1人ではできない体験を“コミュニティ”で実現、共に夢を叶える仲間が見つかる「Extroom」

近年、クリエイターとファンを繋ぐコミュニティサービスが活況だ。

会員制ファンコミュニティアプリ「fanicon」やファンクラブ作成アプリ「CHIP」などこの領域でサービスを展開するスタートアップが次々と登場。クラウドファンディングのCAMPFIREも、単発ではなく継続的な資金調達や関係性の構築を支える「CAMPFIREファンクラブ」を手がける。

「DMMオンラインサロン」を筆頭にオンラインサロンの認知度も広がり、ビジネスやライフスタイルなど幅広いジャンルのサロンが生まれた。

本日4月15日にローンチされた「Extroom(エクストルーム)」も、クリエイターを軸としたコミュニティサービスだ。ただ、単に応援したいクリエイターを金銭的に支援する、もしくはビジネスのノウハウを得るために金銭を支払うタイプのコミュニティとは少し異なる。

Extroomが目指しているのは、夢を叶える仲間を見つける“共創型”の新しいコミュニティだ。

クリエイターとファンを繋ぐ“サークルのような”コミュニティ

「イメージとしては熱狂的なサークルに近い」—— Extroomを運営するblowoutでCEOを務める一ノ宮佑貴氏は、同サービスから生まれるコミュニティについてそう話す。

Extroomは実現したいことのあるクリエイターと、そのビジョンに共感したファンやユーザーを“コミュニティ”という形式で繋ぐ。

基本的な仕組みは冒頭で紹介したファンクラブやオンラインサロンの仕組みと近い。クリエイターがオーナーとなって自身のオンラインコミュニティをサービス上で開設。ユーザーはそこに月額の参加料金を支払う。

特徴はコミュニティに参加したユーザーが主体的に行動する体験型のサービスであること。サロンを主催するクリエイターはエクストルーマーと呼ばれ、彼ら彼女らが活動のビジョンや目的といった“旗”を立てる。そしてそこに共感したファンは「サークルに参加するような感覚で」共通の体験を行なっていく。

つまり、ユーザーは好きなエクストルーマーやその思いに共感した仲間と一緒に、作り手の1人として服づくりやフェス作りなどへ参加する。

たとえばすでに100人以上が参加するブランドディレクター・赤澤える氏のコミュニティでは、彼女が体験していく物事を一緒に体験できる。仕事現場に完全密着した限定映像を見たり、進行中のプロジェクトの未公開情報をゲットしたり、限定のイベントに参加したり。時には新商品やイベントのディスカッションや企画に参加することもあるという。

本日時点では赤澤氏のほか、映像クリエイターやカメラマン、VJエンジニア、テレビの放送作家などが主宰する20以上のコミュニティが立ち上がっていて、今後も拡大していく予定だ。

Google、ABEJAを経てコミュニティサービスで起業

一ノ宮氏は新卒でGoogleに入社後、AIスタートアップのABEJAを経て起業した。事業領域にコミュニティサービスを選んだのは大きく2つの背景があるという。

1つが会社のビジョンにもなっている「世の中の“かくあるべき”をなくしたい」という考えだ。

「周りからどう見られるか」を気にして新卒の就職先としてベンチャーではなくGoogleを選んだこと。学生時代に熱中していたバンド活動から離れてしまったこと。

自身の過去の原体験もきっかけとなり「こうあるべきという常識にとらわれず、自分の信念に沿って挑戦を続ける人を応援したいし、そういう人と触れられる接点を増やしたい」(一ノ宮氏)と思うようになった。

「”かくあるべき”にとらわれず、自分の信念に沿って挑戦を続ける、クリエイター(エクストルーマー)の方々は、 いろんな常識の壁にあたり、もがきながらも、自分なりの納得を求めて、日々活動しています。そのような方々に必要なのは、自分の活動を支えてくれる人たちの存在です。多くの人の力をエネルギーに変える、それがコミュニティで実現できることです」

「同時に、すべての人が、自分のいまの生活を捨てて、無理になにかに挑戦する必要もないと思っています。ただその中で、自分の人生に偽りを持つことを少なくできるよう、ワクワクすることができる機会を、この世の中に増やしていきたい、それが、このコミュニティで皆さんに届けたいことです」(同社のプレスリリースより引用)

もう1つ、一ノ宮氏に大きな影響を与えたことがある。前職のABEJAで約2年半に渡ってAIのコンサルティングに携わった経験だ。

「業務を通じてテクノロジーが世の中を良くすることは間違いないと今でも思っている一方で、AIがより進化していった先で『人間はどうなるのか』『人が人らしくあるとは何なのか』ということをずっと考え続けてきた」(一ノ宮氏)

人らしいクリエイティブな活動や、そのベースにあるコミュニケーションの起点には場としてのコミュニティが不可欠ではないか。そのような考えもあったという(このあたりの思想は彼のnoteに詳しい記載がある)。

今後の構想としてはExtroomというオンラインコミュニティを軸として、コミュニティの熱量を高めるためのオフラインの場所作りや、イベント作りを進める計画。イベントのチケットを始め、エクストルーマーがデジタルコンテンツを売れるような仕組みも整えていくという。

「コミュニティを束ねる存在として、自分たち自身が大きなコミュニティになることを目指したい。少し違う表現をするとExtroomが1つのレーベルで、個々のエクストルーマーがアーティスト。全体としてトーンを合わせながらも、各アーティストの考えや活動を大切にしながらプロデュースする。そうすることで魅力的なレーベルを作り、様々なクリエイターとユーザーが集う場所にしていきたい」(一ノ宮氏)