Facebook、「あとで読む」機能を実装する「Save」ボタンを(再び)テスト中

かつて新聞が果たしてきた役割を担いたいと、Facebookはさまざまな作戦を展開中だ。複数のニュースフィードもそのひとつだし、スタンドアロンのPaperアプリケーションもそうだ。Paper app, 人気の話題(Trending)の提供も、もちろんその一環であるといえる。しかし、流れる情報が増えてきたなか、いつでもやっていることを中断してFacebookに時間を割くということができるわけでもない。Facebookはその点にも対応しようと、どうやら「あとで読む」ための「Save」ボタンをテスト中であるようだ。さまざまなニュースフィードを「Save」しておいて、あとでまとめて読めるようになる。

この話題で思い起こされるのは、2年ほど前に行われたSpoolに対する人材目的の買収(acqui-hire)だ。Spoolは記事やビデオなどをキャッシュしておいて、あとで時間のできたときに閲覧することを可能にする「あとで読む」用アプリケーションだった。飛行機の中など、インターネットに接続していなくてもコンテンツを閲覧することができた。買収から少しして、モバイルアプリケーション上で自前の「Save」ボタンをテストしていたが、結局は採用されずに終わってしまった。MyTechSkoolによると、2013年11月にも実験が行われたようだが、このときもまた、正式版に採用されることはなかった。

そしてこの度、アントレプレナーのDan Birdwhistell氏より、「Save」ボタンがテスト中であるスクリーンショットが送られてきた。Facebookとしてはまだあまり公にしたい機能ではないようで、コメントを求めた所では「私たちは常に新しい機能をいろいろとテストしているのです。今のところとくにお伝えすることはありません」というお決まりの文言が返ってきただけだった。

しかしテスト中の「Save」ボタンについては動作の様子もキャプチャされているので紹介しておこう。外部リンクのプレビューウィンドウの下、「Like」ボタンの右上に「Save」ボタンがある。クリックすると記事はタイムライン中の「Saved」セクションに保存される。「Saved」セクションへのリンクは左側のナビゲーションバーに表示されるようになる。「Saved」セクションにジャンプすればヘッドライン、リンク、サムネール画像、オリジナルの投稿者名、およびシェアボタンが表示される。

「Save」ボタンを実装することで、Facebookはステータスアップデートや写真投稿以外の面での魅力を大きくすることを狙っている。友だち間でのリアルタイムフィードに加え、さまざまなニュースなども効率的なスタイルで提供していきたいと考えているのだ。記事を保存しておけるようになれば、時間がなかったり、あるいはフィードを見て回っているのを邪魔されたくないようなときにも、気になる記事をそのまま放置せずに済むようになる。投稿記事からのリファラルトラフィックも増えることに繋がり、ニュース提供者としてもFacebookにコンテンツを流すことを、より重要視し始めることになるだろう。

Facebookが「Save」機能を実装すれば、ニュースフィードに力点を置いているTwitterとますます直接的に争っていくことになる。Twitterの方は、既にPocketInstapaper、あるいはSafari Reading Listなど、サードパーティー製の「あとで読む」アプリケーションに記事を送ることができるようになっている。Facebookに「Save」が実装されれば、Twitterでの「あとで読む」と同様の使い方ができるようになるわけだ。今のところは、「あとで読む」対象としたい記事があれば、別タブでコンテンツを開いて、そしてPocketのChrome拡張機能などを使って保存していた人も多いことだろう。ネイティブの「Save」ボタンが登場すれば、こうした手間も必要なくなるわけだ(Pocketの買収も自然な流れであるようには思えるが、世界中のゲーマーたちがOculusの買収に不満の声をあげているように、やはりいろんな利用者を刺激してしまうことにもなってしまうのだろう)。

「Save」ボタンを有効に機能させるためには、きちんと読んでもらうための仕組みも考える必要があるだろう。「Saved」へのナビゲーションメニューの追加も、もちろん一案ではある。しかしアピールが弱い気もする。おそらくはPaperこそが、保存記事のためのポータルとして有効に機能するものとなるのではないだろうか。Paper内に保存記事専用のセクションを設ければ、かなり有効に機能するのではないかと思う。ちなみにPaperでは記事をPocketやInstapaper、Reading ListやPinboardに飛ばせるようにはなっている。しかしオリジナルの「Save」ボタンの実装で、いろいろと新しい機能も考えられるようになってくるだろう。あるいはPaperを生み出したチームによって、他でも利用することのできる「あとで読む」用のアプリケーションの提供を始めるようなこともあるかもしれない。

「Save」機能はまだあくまでもテスト中のものだ。しかしFacebookが、利用者間のみならず社会との関わりも深め、その中で「井戸端」的機能を提供しようと考えるのであれば、コンテンツの「あとで読む」化を真剣に考えなければならないことは間違いないはずだ。

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(翻訳:Maeda, H


Paper、iOS版が米国向けに公開。これはFacebookアプリに代わるかもしれない

Facebookの新しいスタンドアロンアプリ、PaperのiOS版が米国で公開された。これは単なるコンテンツリーダーではない。Paperにはメッセージ、通知、検索、そして全面デザイン改訂されたプロフィールもある。

