クラウド時代の高機能スプレッドシートをめざすFivetran, 統計やDB機能を充実

Y Combinatorから巣立ち今日(米国時間3/19)ローンチしたFivetranは、スプレッドシートという古酒を21世紀の新しい革袋に入れることをねらっている。とくに力を入れているのが、従来のスプレッドシートが弱かったデータ分析の分野だ。多くの人が今ではスプレッドシートを…相当無駄な時間を投じて…データベースのように利用しているから、Fivetranはスプレッドシートのこれまでの標準的な機能に加えて、SQL的なクェリやMatlabにあるような統計ツールを導入した。

協同ファウンダのGeorge Fraser(CEO)とTaylor Brown(プロマネ)らによると、製品の基本的なコンセプトは、“これまでのスプレッドシートにはプログラミングにできることの50%しかなかったから、残りの50%を持ち込もう”、というものだ。

確かに彼らの言うとおり、ExcelとMatlabの落差は大きすぎる。Fivetranの初期のプロトタイプはかなりMatlab的で一種のプログラミング環境みたいだった。しかし今日ローンチしたものは、通常のスプレッドシートに、高度なデータ分析(回帰分析など)やデータ変換を行うウィザード群と、SQLのselectやjoinの機能を加え、さらにデータのクリーニングやテキストマイニングなどの機能もある。計算はすべてクラウド上(Amazon EC2)で行われるので、ものすごく大きくて複雑なスプレッドシートでも作れる。

チームがこのSaaSスプレッドシートの開発に着手したのは昨年の12月で、現状ではExcelのドキュメントや、CSVやJSONのファイルをアップロードしてすぐに仕事を始められる。チームの長期的プラントしては、このスプレッドシートの表面的な機能(ユーザ体験)を縁の下の本物のデータベースが支える、という形も構想している。Fivetranのパワーを人びとに分かってもらうために、(全米大学バスケ大会)「3月の狂乱」(March Madness)対戦表シミュレータや一連のチュートリアルも提供している。

ユーザは自分のデータをアップロードし、Fivetranの”step”システムを使って操作する。その計算に基づいて、副次的なシートも作られる。これまでのスプレッドシートに比べるとかなり高度だが、Excelの公式(SUM(a,b)など)もそのまま使える。

今チームはスプレッドシート用のユニットテスト(各部分の試験)や改版履歴コントロール機能を開発中だ。

Fivetranの料金体系は、Webのホスティングサービスのそれに似ている。無料では、作れるプロジェクトが5つまで、使えるメモリは1GBまで。月額20ドルのベーシックプランではメモリ5GB、プロジェクト数10。最高は月額80ドルで、メモリは16GBまで使える(非常に大きなスプレッドシートだ)。

全体としてこれは、クラウドコンピューティング時代の新しいスプレッドシートとして、きわめて興味深い取り組みだ。企業の情報部門などには、近年のデータの増加とともに旧来のスプレッドシートではデータ集合に対し歯(刃)が立たなくなっているところも多い。かといって本格的なデータベースや統計パッケージは重すぎる。Fivetranのような高機能化したスプレッドシートに飛びつくところも多いだろう。Fivetranのによると、初期のユーザたちはすでに週あたり数時間の(スプレッドシート雑務の)時間節約を実現しているという。朝から晩までExcelのセルのコピペばっかしやらされている人は、Fivetranを試してみてはどうだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))