更新系APIを利用した自動貯金アプリ「finbee」が2億円調達

自動貯金アプリ「finbee」を提供するネストエッグは6月2日、SBIインベストメントの「FinTechファンド」、三菱UFJキャピタルSMBCベンチャーキャピタルを引受先とした第三者割当増資を実施し、総額2億円を調達したと発表した

同社の親会社であるインフキュリオン・グループは、2016年4月に同じくFinTechファンドから金額非公開の資金調達を実施しているが、ネストエッグとしてはこれが初の調達となる。

ネストエッグが2016年12月よりサービス開始したfinbeeは、銀行の更新系APIを利用した自動貯金アプリだ。貯金の目的や目標金額、貯金のルールが簡単に設定でき、ユーザーのライフサイクルに合わせて貯金を自動化することができる。更新系APIを利用したfinbeeでは、銀行の認証基盤でユーザーの口座契約を認証。ネストエッグがユーザーのIDやパスワードを保有することなしに口座間の振替を行う。

カード決済で発生したおつりを貯金できる「おつり貯金」、設定した曜日に決められた額を貯金する「つみたて貯金」などをはじめ、目標として設定した歩数を歩いたら貯金する「歩数貯金」や家族やカップルで協力して貯金できる「シェア貯金」などユニークな機能がある。

また、ネストエッグは2016年2月にポイント還元機能の「finbeeポイント」を開始している。この機能では、finbeeで貯金した毎月の合計金額に対し0.1%分のポイントを還元。貯まったポイントは1ポイント=1円としてAmazonギフト券と交換することが可能だ。

サービス開始から約半年が経過したfinbee。ネストエッグはその具体的なユーザー数を公開していない。だが、代表取締役社長の田村栄仁氏は、「現在の会員数は数万人規模で、その内ヘビーユーザーが数千人程度いる。今はそのヘビーユーザーからの声をもとにアプリをより良くしていくフェーズだと思っている」と語る。

5月26日に成立し、2018年春にも施行される予定の改正銀行法には、銀行のAPI公開を推進する内容が盛り込まれている。そのため、今後は銀行のAPIを活用して銀行の残高照会や取引明細照会、振替や振込などのサービスを行うサードパーティアプリが増えてくるだろう。

実際、3月6日にはMUFGがAPIを開放し、その数週間後の31日にはマネーフォワードがメガバンクの更新系APIを活用したサービスを発表するなど、その動きは活発だ。田村氏も、「『どうせやるなら早く』というマインドをもつ金融機関が増えているように感じる」と話す。

しかし、現在のところfinbeeと連携可能な金融機関は住信SBIネット銀行のみ。同アプリが本格的に普及するためには連携する銀行を増やしていく必要がある。だが、今回の資金調達にはMUFGとSMBCが参加していることを考えると、これらのグループとfinbeeが連携する日は近いのかもしれない。同社はプレスリリースのなかで、今回調達した資金を利用して「API接続先を拡大するための人材採用や開発を加速していく」としており、田村氏は「今後5年間で50行との連携を目指す」と話している。