Paperのチームリーダーたちに、まだ古いアプリを使っているかと尋ねたところ、プロダクトマネージャーのMichael Reckhowは、官僚的に「えー、まあ」と答えたが、デザイナーのMike Matasは恥かしそうに笑うばかりだった。私は追い打ちをかける彼だけに同じ質問を繰り返し尋ねた。「たまにね」。彼は秘密を漏らした。PaperはFacebook[アプリ]キラーになる。

「主としてこれ[Paper]を使っている」とMatasは続けた。「これにない機能もあって、エー・・・。そうイベントが良い例で、イベントを探したい時とか」。私はさらに圧力をかけた、「しかし、それ以外はこれで十分だと?」「私の使い方では、そうだ」とMatasは答えた。

先週の木曜にFacebookは今日のPaper公開について発表した 。詳しい機能とこれが何を意味するかについては、ここに書かれているが、これは事実上、Facebookから特定目的ごとにモバイルアプリのファミリーが巣立っていくという、CEO Mark Zuckerbergが描くビジョンの次期ステップだ。

Facebookのスタンドアロンアプリへの新しい取り組みである「クリエイティブ・ラボ」の一環として作られたPaperでは、様々なコンテンツ「セクション」を選んで一種のデジタル新聞[Paper]に追加できる。そうすれば、デザイン改訂されたニュースフィードやPaperセクションで、友達や主要出版社や有名人や新進気鋭のコンテンツ作者などからの記事を、スタイリッシュなフルスクリーン・フォーマットで読むことができる。Paperには、コンテンツをシェアする際、投稿した記事が他のユーザーからどう見えるかを正確に表示するビジュアル・コンポーザーもある。

Paper for iOSはiOS 7以降を使用している米国ユーザー向けに無料公開中。Facebookは、iPadあるいはAndroid版については現時点での計画を発表していない。アプリ名はいくつかの既存アプリと重複しており、FiftyThreeが開発したドローインングアプリもその1つで、同社はFacebookに対して、新アプリの名称変更を申し入れた。[アップデート 11:15am PST:Facebookは「ノーコメント」としながらも、この名前を継続して使用する、なぜならFiftyThreeが商標登録したのは “Paper By FiftyThree” であり “Paper” ではないからだとしている。]<

先週金曜日(米国時間1/31)に1 Hacker WayへPaperのデモを見に行く時、数多くの魅力的なアニメーションや次世代のUIトリックが見られることはわかっていた。しかし私は、われわれがどうPaperを使うかよりも、これがFacebookメインアプリの使い方をどう変えるかの方に関心があった。同社経営陣の一部はFacebookアプリから完全にPaperに移行したとか、Paper開発チームのメンバーは自分のiPhoneに旧Facebookアプリを何ヶ月もイントールしていないという噂を聞いている。

Zuckerbergは間違いなくPaperを喜んでいるようだ。Reckhowが私にこう言った、「彼はすごく気に入っているし、実際使っている。ぼくらと同じようにこの公開を喜んでいる。彼とはしょっちょう会っていて・・・いつもフィードバックをくれる。彼がはっきりとわれわれに求めたのは、コンテンツをもっと広く考え、これまでのコンテンツのブラウジングの先を考えろということだった」

Reckhowはこの公開に関して控え目で、ダウンロード数や利用率に関する目標は設定していないが、みんなに愛される物を作りたかったと言った。

「人々がAppStoreに行き、このアプリが自分の生活やホームスクリーンにどうフィットするかを考え、インストールして、使ってみて、これまでの体験が影響を受けることなくFacebookの正しい使い方を知る。そんな場面を見ることができる、すはらしい機会を得られた。われわれの仕事は、『これがたった今Facebookを使うべき方法です、全員が同じやり方で使うべきです』、と言うことではない」。

しかし、MatasとReckhowは、Paperがどうやって現在のFacebookアプリに欠けている点を改善するかについては遠慮がなかった。Matasはこう言った。

「私が置かれていた状況はこうだ。グランドキャニオンで日没を見ながら、『これは今まで見た中で一番美しくと驚くべき光景だ。みんなにシェアしなければならない』。写真を撮ってFacebookにアップする。画像は超小くて粒子も粗く、作品の魂は完全に抜かれている」

Paperは、このコンテンツに本来の表現方法を与えるためにスタートした。しかしその審美感は写真以外にも浸透した。メッセージと通知はPaper画面の上に開き、元の画面を追いやらない。プロフィール、Facebookページ、イベントは完全なモバイル第一のデザインになり、画像とスワイプ可能なフルスクリーンカードを中心として最も重要な画像を見せる。不要なものはすべて取り去られた。最終的にPaperは、本格的だが簡素化されたFacebookクライアントとして、このソーシャルネットワークの美的部分に新たな焦点を当てた。

もしPaperが人気になりすぎて、みんなのデフォルトFacebookモバイル体験になったらどうするか? Reckhowはこう答えた、「それは嬉しい悩みです」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook