VR/AR用触覚デバイス「EXOS Wrist DK2」の無償レンタルプログラムが開始

VR/AR用触覚デバイス「EXOS」シリーズを開発・販売するexiiiは11月13日、手首装着型の「EXOS Wrist DK2」の無償レンタルプログラム「EXOS for Hackers」を開始した。

exiiiはEXOS Wrist DK2の販売を2018年10月に開始したが、販売先が“一定以上の規模の企業”に限定されてしまったという。原因は何といってもその値段で、通常販売では片手60万円(税別)、サブスクでは月額で片手5万円と確かに高額かもしれない。なので、今回のプロジェクトは予算が限られている個人開発者やスタートアップを対象としている。ユースケースの拡大やデベロッパーコミュニティの形成がその狙いだ。

応募の条件は以下のとおり。

対象:個人もしくはスタートアップのVR/ARコンテンツデベロッパー

地域:日本もしくは米国での使用を前提

期間:原則1ヶ月とし、希望の場合はexiiiと相談の上で最大6ヶ月まで延長

EXOS Wrist DK2はVR/AR内でバーチャルオブジェクトに触れることを可能とする、触覚ウェアラブルデバイス。手首の前後方向と左右方向の二方向へ力を加えることで、さまざまな触覚を提示する。Vive ControllerやOculus Touch等のコントローラと組み合わせて使用することもでき、これにより既存のVRコンテンツに触覚を付与するような拡張にも対応可能だ。

exiiiに関しては2018年4月に8000万円を資金調達した際にも記事を出しているのでそちらも参考にしていただきたい。あと、僕は今月中にも同社を取材する予定なので記事化を楽しみに待っていてほしい。

VR空間のモノに触れるデバイス「EXOS」開発のexiiiが8000万円を資金調達

VR/AR空間でバーチャルなモノに触れることができる、触覚ウェアラブルデバイス「EXOS」を開発するexiii(イクシー)。同社は2017年7月に大成建設と共同で、遠隔操作システム開発を発表。また今年2月には「CADデータに触れる」3Dデザインレビューシステム開発と、ビジネス向け開発者キット「EXOS DK1」の受注開始を発表している。

そのexiiiが4月16日、グローバル・ブレインが運営するファンドを引受先とした第三者割当増資の実施を明らかにした。調達金額は約8000万円だ。

2月に発表された3Dデザインレビューシステムは、VRにEXOSを組み合わせることで、視覚と触覚を合わせた直感的なレビューを目指したもの。製作に時間のかかるモックアップに代えて、データでデザイン検証ができるようになるもので、日産自動車のグローバルデザイン本部による活用検討が明らかになっている。

またEXOS DK1シリーズでは、手のひらを前後・左右に動かしたときの力触覚を提示してVR内のオブジェクトに「触れる」感じを再現する「EXOS Wrist」と、指の開閉の力触覚を提示することでオブジェクトを「つかむ」感じを再現する「EXOS Gripper」の2種類を製品として提供。製造・シミュレーション・エンターテインメントなど、さまざまな分野でパートナーデベロッパーを募っている。

「EXOS Wrist」(左)と「EXOS Gripper」(右)イメージ

exiiiは今回の資金調達で、EXOS DK1の販路拡大と、中長期的な触覚再現のための研究開発体制強化や次世代デバイスの開発を視野に、グローバル・ブレインと協力していくという。

exiii代表取締役社長の山浦博志氏は、「今後ますます普及していくVR/ARにおいて、触覚提示は人間とコンピューティングをより直感的に繋ぐために不可欠な技術。触覚デバイスを世界の当たり前にできるよう、チーム一同一層精進していく」とコメントしている。

お弁当にから揚げを乗せるロボを目指す、exiiiと大成建設が共同開発を開始

exiiiが開発する力触覚デバイス「EXOS」VR空間内でユーザーが物を掴める体験を提供するデバイスだ。exiiiは、このEXOSを生産工場などの作業の自動化に役立てたい考えのようだ。本日exiiiは大成建設と共同で、力触覚デバイスとロボットアームで遠隔操作システムの開発を進めると発表した。

今回共同開発するシステムは大成建設が受注している食品工場などでの導入を想定しているとexiiiのCEOを務める山浦博志氏は説明する。

こうした食品工場では力加減が必要な作業が多い。例えば、お弁当の工場の場合、から揚げを掴んで配置したり、お弁当の蓋を閉めたりといった作業が発生するが、どれも繊細な力加減が求められる。人が行うのは簡単だが、ロボットでこうした作業を自動化するのは難しい。

exiiiは彼らが開発する⼒触覚提⽰デバイス「EXOS Glove」、5指ハンド「EXOS Hand Unit」、ロボットアーム「EXOS Arm Unit」を組み合わせたシステムで、こうした作業員の力加減を再現できるロボットを構築するという。

第一段階として、まずは作業員がロボットの遠隔操作による作業を行い、人の動きのデータを蓄積していくと山浦氏は話す。データが集まったらAIに動きを学習させ、最終的にロボットが自己判断で作業ができるようにする計画だと言う。

exiiiではロボットの要素技術を開発し、大成建設では実際の工場に導入して開発を進めていくと山浦氏は話す。2017年度内にはプロトタイプを完成させ、2018年にはシステムの実用化を目指す計画だ。

EXOSはVRで物を掴める体験を提供するデバイスだが、今回の大成建設との共同開発で「ロボットの触覚がユーザーにも伝わるEXOSの用途が広がることに期待している」と山浦氏は話す。

ちなみにexiiiの5指ハンドEXOS Hand Unitは今日から一般販売も開始している。

筋電義手を手がけたexiii、VR空間上のモノを“触れる”外骨格型デバイス「EXOS」を発表

exiii 共同創業者でCEOの山浦博志氏(左)、共同創業者でCCOの小西哲哉氏(右)

exiii 共同創業者でCEOの山浦博志氏(左)、共同創業者でCCOの小西哲哉氏(右)

3Dプリンタを使用して、低価格(本来100万〜150万円程度はかかるところ、数万円で実現する)で作成できる筋電義手「handiii」、そしてその後継機でオープンソース化されている「HACKberry」を提供するexiii。同社が次に取り組んだのはVR空間での触覚を提供するプロダクトだ。同社は1月18日、触覚提示デバイス「EXOS(エクソス)」を発表した。

EXOSは外骨格型(手の外側を覆うかたち)の触覚提示デバイスだ。デバイスには角度センサーを備えたモーターを4つ内蔵しており、このモーターによってデバイスを使ったユーザーの指に対して反力を与えることで、実際に物に触れたような感触を再現できる。

僕もこのEXOSのデモを昨日体験してきたばかり。デモ環境ではHTC Viveと組み合わせて利用する環境だった(ViveのコントローラーをEXOSに付けることで、センシングの部分はViveに任せているという環境だ)のだが、VR環境に用意されたオブジェクトにゆっくり手を触れると、そのオブジェクトに触れた感覚が伝わってきた。固定されたオブジェクトを無理に押そうとすると、手に強い抵抗がかかって、それ以上押し込むことが難しく感じる。さらにおきあがりこぼしのようなオブジェクトを動かしては止め、止めては動かし……なんてことも体験できた。デモ環境では立方体や円柱状の単純なオブジェクトを触るだけだったので、今後どういったオブジェクトの触覚を体感できるかというのは未知数ではあるけれども、それでも「VR×触感」という領域に新たな可能性を感じることができた。

exiiiではVRを用いたゲームやロボットの遠隔操作、手を動かすリハビリテーションなどに利用したい考えで、今後は広くパートナーを募りたいとしている。本体の価格は非公開。今後提供する形式により決めていくとしている(当面はC向けでなく、開発者やパートナー向けの提供を検討している)。

同社は2014年設立のIoTスタートアップだ。筋電義手のプロジェクトをオープンソース化した際、共同創業者でCEOだった近藤玄大氏が同プロジェクトに注力するためexiiiを退社。同じく共同創業者であった山浦博志氏がCEOに就任したのは2016年11月のこと。EXOSは新体制での第1弾プロダクトとなる。

EXOSのデザインモック

EXOSのデザインモック

「もともと大学生の頃に外骨格を使ったリハビリの装置を研究していたので、新しいプロダクトではその知見を何かに生かせないか考えた。2016年はVRが盛り上がり、私もいろいろと体験したが、コントローラーがモノ(VRスペース上のオブジェクト)を突き抜けてしまう現象がある。これを手持ちの技術で解決できないかと考えたのがEXOS開発のきっかけ」(山浦氏)

EXOS開発には筋電義手のノウハウも大いに役立った。「人間の手には20以上の関節がある。だがそれを全て外骨格で再現すると、(複雑すぎて)動かないプロダクトになってしまう。どうやって手の動きを簡略化するかは、義手の知見があったからこそ実現できた」(山浦氏)。外骨格の機構は特許も取得している。なおデザインはhandiii、HACKberry同様に共同創業者でCCOの小西哲哉氏が担当した。

筋電義手「handiii」

筋電義手「handiii」

海外を見ると、オランダでVR用グローブ「Manus VR」なども発表されているが、山浦氏は「振動によって没入感を得られるプロダクトは他にもあるが、モーター制御で『押し戻される感覚』までを得られるかというとまた別の話。触覚は没入感を提供するだけでなく、精密作業を行うためにも必要だと思う」(山浦氏)としている。

 

SXSWに来たクールな日本のスタートアップ4チーム紹介―AgIC、SenSprout、exiii、Plen

私は今年のSXSWの取材ではBates Motelの4号室をベースにしている(この話はまた別に)。ここで、この週末、はるばる東京からテキサス州オースティンにやってきたクールなハードウェアのスタートアップをインタビューすることができた。8チームのデモを次々にに見たが、そのうちの4チームには特に強い印象を受けた。

最初のチームはわれわれが以前に紹介したことがあるAgICだ。これはユーザーが銀(Ag)を含有する伝導性の高いインクを使って専用のペンまたはインクジェットプリンターで印刷することによってサーキットボードを自作できるというもの。

AgICは今回のSXSWで回路の大型化をデモした。デモを担当した杉本雅明氏によると、新しいバージョンでは部屋の壁ぐらいのサイズの回路を作成できるという。

またAgICは小型のハードウェア・コントローラーを開発した。ユーザーはこのコントローラーを介して自作したAgIC回路から他の電子機器を操作できる。つまり自作した回路をボタンに使ってほかのエレクトロニクスを動かせるわけだ。「A」の回路を押すと照明が点灯し、「g」の回路でステレオを鳴らすといったことができる。

テクノロジーとしても興味深いが、電子回路がビジュアルに美しいものになり得るというコンセプトが特に面白かった。杉本氏は「壁紙にもできる」と言っていた。

2番めのスタートアップは西岡 一洋、三根一仁、岡田隆太朗、川原圭博の4氏によって創立されたSenSproutだ。

SenSproutは農業のための環境の水分センサーシステムだが、実はセンサーにAgICの回路プリント・テクノロジーを利用している。インクジェットで導電性インクをプリントするだけよいので、従来の水分センサーに比べてはるかに低価格で製造できる。コンセプトの実証研究の段階で、 Wiredが紹介したことがある。2ヶ月前に会社が設立され、SenSproutの商品化を目指している。

SenSproutセンサーのユニークな特長はバッテリーを必要としないことだ。なんとこのセンサーは周囲を飛び交う電波(テレビ、ラジオ、携帯等)を微小な電力に換えて作動する。モニターの結果は、専用アプリで視覚化される。

次に未来的な筋電義手を開発しているexiiiのチームが登場した。共同ファウンダーの近藤玄大、山浦博志、小西哲哉の3氏に加えてプロダクトのユーザーでエバンジェリストの森川氏がデモを行った。eiiiはは家庭の3Dプリンターで出力できる低価格で高機能かつスタイリッシュな義肢の開発を目指している。義肢を必要とする人々すべてが購入できるような製品の市販がチームの目標であり、300ドル程度を目指している。日本では義肢を必要とする人々のうち筋電義肢を実際に利用できているのは、高価格に妨げられて1%程度に留まっているという。

森川氏が実際に装着してデモを行った。森川氏は右腕を一部失っているが、exiiiの義手により500g程度の物体をつかむことができた。またアタッチメントを介してカメラを保持することもできた。

デモセッションの最後はPlen2だった。 Led by 赤澤夏郎、富田敦彦、伊藤 武仙の3氏のチームの目標は「誰でも作れる小さなヒューマノイド・ロボットによりロボットと暮らす未来をみんなに届ける」ことだという。チームはロボットの日常のツールとしての価値を幅広い層に啓蒙しようとしている。

この目標を実現するために開発された小さなロボットはパーツの大部分が家庭で3Dプリント可能だ。ユーザーはモーター部分だけを購入すれば、他のパーツは自分でプリントして組み立てることができる。組み立て済みの完成版も注文できるというが、私には「プリントして自作できるロボット」というコンセプトが面白かった。かわいらしい小さなロボットはスマートフォンやタブレットから操縦でき、歩いたり、踊ったりするほか小さな玩具の車の運転までできる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+