ソフトウェアの開発(dev)からオペレーション(ops)まで、DevOpsの全過程をツールセットで支えるHashiCorpが$24Mを調達

BIERE, GERMANY - JULY 01: Close-up of cables and LED lights in the new data center of T-Systems, a subsidiary of Deutsche Telekom AG on July 01, 2014, in Biere, Germany. T-Systems is the largest German and one of the largest European IT services companies. (Photo by Thomas Trutschel/Photothek via Getty Images)

ポータブルな開発環境をセットアップする便利なオープンソースのツールVagrantなどで知られる、デベロッパー支援ツール専門のHashiCorpが今日、シリーズBによる2400万ドルの調達を発表した。このラウンドはGGV Capitalがリードし、Mayfield, True Ventures, それに新たな投資家としてRedpointが参加した。同社の累計資金調達額は、3400万ドルになる。

今回の資金調達の目的について同社の協同ファウンダーでCTOのArmon Dagarはこう語る: “HashiCorpはアプリケーションの開発から運用までのすべての過程を支援しているが、とくに力を入れているのが開発、オペレーション、そしてセキュリティだ。今後も弊社の7つの主力製品に注力していくことは変わらないが、同時に、オープンソースのツールを使う場合のワークフローの問題を解決するための、エンタープライズアプリケーションも作っていく。弊社はアプリケーションの最終デリバリまでの過程を、必要にして十分なステップだけに純化し、それらの問題を解決するためのツールを作る。弊社は今後も継続してそれらの問題領域に注力し、オープンソースとエンタープライズの両方のプロダクトに新たな機能を加えていく”。

Dagarによると同社は、特定分野の大企業が成長の主な源泉になっている。それらは、金融、メディア、リテール、そしてWeb上の巨大なインターネット企業だ。具体的な顧客企業名としてはConde Nast, Cisco, Mozillaなどが挙げられる。またStripe, Uber, Twitch, OpenAI, Pinterest, Capital Oneなどの企業も、Vagrant, packer, Terraform, Serf, Nomadなど同社のオープンソースツールを利用している。

中核的なツールをオープンソースのライセンスで提供している企業によくある例として、HashiCorpも主な収益源はエンタープライズサービスだ。同社のそういうサービスの一例がHashiCorp Atlas、これは同社の主要ツールのエンタープライズバージョンを収めたスイートだ。その中には、リソースプロビジョニングツールのTerraformや、ベータを終えたばかりのセキュリティ強制設定ツールVaultなどが収められている。

結局のところ同社のキモは、企業が自分たちのDevOpsのワークフローを、その下のインフラストラクチャに左右されずに管理できるための、一連のツールを提供することだ。そのため同社のサービスは仮想マシンやコンテナのレベルを対象とし、Azure, AWS, Google Cloud Platformなど多くのパブリッククラウドや、OpenStackのようなプライベートクラウドのプラットホームをサポートしている。

GGV Capitalのパートナー役員でHashiCorpの取締役でもあるGlenn Solomonは述べる: “HashiCorpは、開発(dev)とオペレーション(op)とセキュリティを担当するチームが分散アプリケーションとそのインフラストラクチャを管理するための、世界クラスのツールを作っている。グローバルなエンタープライズにおけるこれらのツールの採用率は、きわめて高い。彼らとのパートナーシップを継続できることは大きな喜びであり、ソフトウェアアプリケーションのデリバリを加速するという彼らのミッションの継続を、これからも見守り支援していきたい”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

職場のチャットサービスを大きく逸脱したSlackが$200Mの巨額を調達、調達総額は$500Mを超える

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ロケット船Slackは減速しない。この、企業向けメッセージングサービスはこのほど、投資前評価額38億ドルで2億ドルを調達した。ラウンドをリードしたのはThrive Capital、これにGGV, Comcast Ventures、そしてSlackのこれまでの投資家Accel, Index Ventures, Social Capitalらが参加した。

これで同社は、創業3年にして5億4000万ドルの巨額を調達したことになる。この前は、昨年の4月に28億ドルの評価額だった。そして今年は、ユーザー数が前年比で3.5倍に増加した

SlackのCEOで協同ファウンダーのStewart Butterfieldは、声明文の中でこう言っている: “これまでもそうであったように、弊社はこの機会にトップ走者としての地位をさらに揺るぎないものにし、継続的に意欲的な成長プランを追求していきたい。この資本は弊社の資金力をさらに厚くすることによって、妥協の要のない長期的戦略的展望への注力を可能にする”。

Thrive Capitalの常勤役員パートナーJosh Kushnerは、こう述べている: “チームワークの形を変えつつあるSlackとパートナーできることは、喜びである。複数のプラットホームやチームやアプリケーションが複雑に関与していく未来のコミュニケーションを、Slackはシームレスに支えることができる、とわれわれは確信している”。

顧客企業には、NASA, LinkedIn, Spotifyなどがいる。本誌TechCrunchも、社内コミュニケーションにSlackを使っている。同社の社員数は430名、本社はサンフランシスコにある。

Slackは、社内コミュニケーションからメールを追放するかも、という点でシリコンバレーでも注目を集めている。今、毎日のユーザー数は270万、エンタープライズ系のスタートアップとしては相当多い。同社は最近の本誌主催Crunchie’s賞で、“最速成長賞”を獲得した。

Slack New Features

その異様な人気と、巨額な資金調達、膨大なユーザー数、周辺デベロッパーの活動量、どれをとっても、Slackはメッセージングというシンプルな業態を大きく逸脱している。その主要機能を他社が真似ることはできても、蓄積されたネットワーク効果と、統合されているさまざまなアプリケーションやチャットボットなどは、逆立ちしても真似できない。

この成長が今後も続くと信ずる者から見ると、評価額はやや低いと思えるかもしれないが、それはあくまでも現在のユーザー数をベースとする高値の生涯値だ。今度新たに得られた2億ドルは何をするための資金か、その計画はまだSlackの胸の中にある。買収か、より高度な人材の雇用か、強力なR&Dか、そのすべてがありえる。たとえば今同社は、音声チャットとビデオチャットの導入に取り組んでいる。

残る疑問は、果たして誰かがSlackの勢いを止められるだろうか?

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

早期出資者が明かす、Alibabaの進化から得た教訓

GGV Capitalの共同ファウンダー、Thomas NgとJoel Kellmanは、1999年にJack Maと知り合った。Alibabaが中国、杭州の小さなアパートの一室でスタートしたばかりのことだった。

15年後、GGVの共同ファウンダーでマネージング・ディレクターのHany Nadaは、彼のパートナーの投資がもたらした成果に驚嘆するしかなかった。もはやその会社の運命を左右する存在ではなくなったが、GGV CapitalはAlibabaの黎明期を知る証人であり、いかにしてJack Maが、その買い手と売り手のためのマーケットプレイスを、ウェブサービス、支払い、Eコマース ,オンライン・ツー・オフラインショッピング、モバイルOSへと拡張し、さらには相乗りサービス会社、オンラインビデオ会社、音楽ストリーミングサービス等々に投資するまでに育ててきたかを見てきた。

「初めてJackと会った時、彼のビジョンは出来る限りパイを広げることだった」とNadは言う。それは、Maが一起業家としての初期の日々から、ニューヨーク証券取引所のフロアーへと登りつめるまで持ち続けた気持ちだった。MaはCNBCのインタビューに答えてこう言った。

「今日私たちが得たものはお金ではなく、人々の信用だ。何百万ものスモールビジネス、そして数多くの株主たち。今この株主の人たちを前に、今後5年、10年、彼らを間違いなく喜ばせることの責任を、光栄に感じ、また感動している。

GGV Capitalは当初Alibabaに投じた800万ドルを40倍に増やした。AlibabaはGGVの初期ファンドの配当を出資額の4倍に伸ばした(Alibabaがいなくても2.5倍の配当はあった)。

Nadaによると、Maが彼の顧客に対するビジョンを、他の幹部やパートナーへも拡大したことが、この結果を生んだという。

そこには、AlibabaとYahooの少々騒がしい関係もあった。Yahooが2005年に行った10億ドルの投資についてNadaは、欧米企業による中国に対する最も成功した投資だと考えている。

「中国に進出しようとした殆どのIT企業は・・・やり方を間違えていた」とNadaは言う。「何億ドルをも費しては、地元のライバルにしてやられていた。

Yahooは非常に鋭い観察によって成功を収めたが、それは同社が中国市場参入のために強力なパートナーを立てるという決断だった。「Alibabaから得た最大の教訓は・・・もしアジアで成功したかったら、YahooがAlibabaで行ったような戦略的投資を通じて行わなければならないことだ」

Nadaは、海外企業が中国で強い牽引力を得ることは難しいという。なぜならこの国のエコシステムがあまりにも保護されているからだ。しかし中国企業も、国による文化の違いのために、国際市場への参入は同じように難しい。はっきりしているのは、Maと彼の経営チームは米国の動向調査を始めたばかりだということだとNadaは言う。

「彼らは米国で何十もの投資をしてきた。上場したものも、そうでないものもある・・・まだ彼らは本格的な攻めに入っててはいない。ひとたび答を見つけてビジョンを追及し始めれば、彼らは実行するだろう。実行するなら何か大きなことを」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook