工事現場で対人距離監視と接触者追跡をするウェアラブルデバイス

以前に電気工事従事者の安全を守る専用ガジェットを開発したスタートアップが、新たな脅威、新型コロナウイルスから工事現場を守るニーズに応えようとしている。バンクーバーを拠点とするProxxiは、手首につけるウェアラブルデバイスの「Halo」を発売した。適正な対人距離として推奨されている6フィート(約1.8m)以内に別のバンドが近づくと振動で知らせるデバイスだ。

Proxxiは、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が続く中でも現場での作業は不可欠であり、しかも通知システムがなければ従業員同士が適正な距離を保つのが難しい業務でガイドラインを守るために、このデバイスを設計したと説明している。

このバンドは低電力Bluetoothを使ってほかのバンドと通信する。また、新型コロナウイルスの陽性患者が発生した場合に現場内での接触者追跡ができるように、どのバンドが接近したかも記録する。Proxxiによれば、プライバシーを保護するためにバンドは位置情報を追跡しない。また情報はバンド間で共有、またはProxxiに送信され、身につけている従業員の個人を特定する情報とは紐づけられない。

Estimoteの職場用接触者追跡ウェアラブルなど、同様の取り組みはほかにもある。Proxxiのアプローチは、アクティブな監視や周囲との適正な距離の通知を主眼としている点で他社と異なる。Estimoteのウェアラブルは、接触した可能性のある人に関するアラートを視覚的に提供するシステムに力を入れている。

ProxxiのHaloシステムは、簡単にすぐセットアップし、使い始めることができるという。また、スマートフォンとの接続や、スマートフォン経由でのセットアップも不要だ。

バンドの価格は100ドル(約1万7000円)で、5月4日に出荷を開始する。接触者追跡、および現場での対人距離に関するコンプライアンスと有効性の監視のために、モバイルアプリとウェブベースのダッシュボードが提供される。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Kaori Koyama)

Estimoteが新型コロナ接触者を追跡するウェアラブル端末を発表

Bluetoothを使ったビーコン端末のスタートアップであるEstimote(エスティモート)は、その専門技術を活かし、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を抑えるための一連の新製品を開発した。同社は、社会的距離の確保や隔離が要請されている間も物理的に狭い場所に集まって作業しなければならない人たちの職場の安全性を高めると共同創設者Steve Cheney(スティーブ・チェイニー)氏が確信する、新分野のウェアラブル端末を作り出したのだ。

ストレートに「Proof of Health」(健康の証)ウェアラブルと呼ばれるこのデバイスは、接触者の追跡を目的としている。言い換えれば、それぞれの職場の施設レベルで、人から人への新型コロナウイルスの感染経路をモニターするものだ。その狙いは、従業員の間で万一感染が発生した場合、状況を把握し、手遅れになる前に拡大を抑制する手立てを提供することにある。

このデバイスには、パッシブGPSによる位置追跡システムに加え、Bluetoothと超広帯域無線(UWB)接続を利用した近接センサー、充電式バッテリー、LTE通信機能が備わっている。さらに、装着者の健康状態や、健康の保証、症状、感染の確定といった記録状態の変更を手動で行える。装着者が、感染の可能性または感染確定に自身の状態を変更すると、接近した距離と位置情報の履歴を基に、接触した相手の情報が更新される。これらの情報は、接触の可能性のある人たちの詳細情報を保管し集中管理するための健康ダッシュボードにも記録される。現在は、ひとつの組織内での使用を想定してデザインされているが、この情報を企業全体あるいは一般社会での追跡に役立てることができないか、WHOを始めとする保健機関と協力する道を探っているとチェイニー氏は話している。

このデバイスは、さまざまな形態で展開できるよう作られている。現在すでにある丸い小石のようなタイプ(紐を取り付けることで首に装着して情報を確認できる)、調整可能なバンドで腕に巻くタイプ、施設の入出管理でよく使われている従来型のセキュリティーカードと一緒に携帯しやすいコンパクトなカード型タイプがある。小石型タイプはすでに生産に入っており、これから2000ユニットが展開される。近い将来、同社のポーランドにある製造資源を生かして、さらに1万ユニットを生産できるよう態勢を強化する予定だ。

Estimoteは、ほぼ10年間、企業向けにプログラム可能なセンサー技術を構築し、AppleAmazonといった巨大グローバル企業とも協力関係にある。チェイニー氏が私に話してくれたところによると、彼はその技術を、パンデミックによって生じたこの特異な問題に応用する必要性を即座に認識したというが、Estimoteはすでに18カ月前から、別の目的でその技術の開発に取り組んでいた。サービス業界の従業員向けに、安全対策や非常ボタンを提供するというものだ。

「このスタックは18カ月間、フル稼働しています」と彼はメッセージで話してくれた。「私たちは、すべてのウェアラブルのプログラムを遠隔で操作できます(LTE接続されてます)。工場に配備する場合、そのウェアラブルに遠隔でアプリを開発します。これがプログラマブルIoTです」

「ウイルスのおかげで、人と人が間近に接する場所での健康確認の診断技術が必要になるなんて、誰も思いませんでしたよ」と彼は言い足した。

接触者追跡をテクノロジーで実現しようという提案は数多くある。スマートフォンで収集された既存のデータを利用する方法や、カルテを転送する消費者向けアプリの応用などだ。しかし、それらの取り組みには、プライバシーの問題が大きく関係してくる。しかも、スマートフォンを使うことが前提だ。人の行き来が激しい環境では、正確な位置追跡をスマートフォンで行うのはほぼ不可能だとチェイニー氏は指摘する。専用のウェアラブルを作ることで、Estimoteは従業員同士の「侵害」的な行為を避けることができるとチェイニー氏は言う。その目的に合わせて作られたデバイスを使用し、従業員の間だけでデータを共有するからだ。さらに、取り外しができる形態で、部分的に自分でコントロールができる。また屋内では、モバイル機器は専用ハードウェアのように精度の高い追跡が行えないとも彼は話している。

しかも、このようにごく限られた領域での接触者追跡は、感染拡大を、他の方法よりも早く徹底的に抑制するための早期警報を雇用主に伝えるだけのものではない。実際、センサーデータから得られた大きなスケールでの接触者追跡情報により、新型コロナウイルス対策に、新しい優れた戦略がもたらされている。

「一般的に、接触者追跡は、個人の記憶や、高レベルの想定(例えば、その人の勤務シフトなど)に依存しています」と、ジョン・ホプキンズ大学応用物理研究室のBrianna Vechhio-Pagán(ブリアンナ・ベッキオペイガン)氏は言う。「新しいテクノロジーによって近距離、つまりおよそ2m以内での接触を追跡できるようになり、他の方法でもたらされる誤差が減りました。BlurtoothやUWB信号からの感染状態や症状を含む濃厚接触者追跡データにより、患者や医療従事者の安全を守る新しい優れた方法が発見されるでしょう」。

人との距離を保つ方針がいつまで続くかは今のところは不明だ。何カ月も続くという予測もある。感度に差があったとしても、Estimoteのようなソリューションは、リスクを回避して従業員の健康と安全を守るための最大の努力を払いつつ重要なサービスや業務を遂行する上で、欠かせないものとなる。さらに大規模な対策も必要だろう。一般市民を対象とした接触者追跡計画などだ。Estimoteの取り組みは、そうした計画の設計や開発の参考になるはずだ。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:金井哲夫)

そこらのテレビがビーコン端末になってしまうEstimoteのMirror、商店などではとても便利

靴屋さんへ行って、一足の靴を手にとった。するとその靴のスペックが、そばのテレビに表示される。あるいは、空港で出発便の表示を見ている。あなたのフライトが現れると、ゲートまでの案内地図が横のテレビ画面に表示される。こんな例はおそらく、ビーコンというもののキラーアプリ(決定版のアプリケーション)だと思うが、ついに、その夢が実現した。

その快挙を実現したのはEstimote社のMirrorだ。そのシステムは要するに、SnapdragonのプロセッサーにHDMIとUSBのジャックをつけたものだ。それをスマートテレビに挿入すると、ビーコンをサポートしているスマートフォンの持ち主が近づくと通知を表示する。ビーコンをMirrorに近づけてもよい。たとえば商品の中にビーコンを隠しておくと、客が持ち上げてMirrorに近くなったとき、その商品のビデオが表示されたり、お客が対話的に機能を調べたりできる。

EstimoteはすでにMirrorをデベロッパーに提供しており、商用ユーザーへの展開は来年開始する。上のビデオでは、Estimoteの協同ファウンダーSteve Cheneyがこの製品について語り、使い方を説明している。なかなかクールな製品だし、その利用はすごく広まりそうだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

EstimoteがiBeaconを利用して屋内ロケーション機能をアプリに簡単に組み込めるキットをローンチ

EstimoteはAppleのiBeaconテクノロジーに基づいたロケーション・ハードウェアとソフトウェア・プラットフォームを開発しているスタートアップだが、このほど屋内ロケーション機能をiOSとAndroidアプリに簡単に組み込めるデベロッパー向けキットを発表した。このIndoor Locationシステムは同社の既存のビーコン・ハードウェアと新しいモバイルアプリを利用している。デモ・ビデオにあるようにセットアップはごくシンプルで、位置情報の基準点を設けるために4個のビーコン・デバイスを壁に貼り付けるだけでよい。

Indoor Locationを利用するデベロッパーは、 部屋の入り口の直近に1個、つづいて最低3個のビーコンを壁に取り付け、それぞれのビーコンにiOSデバイスをかざして位置を読み取る。取り付ける順序はEstimoteのアプリが指示する。ビーコン位置の読み取りとカリブレーションは数分で終了する。Estimoteアプリは高度な数学的処理によって部屋のデジタルマップを作成し、コード・スニペットを出力する。デベロッパーはこのスニペットをさまざまなアプリにコピー・ペーストするだけでロケーション機能を持たせることができる。たとえば美術展の解説アプリを開発している場合、Estimote Indoor Location開発キットを利用すれば、入場者1人1人の正確な位置を把握して展示品に対応する解説を提供したり、順路を案内したりするアプリが作成できる。

Estimoteはこれまで近接認識ゲートウェイ機能を提供してきた。これは壁などに設置されたビーコンがユーザーの接近を認識してなんらかのアクションをスタートさせるというものだった。ただしこのゲートウェイ機能ではユーザーとのおおまかな距離はわかるものの、位置についての情報は得られなかった。今回のIndoor Location機能はまさにこの情報を提供する。

一般ユーザーに対して位置に応じた屋内ガイダンス・サービスを提供する他に、Estimoteのロケーション機能は、たとえばスーパーマーケットで店内の顧客の行動を正確に追跡する能力も与える。ガイダンス・サービスと組みわせて顧客の動線の追跡を行えばビジネス側は非常に有益な情報を得られるだろう。またその情報の分析をベースにして顧客に対してより適切なサービスを提供することもできるはずだ。

ローンチ・パートナーにはCiscoその他のビッグネームの名前も見える。Estimoteはビーコン・ハードウェアとソフトウェア・プラットフォームのデファクト標準の地位を狙っているが、今回の屋内ロケーション機能の追加はそれに向けてさらに一歩を勧めたことになる。

〔日本版:iBeaconはiPhone 4S以降、iPad第3世代以降、iPad mini、Android 4.3以降でサポートされている。EstimoteのアプリはiOS版とAndroid版が用意されている。〕

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Thirdshelfが紹介する未来のiBeaconストア

今年のDx3 デジタルビジネスEXPOで、モントリオール拠点のThirdshelfが、iBeaconの近距離ベース・ショッピングカスタマイズを利用した小売店の、フル機能デモを披露した。デモ店舗には、同技術の可能性について聞かされていたことの多くが、Thirdshelfのホワイトレーベル店内システムと、EstimoteのBluetooth LEを利用したハードウェア・ビーコンを使って実現されていた。

ThirdshelfのSaaSソリーションは、高級ブティックストアのLXR & Co.、POSソフトウェアのLightspeed、およびEコマースのShopifyとの協業によって作られている。店にはEstimoteのハードウェアが疑似店内レイアウト全体に散在し、近づいてきたユーザーの端末と通信し、iPadベースの顧客対面ディスプレイの表示をカスタマイズすると共に、カスタマーサービス画面にも店内にいる顧客の情報をリアルタイムで送り込む。

「顧客が近づくと、パーソナライズドモードのブラウズが可能になり、ウィッシュリストやおすすめ商品がついて回る」、とThirdshelfのCEO Antoine Azarは説明する。「店員にも今起きていることが伝えられ、例えば店内にいる客の人数を忠誠度別に知ることができる。さらに、個々の買い物客を掘り下げて、ウィッシュリストやおすすめやプロフィールの確認も可能だ。

店頭のPOSソフトウェアとも連動しているので、トランザクション情報や購入履歴を顧客にひも付けして、おすすめ商品の選択や通知に利用できる。顧客アプリのデザインや機能は、小売店ごとにカスタマイズして、特定の店舗またはチェーン向けのブランディングが可能だ。Thirdshelfは、現在中小規模の店舗をターゲットにしているが、いずれは大型小売業者にもこの種のシステムを提供する大きなチャンスがあると考えている。

Azarによると、Thirdshelfは客の習慣や店内レイアウトに関する意味のあるデータを中小店向きに収集したり、協力して顧客に店舗を横断した忠誠インセンティブを与えることも提案している。

現在プロジェクトはベータ版で料金は未定だが、いずれは事業規模に応じた月額料金が課されることになるだろう。Thirdshelfは経験ある起業家らが自己資金で立ち上げたスタートアップで、今後数ヵ月間でこのベータプロジェクトを拡大していく考えだ。








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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


TechCrunch Disrupt SF 2013ベストハードウェア賞は店内コミュニケーションガジェットEstimote Beaconへ

製造とロジスティックスの大手PCH InternationalとハードウェアインキュベータのHighway1は、小売店が顧客と対話するためのツールを作っているEstimote社が、今年のTechCrunch Disrupt San Franciscoでベストハードウェア賞に選ばれたと発表した。

Highway1のVP Brady Forrestは、“AppleのiBeacon技術にいち早く飛びついて位置サービスを開発する企業が現れたことは、とても嬉しい”、と述べている。“Estimoteは最近の新種のスタートアップに属し、ハードウェアを利用してユニークなデータセットを作り、Webサービスの課金を行う。彼らは賞品の深圳旅行を契機に、自分たちのサプライチェーンを大きくした方がよいだろう”。

Estimoteが売っている小さなデバイスはBeaconと呼ばれる。小売店にこれがあると顧客のスマートフォンと対話でき、タッチレスの支払いや、携帯へのディスカウント情報のプッシュなどができる。

ファウンダのJakub Krzychによると、このデバイスはフィジカルな世界のためのOSを作ったのだ、という。“われわれが作った小さなビーコンが個々のお店固有のデータをスマートフォンへブロードキャストする。距離は最短2インチ、最長160フィートだ。顧客の入店時間や商品との距離などによっていろんなアクションをトリガでき、商品に触ることや服の試着などもおすすめできる。店内の各所にBeaconを置けば、さらに多様な情報を提供できる。店内のもっともきめ細かい超近距離位置アプリを作るためには、しかし、Beaconを全店で数十個も使えば十分だ”、と彼は言う。

同社はこれから5日間の深圳旅行で、メーカーやアクセラレータや流通業者などに会う予定だ。

関連記事(未訳)。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))