サムスンが2021年「Unpacked」イベントで発表した新製品まとめ

最近の記憶の中では大げさな前宣伝が控えめなガジェットの発表会の1つではあったが、Samsung(サムスン)は先週米国時間8月11日の朝早くから、恒例の「Unpacked(アンパックド)」イベントで、一連の新製品を公開した。

忙しくて見られなかった人、まだ寝ていた人のために、知っておくべきことを簡潔にまとめて一挙にご紹介しよう。

Galaxy Watch 4(ギャラクシー・ウォッチ4)

画像クレジット:Brian Heater

サムスンがまた新たなスマートウォッチを発表した。ただし、今回はこれまでの製品とは少々異なる。近年は独自OS「Tizen(タイゼン)」に力を入れていたサムスンだが、この最新ウォッチではGoogle(グーグル)のOSに戻っている、というか、少なくともGoogleの「Wear OS(ウェアオーエス)」を採用している。そのソフトウェアは「Wear OS Powered by Samsung」と呼ばれ、Wear OSを核としながら、Tizenの良いところを取り入れたものになっているのだ。

サムスンは今回、健康指標の面に力を入れており、Galaxy Watch 4の発表では、血圧、血中酸素、身体組成などを継続的にモニターできる機能に焦点が当てられた。

2021年のサムスンの時計は「Galaxy Watch 4」と「Galaxy Watch 4 Classic」という2種類が用意されている。標準モデルのGalaxy Watch 4は、やや薄くて軽量で、ベゼルにタッチセンサーが搭載されており、インターフェースを操作できるようになっている。Galaxy Watch 4 Classicはやや大きくて重く、物理的に回転するベゼルを備えている。Galaxy Watch 4は40mmと44mmという2種類のサイズから選べ、米国での販売価格は249.99ドル(約2万7600円)から。Galaxy Watch 4 Classicは42mmと46mmが用意されており、価格は349.99ドル(約3万8600円)からとなっている。

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Galaxy Z Fold 3(ギャラクシーZフォールド3)

画像クレジット:Brian Heater

初期の折りたたみ式スマートフォンは、価格も高く、問題も多かったため、世界を席巻するまでには至っていない。それどころか、おそらくほとんどの人は、まだ折りたたみ式スマートフォンというものを実際に見たことがないだろう。しかし、サムスンはまだこの分野で終わっていない!

今回、同社が発表した「Galaxy Z Fold 3」は、ホットドッグスタイルの折りたたみ式携帯電話に対するサムスンの3度目のアプローチだ。価格は先代「Galaxy Z Fold2」の1999ドル(約22万円)から1799ドル(約20万円)へと少し下がっている一方で、全体的な製造品質は向上している。Galaxy Z Fold 3は、より強固なアルミニウムフレームと、耐久性が改善された折りたたみ式ディスプレイ、そしてIPX8等級の防水性能(折りたたみ式携帯電話では世界初!)を備えている(1つ注意:この「X」とは、もし誤って浴槽に沈めてしまっても大丈夫という意味だが、粉塵やゴミが内部に侵入しないように気をつける必要はある)。

Galaxy Z Fold 3は、サムスン初のアンダーディスプレイカメラを搭載したデバイスとなる。これは凄い仕掛けだが、一般的に写真の画質は犠牲になることが多い。背面には超広角、広角、望遠の3つのレンズが(隠されずに)搭載されており、それぞれ1200万画素となっている。さらにサムスンのスタイラス「Sペン」にも遂に対応した。

米国では8月26日に出荷が始まる予定。

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Galaxy Z Flip 3(ギャラクシーZフリップ3)

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今回発表された折りたたみ式スマートフォンで、注目を集めているのはフラッグシップモデルのFold 3だが、サムスンの相対的にエントリーレベルに位置づけられる折りたたみ式(クラムシェル!)スマートフォンも、Galaxy Z Flip 3へとアップデートされた。

Flip 3は、前述のFold 3と同じように、強固なアルミニウムフレームの採用、耐久性が増したディスプレイ、IPX8防水など、耐久性の面で多くの改良が施されている。内側には10MPのセルフィーカメラ、外側には2つの12MPカメラ(超広角と広角)を搭載。価格は999ドル(約11万円)と、先代よりも400ドル(約4万4000円)近く安くなっている。サムスンが折りたたみ式スマートフォンを初めて1000ドル以下の価格帯に引きずり込んだのだ。カバースクリーン(デバイスを折り畳んだときに表示されるスクリーン)は、前世代の1.1型に対して1.9型と大きくなっている。

今回発表された他の製品と同様、Galaxy Z Flip 3は米国では8月26日に発売される。

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Galaxy Buds 2(ギャラクシーバッズ2)

画像クレジット:Brian Heater

サムスンは今回、エントリーレベルのワイヤレスイヤホンの新世代モデルも発表した。必要な情報はすべて次の1文に含まれる。より小さく軽くなり、アクティブノイズキャンセリング機能を搭載し、8月26日に149ドル(約1万6500円)で発売される。

もっと詳しく知りたい? それならこちらの記事に書かれている

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これは最後に少しだけ紹介されたことだが、注目に値するものだ。サムスンは、2025年までに携帯電話のパッケージから使い捨てのプラスチックをすべて排除することを約束し、同年までに携帯電話製品全般におけるリサイクル素材の使用を大幅に増やすことを計画しているという。サムスンは、地球上の他のどの企業よりも、四半期あたりの携帯電話出荷台数が多いことを考えると、これは非常に大きな意味がある。他の企業が追随することを願いたい。

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画像クレジット:Brian Heater

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【レビュー】Samsungの「Galaxy Bud 2」は派手さはないが堅実なワイヤレスイヤホン

今年の始め、Nothing(ナッシング)は壮大な構想をもってEar (1) (イヤー・ワン)を発売した。ファッション・アクセサリーとしてのイヤホンだ。実際、当初同社はトランスペアレント・デザインの非侵襲性を強調していたが、結局はStockX(ストックエックス)でデビューしたことでファッション重視の正体を表した。

その意味で、Samsung(サムスン)の新製品、Galaxy Bud 2(ギャラクシー・バッド2)は「アンチNothing」だ。会社はこの製品に関して積極的といっていいほど自分たちのアプローチに関して控えめだ。それはこれまでの世代のBudを継承するものだが、世界一派手なスマートフォンを作っていることを誇りとする企業としては、非常に対照的、かつ新鮮なアプローチだ。最近のUnpackedイベントでこのイヤホンと共に発表された2台(!)の新型フォールダブル(折りたたみ)端末と比べてほしい。

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Samsungのイヤホンに対するざっくばらんともいえるアプローチも良し悪しだ。変化を続けるモデルのラインアップを象徴するブランディングをもっと明確に押し出すこともできたはずだ。今週の発表に先立ち、どのように現状を分析しているかを会社に尋ねてみた。

当社のプレミアム製品であるGalaxy Buds Proは、最先端技術を用いて、没入型オーディオ、高度なアクティブ・ノイズキャンセリング、および手間いらずの接続を実現しています。独自のスタイルを自慢したい人たちのために、Galaxy Buds Liveは高品質なサウンドと人目を引くデザインを組み合わせています。

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つまり、簡単に言って現在Galaxy Budsには3種類のバージョン、Buds 2とBuds ProとBuds Liveがある。これを聞いた人は、新しい149ドルのエントリー・レベルが出たことで170ドルのBuds Liveが少々冗長に感じるかもしれない。大きなアップグレードがない限り、Buds Liveがあまり長くこの世界にいることはなさそうで、Buds 2とBuds Proという明確な2つのレベルの製品ラインになるだろう。

前にも言ったことだが、ワイアレス・イヤホンの世界は早くに「なかなか良い」という共通認識に到達した。正直なところ、100ドル以上払って良くないイヤホンを買うことは難しい。そして、多くのあるいはほとんどの人の意図と目的のためには、持っているスマートフォンのメーカーが作っているイヤホンを私はお薦めする。デバイスのハードウェアとソフトウェアを直接知っていることは明確な市場優位性だ。

それはもちろん、世界で巨大な市場シェアをもつSamsungのような会社にとって決定的な優位性だ。そしてGalaxy Buds 2は典型的な「かなり良い」製品だ。派手さはなく、そのデザインはすでにコンパクトな初代Budsよりも15%小さく、20%軽く、最小限の表面積で事実上見えなくなるデザインだ。

画像クレジット:Brian Heater


そのサイズと形状によって驚くほど心地よいイヤホン・ペアに仕上がっている。これまで試したイヤホンのおよそ半分が私の耳に痛みを感じさせたが、これは長時間つけていられるエルゴノミクスとデザインだ。タッチコントロールのために触れる面積は十分ある。ただし小さなサイズで最大の欠点は、タッチコントロールに触れずに耳の中の位置を調整するのが困難なことだ。ランニング中に汗ばんだ耳の中で何度も位置を調整する私にとっては厄介だ。

音質は堅実でこれはSamsungの子会社であるAKGのおかげだ。卓越しているわけではないが、149ドルのイヤホンに必要あるいは期待するレベルそのものだ。アクティブ・ノイズキャンセリング(ANC)にも感動した。完璧に良好で全てにおいて普通、まさしく実用的だ。もちろん良い意味で。高音質が必然という人にはProがある。あるいは、Nura(ニューラ)の新型イヤホンやSony(ソニー)という選択肢もあるが、それはどこまで贅沢するかによる。Buds Proには360度オーディオという機能もある。ごくごく少数の潜在的購入者の決断を左右するだけだろうが。

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ケースのワイヤレス充電はありがたい機能で、ANCとともに他のエントリーレベル機の上を行く。バッテリー持続時間はANCオンで5時間、オフで7.5時間。ちいさな地味なケースを使えば20時間に延長される。IPX2クラスの防水は汗対策にはよいが、今後の改善が望まれる部分だ。

全体的にみて行くべきことは多くない。Galaxy Buds 2はSamsung Galaxyエコシステムの堅実で控えめな新メンバーだ。

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

サムスン Galaxy Buds Proレビュー、優れたサウンドとノイキャン性能を持つAirPodsの強力なライバル

ワイヤレスイヤフォンで興奮するのは久しぶりかもしれない。メーカー側で展開が乏しかったからではない。実際はその逆だ。家電分野において、ワイヤレスイヤフォン部門は他のカテゴリーに比べてとても早く成熟した。大半の大手ハードウェアメーカーはワイヤレスイヤフォンの開発にしっかりと取り組み、それらの多くはかなり安い。

Samsung(サムスン)がこの部門に参入してしばらく経つ。同社に借りてこれまでに試したいくつかのモデルを気に入っていた。音質は良く、かなり快適で、全体的に万能だ。実際、商品を試して最後に筆者が提起した問題の1つは、SamsungがApple(アップル)のAirPods ProやSony(ソニー)のWF-1000XM3に匹敵するプロダクトを展開していないということだった。

そのラインナップ上の穴が、Galaxy Buds Proによって埋められた。Galaxy Buds Proは、Galaxy Buds LiveやGalaxy Buds+よりも上位となるハイエンドモデルだ。ネーミングの慣行はもう少しなんとかしても良さそうだが、全体においては些細な不満だ。Buds Proの価格は199ドル(約2万600円)で、Buds Liveより30ドル(約3100円)、 Buds+より50ドル(約5200円)高い。さらに重要なことに、Buds Proと最も類似しているAirPods Proと比べても50ドル安い。

AppleのAirPods Proと同様、Galaxy BudsはSamsungのデバイスと連携するよう特別に設計されている。他のAndroidデバイスともペアリングできるが、この場合ソフトウェアインテグレーションの重要な部分を使えない。これは正直なところ、どのスマホメーカーも自前のヘッドフォンを開発するという流れが今後主流になるということのようだ。そしてもちろんSamsungは、そうすることが合理的であるといえるだけの十分なマーケットシェアを持っている。

もしあなたが他のAndroidデバイスでGalaxy Budsを使いたいなら、Galaxy Wearablesアプリをダウンロードすることでペアリングできる。アプリを使わずにマニュアルでもペアリングできるが、その過程でかなりの機能を失うことになる。従来のGalaxy Budsモデルと同様に、ケースにはペアリングのための物理ボタンがない。

数世代のデバイスを展開し、Samsungは確かに基盤を整えた。そして2017年のHarman / AKG買収は明らかに一定の品質のオーディオアクセサリーを開発する能力において重要な役割を果たした。そのすべてがここに集結している。Samsungはデザイン面で確かな選択をした。充電ケースはかなりコンパクトだ。実際、筆者はパッケージを開けたときに少し驚いた。AirPodsケースほどの長さはないが、少し分厚い。いずれにせよ、Powerbeats Proと違って持ち歩くには十分コンパクトだ。

サイズを考えたとき、バッテリーのスペックはかなり印象的だ。Samsungによると、イヤフォン本体で5時間駆動し、ケースを使うと18時間となる。アクティブノイズキャンセリング(ANC)とBixbyをオフにすると、イヤフォンの駆動時間は8時間に、ケースを使った場合は28時間に延びる。筆者の場合、午前中の長い休息時にケースへの収納の心配をすることなくBuds Proをたっぷりと使えたといっておこう。他のワイヤレスイヤフォンではそうはいかない。

Buds Proは11mmのウーファーと6.5mmのツイーターを内蔵する。音楽あるいはポッドキャストを聴くときサウンドは全体的にうまく組み合わされている。もし音にこだわりがあるなら、アプリにあるイコライザーを触るといい。スライダーではなく6つのプリセットが用意されていて、完全自在に調整できるわけではない。しかしアプリでいじり回す必要性を筆者は感じなかった。

ANCもしっかりしている。この機能をオフにするまで、通りの騒音をかき消すのにいかに役立っているか筆者はさほど認識していなかった。オフにするには側面のタッチパネルを長押しするか、アプリで操作する。タッチパネル長押しではANCとトランスペアレントモードの切り替えや途中でのオフモードのスキップがデフォルトでできる。イコライザーのようにANCの程度も調整できる。

もしあなたが真のSamsungファンなら、Seamless Switchも使える。電話がかかってきたときにタブレットとスマホの間で切り替えできるものだ。気が利いたその他のSamsung特有の機能にはGalaxy S21でのビデオ撮影時に、イヤフォンを間に合わせの小型マイクのように使うことができるというものがある。置き忘れたBuds Proを探すのにSmartThingsアプリを使うことも可能だ。

イヤフォンそのもののデザインは、かなり豆に似ているBuds Live以来、流線型になっている。プレッシャーを和らげるために耳と接触するエリアを最小化するようデザインされている、とSamsungは話す。みんなが購入前にあらゆるイヤフォンを試せないのは残念だ。どれくらい自分の耳にフィットするかは、明らかに極めて個人的なものだからだ。

ただ、Buds Proを長い間装着すると、筆者の片耳が痛む傾向にあるのに気づいた。AirPods ProやPixel Budsではなかった問題だ(この点においては Powerbeats Proも素晴らしい)。そして半ば定期的にBuds Proをいじって、その過程でタッチメカニズムを起動しているのに気づいた(これはアプリでデフォルトオフにできる)。

Galaxy Buds Proでの筆者の問題のほとんどはかなり些細なものだ。もしあなたがSamsungユーザーならラインナップに加えるのに値する商品であり、素晴らしいイヤフォンだ。

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タグ:SamsungGalaxyGalaxy Budsイヤフォンレビュー

画像クレジット:Brian Heater

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(翻訳:Mizoguchi