サムスンとグーグル、GoogleアシスタントとPlayアプリの到来でWear OS提携を拡大

Google(グーグル)とSamsung(サムスン)が、圧倒的なシェアを誇るApple(アップル)に対抗するため、共同でウェアラブル製品を開発すると発表してから1年弱が経った。このような取り組みが一朝一夕に達成されるものではないことは、当初から明らかだった。2021年8月には、Galaxy Watch 4の発表の一環として「Wear OS Powered by Samsung(Samsungの新しいWear OS)」を初めて見ることができた。

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米国時間2月9日に開催されたUnpackedイベントでは、Samsungのウェアラブル製品はあまりハイライトされなかったが、同社はモビリティ分野で十分な話題を提供した。しかし、Samsungが現在開発しているTizen / Wear OSハイブリッドのウェアラブル製品については、今後の展開がもう少し見えてきた。

9日、Googleは、Samsungの最新のウェアラブルにGoogleアシスタントが「数カ月後」に搭載されることを発表した。これはおそらく、同社の「Bixby」の野望がゆっくりと悲しい終わりを迎えることを示す最新のデータポイントと言えるだろう(ただし、このアシスタントはデバイスの中で生き続けている)。しかし、率直に言って、はるかに強力でユビキタスなGoogleアシスタントを採用することは、ハードウェアメーカーであるSamsungのプラットフォーム全体で非常に理に適っている。

画像クレジット:Google

Galaxy Watch 4では「Hey Google(日本では『OK Google』)」と声をかけて音楽を再生したり、タイマーを設定したりすることができる。このアプリは、Galaxy Watch 4ではGoogle Playストア経由でアクセスできる。統合の一環として、接続されたAndroid端末にダウンロードされたPlayアプリは、Galaxy Watchにも表示されるようになる。そこからユーザーは、アプリをタップしてスマートウォッチにインストールできる。

現在、Galaxy Watch 4はオンラインでのYouTube Music Premiumに対応しているが、今回のアップデートでは、Wi-Fiおよびセルラーでの楽曲配信が可能になるため、ユーザーは携帯電話を家に置いたままでも新しい曲を聴くことができるようになる。この機能は、Galaxy Watch 4およびその他のWear OSデバイスにも搭載される予定だ(時期は未定)。

今回の統合はまだ小さな一歩であり、このカテゴリーにおけるAppleの優位性をすぐに打ち破ることはできない。しかし、GoogleとSamsungの提携、前者によるFitbit(フィットビット)の買収とWear OSのさらなる拡大計画など、ウェアラブル分野にとっておもしろい1年になりそうだ。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

グーグルがGoogleアシスタントやGoogle One、Google Fiなどに新セキュリティ機能を追加

Google(グーグル)は米国時間2月8日、Safer Internet Day(セーファーインターネットデー、SID)に合わせて、Googleアシスタント、Google Fi、Google Oneを含むさまざまなアプリやサービスの新機能とともに、安全なオンライン体験に関する情報提供の拡大を目的としたパートナーシップを発表した。特に、教育系非営利団体であるKhan Academy(カーンアカデミー)に500万ドル(約5億8000万円)を寄付し、無料のオンラインセーフティレッスン開発を委託するとのこと。また、Googleは非営利の政策・政治団体と協力して「Campaign Security Project(キャンペーンセキュリティプロジェクト)」という新しい取り組みを行っている。このプロジェクトは、2022年の米国中間選挙に向けて、選挙の候補者やキャンペーン担当者にオンラインセキュリティに関するトレーニングを行うことを目的としている。

後者のプロジェクトのパートナー団体には、Veterans Campaign、Collective Future、Women’s Public Leadership Network、LGBTQ Victory Institute、Center for American Ideas、サンフランシスコ大学、Emerge、Latino Victoryなどが含まれている。米国外でも、Googleは国際選挙制度財団(International Foundation for Electoral Systems、IFES)と同様の取り組みを行っているという。

また、同社の製品ラインアップ全体で「安全性」に関するアップデートに分類されるいくつかの新機能が追加された。

手始めに、スマートスピーカーやディスプレイにカレンダーや連絡先などの個人情報を表示しないようにするGoogleアシスタントのゲストモード機能は、今後数カ月のうちに9つの言語でグローバルに利用できるようになるとGoogleは述べている。ゲストモードにすると、それを無効にするまで個人情報はプライベートに保たれる。これは、スマートデバイスの周りに他の人がいる場合を想定したソリューションだ。また、ゲストモードで録音された音声は、あなたのGoogleアカウントには保存されない。今回の拡張は、Nest Hub MaxやNest Audioなど、さまざまなデバイスが対象となる。

近い将来、T-Mobile(T-モバイル)やU.S.Cellular(USセルラー)などの米国のネットワークを活用したGoogleのMVNO通信サービスであるGoogle Fiには、Find MyやLife360アプリと同様の家族追跡機能が追加される予定だ。Google Fiプランを利用しているユーザーは、追加料金なしでFiモバイルアプリから自分の位置情報を家族とリアルタイムに共有できるようになる。このトラッキング機能は、一定の時間が経過するとオフになるように設定するか、手動で設定をオフにするまで有効にすることも、あるいは常にオンに設定することもできる。この機能は、Google Fiの既存のファミリー機能に追加される。ファミリー機能では、大人が家族のデータ割り当てを設定したり、不明な送信者が子どもにメッセージを送れないようにブロックすることができる。

8日に発表されたもう1つの新機能は、実は先週導入されたものだ。Googleは、Google Oneプレミアムサブスクリプションの一環として、iOSデバイスにVPNサービスを展開していることを指摘している。プレミアムクラウドストレージプラン(2TB以上)の会員は、iOS版のGoogle OneアプリからVPNを利用できるようになる。

Googleはまた、まもなく開始されるセーフブラウジング機能を予告している。3月から、ユーザーはGoogleのアカウントレベルの「強化されたセーフブラウジング」を選択できるようになり、オンライン上の脅威やGoogleアカウントに対する脅威に対して、より広範な保護を提供するという。この機能は、よりリスクの高いユーザーが利用することを目的としており、アカウント設定画面やセキュリティ診断を受けた際に利用可能になる。

画像クレジット:Alex Tai/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

CES 2022でスマートホームデバイスの接続規格「Matter」に注目が集まっている理由

現在、ラスベガスで開催中の2022年CESテクノロジーショーで各社が新しいスマートホーム機器を発表する中、スマートホームデバイスは他のシステムとシームレスに統合され、安全で信頼できるものであるべきだという共通の信念に基づいて作られたオープンソース接続規格「Matter(マター)」が大きな話題になっている。

Deloitte(デロイト)によると、スマートホームデバイスを導入している家庭の割合は66%に上り、デバイス好きな人はおそらくきっとこの数字の中に含まれていることだろう。また、1つの会社やブランドにこだわらず、少なくとも6つの異なる会社からデバイスを購入されていることだろう。そのため、2022年スマートホームデバイスを発売する企業にとって、Matterのサポートはとても助かるものだ。

このプロトコルは、Apple(アップル)、Amazon(アマゾン)、Google(グーグル)といった大手テック企業やスマートホームデバイスメーカーによって開発されているだけでなく、断片化したスマートホームシステムに関する問題を最終的に解決し、すべてのデバイスを1つの場所から簡単にセットアップしてルーティングできるようにするために設計されている。

Matterは、ローカル・コントローラー・デバイスを介した、すべてのデバイスの通信を可能にするインフラ、パイプライン、言語となる。そのインターネットプロトコルは、デバイス認証のためのIPベースのネットワーク技術の特定のセットを定義し、メーカーがApple SiriやAmazon Alexa、Google Assistantと互換性のあるデバイスを製造できるようにしてくれる。Matterの最初のプロトコルは、Wi-FiとThreadのネットワーク層で動作し、コミッショニングにはBluetooth Low Energyを利用する予定だ。

最初のMatter認定デバイスのテストを組織しているConnectivity Standards Alliance(通信規格標準化団体、旧Zigbee Alliance)は、2022年のCESでブースや会議室、バーチャル会議においてMatterを展示または紹介している企業を20社以上特定した。その中には、NXP、Qualcomm(クアルコム)、Samsung(サムスン)SmartThings、Telink(テリンク)、Texas Instruments(テキサス・インスツルメンツ)、Universal Electronics(ユニバーサル・エレクトロニクス)が含まれている。

5月にGoogleは、MatterをAndroidとNestに導入すると発表し、米国時間1月5日、数カ月後にAndroidの「Fast Pair」機能を使って、新しいMatter対応スマートホーム機器を数クリックでホームネットワーク、Google Homeや他のアプリにすばやく接続できるようになると発表した。

関連記事:グーグルがFast Pair機能をヘッドフォン以外にも拡大、デバイスと生活で使うさまざまな機器をつなぐプラットフォームに

そして1月5日未明、Amazonは、その「フラストレーションフリーのセットアップ」ドキュメントが現在デバイスメーカーに公開され、インターネット接続がダウンしてもそれらをコントロールできるように、そのデバイスをMatterデバイスの第二管理者として追加するなど、セットアップ体験とAlexa機能の両方について多くの企業と協働していると述べている。

また、同社はシリコンベンダーと協力して、フラストレーションフリーのセットアップをサポートする「Matter System-on-a-Chip」となるものを開発中だという。これらはすべて、ほとんどのEchoデバイスがMatterをサポートし、第4世代のEchoとeeroデバイスがMatter Threadボーダルーターになるという2021年の発表に続くものだ。

その他、Matterに対応する新しいデバイスやサービスを発表した企業を紹介する。

  • Comcast(コムキャスト)は、スマートライト、スマートプラグ、スマートロックなどのIoTおよびホームオートメーションデバイスの中央コネクタとして機能するZigbeeおよびMatter互換の「未来のスマートホームのためのIoT」機能を備えた新しい「xFi Advanced Gateway Router」を発表しながらそれに言及した。
  • コネクテッドホーム製品を製造するEve Systems(イヴ・システムズ)は「Eve MotionBlinds」を制作し、同製品を「Threadに対応した市場初のコネクテッドブラインドとシェードモーター」だとアピールした。
  • ホームセキュリティブランドのArlo Technologies(アーロ・テクノロジーズ)は、セキュリティハブと統合キーパッドに対応した8種類の機能を持つセンサーセット「Arlo Security System」を、よりDIY的なセキュリティ監視ソリューションを求める小規模企業や消費者向けに発表した。また、スマートホームの分野で幅広い互換性を確保する姿勢を固めるため、Matterへのコミットメントも表明した。
  • エッジコンピューティング企業のVeea(ヴィーア)は、Matter、Thread、Wi-Fi 6のサポートを含む「Smart-home-as-a-Service」を発表した。これには「STAX」と呼ばれる家庭用Veea SmartHubメッシュ・ルーターが含まれる。
  • Belkin(ベルキン)がCESで発表した家庭向けのMatter対応製品の中には、AppleのHomeKitと連携する新しい「Wemo」スマートビデオドアベルや、Thread上でMatterと連携するスマートライトスイッチ、スマートディマーがある。
  • Mui Lab(ムイ・ラボ)は、スマートデバイスを「より落ち着いたもの」に変えるMatter対応の「muiPlatform」をデビューさせた。これにはAmazonのAlexaをより視覚的なインターフェースに変えるボードが含まれる。

Connectivity Standards Alliance(CSA)のマーケティング担当副社長であるMichelle Mindala-Freeman(ミシェル・ミンダラ=フリーマン)氏は、米国時間1月4日に発表されたSchlage(シュレージ)の新しいスマートWi-Fiデッドボルトに注目している。

彼女は、2022年はMatterにとって大きな年になるだろうと述べている。CSAとMatterの両方に関わっている企業は数百社あり、50社がすでに134の製品を持ち込んでいると、同氏ははTechCrunchに語っている。

CSAは、2022年の半ばまでに認証、仕様、テストツール、SDKをリリースする予定だ。これにより、企業は新しいハードウェアやイノベーションをより早く市場に投入することができるようになり、より幅広い消費者にリーチすることが可能になる。

ミンダラ=フリーマン氏は「根本的なレベルでは、CSAの仕事は、断片化をなくし、企業が成長し、消費者にとって価値の高い方法でそれを実現するのを支援することです。Matterのような標準規格は、それを実現するものであり、すべての船を上昇させる潮流であると信じています」。と述べている。

画像クレジット:Schlage / Schlage Encode Plus Smart WiFi Deadbolt

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Google HomeとYouTubeがVolvo Carsと統合

米国時間1月5日にCESで、Googleは、Androidデバイスをネットに接続し続けるためのさまざまな方法を披露した。そこには自動車も含まれており、多くの車両がEVになり、自動車メーカーがソフトウェアの開発者へと進化していくにつれて、自動車がコネクテッドデバイスになっていくであろうことが予想される。

その1つの例が、Volvo Carsだ。同日、VolvoとGoogleは数カ月後にGoogle Homeのエコシステムを直接統合すると発表した。この統合で自動車オーナーは、オンオフや温度調整、バッテリーの寿命といった自分のクルマの情報取得などを、Googleアシスタント対応のホームデバイスやモバイルデバイスに音声のコマンドでさせることができるようになる。また、Volvo車とGoogleアカウントをペアリングすると、車内でGoogleと直接会話することができるようになる。

Googleによるとこの機能は、当初米国とスウェーデン、ノルウェー、ドイツ、イタリア、フランス、スペインなどのヨーロッパ市場で利用できるようになるが、近いうちに他の市場にも対応していくとのこと。

またVolvoによると、今後のVolvo車はGoogleが内蔵されるため、YouTubeをダウンロードするプラットフォームにもなり、車内でビデオのストリーミングを楽しめるようになる。YouTubeはQualcommのSnapdragon Cockpitプラットフォームから利用でき、Volvoの発表によると、次期の電動SUVに搭載される。Googleとのパートナーシップは、デジタルサービスを増やし、ドライバーにより多くのエンターテインメントを提供していくという大きなプランの一環だという。そのために同社が導入を準備しているRide Pilotは、同社の新しい「監督不在」の自動運転機能であり、最初はハイウェイを走る同社の次期SUVを完全に自動運転化する。その際ドライバーは、ハンドルから完全に手を離して、他のことをしていてもいい。

関連記事:クアルコムが自動車分野へのさらなる注力を表明、ボルボ、ホンダ、ルノーなど新規顧客を発表

「顧客が充電時や子どもが学校から出てくるのを待つ間にビデオを見られることは、生活を幸福で楽しくするという私たちの約束の一環です。YouTubeなどのメジャーなストリーミングサービスを近く見られるようになれば、顧客は充電の時間を面倒と思わずに、むしろ楽しめるようになり、EVのオーナーであることが、やや気楽なものになるでしょう」とVolvo CarsのチーフプロダクトオフィサーであるHenrik Green(ヘンリック・グリーン)氏は声明で述べている。。

Volvoだけで満足していないGoogleは12月に、クルマのデジタルキーを発表した。それによりユーザーはGoogle PixelとSamsung Galaxyスマートフォンの一部機種で、2020、2021、2022年式のBMW車 / 互換車のロックとアンロックおよび始動ができる。今回のGoogleの発表では、ユーザーは年内に超広帯域無線のデジタルカーキーを使って、スマートフォンをポケットから取り出さなくてもクルマをアンロックすることができ、キーを他の人と共有することもできる。この機能が使えるのは、ヨーロッパ、アジア、北米、アフリカの一部、そしてロシアとニュージーランドとオーストラリアとなっている。

画像クレジット:Volvo Cars

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hiroshi Iwatani)

グーグルが「電話」をより快適に、待ち時間表示や音声ガイダンスの番号体系表示などの機能を追加

Google(グーグル)は、米国時間10月19日に発表した新しいスマートフォン「Pixel 6」と合わせて、デバイスの最も基本的な機能の1つだが見過ごされがちな、電話をかける機能を再びアップグレードした。これまでのGoogleアシスタントは、Duplex(デュプレックス)と呼ばれる技術により、通話スクリーニング電話による予約代行を学習した。さらに2020年は、電話の保留待ち機能も備えた。こうした既存の機能を拡張し、新しい機能も追加する。企業や店舗などの電話番号にかけるべき最適な時間帯を示すツールや、音声ガイダンスの番号体系を案内するDuplexの新機能などだ。

Pixel 6とPixel 6 Proの電話アプリでは「Wait Times(待ち時間)」という新機能により、フリーダイヤルに電話をかけたときに相手につながるまでの予測時間が表示される。これからの時間だけでなく、1週間先までの情報を、電話をかける前に確認できる。この情報により、電話をかけるタイミングをより適切に判断することができるようになる。

画像クレジット:Google

もちろん、この情報を表示するために、Googleはユーザーからデータを収集する能力を活用している。Googleマップで、マップユーザーに関する匿名化されたデータに基づき企業や店舗などが最も忙しい時間帯を表示するのと同様「Wait Times」は、電話アプリで得られる通話時間データから推測する。このデータは、個々のユーザーとはリンクしていないとGoogleは述べている。

もう1つの新しい機能は「Direct My Call」だ。これは、企業や店舗などに電話をかける際、音声ガイダンスが案内する複雑な番号体系を理解するのに役立つ機能だ。提示される多くの選択肢(例えば「営業時間、所在地を知りたい場合は1を押してください」)を聞いて覚えようとする代わりに、Googleアシスタントが自動メッセージを文字で見せてくれる。これにより、必要な情報を得たり、人間のオペレーターと話したりするためにどの番号を押せばいいのか、選択肢を読み返すことができるようになる。

画像クレジット:Google

以前は、難しいカスタマーサービスに不満を感じたユーザーは、GetHumanのようなサードパーティ製のアプリやウェブサイトを利用して、より早く人間のオペレーターと話す方法にたどり着いていたかもしれない。しかし、そうしたウェブサイトは常に最新の内容に更新されているとは限らない。「Direct My Call」はその代替手段を提供する。さまざまな選択肢が読み上げられている間は、マルチタスクをしたり、電話を置いたりできる。電話に戻ったときに、選択肢を読み、必要なものを選べばいい。この機能は、TTY(テキスト電話)を必要としないものの、耳が不自由な人も使える。

「Direct My Call」には、電話予約代行機能と同様、Google Duplexの技術が使われている。

Duplexは、電話予約代行機能と混同されることがある。デビュー当時は予約代行が大きな用途の1つだった。しかし、Duplex自体は、予約の際に自然な会話を可能にするだけではない。理解を深めるためにも利用できるのだ。例えば「Direct My Call」の場合、Duplexは高度な音声認識と言語理解モデルを用いて、相手が今、何をして欲しいと思っているのかを判断する。電話番号を押す「担当者」などの単語を発する、口座番号を入力するといったことだ。

Pixel端末で開始される「Direct My Call」と「Wait Times」に加え、Googleは当面「Hold for Me」へもアクセスを拡大する。

2020年の米国での開始以来、ユーザーはこの機能により月に150万分以上の時間を節約できた。今後数カ月のうちに、オーストラリア、カナダ、日本のPixelユーザーにも提供する予定だとGoogleは述べた。

画像クレジット:Google

一方、Googleの既存の通話スクリーニング機能もアップグレードされる。

これまでは、Google独自の発信者番号の機能により、ユーザーはスパムなどの知らない番号からの電話を識別できた。今回のバージョンアップでは、かかってきた電話に関するデータをユーザーが提供できるようになる。つまり、かかってきた電話の相手先の情報(請求、銀行、公共料金など)を提供し、今後同じ電話を受ける別の人が、どんな相手先からかかってきたかを知ることができるようになる。Googleによると、このデータを提供する際、個人を特定する情報は含まれない。これにより、今後、発信者番号情報がわかっている企業の数を2倍に増やすことができると同社は考えている。

通話スクリーニングはより多くの市場で導入される。米国、カナダ、日本では、現在月に3700万件の通話をスクリーニングしている。10月19日から英国、フランス、ドイツ、オーストラリア、アイルランド、イタリア、スペインのPixelユーザーにも展開される。

通常、Googleは新機能をまず最新のPixel端末でリリースしてから、時間をかけてより多くのPixel端末やAndroidに広く展開する。つまり「Wait Times」と「Direct My Call」はしばらくの間、Pixel 6端末専用となる可能性が高い。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Google TVにユーザープロファイル、ウォッチリスト、改善された「アンビエントモード」追加

Google TVが、家族の全員が自分のGoogleアカウントで自分の個人化されたスペースにアクセスできるように複数のユーザープロフィールを追加する。Googleによるとユーザーは、その個人化されたプロフィールでテレビ番組や映画を観ることができる。

Googleのブログ記事によると、ユーザーがテレビを見るとき、プロフィールが彼らの関心と好みを収集してアカウントに加え、類似のコンテンツを見つけやすいようにする。親が子どものプロフィールをセットして、子どもが観てもいいムービーや番組も指定できる。各アカウントにウォッチリストがあるため、後で見たいコンテンツも自分のプロフィールに追加され、他のユーザーのリストに入ることはない。

さらにGoogleによると、プロフィールはユーザーのGoogleアシスタントのアカウントにリンクされているため、おすすめの映画やその日の予定などをアシスタントに尋ねることができる。

同社によると、アプリをダウンロードするときのログイン情報がそのまま使われるため、プロフィールはほとんど自動的に作成され、新しいプロフィールのセットアップを一から行なう苦労はない。

画像クレジット:Google

また、アシスタントのスクリーンセーバー的機能である「アンビエントモード」に個人化情報やおすすめカードを追加して、より便利にできるという。たとえばプロフィールに天気予報やニュース、スポーツなどを指定していれば、テレビはいつもそれらの最新情報を映し出すだろう。また画面上のショートカットをスクロールして、写真を見る、音楽を聴くなどをすばやく指定できる。ユーザーが長時間いない場合、テレビを自動的にアンビエントモードの写真やアートなどにすることもできる。

また、Google TVはYouTube TVやSling TVに加え、ストリーミングサービスのPhiloを統合してライブの機能を一層充実させた。PhiloをライブTVのプロバイダーに加えると、Live TVタブやおすすめ機能で、その番組を観ることができる。

プロフィールとアンビエントモードのサポートは、Google TVのあるChromecastやSonyとTCLのGoogle TVで近く展開される。プロフィールはグローバルに提供されるが、アンビエントモードのカードは最初は米国のみだ。

画像クレジット:Google

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

「音声認識AIの競争に対する懸念が高まっている」とEUが発表

欧州連合はおよそ1年にわたり、AIを使用した音声アシスタントおよびテクノロジーと連携したモノのインターネット(IoT)に関連する競争の影響を調査してきた。今回紹介する1回目の報告では、EU委員会の立案者が表明する潜在的な懸念が、今後の幅広いデジタル法案決定への情報提供に役立つかどうかという点が扱われる。

2020年末に提出されたEUの法案の大部分は、その地域で実行中のいわゆる「ゲートキーパー」プラットフォームに対する法規の事前適用に向けて、すでに準備が整っている。EU全土に適用されるデジタルサービス法にまとめられた、仲介を行う強力なプラットフォームに当てはまるビジネス規範「命令事項および禁止事項」のリストも含まれている。

しかしもちろん、テクノロジーを活用する流れが止まることはない。競争政策を担当するMargrethe Vestager(マルグレーテ・ベステガー)氏はこれまで、音声認識AIテクノロジーに注目してきた。自分の部門で「データへのアクセスがどのようにマーケットプレイスを変えるのか探っている」と彼女が述べた2019年には、ユーザーの選択に対して引き起こされる課題に関する懸念を表明していた。

関連記事:EU競争政策担当委員の提言「巨大ハイテク企業を分割してはいけない、データアクセスを規制せよ」

委員会は2020年の7月に、IoT関連の競争に関する懸念について精査するため、セクターごとの調査を発表し、確かな一歩を踏み出した。

これは、コンシューマー向けのIoT製品やサービスに関連する市場で(ヨーロッパ、アジア、米国で)事業を展開する200以上の企業を対象とした調査に基づき、現在、暫定報告書として公開されている。さらに、最終報告が来年の前期に発表される前に、(9月1日までの)調査結果に対するさらなるフィードバックを要請している。

競争に関して明らかになった潜在的な懸念のうち、主な分野には、同じスマートデバイスで異なる音声アシスタントを使用しにくくする音声アシスタントおよび手法に関連した、独占行為または結託行為がある。また、ユーザー、さまざまなデバイス、サービスの市場との間で、音声アシスタントおよびモバイルOSが担う仲介的な役割も懸念となっている。この場合の懸念は、プラットフォーム音声AIのオーナーが、ユーザーの関係性を管理することで、競合他社のIoTサービスが発見される可能性や可視性に影響を与える可能性があるという点である。

データへの(不平等な)アクセスに関連した懸念もある。調査の参加者は、プラットフォームと音声アシスタントのオペレーターが、ユーザーのデータに対して広範囲にアクセスできると述べた。これには、サードパーティーのスマートデバイスやコンシューマー向けのIoTサービスと通信した内容が、仲介的な音声AIを使用することで取得されてしまう可能性も含まれる。

委員会のプレスリリースには「セクター調査に協力した人々は、データへのアクセスと集積された膨大なデータにより、音声アシスタントを提供する側は、汎用音声アシスタントの改善や市場優位性に関連した利点を得られるだけでなく、関連する業界にも容易に応用することが可能になると考えている」と記されている。

第三者の業者が保有するデータを、Amazonが使用しているという点に関するEU独占禁止法の調査(現在進行中)にも、同じような懸念が表れている。このデータとは、Amazonが電子商取引マーケットプレイスから取得できるデータ(委員会によると、オンライン取引市場で競争を妨害する違法行為になり得ると考えられている)のことである。

その報告で注意が喚起されている別の懸念は、コンシューマー向けのIoTセクターにおける相互運用性の欠如である。「特に、音声アシスタントとOSを提供するひと握りのプロバイダーが、一方的に相互運用性と統合プロセスを管理しているため、自社のサービスと比較して、サードパーティーのスマートデバイスおよびコンシューマー向けのIoTサービスの機能を制限することが可能である」とのことである。

上記の点は特に驚くことではないだろう。しかし、該当する地域で音声アシスタントAIの普及率が低い現段階で、委員会が競争上のリスクに対処しようと努めており、採用できそうな対策を思案し始めているのは注目に値する。

委員会はこのプレスリリースで、音声アシスタントテクノロジーの使用率は世界的に高まっており、2020年から2024年で2倍になる(音声AIの数が42~84億個になる)との予想を発表している。とはいえ、Eurostat data(ユーロスタット・データ)の引用によれば、2020年の調査対象で、すでに音声アシスタントを使用したことがあるEU市民は11%のみであった。

EU委員会の立案者は、デジタル開発の現状に精通し、巨大テック企業の最初の波を抑制する上で、競争政策に関連する最近の失敗から学んだはずである。これらの巨大テック企業は、Amazon Alexa(アマゾンアレクサ)、Googleアシスタント、Apple(アップル)のSiri(シリ)を使って、現在の音声AI市場を間違いなく独占し続けるであろう。競争が脅かされていることは明白であり、過去の間違いを繰り返すことがないように、委員会は目を光らせている。

しかし、ユーザーが利用しやすいウェブサイト、プッシュボタン、ブランド化された利便性をUSPとしている音声AIに対して、政策立案者が競争に関する法整備にどう取り組んでいくのか、これから明らかになっていく点も多いだろう。

相互運用性を強制すると複雑になる可能性があるため、使いやすさという点では好ましくない。また、ユーザーデータのプライバシーなど、他の懸念が浮上する可能性もある。

コンシューマー向けのテクノロジーについてユーザーが意見を述べ、テクノロジーを管理できるようにするのは良いアイデアだが、少なくともまず、選択できるプラットフォームの在り方そのものが操作されるまた搾取されるものであってはならない。

IoTと競争に関する問題が数多くあるのは確かだか、独占プラットフォームがすべての基準をもう一度定めることがないように規制措置を事前に講じることができれば、スタートアップや小規模企業にもチャンスが訪れる可能性がある。

ベステガー氏は声明に対するコメントとして「このセクター調査を開始した時点では、このセクターでのゲートキーパーのリスクが新たに高まっているのではないかと懸念していました。大企業の持つ影響力により、新興ビジネスやコンシューマーに損害をもたらすほど競争が妨げられることを心配していました。現在発表されている最初の報告から、セクター内の多くの関係者が同じ懸念を抱いていることは明らかです。コンシューマーの毎日の生活において、モノのインターネットのすばらしい可能性を最大限に引き出すには、公平な競争が必要です。この分析結果は、今後の法案施行と規制措置に役立ちます。関係する利害関係者すべてから、今後何カ月間でさらにフィードバックを受け取ることを楽しみにしています」と述べた。

セクターごとの報告は、ここからすべて閲覧できる。

【更新】ベステガー氏は調査結果に関するスピーチで、いくつかの行為については、将来的に新たな競争防止違反の訴訟につながる可能性もあると述べた。しかし、そうなるのはまだ先のことであると彼女は強調し、委員会には「懸念の範囲を的確に把握する」必要があるとも述べた。

「これまでのセクター調査の結果により、異なるスマートデバイスとサービスをつなぐオペレーティングシステムと音声アシスタントの主な役割がはっきりしました。この役割により、オペレーティングシステムおよび音声アシスタントのプロバイダーが、競争にマイナスとなる影響を与える可能性があると、回答者は注意を喚起しています。EUでは、Googleアシスタント、Amazon Alexa、AppleのSiriが音声アシスタントの分野で優位に立っています。加えて、グーグル、アマゾン、アップルには、 スマートホームやウェアラブルデバイスのオペレーティングシステムがあり、それぞれデジタルサービスを提供し、スマートデバイスを生産しています」とも語った。

「異なるデバイスとサービスでの通信や相互運用性はほとんどの場合、このような企業に依存しています。加えて、音声アシスタントはユーザーについて多くのことを学習します。スマートデバイスとモノのインターネットサービスは、家にいる時のユーザーの活動に関する大量のデータを生成します」。

「データへのアクセス、ユーザーへのアクセス、切り替えの難しさなど、現時点で明らかになった課題の多くは、デジタルマーケットで法を施行する場合と同じような課題です。実際、デジタルマーケット法に関連して委員会が提案する命令事項および禁止事項について、調査機能によって数多くのケースが報告されています。現段階での事前調査結果と、今後何カ月かの取り組みにより、デジタルマーケット法の対象に関する討議に、セクター調査が寄与することは間違いありません」と付け加えた。

「競争の強化と補完的法的措置によって、すべての人が恩恵を受けられるデジタル経済を作り上げることが目標です。その目標を実現するには、コンシューマー向けのモノのインターネットを含むデジタルマーケットが、どんな規模のビジネスでも参入して成長できる場となり、コンシューマーにとってオープンかつ公平であるかどうかを確かめていく必要があります」。

【更新】委員会の報告に対して、Amazonから送られた声明は以下のとおりである。

スマートホーム分野においては、多くの企業による競争が激化しています。1社だけが勝者となることはなく、勝者となるべきでもありません。弊社では当初からのこの認識に基づいて、アレクサを設計しました。現時点で、アレクサには14万個以上のスマートホーム製品と互換性があるため、デバイスを生産する企業が独自の商品とアレクサを簡単に統合できます。また、1台のデバイスから複数の音声サービスにアクセスできるように、お客様が柔軟に選択できる取り組みとして、音声相互運用イニシアチブ(現在80社が参加中)にも出資しています。

関連記事:グーグルがEUの圧力を受けAndroid検索エンジンの選択画面オークションを廃止、無料化へ

カテゴリー:ソフトウェア
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画像クレジット:Joby Sessions/T3 Magazine / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)