注目のコスメブランドGlossierからインスタ映えする新ラインが登場

主張しすぎないコスメのラインアップでミレニアル世代のインスタグラマーからカルト的な人気を誇るGlossier(日本未発売)が、初のスピンオフブランドとなるカラフルな「Glossier Play」を発売した。

美容ブログ「Into The Gloss」で人気を博したEmily Weiss氏は、トップクラスのD2C投資家であるForerunner Ventures、Index Ventures、IVPから合計9,200万ドルのベンチャーキャピタル資金を調達し、創業者兼CEOとしてGlossierをおよそ4億ドルのビジネスにまで成長させた。AIを利用したパーソナルスタイリングサービス、Stitch Fixの創業者Katrina Lake氏とForerunner Venturesの創業者兼ジェネラルパートナーKirsten Green氏が、同社の取締役に就いている。

Weiss氏は2014年に、クリーンなスキンケアと自然な美しさを提唱するGlossierを創業した。現在までにWeiss氏自身の持つ繊細でナチュラルな雰囲気を再現するかのような、すっぴん風メイクのための製品ラインアップを揃えて、D2Cビジネスを加速させている。1970年代のノスタルジアからインスパイアされたGlossier Playは、同社としては初めて鮮やかな発色やグリッターを取り入れた、テンションの上がる製品ラインだ。

Glossier Playブランドとして初めて登場したラインアップには、カラーアイライナー(15ドル)、ハイライター(20ドル)、マルチユースのグリッタージェル(14ドル)、「ビニールリップ」(16ドル)などがある。新製品がセットになった「The Playground」(60ドル)もある。

インスタグラムを活用した広告キャンペーンには、人気インスタグラマーのDonté ColleyとミュージシャンのTroye Sivanが起用されている。この新ラインのGlossier Play、そして今後のスピンオフブランドをもってすれば、Glossierはエスティローダーやロレアルといった既存の化粧品ブランドと戦えることになるだろう。化粧品市場は2024年までに7,500億ドルの規模になると推定されている。

ニューヨークに本社を構えるGlossierの従業員数は200人。同社のソーシャルメディアのフォロワーが200万人近くいて、しかもその数が増え続けていることを考えれば、従業員数は相当少ない。同社はTechCrunchに対し、2018年の年間売上高は1億ドルを超え、100万人の新規顧客を獲得したと語っている。 Glossierは、スキンケア、メイクアップ、ボディケア、フレグランスのカテゴリーにわたって計29種類の製品を販売している。

Glossierは、2019年中にさらに新ブランドを立ち上げる予定はなく、同社はブランドインキュベーターではないと明言している。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Glossier CEOのEmily Weissが語る「Amazonで販売しない理由」

電子商取引による美容商品のスタートアップ創業者であるGlossierのCEOであるEmily Weissが、本日(米国時間9月7日)の午前にTechCrunch Disrupt SF 2018のステージ上で、同社のもっとも強力な競争相手たちについて語った。その話の中にはAmazonだけでなく、近くInstagramから登場する脅威(同社は独自のショッピングアプリを開発中と噂されている)なども含まれていた。

2014年に設立され、8700万ドルの資金を集めたGlossierは、巨大な美容ブランドを作り上げ、今や女性たちの間ではお馴染みの名前となっている。そしてそれはAmazonに頼ることなく成し遂げられたのだ。

同社はAmazonとは提携しておらず、Weissはそうする意思はないと語った。

同社のアマゾンへの売却の可能性について尋ねられたときには、彼女は力強く「いいえ、いいえ、全くその可能性はありません」と答えた。

GlossierはAmazonによる買収対象であったかもしれない。とは言えAmazonがGlossierに取引に関してアプローチしたことがあったのかと尋ねられたときは、Weissはそれを否定せず、その代わりに「多くの人がGlossierに近づいて来ましたけどね」と素早く受け流した。

Weissは明らかに、Amazonを美容ブランドにとって最高の場所だとは思っていない。

「Amazon自身に関してや、彼らが消費者にとって最大のニーズの一つ、すなわち買い物の問題を解決することに対してとったアプローチの中で興味深い点は、ある意味彼らは、ショッピングという行為を殺してしまったということです」とWeissは語った。

「私は、商品の品揃えという面では、明らかに誰も彼らを打ち倒すことはできないと考えています。彼らは最高に素晴らしい仕事をしてくれました」と、彼女は続けた。

しかし、何を買うにもAmazonへ向かうということが、いつでも意味があるわけではないと彼女は信じている。それはショッピング体験の1種類に過ぎないのだ。

Amazonは大規模ではあるものの、その影に隠れた外部の者たちに、成長の余地がないことを意味しているわけではない。

「電子商取引は世界の商取引の10%です。それはまだまだなのです」と、Weissは指摘した。「私たちは電子商取引の夜明けに立ち会っていて、これはユーザーエクスペリエンスの1つなのです」と彼女はAmazonを引き合いに出しながら語った。

さらに、Amazonのユーザーエクスペリエンスは、Amazon自身がそのプライベートラベルであるAmazon Fashion、Prime Wardrobe、beauty boxその他を急速に拡大しているとしても、美容製品やファッション製品には最適ではないかもしれない。

「私たちが本当に電子商取引の夜明けに立ち会えていること、そしてきっと沢山のパラダイムが生み出されることは、とても刺激的なことだと思っています。私たちが構築に注力しているのは、つながりの息吹に焦点を当てた、感情に訴える商業体験です。商品そのものに焦点を当てたものではありません」とWeissは説明する。

GlossierはAmazon上では見つからないかもしれないが、顧客へのリーチにはInstagramを活用している。このことから、Instagramのショッピングアプリが登場すると、より大きなライバルになる可能性があるのだ。

Instagramのこの分野への進出計画についての、自身の意見を尋ねられたWeissは「当然のことだと思います」と答えた。「ミレニアル世代の72%が、Instagramを通して美容とファッション製品に関する購買意思決定を行っていますしね」と彼女は言う。

Glossier自身も、Instagramとの長い歴史を持っている。例えば、自社のWebサイトを立ち上げる前に、Instagramで宣伝を開始した程だ。彼らはまた、InstagramのDMとカメラを担当していたKeith Peirisを、製品責任者として雇用した。

「Instagramは素晴らしいツールです」とWeissは認めたものの、ショッピングアプリとしては、まだ困難に直面する可能性があると注意を促した。

「難しい点は、これらのプラットフォームは、特定のトピックを中心に構築されたものではなく、特定のメディア表現の周りに構築されたものである点かもしれません」とWeissは語る。

とは言え、Instagramは美容市場ではAmazonよりも潜在的可能性が高いかもしれない。

「Amazonのようなプラットフォームを考えた場合、早く届くからとか安いからといった基準で最高のマスカラを選んでいると言ってくれた女性は、これまでに誰もいませんでした。そうした速さや安さは、ファッションや美容製品のような、感情商品を買うときのやり方ではないのです」とWeissは語る。「ユーザーが実際にやっていることや望んでいることが、つながりの幅であるにもかかわらず、一般の電子商取引経験が現在主導しているパラダイムは、効率性であり製品の品揃えなのです」と彼女は語った。

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(翻訳:sako)