Gyazo、かすかな記憶を頼りに画像を探せる連想検索「Ivy Search」 MAUは1000万人突破

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フォルダやファイル名をつけて画像を管理している人にとって、「あの画像どこだっけ?」というのはよくある話だ。画像にタグを付けてあとで検索すればいいという人も、そもそものタグを思い出せないこともある。そんな問題を解決する検索機能を、スクリーンショットツール「Gyazo」が発表した。6月29日以降、有料ユーザーに対して順次公開。その後は無料ユーザーも利用できるようにする。

画像の類似度を自動算出→似ているものをグルーピング

「Gyazo」はスクリーンショット画像にURLを付与し、クラウド上に保存できるサービス。今回の機能は「Ivy Search」という名称で、現在注目している画像に近い画像を連想的にたどり、目当ての画像を探せるのが特徴だ。Gyazoでクラウド上に保存した画像について、 「関連情報をたどって必要な情報にたどりつく」 「記憶をたどって何かを思い出す」 といった連想的な検索をブラウザ上で実行できる。

連想検索のキーとなるのは、画像に付随するメタデータの類似度だ。

ユーザーはこれまで通りキャプチャするだけで、Gyazoが自動的にウェブページのタイトル・URL・作成時刻を自動的に収集。ユーザーが付けたコメントだったり、アプリをキャプチャした場合はそのアプリの名称も含めて、メタデータとして収集している。メタデータが似ている画像をグルーピングすることで、手間をかけずに画像を整理できるというわけだ。

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動画で見るIvy Search

Gyazoを手がけるNOTA,inc.の洛西一周CEOは、「スクリーンショットしまくっていたオフィスの内装画像を探すのに役立った」と話す。実際にどんな挙動なのか。

例えば、あるオフィスの画像を選ぶと、ウェブページのタイトルだったり、画像に付けたコメントをもとに、勝手に関連画像が集まってくる。ここでポイントなのは、オフィスの写真だけでなく、「手書きのオフィスの内装案」や「椅子」のような画像まで一緒に出てくることだ。これは両方の画像に洛西さんが「オフィス」とコメントを付けていたためである(以下、動画参照)。

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NOTAのCTOでIvy Searchの考案者である増井俊之さんに提供してもらった動画をご紹介しよう。最初は「神戸」で検索していたのに、いつしか「ネタ」や「アニメ」の画像が出てくるなど、画像に1つでも共有点があれば、数珠つなぎのように昔の記憶をたどれるのが楽しい(以下、動画参照)。

PCで画像を管理する場合、内容に応じて適切なフォルダやファイル名を考える人は多い。とはいえ、適切な名前を考えるのは面倒だし、後で忘れてしまうこともある。画像にタグを付けるのが面倒という人でも、Ivy Searchは作成日や位置情報、アプリ名、URL、その前後でキャプチャした写真などのメタデータをきっかけに探せるので、画像の整理がほぼ不要になるかもしれない。

月間アクティブユーザー数は1000万人突破、86%が海外利用

Gyazoは2011年1月に公開し、今年6月時点での月間アクティブユーザー(MAU)は1000万人を突破した。

海外ユーザーの比率が高いのが特徴で、日本の比率はわずか14%。北米が33%、ヨーロッパが37%と圧倒的に海外で使われている。設立当初からシリコンバレーを本社に置き、製品設計(UI)やデザインからコピーライティングに至るまで、最初から「世界で勝てるトランスカルチャーの製品を作る」発想で開発しているためだと、過去のインタビューで洛西さんは語っていた

今後は、会社や特定のチーム内でスクリーンショットを共有することを想定したSaas型の有料サービス「Gyazo Teams」をリリースする予定だ。

海外利用が8割超! 画像キャプチャ「Gyazo」に見る、トランスカルチャーなプロダクト作り

「Gyazo」はスクリーンショット画像にURLを付与し、クラウド上に保存できるサービスだ。2011年1月のリリースから約3年で月間ユニークユーザーは375万人、月間アップロード数は1540万件。日本発のサービスでありながら、国別ユーザー比率は日本の14%に対して、北米が33%、ヨーロッパが37%、ロシアが4%と、海外利用がダントツで多いのが特徴だ。有料会員は4500人(1ユーザー月額400円、法人1アカウント月額500円)に上る。そのGyazoを手がけるNOTA,inc.が11月11日、オプトとYJキャピタル、みやこキャピタルから総額200万ドル(約2億円)の資金調達を実施した。

NOTAのCEOである洛西一周さんは、12歳よりプログラミングを始め、2003年度にはIPA未踏ソフトウェア創造事業認定スーパークリエータにも認定されたエンジニア。大学時代の1999年に開発したメモ・スクラップソフト「紙copi」を100万ダウンロード以上のサービスに成長させ、事業売却も果たしている。ジャストシステムに「ネタの種」という製品名でOEM提供したり、一太郎シリーズに同梱されるなど、紙copiシリーズの売り上げは累計で約3億円に上ったという。

ところで、なぜGyazoは海外で強いのか? 洛西さんは、ジャストシステムとの協業での反省が背景にあると語る。「当時、一太郎は技術的にはWordと競っていたのですが、マーケティング的な面で失敗して、結果的には紙copiとの協業も終了してしまいました。これらの動きを見ていたことで、プラットフォームを作るには世界展開が必須ということを痛感し、大学院卒業後の2007年にシリコンバレーに渡り、NOTAを設立しました」。

洛西さんいわく、「Gyazoには紙copiの成功で得たツール開発の技法と、シリコンバレーで学んだプロダクトのマーケティング手法が詰め込まれています」。ここで言うマーケティングとは、グローバルなプロダクトの作り方全体に関わるもので、製品設計(UI)やデザイン、トップページのキャッチコピーなどに影響する。Gyazoの場合、「日本の製品を米国向けにローカライズ(またはその逆)」という視点ではなく、最初から完全に「全世界で勝てるトランスカルチャーの製品をつくる」という発想で開発している。

その発想はプロダクトのコピーライティングにも現れている。例えば、英語では「動詞」を最初に持ってきて、人にアクションを促す、「Call to Action」と呼ばれるコピーを重視。英語のネイティブにしかわからない凝った表現はあえて排除し、どの国の人にも馴染みのある簡単な単語を使っている。NIKEの「Just do it」やYouTubeの「Broadcast yourself」などが典型例だが、Gyazoでは「Capture Everything」や「Share Faster than a Ninja」がそれに該当するのだろう。

「コピーライティングで重要なことは、利用者の口コミを促すことです。ユーザーが他の人に紹介しやすい価値を提示する必要があります。Gyazoの場合は、『Fast』や『Easy』などがこれに当たります。いったん、これらが受け入れられたなら、その価値を増やすために開発もその方針にそって行います。このように提供する価値もコピーもとてもシンプルな言葉になるのが、トランスカルチャー的なプロダクトの特徴です。」

海外利用比率が8割を超えるGyazoは、問い合わせも英語が大半を占めている。こうした問い合わせには、丁寧でもったいぶった表現ではなく、フランクな表現を意図的に使うと、洛西さんは語る。「例えば、ユーザー向けのメールで『Mr』や『would』のような表現は使いません。フランクな話し方はトランスカルチャー文化な人達が得意な方法で、これによって短期に信頼感が醸成されます。むしろ、丁寧な表現は、すぐには打ち解けられないという不信感を生みます」。

Gyazoは、当時AppleでiPhoneの日本語入力に携わっていた増井俊之さんとシリコンバレーで開発した製品。最初から英語版が存在していたが、試行錯誤をしながらグローバルに展開してきたと洛西さんは語る。コピーライティングやユーザーサポートは一例にすぎないが、グローバルに利用されるプロダクトの必要条件といえるかもしれない。

増井さんは、未踏ソフトウェア創造事業で洛西さんのプロジェクトマネージャーを務めた師匠筋にあたる人物。これまではアドバイザリーフェローとしてGyazoの開発と運営に関わってきたが、今回の資金調達のタイミングで、NOTAのCTOに就任。本格的に経営に関わることとなる。

NOTAは米国に登記されているが、実働の拠点は京都。今回、Gyazoに出資したみやこキャピタルの藤原健真さんがTechCrunchに寄稿してくれた「シリコンバレーや東京にできない『地方スタートアップ』の戦い方とは」でも紹介しているが、「地方発」として海外に挑戦するベンチャーは2017年までに1億ユーザーを目指す。