米食品医薬品局がColorの新型コロナウイルス高速検査技術を認可、LAMP法による検査工程を自動化

集団ゲノム検査サービスを提供するColorが、同社の新型コロナウイルス(COVID-19)検出技術に対し、米食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration、FDA)から「緊急時使用認可」を得た。同社によると、その精度は現在承認されている最良の方法と互角、そして結果を得るまでの所要時間は約50%早くさまざまな供給要件に応ずる。つまり、より多い検査をより早く、そして従来のようなサプライチェーンの厳しい条件がなくても実行できる。そしてColorはその検査プロトコルを、他の検査機関などに一般公開する。

3月にColorは、処理能力の高い新型コロナウイルス検査施設を立ち上げると発表した。その所要時間短縮の大部分は、遺伝子増幅法の一種であるLAMP法による検査工程各部の自動化だ。この工程の自動化は、既存のRT-PCR検査では不可能とされていた。どちらの検査も分子レベルの検査で、体の中に実際にウイルスが存在することを検出するが、LAMP法は以前にジカ熱やデング熱を検査するテクニックとして使われたことがある。

Colorは、自社開発したLAMP検査プロトコルを無料でほかのラボの独自の実装用に提供する。加えて、同社が集団でのスクリーニング検査や通常の検査用に得たデータに基づいて設計したプロトコルも提供して、労働者の安全を確保したうえでの職場復帰努力を助ける。プロトコルには2つのフェーズがあり、ひとつは職場に感染者が一人も確認されなかったが高い警戒体制を維持したいという場合、第2は感染者が何名かいて封じ込めが必要な場合だ。

Colorはすでにサンフランシスコと協力して、市民の生活に必要不可欠な最前線の行政職員に対し、同社の検査プロトコルを適用している。また、ほかにも、MIT(マサチューセッツ工科大学)とハーバード大学のブロード研究所やコーネル大学医学部ワイル研究所と共同で技術開発を進めている。今は多くの米国人が、ウイルスの拡散防止努力を継続しながらオフィスなどの再開を望んでいるが、Colorのような共同的取り組みには、知識の共有を早めその範囲を広げる利点がある。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

有望な新型コロナ抗体を米Sorrentoが発見、実験室では100%の効果と発表

カリフォルニアの新治療法研究企業、Sorrento Therapeuticsは新型コロナウイルス対策の突破口となる可能性のある物質を発見したと発表した。この物質はパンデミックの原因となっているSARS-CoV-2(COVID-19)ウイルスに対して臨床前実験で100%の感染阻止の効果を示したという。

5月15日にSorrentoは前臨床研究の論文を発表し「4日間にわたる培養で健康な細胞へのSARS-CoV-2の感染を100%阻止する抗体を発見した」と報告した。論文は前臨床研究の報告であり、まだ専門家の査読を受ける必要がある。これはインビトロ(「試験管内」という意味)の研究で、臨床前のものだが、有望な発見だ。SorrentoはさらにSARS-CoV-2ウイルスが変異しても有効な抗体の「カクテル」の開発を進めるという。

SorrentoによればSTI-1499と呼ばれる抗体が候補物質の中で際立った効果を示したのだという。同社は広汎なヒト抗体ライブラリーを持ち、数十億の候補をスクリーニングした。SARS-CoV-2ウイルスはスパイク状のタンパク質を標的細胞の受容体に結合させて細胞に侵入する。STI-1499はこの結合作用を完全にブロックする能力がみられた。つまり、ウイルスがヒトの健康な細胞に感染するのを阻止できるわけだ。

現在、Sorrentoは新型コロナウイルス治療薬を開発中だが、STI-1499は細胞への感染阻止に高い有効性があるため、この「カクテル」に含まれる最初の抗体の候補だという。「カクテル」と呼ばれるのは治療薬はウイルスが細胞と結合するのをブロックする効果のある多数の抗体を含むことになるからだ。これはウイルスがヒトからヒトへの感染ないし特定個人の体内で変異を起こしても効果が持続することを狙っているためだ。

実際、研究者が現在答えを求めている最大の問題の1つは、SARS-CoV-2変異原性だ。例えば普通の風邪のワクチンや抗ウイルス薬の開発が困難なのは、原因となるコロナウイルスが急速に変異する傾向を示すためだ。

Sorrentoが開発している抗ウイルスカクテルのCOVID-SHIELDは、さまざまな変異株に対しても効果があるよう多数の抗体をミックスさせたもになるはずだが、同社ではSTI-1499を単独の抗体として使用する研究も進めるという。Sorrentoは、STI-1499の実用化を加速するためにFDA(米国食品医薬品局)と協議中だとしている。またFDAの使用承認の取得を進める一方で、投与100万回分を生産する準備も進めている。

ただしSARS-CoV-2(COVID-19)を根絶できる「魔法の弾丸」となるようなワクチンや特効薬が、すぐに登場する可能性はほとんどないことに留意しておく必要があるだろう。そうではあっても、これは非常に有望な発見であり、今後の臨床試験の結果や使用承認のプロセスに注目していくべきだろう。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

NVIDIAの主任研究員が4.3万円で作れる人工呼吸器を開発

NVIDIAの主任研究員のBill Dally(ビル・ダリー)氏は、人工呼吸器のハードウェア設計をオープンソースとして公開した。世界的な新型コロナウイルスのパンデミックによって、人工呼吸器が不足していることに対処するためだ。ダリー氏が開発した人工呼吸器のメカニズムは、既存の部品を利用して手早く組み立てることができる。費用は総額で約400ドル(約4万3000円)程度。通常の専用人工呼吸器の価格が2万ドル(約214万円)以上であることを考えると、かなり入手しやすいものとなる。

ダリー氏の設計はシンプルさを追求したもので、主要な部品は、基本的にソレノイドバルブとマイクロコントローラーの2つだけとなっている。この設計は「OP-Vent」と名付けられた。以下のビデオを見れば、一般的な人工呼吸器のハードウェアに比べて、部品がスカスカなことがわかるだろう。また新型コロナ対策として、救急用に設計された他の人工呼吸器よりもずっとシンプルだ。

ダリー氏は、これを機械工学のエンジニアや医師からのインプットを活用して設計した。その中には、スタンフォード大学のチーフレジデントであるAndrew Moore(アンドリュー・ムーア)博士や、医療機器の専門家で、企業の共同創立者でもあるBryant Lin(ブライアント・リン)博士も含まれている。わずか5分で組み立てることができ、ペリカンケースに余裕で収まるので、輸送するのも持ち運ぶのも簡単だ。部品点数が少ないだけに、エネルギー消費も少ない。救急医療隊員が緊急対応で使うシンプルな手動のブリーザーバッグを利用するタイプよりも少ないくらいだ。

次のステップは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応機器として、FDAの緊急使用許可プログラムの認可を得ること。それから製造パートナーを探して、大量生産を実現することだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Curativeは画期的な新型コロナ検査方法で米食品医薬品局の認可を取得

診断法のスタートアップであるCurative(キュラティブ)は、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染を診断する画期的な検査方法について、米食品医薬品局(FDA)から非常事態時に限った使用認可を取得した。

同社によると、この検査方法は3月末からすでにロサンゼルス市に導入されており、5万3000人の住民が検査を受けているとのことだ。

Curativeの検査では、被験者に咳をしてもらい痰を採取することで、肺の奥のウイルスが検出できるのだと広報担当者は話している。

FDA最高科学責任者Denise Hinton(ダニース・ヒントン)氏がデジタル署名した書簡では、Curativeの検査が以下のように解説されている。

この製品の使用にあたっては、最初に口腔咽頭(喉の)スワブ、鼻咽頭スワブ、鼻腔スワブ、および口腔液検体よりSARS-CoV-2核酸を抽出し分離、純化する。次に、純化した核酸をcDNAに逆転写した後に、PCRによる増幅および認可されたリアルタイム(RT)PCR装置を用いた検出を行う。このCurative-Korva SARS-Cov-2検査は、EUA(緊急使用時許可)の要請により提出された認可手順に解説されているとおり、衛生研究所で一般的に使われているすべての市販マテリアル、またはその他の認可されたマテリアルおよび認可された補助的試薬が使用できる。

dot.LAで最初に紹介されたCurativeは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校と提携する医療研究施設KorvaLabs(コーバラブズ)と共同で検査処理を行っている。

この検査方法は、米国での検査数に歯止めをかけているサプライチェーン不足の回避を目指している。現在米国では、検査キットに必要な重要部品の調達が世界的な新型コロナウイルスのパンデミックの影響で調達困難に陥っているため、検査キット不足が続いていると同社は話す。

Curativeは、検体採取と抽出キットの部品の多くを代替する製品の生産に取り組んでいる。それを同社は、磁気シリカビーズを使用しない大規模なRNA抽出方法と呼んでいる。

同社は、もともと敗血症のための画期的な検査方法の開発を目指して2020年1月に創設されたのだが、新型コロナウイルスが世界中に蔓延するようになり、その検査に方向を切り替えた。

「私たちの目標は、新型コロナウイルス検査キットの直交的なサプライチェーンを構築することです。それにより、公共衛生と米疾病対策センターの足かせとなり生産拡大を阻んでいる材料を買わずに済むようになります」と、同社はウェブサイトで述べている。「私たちはまた必要な試薬を提供することで、医療研究所の稼働率向上を目指す事業にも協力しています」。

Curativeは、同社の検査方法は2つの点で優れていると話す。その検体採取法は、医療従事者を危険にさらすことが少ないため個人用保護具の必要量を少なくできる点、そして、代替サプライチェーンを使うことで、素早く検査を拡大できる点だ。

同社は既に1日におよそ5000件の検査を可能にしており、1日に2万個のキットを生産している。検査結果は31時間ほどで届けられる。

「多くの人が検査できる体制は、我が国の新型コロナウイルス対策には欠かせません。認可を得たことで、私たちはさらに生産量を増やし、全国に私たちの検査キットを届けます」と、Curative Inc.の創設者でありCEOのFred Turner(フレッド・ターナー)氏は話す。「私たちは、ロサンゼルス市とロングビーチ市と共同で、数千の人々がドライブスルー施設で検査が受けられるようにしましたが、この検査をさらに全国の大勢の人々にも拡大できるよう、既に万全の態勢を整えています。同時にこの検査キットを使った自宅での検体採取を許可するよう、私たちはFDAとの協議を続けています。認可が得られれば、さらに検査数を増やせます」。

新たに認可されたことで、同社は全国のさらに多くの販売業者と事業を広げることが可能になる。

Curativeの検査は既にロサンゼルスとロングビーチで導入され、ロサンゼルス郡、ロサンゼルス郡消防局、ロサンゼルス郡保安局によって組織的に実施されている。検査キットは消費者に直接販売されるものではなく、医師による注文が必要だと同社は話している。

ベンチャー投資企業のDCVCの支援を受けているCurativeだが、DCVCが有限責任社員に、望むならCurativeの検査キットが手に入ることを示唆する手紙を出したことで、早くも物議をかもした。

DCVCの手紙には以下のように書かれていた。

新型コロナウイルスの症状があり、すぐに検査を受けられない場合は、速やかにお知らせください。我々のポートフォリオに含まれているある企業との特別な関係を通じて、検査キット(簡単で早くて安全な唾液または痰のスワブによるテスト)の送付を手配します。検査結果は1〜3日で郵送されます。

これに続くブログ記事で、DCVCの共同経営者たちはその主旨を以下のように説明した。

州境をまたぐ遠隔治療を可能にする規制変更に伴い、DCVCのすべての知人のみなさんに、Carbon (Health)の優れた医療ケアと完全な検査方法のことを知っていただきたいと考えたのです。そしてもちろん、それには私たちのL.P.で働く方々も含まれます。彼らも我々同様、この厳しい時期に際し、自分自身や家族に対して難しい決断を下しています。

Carbonは素早く患者に優しい電子患者研修により今のペースを保っていますが、Curativeの検査能力が加わったことで、今後10日間で1日あたりの検査数が1万件に拡大される見通しです。この医療戦力の合体が、すべての人への医療を、まさに「手配する」のです。

私たちの表現が傲慢に聞こえたでしょうか? それについて言い訳はしません。誤解された方がいれば、とても残念に思います。誰であれ「割り込み」は許されません。私たちは、友人のみなさんと私たちのコミュニティーに、いつでも質の高い医療を受けることができ、しかも私たちのポートフォリオにある最先端技術を活用できることをお伝えしようと努めているのです。

新型コロナウイルスのアウトブレイクに対処する上で、正確な検査が最重要であることに変わりはないが、数多くのスタートアップ企業が革新的な診断方式の開発に取り組んでいる。

ハーバード大学免疫学者William Hanage(ウィリアム・ヘイネージ)氏は、Business Insiderに「社会で実際に何が起きているのかを正確に知ることが、このパンデミックに対処する上での重要な鍵になります」と話している。

画像クレジット:Andriy Onufriyenko / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

米食品医薬品局が新型コロナ治療薬候補の一部に危険性ありと再警告

FDA(米食品医薬品局)は、ヒドロキシクロロキンとクロロキンの重大な副作用について再度警告した。両医薬品は抗マラリア(および皮膚エリテマトーデスなど)薬として以前から使われているが、最近新型コロナウイルス(COVID-19)治療薬の候補として臨床試験が行われていた。しかし研究者がJAMA(ジャーナル・オブ・アメリカン・メディシン)に 発表した論文によれば、試験は「重大な副作用」のため試験は急遽中止されている。

論文によると両薬品は「初期の結果」において22人の患者の死亡を含む重大な危険が認められ、試験は中止されたという。初期試験では薬剤の大量投与を受けたグループの死亡率は39%に上った。少量投与のグループでも死亡率は15%あった。双方を総合すると死亡率は27%だった。

「試験の結果は同薬剤の大量投与に対して強い懸念を示すものとなった。毒性のリスクが効能を上回ることが明らかだった」と研究グループは所見を述べている

4月24日のFDAの警告では特にこの臨床試験には言及していないが、81人の患者を対象としており、フェーズII臨床試験として最大規模のものだった。今回FDAは「ヒドロキシクロロキンを単独あるいは他の薬剤と併用して投与された新型コロナウイルス患者の死亡に関する報告を受けている」と注意を呼びかけている。「他の薬剤」には抗生物質のアジスロマイシンが含まれている(JAMA論文によれば被験者全員がアジスロマイシンの投与を受けていた)。治験者には心臓の鼓動が遅くなるQT間隔延長や逆に速くなる心室性頻拍などの危険な症状が見られ、一部の例では死亡の原因となったという。

