架空TikTokスターのネットワークを構築するFourFrontがシード資金調達

あらゆる人気ソーシャルメディアプラットフォームが新しい世代のユーザーに新しいタイプのストーリーテリングを提供してきた。ショートフォーム動画プラットフォームのユーザーベースは急速に10億人を超え、ソーシャルメディアのスターの生み出し方を一変させたため、TikTokの影響はおそらく最も迅速なものだった。

FourFrontは、TikTokで新しいタイプのストーリーテリングを定義しようとしているメディアスタートアップだ。TikTok固有の感覚で脚本された短編連続ストーリーを演じる演者のネットワークを普及させることを目指している。架空のストーリーをVlog形式で配信することは、明らかにソーシャルメディアにとって新しい展開ではないが、FourFrontはTikTokの「For You Page(FYP)」の発見力を利用して、新しいオーディエンスを着実に増やしていきたいと考えている。

同社はこのほど、Bam VenturesやSlow Ventures、BDMI、Alumni Ventures GroupそしてHustleFundから150万ドル(約1億7000万円)のシード資金を調達した。

TikTokには数十人のキャラクターが登場しており、数十万人のフォロワーがいるものもある。しかし、すべてのキャラクターがヒットしているわけではなく、FourFrontのライターとソーシャルメディアストラテジストのチームは、9人のキャラクターを決め、これらのキャラクターは、演者たちが有機的に交差する「宇宙」を作り上げることを目指している。キャラクターの筋書きはFourFrontのチームが考えるが、動画の撮影は演者たちに任されている。

脚本化されたコンテンツはメロドラマ風であることが多いが、プラットフォーム上の人気動画のフォーマットに従っている・例えば、FourFrontの人気キャラクターである「Sydney」の動画では、「watch us confront my sister’s cheating fiancecé LIVE(私たちが姉妹の浮気相手と対決するところを見てください)」というが、この動画は6月に公開されて以来、約50万人のフォロワーを獲得している。Sydneyは、姉妹の浮気相手を捕まえるだけでなく、ルームメイトが賃貸契約を早期に破棄したことによるストレスや、出会い系アプリのカスタマーサポートで学んだことなどを語る。

FourFrontの共同創業者Ilan Benjamin(イラン・ベンジャミン)氏によると、キャラクターのネットワークが本物の人間と誤解されないようにしており、彼らのプロフィールでストーリーのフィクション性を強調し、それぞれの動画には#fictional(フィクション)のタグがつけてある。「オーディエンスを混乱させたり騙したりはしたくない、楽しんで欲しいだけだ」とベンジャミン氏はいう。

FourFrontのキャラクター「Tia」(画像クレジット:TikTok)

TikTokのコンテンツづくりでは、FYPの不規則性と付き合わなければならない。視聴者の多くはストーリーの途中でSydneyのようなキャラクターを認識するが、新しい視聴者はキャラクターとわかるまで時間がかかる。しかし既存の視聴者に長時間忍耐を強いるのもよくない。そのバランスが難しい。

ベンジャミン氏によると「状況設定は繰り返しが多くなるでしょう。常にバランスが勝負です。どの動画も、それ自身で自立していなければならないし、どの動画も何度見ても新鮮でなければなりません」。

現在、同社はキャラクターのスターたちとオーディエンスのネットワークづくりに力を入れており、AIによる会話機能のあるチャットボットなどを使って、対話能力を高めようとしている。また投票機能で、ストーリーの方向性を決めることもトライしたいという。

画像クレジット:TikTok

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hiroshi Iwatani)