四足ロボットANYmalがチューリッヒの地下の下水路を冒険旅行する

CheetahbotやSpotのような複数脚のロボットの多様な用途については、すでに多くが語られてきたが、でも実際にそれらが実現するためには、分野ごとに多くの困難がある。そして、下水道の点検という重要な仕事の訓練のために、このスイス製の四足ロボットは地下深くへと下(お)りていった。今後の実際の仕事には、人命救助もありうるだろう。

ETH Zurich / Daniel Winkler

このロボットはANYmalと呼ばれ、スイス国立工科大学、略称ETH Zurichと、そこからのスピンオフANYboticsの長期的なコラボレーションだ。その最新の冒険は、大学のあるチューリッヒ市の地下にある下水道の旅で、最終的には、検査や修理の自動化を目指している。

多くのロボットプラットホームと同様、ANYmalも長年の開発史を抱えている。でもカメラや、ライダーのようなセンサー類が小型化高性能化したのはごく最近のことなので、暗闇の中での作業も可能になり、第一候補として下水管という汚い場所でテストされることになった。

多くの都市が延々と長い々々地下構造を抱えており、しかもそれらの点検は専門家にしかできない。危険でかったるい仕事だから、自動化の最右翼候補だ。人間がやると1年に1度しかできない点検を、ロボットなら楽々、一週間に一度できる、としたらどうだろう。おかしい箇所を見つけたときだけ、人間を呼べばよい。災害で人が行けなくなった場所や、小さすぎて人が入れない場所でも、活躍してくれるだろう。

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しかしもちろん、ロボット軍団が(前に何かで見たように)下水路に住めるためには、その環境を経験し学習しなければならない。最初は最小限の自動化にとどめ、徐々にやれることを増やしていくのだ。

ANYboticsの協同ファウンダーPeter Fankhauserが、ETHZのストーリーでこう言っている: “研究室でうまくいっても、現実世界でうまくいくとは限らない”。

ロボットのセンサーやスキルを現実世界の状況でテストすると、エンジニアたちが取り組むべき新しい知見と大量のデータが得られる。たとえば、完全に暗い環境でもレーザーを利用する画像タスクなら行えるが、大量の水蒸気や煙が充満していたらどうか? ANYmalは、そんな環境でも正しい感知能力を発揮できなければならない。それが、最初からの設計目標だった。

ETH Zurich / Daniel Winkler

彼らはまず、脚にセンサーを付ける方式を試した。良い結果とまずい結果の両方が得られた。次に試したのが、ANYmalが手のひらを壁に触れてボタンを見つけたり、温湿度や壁の質感を得る方法だ。この方法は、操縦者の即興や機転が必要で、完全自動化にはほど遠かった。まず、ロボットにやらせることを、リストアップしよう!。

下のビデオで、チューリッヒの地下を旅する下水道検査官ANYmalをウォッチできる。

画像クレジット: ETH Zurich

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

お天気の視覚化は目的別分野別に多様であるべき、と主張するスイスの大学のプロジェクト

空の雲を見て、“犬”や“綿毛”を連想する人もいる。あるいは、“あれは衰退中の積雲で、羽毛のようなエッジは北からの高気圧が上昇気流によって終わりつつあることを示唆しているが、そのためにたぶん乱気流が生じるだろう。それに、ちょっと犬にも似ているな”、と思う人もいる。天候データの複雑で美しい視覚化は、後者の人びとが作っているのだ。

ETH Zürich(スイス連邦工科大学チューリッヒ校, ETHZ)のMarkus Grossが率いるプロジェクトは、天候データの視覚化はその利用目的や利用分野によって多様であるべき、と考えている。そこで彼のチームは、大量の天候データと格闘しながら、テレビ局や各種の研究所など、いろんなところにいるいろんな気象学者たちのための、それらのデータの正しい表現方法を模索してきた。

“われわれの視覚化の科学的価値は、既存のツールでは見ることができなかったものを見えるようにできるところにある”、とチームの一人、学部学生のNoël RimensbergerがETHZのニューズリリースで述べている。天候を、“比較的シンプルなわかりやすい方法で表現できる”、とも言っている。

問題のデータはすべて、2013年4月26日の夜のものだ。そのときは、ある大規模な気象学のプロジェクトにより、複数の研究機関が協力して大量のデータを集めたのだ。チームはそのデータを視覚化するためのさまざまな方法を作り出した。

たとえば、ひとつの郡全体を見るときには、雲に生じる小さな波動に注目することに意味があるだろうか? 必要なのはもっと大きな傾向であり、寒冷前線の生成や雨になりそうな領域など、重要なデータポイントを見つける方法だ。

  1. flights

  2. vorticity

  3. updrafts

  4. drafts

  5. clouds

しかし、局所的な雲の生成について知りたいときは、そんなマクロなデータは役に立たない。たとえばそこだけは、台風の風雨が異様に激しいかもしれない。

あるいは、あなたが小型飛行機のパイロットだったらどうか。ちょっとした雨や雲は気にならないかもしれないが、どこかに乱気流が起きそうなパターンがあって、それが今後どっち方向へどれぐらいの速さで動いていくのか知りたいときはどうする? または、先日墜落事故起きた、その場所の今の気象状況を知りたいときは?。

視覚化のこれら複数の例は、大量のデータ集合を解釈し表示する方法が、いろんな目的によってさまざまであることを、示している。

このプロジェクトにおけるRimensbergerの指導教官Tobias Güntherによると、膨大なデータを解釈してシミュレーションを作りだすために今使っているアルゴリズムが、とても遅すぎる。今は、その改良に取り組んでいるところだ。でも、時間条件がゆるい利用目的なら、現状でも十分使える、と。

彼らがETH Zürichの視覚化コンテストのために作成したペーパーの全文が、同大学のWebサイトにある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa