米のシリコンバレーの後を継ぐのは欧のグラフェンバレーだ–EUが10億ユーロの研究助成金を提供

【抄訳】
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EUの“政府機関”の一つである欧州委員会(European Commission, EC)は、グラフェンに関する研究プロジェクトを、大規模研究助成施策Future and Emerging Technologies(FET)(未来および最先端技術)の二つの最優秀プロジェクトの一つに認定した。今後10年にわたって、総額10億ユーロの研究助成金が授与される。これはECとしては過去最大の研究助成金施策だ。もう一つの最優秀研究プロジェクトは、人の脳のモデルを開発するプロジェクトである。

このグラフェン研究プロジェクトは、“この革命的な炭素系素材のユニークな特性を調べて利用方法を確立”することが目的で、厚さが原子一個ぶんというこの素材の物理的化学的性質を探究する。導電性が銅よりもはるかに大きく、鋼鉄の100〜300倍強く、また光学特性も特異であることが知られている。

そのほかの研究者たちはすでに、グラフェンによる電池容量の増大や、撥水性に着目している。しかしECの視野はもっと大きくて、それを“21世紀の驚異的素材”と位置づけている。情報通信技術においてシリコンをリプレースし、また同時に、20世紀におけるプラスチックのような重要性と遍在性を持つ、と期待しているのだ。

【中略】

FETの巨額助成金をもらうことになったこのグラフェン研究は、スウェーデンのChalmers University(チャルマース大学)のJari Kinaret教授が指揮し、100あまりの研究グループから成り、筆頭研究者136名の中にはノーベル賞受賞者もいる。

【中略】

ECの副理事長Neelie Kroesは記者会見で、この研究からヨーロッパに“グラフェンバレー”(graphene valley)が生まれることを期待する、と述べた。“それは、シリコンバレーの次の時代の、世界のテクノロジセンターである。グラフェンは、科学にまだ大きな未知と驚異が存在することを示している”。

先週はイギリスのCambridge University(ケンブリッジ大学)が2500万ポンドを投じてグラフェン研究センターを開設する、と発表した。こちらは、政府補助金のほかに、Nokia、Plastic Logic、Philips、Dyson、 BaE Systemsなどが研究資金を出す。

[画像出典: CORE-Materials, より。]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))