電動ロボタクシーでモビリティの革命を目指すMate Rimac氏がTechCrunch Sessionで語る

クロアチアでで電動ハイパーカーとその構成部位を開発しているRimac Automobiliの創業者でCEOのMate Rimac氏が、3年近く前に電動ロボタクシーの企業を立ち上げた。

まだステルスで操業しているその企業について情報は乏しい。今週はRimac氏がTechCrunchのTC Sessions: Mobility 2021で、お見せできるものが揃うまではその別企業を隠しておきたい、と述べた。

Rimac氏は、その電動ロボタクシー企業について、やや詳細を語った。それによると、会社のオフィスはクロアチアとイギリスにあって、さらにそれ以外の国に置くこともありうる。同社はグローバル企業を目指していて、今作っている製品は来年早くにお目見えできる。

Rimac氏はインタビューでこう述べた: 「なぜステルスを維持するかというと、この業界には熱気が満ちているからだ。PowerPointのプレゼンしかない企業がたくさんあって、でっかいものを発表するけど、何も出てこないこともある。そんな企業にはなりたくないから、まず実際に大量の仕事をしたい。そして、約束は少なく、お届けは多めに、で行きたい」。

その企業の存在さえ知らない人がほとんどだったが、地元紙がクロアチア運輸省への提出文書をすっぱ抜いてから情勢がやや変わった。その文書は、電動自律車を利用する都市部のモビリティエコシステムのプロジェクトを提案していた。その文書が見つかったのは不運だったとRimac氏は言いつつ、自分の仕事はもっと正しく公表したい、と言った。

「人びとはうちをハイパーカーの企業だと思っている」、とRimac氏は言うが、それは同社が大資産家の個人を対象にしていると見られている、という意味だ。実際にRimac Automobiliが披露した同社のConcept 2の製品バージョンは、Neveraと命名され244万ドルの値札が付いている。Rimac氏はこう語る: 「今は長期的な視野に立ってとても多くのことに取り組んでいる。私の考えでは、モビリティが新しくなれば社会が変わるだろう。たとえばスマートフォンは、電話業界だけを変えたわけではない。AppleはNokiaをディスラプトしただけでなく、私たちの生活を変えた。私たちがつかむ次の大きな変化は、きっとモビリティだろう」。

Rimac氏は、センサーや車の設計など、自動運転システムの細部については寡黙だ。

「全体像を見ずに個々の構成要素を重視している人がとても多い。たとえば、自動運転のシステムだけ、とか。でも差別化要因になるのは、そういう個々の構成部位ではないと私は思う。自律的モビリティのエコシステムの中にこそ、もっと別の差別化要因がある、と私は信じている」。

その後Rimac氏は、ロボタクシーのユーザー体験が彼が注力しているひとつの分野であり、他社が開発しているものとは異なるものになる、と付け加えた。

関連記事: 3Dビジョン対応の自律型倉庫用ロボットを開発するクロアチアのGideon Brothers

(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Rimac Automobili

[原文へ]

AWSとスイスのABBが企業の電動保有車輌管理プラットホームで共同開発へ

スイスのオートメーションとテクノロジーの企業ABBが、Amazon Web Services(AWS)と協力して、企業が保有するEVをクラウドから管理し、それにより今後の全車輌のEV化を早めるためのプラットホームを作ることを発表した。同社によると、そのプラットホームを利用すれば企業は事業を中断することなくEVに切り替えていくことができ、その実際の展開は2021年の後半になるという。

この発表は、近年大手配送企業の多くが全車両のEV化を宣言していることに対応している。AmazonはすでにRivianの電動デリバリーバンをカリフォルニアの路上で運用しており、年内にさらに1万台増やす計画だ。UPSは1万台の電動バンをArrivalに注文し、DHLは保有車輌の20%がすでに電動、そしてFedExは2040年までに全車両を電動化する計画である。McKinseyの2020年の報告書によると、米国の電動車は一般乗用車と商用車を合わせて2030年には800万台になるという。それは2018年にはわずか5千台だった。800万台は全車輌の10ないし15%に相当する。

ABBの電動車部門担当社長Frank Muehlon氏によると、「私たちはEVの採用をもっと容易にし、大量の保有車輌にも対応できるようにしたい。そのためには業界の優れた頭脳を集めて、起業家のようなアプローチで製品開発に取り組むことが必要だ」、という。

この合弁プロジェクトにABBが提供するものは、電動車技術とエネルギー管理、および充電技術における経験だ。それらとAWSのクラウドおよびソフトウェアの技術を組み合わせると、一つの全体的なプラットホームを企業のニーズに合わせて好きなように仕立てることができる。たとえば企業は、充電の計画やEVの保守状態、時間帯や天候や利用のパターンに合わせてのルートの最適化など、必要な部分に焦点を絞ることができる。Muehlon氏によると、今後は顧客と協力して、保有車輌から集めた既存のデータを有効利用し、実装を早めていきたい。

関連記事: 10 investors predict MaaS, on-demand delivery and EVs will dominate mobility’s post-pandemic future(未訳、有料記事)

そのプラットホームはAWSのクラウド上にホスティングされるので、AWSを利用できるところならどこでも柔軟なスケーリングが可能であり、その利用可能域はグローバルで25のリージョンに広がっている。

プラットホームはハードウェアを特定せず、どんなタイプのEVでも充電ステーションでも対応する。ソフトウェアを特定のEV車群に統合する作業は、その車群がアクセスできるサードパーティの資産運用管理システムやオンボードのEVテレマティクスにも依るが、今後はプラットホームが層状の機能集合を採用して、その車輌にもっとも合った、もっとも正確な車輌データを利用できるようになる。Muehlon氏によればその方が、特定のEVモデルと充電インフラにしか対応していない既存のサードパーティ製充電管理ソフトウェア比べて、よりシームレスなインタフェイスを提供できる。

Muehlon氏は曰く、「保有車輌の管理は充電技術の目まぐるしい進歩に対応するだけでなく、車と充電の状態を表すリアルタイムの情報によって充電のインフラストラクチャにもアクセスし、現場で行うメンテナンスのための情報も得なければならない。こういう、これまでなかったリアルタイムの新しいEV車輌管理のソリューションは、電動車の世界に、保有車輌のグローバルな運用企業のための新しいスタンダードをもたらし、運用の改善を実現するだろう」。

このソフトウェアはデポや商用の保有車輌が対象で、また公共施設や公共交通の車輌管理部門でも利用できる。今現在の運用者や顧客についてMuehlon氏は口をつぐむが、今複数のパイロット事業が進行中で、それにより、あらゆる種類の車群に合う、市場性の高いソリューションを開発したい、と言っている。

関連記事: アマゾンがRivian製の配達EVテストをサンフランシスコでも開始

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hiroshi Iwatani)

画像クレジット: ABB

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

キャデラックが贅沢さと最新技術を満載した電気SUVのフラッグシップLyriq発表

GM(ゼネラルモーターズ)は米国時間8月6日、キャデラックLyriq(リリック)を発表した。完全に電化され、贅沢さと最新の技術が同時に詰め込まれた車だ。300マイル(約483km)以上の航続距離は、ブランドを新しい電化時代に押し進めることを目指している。

とはいえキャデラックの新時代は、もう少し待つことになりそうだ。同社は、Lyriqは2022年後半に米国で生産が始まると語った。今回の発表から2年以上先のことになる。キャデラックLyriqはグローバルな製品となり、中国への進出も考えられている。キャデラックによれば、中国での生産は米国より先に始まるとのことだ。

Lyriqは、GMが2023年までに市場に投入する予定の20種類の電気自動車(EV)の1つに過ぎない。だがこの車は、キャデラックブランドにとって重要なものになるだろう。GMのグローバルデザイン担当バイスプレジデントのMichael Simcoe(マイケル・シムコー)氏は「Lyriqは将来のキャデラックの基準を定める車です」と発表の際に語った。

Lyriqは「ブラッククリスタル」のグリルやジュエリーボックススタイルの引き出しにはじまり、33インチの縦型LEDタッチスクリーンディスプレイ、AKGサウンドシステムに至るまで、キャデラックの顧客が期待するような贅沢なタッチを体現した車だ。

キャデラックは、Lyriqに低くて流れるようなルーフラインと幅広の姿勢を与えることによって、モダンでアグレッシブなデザインを目指した。この「ブラッククリスタル」グリルは、「振り付け済」のLED照明を備えたダイナミックな機能を持ち、オーナーが車両に近づくと光で挨拶を行う。このLED照明は、後方のスプリットテールランプへと続いていく。

車両の内部には、バックライト付きスピーカーグリル、隠しストレージを備えた曲面スクリーン、および動的な外部照明と似た協調式照明機能が備わっている。

Lyriqは後輪駆動構成と、高出力の全輪駆動構成で提供される。同社の内部テストによれば、その100kWhのバッテリーパックは、300マイル(約483km)以上の航続距離を実現する。150kWhを超えるDC高速充電レートと最大19kWのレベル2充電レートが備わっている。

キャデラックLyriqは次世代バッテリー技術を大胆なデザインと組み合わせて、同ブランドの新世代EVに新しい顔、プロポーション、そして存在感を与える。写真はショー用のものであり、実際に売られるものではない。ここに提示されたもののいくつかは実際の製造モデルには登場しない可能性がある。画像クレジット:Cadillac

Lyriqに組み込まれた技術には、数年前にキャデラックCT6でデビューした、Super Cruise(スーパークルーズ)と呼ばれるハンズフリードライバー支援システムの最新バージョンも含まれている。Super Cruiseはライダーマップデータ、高精度GPS、カメラ、レーダーセンサー、および運転者モニターシステムを組み合わせて使用するシステムだ。運転者モニターシステムは、ハンドルを握っている人間をモニターし、注意を払っていることを確認する。 Tesla(テスラ)のオートパイロットドライバー支援システムとは異なり、Super Cruise のユーザーは手をハンドルに添えている必要はない。しかし、ドライバーはまっすぐ前方を見ていなければならない。

Lyriqには、デュアルプレーンAR拡張ヘッドアップディスプレイも付属する。ドライバーの視線のフロントガラスに投影されるヘッドアップディスプレイには、速度と方向を示す手前の面とナビゲーション信号やその他の重要な警告を表示する奥の面がある。階層的に表示される。

買い手を引き付けるためには、車は視覚的に魅力的でなければならない。しかし、Lyriqの基礎を支える基盤部分は、GMが最大の賭けを行った場所だ。2020年初めにGMはビュイック、キャデラック、シボレー、GMCを含むすべてのブランドの幅広い製品をサポートするUltiumという新しいスケーラブルな電気アーキテクチャに依拠したEVを製造および販売する包括的な計画を発表した。そのEVポートフォリオには、コンパクトカーや作業用トラックから、大型のプレミアムSUVや高性能車両まで、あらゆるものが含まれている。

「Ultium」と呼ばれるこのモジュラーアーキテクチャは、19種類のバッテリーおよびドライブユニット構成、50kWhから200kWhの範囲のストレージを持つ400Vもしくは800Vパック、そして前輪、後輪、および全輪駆動構成を提供することができる。この新しいモジュラーアーキテクチャの中心となるのは、新しい工場で製造される大判パウチバッテリーセルだ。

GMによれば、Ultiumのバッテリーは、陰極にアルミニウムを使用することでコバルトのような希土類材料の必要性を減らす、ニッケル=コバルト=マンガン=アルミニウムの化学反応を使っている。同社は、現在のGMバッテリーと比較してコバルト含有量を70%以上削減することができたと表明している。

最近GMは、Ultiumバッテリーセルとパックを大量生産する、300万平方フィート(約27万9000平方フィート)の 工場の建設を開始した。オハイオ州ローズタウンに建設されるこのUltium Cells LLCバッテリーセル製造工場は、2019年12月に発表されたGMとLG Chemの合弁事業の一部だ。発表時、両社は新合弁事業に最大23億ドル(約2436億円)を投資し、オハイオ州北東部のロードスタウン地区にあるグリーンフィールド製造地区にバッテリーセル組立工場を設立し、1100人以上の新規雇用を創出することを約束した。工場は年間30GWhの生産能力を備えることになる。

  1. cadillac-lyriq-ev-4

  2. cadillac-lyriq-ev-7

  3. cadillac-lyriq-ev-5

  4. cadillac-lyriq-ev-6

  5. cadillac-lyriq-ev-8

  6. cadillac-lyriq-ev-1

  7. cadillac-lyriq-ev-3

画像クレジット:Cadillac

原文へ
(翻訳:sako)

Karma AutomotiveがEVプラットフォームの他社再販へ約110億円を調達

Bloomberg(ブルームバーグ)が報じたところによると、Karma Automotiveは外部投資家から1億ドル(約110億円)の資金を調達した。同社は2014年にWanxiang Groupに買収される前に倒産に直面していたFisker Automotiveの生まれ変わりだ。

Karma Automotiveは2019年に最初の電動スポーツセダン 「Revero」 を約500台出荷するなど、以前のFiskerよりも大きな進歩を遂げており、小売価格が14万ドル(約1500万円)前後の 「Revero」 の販売を継続するほか、高馬力の 「GTE」 バージョンやさらに上位顧客向けのスーパーカーの追加を検討している。

Karma Automotiveはまた、商用配送トラックのパートナーと交渉中であり、年内にプロトタイプを開発する予定だという。UPSやFedExのように宅配業者向けの配送車を模索している企業は数多くあり、参入者が殺到しているにもかかわらず、Eコマースの普及により複数のプレーヤーががこの分野で成功するチャンスがある。

Karmaは新規投資を活用し、他の自動車メーカーやOEMにも同社のEVプラットフォームを展開し、最終的には純粋なEVからハイブリッド燃料車へも拡大していくという。要するに、Karmaはあらゆる方法で収益化への道を切り開こうとしているようだが、それが賢明な戦略なのか、あるいは散漫な自暴自棄なのかは、時がたてばわかるだろう。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

アップルのマップアプリでEV向けに充電ステーションも含めたルート検索が可能に

Apple(アップル)は、電気自動車のオーナー向けのルート案内機能をマップアプリに追加した。iOSの最新バージョンで利用可能になるEVルーティング機能は、アップルがマップアプリに加えたいくつかの改良のうちの1つだ

米国時間6月22日月曜日、毎年開催される開発者向けカンファレンスのオンラインイベントである「WWDC 2020」で、この新機能は発表された。

EVルーティング機能は、ルートに沿ってユーザーのEV(電気自動車)と互換性のある充電ステーションを表示することで、航続距離とバッテリー切れの心配を解消することを目指している。アップルでシニアディレクターを務めるStacey Lysik(ステイシー・リシック)氏によると、iOS 14のマップアプリは車両の充電状態を追跡し、標高や経路に沿ってルートに充電ステーションを追加するかどうかを決定する。

アップルはBMWやFord(フォード)などの自動車メーカーと協力して、簡単なルート設定をサポートする。リシック氏によると、近い将来にはさらに多くのメーカーが加わる予定だという。フォードはアップルと協力していることを認めたが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。

またマップアプリには、渋滞やグリーンゾーンを表示し、必要に応じてこれらのエリアを避ける代替ルートを選択できる機能も追加される。中国のドライバーはiPhoneにナンバープレート番号を安全に保存できるようになり、その番号に基づいて混雑した都市の中心部に入ることができる日を、より簡単に知ることができるようになる。中国の政策では、ドライバーは特定の日にしか混雑区域に入ることができないのだ。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

イリノイの工場再開でRivianのアマゾン向け電動配送バンの生産は計画どおり実行

Amazon(アマゾン)、Cox Automotive(コックス・オートモーティブ)、Ford(フォード)が支援する電気自動車メーカーのRivian(リビアン)は、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによる一時閉鎖が解除されたのを受けて、米国イリノイ州ノーマルの工場を再開させた。

一般消費者向け電気自動車R1TとR1S、それにアマゾン向けの電気配送バン10万台を生産することになっているこの工場は、従業員が段階的に戻って来ることになり再始動した。工場閉鎖の後の段階的再開ではあるが、アマゾンが5月28日に発表した声明によれば、アマゾン向けの配送トラックの生産スケジュールに変更はないとのことだ。

アマゾンは昨年9月、2040年までに炭素排出量をゼロにするという「気候変動対策に関する誓約」(The Climate Pledge)の一環として、Rivianに電気配送バン10万台を発注した。この電気バンを使った宅配は、最初の予定どおり2021年にスタートする。「2022年には早くも1万台の電気バンが走り回ることになり、10万台すべてがそろうのは2030年になる」と5月28日に発表した声明でアマゾンは述べている。

Rivianは、R1TとR2Tの生産開始は2021年に先延ばしした。当初は、その電気ピックアップと電気SUVの生産と出荷を2020年後半に予定していたのだが調整された。Rivianでは、以前からR1Tが先でR1Sはその後と決めている。

新型コロナウイルスのパンデミックによって部材の供給が制限され、同社はスケジュール変更を余儀なくされたためだ。しかしRivianは、R1TとR1Sの生産と出荷の時期を近づける努力をしている。

今のところ同社は、工場の内外での作業に力を注いでいる。新型コロナ禍が起きる前は、およそ335人の従業員がRivianの工場で働いていた。現在は116人が出勤しているが、残りの従業員も次第に呼び戻す予定だ。Rivianは、1人の従業員もレイオフせず、すべての従業員に給料を払い続けてきた。

およそ109人の建築請負作業員も工場に戻り、内部での作業を再開した。工場の外では、その他の120人から140人の建築作業員も、工場を約24万平方mから約28万平方mに拡張する工事を再開した。

RivianのCEOであるRJ Scaringe(R・J・スカーリンジ)氏によると、同社は4段階の新たな安全対策を導入したという。体温チェックが実施され、従業員には防護服と防護具が配布されている。

「車両のエンジニアリングとデザインの部門では、作業スケジュールを予定どおり進めるためのデジタル管理の方法を開発した」とスカーリンジ氏は話していた。

“新型コロナウイルス

画像クレジット:Amazon/Jordan Stead

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

アマゾン支援のEVメーカーRivianが保険商品の提供を計画か

Rivian(リビアン)は保険代理業務のデータマネージャーを募集する求人情報を掲載しており、これは電気自動車メーカーが顧客に独自の保険を提供する計画があることを示唆している。

この求人はRivianForumsが最初に投稿したもので、TechCrunchにも情報が寄せられている。さらに、Roadshow/CNETもこの新しいポジションについて報じている。Rivianは計画の詳細については明かさなかったが、保険分野でいくつかの求人情報があることは認めた。

Rivianのウェブサイトに掲載された求人情報によると、業務内容は同社の損害保険業務(P&C)を率いることであり、採用からトレーニング、コーチング、雇用されたライセンスを持つ販売エージェントと保険カスタマーケアチームを管理することが含まれているという。また被雇用者は保険商品を販売し、パートナーに販売機会に関するフィードバックを提供するという。

10年以上の経験を持ち、複数の州でP&Cのライセンス取得者を募集しているこの投稿は、これがグローバルな製品になることを示唆している。なお求人はミシガン州のプリマス本社ではなく、イリノイ州ノーマルにある自動車メーカーの工場を指定している。State Farm Insurance(ステートファーム・インシュアランス)の本社はイリノイ州ブルーミントンにあるので、Rivianは才能ある応募者の多く集めることができるはずだ。

この動きは、Tesla(テスラ)に倣ったもののようだ。テスラは昨年8月に保険商品を発売し、同社の電気自動車の所有者に他の保険会社より20%、あるいは30%も安い保険を提供すると約束した。Tesla Insuranceとして知られるこの商品は、カリフォルニア州の居住者のみが利用できる。テスラによると、この事業は将来的に米国の他の州にも拡大する予定だという。

原文へ

(翻訳:塚本直樹 Twitter

Vaya Africaが電気自動車タクシー配車システムを開始

ジンバブエの富豪であるStrive Masiyiwa(ストライブ・マシーワ)氏によって創業された、配車ベンチャーのVaya Africaは、電気自動車タクシーサービスとジンバブエ国内の充電ネットワークの運営を開始した。将来的には大陸全体に広げる計画だ。

南アフリカに本社を置く同社は、電気自動車である日産リーフEVの一群を購入し、独自の太陽光発電充電ステーションを開発した。

運用は今週ジンバブエで開始されるが、同時にVayaはオンデマンド電気タクシーとデリバリーサービスのためのパートナーシップを締結しようとしている。対象とする市場はケニア、ナイジェリア、南アフリカ、そしてザンビアなどである。

「ジンバブエは実際実験場です。私たちは、アフリカの様々な国でパイロットを行なう準備を進めています」とTechCrunchとの電話でジンバブエの首都ハラレから答えるのは、Vaya MobilityのCEOであるDorothy Zimuto(ドロシー・ジムト)氏だ。

Vayaはストライブ・マシーワ氏のEconet Groupの子会社だ、Econet Groupは他にも、南アフリカ最大の携帯電話会社の1つと、インターネットインフラストラクチャ企業である Liquid Telecomも傘下に抱えている。

マシーワ氏は、アフリカのビル・ゲイツ氏もしくはリチャード・ブランソン氏になぞらえられる人物となった、そして世界的には、オバマ元大統領ロックフェラー財団とのつながりや関係を持つ、ビジネスリーダーおよび慈善家として認められている。

Vaya EV製品でジムト氏と協力しているのは、Liquid Telecomのイノベーションパートナーシップの責任者であるOswald Jumira(オズワルド・ジュミラ)氏だ。

この動きは、アフリカのオンデマンドモビリティ市場が、ここ数年本格化していることを受けてのものだ。スタートアップ、投資家、そしてより大規模な配車事業者が人や物の移動にデジタル製品モデルをもたらそうと競い合っている。

エチオピアには、配車ベンチャーのローカル企業であるRide(ライド)とZayride(ザイライド)がある。Uber(ウーバー)は2015年からアフリカ大陸のいくつかの市場で活躍していて、競合他社のBolt(ボルト)と同様に、2018年にはアフリカ内でのオートバイタクシー事業に参入しした。

昨年大陸では、主に二輪車を中心に利用する配車やデリバリーに向けた、EV開発の動きが見られた。

2019年には、ナイジェリアのモビリティスタートアップの MAX.ngはヤマハの支援の下に700万ドル(約7億5400万円)のシリーズA資金調達を行ったが、その資金の一部は再生可能エネルギーを用いる電動二輪車の試験運用に使われた。

昨年ルワンダ政府は、EVスタートアップAmpersandと協力して、ガソリン式の二輪タクシーを電動式に徐々に移行する国家計画を策定した。

Vaya Mobility CEOのドロシー・ジムト氏(画像クレジット:Econet Group)

アフリカのタクシー市場に対して、電気自動車へのシフトが環境的なメリットを超えて持つアピール点は、長期的にメリットがあるユニットエコノミクスである。燃料のコストが大陸の大部分のドライバーたちにとって、個人の収入に比べて概して大きいという状況があるからだ。

「アフリカはエキサイトしています。なぜなら私たちは今やグリーン革命に乗っているからです。排出ガスなし、騒音なし、そして自動車のランニングコストという点での大幅な節約が可能なのです」とジムト氏は述べている。

彼女は、配車プラットフォームのドライバーたちの燃料およびメンテナンスコストが、40%削減できると見積もっている。

Econet Groupのオズワルド・ジュミラ氏によれば、現時点では、Vayaの最初の市場であるジンバブエの燃料価格は1リットルあたり約1.20ドル(約129円)であり、平均移送距離は22キロで運賃は19ドル(約2047円)である。

Vayaの充電ネットワークで日産リーフを使用した場合、移動距離150から200 kmで、チャージにかかるコストは約5ドル(約539円)となる。

画像クレジット:Vaya Africa

「恩恵を受けるのはドライバーです。より多くの収入を得ることができます。そしてそれはまた、配車企業の手数料を引き下げて、乗客の皆さまに、より手軽な価格を提供することを可能にするのです」とジュミラ氏はTechCrunchに対して語った。

同社は、アフリカにおける新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の拡大に対して事業を対応させた。ジムト氏によると、VayaはドライバーにPPE(個人用防護具)を提供し、車を1日4〜5回消毒する。

Vayaは、配達からオートバイやトゥクトゥクタクシーなどの、他のオンデマンド輸送アプリケーションに対するEVオプションも模索している。

アフリカにおける Uberとの競争問題については、Vayaは、EVプログラムによって提供される割引運賃を1つの利点として指摘している。

Vaya MobilityのCEOであるドロシー・ジムト氏も、地域の文化や好みを知っていることの利点を指摘している。

「私たちは『アフリカ語』を話します。それが私たちが理解している言語です。私たちは人びとが、市場全体で何を望んでいるかを理解しています。それが違いを生むのです」と彼女は言った。

アフリカ全域でUberのような他の配車サービス会社と真っ向勝負する際に、VayaのEV注力と地元の消費者に対する知識の多さが、より多くの乗客の流れと収益の創出につながるかどうかが注目される。

原文へ]
(翻訳:sako)

中国のEVスタートアップ「Byton」が米国本社社員450名の半数を一時帰休に

中国拠点の電気自動車スタートアップ、Byton(バイトン)は、カリフォルニア州サンタクララにある北米本社の従業員450名の約半数を一時帰休させたことを発表し、同社の電気自動車、M-Byteの発売時期は不確定要素が高まってきた。

BytonはTechCrunchに、一時帰休はCOVID-19(新型コロナウイルス)パンデミックが理由だと語った。休ませた社員は将来呼び寄せる意向だと同社は言っているが時期は明らかにしていない。

「パンデミックが世界経済と自動車産業に与えている影響を踏まえ、当社は他の一部企業と同じく、直面する課題に対して行動を起こす必要があった」とByton広報担当者がTechCrunch宛のメールに書いた。「この一時帰休はBytonの米国事業全域が対象であり、中国の社員は一時帰休させていない」

Electrek(エレクトレック)が最初にこのニュースを伝えた

この一時帰休は同社が電動SUV、M-Byteを今年中に量産するための準備をしている最中に起きた。新型車はおそらく48インチの巨大デジタルダッシュボードで一番よく知られており、中国の南京(ナンキン)工場で製造される予定だ。M-Byteは中国、米国、および欧州で販売される。

Bytonは以前、中国では2020年後半に販売を開始し、続けて米国で販売すると言っていた。欧州への上陸は2021年前半の予定だった。しかし、新型コロナ・パンデミックとそれに伴う一時帰休によって、Bytonの予定は変わるかもしれない。

Bytonは、現在新型コロナがM-Byteの生産に与えた影響を評価しているところだと、TechCrunchに伝えた。同社の中国工場は2月中旬に再開し、現在はほぼフル稼働している、と同社は言っている。

Bytonは8億2000万ドルの資金を調達済みで、同社の創業チーム、FAW Group、Nanjing Qiningfeng New Energy Indstry Investment Fund、およびCATL(寧徳時代新能源科技)が出資した。

BytonはシリーズC調達ラウンドの準備をこの数ヶ月間続けている。同社はTechCrunchに、現在ラウンド準備の「最終段階」にあり、FAW Group、南京市政産業投資ファンド、韓国のMyoung Shin Co、MS Autotech、および日本の丸紅株式会社らが参加する予定だと語った。.

画像クレジット:Byton

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

BMWのコンセプトカー「i4」、2021年予定の量産型が見えてきた

BMWは米国時間3月3日、近く発売が予定されるi4のコンセプトカーを公開した。EPA電費は推定270マイル(約435キロメートル)、出力は530馬力という、ガソリンエンジン搭載のハイパフォーマンスカーM3の性能を凌ぐ完全電動4ドアグランクーペだ。

i4コンセプトカーは、ジュネーブの国際モーターショーがコロナウイルスの影響で中止になったためインターネット上で公開されたが、2021年に生産開始の予定が組まれている。BMWはここしばらく、電気自動車i3の次に出る車両について語り、情報を小出しにしてき。2019年11月には、ロサンゼルスのオートショーでi4の仕様の一部を公表している。そして今回の最新発表では、i4がどんなスタイルになるのかが、一層はっきりしてきた。また、インテリアと電費の予測値に関する情報も少しだけ公開されている。

このコンセプトカーは、ロングホイールベース、ファストバックのルーフライン、ショートオーバーハングという形状で、量産型はこれに近くなることがうかがえる。i4はツーボックスのi3とは、ずいぶんかけ離れたスタイルだ。

前面には通気性のないグリルがある。その目的は、過去のガソリンエンジン車のイメージを引き継ぐためだけではないとBMWは話している。さまざまなセンサーを搭載するためにグリルが使われるとのことだ。

おそらく、巨大な腎臓のような形のフロントグリル以外に、もっとも注目すべき点は、ガラスのルーフと車内に配置された湾曲したデジタルディスプレイだろう。

量産型にもこれと同じものが搭載されるかは定かでないが、インテリアのタッチ操作が基本になり、ボタンやノブは少なくなると予想される。BMWが1画面デザインにこだわり続けるかどうかも見どころだ。下の写真では、コンソール部分にノブが1つしかないことがわかる。

BMWのEV計画を詳しく追いかけてきた人は覚えているだろうが、i4の電費は600キロメートルになると言われていた。その数値はライバル車よりも頭ひとつ抜き出るものだが、EPA電費なのかヨーロッパのWLTP電費なのか、基準が明確にされていなかった。EPAのほうが控えめな値になることが多い。BMWは、今回その電費を明らかにし、EPA推定値270マイル(約435キロメートル)と公表した。

i4は、5代目のBMW eDriveを搭載する。新型の電動モーター、電力制御系、充電ユニット、高電圧バッテリーを搭載したプラットフォームだ。この第5世代プラットフォームは、iNEXT SUVと中国市場に投入されるiX3にも使われる。i4の80キロワットのバッテリーパックはフラットな形状をしており、BMWによると重量は550キログラムとのこと。ちなみに、Tesla Model3のバッテリーの重量は480キログラムだ。

i4コンセプトの発表は、電動化を深いレベルで推し進めるとBMWが以前から公言していた姿勢を示すものだ。2019年11月、BMWは中国のバッテリーセルメーカーContemporary Amperex Technology Co.(寧徳時代新能源科技:CATL)と韓国のSamsung SDIから100億ユーロ(約1兆2000億円)を投じてバッテリーを調達すると発表した。2018年中ごろに発表されたCATLとの最初の契約では、40億ユーロ(約4800億円)相当のバッテリーセルを購入するという話だった。今度の新規契約は2020年から2031年までの期間にわたるものだと、同社は同時に公表した。

BMWグループは、ドイツのエアフルトに建設中のCATLのバッテリーセル工場における最初の顧客となる。CATLをドイツに招致するうえで、BMWは大きな役割を果たしたと、BMW AGの取締役会メンバーであり、購入とサプライヤーネットワークの責任者であるAndreas Wendt(アンドリアス・ベント)氏は話していた。

画像クレジット:BMW

[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)

シトロエンが月額約2400円の2人乗りEV、Amiを発表

Citroën(シトロエン)のAmiは、都市向けモビリティに対する新しい提案だ。電動で価格は安く、ライセンスも必要ない。いわばクルマというよりも、2人乗りの電動スクーターにドアとヒーターがついているようなものだ。ジョークはさておき、このAmiから、モビリティの未来を垣間見ることができる。

Amiに技術的なイノベーションはない。シトロエンはAmiを都市向けのモビリティソリューションと位置づけている。狭い路地にもぴったりの広さで、価格も公共交通機関に負けていない。Amiは自動車に分類されていないため免許不要で、フランスでは14歳、他のヨーロッパ諸国では16歳から運転できる。

乗客は屋根とヒーターつきの車内に並んで座る。5.5kWhのリチウムイオン電池は床下に収納されており、標準的な220ボルトのコンセントで3時間充電すれば、最大70kmの走行が可能だ。最高速度は時速45km/hとなっている。

また、シトロエンらしさも健在だ。サイドウインドウは、クラシックな小型大衆車2CVのように手動で上に傾けて開く。

Amiにはいくつかのプランが用意されている。長期レンタル料は月額19.99ユーロ(約2400円、VAT含む)で、初回支払いは2644ユーロ(約31万4000円、VAT含む)。あるいはカーシェアリングサービスを通じて最大で1日間、毎分0.26ユーロ(約31円)でレンタルできる。さらに、Amiは6000ユーロ(約71万2500円、VAT含む)で購入できる。

シトロエンはAmiの注文を3月30日にフランスで開始し、数カ月後にスペイン、イタリア、ベルギー、ポルトガル、ドイツでも始める予定だ。初出荷は6月までに行われれる。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

Lyftが長距離EV200台をドライバーにレンタル

ライドシェアリングのLyftは、長距離走行が可能な電気自動車(EV)200台をコロラド州のドライバーにレンタルすると本日発表した。これは同社のExpress Driveプログラムの一環だ。Express Driveは、同社のドライバーにレンタカーを提供するプログラムで、これまでの長期リースなどの仕組みに代わるものだ。Express Driveのメンバーは走行距離無制限で保険、保守、ロードサービスなどのサービスを受けることができ、最低1週間からレンタルできる。

200台の新しいEV(今回提供するのはすべてヒュンダイ系列のKia(起亜自動車)の車だとLytfは言っていた)は12月に提供を開始する予定で「コロラド州における1回のEV提供としては最大数」と同社は言った。この時期にプログラムを開始したことには経済的理由もある。コロラド州のJared Polis(ジャレド・ポリス)知事は5月に、ライドシェアリング会社のレンタルプログラムに対して、州が消費者向けに行っているのと同じレベルのインセンティブを与える法案に署名した。補助金は1台につき最大5000ドル。

こうしたEV投入はライドシェアリング経済のあらゆる面にいい効果を与える。ドライバーの運用コストが減ることがまず挙げられる。Lyftによると、これまでシアトルとアトランタで行ったEV導入ではドライバー1人当たり平均70~100ドルのコスト削減に成功している。都市にとっても住民にとっても、路上を走る車の排出ガスが減ることは明らかな利点だ。ライドシェアリングなどのサービスが実際に路上の車を減らせるかどうかはまだわからないが、この種のプログラムによって普及が加速され、都市内のEV比率が上がれば全員の勝利だ。

多数のEVによる運用が開始されることは、電気事業者が充電ステーションを充実させるインセンティブにもなる。その結果消費者が利用できるインフラストラクチャーができれば、EV全般の普及を後押しする。Lyftは「Lyft保有者の電化は毎年進めていく」と言っているので、他の都市でもEV導入が進むことが期待できる。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ハーレーダビッドソンの電動バイク「LiveWire」が発売直後に製造停止へ

Harley-Davidson(ハーレーダビッドソン)は、同社初の電動モーターサイクル「LiveWire」に仕様とは異なる点を発見されたとして製造を停止した。

同社は、すでに出荷されたLiveWireをリコールすることはないとTechCrunchに語った。同社が製造と出荷を中止したことはReuters(ロイター)が最初に報じた。

「最近の最終品質検査で仕様とは異なる点が発見されたため、製造と販売を保留し、追加のテストと分析を開始して順調に進めている」とハーレーダビッドソンが声明で語った。

「当社のLiveWireディーラーおよび顧客とは密な連絡を取っており、今後もモーターサイクルに乗り続けられることを伝えた。高品質を維持することは常にわれわれの最優先事項だ」。いつ製造、販売を再開できるのか、あるいは異常状態に関する詳細情報についてハーレーダビッドソンは発信していない。

製造中止は同社の電動化推進を脅かすものだ。2万9799ドル(325万円)、105馬力の電動モーターサイクルは、将来モーターサイクルから自転車、スクーターへと広がる同社のEVラインアップの先陣を切る。

LiveWireは数年前からの情報やコンセプト車両のデモンストレーションのあと、2019年に製造開始された。ディーラーへの配車は9月27日から始まった。

LiveWireとそれに続くEV製品群は、ハーレーダビッドソン伝統の内燃式クルーザー・モータ位サイクルを補完するものであり、置き換えるものではない。

関連記事:LiveWireで考えるハーレー・ダビッドソンの電動シフト

景気後退以来、米国でのモーターサイクルの新車販売は40歳以下の顧客では特に不調が続いている。 同社の売上は過去10年間下降している。同社の電動モーターサイクルへのシフトは、忠実なガソリンモーターサイクル顧客を維持しつつミレニアルやオンデマンドモビリティー市場にアピールする製品を作ろうというハーレーダビッドソンの賭けだ。

これで米国を象徴するモーターサイクル会社は、Zeroを始めとする数多い電動バイクスタートアップとの戦いに遅れを取ることなく、既存モーターサイクル会社の中でEVのリーダーとして前進することができる。しかし、今回の製造中止はその戦略を阻むことになるかもしれない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ポルシェが完全電動車の低価格モデル「Tycan 4S」を発表

Porsche(ポルシェ)が同社で3番目の完全電動自動車「Taycan 4S」(タイカン4S)を米国時間10月14日に発表した。

Taycan 4Sには「パフォーマンス・バッテリー・プラス」(performance-battery-plus)オプションがあり、外観は9月に発表されたTaycan Turbo 2とよく似ている。実際、Taycan 4Sを含め同シリーズはいずれも同じシャシーとサスペンション、永久磁石同期モータなどを使用している。しかし今回の車種は、やや軽量かつ低価格で、わずか7週間前に発表されたTaycanのハイエンドモデルより少し遅い。

ポルシェは以前からTaycanには複数のバージョンを作ると言ってきた。今年9月、同社は10億ドルの初期投資の成果として、全電動4ドアスポーツカーの上位車種であるTaycan Turbo SおよびTaycan Turboをそれぞれ18万5000ドル(約2000万円)と15万900ドル(約1630万円)で発表した。それに対して、Taycan 4Sのベースモデルは最上位モデルより8万ドル安い。

Taycan 4Sのバッテリーサイズは2種類ある。標準モデルは10万3800ドル(約1120万円)からで、79.2 kWhバッテリーパックと429馬力(320kW)を生み出す電動モーター2台を備える。ランチコントロールを有効にすると522馬力(384kW)に上がる。

Taycan 4Sのパフォーマンス・バッテリー・プラスのオプションを装備した場合は価格が11万380ドル(約1200万円)となり、93.4 kWhのバッテリーとデュアル電動モーターが最大563馬力(420kW)を生み出す。いずれの4Sモデルも最高速度は155mph(250km/h)で、0~60mph(96km/h)を3.8秒で走る。Taycan 4Sは2020年春に米国ディーラーに届く予定だ。

4Sの性能は、最も強力なTaycanで616馬力(ランチコントロール有効時は751馬力)のTurbl Sとは比較にならない。Turbo Sの最大トルクは774ポンド・フィート(107.01kgf·m)、0~60mph加速は2.6秒。当然価格もTurbo Sのほうが高く18万5000ドル(約2000万円)からだ。

ポルシェはいずれのTycan Turbo車についてもまだEPA予測航続距離を発表していない。欧州WLTP基準の1回充電当たりの予測航続距離は、Turbo Sで256マイル(約412km)、Turboで280マイル(約450km)となっている。

  1. 12-Porsche-Taycan-4S-

  2. 11Porsche-Taycan-4S-

  3. 03-Porsche-Taycan-4S-

  4. 08-Headlights-of-the-Taycan-4S

  5. 05-Interior-of-the-Porsche-Taycan-4S

  6. 07-Rear-lights-of-the-Taycan-4S

  7. 01-Porsche-Taycan-4S-

  8. 09-Porsche-Taycan-4S-

  9. 10-Porsche-Taycan-4S

関連記事:ポルシェのEVTycan」とテスラ「Model S」をスペックで比較

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ついにベールを脱いだCanooのロフト風電気自動車

ロサンゼルスに本社を置くスタートアップCanoo(カヌー)が、ついに初のモデルを発表した。その名も社名と同じCanoo。

Canooのデザイナーたちは、他の電気自動車メーカーが好むスタイルとは激しく異なる方向性でスタートした。中国のByton(バイトン)が目指すSUVや、米国のTesla(テスラ)やFisker(フィスカー)のスポーツカーやセダン、Rivian(リビアン)の電気トラックとは違う、フォルクスワーゲン・マイクロバスに近いスタイルだ。

際立っているのは、Canooが最初のモデルのデザインとエンジニアリングをわずか19カ月で完了させ、現在は契約製造業者に車両製造を引き渡せるよう準備をしているという点だ。現在のCanooの代表Ulrich Kranz(ウルリッチ・クランツ)氏によると、最初の車両は2021年に公道に登場する予定とのこと。

クランツ氏は、最高技術責任者としてこの会社に加わったが、Canooの共同創設者でCEOのStefan Krause(ステファン・クラウス)氏が個人的な理由で8月に会社を去ったあと、日々の業務を引き継いだとThe Vergeは伝えている

クランツ氏の話によると、Canooのデザインには2つの鍵となる特徴があるという。空間と価格だ。同社の最初の車には、その両方がふんだんに盛り込まれている。

ロサンゼルス本社にはCanooのベータ版の車両が置かれていて、提携を考えている企業や顧客が試乗できるようになっている。製造したのはミシガン州の非公開のメーカーだ。「私たちは2台ほど製造して、これまでに行ったシミュレーションの検証と確認を行うつもりです」とクランツ氏は話していた。

Canooは昨年1年を使ってプロトタイプの開発について製造業者との話し合を重ね、自動車のデザインと開発の方法についてアドバイスがもらえるようにした。

Canooは、ロサンゼルスの市場で最初の車両をローンチし、「スケートボード」プラットフォームを自社製の車両に使うだけでなく、顧客と共同でオリジナルのキャビンをそのプラットフォーム上に製作することも視野に入れているとクランツ氏は言う。

同社は、まったく新しいビジネスモデルで市場に参入しようと考えている。月ごとのサブスクリプション料金で車両を提供するというものだ。このサービスには、顧客のスマートフォンのひとつのアプリから自動的に、車両登録、メンテナンス、保険の管理、支払いができるといった特典が含まれるようだ。Canooによると、これはNetflixの映画配信サービスの利便性と経済性を自動車業界にもたらすものだという。

最初の車両は、面積が小型車並みであるにも関わらず、7人がゆったり乗れて、SUV並みの車内空間が確保されているとのこと。後部の座席は、サイドとリアの壁に沿ってコの字型に配置され、フロントのキャビンはソファーのような配置になっているとクランツ氏は教えてくれた。

「これまで自動車は、ひとつのイメージと感性が伝わるようにデザインされてきました。しかし、私たちは自動車のデザインを根底から考え直すことにして、未来のユーザーが実際に必要とするものにフォーカスしました。そうして出来上がったのがロフト風の自動車です」と、Canooのデザイン責任者Richard Kim(リチャード・キム)氏は言う。「サブスクリプション契約をすると、自動車の考え方が変わります。今や、車の価格はユーザーの利益によって決まるのです。私たちはバウハウスの哲学を吹き込みました。ミニマリズムと機能性を中心に据えて、絶対的に必要最低限なものへ要素を削ぎ落としてゆきます。次に、そのアプローチを顧客が最も大切にしているパーソナルなデバイス、つまりスマートフォンとのシームレスな接続性に適用します」。

娯楽システムは、顧客が所有するデバイスに依存するが、CanooはiOSにもAndroidにも対応する。中央ディスプレイは配置せず、ドライバーや乗客がそれぞれが自分のナビやアプリを車内で使うようになることを同社は期待している。

クランツ氏によれば、自動運転も念頭に置いているという。現在のシステムには7台のカメラ、5つのレーダー、12基の超音波センサーが装備され、レベル2の自動運転が可能になっている。クランツ氏がとくに自慢する新機能に、ビデオカメラでドライバーの運転中の挙動をモニターし、安全に運転しているときには余計な警告を出さないようにするというものがある。

「ドライバーの顔と意図をカメラで監視します」とクランツ氏。「ドライバーが何かに注意を向けたとカメラが認識したとき、たとえば、右側の影になっている部分を見ようとしているときは、警告のアラームは出しません。なぜなら、人はよくアラームシステムを切ってしまうからです」。

だが、Canooのシステムの心臓は、前述のスケートボード構造だ。キャビンの下のシャシーにバッテリーとドライブトレーンが組み込まれている。Canoo製の車両にはすべてこれと同じ基礎構造が使われ、その上にいろいろなキャビンを載せることで、目的に合わせてさまざまな車両を作ることになる。

最初の車両の安全性は5つ星の評価を獲得しており、車内全体にドライバー用と同乗者用のエアバッグが設置されている。スケートボードプラットフォームは、デュアルモーター、フロントモーター、リアモーターの設定が選べる。

最後に、この車は本当の意味での市場で最初のステア・バイ・ワイヤー車両だと同社は話していた。ハンドルと車輪との間をつなぐ機械装置は存在しない。

ステアリングは、電気信号によってのみ伝えられる。完全な冗長性を持たせたコントロールシステムは、将来のデザインに長期的な恩恵をもたらすものだと同社は説明している。ステア・バイ・ワイヤーは軽量化に貢献し、またハンドルの位置を自由に決められるため、室内デザインやドライバーのポジションに柔軟性を与えられる。

走行距離だが、Canooの最初の車両は250マイル(約400km)で、30分以内に80%まで充電が可能だ。バッテリーパックはスケートボード構造の中に直接組み入れられていて、専用の構造体を必要としないため広い空間が確保できる。さらにシャシーに直接組み込まれていることから、バッテリーは車両のねじれ剛性を高める役割も果たす。

サブスクリプションの料金がいくらになるかクランツは明かさなかったが、7年から10年の期間で車両の価格を落とすことができるためコストが下がると話していた。「この節約ぶんを顧客に還元するのです」と彼は言う。価格は下がっても、この新しい会社で儲けを出すことは可能だとクランツは期待している。「私たちは、電気自動車で利益を出す最初の電気自動車メーカーになります」と彼は話していた。

レンタルモデルは、同社の保守的なロールアウトプランの助けになる。クランツ氏によれば、Canooの提供はひとつの地域から開始して、ゆっくりと広げてゆくという。

「私たちは、都市ごとにロールアウトしてゆく予定です」と彼は言う。「8から10の都市で、電気自動車人口全体の70%以上をカバーできます。(そのため)全国展開する必要はないのです」

2021年の計画では、ロサンゼルスでローンチした後、その他8つの都市で同社の米国市場を構築する。つまり、西海岸に4つ、東海岸に4つだとクランツは言う。

「米国でローンチした後、中国でのローンチも考えています。中国では電気自動車人口の75%を18の都市でカバーできます」と彼は話す。

統制されたスケールの拡大と控えめな地理的リーチの目標によって、大きな利益が得られるとクランツ。

「それには、車両の保有台数を簡単にコントロールでき、慎重な方法でステップアップできるという大きな利点があります。何千何万台もの自動車を生産できるなどと、私たちは自慢したりしません」と彼は言う。「早いペースで高品質な車を作ることがいかに難しいかを、私たちはよく知っていますから」。

  1. clip_image001

    Canoo
  2. clip_image002

    Canooのリアインテリア
  3. clip_image003

    Canooのフロントキャビン
  4. clip_image004

    Canooのスケートボード・プラットフォーム
  5. clip_image005

    Canooのステアリングコラム
[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

Rivianと登山家Alex HonnoldがEV用バッテリーを再利用したソーラー・マイクログリッド建設で協力

かつては秘密主義だったが11月に電動ピックアップトラックとSUVで公にデビューを果たした自動車メーカーRivianは、自社の中古バッテリーを、プエルトリコでのソーラー・マイクログリッド・プロジェクトに役立てようと計画している。

Rivianは、プロの登山家でドキュメンタリー映画『Free Solo』の主役にもなったAlex Honnoldが創設したThe Honnold財団と手を組み、このマイクログリッド・プロジェクトを進める。HonnoldとRivianのCEO、RJ Scaringeは、土曜、デンバーにてプロジェクトに関する対談を行う予定で、その様子は米山岳部時間で午後6時からストリーミング配信される(訳注:すでに終了しています)。

マクログリッド・プロジェクトは、プエルトリコの中西部に位置する人口2万人の都市アドフンタスで実施される。ここは2017年のハリケーン・マリアによる甚大な被害を受けた地域だ。アドフンタスに拠点を置き、この地域に安価に電力を供給する方法を模索している環境監視団体Casa Puebloも、プロジェクトに参加する。

Rivianは、自動車開発に使用した135キロワット毎時のバッテリーパックを提供してマイクログリッドを支える。今年の始め、RivianとThe Honnold財団のエンジニアがCasa Puebloを訪れた。彼らは、地域の代表者たちを交えて、アドフンタスの中心地でビジネスを展開する数多くの事業所に電力を供給する、地域に適合したシステムの設計について話しあった。

街の中心地を対象としたマイクログリッド・プロジェクトには、2つの目的がある。主電源が使えなくなったときに地元の中核的事業に電気を供給すること。そして、アメリカ全体の平均の2倍にもなるプエルトリコの電気料金を日常的に引き下げることだ。

このシステムは2020年の稼働を予定している。

「再生バッテリーは、再生可能エネルギーの普及を加速させる大きな力になります。このシステムが地域社会で重要な役割を果たすことを想像すると、胸が躍ります。このシステムは、場所の制約、災害復旧、エネルギーの独立性などを考慮して、地域ごとにカスタマイズできるエネルギー貯蓄ソリューションのモデルになるでしょう」とScaringeは話した。

このプロジェクトは、再生バッテリーの広範な利用法を探すという同社の長期計画の第一歩となる。

同社では、そのバッテリーパック、モジュール、バッテリー管理システムを、電気自動車用としての生涯を終えた後も、自動車用充電池から据え置き型充電池へ転換できるよう設計している。モジュール自体は薄型デザインになっているので、再生後は、場所をとらないカスタマイズ可能な装置として応用できる。

Rivianは、ピックアップトラックやSUVといったスポーティーなオフロード車に特化した電気自動車のメーカーだ。同社は2月、アマゾン主導のラウンド投資7億ドル(約760億円)を調達したことを発表した。

この企業は、創設当初、一般の目に触れない形で事業を行ってきた。2009年に設立されたときの社名はMainstream Motorsだった。2011年には社名をRivianに変更し、フロリダを離れた。現在、同社は、ミシガン州プリマス、カリフォルニア州サンノゼとアーバイン、イギリスのサリーに開発部門を分散し、1000名以上の従業員を擁している。また、イリノイ州ノーマルには、約73000坪の工場を構えている。

RivianはR1T電気ピックアップトラックと、R1S SUVを、2020年後半にアメリカで発売する予定だ。その他の地域では2021年から展開が開始される。

[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)

米国の電気自動車の新規登録台数は昨年の2倍となる20万8000台

IHS Markitの分析によれば、米国で電気自動車が占める割合は自動車市場全体から見ればまだ小さいものの、着実に増え始めているという。

IHSが米国時間4月15日に発表したところによると、2018年に米国では20万8000台の電気自動車が新規登録された。これは2017年の2倍以上にあたる。

電気自動車の成長は、ZEV(ゼロエミッション車)プログラムに署名しているカリフォルニア州などの10州に集中している。カリフォルニア州は最初にZEVプログラムの実施を開始した州で、州の規制により自動車メーカーは電気自動車と電気トラックを販売しなくてはならない。コネチカット州、メイン州、メリーランド州、マサチューセッツ州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、オレゴン州、ロードアイランド州、バーモント州もZEVプログラムに署名している。

カリフォルニア州の2018年の電気自動車の新規登録は95,000台で、米国全体のほぼ46%にあたるとIHSは述べている。米国で登録されている電気自動車のうちカリフォルニア州が59%を占めている。

今後2年間で市場に登場する電気自動車はさらに増え、すでに購入しているオーナーも電気自動車を使い続けると考えられることから、登録台数も増えると予想される。

最近のIHS Markitの分析では、2020年には米国で35万台以上の電気自動車の新車が販売されると見られている。これは米国全体の2%にあたる。2025年までに販売台数は1100万台以上、シェア7%と予想されている。

Inside EVsの推計によると、今年これまでに米国で最も売れた電気自動車はテスラModel 3で、これにシボレー・ボルトEV、テスラModel X、テスラModel S、日産リーフが続く。キアのNiro EVやヒュンダイのKona EVなど、新しい電気自動車も市場に登場している、あるいは今後数カ月以内に登場する予定だ。スタートアップのRivianは2020年に生産を開始する見込みだ。

IHS Markitの自動車関連アナリストのDevin Lindsay氏は発表の中で「電気自動車の急速な普及は、今後10年間に予想される成長の始まりだ。テスラModel 3など比較的成功しているモデルは市場で成熟しているが、ほかの歴史の長い自動車メーカーはこれまでのように電気自動車を1モデルだけ出すのではなく、電気自動車のプラットフォームで複数のモデルを出すようになるだろう」と述べている。

IHSの分析では、2018年第4四半期中に市場に戻った新規の電気自動車オーナー全体のうちほぼ55%が電気自動車をもう1台取得(購入またはリース)していて、これは直前の四半期の42%よりも増えているという。

Image Credits:Tesla

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

ホンダ、都市型全電動車「Urban EV」のインテリアを初公開

Hondaは2017年に、将来のビジョンについて語ったとき、都市型EVのコンセプトも少しだけ話した。そこには1970年代のCivic第一世代の面影があった。

あれから2年、そのUrban EVの量産モデルがすごそこまで来た。同社はついに(ほんの僅かではあるが)都市型全電動車の室内を垣間見せてくれた。

Urban EVの正式発表は来月の2019 Genegva Motor Showになる。その後市場に出回るまでに時間はかからないだろう。Hondaは2019年中にはEVをヨーロッパ市場に持ち込む計画だと話した。

Honda、2019 Geneva Motor Showで発表予定のEVプロトタイプのインテリア写真を公開

写真をみるとダッシュボードはテクノロジー志向ですっきりしたデザインだ。右に大型のデジタル画面が、ドライバー正面にはデジタル計器群が見える。ハンドルにはトグルスイッチがいくつもついているので、車のさまざまな機能を操作するのだろう。

ハンドルのすぐ右と、右端に見えるパネルはドライバーと助手席の人それぞれが使うように作られているらしい。位置とレイアウトからみて、タッチスクリーン画面と思われる。

Hondaは、「インテリアは暖かくて魅力的な雰囲気を目指しており、2017年のFrankfurt Motor Showで発表したEVコンセプトに由来している」と語った。

HondaはこのEVだけでなく、電気自動車全般に関して大きい計画をもっている。去る2017年、Honda Motor Co. の八郷隆弘社長・CEOは、Urban EVについて「遠い将来のビジョン」などではない、と強調した。

Hondaは電動化、すなわちハイブリッド、プラグイン、および全電動駆動を、ヨーロッパで発売する新モデルのすべてに展開する計画だ。同社は2025年までにヨーロッパ売上の2/3に電動テクノロジーを導入したいと考えている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ポルシェのEV最上位モデルは「Turbo」の名を獲得、価格は13万ドル以上

Porscheの来年発売予定の全電動スポーツカーTaycanには、少なくとも3種類のバリエーションがあり、全輪駆動車もそのひとつだ。しかし、Taycan Turbo——Porscheがシリーズ最上位車種に与える名称——こそが、同社の戦略を明らかにする。

各モデルの名前——ベースモデルがTaycan、全輪駆動モデルがTaycan 4S、そして高性能モデルがTaycan Turbo——と価格帯についてコラムニストのAlex Royが最初に報じた。しかしRoyは、”turbo” は内燃機関モデルに使用される用語だと指摘する。

[Porsche Taycon EVの高性能モデルは “Turbo” ブランドになるらしい。
内燃機関車(ICE)の用語を使うことで顧客をEVに乗り換えさせやすくなるからだ。]

Porscheの親会社であるVolkswagen Groupは、Taycanの開発に10億ドル以上投資すると約束した。Taycanとはおおまかに 「元気な若馬」という意味で、同社の象徴的エンブレムに因んでいる。

新しい電気自動車はTeslaにとって脅威だと(一部で)言われている。Teslaは現在高級電気自動車市場を支配している。Porsche初の全電動車への大規模な投資によって、ドイツの自動車メーカーは賢明にも、EVを所有したことのない人がほとんどの既存顧客ベースにとって馴染みのある名称を使用している。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Tesla、ギガファクトリー3の建設で中国と合意

Teslaは、約210エーカー(85万平方メートル)の土地を上海臨港地区に確保した。同社初の米国外工場の予定地だ。

Tesla幹部、および上海市経済情報委員会、上海臨港地区開発管理団体、上海臨港グループの首脳らが参加して、水曜日に中国で調印式典を行った。

「Teslaのミッションは世界の維持可能エネルギーへの移行を、全電動車だけでなく、スケーラブルなクリーンエネルギー生成や蓄電製品を通じて促進することだ」とTeslaの国際営業担当VP、Robin Reiが声明で言った。「上海で獲得したこの場所は、Tesla初の国外ギガファクトリーとして、高度で持続可能な開発による次世代製造拠点に向けての重要な礎になるだろう」

この土地移転はTeslaにとって重要な一歩である。最近同社は、コスト上昇によりいわゆるギガファクトリー3の建設を加速する必要に迫られていると語った。Teslaは10月始めの製造・配送レポートで、関税や外洋貨物船の輸送コスト、さらには現地生産の電気自動車に与えられる金銭的インセンティブがないなどの理由により、中国で同社が不利な立場にあることを予告した。

水曜日にTeslaは、プロジェクトは北米でのModel 3生産で学んだ教訓を生かし、「資本の効率化と急成長」を期待していることを改めて宣言した。

Teslaは7月、同社が年間50万台の電気自動車の生産能力を持つという工場を作る計画について上海市当局と合意に達した。工事が始まってからTesla車の製造が可能になるまで、約2年かかる。「工場がフル稼働して年間50万台の車を製造できるようになるにはさらに2~3年が必要」とTesla広報が当時話した。

この上海工場事業は、海外企業による完全所有施設の建設、運用を認めるという中国政府の転換を意味している。従来海外企業が中国に工場を作るためには、現地パートナーと50-50のジョイントベンチャーを作る必要があった。

中国の習近平国家主席は、海外自動車メーカーの共同事業規則を2022年までに廃止すると言った。Teslaはこの規則変更の恩恵を受ける最初の事例となる。

契約は、Teslaが臨港地区で完全所有の工場を建設、運用することを認めている。新工場では、研究開発、製造、および営業活動が行われる。

しかし、依然として中国政府は関与するだろう。協力契約の下、中国政府とTeslaは電気自動車技術と産業の発展を協力して推進することになっている。上海市はGigafactory 3を支援すると言っているが、それが意味するところの詳細は希薄だ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook