からも畏敬された元コロンビア大学アメリカンフットボール
部コーチは、1990年代にIntuitのCEOを4年間務め、今年1月まで会長だった。彼は数多くの起業家たちに魔法を注ぎ込んだに違いない。

その大勢が今日悲しみにくれている。ビル・キャンベルは今日(米国時間4/18)、75歳で逝去した。家族によると死因はがんだった。

今日、起業家・投資家のBen Horowitzは、多くのファウンダーがキャンベルとの関係を表現しようとしたことを受け止めたかのような文章を書いた。「人生で苦闘に直面したときには必ず、ビルに電話をかけた。かけたのは彼が何か不可能な質問の答えを持っているからではない。かけたのは彼が私の感じていることを100%理解してくれるからだった。彼は私を理解してくれた。ビルのようにそれができる人を他に誰も知らない。どんな時でも私を理解してくれる人物。100回は電話をかけたに違いない。彼なら私の気持ちを感じてくれるとわかっていたから」

気持ちは広く伝わった。ペンシルバニア州生まれのキャンベルは、長年にわたり地元の学区に 2000万ドル近くを寄付し、後にカリフォルニア州アサートンのSacred Heart Schoolで中学2年生を指導した。彼はシリコンバレーの優れた人々の「コーチ」として知られていた。

その中には、Alphabet会長のEric Schmidt(キャンベルをGoogleの取締役に何年も誘い続けたが失敗した)やAppleの共同ファウンダー、スティーブ・ジョブズのように人より幸運な人たちもいる。

2014年のFortune誌のインタビューによると、ジョブズとキャンベルはパロアルトの近所同志で、ジョブズはしばしばキャンベル家を訪ね、ドアをノックしたり、バックヤードのプールサイドに座ったりしていた。1997年のApple復帰後すぐ、ジョブズが「ある日やってきて、プールサイドのベンチにふたりで腰かけた」とキャンベルはFortuneに語った。「そして彼はこう言った、『Appleの取締役になってくれないか』と」。

キャンベルはこう付け加えた。「あんな切迫感は、コロンビア大学の理事を依頼された時以来だった。私はためらうことなく言った。『もちろん』」

Forutuneの2008年の記事でキャンベルはジョブズについて、「彼には非常に人間的なところがある」と言った。

Appleは今日本誌に送った声明の中で、キャンベルについてこう書いている。「Appleの多くの人々にとってコーチであり、メンターであり、何十年にもわたって幹部としてわれわれ家族の一員であり、アドバイザーであり、最終的には取締役だった。彼は他の人が信じない時にAppleを信じた、良い時にも悪い時にも。彼がわが社に与えた貢献は言い尽せない。彼の英知、友情、ユーモア、そして人生への愛を忘れることはできない」

Eric Schmidtはキャンベルへの賛辞の中でこう書いている。「ビル・キャンベル。われわれの非常に親しい友人が今日午前に亡くなった。巨大なハートの持ち主で、会う人全員を抱きしめ、メンターを越えた存在だった。われわれがGoogleを作るのを数え切れない方法で手伝い、成功をもたらした。われわれは彼を外部コーチとしてスタートしたが、すぐに彼は経営のエキスパートになった。スタッフミーティングに参加し、幹部と会い、会社のリーダーたちと長い時間を過ごした。取締役会設立を手伝い、会社のカルチャー構築にも手を貸してくれた。わが社のファウンダーたちとは非常に密接にあらゆる方法で共に仕事をした」

「Google、そして今のAlphabetの成功に対する彼の貢献は計りしれない。彼の遺産は全員の顔に彼がつくった笑願と、彼がコーチしたシリコンバレーの偉大なリーダーたちだ。ビルは真に才能ある人物であり、世界は今日、偉大なリーダーを失った。」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GoogleのシンクタンクがJigsawに改名して問題解決型テクノロジーのインキュベータに

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GoogleのシンクタンクGoogle IdeasがJigsawという名のインキュベータへ衣替えして、とくに地政学的な問題やデジタルの攻撃に対するソリューションに投資し、またそれらの開発も行っていく(サイトは自動再生オーディオがあるので注意を)。Googleの元CEOで今はGoogleの親会社Alphabetの常勤会長であるEric Schmidtが、Mediumのポストで、この変容を発表している:

“なぜJigsawか? ひとつには、この新しい名前は、世界が物理的及びデジタルの課題の集まりから成る複雑なパズルである、という認識を表している。そしてもうひとつには、協働的な問題解決が最良の解を生む、というわれわれの信念をも表している。

Jigsawはテクノロジーのインキュベータとして、情報へのアクセスを世界のもっとも弱い人びとに広めたり、また、世界のもっとも手強いセキュリティの脅威に対して防衛していくようなテクノロジーに投資し、それらの構築も行っていく。”

Googleによると、JigsawはAlphabetに属し、Googleの一部にはならない。Google Ideasを5年前の創業時から率いてきたJared CohenがJigsawの社長になり、Schmidtのアドバイザーとしての奉職を続ける。

Cohenは合衆国国務省の職員として、二代の国務長官Condoleezza RiceとHillary Clintonに仕えた。2009年のイランの大統領選をめぐる抗議活動のおりには、CohenはTwitterに対し、定期的メンテナンスによる一時的閉鎖をせず、イランの抗議活動家らが国際的なメディアの利用を続けられるよう説得した。

The New Yorker誌によると、彼のその行動は大統領Barack Obamaの不干渉規則に違反するため、職を賭けた行為となった。しかし当時の国務長官Hillary Clintonは、彼を支持した。その翌年にCohenは、Google Ideasに加わった。

シンクタンクだったときのGoogle Ideasも、検閲が厳しかったり政府が腐敗している国の人びとを助け、彼らが障碍を克服して自由なインターネットアクセスを享受できるよう努めた。同社のプロダクトには、ニュースサイトをDDoS攻撃から保護するProject Shieldや、uProxyへの寄与貢献がある。

Jigsawはこれらのプロジェクトを継続するとともに、そのほかの問題の解も見つけていく。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa