建設業や飲食業などデスクレスワーカー向け求人サービスのWorkstreamが約10.7億円調達

デスクレスワーカー(教育、建設、接客などデスクワークではない労働者)は世界の労働力の80%を占めているが、Desmond Lim(デズモンド・リム)氏にとってその労働者は世界のすべてだ。

リム氏はシンガポールで育った。父は週6日、毎朝5時に起きて運転手の仕事に向かった。清掃員として働いていた母とリム氏は、時々父の車に乗ることがあった。リム氏は、時間給労働者やデスクレスワーカーが仕事をすばやく見つける簡単な方法が必要だと考えた。

リム氏はWorkstreamの創業者だ。Workstreamは、中小企業が空きポジションを埋めたいときに使えるエンドツーエンドのソフトウェアソリューションとなる。同社は米国時間5月7日に、シリーズAラウンドで1000万ドル(約10億7000万円)を調達したことを発表した。これまでの調達総額は1250万ドル(約13億3000万円)となった。

ベイエリアに拠点を置く同社の主な顧客は、ホスピタリティ、レストラン、スーパーマーケット、デリバリービジネスなど、売上高が大きい業界における採用担当マネージャーだ。

Workstreamは、通常数週間にわたって行われるプロセスの多くを自動化する。同社のテクノロジーにより、企業は採用にかかる時間を70%節約できるという。また、透明性も加わる。求職者が会社に足を踏み入れ、応募用紙に記入し、良い結果を期待するといったプロセスに代わり、求職者と雇用者の会話を促進するプラットフォームを提供する。

Workstreamのプロダクトには2つの部分がある。まず求職者は、プラットフォームで仕事の検索から仕事を確保した後の入社手続きまで行うことができる。しっかりした仕事を探せるこの無料のワンストップショップは、かつてリム氏の父親がシンガポールで直面した課題に取り組んでいる。求職者のダッシュボードには面接日程を常に把握できるリマインダーもある。

もう1つの部分は採用側に関するものだ。従業員の退職率が高い企業は、突然辞めてしまうことのないような信頼できる人材を見つけるのに苦労している。採用側はWorkstreamにつなぎ、ワンクリックで最大24の地域の求人掲示板に投稿できる。また、リアルタイムメッセージング、テレビ会議、面接のタイミングや事務処理などに関するテキストメッセージによるリマインダーを通じて、採用側が求職者と直接やり取りできる。

Workstreamの重要な特徴は、電子メールではなくテキストメッセージによる求職者とのコミュニケーションに重点を置いていることだ。デスクレスワーカーは電子メールアドレスを持っていないことが多く、また率直にいって時間もないため、労働市場で最も「つながりにくい」グループだといえる。外出先で長い時間を過ごす人に対しては、ローテクかつ包括的な方法でリアルタイムに更新情報を届ける必要がある。デジタルデバイドは現実のものだ。Workstreamはモバイルベースのテキストメッセージに重点を置いているため、その日に従業員を雇うことができる。

例えば応募者は求人に応募するたびに、採用側から追加情報が記載されたテキストメッセージを受け取る。テキストには、企業文化についての説明や選択式の質問などが含まれている。忙しく、時には掛け持ちをしている労働者を念頭に置いた質問となっている。質問の重点項目は、職場からの距離や信頼性の高い交通手段へのアクセスなどだ。

同社は採用する会社に対し、選択した機能と年間の雇用数に基づいて料金を請求する。

Workstreamは競争の激しい求人プラットフォームのマーケットに参入しようとしている。成功するとすれば小規模事業者に特化している点が勝因かもしれない。シリコンバレーから生まれるLever(レバー)やX(エックス)などの多くの求人プラットフォームは知的労働者向けに構築されていると同社は述べる。対照的にWorkstreamは小規模事業者に狭く深く焦点を合わせている。父親のバンで何時間も過ごしたリム氏の幼少時の経験からの答えだ。

新型コロナウイルス(COVID-19)に伴う外出禁止命令のため、小規模事業者は以前に比べて顧客対応が減っており時間に余裕がある。そのため新しいソフトウェア、非接触型の採用活動、ビデオメッセージングなどを試すことに対して、よりオープンになっているとリム氏は言う。このスタートアップは現在、Jamba Juice(ジャンバ・ジュース)やDunkin’ Donuts(ダンキンドーナツ)などのフランチャイズビジネスを含む5000社の採用担当マネージャーを顧客に持つ。同社には医療業界や製造業からの引き合いもある。

「ビデオ会議のやり方がわからないという人は非常に少なくなっている」とリム氏は語る。「採用側はシステムを考え直している」。

こうした要因が同社を助け、投資家らを引き付け、パンデミックによって遅延することなく資金調達ラウンドを完了した。

今回のラウンドはFounders FundとBasis Set Venturesがリードした。その他の投資家として、AffirmのCEOであるMax Levchin(マックス・レブチン)氏、DoorDashのCEOであるTony Xu(トニー・スー)氏、LatticeのCEOであるJack Altman(ジャック・アルトマン)氏、LucidchartのCEOであるKarl Sun(カリ・サン)氏などが参加した。Slack、Brex、Airbnb、Instacart、Pinterestなどの企業のリーダーらからも資金を集めた。

ラウンドを積み重ねていけば浮き沈みがあるものだが、オールスターな企業陣の参加は、既存のシリコンバレーネットワーク出身ではないリム氏のような創業者にとって、役立つ実績となる。

同社は今回の新たな資金調達ラウンドでバリュエーション、売上高、収益性を明らかにしなかったが、同社によると投資家は同社に対してもっと資金を投入して成長に再投資するよう促しているという。

このアドバイスは、市場が混乱してランウェイの延長を求める声が増える中、投資家から最近耳にすることとはまったく対照的だ。おそらくそれは、市場が最悪の状況であってもWorkstreamの事業には自身に賭ける余裕があることを意味している。

画像クレジット:Klaus Vedfelt / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

ピーター・ティール氏のFounders Fundが新ファンドで3000億円超を集める

ベストセラーとなった「ゼロ・トゥ・ワン」の著者としても知られるPeter Thiel(ピーター・ティール)氏が率いるベンチャーキャピタルのFounders Fundが2件、30億ドル(約3300億円)の出資を確保したことをTechCrunchは確認した。同ファンドのジェネラル・パートナーはティール氏に加えて、Keith Rabois(キース・ラボワ)氏、 Brian Singerman(ブライアン・シンガーマン)氏の3名だという。

今回のFounders Fundの資金調達についてx最初に報じたのはAxiosだった。Founders Fundでは2016年にFounders Fund VIで13億ドル(約1440億円)を確保した後、昨年12月に12億ドル(1330億円)のFounders Fund VIIをクローズさせた。 今週月曜に同社の最初のグロースファンド15億ドル(約1670億円)がクローズされたことを広報担当者が確認した。 同時に同社のパートナー陣からも3億ドルの出資確約があったので、今回の資金調達の合計は30億ドルとなった。

ラボア氏とティール氏という辣腕のPayPalマフィア(PayPalの元従業員と創業者のグループ)が再度協力することになってから新たなファンドが準備されていることは、昨年10月にWall Street Journalが報じていた

このファンドが次々に資金調達に成功しているのは、得た資金を素早く投資するする能力を証拠立てるものだと関係者は見ている。特に2019年にラボワ氏が参加してからFounders Fundの調達額は一挙に増えたという。

しかし資金調達の決め手は高い利益率だろう。2011年以来、Founders Fundは1ドルの投資を4.60ドルに増やしてきたとWall Street Journalは報じている(AirbnbとStripe Inc.への投資成功が大きく寄与している)。この運用成績はベンチャーキャピタル業界平均の2.11倍を大きく上回るのだ。一方、3回目のファンドの運用成績も3.80ドルとなり、平均を0.75ドル上回っている。

Founders Fundの投資決定プロセスは他のベンチャーキャピタルとはかなり異なっており、ケースバイケースで機動性が高い。昨年、TechchCrunchが行ったイベントでFoundes FundのパートナーであるCyan Banister(サイアン・バニスター)氏は以下のように説明している。

投資の意思決定の方法は投資額によって異なる。バニスター氏によれば「(スタートアップへの投資)ステージに応じて話し合う必要があるパートナーの人数は変わってくる。1人でいいこともあるし3、4人のこともある。ごく初期のステージで、投資額も小さければ大勢のパートナーに会う必要はない。投資額が大きくなればジェネラル・パートナー全員の審査が必要だ。Brian Singerman(ブライアン・シンガーマン)氏やKeith Rabois(キース・ラボア)氏のような投資業務のトップに会わねばならず、エンジェル投資の場合よりは手間がかかる」という。ピーター・ティール氏自身が投資の意思決定にどの程度関与しているかを尋ねると、バニスター氏は「ある額以上になると常に関与する」と述べた。正確な額については「多額といっておきましょう」と笑った。

AxiosのDan Primack(ダン・プリマック)氏の記事によれば、今回のグロースファンドの投資額は1件1億ドル以上だろうという。150万ドル以下の投資案件については2人のパートナーが合意すればすぐに可能、150万ドルを超える場合は最低一人のパートナーとジェネラル・パートナー、500万ドルを超える投資についてはパートナー1名、ジェネラル・パートナー2名の同意が必要だ。1000万ドルを超える投資では2人のパートナーとティール氏、シンガーマン氏、ラボワ氏すべての同意が必要だという。

ジェネラル・パートナーの同意が必要な投資案件ではスタートアップの創業者は1人以上のジェネラル・パートナーに直接あるいはリモートで投資すべき理由をプレゼンしなければならない。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

Founders Fundのサイアン・バニスター氏、ベンチャー投資、サンフランシスコ問題について語る

Cyan Banister(サイアン・バニスター)氏はアメリカンサクセスストーリーそのものだ。TechchCrunch Disruptでもたびたび語っているとおり、家出して路上で手編みのネックレスを売っていたホームレスの少女が独学でプログラミングを学び、 SNSのパイオニアのひとつZivityを創業、セキュリティー企業であるIronPortの経営に加わるまでになった。

2007年にIronPortが8億3000万ドル(約900億円)でCiscoに売却され、最初の資産を築きくと同時に同社の共同創業者であるスコット・バニスター氏と結婚した。2人は共同、ないし独立にスタートアップへのシード投資を始めた。これにはUber、SpaceXを始めとして今や世界的に知られるようになった企業が多数含まれている。

シート段階のスタートアップの会社評価額が急上昇するにつれて2人はシード投資から距離を置くことにした。自他ともに認める仕事中毒のバニスター氏はシード以前の最初期のスタートアップを支援する投資ネットワークのAngelListにエバンジェリストとして参加し多くの投資家をこのプラットフォームに加わるよう説得した。その後バニスター氏はPayPalマフィア(PayPal出身の起業家グループ)のドンであるピーター・ティール氏のFounders Fund に招かれ、やがてパートナーの地位を提供された。

11月13日にサンフランシスコで開催したStrictlyVC イベントにバニスター氏を招き、ベンチャーキャピタリストになるまでの道筋、投資のスタイル、ビジョンなどについて幅広く話を聞くことができた。バニスター氏はFounders Fundのパートナーとなった後もさまざまなスタートアップに150万ドル(約1.6億円)以下の少額投資、いわゆるエンジェル投資を続けていること、またそれはスタートアップ・エコシステムのために必要であると語った。投資先の目標は極めて未来的で野心的なこともあれば、退屈なくらい現実的であることもあるという。バニスター氏は(これらの投資先は)、「平均するとバランスが取れているのです」とジョークを言った。

我々はまたounders Fundについても話し合った。2005年の創立以來、大きく変化しているが、依然としてトップクラスのファンドとして名声を維持している。バニスター氏は創立時のメンバーの多くがサンフランシスコを離れた理由についても語った。

ベンチャーキャピタルでは月曜日の朝にパートナー会議が開かれるのが普通だ。ところがFounders Fundにはこれがないという。それどころか毎週の定例会議さえない。その代わりに運営は高度の自立的、分散的だ。バニスター氏によれば「Founders Fundにはそもそも会議がごく少ない。2、3週間に一度1時間から1時間半くらいのブランチがある。我々150万ドルは議題をSlackで交換する。ときには議題がぜんぜんないこともある。そういう場合にはブランチはすぐに終わる。皿に料理を取り、ひとつか2つの問題について議論すればそれでおしまいだ」と述べた。

「Founders Fundは四半期ごとに場所を社外に移してミーティングを行う。たいてはパートナーの家に集まる。これは1日がかりのイベントだ。メンバーは特定の投資案件について話すわけではない。このときの話題は未来だ。つまりエキサイティングになりつつある分野は何か、それに対して我々が取るべき戦略はどうあるべきか、などを話し合う」と述べた。

投資のの意思決定の方法は投資額によって異なる。バニスター氏によれば「[スタートアップへの投資]ステージに応じて話し合う必要があるパートナーの人数は変わってくる。1人でいいこともあるし3、4人のこともある。ごく初期のステージで、投資額も小さければ大勢のパートナーに会う必要はない。投資額が大きくなればジェネラル・パートナー全員の審査が必要だ。Brian Singerman(ブライアン・シンガーマン)氏やKeith Rabois(キース・ラボア)氏のような投資業務のトップに会わねばならず、エンジェル投資の場合よりは手間がかかる」という。

ピーター・ティール氏自身が投資の意思決定にどの程度関与しているかを尋ねると、バニスター氏は「ある額以上になると常に関与する」と述べた。正確な額については「多額といっておきましょう」と笑った。

ファンドの上級メンバーは多くの場合ティール氏のアドバイスなしで意思決定できるが、ある特定の問題に関してはティール氏は投資先スタートアップの創立メンバーと会うことになる。投資先は最初期のステージで我々が発見し、共に成長し、すでにティール氏と共同創業者たちとの関係も築かれているのが理想的だ。また、年に一度オフサイト・ミーティングを開く。これはピーター・ティール氏)がファンドのポートフォリオに関係する全員と会ういい機会になっている。

ともあれ彼は非常に積極的に関与している。四半期ミーティングにもブランチにも必ず出席する。実のところ「サンフランシスコを出て行く」と宣言してロサンゼルスに移ってからは、サンフランシスコにいた頃よりもティール氏と会う機会が増えた」という。バニスター氏は「だってロスに住んでいたんではサンフランシスコに来ても行くとこはオフィスしかない」と冗談を言った。

バニスター氏は「Founders Fundは総額30億ドルのコミットメントとなる2つのファンドを組成中だ」とする最近のウォール・ストリート・ジャーナルの報道について確認を避けた。ひとつはFoundes Fundのフラグシップとなるファンドで、他はポートフォリオ企業が上場を望まない場合、非公開の期間を延長するため、臨機に投資を行うファンだだという。

私は最後にバニスター氏にFounders Fundの創立メンバーの多くが別の道に進んだことについて尋ねた。Founders Fundはティール氏に加えてKen Howery(ケン・ハワリー)氏、Luke Nosek(ルーク・ノセク)氏、Sean Parker(ショーン・パーカー)氏によって創立された。しかしHowery氏は現在米国のスウェーデン駐在大使だし、ノセク氏はテキサス州オースティンでGigafundという別のファンドを運営している。パーカー氏も多彩な活動をしているが、ロサンゼルスに住んでいる

バニスター氏は「誰もがしたいことををする」のがFounders Fundの気風だと説明した。 例えば、「ケンは以前から政治に関心があった。そこで(その一環としてスウェーデン大使という)新しい職に就いた」と述べた。

その一方で、こうした転職には「サンフランシスコという問題が共通しているかもしれない」と認めた。「生活費が高騰しすぎている。これは大きな問題だ。住める場所がもっと必要だ。都市に欠かせない各種のサービスを提供してくれる人々ですらサンフランシスコでは生活できず、近郊から通勤してくる。普通の人がここに住むのは不可能なのだ。これは投資家にとって重大問題だ。特にシリコンバレーとその周辺がスタートアップの中心であり、投資もこの地区に集中させたいと考えているならなおさらだ。実際Founders Fundでは すでに(投資先として) 中西部など他の地域の可能性を探り始めている」とバニスター氏は述べた。

サンフランシスコの創業者に対する援助、逆に創業者のサンフランシスコに対する貢献について、バニスター氏は「どちらもまったく不十分だ」と述べた。サンフランシスコ市は「AirbnbとUberを生んだ町だ。世界で最も先進的なテクノロジーを活用する都市になれる。東京のように(安全、清潔に)運営できない理由はないはずだ。ところが私たちの町はごらんのように運営されており、その結果もご覧のとおりだ。つまりめちゃくちゃだ」と批判した。

テクノロジー・スタートアップの創業者や社員は大変奇妙な状況に置かれている。「サンフランシスコの住民の多くがテクノロジー・スタートアップを嫌い、我々を嫌っている。Salesforceのファウンダーであるマーク・ベニオフ氏などはサンフランシスコ市に多額の資金援助をしているが、私には効果が少しも見えない」という。バニスター氏は「例えばホームレスの状態が改善された証拠をまだまったく見つけられない」と述べた。逆に「犯罪は増加している。地方検事は犯罪者を訴追するのが仕事のはずだが、なすべきことをやっていない。サンフランシスコ市が実際にやっているのは生活環境の改善の努力ではなく、(車上荒らしに)車の窓を割られたらUberの割引券をくれるといったことばかりだ」と述べた。

聴衆は「窓ガラス」の部分をジョークだと思って笑ったが、実態はひどいものだ。「我々は間違った方向に進んでいる。思考の多様性が求められるのは今だ。しかしサンフランシスコの政治はそうなっていない。我々(住民は)もっと政治に参加する必要がある」とバニスター氏は結論した。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

動物と飼い主と獣医師にとって快適な動物病院を目指すModern Animal

ペットと飼い主と獣医師の三者を平等に幸福にしたいと願うスタートアップであるModern Animal(モダン・アニマル)が、1350万ドル(約14億6700万円)のシード資金を獲得して来年初めに、米国ロサンゼルスに最初の開院を目指す。シードラウンドをリードしたのはFounders Fundで、Upfront VenturesやSusa Venturesなどが参加した。

創業者のSteven Eidelman(スティーブン・エデルマン)氏は、前に犬の運動量を測るスタートアップWhistle(ホイッスル)を創業し、のちにそれをPetcare(ペットケア)に売却した。Modern Animalは、次世代の動物病院を目指している。ペットのためのOne Medicalと考えてもいいかもしれない。獣医師は全員がフルタイムの正社員で、同社の株を保有する。

エデルマン氏はTechCrunchに対して「One Medicalと似ているといえば、うちもテクノロジーとデザインの両面でケアのあり方を抜本的に変えようとしている。One Medicalとの共通点は多い」と語る。

Modern Animalを率いるのは獣医学博士のChristie Long(クリスティ・ロング)氏で、前はペットショップ大手のPetcoの獣医学部長だった人だ。Modern Animalは年額100ドルの会費制で、すべての検査が無料、ネット利用も含め1日24時間週7日のケア、アプリからの処方リクエストとデリバリー、などのサービスを提供する。そのほかの診療サービスは有料だ。

エデルマン氏は「弊社の目標は市場に合わせることなので、高額なペットケアサービスは提供しない。最良のケアをもっとも効率のいいシステムで提供したい。長期的な低コストを支えるのは、そのような効率性だ」と説明する。

Modern Animalの最初の診療所は歯科と外科もあるが、入院サービスはない。同氏による「緊急治療室のようなものはないし、そのための専門医もいない。高度なケアが必要な動物には、救急医や専門医を紹介する」とのこと。

同社は、今後の5年間で米国に50カ所の開院を目指している。どの院も環境への配慮を重視し、例えばフロントで電話の呼び出し音がけたたましく鳴ったりしない。犬と猫を同じ場所に居させない。犬は平気でも猫アレルギーの人とか、その逆もいるからだ。また動物たちの間にも、さまざまな相性がある。

「動物のための安全で快適な環境を作りたい。それに動物病院では、本当に優れたケアは人間へのケアも含む」とエデルマン氏は主張する。

画像クレジット: TechCrunch/MRD

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

空港などのX線セキュリティマシンの能力をニューラルネットでアップするSynapseがシードで$6Mを調達…成田空港で試験運用中

最近の数年間でコンピュータービジョンの技術は大きく進歩しているはずだが、それでもなお、空港などの安全が重視される場所では、大量のX線撮影装置がさらに大量の人間の手を借りて、武器などの発見に使われている。

Synapse Technologyが作っているコンピュータービジョン技術の製品は、既存のX線マシンに付設するハードウェアアドオンで、本体機の保証を無効にすることなく、ニューラルネットワークを利用するアシスタントが、スキャン対象に対する‘視力’を増強する。

同社はこのほど、Founders Fundと8VC、およびVillage Globalがリードするシードラウンドで、600万ドルを調達した。

これまでの同社の主な対象は、政府の建物や学校など重要施設のセキュリティチェックだったが、本当はもっと大きな市場として空港をねらっている。空港も当然、同社の技術の市場だ。Synapseは現在、日本の成田空港でパイロット事業を行っており、同社によると、そのスキャナーにより禁止品目の検出率が従来に比べ14%増えたそうだ。

これまで500万あまりのバッグをスキャンしたが、今後は検出品目をもっと多様化していきたい、という。たとえば今同社は、その技術で3Dプリントされた武器を検出するテストを行っている。

Synapseの社長Ian Cinnamonは、本誌インタビューでこう語った: “これまでのX線マシンは物の判定を人間の目に頼ってきたから性能に限界がある。わが社のソフトウェアとAIは、人間よりも高い精度で武器を自動的に検出する”。

Synapseの技術は、機内手荷物の中の洗面用品をチェックするわけではない。現在の同社の技術は、銃や、ナイフのような鋭利な品物の検出にフォーカスしている。同社によると、空港の保安担当者たちの仕事が楽になるだけでなく、同社のAI技術により、今までは見つけられなかった大きな電子製品の中に隠されたオブジェクトを、彼らは見つけられるようになる。だから将来的に旅客は、自分のバッグの中にラップトップがあるだけではセキュリティチェックにひっかからなくなる。

空港の禁止品目は今どんどん増えているから、Synapseのねらいは人間労働者を置換することではなく、彼らが実際に調べなければならない品物の数を減らしてあげることだ。“わが社のアルゴリズムが活躍するようになればなるほど、人間労働者の能力もアップする”、とCinnamonは言っている。

今回の資金は、もっとさまざまな重要施設で同社のプロダクトが使えるようにするための技術開発と、新規雇用の増大に充てられれる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Disrup SF:サイアン・バニスターが高校中退からエンジェル投資家への道を語る

今日(米国時間9/5)、サンフランシスコで開催中のTechCrunch SF 2018でFounders Fundのパートナー、サイアン・バニスターが15歳のホームレスのティーンエージャーからトップクラスのエンジェル投資家になった驚くべき道筋を語った。バニスターはUber、Thumbtack、SpaceX、Postmates、EShares、Affirm、Nianticといった著名なスタートアップへの投資家だ。

バニスターは今朝のTC Disruptでストリートチルドレンの一人がベンチャーキャピタリストに転身することを可能にするカギとなったいくつかの重要なポイントを説明した。その一つは「次のステップ」に集中する漸進主義だ。。バニスターはティーンエージャーの頃、いつも次の食事、次のシャワーを得るために必死だった。そして個人主義、良いメンターを得ること、テクノロジー、飽くなき好奇心も大きな役割を果たした。

バニスターは「金を稼ぐこと」―つまり資本主義に夢中だった。それが結局自分の人生を救ったのだという。バニスターの「次の一歩」は食事やシャワーを得ることから始まったが、やがて職を得ること、新たなスキルを身につけることへ階段と上っていった。

バニスターはこうしたステップを「ゲームのレベルをアップしていくこと」と考えていた。

良きメンターに恵まれてテクノロジーに目を開くことができたのが次の大きな幸運だったとバニスターは言う。

バニスターはコンピューターの使い方を習い、やがてオンラインの世界に入り、プログラミングができるようになるとハッカー文化を知り、テクノロジー企業で初級の職を得ることができた。

「突然、生まれて初めて、私の頭脳はフル回転し始めました」とバニスターは言う。

こうして異例のコースをたどってテクノロジーの職を得たが、幸運なことに「決まりきったルール」を守らないことでクビになることはなかった。それどころか創造性を自由に伸ばすよう励まされた。彼女は昇進し、その結果LinuxやBSDを習うことができた。その後の2年でバニスターはインターネットの仕組みを学び、ルーター、DNSサーバー、メールサーバーのセットアップができるようになった。

バニスターは高校のドロップアウトであり、大学には一度も行ったことがない。

サンフランシスコに移ってスタートアップで働き始めたところ、折よくその会社がCiscoに買収され、バニスターも多少の恩恵を受けた。これを資金として彼女は有望そうなスタートアップへの投資を始めた。

「私の最初のエンジェル投資先はイーロン・マスクのSpaceXでした。とても怖かったんですが同時にエキサイティングな経験でした…以来、いってみれば、中毒してしまったといえるでしょう」とバニスターは言う。

賢明な投資が続き、バニスターはFounders Fundにパートナーとして迎えられた

「私はまったく新しい分野に飛び込み、知的にも全力を尽くして働くことができるようになりました」とバニスターは語った。

どうやってそんな成果を収めることができたのかと尋ねられて、バニスターは、「言えるのは私はいつも好奇心の塊だったということです。私は私より頭がよくて、もっと能力のある人達に囲まれて過ごすようにしました。これが私がプレイしてきたゲームです。今でもこのゲームを続けています」と答えた。

原文へ

滑川海彦@Facebook
Google+

安全検査ロボットのGecko Roboticsが700万ドルを追加調達

Gecko Roboticsは、壁を登るロボットでこの国の発電所の人命を救うことを目的としている。これを継続するために、同社は700万ドルの資金を調達した。出資したのはFounders Fund、Mark Cuban、The Westly Group、Justin Kan、およびY Combinatorらの名だたる投資家だ。

ピッツバーグ拠点のこの会社を本誌が 最初に報じたのは、共同ファウンダーのJake LoosararianがTechCrunch TVスタジオを訪れ、彼のデバイスをカメラの前で披露したときだった。当時GeckoはY Combinatorの2016年春クラスにいて、いくつかの米国発電所と提携して黒字化を目指していた、とLoosararianは語った。

当時のインタビューはここで見られる。

Geckoが作るロボットは工場や発電所施設の安全を確保するうえで重要な役割を担っている。ロボットたちは人間に先行して潜在的危険の確認を行う。彼らは独自の磁気装置を使ってタンクやボイラー、パイプラインなどの工業機器に登り、超音波やレーザーなど様々なセンサーを使って構造の完全性を検査する、と会社のリリース文にかかれている。

安いものではないが——ロボットの価格は5万~10万ドル——もちろん人命と比べれば取るに足りない。

発電所の壁を登って安全検査をするGeckoロボット

Loosararianはさらに、彼のテクノロジーは現存する他者よりも速くて正確であり、それは「最も困難な問題のいくつかを解決するために」機械学習を用いているからだとTechCrunchに語った。

それは、何人かのベテラン投資家の注意を引くだけのユニークなアイデアでもあった。

「工業支援技術の分野では過去数十年間イノベーションはないのも同然だった」とFounding Fundのパートナー、Trae StephensがTechCrunc宛の声明で言った。「Geckoのロボットは施設の停止時間を大幅に削減するとともに、重要な性能データを収集して致命的事故を未然に防ぐ。彼らの作っているものの需要は膨大だ」

ロボットの動いているところを見たい人は下のビデオをご覧あれ:

Diesel_tank_A from Gecko Robotics, Inc on Vimeo.

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Peter Thielは投資対象としての自動運転技術に半信半疑、「自動車など要らない世界が良い」説

億万長者の投資家Peter Thielは、トレンドに投資するのは嫌いだ、とよく言う。今週サウジアラビアのリヤドで行われた投資フォーラムFuture Investment Initiativeで、ジャーナリストのMaria Bartiromoと共にステージに立った彼は、同じ言葉を繰り返した。

今の主な投資対象を聞かれた彼は、シリコンバレーの外に着目していることが多いが、SaaSソフトウェアや仮想コンピューティング、拡張現実、人工知能といった“バズワード”はあまり重視しない、と答えた。“そのような投資のトレンドは、実際にトレンドだったとしても危険だ”、と彼は言う。そしてむしろ、“バズワードが聞こえてきたら、そこからできるだけ早く逃げ出すべきだ”、と。逃げ遅れたら、“その種の多くの企業と多くの競合相手”に対処しなければならなくなる。

そこで当然ながらThielは、自動運転技術に対しても同じことを感じている。彼のベンチャー企業Founders Fundが投資しているライドシェア企業Lyftは、その未来が、ある時点で自動運転企業になれることにかかっている、と思われるにもかかわらず、だ。

しかしThielによると、その彼自身のルールにも一つだけ例外がある。それは、“まだ誰のレーダーにも映っていない”トレンドには積極的に着目することだ。

つまり彼が示唆するトレンドとは、ぱっと見ても視界内に存在しないが、今日それに向けられている(希薄な)関心よりも、はるかに大きなメリットを持つテーマだ。人がそれに注意を向けないのは、自動運転車や空飛ぶタクシーほどセクシーでないからだろう。その、彼が秘かに着目しているトレンドとは、誰もが知ってる遠隔通勤(telecommuting, テレコミューティング)、その、これからの不可避な増大によって世界が変わることだ。

むしろ交通運輸の未来について聞かれたThielは、交通運輸にはあまりニーズがないかもしれない、と言いたげだった。少なくとも、職場に出かける個人からのニーズは…。

Thielは語る:

確かに、UberやLyftのような企業へのシフトは、私も投資していますけど、それ自体は大きな変化です。自動運転車というトレンドも、経済にとって重要なトレンドです。それは、消費者の行動を大きく変えるでしょう。自動運転車があれば、車内でも仕事ができるから、通勤時間が今よりもっと長くてもよいでしょう。

でも私は、それが良い投資であるという確信は持てません [強調: 本誌]。大量の企業が、自動運転車という同じような技術をやっているけど、彼らの差別化要因はよく分からないのです。

運輸交通関連の技術で自動運転車よりも関心があるのは、破綻に瀕してている私たちの交通システムの迂回策/回避策はないか、ということです。そしてそのITバージョンこそが、人びとが何十年も前から話題にしていたテレコミューティングなのです。

つまり、交通運輸なんてまったく要らない、と言えるやり方はないのか。リモートで十分に仕事ができれば、それでいいじゃないか。30〜40年前には、いろんな理由でそれはダメだったけど、家にいたら仕事に集中できないとか、人と人の出会いから良い仕事が生まれる、といった精神論みたいな理由もありましたね。

でも、シリコンバレーなどでは現にテレコミューティングが増えているのではないですか。そんなところでは、シリコンバレーの外に人びとがデベロッパーの小さなチームを見つけています。世界中のいろんな場所のいろんな人びとを、ひとつの仕事に割り当てる方法がいくつもあるのです。

ですから . . . テレコミューティングは、もっと探究すべき価値のあるトレンドです。それはこれまで、過小評価されていました。

CB Insightsのデータによると、自動車関連のスタートアップには、今年の前半だけでも、16億ドルという過去最高の投資が行われている。

ThielとBartiromoのチャットの詳細は、ここにある。

しかし、状況からして無理だったかもしれないが、彼のトランプ政権との関係は、話題にならなかった。その関係がずっと続いているために、今年のThielは何度もニュースのタイトルや見出しに登場した。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

新薬開発をデータ分析で助け実験を効率化するElemental Machinesがシード資金$2.5Mを獲得

9955408003_23c0d7ee2a_k

ケンブリッジのElemental Machinesは、ウェットラボのソフトウェアシミュレーターを作っていて、とくに、新薬開発など薬の研究開発をデータによって行うことにより、その時間と費用を低減することをねらっている。

同社は、ラボで得られたデータで、シミュレーションにおける実験の再現性を改良することを目指しており、その新しい考え方に目をつけた投資家のFounders Fundは、同社に250万ドルのシード資金を提供した。

Founders Fundは、SpaceXや、Lyftの車の相乗りサービス、寿命延伸の研究など、未来をラジカルに変える可能性のあるアイデアに、よく投資をする。

Elemental Machinesの場合は、データをクラウドベースのソフトウェアプラットホームに適用することにより、ウェットラボの実験や研究を効率化して、新薬や治療法の改善方法の発見をスピードアップ〜短時間化する。研究者たちは、それらのデータが集められたコンテキストを十分に理解しながら、研究結果を解釈できる。

Elemental MachinesのCEO Sridhar Iyengarは、そういうデータ分析をベースとする実験や研究のことを、ラボにX線撮像装置があるようなものだ、と言う。“われわれは、テクノロジーを、これまでの世界から別の世界へ持ち込もうとしている。われわれは科学者たちに、さまざまな重要データを集めて視覚化するための容易で強力な方法を提供する。これまでのラボや、とくにラボのデバッグでは、データの積極的な利用ということは、まったく考えられていなかった。”、と彼は語る。

66d8080e-f28f-40d9-96b9-046588a58c2e

同社のやり方は、ラボのコストも大幅に削減する。Deloitteのデータによると、生命科学のグローバルな研究開発に投じられる金額は、これまでのやり方を前提として推計すると2020年には1630億ドルに達する。しかし、実験とその結果を…データを利用して…正しく複製するやり方があれば、そのR&Dが必要とする費用は長期的には大幅に削減されうる。

ラボといっても非常にさまざまだから、一概にコスト削減を言うのは大雑把すぎるが、Iyengarが挙げる同社の顧客の例では、同社のソフトウェアとそれによるデータ分析により、研究に要する期間を大幅に減らすことに成功している。

Elemental Machinesのチームには、ウェアラブルの研究開発やデータ分析の履歴と実績を持つ科学者たちがいる。彼らはこれまでウェアラブルのMisfitを作ってそれを最近Fossilに売り、その後消費者対象のヘルステク企業AgaMatrixを作り、そのあと、ウェットラボに焦点を定めた。

同社の考え方は、同じくFounders Fundが投資しているEmerald Lab Therapeuticsに似ている。Emeraldはクラウド上でオーダーメイドのデータ分析を提供しているSaaS企業だ。Iyengarの考えでは、両社は競合するというよりむしろ共生的であり、とくにElemental MachinesはSeimensやGEのような大企業から、大規模データ処理の市場を奪おうとしている。

同社は1年近く前にひそかにローンチし、今ではLab Centralなど約30社を顧客にしている。

このラウンドに参加したそのほかの投資家は、Max Levchin, Project 11 Ventures, 2M Companies, そしてRock Healthだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa