FirefoxブラウザーにWebサイトの侵犯通知機能が加わる、開示義務により侵犯情報の最新化も期待

MozillaのWebブラウザーFirefox Quantum*に、新しいセキュリティ機能が加わる。それは、最近データ侵犯が報告されたWebサイトを訪ねようとすると、ユーザーに警告する機能だ。〔*: 2017年のv57以降の設計が一新されたFirefoxブラウザーを、開発者のMozillaがFirefox Quantumと呼んでいる。〕

Firefoxのユーザーが最近侵犯されたWebサイトを開くと、通知のポップアップが表れて侵犯の詳細を告げ、ユーザーの情報が漏洩しなかったかチェックするよう勧められる。

Mozillaの発表によると、“このようなプライバシーとセキュリティに関する機能へのユーザーの関心が高まっているので、Firefoxのユーザーにこの通知警告機能を提供することになった。この新しい機能は、今後数週間で、Firefoxの全ユーザーに展開される”、とある。

侵犯を通知するポップアップとその上の情報は、こんな感じだ:

FirefoxのWebサイト侵犯通知機能, 画像提供: Mozilla

Mozillaはこの、サイトの侵犯通知機能を、今年初めにローンチしたメールアカウントの侵犯通知サービスFirefox Monitorに統合しようとしている。今日(米国時間11/14)の発表によると、それは26の言語で利用できる

Firefoxのユーザーが、サイトの侵犯を告げるポップアップが出たときクリックしてMonitorへ行けば、メールアカウントの侵犯についても知ることができる。

Firefox MonitorでMozillaは、侵犯されたWebサイトのリストを、パートナーであるTroy Huntの先駆的な侵犯通知サービスHave I Been Pwnedから得ている。

ユーザーをあまりにも多くの情報でうんざりさせないために、Mozillaは侵犯の通知を一サイトにつき過去1年に起きたもの一つに限定している。〔全部知りたければFirefox MonitorやHave I Been Pwnedを使えばよい。〕

データ侵犯はデジタル生活の不運な定番で、最近はビッグデータサービスの登場により、増加傾向にある。そして、人びとの関心も高まっている。ヨーロッパでは5月に導入された厳しい法律により、侵犯の普遍的な開示義務と、データ保護の失敗や怠慢に対する罰則が制定された。

そのGDPRフレームワークは、データをコントロールしたり処理したりする者たちにセキュリティシステムの改良を勧奨するために、彼らにはさらに重い罰を課している。

法律や罰則の強化によってセキュリティへの投資が増えたとしても、それが実際に侵犯の減少として効果が実っていくためには、時間がかかるだろう。どれだけ法が、その効果を期待していたとしても。

でもGDPRの初期の功績のひとつは、企業に侵犯の開示を義務付けたことだ。そのため今後は、このようなセキュリティツールが利用する侵犯情報も、より多く、そしてより最新のものになるだろう。一般ユーザーのためにも、この法律はポジティブな効果を上げているようだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Firefox、 軽量高速のQuantumブラウザ公開――Chromeに対して巻き返しを狙う

この5年ほどブラウザ戦争でFirefoxの旗色は悪かった。市場シェアでChromeがこのMozilla製ブラウザを追い越したのは2011年後半だ。StatCounterによればChromeのシェアは現在55%前後だ。しかし 苦闘の末、Mozillaは復活を目指している。そのカギになるのが新しいQuantumブラウザだ。これが他のブラウザからFirefoxへユーザーを呼び戻すことが期待されている。

今日(米国時間11/14)、2か月間のベータテストを経て、Firefoxのv57安定版が公開された。57というバージョン番号は有名な食品会社を思いださせるが、Mozilla財団によれば、最新ビルドは Windowsで作動させたとき、ライバルに比べてメモリ使用量が30%少ないという。

Mozillaチームはまったく新しいエンジンを作ったためSurfaceノートでのベンチマークによれば、最近公開されたFirefox 52(月日が経つのは速い)に比べても2倍のスピードだ。またタブの切り替えもスムーズで快適になった。新しいブラウザには Photonと呼ばれるUIが搭載されている。デザインはミニマリスト的で非常にシンプルだ。これはモバイル・デバイスでのブラウジングにおける快適さを狙ったのだろう。

これに加えて「後で読む」やブラウジング履歴から判断された記事のオススメなど多彩な機能が搭載されている。

Mozillaの上級バイス・プレジデント、Mark Mayoはブログ記事で、「われわれは現在市場にあるディスプレイを詳しく検討し、どんな環境でも美しく表示されるように努力した。新しいバージョンはユーザーがどんなデバイスを利用していても常にFirefoxらしく快適に表示される。われわれのデザイン・チームはFirefoxを単に現在の各種デバイスに対応させただけでなく、将来の拡張にもスケールできるようにした」と述べている。

これらはすべて正しい方向に向けた動きだ。最初のFirefoxが2004年に登場したときには革命的と感じられたものだ。しかしその後余計な機能を削ぎ落としてできるかぎり高速化したChromeとSafariが市場の主導権を奪う一方でFirefoxのシェアは大きく低下した。

一度離れたユーザーを取り戻す(あるいは今となっては初めて使うユーザーも多いだろう)というのは全く別の話になる。それにブラウザのように毎日使うツールに変化を持ち込むのも大変な作業だ。だが興味あるユーザーはWindows、Mac、Linuxを試してみることができるようになった。ほぼ同様のデザインのiOS版、Android版もすぐに公開される。

画像: Johnathan Nightingale/Flickr UNDER A CC BY-SA 2.0 LICENSE

〔日本版〕Firefox Quantumのダウンロードはこちらから。インストール時にワンタッチでChrome他主要ブラウザからブックマーク、設定をインポートできる。右上隅のアイコンは右からメニュー、サイドバー表示、履歴となっている。サイドバー表示アイコンをクリックするとインポートされたブックマークがサイドバーに表示される。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+