アリババが香港証券取引所で2兆円超の二度目の上場を検討中

香港の資本市場に大きなニュースが落ちてきた。世界最大のテクノロジー企業のひとつであるAlibaba(アリババ)が、香港証券取引所のセカンドリスティングで200億ドル(2兆円超)の調達を検討している。5月28日にBloomberg(ブルームバーグ)が、匿名情報筋からの情報としてそう報じている(訳注:すでによそで上場している企業がその証券取引所で新たに上場する場合を、セカンドリスティングないしセカンダリーリスティングと呼ぶ。アリババはすでに、2014年にニューヨーク証券取引所で上場している)。

TechCrunchは今アリババにコメントを求めているので、情報が得られ次第この記事をアップデートしよう。

匿名の情報筋がブルームバーグに語ったところによると、香港で調達する資金はアリババの「資金調達チャネルを多元化し流動性を高めるため」だそうだ。記事によると、この中国のeコマース巨人は上場の申請を早くも2019年第2四半期までには秘密裏に行う。アリババがニューヨーク証券取引所で250億ドルという記録的な額の上場を行って話題になったのは5年前だが、そのとき香港は、企業の構造が規則違反として同社の上場の申請を却下している。

しかし香港証券取引所はその後ますます、上場のための人気市場になり、それにより中国のテクノロジー企業を国内の投資家に近づけることになった。2017年には本誌のライターのJon Russellが、そんな状況を説明している。転換点になったのは、昨年同取引所がデュアルクラスストック(複数クラスの株式)による上場をやっと導入したことで、これがHKEXの魅力増大に大きく貢献し、スマートフォンメーカーのXiaomi(シャオミ)やフードデリバリーのMeituan Dianping(美团点评)の上場が相次いで行われた。

このニュースが登場した今は、中国のテクノロジー企業が米国の増大する敵意と、一連の長引く貿易交渉に直面している。先週は中国最大のチップメーカーがニューヨーク証券取引所からの撤退を表明し、既存の香港市場に集中すると発表した。でもその計画は前から懸案のもので、中米の貿易戦争とは無関係、と言っている。

関連記事:中国最大のチップメーカーがニューヨーク証券取引所上場廃止へ

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

単眼のカメラから3D画像情報を取り出す次世代3Dセンサー

テルアビブのMultiVuは、1つのセンサーとディープラーニングを組み合わせた新しい画像技術を開発している。同社は米国時間5月16日、700万ドルのシードラウンドを発表した。ラウンドをリードしたのはクラウドファンディングのプラットホームOurCrowdCardumen Capital、および香港のJunson Capitalだ。

テルアビブ大学のイノベーション推進ファンドがMultiVuの中核的技術の初期の開発を支え、それは同大のDavid Mendlovic教授の研究室から生まれた。Mendlovic氏は前にスマートフォン用カメラのスタートアップCorephotonicsの共同ファウンダーだったが、同社は最近サムスン(Samsung)に買収された

MultiVuのセンサーは、従来のような2つのセンサーではなく単眼のカメラを使って3D画像を作り出す。そのたった1つのセンサーが1回の撮影で奥行きと色のデータを取り込む。

従ってセットアップはコンパクトになり、部品が少ないぶん費用も安くなる。それを可能にしているのが、同社が特許を持つライトフィールド技術だ。

現在同社のチームは、スマートフォンなど小型デバイスの顔認証でそのセンサーを利用することにフォーカスしている。それはもちろん成長市場だが、小型の3Dセンサーにはもっと多様なアプリケーションがありうる。顔認識以外のセキュリティ技術や、自動運転車のセンサーにも使えるだろう。

MultiVuのCEO Doron Nevo氏は次のように語る。「この技術は概念実証の段階を終えており、3Dの顔認証技術や、低コストの3D画像技術をモバイルや自動車産業、そのほかの工業分野、そして医療の分野にも提供できる。この技術を商用化する機会が与えられたことを、嬉しく思っている」。

しかし当面は、そのセンサーそのものの市場化に力を入れていく。今回の新たな資金もそのためのマーケティングや事業開発に充てられる予定だ。

OurCrowdの上級パートナーEli Nir氏はこう語る。「未来の3Dセンサー技術に投資できることはたいへん喜ばしく、MultiVuは市場に深く浸透していくだろう。現在の高コストな3D画像技術を利用できない企業はとても多い。David Mendlovic氏の3つめの創業企業に投資できることを誇らしく思うし、またCEO Doron Nevo氏の豊富な起業履歴や高い能力を持つチームにも大きな期待が持てる」。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

IoTのセキュリティサービスは需要急増でArmisは早くもシリーズCで70億円相当を調達

Armisは、エージェントを使わずにネットワーク上のIoTデバイスを保護する。その技術は市場のニーズにフィットしたらしく、同社の売上は前年比で700%も増加した。そしてそれは当然投資家の関心を惹き、彼らは同社にシリーズCのラウンドで6500万ドル(約70億円)を、同社の成長の加速を今後も維持するために注入した。

Sequoia Capitalがそのラウンドをリードし、新たな投資家としてInsight Venture PartnersとIntermountain Venturesが加わった。また、これまでの投資家Bain Capital Ventures、Red Dot Capital Partners、そしてTenaya Capitalも参加した。同社によると、これで調達総額は1億1200万ドルに達する。

同社は、ネットワーク上のデバイス管理の中でもとりわけ難しい問題を解決する。デバイスはあちこちにあるけど、それらの上でエージェントを動かせないとしたら、どうやって管理するか?同社の協同ファウンダーでCTOのNadir Izrael氏は曰く「古いデバイスは、ポートをスキャンしただけでシャットダウンしてしまうこともある。細心の注意が必要なんだ」。

そこでArmisは、受け身なアプローチでセキュリティの問題に臨む。まず、正常なデバイスのやることを観察し学習し理解する。それらは、動作の指紋のようなものだ。Izrael氏は次のように語る。「デバイスがネットワークの上でやることを観察する。彼らがどう振る舞うかを見る。そこから、必要なことをすべて見つけ出す。Amisの本質は、デバイスのビヘイビアを知るための大きなクラウドソーシングエンジンだ。基本的に、Armisのどのクライアントも、デバイスの動作をつねに学習している。そしてそれらの統計モデルや機械学習のモデルをもとに、マスターモデルを作る」。

データの取り方の詳細は聞かなかったが、いずれにせよ同社の技術はセキュリティの痛点を捉えているのだろう。同社は1年前に3000万ドルのシリーズBを発表したばかりだが、成長がはやく人手が足りないので、新たな雇用のための資金が必要になった。

急成長はそれ自身がスタートアップにとってチャレンジになる。今125名のワークフォースを年内に倍にしたいのだが、新しい社員たちと新しい顧客のためのシステムを即動くように整備することも欠かせない。

もちろん新社員は営業とマーケティング方面でも必要だが、そのほかにカスタマサポートの充実や、パートナーシップ事業によるシステムインテグレータやISV、MSPたちからの協力も重要だ。彼らは、同社のためにも顧客のケアをやってくれるだろう。

関連記事: Armis raises $30 million Series B as enterprise IoT security heats up(ArmisのシリーズB、未訳)

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

企業と社員のアップル製デバイス管理を自動化するFleetsmithが海外進出を目指す

Fleetsmithは2016年に、クラウド上のApple(アップル)製デバイスを管理することをミッションとしてローンチした。同社はAppleのDevice Enrollment Program(日本語ページ)を利用して、これまでは複雑だったITの活動を単純化する。同社は昨年そのサービスを大幅に充実し、そして米国時間4月8日、Menlo VenturesがリードするシリーズBのラウンドで3000万ドルを調達したことを発表した。

Tiger Global ManagementとUpfront Ventures、およびHarrison Metalがこのラウンドに参加した。契約の条件として、MenloのパートナーですNaomi Pilosof Ionita氏が同社の取締役会に加わる。彼女の同僚であるMatt Murphy氏が取締役会のオブザーバーになる。同社発表のデータによると、これで同社の調達総額は4000万ドルあまりになる。

同社の共同創業者でCEOのZack Blum氏によると、最初のミッションは痛点の解消を目指し、共同創業者はAppleのデバイスを管理する現代的なアプローチを手探りで探した。Blumはこう説明する。「Fleetsmithを利用すると、顧客企業はデバイスを社員たちに直接配布できる。そして、それをもらった社員はWi-Fiに接続し、デバイスは自動的に管理システムに登録される」。

彼によると、このような自動化と、同社プロダクトのセキュリティおよびインテリジェンスの機能が合わさって、ITはデバイスの登録やアップデートについて心配する必要がなくなる。社員は、世界中のどこにいてもよい。

最初は主に中小企業に問題解決を提供していたが、最近では規模の大小を問わず、ワークフォースが分散している企業が主な顧客だ。そういう企業にとっては、どこからでも自動的に登録ができるのでとても便利だ。登録が完了したら顧客企業は、会社の全社員にセキュリティアップデートをプッシュしたり、必要ならアップデートを強制できる。ただし社員がクライアントところで会議に出ていることもあるので、そのようなアップデートができない場合には、強力なリマインダーを送る。

昨年同社は、ITが管理下のすべてのデバイスを一望にできるために、ダッシュボードを開発した。それを見ると、個々のデバイスの健康状態や問題点が分かる。たとえば、ディスクの暗号化をやっていないMacBook Proが数台見つかるかもしれない。

このダッシュボードは、Office 365やG Suiteのアイデンティティ管理部位に統合できる。ITはこれら両ツールから直接に社員をダッシュボードへインポートし、すると社員はFleetsmitこれらツールの認証情報でサインインできるから、全社員を管理下に収めることが迅速にできる。

スクリーンショット提供: Fleetsmith

Fleetsmithはまた、Managed Service Providers(MSPs, 各種のマネージドサービスのプロバイダー)とのパートナー事業により、そのリーチをさらに広げた。MSPsは中小企業のITを管理しているから、彼らとの関係を構築すればFleetsmithの拡大も迅速に行える。

現在同社は社員数30名、顧客企業数1500社に成長しているから、このやり方がうまく行ってるようだ。今回の新たな資金は今後のさらなる社員増と、プロダクトの能力拡大、そして海外進出に充てられる(これまでは米国市場のみ)。

関連記事: 中小企業の多様なApple製品の利用を自動化クラウドサービスで管理するFleetsmith$7.7Mを調達(同社シリーズA時)

画像クレジット: MacFormat Magazine / Getty Images

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

コンテナのセキュリティをサービスするAquaがシリーズCで約68億円相当を調達

コンテナのセキュアな立ち上げを助けるAqua Securityが、Insight Partners率いるシリーズCで6200万ドルを調達したことを発表した。

これまでの投資家であるLightspeed Venture Partners、マイクロソフトのベンチャーファンドM12、TLV Partners、そしてShlomo Kramerも参加した。米国時間4月2日の投資で、「これまでの累積調達額は1億ドルを超える」と同社は言っている。

初期の投資家たちは、同社が2015年に創業されたとき賭けに出た。というのも当時はコンテナはまだ何者でもなかった。でもファウンダーたちは、次に来るものに関して確かなビジョンを持っていた。そしてその後、賭けはでっかく当たって今同社は、先行馬のアドバンテージを享受している。ますます多くの企業がKubernetesとコンテナの方を向くようになり、コンテナという特殊な環境を最初から想定したセキュリティ製品が必須になりつつある。

共同ファウンダーでCEOのDror Davidoff氏は、Fortune 500社のうち60社が同社の顧客だというが、その社名は明かさない。でもひとつのヒントとして、世界のトップバンクのうち5行が顧客だそうだ。そんなクラスの企業がコンテナのような新しい技術へ舵を切ったら、しっかりとしたセキュリティオプションなしでは本気で前へ進めない。それを、Aquaが提供する。

Davidoff氏はこう語る。「うちの顧客はみな、思い切った決断をして新しい技術を採用している。彼らは、既存のセキュリティツールでは問題を解決できないことも、よく知っている」。彼によると、みな最初は小さく始めるが、まわりでコンテナの採用が増えるにしたがって自分たちもコンテナの利用を拡大している。

コンテナのような軽量で短命(エフェメラル)なコンセプトはセキュリティの脅威も少ない、と思いがちだが、しかしDavidoff氏によると、コンテナはオープンな技術だから不正行為に遭いやすい。彼はこう言う。「今のコンテナは、誰も知らない初物技術ではない。多くの人に知られており、したがって危険性も増している。技術そのものがオープンだから、ハックもしやすいし脇道にも行きやすい。コンテナに機密情報があれば、その情報には容易にアクセスできる」。

Aquaは、コンテナのイメージをスキャンしてマルウェアを探し、安全を証明されたコンテナだけが確実に本番で動いているようにする。いわばAquaがコンテナの関所になるから、悪者が不正なイメージを挿入することが困難になる。しかしコンテナの短命という性質が、何かがこっそり入り込むことを許してしまう。DevOpsがいるところなら、欠陥コンテナを取り外して新たに証明されたコンテナに迅速に入れ替えるのも簡単だが。

同社は150名の社員がボストン周辺のオフィス、そしてR&Dチームはイスラエルのテルアビブにいる。今回の新たな資金で同社は、営業とマーケティングそしてカスタマサポートを充実させたい、と言っている。またプラットホームとしての能力を、サーバーレスコンピューティングなど新しい領域にも拡張したい。あれやこれやでDavidoff氏の皮算用によると、今から12ないし18カ月後には社員数は倍増、顧客数は3倍から4倍増を期待している。

これだけの資金があれば同社は今後のコンテナ化の拡大に遅れを取ることなく成長でき、プロダクションにおけるコンテナを安全に保ちたいと願う各社からの、セキュリティソリューションの需要に対応していけるだろう。

関連記事: Four years after its release, Kubernetes has come a long way(Kubernetesの誕生後の4年は長い旅路だった、未訳)

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Webアプリのエラーの原因を早く見つけるLogRocketが12.2億円超を調達

Webサイトで訪問者がトラブルを体験するたびに、その企業の印象が悪くなる。だから、問題はできるだけ早急に解決すべきだ。そのための情報をWebサイトの開発チームに提供する、マサチューセッツ州ケンブリッジのLogRocketは米国時間3月21日、シリーズAで1100万ドル(約12.2億円)を調達したことを発表した。

このラウンドをリードしたのはBattery Venturesで、これにシード投資家のMatrix Partnersが参加した。未発表の400万ドルのシードラウンドを合わせると、同社の調達総額は1500万ドルになる。

創業者のMatthew Arbesfeld氏とBen Edelstein氏は幼なじみで、ともにボストンの郊外で育った。大学はMITとコロンビア大学に分かれたが、その後二人はサンフランシスコに移り、主にフロントエンド専門のエンジニアとして働いた。

LogRocket社のアイデアは、Webアプリケーションのエラーを調べるときの、彼ら自身のフラストレーションから生まれた。問題を見つけるために、手作業による調査をたくさんしなければならない。時間がかかりすぎる。そこから起業のアイデアが生まれた。

Arbesfeld氏はこう説明する: 「LogRocketは、ユーザーのすべてのアクティビティをリアルタイムで記録し、デベロッパーがトラブルシューティングをするとき、それらを正確に再現できるようにする。すると、どこで問題が起きたのかが早くわかるし、対策もしやすい」。

スクリーンショット提供: LogRocket

彼らのツールは、問題を起こしているアクティビティのHTMLとCSSのコードを捕捉し、その部分の操作のビデオも撮る。そしてエラーや問題が生じるとエンジニアはそのビデオを調べて、エラーが生じたとき彼または彼女が何をやっていたのかを見る。このやり方だと、問題の発見と解決がとても早い。

Arbesfeld氏によると、ユーザー体験の全体ではなく問題に関連したコードを捕捉するから、ビデオは本当は必要ない。「ユーザーがトラブった瞬間のコードを見つけて、問題領域にフォーカスできる」と彼は説明する。

ユーザーはそのデータに、LogRocketのダッシュボードからアクセスできる。また、Zendeskのようなヘルプデスクソフトウェアに統合してもよい。同社は今急成長中で、立ち上げから18か月で社員数25名、顧客数500社に成長した。顧客企業の中には、RedditやIkea、Bloombergなどがいる。

今回の資金調達は、彼らにとっては長旅の始まりだ。「顧客層をもっと広げる必要があるし、そのためには有能な営業とマーケティングの組織が必要だ」とArbesfeld氏は語る。「これまでのデータを活用すれば、トラブルが実際に起きてからではなく、前もって問題が起きそうな部分を見つけることもできる」と彼は言う。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

500 Startups Japanが50億円の新ファンドでCoral Capitalに生まれ変わる

500 Startups Japanのメンバーが独立する。このVCは2015年に3000万ドル(約33.5億円)のファンドを発表し、そして今回そのフォローアップがCoral Capitalと呼ばれる4500万ドル(約50億円)のファンドだ。

James Riney(ジェームズ・ライニー)氏と澤山陽平氏が仕切るCoralは、500 Startups Japanと同様、この米国VCが日本で行う事業を継続する。500 Startups Japanはすでに40件あまりの投資を行っており、その中にはカケハシ、衛星通信のインフォステラSmartHR日本語版記事)、American Expressに買収されたポケットコンシェルジュなどがいる。

本誌のインタビューでライニー氏はこう述べた。「Coral(サンゴ)は海洋生態系の中で基盤的な役割を担っている。われわれは日本のスタートアップのエコシステムにおいて同様の基盤的役割を提供したい。そこで、それを象徴する名前にした」。

このファンドのLPには、500 Startups Japanを支援しているみずほ銀行や三菱地所、ソフトバンクのCEO孫正義氏の弟でMistletoeのファウンダー孫泰蔵氏、新生銀行らがおり、非公表の機関投資家たちもいる。その機関投資家たちは、ライニー氏によるとLPの半分近くを占める。ファンドの資金調達は2年半で完了し、関心を示した一部の将来的投資家を断らざるをえなかった。

ライニー氏によると、セクハラを認めて2017年に退陣した創設パートナーDave McClureの一件は「Coralの創設にあたって重要な考慮事項ではなかった」という。

「Coralはそれよりもずっと前からあたためていた企画だからね」と彼は説明した。

Coral Capitalの創設パートナーであるジェームズ・ライニー氏と澤山陽平氏はこれまで500 Startups Japanを率いていた。

ライニー氏によると、Coralが500 Startups Japanの投資とバッティングすることはないし、Coralをやりながらそのポートフォリオの管理も継続する。

理屈の上では、500 Startups Japanからの継続という計画になり、全体として、スタートアップの初期段階の投資が主力になる。彼のこれまで4年間の経験では、安定した仕事を辞めてスタートアップを始めるファウンダーが多く、それが日本の場合はうまくいっている。

インタビューで彼は曰く、「今のキャリアに深入りすればするほど、自分の業界を抜本的に変えるには起業家精神しかない、と思えてくる人が多い。日本人はリスクを避けようとする気持ちの方が一般的に強いが、そういう人たちにおいてはリスク回避よりも起業指向の方が強くなるんだ」。

彼は、Coralの誕生が日本におけるスタートアップ文化をプッシュし続けていくための機会になる、と見ている。これまで圧倒的に企業社会で、仕事は会社でするもの、という慣行の強かった日本では、ファウンダーたちの初期段階の資本獲得の機会が不在だったのだ。

「ここではわれわれにやれることがたくさんあり、日本でわれわれが作り出すインパクトは、シリコンバレーなどよりずっと強いものになるだろう」と彼は展望している。

「今ではどこの企業にもスタートアップの計画はあるが、シードや初期段階を強力に引っ張れるところはほどんどない。彼らが比較的安心してやれるのは、後期段階の投資だ。スピンオフする勇気のある企業に投資する投資家も、昔からいないことはないが、他の国に比べるとあまりにも少なすぎる」と彼は付け加えた。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アプリの正常アクセスに潜む犯行を見破り撃退するCequence Securityが1700万ドル調達

アプリケーションを、そのビジネスロジックに対する攻撃から護るCequence Securityは米国時間2月27日、シリーズBで1700万ドルを調達したことを発表した。

このラウンドはDell Technologies Capitalがリードし、昨年同社のシリーズAで800万ドルをリードしたShasta Venturesが参加した。これで同社の調達総額は3000万ドルになるという。

Larry Link CEOによると、同社の仕事はアプリケーションを一見正常に見える犯行から保護することだ。特に同社が探すのは、ビジネスロジックに対する自動化ボットの攻撃で、具体的な例としては、コンテンツの窃盗、アカウントの乗っ取り、嘘の悪評の拡散、ショッピングボット、偽アカウントの作成、在庫拒否などの悪行だ。

アプリケーションを護るための同社のサービスは、1)アプリケーションの脆弱性を見つける発見フェーズ、2)その傷口を悪用している者を突き止める検出フェーズ、3)攻撃を防御し追い払う防御フェーズ、以上の3段階で行われる。

スクリーンショット提供: Cequence Security

今回の投資をリードしたDTCのDeepak Jeevankumarマネージングディレクターは、Link氏を経験豊富で優れたリーダーと認識している。彼はPalo Alto Networksで営業を5年統轄し、同社の成長を助けた。Jeevankumer氏はCequenceの技術者チームも気に入っていて、彼らはSymantecのマルウェア対策プラットホームの開発に携わった連中だ。Jeevankumar氏はこう言う。「同社は、市場をよく知っているリーダーと、短期間でFortune 100社の信頼を獲得したサイバー技術者たちとの完璧な組み合わせだ」。

Jeevankumer氏が同社のやり方で好きなのは、アプリケーションの従来のセキュリティ戦略とはかなり違うところだ。彼は曰く「従来のWebアプリケーション用ファイヤーウォールやDDoS対策製品、RASP/IAST/DASTなどのアプリケーションセキュリティベンダーは、主にコードレベルの問題を見るので、ビジネスロジックレベルの攻撃には疎い。でも今では企業の多くが、ますます多くのセキュリティ投資を、そういう‘ビジネスロジックセキュリティ’に投じている」。

Cequence Securityは11月にステルスを脱した若い会社だが、Link氏によると顧客企業の案件の平均金額サイズは50万ドルとかなり大きい。今回の資金は主に、営業とマーケティングのチーム作りに充て、彼らの教育とともに、金融サービスやソーシャルメディア、リテール、ゲームなど、これまでこのタイプのセキュリティ、ビジネスロジックへの攻撃対策が比較的お留守だった企業を顧客にしていきたい、という。

同社が創業されたのは2014年だが、プロダクトの制作に時間を要し、やっと昨年ビジネスにこぎつけた。現在、34名の社員がカリフォルニア州サニーベールの本社で仕事をしている。社員数は今度の資金で相当数増やせるだろう。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

企業のAI利用の前進と成長を助けるPeltarionが$20Mを調達

SpotifyやSkype、King、TrueCaller、Googleなどの元役員たちが創業したスウェーデンのPeltarionが今日(米国時間2/14)、シリーズAで2000万ドルを調達したことを発表した。このラウンドをリードしたEuclidean Capitalは、ヘッジファンドの億万長者James Simonsのファミリーオフィスだ。これまでの投資家FAMとEQT Venturesも参加し、このラウンドで同社の調達総額は3500万ドルになる。

もちろん、今の世の中、AIプラットホームに不足はない。そんな中でPeltarionは、“オペレーショナルAI”と同社が呼ぶものに特化している。そのサービスは、データの前処理からモデルの構築、それらのプロダクションへの導入など、企業がAIを利用する場合のあらゆる局面を支援するエンドツーエンドのプラットホームだ。このすべてがクラウドで動き、デベロッパーはグラフィカルなユーザーインタフェイスから自分のモデルの構築と試験を行なう。これに関しとくに同社が強調するのは、Peltarionのユーザーは低レベルのハードウェアやソフトウェアをいっさい扱う必要がなく、ひたすらモデルの構築にフォーカスできることだ。

PeltarionのCEOで協同ファウンダーのLuka Crnkovic-Friisは次のように説明する: “オペレーショナルプラットホームの上でAIシステムを構築しデプロイすると、そのスピードはTensorFlowなどの業界標準のツールを使った場合に比べて桁違いに速い。所要人員もはるかに少ないし、AIの高度な専門知識も要らない。それによって、これまでよりもずっと多くの企業がAIを運用でき、問題解決と変化の創成に集中できるようになる”。

しかし企業の選択肢がとても多い今の時代に、わざわざ無名に近いPeltarionを選ぶ理由はあるだろうか? Crnkovic-Friisはこう語る: “うちのクライアントのほぼ全員が、特定のクラウドプロバイダーへのロックインを心配している。ストレージやコンピューターを使うだけならどのプロバイダーも似たようなものだし、他のプロバイダーへの移行もできる。しかし彼らがとても心配しているのは、AWSやGCP、Azureなどのプロバイダーが提供しているさまざまな高レベルのサービスだ。それらが、完全なロックインを作り出す”。

もちろんPeltarionは、そのプラットホームがユーザーをロックインしない、と主張する。また、他のプラットホームは、個々の企業のオペレーションのヘルプではなく、自らの商用製品としてのAIサービスを作るためにAIの専門技術を大量に使っている、という。確かに同社の言うとおり、大手テクノロジー企業以外では、多くの企業がAIのスケーラビリティで苦戦している。“彼らはスターティングブロックの上で止まってしまう。二つの大きなバリヤがあるので、走り出せない: 未熟なパッチワーク的技術と、スキルの不足だ”、とCrnkovic-Friisは述べる。

同社は新たな資金を、開発チームの増員と、コミュニティやパートナーと協働できるチーム作りに向けていく。また、アメリカなどそのほかの市場における成長にも、充てていきたい、という。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

企業のWebアプリケーションをさまざまな侵害から守るSignal Sciencesが3500万ドルを調達

WebアプリケーションのセキュリティをヘルプするロサンゼルスのSignal Sciencesが今日(米国時間2/5)、3500万ドルのシリーズCを発表した。

Lead Edge Capitalが、このラウンドをリードした(名前にleadがあるところがおもしろい)。そしてCRV、Index Ventures、Harrison Metal、およびOATVが参加した。同社によると、この投資で同社の調達総額は約6200万ドルになる。

同社は、オンライン銀行やショッピングカート、メールなどなど、ありとあらゆるWebアプリケーションを保護する。同社のCEOで協同ファウンダーのAndrew Petersonによると、同社のセキュリティサービスは、アプリケーションを包む保護層やファイヤーウォールのような働きをする。

Petersenは曰く、“われわれはWebサイトやモバイルサイトを保護する。われわれのソフトウェアは、インターネットと、Webアプリケーションにやってくるトラフィックおよびそのすべてのデータの間に割り込む”。彼の説明は単純だが、今のインターネットはほぼ全域的に侵害が猛威を振るっているから、セキュリティはとうてい単純な問題ではない。

Signal Sciencesは、やってくるトラフィックの振る舞いを見て悪意の有無を判断する。Petersenはこう言う: “われわれは攻撃の情報に、その犯人が何をやろうとしているのか、という振る舞いを結びつける”。彼によるとこれによって、顧客は攻撃者の振る舞いを正しく理解し、自分のサイトに対して彼らが何をしようとしているのかを具体的に理解する。不審なアクティビティがあるたびに、それらが攻撃か否かをランダムに判定努力する、という大まかなやり方はしない。

Petersenは、現在の顧客数を明かさない。彼によると、大企業では複数の部門がそれぞれ独自のサイトを運営したりしているから、そんな企業を‘顧客数1’として数えるのは誤解を招くという。代わりに彼が挙げるのは、同社が保護しているアプリケーション数(1万以上)と、毎月調べるリクエスト数(約1兆)だ。大手企業の顧客には、Adobe、Under Armour、WeWorkなども含まれる。

同社の社員数は今150名で、Petersenによると毎年倍増しているそうだ。今回得た資金で、さらに社員数は増えそうだ。また、同社のセキュリティソリューションの特長を正しく知ってもらい、顧客をさらに増やしていくことも今後の課題だ。

“この会社を始めたのは、革新的な技術を作り出すためだ。われわれのソフトウェアとサービスを通じて、Webのセキュリティに対する顧客の理解や期待像を、これまでよりもレベルアップし、より正しいものにしていきたい”、とPetersenは言っている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

サーバーレスアプリケーションのリアルタイムモニタリングを視覚化するLumigoがシードで$8Mを調達

イスラエルのLumigoが今日(米国時間1/22)、800万ドルという大きなシードラウンドを発表し、ステルスを脱して企業によるサーバーレスアーキテクチャのモニタリングを助けていくことになった。投資家はPitango Venture Capital、Grove Ventures、そしてMeron Capitalである。

同社は、Checkpointの役員だったErez BerknerとAviad Morが創業した。彼らは、デベロッパーたちがサーバーレス環境への移行に際して、とくにモニタリングの部分で経験している問題を、自分たちのスタートアップで解決してやろう、と決意した。

サーバーレスコンピューティングではデベロッパーが、下層のインフラストラクチャのことを気にせずにコードを書ける。AWS LambdaやAzure Function、Google Cloud Functionなどのサービスは、アプリケーションをいかなるときでも動かせるだけの十分なインフラストラクチャを提供している。それはデベロッパーにとって、迅速な開発のできる、きわめて便利な仕組みだが、そのアプリケーションを管理しモニタしようとするオペレーションのチームにとっては難題が降りかかる。

そこで、そんなOpsたちを助けるために、Lumigoはビジュアルなマップ(下図)を使って、アプリケーションの中で起きていることをオペレーションの連中に見せる。オペレーションのチームはそのマップの上で、すべてのリクエストを見て理解し、問題の原因を突き止める。トレースはサーバーレスのインフラストラクチャからだけではなく、データベースやストレージなど関連のサービスからも行なう。

Lumigoのサーバーレスモニタリングマップ

同社がサポートしているのは今のところAWSだけだが、今後はそのほかのクラウドプラットホームもサポートする予定だ。またモニタリングの対象を、サーバーレス以外にも広げたい。今計画しているのは、コンテナと、TwilioやStripeのようなAPIサービスのモニタリングだ。

同社はまだ、きわめて初期の段階だが、すでに社員は8名、顧客は10数社いる。今回得た資金でエンジニアを増員し、製品開発により力を入れたい、と考えている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

衛星通信技術の再構築を目指すUbiquitilinkは地上技術(端末技術)に着目

地球世界に高速インターネットをもたらす軌道ネットワークの建設にますます多くの企業が競うように参入しているため、通信衛星の数は年々倍増している。しかし、宇宙旅行会社Nanoracksを創始したCharles Millerが率いるUbiquitilinkは、別の道を行こうとしている。通信衛星技術全体の中の、地上部分に彼は着目したのだ。

Millerの直観を、多くの投資家と通信大手企業が支持し、投資も行っている。彼によると、今の通信衛星の世界で人びとは、正しい問題ではなく間違った問題を解こうと競っている。人工衛星のコストをいくら下げても、彼らが望む革命は訪れない。むしろ、彼の考えでは、この業界の前途は“ユーザー端末”を完全に作り変えることにある。今、地上局と巨大アンテナに支配されているその部分を。

彼は言う: “世界のデジタル格差を解消するために千の衛星と億のユーザー端末を作らなければならないとしたら、コスト最適化の効果が高いのはどっちだ?”。

もちろん、衛星の低価格化も決して無意味ではないが、彼には一理ある。衛星ネットワークがこの惑星のほぼ全域をカバーしたとき、それにアクセスするデバイスが一台何千ドルもしたり、一部の国などの補助でできた高度なハブの近くになければならないとしたら、どうなるのか? 格差は解消しない。

この惑星上には今、何十億もの携帯電話がある、と彼は指摘する。しかしモバイルのインターネット接続を享受できているのは、その10%にすぎない。でも数億単位の信号の届かない人たちにサービスを提供するのは、簡単だ。そのために、タワーを増設する必要もない。もしそれがビジネスとして有効な解なら、通信企業はとっくにやっていただろう。

むしろMillerの計画は、電話機に新しいハードウェアとソフトウェアの組み合わせを装備して、“圏外”にさまよい出たときにも、もっとも基本的な通信機能を確保できるようにすることだ。彼によると、それは一人あたり5ドル足らずでできる。

彼はその技術の詳細を明かそうとしないが、でもベーパーウェアのたぐいではなさそうだ。Millerと彼のチームは宇宙と通信技術のベテランたちだ。それに、ベーパーウェアをテストするために衛星を打ち上げる人はいない。

Ubiquitilinkはすでにプロトタイプがあり、その試験運用が来月始まるし、あと二基の衛星打ち上げも予定している。Millerによると、地上テストはすでに成功しており、本格的な事業としての関心を集めている。

“数年間ステルスでやってきたが、その間に22社のパートナーと契約した。うち20社は数十億ドル規模の企業だ”、と彼は語り、20社の多くは通信企業だ、と言う。社名は挙げない。同社はまた、試験に関して、アメリカも含む5か国の政府の認可を得ている。

最初はMillerの自己資金で始まった企業だが、すぐにBlazar Venturesがリードするプレシードラウンドを調達した。通信インフラストラクチャのNeustarからの間接的投資もあった。その後のシードラウンドはUnshackled Venturesがリードし、RRE VenturesとRise of the Rest、そしてOne Way Venturesが参加した。これで同社の総調達額は650万ドルになり、衛星打ち上げとシステムの試験をまかなえる。そのころには彼らも、技術の詳細をもっと明かすことができるだろう。

“Ubiquitilinkは通信技術における最大の機会を具現している”、とUnshackledの創設者パートナーManan Mehtaは語る。彼の言葉によると同社のチームは、“熱狂的に集中している”そうだ。

創業3年にして衛星通信技術をその根本から作り変える、と称する彼らの技術は興味津々だ。当然ながら疑念も少々あるけど、でもMiller以下の人脈は本物だ。今後数か月の試験の過程で、より詳しいことが分かってくるだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Digital GarageとBlockstreamが日本でブロックチェーンによる金融サービスを開発

昨年は世界の暗号通貨の市場が暴落したようだが、でも世界でもっとも暗号通貨を厚遇する国の一つである日本では著名な人びとが力を合わせて、Bitcoinとブロックチェーンによる金融サービスを開発している。

Bitcoinのコントリビューターたちが創業したブロックチェーンスタートアップBlockstreamが今週、日本でDigital Garageと金融サービス企業東京短資(Tokyo Tanshi)と共にジョイントベンチャーを立ち上げた、と発表した。Digital GarageはTwitterやSquareなどにも投資している初期段階専門の投資家およびインキュベーターだ。

そのジョイントベンチャーはCrypto Garageと呼ばれ、“日本の機関投資家向け市場のためのBitcoinとブロックチェーンソリューションに特化する”。その立ち上げは昨年発表され、Blockstreamが額面不詳の投資により加わったのは最近のことのようだ。Blockstreamによると、同社はこの取り組みに“専門家としての技術”を提供する、という。

このジョイントベンチャーに関して今分かることは以上だが、同社は最近、最初のプロダクト“SETTLENET.”をリリースした。同社の説明によるとそれは、BlockstreamのブロックチェーンLiquid Networkを使用するプラットホームで、スピードとセキュリティを重視する暗号通貨取引所およびブローカーだそうだ。

(大文字だけの名前はみんな嫌いと思うから)Settlenetはすでに、取引所や暗号通貨プロジェクトの監督官庁である金融庁の認可を得ており、その最初のローンチは日本円向けの安定通貨(ステーブルコイン)だという。最大の目標は取引所が流動性を提供でき、したがってその安定通貨がアトミックなスワップにより、LiquidサイドチェーンにpegしているBitcoinと売買(トレード)できることだ。

すでに数社がコラボレーションしている。Blockstreamに投資しているDigital Garageはこの事業にさらに1000万ドルを投じた。それは、2016年以来の三度目の投資だ、と言われる。それによりBlockstreamの調達総額は9000万ドルになった。

一方、東京短資は100年以上前に創業された仲買企業だ。同社は昨年以来Digital Garageと暗号通貨プロジェクトをやっており、昨年両社が共同でCrypto Garageを発表した。両社のもっと幅広い目標は、日本におけるブロックチェーンによる金融サービスを運営していくことだ。

注記: 筆者は少量の暗号通貨を保有している。それは勉強のためには十分な量だが、人生を変えるほどの量ではない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

American Expressが日本のレストラン予約サービスPocket Conciergeを買収

American Express(‘アメックス’)が日本で買収を行い、レストラン予約サービスPocket Conciergeを手に入れた。その価額は公表されていない。

買収は日本語で発表され、日本で最初の投資先としてPocket Concierge等を選んだ500 Startups JapanのトップJames Rineyによる英語の発表記事もある。

2013年にローンチしたこのサービスは、ミシュラン星付きや数か月の予約待ちとなるような特別のレストランのみを対象とする。今では800店のレストランを扱い、日本語と英語と中国語で利用できる。コンペティターはOpenTableや、日本のTableAllなどだ。

American Expressによると、Pocket Conciergeは完全子会社として操業を続ける。そして、同社のカード会員サービスとの統合も計画している。

Pocket Conciergeを経営しているPocket Menuは、シードラウンドで60万ドルを調達した。投資家は、500 Startupsおよびその他大勢だ。さらにその後額面非公開のシリーズAやそのほかの投資も、ものにしてきた。ファウンダーのKei Tokado(戸門慶)はシェフ出身で、2015年には協同ファウンダーでCFOのTatsuro Koyama(小山達郎)が加わった。

Rineyはこう書いている: “日本で始めたときは、日本における、国境をまたぐM&Aについて話をしていた。外国企業が日本の企業を買収する形は、この国で価値を解き放つ有効な方法である。しかし疑う人が多いのも当然であり、したがって数も少ない。Pocket Conciergeは、それができることを実証しただけでなく、世界でもっともよく尊敬されている企業群を事業運営のホームグラウンドにしている”。

American Expressは昨年、トラベルアシスタントMeziイギリスのフィンテックCakeなども買収している。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

APIの提供企業がAPIの使われ方を知るツールMoesifがシードで$3.5Mを調達

今日のデベロッパーは、各社が提供しているAPIを呼び出して自分のアプリからいろんなサービスを利用できる。しかしAPIを提供する側は、自分のAPIがどんな使われ方をしているか、知りたいだろう。そこでサンフランシスコのMoesifは、APIの提供企業がAPIの使われ方を知るためのサービスを提供する。本日(米国時間1/4)同社は、350万ドルのシードラウンドを発表した。

この投資をリードしたのはMerus Capitalで、これにHeavybit, Fresco Capital, そしてZach Coeliusらが参加した。なおCoeliusは、2016年にGMが10億ドルで買収したCruise Automationにも投資していた。

Moesifの協同ファウンダーでCEOのDerric Gillingによると、MoesifはMixpanelやGoogle Analyticsに近いが、WebやモバイルのアナリティクスではなくAPIの使われ方を見る。“APIを作って提供する企業や、それらを利用する企業がますます増えているから、API利用の顧客であるデベロッパーがどんな使い方をしているのか、彼らは何かの問題に遭遇していないか、デベロッパーチャーン(developer churn, 他社API利用への移行…浮気)をどうやって減らせばよいか、等々を知る必要性が生じている”。

APIを使った地域別ヒートマップ。スクリーンショット提供: Moesif

同社が対象とするのは、二つのタイプのユーザーだ。まず、APIに問題があったらAPIのモニタリング機能を利用できるデベロッパー。彼らは主に、Moesifの無料ティアにアクセスしている。

一方企業ユーザーの場合は、企業の各部門、プロダクト管理や営業、マーケティングなどが、Moesifのツールを使ってAPIの利用者や利用頻度などを知り、また使い方のパターンから、機械学習により、どこがプロダクトの使用をやめそうか、などを知ることができる。そのツールはMailchimpやCRMツールなどそのほかのビジネスシステムと統合できるので、自分たちのAPIの使われ方に関する、より完全な知見が得られる。

Moesifのツールがリリースされたのは昨年だが、Gillingによると、すでに2000社/名のユーザーがいて、無料または有料のティアを使っている。とくにうまくいっているのが、SaaS企業とフィンテック企業だ。どちらもAPIを多用しており、Moesifの顧客にはPowerSchoolやSchwab、DHLなどもいる。

同社は今、二人のファウンダーと社員一人だが、今度のシード資金で半年以内に約10名を雇う予定だ。エンジニアリング担当VPやデベロッパーの増員、そして営業とマーケティングも必要だ。

Moesifは2016年の晩くに創業され、ファウンダーたちは昨年Alchemist Acceleratorを卒業した。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

センサーをインターネットに接続して企業経営に貢献するSamsaraが評価額$3.6Bで$100Mを調達、米経済の冬に備える

センサーデータのプラットホームSamsaraが今日(米国時間12/28)、36億ドルの評価額で既存の投資家Andreessen HorowitzとGeneral Catalystからの新しい投資ラウンドを完了したことを確認した

このニュースを最初に報じたCheddarは、Samsaraの意図を開示しているデラウェア州のSEC提出文書を12月21日に見つけた。それによると、今年の3月の5000万ドルのシリーズDのときの倍以上の評価額で1億ドルのラウンドを調達したい、となっていた。

今回の資金調達の発表声明で、Samsaraのマーケティングとプロダクト担当VP Kiren Sekarが次のように述べている: “弊社の成長は、変化をもたらす新しいテクノロジーを製造系よりもむしろオペレーション系の企業が抱える問題の解決に導入することから得られている。その業種業態は経済の大きな部分を占めるにもかかわらず、これまで長きにわたってテクノロジーの恩恵をあまり被ってこなかった。しかし今日では、安価なセンサーと広帯域なワイヤレス接続、スマートフォン、クラウドコンピューティングなどにより、これらの企業も21世紀のテクノロジーの恩恵を全面的に享受できるようになっている”。

2015年に創業されたSamsaraは、そのインターネットに接続されたセンサーシステムにより、運輸交通、ロジスティクス、土木建設、食品製造、エネルギー、製造業など多様な業種をサポートして、彼らのデータ収集やデータからの知見の獲得、ひいては物理的オペレーションの効率改善に貢献している。

同社の協同ファウンダーSanjit BiswasとJohn BicketはかつてエンタープライズWi-FiスタートアップMerakiを立ち上げたが、それは2012年に、全額キャッシュ12億ドルの取引でCiscoに買収された

Samsaraの総調達額は、これで2億3000万ドルになる。PitchBookによると、同社のプライベート投資家はわずか2社で、それがAndreessen HoworitzとGeneral Catalystだ。そのためMarc AndreessenとGeneral CatalystのHemant Tanejaは、過去のいくつかのSamsaraの投資案件においても、リード投資家としてのVC企業を代表してきた。

サンフランシスコに拠を置くSamsaraによると、2018年には顧客ベースが5000に膨れ上がり、売上が250%増加した。今度の資金の主な用途は、社員を1000名増員し、AIとコンピュータービジョン技術への積極投資、そしてアトランタに初めてのイーストコーストオフィスを開くことだ。

同社はこの前の調達資金もまだ一銭も使っていないが、それは、他の多くのベンチャー資金頼りのスタートアップと同様明らかに、マーケットの下押し傾向が業界を襲う前に資本を手当しておきたいからであり、良好な評価額であっても資金調達はますます難しくなりつつあるからだ。

前出のSekarは、こうも述べている: “弊社のバランスシートはすでに健全ではあるものの、前回の資金調達ラウンドにはまだ手を付けていない。その新しい資本は長期的なプロダクト投資を加速し、新たな市場へと拡張し、同時にしかも強力なバランスシートを長期的に維持継続できるようにするものでなければならない”。

関連記事: Amid plummeting stocks and political uncertainty, VCs urge their portfolios to prepare for winter…株価激落と政治の不安定でVCたちは傘下企業に冬への備えを促す(未訳)

画像クレジット: Samsara

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

スタートアップの資本構成を管理するCartaが創業6年でシリーズD $80Mを調達

スタートアップを支援するスタートアップが、VCからの支援を得て新しいジャンルを確立しつつある。

The WingThe Riveterのようなコワーキング(co-working)スペースが今年は資金をかき集めたし、またBrexの場合のようにスタートアップ専用コーポレートカードのプロバイダーも新たに資金を獲得した。

そして今度は、企業のキャップテーブル(cap table, 資本構成表)や評価額、ポートフォリオ投資、エクィティプランなどの管理を助けるCartaだ。同社はこのほど、評価額8億ドルで8000万ドルのシリーズDを発表した。前はeSharesという名前だった同社は、リード投資家のMeritechとTribe Capital, さらに既存の投資家たちから、この資金を調達した。

このラウンドでCartaの総調達額は1億4780万ドルになる。同社の既存の投資家には、Spark Capital, Menlo Ventures, Union Square Ventures, そしてSocial Capitalなどがいるが、Social Capitalは今回のシリーズDに参加しなかった。ただし新しいVC企業Tribe Capital(前掲)を立ち上げたArjun Sethiは、以前Social CapitalのCartaへの投資をリードし、また彼と共にSocial Capitalのパートナー三人組と呼ばれたJonathan HsuとTed Maidenbergは、VCを‘卒業’してテクノロジー企業専門のホールディングカンパニー(持株会社)を立ち上げた。一方Tribeは、自らの立ち上げファンド2億ドルを目下調達中と言われる。

2012年にHenry Ward(上図)がパロアルトで創業したCartaは、今回の資金を、同社のトランスファーエージェント(transfer agent, 名義書換代行業務)とエクィティアドミニストレーション方面のプロダクトとサービスの開発に充てて、スタートアップの公開企業への遷移をより良くサポートしていきたい、としている。また、投資家たちが自分のポートフォリオ企業からデータを集め、彼らのバックオフィス(事務管理部門)を管理していくためのプロダクトも、計画している。

Wardはラウンドの発表声明でこう述べている: “弊社は、プライベート企業のオーナーシップ管理を変えていく道のりをここまで歩んできた。その間、証券の電子化とキャップテーブル普及させ、監査対象となる409A*と組み合わせてきた。しかし弊社の意欲は、プライベートに保有されベンチャーが支援する企業のサポートにとどまるものではない”。〔*: 409A, 参考記事

Cartaの顧客にはRobinhood, Slack, Wealthfront, Squarespace, Coinbaseなどがいて、現在およそ5000億ドルのエクィティを管理している。今年Cartaは社員数を310名から450名に増やし、また取締役会管理やポートフォリオ分析などのプロダクトを立ち上げ、さらに#Angelsとの共同調査により、女性スタートアップの社員たちにおける大きなエクィティギャップという差別実態を明らかにした。

9月に発表されたその調査は、女性はスタートアップのエクィティ保有社員の35%を占めるにもかかわらず、女性のファウンダーと社員の保有額は9%にすぎないことを明らかにした。しかも、スタートアップのファウンダーの13%が女性なのに、彼女らはファウンダーエクィティのわずか6%、男性1に対し0.39ドルしか保有していない。

関連記事: The Gap Table: Women own just 9% of startup equity(未訳)

画像クレジット: Carta

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AlphabetのムーンショットプロジェクトMaltaが企業として独立、Bill GatesらのBEVから$26Mを調達

AlphabetのムーンショットファクトリーXで生まれた再生可能エネルギー保存プロジェクトMaltaが企業として自立し、Breakthrough Energy Venturesが率いるシリーズAのラウンドで2600万ドルを調達した。〔moonshot, 仮訳: “未来学的な”〕

Concord New Energy GroupとAlfa Lavalが、この投資に参加した。

Project Maltaは昨年、AlphabetのX(旧Google X)でローンチし、ひとつまたは複数の送電網全体を完全にサポートするような、大規模なエネルギー保存施設の構築を目指した。Alphabetから独立した今、同社はMalta Inc.と呼ばれる。

Malta Inc.は、再生可能エネルギーや化石燃料から得られた電力を、リチウムイオン電池よりも長期間保存できるシステムを開発した。その電熱保存システムは最初に、風力や太陽熱、化石燃料などから得られた送電網上のエネルギーを捕捉する。集められた電気がヒートポンプを駆動し、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する。その熱は溶融塩に保存され、一方冷気は冷却された不凍液に保存される。送電網が電気を必要とするときは、そのエネルギーを電気に変換する。

Maltaによると、そのシステムは電気を数日から数週間保存できる。

Maltaは今回得られた資金で既存企業とのパートナー事業を興し、同社がXで開発し完成させた詳細設計を、初めてのパイロットシステムとして、本格的な産業用施設へ実現させたい、としている。

MaltaのシリーズAをリードしたBEVは、2016年に、Breakthrough Energy Coalitionによって創業された。それは、Microsoftの協同ファウンダーBill GatesやVCのKleiner Perkins Caufield & Byersの会長John Doerr、 AlibabaのファウンダーJack Ma、Amazonの協同ファウンダーでCEOのJeff Bezos, そしてSAPの協同ファウンダーHasso Plattnerらによる投資家グループだ。

画像クレジット: hugociss/Moment

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Kubernetesのセキュリティとコンプライアンスに特化したサービスTigeraがシリーズBで$30Mを調達

Kubernetesによるコンテナのデプロイメントにセキュリティとコンプライアンスを提供するTigeraが今日(米国時間12/12)、Insight Venture PartnersがリードするシリーズBのラウンドで3000万ドルを調達した。これまでの投資家Madrona, NEA, そしてWingも、このラウンドに参加した。

Kubernetesのエコシステムのみんなと歩を揃えて、Tigeraも今週のKubeConで展示をしていた。彼らとの立ち話で、会社の状況や新しい資金の用途などを聞いた。

CEOのRatan Tipirneniはこう言う: “四大パブリッククラウド(AWS, Microsoft Azure, Google Cloud, IBM Cloud)の全員が、彼らのパブリックなKubernetesサービスにうちを使っている。またRed HatやDockerなどの大手Kubernetesディストリビューションも、われわれを使っている”。そのほか、ヘルスケアや金融などのエンタープライズも同社のユーザーであり、一部のSaaS提供企業も同社のサービスを直接使っている…その名前は明かせない。

同社によると、資金調達は本当は必要なかった。“今はお金は要らない。金よりもむしろ、大量の関心が集まってくるね”、とTipirneniは語る。同社は今回の資金を、エンジニアリングとマーケティング、およびカスタマーサクセスチームの拡大に充てるつもりだ。具体的には、営業は4倍に増やしたい。また人材の得やすいバンクーバーに、大きなオフィスを構えたい、という。

レガシーのITの世界では、セキュリティとコンプライアンスのソリューションはインフラの安定が暗黙の前提だった。しかしコンテナとDevOpsの登場と共に、ワークロードはきわめて動的になり、セキュリティの確保が難題になってきた。またコンプライアンスも、HIPPAやPCIなどの規制や規格が絡んでより複雑になった。Tigeraが約束するソリューションでは、エンタープライズがゼロトラストモデルによってコンプライアンスを確保し、ネットワーク上の各サービスに権限を与えて、すべてのトラフィックを暗号化、そして会社とニーズのためにアドミンが設定したポリシーを強制する。このデータのすべてが詳細にログされ、必要に応じてインシデント管理や犯罪捜査等のために取り出すことができる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Salesforceが日本で$100Mのファンドを設立、パブリッククラウド市場の成長を確信

日本のスタートアップにとって、良い週だった(12/2-8)。Googleがこの国でまれな投資をしてAIのABEJAを支援したかと思ったら、そのすぐ次はSalesforce…同じくアメリカのテクノロジー巨大企業…が、日本のエンタープライズ系スタートアップのための1億ドルのファンドを発表した

そのJapan Trailblazer Fundは、Salesforce Ventureのアジアにおける初めての、ローカルファンドだ。S8eのこのVC部門は2011年以降、日本のスタートアップ40社を支援している。そのポートフォリを企業は275社だから40は小さいし、日本でのファンド1億ドルも、全世界で10億ドルを超える投資額のごく一部にすぎない。

しかしそれでも、日本への注力はこの国にとって嬉しいニュースだ。GDPベースでは世界第三位の経済大国でありながら、日本は海外からの投資を呼びこむのに苦労している。でもSalesforceの場合は、日本のパブリッククラウドサービスの市場を拱手傍観することは許されない。なにしろ2022年には今の倍の130億ドルの市場になる、とIDCは試算しているのだ。〔参考ページ(IDC原本は有料)〕

Salesforce Venturesのポートフォリオに今いる日本企業は、8月に6000万ドルを調達した会計サービス/人事労務サービスFreeeや、2650万ドルを得て東南アジアに進出しようとするコンタクト管理(名刺管理)のSansanなどだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa