Baiduの電気自動車ブランドJiduが約460億円調達、4月の北京モーターショーで初のコンセプトカー「ロボカー」発表

かつては長い開発サイクルを要する産業だった自動車産業は、中国のハイテク企業によって大きく変貌しつつある。現在、中国から生まれる新しい電気自動車ブランドには、とてもついていけない。Baidu(バイドゥ、百度)と中国の自動車メーカーGeely(ジーリー、吉利)がわずか1年前に設立した電気自動車メーカーJiduは現地時間1月26日、シリーズAラウンドで4億ドル(約460億円)近くを調達したと発表した

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Baiduと、Volvo(ボルボ)を傘下に持つGeelyの出資によるこの新たな資金注入は、Jiduが2021年3月にクローズした3億ドル(約340億円)の創業資本を後押しするものだ。今回の資金により、Jiduは研究開発と量産を加速させ、4月の北京モーターショーで初のコンセプトカー「ロボカー」(同社は自動車ではなく、自動車用ロボットと分類)を発表できるようになる。ロボカーの量産モデルは2023年に発売される予定だ。

JiduのCEOである Xia Yiping(シャ・イーピン)氏は以前、APAC(アジア太平洋)地域におけるFiat Chryslerのコネクテッドカー部門を率い、2018年にMeituanが買収した中国の自転車シェアリングのパイオニアであるMobikeを共同創業した。

Jiduの前進速度は注目に値するが、その技術の実行可能性を疑問視する懐疑論者を容易に引きつける可能性がある。このスピーディーなサイクルは、量産車で個々のハードウェア部品をテストするのではなく、模擬プロトタイプを使ってスマートコックピットと自律走行システムを開発するという戦略のおかげだと、Jiduは説明している

同社は、わずか9カ月という短期間で、都市部や高速道路でのレベル4(ほとんどの状況で人間の手を介さない自律走行)機能の安全性と信頼性を「テストし、証明した」と述べた。

このEVスタートアップは、競合するNio(ニオ)が得意とするブランディングとファンコミュニティにもかなり注力している。12月には、オンラインやオフラインのイベントでクルマについてオタクになる「Jidu Union」への参加者を募集し始めた

今後、Jiduは自律走行、スマートコックピット、スマート製造などの関連技術に特化した人材を採用・育成していく予定だ。

画像クレジット:Teaser of Jidu’s concept robocar

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

MobileyeとZeekrが中国向けにレベル4の自律走行型EV製造を計画

Intel(インテル)の子会社Mobileye(モービルアイ)は、中国の自動車ブランドZeekr(ジークロ)と提携し、消費者向けの完全電動自動運転車を開発する。この車両は2024年から中国で販売され、最終的には他の市場にも展開されると、特定の国や時期を明言することなく両社は米国時間1月4日に発表した。

MobileyeとZeekrはラスベガスで開催中のテック見本市「CES 2022」でこの発表を行った。Mobileyeはまた、Ford(フォード)およびVolkswagen Group(フォルクスワーゲン・グループ)と、同社のマッピング技術を使用してそれぞれの先進運転支援システムをサポートする契約を締結したことも発表した。

計画中のZeekr自律走行車は、MobileyeのチップとZeekrの親会社であるGeely Holdings(浙江吉利控股集団)の電気自動車アーキテクチャを組み合わせ、ブレーキ、ステアリング、パワーの冗長化が図られている。同社は、その車両がどのようなものになるかは示していない(この記事で紹介しているメインの写真は、Mobileyeの技術を搭載した「Zeekr 001 EV」だ)。

今度の車両は、いわゆるレベル4、つまりL4の能力を持つことになる。この言葉は、特定の条件下で人間に代わって運転のあらゆる局面を処理できるようになることを意味する。これは、特定の道路や都心部、あるいは気象条件が理想的な場合にのみ、この技術が機能するということを意味するのかもしれない。

Mobileyeの技術には、同社のEyeQ5(第5世代)システムオンチップが6個搭載され、センサーからの受信データの処理に加え、同社ブランドの「ロード・エクスペリエンス・マップ」マッピング技術や責任感応型安全論(RSS)をベースとした運転ポリシーが組み込まれる予定だ。

Mobileyeはまた、中国での研究開発活動を拡大し、現地にデータセンターを開設し、従業員を増強する計画であることも発表した。

MobileyeとZeekrのニュースは、Alphabet(アルファベット)の自律走行技術部門であるWaymo(ウェイモ)が、中国の自動車メーカーであるGeelyと提携して、全電気式の自動運転ライドヘイリングカーを製造すると発表してから1カ月もたたないうちに発表されたものだ。両社は、WaymoのAVシステムをGeelyのZeekr車両に統合し「今後数年のうちに」米国市場で使用する予定だと述べた。

高度運転支援システムをサポートするチップで知られるMobileyeも、数年前から自動運転車技術の開発を進めてきた。カメラ、レーダー、LiDAR技術に基づく冗長なセンシングサブシステムを含む同社のフル自動運転スタックは、REMマッピングシステムおよびRSS運転ポリシーと組み合わされている。

MobileyeのREMマッピングシステムは、先進運転支援システム(ADAS)や自律走行システムをサポートするために使用できる高解像度マップを構築するために、システムオンチップを搭載した消費者やフリート車両を利用することでデータをクラウドソーシングしている。そのデータは、ビデオや画像ではなく、1キロメートルあたり約10キロビットを収集する圧縮されたテキストだ。このマッピング技術にクラウド経由でアクセスすることで、前方の走行可能な経路の最新情報をリアルタイムで提供する。

MobileyeはすでにBMW、Nissan(日産)、Volkswagenと契約を結び、ADASに使用される最新のチップ「EyeQ4」を搭載した車両でそのデータを収集している。フリート車に関しては、Mobileyeは商業オペレーターに販売するアフターマーケット製品からデータを収集している。現在では、100万台以上の車両がREMデータを収集しており、1日あたり最大2500万キロメートルを超えている。同社は、このクラウドソーシングによる匿名化された情報をすべて利用して、精密で高精細な地図のデータベースを作成し「Mobileye Roadbook」というブランドを立ち上げた。

同社は現在、Volkswagen Group との関係を拡大し、収集した地図データを同社の運転支援システム「トラベルアシスト2.5」に適用している。この提携拡大もCESで発表された。

この契約により、Mobileye Roadbookは、VolkswagenのADASの機能拡張に利用されることになる。例えば、同社によると、利用可能な場合は、目に見える車線標識のない多くの地域で車線維持のアシスト機能が提供されることになるだろう。

両社は1月4日、Mobileye Roadbookで強化されたトラベルアシスト機能が、VolkswagenのMEBプラットフォームをベースにしたVolkswagen、Škoda(シュコダ)、Seat(セアト)の電気自動車モデルでまもなく利用できるようになると述べた。

Mobileyeはまた、Fordのハンズフリー先進運転支援システム「ブルークルーズ」の将来のバージョンにMobileyeのREMマッピング技術の使用を開始することも発表している。両社は、このマッピング技術がFordのADASシステムに統合される時期については共有していない。

画像クレジット:Mobileye

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Akihito Mizukoshi)

アルファベット傘下Waymoが中国メーカー「Geely」と提携、米国での配車サービス用電動AVを製造へ

Alphabet(アルファベット)の自律走行技術部門であるWaymo(​​ウェイモ)は、中国の自動車メーカーGeely(吉利)と提携し、全電動の自動運転配車サービス車両を製造する。WaymoのAVシステムであるWaymo DriverをGeelyのZeekr車両に統合し「数年内」に米国市場で使用する予定だ。

Waymoは生産開始時期やこれらの車両が路上を走るようになる時期など具体的なタイムフレームを示していないが、この提携はWaymoがOEM提携に向けたマルチプラットフォーム・アプローチを追求していることを示している。Waymoの現在の配車サービス車両は、Jaguar(ジャガー)のI-PacesとChrysler Pacifica(クライスラー・パシフィカ)のハイブリッド構成で、アリゾナ州フェニックスで自律走行による乗車を提供している。また、 Fiat Chrysler automobiles(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)を傘下に持つStellantis(ステランティス)との提携を拡大し、ローカル配送サービスも行っている。Waymoの広報担当者によると、吉利との計画によるWaymoの既存の提携への影響はないとのことだ。

Geelyが2021年3月に立ち上げた高級EVブランドZeekrは11月、初のプレミアムモデルである洗練されたクロスオーバーを中国で発売した。Waymoのバージョンは、レンダリング画像ではミニバンのような外観で、スウェーデンのヨーテボリでカスタム設計とエンジニアリングが行われている。米国に出荷された後、Waymoがライダー、センサー、カメラなどのハードウェアとソフトウェアを含む同社のDriverを車両に統合し、自社の配車サービスフリートで展開する予定だと同社は話している。

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Waymoのブログ記事によると、Zeekrの車両は「ライダーファースト」に設計されていて「よりアクセスしやすいフラットフロア、Bピラーレス設計による容易な乗降、低い踏み込み高、ゆったりした頭上と足元のスペース、完全に調節可能なシート」を備えている。完全なドライバーレス化を見据えてハンドルやペダルがない代わりに、ゆったりとくつろげるよう頭上と足元のスペースは十分に確保され、リクライニングシートやスクリーン、充電器も手の届くところに設置される。

Cruise(クルーズ)やArgo AI(アルゴAI)など他のAV企業も、専用の配車サービス用EVの計画を明らかにしている。Cruiseは2020年、ライドシェア向けのOriginを発表した。9月にはArgoとVolkswagen(フォルクスワーゲン)が共同開発した自律走行バンのID Buzz ADの計画を明らかにし、2025年にドイツのハンブルクで自律走行配車プールシステムの一部として商業展開する予定だ。

画像クレジット:Waymo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

吉利傘下のVolvo CarsがストックホルムのNASDAQに新規株式公開を申請へ

中国の浙江吉利控股有限公司(Zhejiang Geely Holding)傘下のスウェーデンの自動車メーカーであるVolvo Cars(ボルボ・カーズ)は現地時間10月4日、新規株式公開を申請し、ナスダック・ストックホルム取引所に上場すると発表した。上場により最大29億ドル(約3190億円)の資金調達を見込む。

上場により、Volvo Carsの価値は最大で250億ドル(約2兆7500億円)になる可能性があると、ウォール・ストリート・ジャーナルが関係者の話として報じた

Volvo Carsのプレスリリースによると、吉利は一定数の株式を売却するが上場後も筆頭株主として残る。スウェーデンの機関投資家であるFolksam(フォルクサム)とAMFも同様に株主として残る。Volvo Carsは声明で、吉利との関係、および吉利のエコシステムに属する他の企業との関係のおかげで「既存および将来の技術の共有、共同調達、規模の経済によるメリットを享受し、相乗効果、競争力、長期的な価値を実現することができます」と述べた。

Volvoは2030年までに全ラインナップを電動化し、2030年代半ばまでに販売台数の50%を電動化すると約束した。今回のIPOで得る資金は「市場環境が悪化した場合であっても」電気自動車への完全移行を早めるために使われると述べた。

このニュースは、Volvoがこの11年間でどれだけ成長したかを物語っている。同社は2010年、Ford Motor(フォード・モーター)により18億ドル(約1980億円)で吉利に売却され、Fordは多額の損失を計上した(Fordは1999年に65億ドル[7150億円]でVolvoを買収した)。Volvoは吉利に買収されて以来、中国に2つの車両組立工場を建設し、サウスカロライナ州にも工場を建設するなど、大規模な拡張を行ってきた。6月にはサウスカロライナ工場にさらに1億1800万ドル(約130億円)を投資すると発表した。

回復は販売にも表れている。同社は10月1日、2021年の9月までの売上高が、2020年の同時期と比べ17.6%増加したと発表した。

Volvoが株式公開の意向を表明する前に、EVメーカーのPolestar(ポールスター)が200億ドル(約2兆2000億円)規模でSPAC(特別買収目的会社)と合併するというニュースが流れた。Volvo Carの電気自動車ブランドの一部門であるPolestarも吉利が所有する。このタイミングは偶然ではなさそうだ。WSJの報道によると、Volvoが持つPolestar SPACの株に約100億ドル(約1兆1000億円)の価値が割り当てられ、VolvoのIPOへの道が開けたとのことだ。

画像クレジット:Volvo Cars

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

中国Geelyの配車サービスCao Caoが事業拡大へ約650億円調達、ライバルDidiはトラブルまっただ中

中国の自動車メーカーGeely Automobile Holdings(浙江吉利控股集団)の配車部門であるCao Cao Mobilityは38億人民元(約650億円)のシリーズBラウンドを発表した。同社が出した声明文(中国語)によると、調達した資金はテクノロジーのアップグレードと車両の拡充に使う。

現地時間9月6日に発表した新たな資金調達により、Cao Caoの累計調達額は約50億人民元(約850億円)になった。蘇州市相城区が出資する投資会社Suzhou Xiangcheng Financial Holding GroupがシリーズBラウンドをリードし、Suzhou High-Speed Rail New City Group、その他国営企業3社も参加した。

今回の資金調達はCao Caoの最大のライバルであるDidi Globalがトラブルのまっただ中にある中でのものだ。中国の配車アプリDidi Globalは現在、中国政府によるサイバーセキュリティ調査を受けている。そして、一時的に中国のアプリストアから削除されていて、これは同社の株価の急落を引き起こした。Didiは中国で定番の配車サービスであり、同社の挫折は同業他社がその穴を埋める乗っ取りを生み出す。

現在、国内62都市で利用可能なCao Caoの2021年7月の乗車は32%増えた。同月、Didiは中国のアプリストアから排除された。運輸省によると、eコマース大企業Meituanの乗車も7月に24%増えた。しかし、MeituanとAlibabaの配車・ナビゲーション部門のAmapはDidi同様、中国政府に「公正な競争を歪め、ドライバーと乗客に不利益をもたらしている」と非難されているとBloombergは報じている。

配車サービス業界の他のすべての事業者も政府の調査に苦慮しており、Cao Caoは公正に事業を行う限り、さらに成長してマーケットシェアを広げられる立場にある。

関連記事:中国で配車アプリDidiがストアから削除、不正個人情報収集疑いで

画像クレジット:Cao Cao Mobility

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

中国自動車メーカーGeelyがTeslaら対抗でラグジュアリーなEVブランド「Zeekr」を立ち上げ

中国の自動車メーカーであるGeely Automobile Holdings(吉利汽車集団)はTesla(テスラ)や他の中国企業によって独占されてきたラグジュアリーな電気自動車(EV)マーケットのシェアを獲得しようと、プレミアムなEVの新ブランドを立ち上げる。

「Zeekr」という新ブランドの車両は親会社のZhejiang Geely Holding Group(浙江吉利控股集団)によって生産される。2021年第3四半期に出荷が始まる見込みだ。

最初にロイターが報じ、そしてGeelyが現地時間3月23日に認めたZeekrの立上げは、同社が中国でTeslaと勝負しようとしていることを示している。Teslaは中国で成功を収めており、直近の四半期決算によると2019年に29億ドル(約3150億円)だった中国での売上高は2020年に倍以上に増え、66億ドル(約7170億円)だった。しかし世界最大のEVマーケットである中国での競争相手はTeslaだけではない。

Zeekrはラグジュアリーなクルマを展開している中国のスタートアップであるLi AutoやNIOと争わなければならない。Geelyは2020年に販売台数が最も多かった中国ブランドで、4四半期連続で首位を維持したが、3月23日に公開された決算発表では2020年の純利益は32%減少した。

Zeekrブランドの車両はオープンソースのEVテクノロジーSustainable Experience Architecture(SEA)を使ってGeely Holdingが製造する。SEAでの航続距離は435マイル(約700km)でスマートコネクティビティオプションも提供すると同社は述べた。Geelyはこのアーキテクチャを傘下の9つのブランドで展開し、他のメーカーに販売する計画を持っている(GeelyはDaimler AGの少数株主であり、Volvo Carsの親会社だ)。

Geely Holdingの創業者Eric Li(エリック・リ)氏は、他の自動車メーカーがこのアーキテクチャーにアクセスできるようにするつもりだ、と声明で述べた。

SEAプラットフォームは、自らをEV生産とテクノロジーの主要ソースと位置づけるGeelyの計画の1つのピースにすぎない。GeelyとVolvo Carsは2021年2月、合併する計画を打ち切ったが、その代わり全ブランドや他のメーカーのEV向けの次世代のハードウェアとソフトウェアを開発する独立した会社を立ち上げると発表した。2社は新たなコラボの下でバッテリーと電動モーターを共同で調達する。

Geely Holdingはまた他メーカーのための生産でも大きな役割を引き受ける準備をしている。Apple(アップル)のメインサプライヤーである中国企業Foxconn Technology Group(フォックスコン・テクノロジー・グループ)と合弁会社を立ち上げる計画は、自動車メーカーの委託生産を狙っている。中国のテック大手Baidu(百度)とEVを製造するための別の会社で提携し、ここでもSEAプラットフォームを活用するとGeelyは述べた。Baiduは自動運転などインテリジェントな運転テクノロジーを開発していて、これは新会社に貢献することになるかもしれないと話した。

ZeekrはGeelyとGeely Holdingが共同所有し、持株比率はGeelyが51%、Geely Holdingが49%で、共同で20億元(約333億円)投資する。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Geely電気自動車Zeekr中国

画像クレジット:GREG BAKER/AFP/Getty Images / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi