無洗野菜や遠隔制御の「植物工場」も、農業ITのファームシップが1億円の資金調達

farmship農業におけるITを活用したサービスを展開するファームシップが7月20日、みやこキャピタルリバネスなどから総額約1億円の資金調達を実施した。ファームシップは2014年3月創業で、東京の本社と静岡県富士市にある研究所を拠点に2015年6月から本格始動。ともに明治大学農学部出身で、農家の家系に育った共同創業者の北島正裕氏と安田瑞希氏の2名でスタートした同社は現在15名に成長している。

ファームシップが同社が提供するのは、「植物工場」、「農産物流通」、「農業データサイエンス」の3つの事業だ。

植物工場事業は、植物工場の建設や工場栽培に適す農産物の研究。研究開発拠点の富士Labにおいて、洗わないで食べれるほうれん草、生で食べてもえぐみの少ないケールなどを研究・生産している。

農業物流通事業は、工場生産の農作物流通や、既存農家の流通支援を実施している。国内向けの流通支援だけでなく海外向け販売にも力を入れており、長野のわさびをニューヨークやロサンゼルスに輸出している。

農業データサイエンス事業は、生産と流通に関する管理をビックデータを使って実施。生産管理については、人が直接手をかける事なく照明や気温制御を行え、遠隔での制御を一括で実施できるという。生産者が畑に通って農作物の世話する農業のイメージが、スマホやPCでの操作に置き換わりそうだ。

今回の資金調達を契機に、工場センサーの開発や生産物の研究、流通サービスの開発に投資するとしている。また日本だけでなくインドネシアでの海外植物工場の施工を予定している。

第一次産業関連のスタートアップとしては、鮮魚販売の八面六臂がある。八面六臂はネットを活かして生産者や産地市場から直接購入可能なECサービスを提供している。一方、ファームシップでは直接取引ではなく、間接的な流通業者や末端の路面店なども活用できるサービスの提供を計画している。FAXやメールを使う受発注が一般的な商習慣となっている中でサービスが成長するかは、生産者に使いやすいシステムを作れるかにかかっていそうだ。