デザインコラボプラットフォームのFigmaが約53億円調達、新型コロナ禍でも需要増

コラボワークやクラウド作業ができるデザインプラットフォームのFigma(フィグマ)は4月30日、5000万ドル(約53億円)のシリーズDのクローズを発表した。本ラウンドはAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)がリードし、パートナーのPeter Levine(ピーター・レヴィン)氏と共同創業パートナーのMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏がディールをまとめた。既存投資家のIndex、Greylock、KPCB、SequoiaそしてFounders Fundとともに、Durable CapitalのHenry Ellenbogen(ヘンリー・エレンボーゲン)氏を含む新たなエンジェル投資家も本ラウンドに参加した。

本ラウンドによりFigmaのバリュエーションは20億ドル(約2140億円)になったとForbesは報じている。Figmaの創業者でCEOのDylan Field(ディラン・フィールド)氏は、Andreessen HorowitzとFigmaの話し合いは実際には2019年2月にクローズした資金調達シリーズCの終わり頃から始まっていた、とTechCrunchに語った。

「できちゃった結婚みたいな感じがした」とフィールド氏は語り、それでも両社は互いをよく知ることにした、と説明した。両社は2019年に関係を構築し、シリーズDのクローズに至った。フィールド氏はまた、本ラウンドに参加した他の投資家には直接顔を合わせておらず、ディールの大半はZoom越しに行われたとも語った。

「シリコンバレーの将来を考えたとき、シリコンバレーの資本インフラ、そしてシリコンバレーにいなければアクセスできな人、という点で興味深い疑問がある。私は今回オンラインでのディールがいかにうまくいくかを目の当たりにした。より多くの投資家がシリコンバレーにいるかどうかを気にしなくなると思う」とフィールド氏は話した。

Figmaはステルスモードで6年近くかけて準備された後、2015年に創業された。デザインのGoogleドキュメントとなるような、コラボができてクラウドベースのデザインツールをつくる、というのが目的だった。

以来、Figmaは個人のデザイナーや中小企業、大企業の使い勝手が良くなるようなプラットフォームを築いてきた。例えば同社は2019年にプラグインを開発した。デザイナーが取り組んでいるレイヤーに新たに名前をつけたり整頓したりといったことが自動的にできるプラグイン(Rename.it)のようなものをデベロッパーが自分のツールで構築できるようにする。また自動的に見つけて後に置き換えるプレイスホルダー・テキストをユーザーが加えることもできる(Content Buddy)。

同社は、Communityという教育用プラットフォームも立ち上げた。このプラットフォームではデザイナーが自分の作品をシェアし、他のユーザーがそのデザインを「リミックス」したり、単にどんなふうに作られたのかをチェックしたりすることができる。

同社の広報担当はTechCrunchに対して、今回のディールは機会に恵まれたものであり、資金調達前でも資金は豊富だった、と述べた。新型コロナウイルスが猛威を振るう現在では、多くの企業が購入を控えたり将来が見込まれる企業の成長が緩やかになったりしており、新たな資金調達はこの不確実な時代にFigmaの取り組みを拡大させるものとなる。

Figmaはチームがクラウドでコラボするように作られているため、同社のデータは企業の購入活動を語るものになるとフィールド氏は説明した。

「販売面に目を向けると、大きな取引がどんどん進んでいる」と同氏は述べた。「Figmaは今すぐ役立つルールだ」。新型コロナウイルス蔓延の中で興味深い変化の1つは、Figmaでのコラボ作業でユーザー利用時間が飛躍的に伸びたことだ。また、企業がデザイナーチーム内だけでなく組織全体でコラボ作業を行うツールとしてFigmaを利用し始め、ホワイトボード作業、ノート取り、スライド作成、図表の作成などが増えた。

今回のラウンドにより、Figmaがこれまでに調達した資金は1億3290万ドル(約140億円)になった。同社はまだ黒字化できていないが、成長するためにアグレッシブに展開し、新規採用を行っても今回の資金調達で今後3、4年の事業費を賄える、とフィールド氏は述べた。

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(翻訳:Mizoguchi

ウェブデザインから退屈な「調整」の繰り返しをなくすFigmaの「Auto Layout」機能

Index Ventures、Sequoia、Greylock、Kleiner Perkinsなどの投資家から、8300万ドル(約90億円)近くを調達したデザインツール開発会社のFigmaは、米国時間12月5日にデザイン作業から退屈な「調整」の繰り返しをなくす「Auto Layout」という新機能を発表した。

デザイナーなら、コンポーネントのコンテンツサイズを手動で変更しなければならない煩わしさを、嫌というほど味わっているだろう。例えばウェブページ用に新規でボタンを作成する場合、デザイナーはテキストがボタン内に収まるように手動でサイズ変更する必要がある。もしテキストやサイズが変わった場合、それに応じてすべてを調整しなければならない。この問題は、コンポーネントが多数ある場合には最悪のものとなる。そのすべてを手動で調整しなければならないからだ。

Autl Layoutの設定は、オンかオフか2択だ。オンにすれば、Figmaはデザイナーに代わってすべての調整を行い、コンテンツはコンポーネントの中央に配置される。また、もし新しいコンテンツが追加されたら、それに合わせてコンポーネントが自動調整される。フレーム内のアイテムのサイズが変更されたり、アイテム自体が変更されれば、周りにあるコンテンツはそれに合わせて動的に調整される。

Auto Layoutでは、リストに含まれるアイテムの向きをまとめて垂直から水平に変更したり、元に戻したりすることもできる。リストに含まれる個々のコンポーネントのサイズを調整したり、ワンクリックでリスト内のコンポーネントの順番を並び替えたりすることも可能だ。

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これは自動操縦でデザインするようなものだ。Auto Layoutは、コンポーネントシステム内でも機能するため、デザイナーは記号やコンテンツを切り離すことなく、元のデザインを微調整できる。その変更は他の部分のデザインにも反映される。

FigmaのCEODylan Field(ディラン・フィールド)氏は「この機能に対する顧客からの要望が非常に強かった、ユーザーテストなどに向けて、微妙な変更を繰り返す必要がある場合でも、この機能により作業が行われるようになればいい」と語る。

新機能の発表に加えて、Figmaは初めて社外取締役を迎えたことも明らかにした。Danny Rimer(ダニー・リマー)氏、John Lilly(ジョン・リリー)氏、Mamoon Hamid(マムーン・ハミド)氏、Andrew Reed(アンドリュー・リード)氏からなるFigma取締役会に、新たにLynn Vojvodich(リン・ヴォイヴォディッチ)氏が加わる。

ヴォイヴォディッチ氏は、IT業界の経営者として豊富な経験を持ち、Salesforce(セールスフォース)では、EVPおよびCMOを務めていた。彼女は名門VCのAndreesen Horowitzのパートナーだったこともあり、彼女自身の会社であるTake3を10年間経営してきた。また同氏は、Ford(フォード)、Looker、Dellといった大企業の取締役会にも参加している。

「私は素性がはっきりわかっていない投資家を招き入れたことはありません。これまでに成功した会社でも、そうではなかった会社でもです」とフィールド氏は言う。「優れた取締役会は会社を成長させますが、何か問題を抱えた取締役会は、会社の前進を妨げます」。

フィールド氏によれば、Vojvodich(ヴォイヴォディッチ)氏と話し合うたびに、経験から導き出された明確な回答と優れた洞察によって、彼女はチームにバリューを提供し続けているという。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

クラウド上のデザインツールFigmaがプラグインとそのAPIをローンチ

デザインツールをクラウドに置くFigmaは米国時間8月1日、ユーザーが自分のワークフローをリセットして掃除できるプラグインを発表した。

Figmaの共同創業者でCEOのDylan Field(ディラン・フィールド)氏によると、このプラグインは同社の立ち上げ以来、最も要望の多かった機能だ。そこでチームは昨年、2018年3月にローンチしたFigmaのAPIにプラグインの機能性を構築することに注力した。その際、3つのプライオリティを掲げた: 安定性、スピード、そしてセキュリティだ。

同社がプラグインのテストを始めてからかなり経つ今日、40個のプラグインがローンチOKとなった。それらの中で、とくに目立つのを以下にご紹介しよう。

ユーティリティとしては、まずRename Itは、デザイナーが今自分がやっているレイヤーを自動的にリネームして編成できる。一方Content Buddyは、適当なプレースホルダーとしてのテキストを置く(電話番号、名前など)。それらはあとで自動的に見つけて内容を入れ替えられる。StarkColorBlindはどちらもアクセシビリティのためのプラグインで、自分の仕事がWCAG 2.0のコントラストの指針に合ってるか確認できる。そのために、8段階の色弱を疑似体験できるレンズが提供されている。

そのほかに、アニメーションを加えるFigmotion、テーマを変えるThemer、デザインに地図を加えるMap Makerなどのプラグインがある。

だれでもFigmaのプラグインを作って一般公開できるが、企業など用にプライベートなプラグインも作れる。例えばMicrosoft(マイクロソフト)のある社員は、WordやOutlookなどMicrosoft製品をベースとするテーマに変えられるプラグインを作った。

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今のところ、プラグインで収益を得る計画はない。むしろプラグインを加えたのは顧客の幸福と満足に寄与するため、とField氏は言う。しかもFigmaのウェブサイトへ行くと、そこにはこのプロダクトが顧客と共に急速に進化する仕組みがある。個々の機能をそれぞれ別に作るのではなくて、今のFigmaはプラットホームをパワーユーザーに開放して、好きなものでウェブページを作れるようにしている。

Crunchbaseによると、Figmaはこれまで8300万ドル近くの資金を調達している。半年前のSequoiaがリードする4000万ドルのラウンドでは、調達後の評価額が4億4000万ドルだった。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

トップクラスのVC ThielのUC20(20歳未満)事業で育ったDylan Fieldが$3.8Mを調達–起業家の低年齢化が進む

子どもたちはわれわれの未来であり、そしてVCたちはその未来を招来するために子どもたちにキャッシュを与える。そんな中で、Dylan FieldはPeter Thielのフェロー(fellow, 研究員)事業20-Under-20(20歳未満を20名)の一人だが、SECの提出書類によると、このほど彼のスタートアップFigmaのために380万ドルを調達した。FieldはFigmaについて話したがらないが、Thiel Fellowshipのサイトによると、それはブラウザ上で使う写真編集ツールらしい。

この資金調達のタイミングは、ファウンダたちの平均年齢が23歳というSnapchatがシリーズBで6000万ドルを獲得し、加えて自社株売却で2000万ドルを得た時期と符合する。シリコンバレーは、ガキどもとの恋に落ちたようだ。しかしJosh Millerのエッセイ“Tenth Grade Tech Trends”(高1から始まるテク起業)が大きな話題になってからは、若者たちの、テクノロジの世界の変化を予測する能力を、業界はますますあてにするようになっている。

Dylanはまだ若いが、すでに業界経験はきわめて豊富だ。カリフォルニア生まれの彼はこれまで、Flipboard、O’Reilly Media、Indinero、Microsoft Research、LinkedInなどで働いた経験がある。彼は今、ブラウン(Brown)大学を休学中だが、専攻はコンピュータ科学と数学だ。

Dylanが着目した商機は、クリエティビティのためのツールのアクセス性を良くすることだ。カメラ付き携帯をはじめ、誰もがメディア作品を作れる時代になり、平凡な写真をアートに変えるInstagramのようなアプリが栄えている。でもまだ、高度な写真編集ツールはもっぱらプロのもの、あるいはせいぜいマニア的ホビイストのものであり、しかもそれらは、使いづらいデスクトップソフトウェアが多い。

でも、Dylanがインタビューを断り、まだ話す段階ではないと言っているのを見ると、Figmaはもっと違うものになるのかもしれない。しかし昨年の8月にToday Showに出演したときには、こんなことを言っていた:

“つまりぼくがやりたいのは、誰もが自分をネット上でクリエイティブに表現できるようになることだ。誰もが、自分の中に一人のアーチストを抱えている。しかしスキルのレベルが低くて誰も相手にしないから、そのアーチストはなかなか芽が出ない。でもその落差は、テクノロジの力で小さくなると思う。今実際に作っているのは、ブラウザの中で写真編集ができるツールだ。”

今のFigmaがもしもそれなら、PixlrGoogle+の写真エディタなど、強敵が多い。でも手元に新株発行による380万ドルがあれば、大人たちをビックリさせるものを彼なら作れるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))