Windows 10のBashシェルはUbuntuだけでなくFedoraやSuSE上でもサポート、デベロッパーの要望に対応

Microsoftの昨年のデベロッパーカンファレンスBuildで最大の驚きは、同社がUbuntu系LinuxサブシステムをベースとするBashシェルのサポートを、Windows 10に組み込もうとしていることだった。その機能はWindows 10 Anniversaryアップデートのリリースとその後の数か月で広範囲に実装され、その後のアップデートも頻繁に行われたが、Ubuntuがベースであることは変わらなかった。しかし今日の同社の発表では、これからはOpenSuSEFedoraのサポートも加わることになる。

デベロッパーがWindows 10の設定メニューで“developer mode”を有効にし、Linuxのサポートを指定すると、デベロッパーはWindows Storeへ行って三つのLinuxシステムのどれかのサポートを、クリック一つでインストールできる。なお、このインストール手続きは、以前のそれに比べると新しくて大幅に使いやすくなっている。さらにまた、Linuxの三つのフレーバーをすべて並行的に動かすこともできる。

MicrosoftのWindows Developer Platform担当VP Kevin Galloによると、Bashと競合するほかのシェルのサポートはリクエストが多くなくて、しかしUbuntu以外のそのほかのディストリビューションのサポートは、リクエストがとても多かった。最近のMicrosoftのお題目は“デベロッパーがいるところでデベロッパーに会う”(meeting developers where they are)だから、そのほかのLinuxベンダーと協働して、彼らのディストリビューションもサポートすることにしたのだ。

Bashシェルが三つあって、それぞれがWindowsデスクトップの上で並行に動く複数のLinuxフレーバーの上で使えるなんて、なんだかけったいではあるけど、たぶん最近のMicrosoftとデベロッパーの関係は、そのほかの面でもこんな具合なのだろう。オープンソースのエコシステムは最近の数年間で、かなり様変わりしたのだ。


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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Fedora LinuxがRaspberry Pi用リミックスPidoraをリリース

Red HatのFedoraプロジェクトは、35ドルの小さなコンピュータRaspberry Piをこれまでもサポートしてきたが、今日からは、本来のFedoraディストリビューションをPiのために特別に“リミックス”したバージョン、Pidoraの提供を開始する。DebianのRaspbianディストリビューションと同じく、Raspberry Piとその上のハードウェアを有効利用できるように、特別にコンパイルされている。.

Pidoraには、ふつうのFedoraのデスクトップ体験にないものが二つある。まず、非力なPiのためにGUI/ウィンドウマネージャはGNOMEではなく、より軽量なXFCEだ。またモニタなしで使うユーザが多いと想定されるため、使いやすいヘッドレスモードを備えている。Piにスピーカーをつなぐと、そのIPアドレスを大声で言ってくれる。頭がいいね。

PidoraをビルドしたのはSeneca*のCentre for Development of Open Technology(CDOT)だ。ここは2年前から、FedoraのARMv5tel/armv7hlビルドも手がけている。もちろんその経験が、Pidoraにも活かされている。PiはARMv6だが、FPUは特製でARMv6のスペックにはない。〔*: Seneca, カナダのトロントのセネカ大学。〕

CDOTのChris Tylerによると、Pidoraの制作には3つの難関があった:

  1. ビルドの手順 — ソースパッケージは10K以上もあり、複雑なため、順番を間違えると依存関係が循環状になってしまう。
  2. ARMv6固有の問題 — ARMビルドではarmv5とarmv7がもっともふつうのターゲットだ。一部のパッケージには、armv6非互換の部分がある。
  3. ネイティブビルディング — Fedoraはネイティブビルドに固執する。つまり、コンパイル後のコードを実行できるシステムの上でパッケージをビルドしなければならない。

Raspberry PiのオーナーにとってPidoraが魅力的な選択である理由を、Tylerは次のように語る:

PidoraにはRaspberry Pi固有のPythonモジュールとライブラリ…WiringPi, bcm2835, python-rpi.gpioなど…がある。カーネルもRaspberry Piのインタフェイス…I2C, SPI, シリアル, GPIO…を露出するようコンパイルされており、一部は専用のライブラリやモジュールなしで(bashからでも)/sysのファイルインタフェイスでアクセスできる。また、GPUのBroadcom Videocore IVにアクセスするためのRaspberry Pi固有のユーティリティやライブラリもある。

ぼくはごく最近Piを手に入れたが、昨晩PidoraをSDカードにインストールした。何のトラブルもなく、すぐ動いた。

Fedoraは何年も前から、Fedora Linuxを載っけたUSBスティックを提供している。今後はあちこちのカンファレンスやイベントの会場で、Pidoraの載ったSDカードが配られるようになるのではないかな。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))