BitTorrentの分散WebブラウザMaelstromはピアツーピアでWebの諸問題を解決へ

ピアツーピアでファイルを共有するBitTorrentが、同社の‘BitTorrent的な’WebブラウザMaelstromアルファテストを開始した“私たちが次に作るインターネット”(The Internet We Build Next)をスローガンとして訴えるこのプロジェクトは、本体のBitTorrentと同様、中央集権的なサーバのない、分散ネットワーク上のP2P型コンテンツ共有を目指している。

BitTorrentは数年前に、不法なファイル共有を行うP2Pネットワークとして有名になった。サーバが介在せずユーザ同士が直接ファイルを共有しあうこのサービスは、それが著作権のある有料コンテンツの場合もあるので、問題になった。同社の分散アーキテクチャを利用した最近のプロダクトとしては、同期機能つきで大きなファイルを共有するSync、コンテンツの作者がコンテンツを配布し販売するためのBundle、メッセージングサービスBleepなどがある。

これらが人気プロダクトになったのには、理由がいくつかある。まず、サーバが介在しないユーザ間直接の通信だから効率が良い。とくに大きなファイルの場合は、クラウドからダウンロードするよりもP2Pで直接送受した方が相当速いし簡単、と言われる。ただし各通信者が専用のソフトウェアを持っている必要があるから、ブラウザさえあれば誰でも…、というクラウドの簡便性はない。

また、同じくサーバが介在しないからセキュリティが高い。ファイルはクラウドに蓄えられることなく、直接、ユーザのマシンツーマシンで送受される。

とくに、国の諜報機関NSAが、大手Webサイトのサーバ上にあるユーザの個人情報や個人的コンテンツを盗視していることをSnowdenが暴露して以来、このP2P方式(大型サーバ〜データセンタがどこにもない)が注目されるようになり、BitTorrentもこれを千載一遇の好機として自己の経営に生かそうとしている。クラウド上の情報は、政府が盗視するだけでなく、ハッキングにも遭いやすい。

CEOのEric Klinkerによると、MaelstromもP2Pの利点を生かした同社のプロダクトの一環であり、オンラインコンテンツの享受(Web用語では‘閲覧’)を、よりスムーズにすることがねらいだ。

Maelstromのプロジェクトを紹介するページでKlinkerは、“Web上の通信の多くがBitTorrent的になったらどうなるでしょう?”、と書いている。“Maelstromプロジェクトはこの問に答える初めての試みです。Webブラウザがこのようであれば、コンテンツの公開の方法も、そしてアクセスと消費の方法も、がらっと変わります。そうなるとインターネットは、完全に人びとが動かすインターネットになり、参入障壁はきわめて低く、今のように地獄の番人たち(政府諜報など)が私たちの未来を握っている状態はなくなります”、というのだ。インターネットの民主化、である。

しかし、これは言うは易しで、問題も多い。

今のところ、Maelstromに関してBitTorrentが提供している情報は上の図(このページ)だけだ。アルファテストは、単にユーザがそこに登録するだけでなく、ユーザ同士で共有し互いにアクセスしあうコンテンツも提供しなければならない。同社の広報は、“分散Webを構築することに前向きの関心を持つ未来のパートナーがすでにかなりおられる”、と言っている。

しかし、収益化の方法は構想しているのか?

広告収入について聞くと、“今は開発の最中(さなか)なので、ビジネスモデルについてはもっとあとに考える。Syncがそうであったように。でも、分散Webページはほかのブラウザと同じく単純にWebページとして扱われるから、そこには、広告でも何でも載りうる”、ということだ。

でもそれは、今のWebと何も変わらないようだが?

“分散Webでも、従来のWebと同じHTMLを使う。だからWebサイトの制作過程はこれまでと同じだが、その発表〜公開の仕方が、中央集権的でなく分散型になる”、と広報氏は答えた。

どうやらMaelstromは、今のWebブラウザに代わるものというより、それを補完するもののようだ。“Web上でHTTPとtorrentの二つのプロトコルが混じり合う形になるだろう”、と。

Web全体がサーバレスのアーキテクチャになる、と考えるのはラジカルすぎるが、でも今の形のWebが行き詰まる日は遠からず訪れるだろう。たぶんそれは、今のユーザがP2Pをあえて選ぶ理由(セキュリティ、プライバシー)だけが、原因ではない。

BitTorrentは、今のネットワーク中立性(net neutrality)をめぐる議論も、ビデオストリーミングのようなデータ集約的なサービスが、今とは違うファイル配布方法を採用したら無用になるだろう、と言う。そう、まさにそこにMaelstromのメリットもあるのなら、やはりそれは、補完的な役割と言えるのだろう。

“分散WebブラウザであるMaelstromは、今のネットワークに科せられている重荷を取り去ることができる”、とBitTorrentは言っている。“またトラフィックの起源を地獄の番人たちが突き止められなくなるので*、より中立的なインターネットを維持できる”。〔*: P2P方式ではルートのリレーやキャッシングの形状が…最効率を求めて…随時変わるから、エンドポイントから起源(オリジン)を辿ることは困難。〕

このビデオで、やや詳しいことが分かる:

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


企業のクラウド共有・同期サービスの人気調査は意外な結果―1位はBoxではなかった

今週、451 Research はエンタープライズが利用する同期・共有クラウド・サービスに関する市場調査の結果を発表した。その結果はかなり意外だった―すくなくとも私は驚いた。というのも、エンタープライズ市場において最も人気のある同期・共有サービスがBoxでもMicrosoft OneDriveでもなかったからだ。一番人気は企業のIT部門が嫌っているはずのDropboxだった。

451 Researchは10月に1000人以上のIT部門のプロに「会社でどんな同期・共有ツールを利用しているか」という聞き取り調査を行った。その結果、回答者の40%がDropboxを利用していると答えた。これは他を引き離して断然トップだった。2位はOneDriveでわずか25%、次いでGoogleが20%だった。エンタープライズ市場に特化しているはずのBoxは15%に届かず4位だった。他のサービスはいずれも10%以下だった。

また調査した企業のうち、有料版を利用していたのは18%に留まった。この意味するところはまだ明らかでないが、この市場が極めて早期の段階にあると推測する根拠にはなりそうだ。つまりどのプレイヤーにも今後大幅なビジネス成長の余地があるということだ。

レポートの執筆者の一人、Alan Pelz-Sharpeは、私の取材に対して「クライアントの話の中には必ずDropboxが出てきた。率直に言わせてもらえば、企業は社員が現にいちばん利用しているサービスを選ぶ傾向にあると思う。これは現実的な態度だ。5000人の社員がDropboxを使っているときに会社として別のサービスを導入して社員に乗り換えさせるのはたいへんな手間だ」と語った。.

451 Researchによれば、企業の規模が大きくなるにつれて、利用されるツールは次第に高価で複雑なものになっていく傾向が見られたという。このような大企業で人気があったのはクラウドではなく、EMC、OpenText、Citrixなど、要するに既存のエンタープライズ・サービスだった。

もうひとつ重要な発見は、IT部門が管理しておらず、社員が個人的に利用しているITサービス(シャドーITと呼ばれている)についてはどの会社も皆目知識をもっていないという点だった。このレポートはIT部門の把握している範囲での利用状況を示すものなので、実態はこれとかなり異なる可能性はある。IT部門は、社員が実際に使っているサービスに対するコントロールを完全に失っているという印象だったという。【中略】

エンタープライズ向け同期・共有サービス市場についてはこれまでデータがほとんど存在しなかった。サービス・ベンダーの宣伝文句が大いに幅を効かせてきた分野だけに、451 Researchのレポートは確実な統計を得る出発点として貴重だ。しかし正確なな市場像を得るにはまだ遠い。今後に期待したい。

グラフは451 Researchの好意により許可を得て再掲

画像: CanStockPhoto (c)

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


ピアツーピアでファイルを共有するサービスSend Anywhereがシードで$1Mを調達

DropboxBoxGoogle Driveなんかと同じく、ESTmobのSend Anywhereもファイル共有サービスだが、重要な違いが一つある。Dropboxみたいにファイルをクラウド上のストレージに保存するのではなく、ユーザが複数のデバイス間でコンテンツを、ピアツーピアでリアルタイムで共有するのだ。ソウルに本社のある同社はこのほど、Rakuten VenturesのパートナーSaeMin Ahnが率いるラウンドにより、100万ドルのシード資金を獲得した。このラウンドには、Andrew McGlincheyとAndy Warner、それに二人の韓国のエンジェル投資家も参加した。

Rakuten Venturesは日本のeコマースおよびインターネットサービス企業「楽天」の投資部門だ。楽天は最近、9億ドルでメッセージングサービスのViberを買収した

ESTsoftから2012年にスピンオフしたESTmobは、2つのデバイスをペアにし、そのときかぎりのキーを確認することによって、ファイルを共有化する。ログインする、ユーザ登録する、といった手間はまったくない。Send Anywhereは、複数のデバイス上のファイルにアクセスしたい人向けのサービスだ。今は無料で、iOSAndroidで利用できる。

協同ファウンダのSuhyuk Kangによると、Send Anywhereのピアツーピアのファイル共有は、複数の大きなファイルを送る場合、既存の競合サービスよりも高速である。

“同じLAN上や近距離内で複数の人が複数のデバイスを使っている、という状態が至るところにある。わざわざクラウドなんか使う必要はない。クラウドサービスはサーバまでの距離がとても長い場合が多いから、遅いし、セキュリティの不安もある。しかも料金が高い”、とKangは説明する。

“しかも、合衆国以外のユーザが使うと遅い、というファイル共有サービスも多い。大きなマルチメディアファイルをシンクしようとすると、極端に遅くなることもある〔Dropbox!〕。また、クラウドサーバを使わないようにすれば、プライバシーも守りやすい。うちのサービスは、クラウドサービスを補完するサービスとして全世界から歓迎されるだろう”、とも。

WhatsAppなどのメッセージングサービスも写真やビデオを共有できるが、KangによるSend Anywhereの強みは、100枚の写真とか2GBのビデオといった大型のファイルを、高画質を維持しながら共有できることだ。

Send Anywhereが次に行う大型アップデートでは、登録デバイスへのリモートアクセスができるようになり、Dropboxに近いユーザ体験になるが、やはりクラウドサーバへのアクセスは不要だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Automatticがファイル共有サービスCloudupを買収, WordPressに共同編集機能が加わる

【抄訳】

WordPress.comの親会社Automatticが、6月にベータでローンチしたファイル共有サービスCloudupを買収した。これによりWordPressには、ビデオや画像などをアップロードするためのメディアライブラリと、複数のユーザが一つの記事を同時にエディットできる機能が加わることになる。

Cloudupは、2010年に創業された教育サービスLearnBoostの派生プロダクトで、だから両者はチームも投資家も同じだ。LearnBoostの協同ファウンダでCTOのGuillermo Rauchによると、元々の教室管理サービスもAutomatticのプロダクトとして存続する。

今後Cloudupのチームは、投稿エディタの改良と、WordPress.comのメディアライブラリをCloudupのもので置き換える作業に取りかかる。AutomatticのファウンダMatt Mullenwegによると、それはWordPress.comの現在のメディアアップローダに比べるとずっと高度で、エレガントで、使いやすいそうだ。“それに比べるとうちのは、メディアライブラリとは呼べないね”、と彼は言う。

それは、控えめな言い方だ。Cloudupの技術では、一つの記事を複数の人が同時にエディットでき、ライターがテキストを書いてる間に写真家が画像をその同じ記事用にアップロードしたりできる。ということは、記事の最終アップロード前でも複数の者がファイルを共有できるのだ。

Mullenwegによると、共同編集機能が加わった近未来のWordpressは、同じ共同編集といっても、Google Docsなどとは違うサービスになる。Google Docsではドキュメントは単にドキュメントだが、Wordpressの記事やページは、ビデオや画像やギャラリーなどを含むリッチなマルチメディアだ。その近未来がいつになるかは未定だが、できるだけ早期にCloudupの統合を終えたい、と彼は言っている。

【中略】

Mullenwegは前に、インターネット上のサイトの大多数がWordPressで動いているようにしたい、と言っていた。今現在のマーケットシェアは20%強だが、その目標のためにはWordPress.comをより高度なプラットホームに仕立てることが重要だ。Cloudupも、その一助となる。本誌TechCrunchもWPで動いているサイトだから、共同編集や写真の高速アップロードなどの機能が加われば、仕事の流れがずっとスムースになるだろう。

【後略】

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google、Dropboxをみならってドライブのデザインを改良―共有フォルダが見やすくなる

クラウドでのファイル保管サービスを魅力的なものにするにはいろいろな方法がある。他のアプリとの連携、モバイルとデスクトップがシームレスにつながることなどに加えて、そう、デザインも重要だ。

デザインではDropboxがトップといっていいだろう。UIはまったくシンプルで非常にクリーンだ。白とライトブルーはDropboxのシンボル・カラーになっている。最近GoogleドライブもDropboxのデザインの優秀さに気づいたらしい。

今日(米国時間4/2)、Googleドライブのチームは共有フォルダのデザインのリニューアルを発表した。正直、これまでドライブの共有フォルダのユーザー体験はひどいものだった。また今回のアップデートでユーザーは自分のドライブに共有アイテムを1クリックで追加できるようになる。

来週中に、共有フォルダを開くよう招かれたユーザーにフォルダの内容がこれまでよりずっと見やすいレイアウトで表示されるようになります。アイテムをクリックするだけで次々にプレビューを見ていくことができます。

共有フォルダの内容を保存したい場合は、右上端の“ドライブに追加”ボタンを押せばユーザーのドライブに直接追加され、どのデバイスからでもアクセスできるようになります。

こういう具合になるということだ。

Googleドライブはファイルの保存と共有に加えて、スプレッドシート、ワープロ、プレゼンテーションなどのウェブアプリが利用できる統合サービスだ。Dropboxによく似ているが、Dropboxにはファイルの編集機能はない。この点ドライブには大きな優位性がある。またGoogleの巨大なユーザーベースと一般ユーザーの間での信頼性もDropboxには欠けている。この点はDropboxとYahoo!の提携についての今朝のわれわれの記事でも触れられている。

こちらはDropboxの見慣れた軽快なデザインだ。

一方、Boxは世界中の企業のファイルを保管することを狙っている。これはGoogleのBusiness App版のドライブのライバルということになる。DropboxとBoxはGoogleでは小回りが効かないような分野に次々に進出していけるという優位性がある。またAmazonもこの分野への参入を始めた

Googleは検索の分野では絶対的な優位性を保っているが、世界中のあらゆるユーザーのファイルの共有と保管ということになれば、大いに競争の余地が生まれてくる。CEOのラリー・ペイジのイニシアチブで、Googleは保管、共有、生産性アプリなどをドライブにひとまとめして一般ユーザーにとっての使いやすさを狙っている。これは賢明は戦略といえるだろう。しかしいくらテクノロジーが優れていてもUIがみすぼらしく使いにくかったらユーザーは集まってこない。

クラウドストレージは地味だが、十分に利益を上げることが可能なビジネスだ。まず無料のストレージを提供し、それがいっぱいになったら追加ストレージを売るというのはなかなか効果的ビジネスモデルだ。しかし数十メガバイトもあれば大容量ハードディスクとされていた時代からはるかに来たものだ。

[写真:Flickr]

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+