ヒドロキシクロロキンとクロロキンはトランプ大統領が新型コロナウイルスの治療薬として有望だと述べたことで注目されたが、フランスにおける初期の小規模調査な研究で治療薬としての可能性が認められたものの、安全性に関しては科学的証拠が得られるような臨床試験は行われていなかった。医薬品として承認されたのはあくまで抗マラリヤなどに処方されることを前提としており、大量投与には重大な副作用があることは以前から知られていた。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

LabCorpの新型コロナ検査キットが家庭用として初めて米食品医薬品局が認可

LabCorp(ラブコープ)の家庭用新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検査キットPixel(ピクセル)は、米食品医薬品局(FDA)が排除していた検査方法として、初めての緊急時使用許可(EUA)を取得した。これは家庭用の検体採取キットで、鼻腔スワブなどの検体採取用具と、採取した検体を検査機関に送るためのパッケージが含まれている。

これまでFDAは、家庭用の検査や検体採取のためのキットの使用を認めてこなかった。実際、同じように家庭で検体を採取して、新型コロナウイルスの存在を検出する分子リアルタイムCPR検査の実施をすでに許可されている研究所に送付し、検査結果を教えてもらうという検査キットを数多くのスタートアップ企業が発表するようになると、FDAはガイドラインを示し、家庭用検査キットは認可できない旨を強調していた。

FDAによれば、認可されたのはLabCorpの新型コロナリアルタイムPCR検査のみで、他の同様の検査キットは、今でも前もってEUAを取得しなければサービスは開始できないという。遠隔医療により有資格の医療専門家の指導を受けるか否かに関わらない。FDAガイドラインの例外を利用して、家庭での血清検査を実施している研究所もあるが、それは新型コロナウイルスの発症を確認するための検査ではないというのが同局の見解だは。

家庭での検査が許可されたことは(家庭での完全な検査の実施ではなく単なる検体検査ではあるが)、FDAがこれまでの方針を変更したという意味で、大きな一歩だ。FDAは先日、ガイドラインを更新し、同局は家庭用検査キットのメーカーと協力して、それを一般に普及させる最良の方法を探ると表明した。なぜならFDAは「家庭での検体検査を含む安全で正確な検査方法を通じて、新型コロナウイルスの検査の機会を増やすことに公衆衛生上の意味があると認識した」からだ。

LabCorpは40年以上の歴史を誇る米国の医療診断企業であり、Pixelシリーズには、大腸癌、糖尿病、心臓脂質の状態を家庭で検査できるものがある。FDAは家庭での検体採取の認可に道を開きたいと考える企業の中でも、業界で長年実績を積んできた相手を好んだようだ。専門家の立ち会いなく自分で検体採取を行い、パッキングして、送るといった手間がかかることで、間違いが増える恐れがあると同局は考えたのだろう。

米国では現在、新型コロナウイルスの検査は、診療所や病院に加えてドライブスルー施設に依存している。だがこれらの検査は、リスクプロファイルや症状発現など、受けるための条件が厳しい。また検査を実施する医療専門家は、自身が感染の危険にさらされる。家庭で検査ができれば、検査率が全体に高まと同時に、新型コロナウイルスパンデミックが実際にはどこまで広く、どれほど深く及んでいるかを、より正しくイメージできるようにもなるはずだ。

“新型コロナウイルス

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(翻訳:金井哲夫)

緊急用人工呼吸器のSpiro Waveが米食品医薬品局の認可を取得して新型コロナ需要に応える

新型コロナウイルス(COVID-19)重篤患者の治療に必要な人工呼吸器の不足を補う新規プロジェクトが、米国時間4月20日に大きな節目を達成した。米食品医薬品局(FDA)の緊急時使用認可(EUA)が下りて、同プロジェクトの機器の使用と量産が認められた。「Spiro Wave」(スパイロ・ウェイブ)と呼ばれるそのハードウェアは緊急用の自動人工蘇生器で、1台5000ドル(約54万円)で製造できる。技術者、医師、研究者らからなる開発チームはすでに製造を開始して、介護施設に提供している。

Spiro Waveは、基本的に手動の人工蘇生器の機能を再現する。人工蘇生器は、緊急時に救急患者に手動で人工呼吸を行う持ち運び可能な装置だが、Spiro Waveはその作業を自動化し、かつ従来の手動式と同じタイプのバッグを使うので、機材の供給が容易だ。

Spiro Waveはマサチューセッツ工科大学(MIT)のオープンソースプロジェクトであるE-Vent(イーベント)のプロトタイプデザインを基にしている。E-Ventは新型コロナ危機による機器不足を緩和する位置手段として、MITの研究者らが開発した。Spiro WaveをつくったのはNewlab(ニューラブ)、10XBeta(テンエックス・ベータ)、Boyce Technologies(ボイス・テクノロジーズ)の共同ファウンダーたちからなるチームで、E-Ventのデザインを出発点にすることで、緊急用人口蘇生器の設計と製造をわずか数週間で成し遂げることができた。

製造パートナーのBoyce社は、ニューヨーク市クイーンズ地区にある同社のLong Island City製造工場で、1日に最大500台作ることが目標だといっている。最初の数百台は既に今週からニューヨーク市内の施設に届けられている。同チームは、FDAの医療機器製造許可を取得している海外パートナーを探して製造規模を拡大し、さらに多くの台数を供給することを考えている。

開発チームによると、これは本格的な人工呼吸器を置き換えることものではないという。緊急時の現場で、人工蘇生器で十分だが、手動式では操作者の配置や長期の利用が現実的ではないという場面に使用することで、機材不足を緩和することを目的としている。緊急時使用許可が与えられている他の多くの機材と同様、これは正式なFDA認可を受けた機器や治療方法を完全に置き換えるものではないが、革新的でスケーラブルな解決方法であり、過大な負荷のかかる医療機関における治療レベルに大きな違いをもたらすだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米食品医薬品局が新型コロナ回復者に血漿提供を呼び掛けるウェブサイトを開設

新型コロナウイルス(COVID-19)の効果的な治療法の開発で、現在進められている手法の1つが新型コロナから回復した人の血漿を使ってのものだ。基本的にこれは、新型コロナに感染し、完全に回復した人が提供する血液の液体成分を使うもので、ウイルスと戦う過程でつくられた抗体を他の人に提供して治療につなげる。FDA(米食品医薬品局)は回復した患者の献血を呼びかけるとともに、可能性のある使用法を説明する専用のウェブサイトを立ち上げた。

回復した人の血漿の使用は、新しいコンセプトではない。実際1890年代後半から使われていて、1918年のスペイン風邪パンデミックの際も「結果はまちまちだった」が活用された。現代の手法は、治療法としての回復期血漿の効果と可能性を改善させることができるかもしれない。また血漿(動物と人間の両方のもの)を基本有効成分として使用した多くの薬剤が開発中だ。

回復期血漿の提供を呼び掛けるFDAの新たなウェブサイトでは、回復期血漿がどういうものか、なぜ有効な治療法としての可能性を調査しているのかを説明している。また個人が血漿を提供するにはどういう状態でなければならないのかも示していて(提供前の少なくとも28日間は症状がない、あるいはウイルス検査で非陽性が確認されてから14日たっていること)、米国赤十字社か最寄りの血液センターで提供するよう案内している。

新型コロナ治療での有効性がまだ証明されてもいないのに、なぜ大量の新型コロナ回復者の血漿が必要なのか。それは主に、新型コロナと戦うのに回復期血漿が本当に有効かを確かめる多くの研究が行われているためだ。そこにはさまざまな治療法の臨床試験や、FDAが1回限りの使用を承認する緊急研究用新薬制度を通じての患者治療も含まれる。

新型コロナを解決する可能性のある治療法やワクチンが開発途上にあるように、回復期血漿もまだ有効性が証明されていない。有効性を調べるために現在展開されている取り組みがすぐに確証を得るというのはありそうにない。それでもさらに研究を進めるために血漿需要は高まっていて、今回のウェブサイトのようにFDAが情報を提供するとともに血漿提供を広く呼び掛けるに至った。

画像クレジット:THOMAS FREDBERG/SCIENCE PHOTO LIBRARY / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

米国食品医薬品局が新プログラム導入で新型コロナ治療法の開発を加速

米国時間3月31日、米国食品医薬品局(FDA)は「新型コロナウイルス治療法をできるだけ早く市場に出す」ために公共・民間組織の密接な協同作業を支援する新しいプログラムを発表した。米国保健福祉省のAlex Azar(アレックス・アザー)行政官がプレスリリースで語っている。「新型コロナウイルス治療加速プログラム」(CTAP)と呼ばれるそのプログラムは、FDAが資源や人材を再投入するために、民間企業の研究者、科学者に「規制に関する助言、ガイダンス、技術支援を最速で与える」ことを目的にしている。

同局の提供した情報によると、CTAPは、新しい治療方法をFDAが認可するために必要な臨床試験や手続きを行う企業や研究者にかかる負担を軽減するために、すでにFDA内部で行われていた多くの作業を正式にするということのようだ。

一般社会の言葉で表現すると、FDAはさまざまな手続きを迅速化するために、臨床試験結果の評価を24時間以内に行い、一部の治療方法を患者単位に適用する例外的あるいは研究目的の利用に関する申請を「原則として3時間以内」に処理する。またFDAは、さまざまな組織やプログラムに適用できる合理的な手順を作り、テンプレート化された戦略によって処理時間をさらに短縮することも考えている。

FDAは内部組織の再編成によってこれを可能にした。別の仕事をしていた医療と規制の担当者を新型コロナ関連の承認専門にしている。

この種のプログラム導入の意味については何らかの議論が出てくるに違いない。一方でこのプログラムは新しい手法や、立証されていないが有望な技術を開発しているバイオテックのスタートアップを、FDAの密な協力によって支援できるようにする。しかしもう一方では、FDAは新型コロナ治療に関する強引とも思わえる決定に対してすでに批判を受けており、抗マラリア薬ヒドロキシクロロキンの緊急使用許可もその1つとなっている。

小規模な試験の結果は、この薬品が新型コロナ患者に一定の効果がありうるとしているが、問題は「ありうる」という部分であり、別の小規模な試験では一般的な抗ウイルス治療も同程度に効果的であることを示している。つまるところ、決定的なことをいうだけのデータはいずれにせよまだ存在していないということであり、この緊急使用許可に関していえば、新型コロナ治療のために備蓄することは、この薬品の一般的利用方法である関節リウマチの治療への利用が難しくなることを意味しており、患者の重篤度を進める恐れがある。

現在の新型コロナウイルスのパンデミックは、感染拡大と影響力において、少なくとも近代医療時代におけるウイルス蔓延という意味で前例のないものである。FDAは独自の方法でこの状況に対処する必要があるが、お役所仕事の効率化に対するプレッシャーがどんな結果を生むのか、批評家や識者が目を光らせていることは間違いない。

画像クレジット:Bloomberg / Contributor / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

フォードとGE Healthcareが小さな企業が設計した人工呼吸器を7月までに5万台生産

Ford(フォード)とGE Healthcareが、Airon Corpの人工呼吸器の設計をライセンスを取得して、2020年7月までにミシガン州の工場で5万台生産する。それは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者に必要不可欠な医療機器を提供する同社の幅広い取り組みの一環だ。

フォードはまず、エンジニアのチームをAironのフロリダの工場に送って、人工呼吸器の増産を手伝う。現状ではその工場でAiron Model Aの人工呼吸器を1日に3台しか作っていない。フォードはまた、ミシガン州イプシランティの部品工場で4月20日より、Airon Model A-E人工呼吸器の量産を開始する。その工場では全米自動車労組の500名の従業員がボランティアで働き、その給与をフォードが払う。フォードは自動車の生産をパンデミックの間中断する。

米国時間3月30日のフォードの発表によると、同社はAironの人工呼吸器を4月中に1500台、5月には1万2000台、7月までには計5万台を生産する。月産能力は最終的に3万台にまで拡大する。

フォードとGE Healthcareはまた、GE Healthcareが設計した簡易人工呼吸器を量産にも取り組んでいる。

3月30日に行われた以上の発表は、自動車メーカーと医療機器メーカーの協力により新型コロナウイルス治療のための人工呼吸器不足を緩和しようとする最新の取り組みとなる。新型コロナウイルスは肺を侵して急性呼吸促迫症候群と肺炎をもたらす。まだ臨床的に実証された治療法がないので、患者の呼吸を助け病気と戦うためには人工呼吸器に頼るしかない。The New York Timesの記事によると、米国には約16万台の人工呼吸器があり、他には国家戦略備品(National Strategic Supply)として1万2700台がある。

GMは先週、インディアナ州ココモのエンジン工場で1000人のワーカーによりVentec Life Systemsの人工呼吸器の生産を開始すると発表した。生産開始は7〜14日後で、4月中にはFDA(米国食品医薬品局)が認可した人工呼吸器を出荷される計画だ。Ventecはまた、ワシントン州ボセルの工場で増産に努めている。

フォードとGE Healthcareの提携により、Airon Corpにも注目が集まっている。小さく非上場の同社は、ハイテク空気圧式ライフサポート製品を専門にしている。GE Healthcareがフォードに導入したAiron Model A-E人工呼吸器は、同社によると気圧で動作し電気を使わない。Aironはこの人工呼吸器を2004年から製造している。

Aironの設計が選ばれたのは、シンプルな設計のためフォードが迅速に生産規模を拡大できると想定されたためだ。FDAが認可し、医師も認めるその設計は、呼吸不全や呼吸困難になった多くの新型コロナウイルス患者のニーズに応えるとGE Healthcareの副社長兼最高品質責任のTom Westrick(トム・ウェストリック)氏はいう。

今回の提携では、フォードは製造資源を提供し、GE HealthcareはAironから人工呼吸器の設計をライセンス供与し、臨床における専門的な知識を提供する。

画像クレジット: Ford

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米国食品医薬品局が新型コロナから回復した患者の血液を使った重篤患者の治療を許可

FDA(米国食品医薬品局)は、進行中の新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックに対する実験的治療の適用に関する規定を変更し、「回復期血漿」が使えるようにした。これは、患者の生命が緊急かつ深刻な危機にさらされている場合に限られる。また、認定された治療法としての手順の承認ではなく、ケースバイケースで、極端な症状の場合にのみ適用できる緊急認可としてだ。また、いったん新型コロナウイルスに感染し、その後回復した患者から採取した血漿の有効性について、今後の研究のヒントになる手段としても位置付けられている。

画像クレジット:Bloomberg/コントリビューター/Getty Images

血漿とは、人間の血液の成分で、特に液状部分を指す。その中には、身体の免疫反応を生み出す抗体が含まれてる。血漿を、患者に直接輸血する方法は、新型コロナウイルス(およびそれを引き起こすSARS-CoV-2ウイルス)に対して提案されている他のすべての治療法と同様、本当に安全で、疾病と闘うために効果的なのかどうかを確かめるために必要な臨床試験を受けていない。

そうした臨床試験が完了していないにもかかわらず、FDAは、eINDS(Investigational New Drug Applicants、申請新薬治験)の免除を与え、この一時的な承認を認可した。それもCOVID-19が突きつける現状の公衆衛生上の脅威の大きさと性格を配慮してのこと。回復した患者から採取した血漿の使用に関しては、いくつかの前臨床および臨床試験が進行中だ。そこでは、回復期の血漿が実際にSARS-CoV-2に対して有効である、という可能性を示すいくつかの有望な兆候が認められている。

回復期の血漿が疾病を撃退するために提案され、実際に試みられたのは、もちろんこれが初めてではない。何らかのウイルスに感染し、その後回復した人は、通常、それに対する免疫を獲得する。水痘のように長期に渡って有効なものもあるが、毎年流行するインフルエンザのように短期間しか有効でないものもある。論理的には、すでに抗体を獲得している人から抗体を採取し、免疫系が十分な機能を発揮していない患者に輸血するのが、少なくとも理論上は可能であることは、むしろ当然のことと言える。

回復期の血漿を輸血することは、H1N1インフルエンザのほか、SARSやMERSの流行など、これまでも大規模な感染症の発生に対して使用されてきた。ただし、結果はさまざまだ。

新型コロナウイルスに対して血漿を使用する方法については、いくつかの研究プロジェクトが進行中だ。たとえば、中国の医療専門家チームが査読を受けていないドラフト版として発行した研究がある。これは、最近に回復した患者から提供を受けた血漿を輸血した10人の重症患者に関するもの。この研究では、10人のうち5人で、輸血後すぐに抗体レベルが「急激に増加」した。他の4人の患者については、それ以前から比較的高いレベルの抗体を持っていたが、それが維持された。その結果、7人の患者については、1週間以内にウイルスが検出されない状態となった。

これは、まだ正式な臨床研究ではないが、別の小規模の臨床診療の調査でも、同様の結果が示されてる。また、ドナーとレシピエントの両方に対応している医師が使用できるような、一連のプロトコルをまとめた医師と研究者のグループもある。それによって、あちこちで行われている研究の取り組みの足並みを揃え、医学界でこの問題に取り組んでいるすべての人が、共通の戦略で作業できるようにしようというものだ。

ニューヨーク州知事のAndrew Cuomo(アンドリュー・クオモ)氏は、州の保健機関が、回復期の血漿の試験を今週にも開始すると発表した。これについては、FDAの長官、スティーブン・ハーン(Stephen Hahn)博士も、先週のホワイトハウスのコロナウイルスに関するタスクフォースのブリーフィングで、早い段階で期待の持てる領域として言及している。

すべてのドナー患者は、検査を受けて、ウイルスを感染させるリスクがないことを確認する必要がある。また、通常の献血者としての資格を得る必要もある。これは、州および連邦政府の機関によって実施されている既存の規制に基づく検査による。初期の研究には、血漿輸血が予防的な効果を発揮することを示すものもある。つまり、まだウイルスに遭遇する前の健康な人にも有効だという。ただしFDAは、予防的な治療を明確に禁止している。

現在開発中の他のすべての治療法と同様、この方法も、まず効果を確かめ、それが一般的に適用可能であることを検証するためには、多くの試験と研究を必要とする。それでも、多くの研究者が、この課題に取り組んでいる。というのも、これまでのところ、症状がかなり重篤な段階に進んでいなけば、より効果的な方法であることが示されているからだ。回復期の血漿による治療は、けっして新しいものではなく、むしろ古典的な方法だ。それでも、比較的安全であるという利点がある。それは、通常の輸血と同様、ドナーがもはや活性化されたウイルスを保有していないことが確認された場合に限られるのはもちろんだ。というわけで、実用化までにまだ時間のかかる他の開発中の治療技術と並んで、今後の最新情報を見守るべき治療法と言えるだろう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

新型コロナ検査の「自己綿棒拭き取り」は医師による検体採取と同等の結果

今週、米国食品医薬品局(FDA)は、新型コロナウイルス検査の自己検体採取を認めるガイドラインを改訂すると発表した。これは患者が自分で綿棒を使って鼻から検体を採取し、医療従事者に渡して検査するものだ。米国時間3月25日、UnitedHealth Group(ユナイテッドヘルス・グループ)は、大規模な相互監視研究の結果を発表し、この侵襲性の低い検体採取方法に切り替えることの科学的根拠を示した。

ただし自己拭き取りプロセスはFDA認可検査を行うことのできる場所を変えるわけではない。このガイドライン拡大は採取方法にのみ適用される。つまり多くのスタートアップが市場参入を期待している自宅における綿棒によるPCR検査は未だに保留されている。

この最新研究は、自己拭き取り方式が、新型コロナ感染者から医療従事者にウイルスを伝搬させる可能性を減らすだけでなく、医療専門家が患者の鼻孔の奥深くから検体を採取した場合と同等の効果があることを示している。ユナイテッドヘルスはBill & Melinda Gates Foundation(ビル&メリンダ・ゲイツ財団)、Quest Diagnostics(クエスト・ダイアグノスティクス)およびワシントン大学と共同でこの研究を実施し、ワシントン州のOptumCare(オプタムケア)診療施設で検査を受けた約500名の患者を対象とした。

自己拭き取り採取方法にはほかの利点もある。特別に訓練を受けた医療専門家が診療現場で検査に立ち会う必要がなくなることがその一つだ。これは要因不足による積み残しを解消するはずだが、検査を希望する患者の増加にともなう物資や検査機関の不足は今後も避けられないだろう。

画像クレジット:MIGUEL MEDINA / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Mesa Biotechのわずか30分で結果が出る新型コロナ用迅速検査をFDAが緊急承認

米国食品医薬品局(FDA)は緊急使用許可(EUA)の権限を利用して、米国内で利用可能なCOVID-19こと新型コロナウイルス感染症の検査資源を拡大しているが、ついにわずか30分で結果が得られる別の迅速検査を追加することになる。Mesa Biotechの検査は診療所や病院を含む医療の最前線で使用できるほど小型で、かつ複数の検査を並行して実行できる。

Mesaの迅速検査は、米国時間3月23日の月曜日に承認されたCepheidに続くものだ。どちらもPCRベースの分子検査で、患者の粘液サンプル中のウイルスDNAの存在を識別する。これらのテストは、実験室レベルの結果が提供でき、より迅速でサンプルを収集し現場から離れた検査施設へと輸送せずに実施できるので、新型コロナウイルスの感染と戦うための重要な技術資源の分散を防ぐことができる。

現場での検査は、利便性と迅速な結果が得られるという点でメリットがあるだけでなく、医療従事者がウイルスにさらされる可能性を制限するという利点もある。現場でテストすることは、物流や配送に関わる人だけでなく、ラボの技術者や専用の診断担当者を含むより多くの人々が、ウイルス感染の可能性を心配しなくていいいことを意味する。

これらの検査には、施設がMesaのAccula検査システムを導入している必要がある。しかしこの装置はインフルエンザの検査だけでなく、それほど深刻ではない他の検査にもすでに使用されており、以前のSARSを含む世界的なパンデミックと戦う最前線での使用に対処するために、特別に設計されたものだった。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

Amazon Careが新型コロナウイルス自宅検査キットの配布と回収をシアトルで試行

Amazon(アマゾン)は、自宅で使える新型コロナウイルス検査キットを配布し検体をFDA(食品医薬品局)認定検査施設に送るサービスを、ゲイツ財団が一部支援する新たな研究イニシアティブと協力して実施する。Amazon Care(アマゾン・ケア)は当初社員の健康維持目的で設置されたAmazonのヘルスケア部門だが、本プロジェクトで検査キットの配送および検体の検査機関への送付を担当する。CNBCが最初に報じた

FDAは数日前にガイドラインを変更し、新型コロナの民間機関での検査を可能にするために拡大された緊急使用許可の対象から自宅での検査を除外したが、シアトル新型コロナウイルス検査ネットワーク(SCAN)とアマゾン・ケアの提携によって実現したこの取り組みでは、郵送や宅配ネットワークといった従来の配送手段の利用を避けている。検査キットの配達と引き取りを担当するアマゾン・ケアのドライバーは、繊細な医療物資を適切に扱うための専門的な訓練を受けており、SCANは「新型コロナウイルスが大シアトル圏でどのように拡散するかを理解する」ために実施される限定的な研究プロジェクトだ。

配布される検査キットの数は限られているが、現在米国のドライブスルー検査機関で実施されている綿棒による拭き取り検査が用いられる予定だ。検体が新型コロナウイルス陽性を示した場合、医療従事者が被験者に連絡を取り、治療や伝染防止など次の行動を指示する。

SCANは、シアトル市とキング郡の公衆衛生局が連携した結果生まれたプロジェクトであり、地域内のインフルエンザ蔓延を研究するSeattle Flu Studyという類似のプロジェクトを立ち上げた病院、医療団体チームの協力も得ている。蓄積された研究やモデリングの成果は新型コロナウイルスの研究に応用され、研究者がこのパンデミックに集中する間、インフルエンザの研究は保留される。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米国食品医薬品局が医療現場で使える新型コロナ向け新検査方法を認可

米国食品医薬品局(FDA)は、米国の新型コロナウイルス検査能力拡大に役立つ機器や検査システムに対する「非常時使用許可」をより迅速に与える方針だ。米国における検査数は人口の割合と比較して諸外国より遅れている。つい最近認可された検査システムは、患者が受診している最前線の病院や診療所での利用拡大が期待されている。専門の検査機関との往復を必要としない方法だ。

先週FDAが認可したCepheid(セファイド)社の新型コロナウイルス検査は、鼻孔用綿棒を使用してもしなくても検査できるのが特徴で、鼻孔用綿棒の供給が世界的に逼迫している現状では重要な利点だ。利用している遺伝子PCR法は、すでに全米で実施されている専門機関の検査と同等の精度を得ながら、同社のGeneXpertというインクジェットプリンターほどの大きさの診断キットを使用することで医療現場で結果を見ることができる。

Cepheidによると、同社の超小型GeneXpert検査装置はすでに世界で約2万3000台使用されており、米国内には約5000台あるという。同社の装置はすでに何年間もインフルエンザの検査に使用されており、高い精度を示している。同システム向けの新型コロナウイルス検査は、来週カリフォルニア州サニーベールにある同社から出荷開始される。

米国内の検査数はこの1週間で増加しており、特にニューヨーク州など影響の大きい地域で拡大のためのさまざまな努力がなされた結果だ。しかし、検査の需要は今もまだ高まっている。検査能力に限りがあるということは、感染経路や高リスクであることが確認された場合など、最も重篤なケースでのみ検査が行われていることを意味している。

セファイド社のシステムや、Scanwell(スキャンウェル)が近日提供予定の被験者の血液中の抗体を探す方法には、個人が自宅で検査できる可能性がある。これは新型コロナ軽減戦略のために検査能力を拡大する上で重要だ。

画像クレジット:Cepheid

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

15分で終わる新型コロナ家庭用テストをScanwellが開発、FDAの承認待ち

スマートフォンベースでの尿路感染症テストを手掛ける在宅診断スタートアップのScanwellが、新型コロナウイルスの家庭用テストを米国民に提供するべく取り組んでいる。中国の診断テクノロジー企業INNOVITAが開発したこの技術は、FDA(米食品医薬品局)に相当する中国政府の当局にすでに承認され、中国では「何百万」という人が使用している。このテストは家庭で行うことが可能で、遠隔からの医療専門家によるガイダンスに従いながら15分で終わり、結果は数時間で判明する。

ScanwellのテストはFDAの承認が必要だが、FDAの緊急認証プログラムを通じてすでに現在承認を得る過程にあるという。FDAのガイダンスでは承認プロセスには6〜8週間かかるとされている(もっと早くなることもある、とScanwellは話している)。そして現在、Scanwellは承認され次第すぐにテストを出荷できるよう、準備を進めている。FDAが緊急認証プログラムでこれまでに承認したのはPCRテストのみだが、今週初めに血清テストも含めるようガイダンスをアップデートした。Scanwellは「FDAの承認を得るのに何ら心配はしていない」とさえ話す。

Scanwellがローンチしようとしているテストは、患者の血液の中の抗体を探すという、いわゆる「血清学的な」テクニックを使っている。これらの抗体はSARS-CoV-2ウイルスにさらされたときにだけ出現する。現段階では、これらのウイルスに対する自然抗体がウイルスにさらされることなく存在するという証拠は見つかっていない。それとは対照的に、現在米国で使用されているタイプのテストである「PCR」は、ウイルスが粘液サンプルの中に遺伝子として存在するかどうかを確かめる分子ベースのアプローチをとっている。

PCRタイプのテストは、血清学的なものよりも専門学的にはより正確だ。しかし血清学バージョンははるかに扱いが容易で、より早く結果を得られる。また、全体的にはかなり正確で、PCRバージョンよりずいぶん低コストで生産できる。加えて、症状が出ている最もシビアなケースだけに限定せずに検査できるようになるかもしれず、すでに自宅で回復している症状がマイルドな人、無症状だがウイルスを持っていて他人にうつす可能性のある人を含め、ウイルスの存在を見つけ出すのに大きく貢献する。

月曜日からEverlywellが展開する予定のもののように、PCRベースの家庭用テストはすでに存在しているが、これらはテストサンプルの回収が必要で、時間もかかる。また、複雑でコストもかかり、世界的に現在不足している綿棒などの材料を必要とする。

テストが利用できるようになれば、人々はScanwellのScanwell Healthアプリにあるスクリーニングプロセスで申し込みができ、テストは翌日配送で届けれられる。検査を受ける人にはLemonaidの医師や看護師が遠隔から案内し、結果やその後のガイダンスはアプリ経由で数時間以内に示される。このテストは70ドル(約7800円)で、純粋にコストのみの費用とのことだ(Scanwellはまた、必要な人への無料サービスを提供する方法も模索している)。この検査はまずはワシントン州、カリフォルニア州、ニューヨーク州と新型コロナウイルス感染状況が深刻な他のエリアで展開される見込みだ。

テストがマーケットに出てくるまでに6〜8週間かかるとのことだ。しかし現在のCOVID-19の急速な広がりやテスト状況を考えたときに、6〜8週間というのは長いが、おそらくその頃にはこのテストがかなり必要とされているだろう。特に現在行われている他のテストを受けるための条件を満たしていない人のニーズに応えるものになる。

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(翻訳:Mizoguchi

米食品医薬品局が検査スピードを最大10倍に高める新型コロナ検査を承認

Bloomberg(ブルームバーグ)によると、FDA(米食品医薬品局)は既存の方法と比べて、患者の検査率を最大10倍に高める新型コロナウイルス(COVID-19)の新検査に対し、緊急使用許可を発行した。スピードの改善は具体的には検査プロセスの技術的能力拡大によるものであり、実際検査が受けられるかどうかはまた別の問題として残っている。だが、緊急使用許可を取得した最初の商業的に利用可能な検査であり、この検査には米国内の既存の機器が多く使える。

新型コロナウイルスの感染拡大と戦い、制御する試みの中で、検査は中心的な役割を果たす。ウイルス感染者にはさまざまな症状がみられるが、感染者の多くが非常に軽い症状しか示さない可能性がある。1日に大量の患者が検査できる効果的で広く利用可能な検査方法を持つことは、防衛戦略の重要な部分だ。感染した集団の範囲を的確に特定し、社会的隔離やお互いに距離を保つことのような緩和戦略を強化することができるからだ。

緊急使用許可が下りた新検査では、Rocheロシュ)の少し前の検査機器で1日最大1440人、より新しい機器では4128人の患者を検査できる。ブルームバーグによると、米国では両機器が現在約110台利用可能で、今後新型コロナ対策が強化される数週間で「かなり」の量が導入されると指摘している。この検査では患者の唾液や粘液を分析し、患者が既知のコロナウイルス株に感染しているか判断する。

米国における新型コロナ検査へのアクセスは、今週の議会公聴会を含め、これまで医療専門家や専門家から厳しく批判されてきた。オブザーバーらは、韓国、中国、日本など、感染の指数関数的な曲線を緩やかにすることに成功した国々で、優れた検査が大量かつ広範囲に利用可能な点に注目している。今回の承認により、米国の民間の検査機関で広く検査が利用可能になるはずだが、米国の患者の検査率に実際どこまで影響があるのかは依然不透明だ。

画像クレジット:Ben Birchall – PA Images / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

米食品医薬品局は新型コロナに対する認可前の検査方法を許可

FDA(米国食品医薬品局)は米国時間2月29日、全国の有力な大学病院や医療施設で、新しい診断技術を使った新型コロナウイルス(COVID-19)の検査を許可することになると発表した。

このFDAの新たな取り組みは、「さまざまな米国内の政府機関が、新型コロナウイルスが米国内で流行する危険に対してなんら効果的な対策を取っていない」という批評家による非難を受けてのもの。昨年12月上旬に中国の武漢で最初の症例が報告されて以来、潜在的なリスクが認識されていたにもかかわらず、準備ができていないという批判だった。

この新型ウイルスへの感染が、いよいよ米国内でも確認された状況の中、CDC(米国疾病対策予防センター)は、これまでわずか459件の検査しか実施していなかった。一方中国では、1か月前から新型コロナウイルスに対して、5種類の民間による検査が市場に登場し、すでに週に最大160万件の検査の実施が可能となっている。Science Magazineのレポートによると、韓国でもこれまでに6万5000人の検査が実施されたという。米国内での最初の検査は、欠陥のある試薬を含む検査キットが配布されたことで、キットそのものが役に立たなくなり機能しなかった。

ウイルス流行の可能性への対応を誤っているとして非難されているのはCDCだけではない。ワシントンポスト紙の記事によると、米国時間2月27日には、米保健福祉省に対して内部告発者による不平が提起された。それによると、同省は十数人の職員を十分な訓練と装備もなく、武漢に派遣して米国人の救出に当たらせたという。

そしてFDAは、米国内の研究センターに対して、まだ承認されていない新しい技術を利用することを認めることにした。全国の医療機関が実施できる検査数を緊急に劇的に増加させるためだ。

「この施策が、今回の公衆衛生上の緊急事態にあって、適切なバランスをとったものになると信じています」と、FDA長官のStephen M. Hahn(ステファン・M・ハーン)博士は、声明で述べている。「私たちは、臨床試験に先立って科学的なものであることを保証し、FDAから独立した批判的な見解にも耳を傾けていきます。これも、米国内の検査能力を急速に拡大するためです。EUA(緊急使用許可)を認可する基準は変更していません。今回の措置は、重大な公衆衛生のニーズに対して、動的に変貌する状況に迅速に対応し、適応するという私たちの公衆衛生に対するコミットメントを反映したものです」。

新しいポリシーにより、研究機関からのEUAリクエストに対する審査をFDAが完了する前に、同機関は検証されたCOVID-19診断の使用を開始できるようになると、FDAは声明で明らかにした。

HHS(米国保健社会福祉省)が、公衆衛生上の緊急事態、あるいはそうした事態が発生する重大な可能性を認めた際には、FDAはEUAを発行して医薬品の使用を許可し、病気の診断、治療、または予防に当たることができる。HHSの長官は、COVID-19コロナウイルスの流行は、まさにそのような緊急事態であると、2月4日に判断していた。

これまでのところFDAは、COVID-19に対する1つのEUAを認可し、すでにCDCや他の公衆衛生の研究施設で使用されていると、FDAは明らかにしている。

「世界的にCOVID-19が発生していることは懸念事項であり、米国内での検査能力を向上させる、今回のFDAの取り組みに感謝します」と、CDCの国立免疫及び呼吸器疾病センター(NCIRD)のセンター長であるNancy Messonnier(ナンシー・メソニエ)博士は述べた。

新しい診断検査法の開発は、BARDA(Biomedical Advanced Research and Development Authority=生物医学先端研究開発機関)によって管轄されている。これは、HHSオフィスの一部門であり、健康問題に対する準備と対応を担当している。

「このステップは、開発コストを削減し、より多くの検査機関で利用できるようにするためのプロセスを高速化し、民間での開発を促進する可能性があります。そして最終的には、人名の救助に貢献するでしょう」と、BARDAのRick Bright(ディレクター、リック・ブライト)氏は述べた。

カリフォルニア州レッドウッドに本拠を置くゲノムシーケンシング用デバイスメーカーのGenapsysのようなスタートアップや、ソルトレイクシティにある分子診断学のスタートアップ、Co-Diagnosticsは、それぞれすでに中国政府と欧州の検査機関からアプローチを受けている。

米国では、多くの大規模な上場企業やスタートアップが、新型コロナウイルスを検出するために利用可能な新しい診断ツールの開発に取り組んでいる。

「BARDAでは、この業界のパートナーを選定して迅速な診断方法を開発し、民間や病院の研究室、さらには開業医の診療所でも利用できるようにするつもりです。それにより、医療従事者とその患者が、行動を起こすために必要な情報を得られるようにします」とブライト氏は述べた。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

FDAはJuulが「法律を無視した」と非難し何らかの対応をとる可能性があると警告

FDA(米国食品医薬品局)は、電子たばこ大手のJuul(ジュール)に対して、同社がその製品ならびに10代の若者を対象にして行っている誤解を招くような主張を、非難する2通の書簡を送った。その書簡は関連する大量の質問に対して、書面による回答を要求しており、Juulに対して2週間以内の対応を迫っている。もしそれが果たされない場合には「より積極的な行動も辞さない」と規制当局は警告している。

FDAが争う具体的な内容は、Juulが自社の製品を、禁煙のための製品として位置付けていることと関係している。さて、べーピング(電子タバコの喫煙)が、スモーキング(実際のタバコの喫煙)をやめるために役立つという主張は、なんとなく明らかな気がするかもしれない。だが、ニコチンパッチや他の製品とは異なり、べーピングに伴う危険に関する包括的な文献は多くない。そして複数の人間がべーピングとの関連が疑われる肺疾患で死亡していることから、何らかの考慮がなされるべきだと思われる。

関連記事:米CDCが電子たばこの使用を控えるよう警告、関連が疑われる肺疾患が増加

「彼らは、その具体的な製品が、実際にリスクや有害性が低いことを、科学的証拠と共に実証する必要があります」とニュースリリースの中で語るのは、FDAのコミッショナーであるNed Sharpless(ネッド・シャープレス)氏だ。「Juulは法律を無視しており、非常に憂慮すべきことに、私たちの国の若者を狙って、彼らの主張を行ってきました」。

Juulは若者が頻繁に出入りしているソーシャルメディアチャンネルを直接ターゲットにしていると伝えられている。そしてシャープレス氏は「この流行に対して、Juulは何らかの対処を行うという約束をしたのにも関わらず、Juulの電子タバコ製品の消費の大きな割合が、子供たちに流れ続けているのです。こうした若者による利用が伸びた理由の一部は、Juulの製品デザインとプロモーション活動、アウトリーチ活動による直接的な結果なのです」。

「電子式ニコチン供給システム」(ENDS、electronic nicotine delivery systems)のリスクに関する最近の議会公聴会では、Juulの代表者が学生に対して、同社の製品は「紙巻きタバコよりもはるかに安全」「完全に安全」「FDAはもうすぐ、電子タバコが紙巻きタバコよりも99%安全だと発表しようとしている」と語った証拠が提出された。

関連記事:Using the same tactics as ‘Big Tobacco,’ Juul may have intentionally targeted teens

このような表現は、明らかに学生の間で、そしてネイティブアメリカンコミュニティの間でも、幅広く行われたようだ。しかし、それは気軽に口に出して良いような種類の発言ではない。禁煙製品は規制された、本質的には医療製品であり、FDAはそれを注意深く精査している。主張は文書化され、評価されなければならない。

これまでJuulは、その公式声明の中では、一線を超えないぎりぎりの場所を歩いてきたように見える。そして非常に注意深くそのメッセージを準備して人々にそのデバイスが喫煙の良い代替手段になるということを納得させようとして来た一方で、FDAの注意を引くような主張は行ってこなかった。しかし、彼らはついにその一線を乗り越えてしまったようだ。そのために彼らが避けたいと思ってきた精査を招き寄せてしまったのだ。

FDAはJuulに対して「当局は貴社に対して、Juul製品が他のタバコ製品よりもリスクが低く、有害性が低く、曝露量が少なく、また安全であることを(明示的あるいは暗示的であることを問わず)述べている声明や表現に関わる、ありとあらゆる科学的証拠およびデータを、消費者認知度調査も含めて提供するように要請する」と伝えている。

さらには、Juulに対してなぜニコチン依存症を高める可能性のある、5%というニコチン濃度を使用しているのか、そしてなぜとげとげしさを緩和し高いニコチン濃度を可能にするニコチン塩を使用しているのか、についての説明を求めている。

べーピングが原因だと思われる現在調査中の肺の問題とは独立した質問だと思われるが、FDAはまた、デバイスから生まれたエアロゾル粒子のパーティクルサイズ分析、デバイス、e液体、そして燃焼した紙巻きタバコの、薬物動態学調査に関する実験デザインとデータ、ニコチンとニコチン塩の発生の比較、ニコチンのレベル、成分量、そして発生のスペックを含むデバイスとe液体のデザインと性能が、使用を重ねるうちにどのように肺への堆積に影響するのか、そして製品への依存を引き起こす可能性があるのかなどについても報告を求めている。

言い換えるなら、なぜそのプロダクトをこのように依存的で、かつ非喫煙者にとって魅力的なものとしてデザインしたのか、そして発生した物資が肺に障害を与えると知っていたにも関わらずこのようなデザインにしたのか否かを報告せよということだ。

Juulは声明の中で、「現在書簡を精査している最中です。当局への協力は惜しみません」と述べている。

関連記事:Juulはいかにして人びとを電子タバコの煙に巻いて、380億ドルもの価値を生み出したのか

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(翻訳:sako)

抗うつ剤における30年ぶりの大進歩、米食品医薬品局がエスケタミン点鼻薬を承認

米国の食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)は米国時間3月5日、新しい抗うつ剤の承認を発表した。ケタミン誘導体エスケタミン(esketamine)を用いるこの抗うつ剤は、うつ病治療の歴史において数十年ぶりの大きな進歩だ。

Johnson & Johnson(ジョンソン・エンド・ジョンソン)がSpravato(スプラバート)という名前で発売するこの薬は、経口抗うつ剤と併用する点鼻薬(ないし鼻腔噴霧剤)で、そのほかの治療法に反応しない患者を対象とする。スプラバートはProzac(プロザック)以来久しぶりの、FDAが承認する重要な抗うつ剤だ。これまでの抗うつ剤に比べて副作用が少ないとされるプロザックが発売されたのは30年以上前で、それはほかの薬に比べて即効性がある点でも注目された。

FDAがケタミンを麻酔薬として承認したのは1970年だが、どんな用途にせよ、エスケタミンを承認するのはこれが初めてだ。ケタミンはレクリエーション薬として人気があったが、医師は、抗うつ剤などの治療法に反応しない患者に何年も前から、適応外として処方してきた。FDAの諮問委員会は、14対2(棄権1)で2月に承認した。

FDAによるエスケタミンの承認には但し書きがあり、それはリスク評価軽減戦略(Risk Evaluation and Mitigation Strategies、REMS)のもとに使用しなければならない。その流通と配布の方式は制限され、安全性への重視により薬物による鎮静化や人格解離を避けるとともに、濫用や誤用の可能性のある配布を行ってはならない。患者はその点鼻薬を自分で投与するが、それは医師の診察室や医療機関においてのみ許される。スプラバートを家に持ち帰ってはならない。

スプラバートの有効性は、3回の短期治験と1回の長期治験で評価された。各4週間の短期治験のひとつでは、ときには2日以内に、プラセボ(偽薬)との対比でスプラバートと経口抗うつ剤の組み合わせが「統計的に有意な効果」を示した。ほかの2回の短期治験は、効果が既定の統計的試験の規準を満たさなかった。

長期治験では、安定化し二つの医薬の組み合わせを継続した患者が、経口抗うつ剤とプラセーボの点鼻薬を投与した患者に比べて再発までの時間が「統計的に有意に長かった」。

画像クレジット: Janssen

〔訳注: ネット上に散在する情報によると、ケタミンやエスケタミンはいわゆるドラッグの一種としてその健康被害が懸念されている。したがって、個人的な入手や使用を試みるべきでない。〕

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa