蜘蛛の目の原理を借りて奥行き感知カメラを超小型化へ

ロボットや各種自動化装置の普及とともに、それらに3次元の視力を持たせることがますます必要になってきた。しかし、iPhoneのノッチが示すように奥行きを感知するカメラはどうしてもかさばる。ここでご紹介する蜘蛛が獲物までの距離を検知する仕組みは、この状況を変えるかもしれない。

ハエトリグモの小さな頭には、光を照射する仕組みなどを収めるだけのスペースはない。それでも彼らは、巧妙な捕食動物として獲物を正しく見つけて、そっち方向へ正しく進み、正しく獲物を捕らえる。どうやっているのだろう?節足動物の例に漏れず彼らもまた、非常に不可思議なおもしろい方法でそれをやってのける。

人間などは、複数の目が捉えた画像から立体像を作っているが、蜘蛛の目はひとつひとつが奥行きを感知する。個々の目が多層構造になっていて、透明な網膜がそれぞれの層の、距離によって異なる像のぼけ具合を見分ける。蜘蛛の小さな神経系は複数の目の複数の層を比較して距離を正しく測る。そのとても小さなハードウェアで。

ハーバード大学の研究者たちは、蜘蛛のこのやり方を真似たハイテクのレンズシステムを作り、これまでのような光学系がなくても奥行きを感知できるようになった。

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電気工学のFederico Capasso(フェデリコ・カパソ)教授らが作ったその「メタレンズ」は、蜘蛛の目のように、入力視像をぼけ具合の異なる2つのほぼ同じ像として捕らえる。そして同じく蜘蛛の目のようなアルゴリズムで2つの像を素早く瞬時に比較する。それにより、リアルタイムで像全体の奥行きが計算される。

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必要な計算力とそのためのハードウェアが微小である、という意味では効率的な処理だが、それだけでなく視覚系もとってもコンパクトだ。実験に使われたメタレンズは直径がわずか3mmだった。

小さいから、自動運転車や工業用ロボットだけでなく、小さなガジェットやスマートホームのアイテム、それにもちろんスマートフォンなどにも楽に組み込める。Face IDを駆逐することはないだろうが、でもその始まりかもしれない。

このメタレンズシステムを記述している研究論文は、米国時間10月28日に発行される「Proceedings of the National Academy of Sciences」(米国科学アカデミー紀要)に掲載される。

画像クレジット: Harvard SEAS

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蜂のサイズの飛行ロボ「Robobee X-Wing」は動力を光から得て持続飛行する

TechCrunchはハーバード大学の飛行ロボットRobobeeの進化を数年前から追っている。最初は飛ぶことを覚え、2015年には泳げるようになり、2017年には水から跳び出すことができた。そして今回のRobobee X-Wingは、光を自分の太陽電池に集めることによって飛べるようになった。光のあるところなら無限に飛び続けることができる。

この大きさでは、飛ぶことは極めて難しい。小さいから離陸も飛行も昆虫みたいに簡単にできるだろうとお思いかもしれないが、実際は自己動力の飛行は小さいほど難しい。昆虫の飛行は、われわれが自然界で出会うもっとも不可解で奇跡のような偉業なのだ。

小さな2つの翼を動かす動力を有線で外部から供給するなら、飛行は簡単だ。これまで、Robobeeなどもそれをやってきた。電源を本体に搭載したり、あるいは身につけたソーラーパネルにレーザーを照射するなどの方法は、ごく最近の試みだ。

関連記事:太陽光とレーザーの力で羽ばたく昆虫ロボットRoboFlyは電力供給の無線化に成功

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今度のRobobee X-Wing(翼が4枚なのでX型)は、電池もレーザーも使わない新しい段階を達成した。普通のフルスペクトルの光が上にあるだけでよい。現状では太陽光よりも明るいのだが、現実の条件に一歩近づいた。

ハーバードのMicrorobotics Laboratory(超小型ロボット研究所)のチームは、エネルギー変換のシステムと翼の機械系を極力軽量化してそれを達成した。全重量が1/4グラムで、ペーパークリップの約半分。消費電力も超微量だ:

わずか110–120ミリワットの電力を消費するこのシステムは、蜂のような同サイズの昆虫と同程度の推力効率がある。この昆虫サイズの航空機は、瞬間的な跳躍や離陸上昇ではなく普通の飛行を無線で維持できる機として、最軽量である。

上記の最後のところは、競合する他の研究に影を投げかけている。まだそれらの研究は「ふつうの飛行を無線で維持できる」状態ではない(詳細はよくわからないが)。たとえば下の記事のオランダの羽ばたく飛行ロボットは電池を搭載して1km飛行する。「飛行を維持できる」といえば、これぐらいしか思い浮かばない。

関連記事: 昆虫からヒントを得た羽ばたくロボットが一回の充電で1kmを飛ぶ

Robobeeのビデオでは、離陸がペットボトルロケットみたいだ。スペース的に不可能だったのは、高度な飛行制御回路や、使わないエネルギーの保存、ホバーリングなどだ。

それらはチームにとって次のステップだろうし、しかも簡単ではない。重量が増えて新しいシステムが加われば、航空機として完全に別のものになる。でも数か月から1年ぐらい経てば、本物の蜻蛉のようにホバーリングできるようになっているだろう。

Nature誌に、Robobee X-Wingについて極めて詳細に記述されている。

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しぼんだ風船で物をつかむMITのロボットハンドは自重100倍の重さを持ち上げる

生物からヒントを得たソフトなロボットは、ロボット工学の中でももっともエキサイティングな分野だ。それらは、障害物に挟まれても壊れずに搾(しぼ)られたり、自分のまわりの世界に形を合わせることのできるマシンだ。MITのCSAILとハーバードのWyssの共同プロジェクトは、彼らのこれまでの研究成果を利用して、デリケートなオブジェクトを扱うことができ、自重の100倍の重さのものを持ち上げることのできる、ソフトロボットのグリッパー(gripper, 物を掴み上げる機能部位)を開発した。

グリッパー本体は折り紙からアイデアをもらった骨格構造をしていて、それを布やしぼんだ風船で包んでいる。それは最近チームが別のプロジェクトで、ローコストの人工筋肉を設計したときに採用したやり方だ。コネクターがグリッパーをロボットの腕に取り付け、真空装置が空気をグリッパーから吸い取って、オブジェクトのまわりにぴったり貼りつかせる。

Soft Roboticsの商用グリッパーのように、このデバイスは柔らかいので、複雑な視覚システムがなくてもいろんなオブジェクトをつかめる。また、つかむとき、デリケートなオブジェクトに傷をつけない。

MITのDaniela Rus教授がニュースリリースの中でこう言っている。「これまでの荷造りロボットはごく一部のオブジェクトしか扱えなかった。とても軽いオブジェクトや、箱や筒のような形状によくなじむオブジェクトだ。でもわれわれのMagic Ballグリッパーでは、ワインの瓶やブロッコリー、ぶどう、卵などさまざまなオブジェクトを、掴んで持ち上げて置くことができる。言い換えると、重いオブジェクトと軽いオブジェクト、デリケートなオブジェクトと頑丈なオブジェクト、定型的なオブジェクトと形がさまざまなオブジェクト、これらの両方をつかめるのだ」。

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過去1年間に調達したベンチャー資金総額、出身校別ランキング

大学のランキングといえば、それが資本豊富なファウンダーの数であれ、調達資金総額であれ、ベンチャーキャピタリストの出身校であれ、リストの上位には常に同じ名前が並ぶ。唯一のサプライズ要素は、ハーバードとスタンフォードのどちらがトップにいるかくらいだ。

この2校がトップに来ないような大学・スタートアップ関連のランキングを作ることは可能だが、今日はやらない。今回注目したのは出身ファウンダーが調達したベンチャー資金総額の多い大学のランキングだ*1

それ以外はどの大学がランク入りしたのか?

幸いリストには2校以外の名前もあった。この調査では、卒業生が過去ほぼ1年の間にベンチャー資金を最も多く集めた大学トップ15に注目した。

以前本誌の記事で、卒業生の中に100万ドル以上調達したスタートアップのファウンダーがいる人数で大学をランク付けしたことがある。本稿はその追跡調査となるが、ほとんどの名前は同じで、順序が少し変わっただけだった。

下の表をご覧いただきたい。学校名、2017年8月1日以降に調達したベンチャー資金総額、および調達額の多い企業名が書かれている。

調査方法

この調査結果では、大学と系列ビジネススクールを合算している。このため、ハーバードやペンシルベニア大学(ウォートン・スクールの母体)など有名ビジネススクールを傘下に持つ大学の調達総額が大きく跳ね上がっている。

また、何人かのファウンダーはランキングにある複数の大学で学位を取得している。該当する起業家は大学毎に1回ずつ数えた。

(*1)調査対象はシードからレイトステージまでの2017年8月1日以降に発表されたベンチャー資金調達ラウンド。

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オープンオフィスのスペースレイアウトは最悪ね…ハーバード大学の研究もそう言ってる

大きなオープンオフィスで仕事をしていると、まわりの人たちなどに邪魔されて仕事に集中できない、とお嘆きのあなた、それは、あなた一人ではない。これまでのオフィスに比べると、お互いの顔が見えるオープンオフィスでは生産性が最大で70%も落ち込む、とハーバード大学の研究者たちが言っている。その研究論文は、今月のPhilosophical Transactions of the Royal Society Bに載っている。

その研究は、Fortune 500社の中から、最近オープンオフィス方式に移行した2社を選び、社員たちの首にかける紐に“ソシオメトリックセンサー(sociometric sensor)を収めたバッジをつけてもらい、二つの環境における社員たちのさまざまな反応を記録した。データの収集は、オフィスのレイアウトが変わる前の数週間と、そのあとの数週間、という二段階で行われた。

オープンオフィスは、社員間の気さくなコミュニケーションとコラボレーションを促進する、と称揚されていたが、この研究によると、二社の調査対象グループ(52名と100名)はどちらも、むしろ相手の顔を見ながらの対話の機会が減り、メールを送る回数が20ないし50%増加し、両社の役員たちは、生産性の定性的な低下〔仕事の‘質’が落ちたこと〕を報告した。

研究論文の中で研究者のEthan BernsteinとStephen Turbanが書いている: “企業は、直接的な対話の機会を増やし、活気ある職場を作るためにオフィスの構造をオープンオフィス方式に変える。しかし実際に彼らが得るのは…オープンオフィスの死を告げるニュース記事が絶えないことが示しているように…広々とした空間に社員たちが近接して置かれた場合には彼らは、できるかぎり自分を孤立/隔離することを(ヘッドフォーンの着用などにより)選び、そして(みんなに見られるから)できるかぎり、自分が忙しくしているように見せかける、という事実だ”。

オープンオフィスを批判する研究はこれが初めてではないが、ハーバードの研究者たちは、社員たちのアンケート調査に依存しない定性的な研究はこれまでなかった、と自画自賛している。

そして彼らは、以下の三つの注意事項を述べている:

  1. オープンオフィスの空間は対話を促進しない。むしろ社員たちは、できるかぎりプライバシーを求めるようになる。
  2. オープンオフィスは、企業の“集合的知性”説に暗雲を投げかける。言い換えると、刺激の多すぎるオフィス空間は組織の生産性を下げる。
  3. オープンなレイアウトへの変更によって、対話のすべてのチャネルに同じような効果が生ずるわけではない。たとえばこの研究ではメールの送出数が増えたが、それは、実際に人と会う対話の減少を補うほど、リッチなコミュニケーションではなかった。

オープンオフィスの設計も、まず静かな部屋で一人で考えたものが、優れたものになるのではないだろうか。つまり、オープンオフィスは再検討が必要である。

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精子の動きを再現するCGアニメが生物学の進歩にも貢献した

精子が動きまわる短編3Dアニメが、精子のかつてなかったほど詳細なモデルとして、大きな科学的価値を持つことになった。あの中で一体何が起きているのか、前から関心があった方にも、たいへん参考になるだろう。

ハーバード大学Wyss研究所のDon Ingberが、生物学的過程を原子のレベルで正確に視覚化したい、と考えた。呼吸でも視覚でもなんでも、きわめて複雑な過程だが、でも、精子が卵子に殺到して、自分を卵子に埋没させていく過程は、単純かつ、彼の制作努力に見合うほど十分にドラマチックだろう。

彼は、同じくWyssにいて映画畑で働いたことのあるCharles Reillyとコンビを組んだ。絵コンテは作ったが、精子の長い尾のアニメーションで難航した。尾の動きは、精子の推力を作り出している。二人は精子の動きに関して大量の文献を読んだが、マクロのレベルで見るような単一のモデルを作ることには役に立たなかった。尾の実際の動きは、原子のレベルで起きていることの直接の結果だった(分子モーターが動きを作り出す)。

しかし、ばらばらの知識をとにかく大量に寄せ集めて、精子のさまざまな実態に合ったモデルを作ることに成功した。精子の尾の動きという過程を原子〜分子レベルで視覚化すると、きわめてユニークな映像になった(下図)。尾を構成しているのは長い軸糸(axonemes)と呼ばれる原子の構造で、それらのあいだにダイニン(dynein)と呼ばれる酵素分子が並んでいるのだ。

その原子レベルの動きの全体を、彼らの短編アニメで見ることができる。それは見ておもしろいだけでなく、ダイニンが関与している、ボートの漕ぎ手のような動きを、エレガントに説明している。おまけに、科学的価値も高い。

IngberがWyssのニュースリリースで説明している:

われわれの物理学レベルのシミュレーションとアニメーションシステムは、そのほかの、データに基づくモデリングシステムと比べても遜色はなく、またそれだけでなく、新しい科学的知見にも導く。すなわち、ダイニンヒンジの制約された動きが、ATPの加水分解(ATP hydrolysis)によってリリースされるエネルギーをフォーカスすることである。それによってダイニンの形が変わり、微小管の滑動と軸糸の動きを駆動する。

さらに、ダイニンのこれまでの研究により、その分子の二つの異なる静的配座が明らかとなったが、われわれのアニメーションは、それら二つの形状の間をプロテインが遷移する、ひとつの妥当な様相を示している。それは、他のシミュレーションにできなかったことだ。またアニメーションによって、ダイニンの列が一斉に働く様子を視覚化でき、それはボート競技の漕ぎ手たちの揃った動きを連想させる。これも、従来の科学的シミュレーションの方法では困難である。

彼らがこの短編アニメーションで見せていることは、精子の実際の動きの理解を、一歩前進させることに役立つだろう。

では、アニメの最終バージョン、“The Beginning”をご覧いただこう:

それは、奇異であると同時に優れた作品だ。これを実際に作れたことは、喜ばしい。

Ingberは語る: “われわれは、アートとサイエンスが本当に互恵的に互いの役に立つことを実証できた。このプロジェクトが今後のさらなるコラボレーションを喚起し、アートとサイエンスの密接な協働がエンターテインメント産業でも活用されて現実を描き出し、万人がそれらを楽しめることを期待したい”。

このアニメの創作過程は、ジャーナルACS Nanoにドキュメントされている。

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キーホルダーぐらいの小さなデバイスが食品中のさまざまなアレルゲンを検出してくれる

レストランや食品生産者が正しく対応していないことの多い、恐ろしいアレルギーのある人にとっては、食べ物を口にすることが命がけだ。Harvard Medical Schoolが開発したデバイスは、本人が自分で人体実験をしなくてもよいように、食べ物に含まれている一般的なアレルゲンを検知する。

それは、外因性抗原総合検査システム(integrated exogenous antigen testing system, iEAT)と呼ばれる。略語が“I eat”なのは、たまたまだろう。研究者たちが書いたペーパーは、ACS Nano(アメリカ化学学会の機関誌)に発表されている。〔*: 名前に‘総合’とあるのは、多種類のアレルゲンに対応するため。〕

最初に、少量の食品を“抗原抽出デバイス”(antigen extraction device)の上に置く。それは一回使って使い捨てのスライド(載物器)で、化学的に自然に分解する。それをiEATのデバイスに挿入するが、それはキーホルダーぐらいに小さくて軽く、食品サンプルを分析するための電子回路が収まっている。

ケースに収められたデバイスと、複数の電極のあるアタッチメントのプロトタイプ(非売品)。

このデバイスは10分で、アレルゲンの有無と、その量を検出できる。時間はややかかるけれども、今ある方法は、もっと遅かったり、サイズが大きすぎたり、あるいは危険すぎたりする(これは本人が食べる場合!)。しかもiEATは、これまでの検査よりずっと少量でアレルゲンを検出する。ほかにNimaという製品があるが、こちらはグルテンだけが対象で、しかも高価だ。そしてまだプロトタイプ段階のAllyは、ラクトースを検出する。

現在のiEATは、ピーナッツ、ヘーゼルナッツ、小麦、牛乳、卵を検出できるが、貝類、農薬など、ほかのものを加えることは容易である。研究者たちはいくつかのレストランについてテストし、“グルテンフリー”のサラダにグルテンを見つけたり、ビールに卵のタンパク質を見つけたりした(ひどいね)。

本体は40ドルを予定しているが、もちろん抗原抽出デバイスは今後たくさん要る。バルクで安く買えるといいのだが。しかしいずれにしても、喉が詰まったり、おそろしい発疹が出たりせずにすむのは、ありがたいよね。

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ザッカーバーグ、卒業祝辞を前にハーバードの学生新聞で荒らしにあう

今日(米国時間5/25)Facebook CEO Mark Zuckerbergが祝辞を述べるハーバード大学卒業式を前に、同大学の名高い学生新聞に…興味深い見出しが掲載された。

「速報:Mork Zinkletink 、インターネット中を攪乱」

Screenshot via Archive.is

このでっち上げ記事を最初に報じたのはBusiness Insiderで、The Harvard Crimson紙のDerek Cho代表は不正侵入者によるものだとTechCrunchに伝えた。

本日、The Harvard Crimsonウェブサイトが不正ユーザーによって改変された。現在復旧に努めている。読者に迷惑をかけたことは遺憾であり、卒業式が無事終了することを願っている。

Zuckerberg自身が残したCrimson紙との過去の軋轢を踏まえると、ふさわしい出来事と言えなくもない。

Screenshot via Archive.is

遡って2004年、学生だったZuckerbergはCrimsonの編集者2人のメールアカウントに侵入した疑いをかけられた。彼の新しいサイトTheFacebookに対する知的財産権侵害の訴えについて書かれた記事を発行前に読むためとされている。Zuckerbergは、編集者らがTheFacebookへのログインに失敗した記録を元にパスワードを推測し、アカウントに侵入したと伝えられた。

現在The Crimsonのサイトは、通常の卒業記念特集に戻っているが、今日の卒業式で祝辞を述べるZuckerbergの写真は再びサイトに戻ってくるはずだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

遺伝子編集でマンモスを再生する研究にハーバード大学が取り組んでいる、それらしき胚ができるのも近い

ST. PETER-ORDING, GERMANY - MAY 31:  Two replicas of mammoths are seen during the "Giganten Der Eizeit" exhibition opening on May 31, 2011 in St. Peter-Ording, Germany. Europes biggest ice age exhibition opens on 3rd of June.  (Photo by Krafft Angerer/Getty Images)

マンモスはとっくに絶滅したけど、でも、もしかしたら戻ってくるかもしれない。ただしそれは、象の遺伝子を編集してマンモスの形質を持たせる、というお話なのだ。今週行われたAmerican Association for the Advancement of Scienceの今年の年次大会で、ハーバード大学の研究者たちが、その研究の進捗状況を発表した。チームリーダーのGeorge Church教授によると、その進捗は意外と早かったそうだ。

4000年前に絶滅したとされるマンモスを再生する話は、これまでもあった。とくに、遺伝子編集技術の進歩を語るときには、よく持ち出される例だ。Churchのチームも、実は遺伝子編集技術CRISPR Cas-9を使って、象のゲノムの遺伝子にマンモスの形質…長い体毛や厚い皮下脂肪の層、そのほかの寒季耐性特性などを導入しようとしている。

研究者たちは、あと2年ぐらいでマンモスふうの象の胚を作れる、と言っている。The Guardianによるとそれは、一般大衆が絶滅種の再生という言葉に期待するものとは違って、実際には、マンモスの復活というよりもむしろ、何か新しいものだ。

しかも胚は、まだ実際の動物ではない。発生して、胎児、新生児、と育っていく胚はまだ得られていない。チームは、それまでには多くの年月を要する、と気の長い話をしている。現段階の研究は、発生の複雑な段階を、少しずつでも前進した有機体が得られるような、編集技術にフォーカスしている。最初それは細胞だったが、今やっと胚の段階に来ているのだ。

チームの話の中で興味深いのは、この研究からアジア象の保全のための知見がいくつか得られるかもしれない、という点だ。アジア象も、今は絶滅危惧種だ。また、彼らの研究からは、地球温暖化に抗してツンドラの溶解を防ぐための、永久凍土層の曝気技術が見つかるかもしれない。

もちろんこのような研究には、倫理の方面からの批判もある。生きるために社会を必要とする種を個体として再生することの意味。そして、遠い昔の動物を再生することよりも、今人間の介入によって危険に瀕している種の保全に、そのぶんのリソースを回すべきではないか。などなど。

しかしこのプロジェクトは、科学的にはすごくおもしろいし、研究が中断されることもないだろう。倫理的懸念は、確かにあるとしても。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

このマシンは、ナノ粒子をレーザー硬化させて金属構造物を空中に3Dプリントする

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一般的3Dプリンターの限界の一つは、作品の構造が、事実上連続するレイヤーで次々と支えていく必要があることだ。ハーバード大学のWyss Instituteが作った新しい装置は、金属フィラメントで空中に描くことが可能で、支えを必要としない。そして、レーザーを使っている。

この新技術に派手な名前はまだ付けられていないが(”laser-assisted direct ink writing” を別にすれば)要点はこうだ。ノズルを予め決められた経路に沿って動かし、銀ナノ粒子の細い糸を送り出すと同時に、後を追うレーザーが粒子を加熱硬化させ、髪の毛より細い自立するフィラメントにする。

ノズルの中では、ナノ粒子の流れが精密に制御され、金属線を均一の太さに保ち、レーザーも生焼けの粒子が残ったり、熱を加えすぎて押出機の中の粒子を硬化させたりしないよう調整されなければならない。

その結果は、美しく柔軟な一体構造で、ほぼあらゆる形状を作ることが可能だ ― 小さなバネや支え、回路等の構造要素を作るのに有用だ。

「当研究所で生まれた最新の進歩を本当に喜んでいる。この装置は、3Dプリンターと柔軟な金属電極を使って複雑な構造物を「リアルタイム」で作ることができる、と研究者のJennifer Lewisがニュースリリースで語った。「高度なレーザー技術を利用することによって、3Dプリンティングの能力を高め、新しいタイプの製品を想起させるだけでなく、最先端の固体自由形状製作を全く新たな領域へと進めることできる」。

新技術のデモンストレーションでは、美しい3Dワイヤー蝶々が披露されていたが、様々な目的の特殊な構造体に応用できることが想像できる ― 特殊医療機器の配線や、高速プロトタイピング等。

Lewisの研究は、”Proceedings of the National Academy of Sciences” (米国科学アカデミー紀要)で今日(米国時間5/16)発表された。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

水中を泳げるようになったロボット蜂RoboBee…人類の滅亡も近いか

2024年7月 – 今これを書いているのは未来の人間がわれわれの没落を知るためだ。最初のRoboBeesは無害だった。これらの小さなロボット虫は自由自在に飛び回り、最後の人類を楽しませた。ハーバード大学生物学的工学Wyss研究所の研究員Yufeng ChenとE. Farrell Helbling、Nick Gravish、Kevin Ma、そしてRobert J. Woodは、生物擬態を作るためにこれらの虫を作った。その後彼らは、泳ぐことを覚えた。

RoboBeeは最初、電池を載せられないほど小さく、飛び去らないように地面につながれた。しかしその後、電脳が進化した蜂たちは、働き蜂たちが花粉を積むことから電池を積むことを覚え、たいへんな事態を招いた。

今日ではわれわれは女王蜂様の前で膝まずき、彼女がゆっくりとわれわれの子孫を摂取して、栄養となる化学物質を取り込む様子を見つめる。でも昔々のわれわれはRoboBeesを怖がることなく、彼らの水中スポーツを楽しんだ。しかし楽しめたのは、彼がわれわれの血液中を泳ぐことを覚えるまでだった。怪獣化したハーバードのRoboBeeたちは、空中と水中を移動できた。

今からではもう遅い。でも、今この文を読んでる読者は、泳げるようになったロボットが、人の耳に入ったり、人の大動脈を潜り進むことなどありえない、と思ってはいけない。すでにたくさんの善良な男女と子どもたちが、この空飛ぶ魔物たちの犠牲になり、しかも、どこにも逃げられない。ぼくのところにやってくる羽音が聞こえる。さようなら。

出典: via Gizmodo, 経由:Spectrum

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Kilobot―1000台のミニロボットが生物のように自己組織化する

ハーバード大学のマッドサイエンティストたちは、とうとう「自己組織化ロボット」の開発に成功した。小さなロボットの大群が生命の細胞のように自ら動いて目的の形をつくる。ロボットが世界を乗っ取るアポカリプスがまた一段と近づいたようだ。

というか、自己組織化できるロボットというコンセプトを実証するモデルだろうか。ともあれ、上のビデオに見られるように、kilobotと名付けられた1000個のミニロボットが一定のパターンを自ら構成していくところは見ものだ。どんなパターンを構成すべきか教えられているのは最初の数個のロボットだけで、他のロボットはその後について動き始める。

このチームが開発した手法は驚くべきものだ。最初の「リーダーロボット」は一組となって赤外線を発光する。他のロボットはその赤外線に引き寄せられてリーダーに向かって動き出す。一定のロボットが集まるとロボット同士が通信して正しい位置に移動する。ロボットが集団になると、赤外線あるいはインターネット電力ネットワークを通じて充電される。

故障したり道に迷ったりしたロボットはそれを仲間に伝えることができる。正常に動作するロボットは故障したロボットを無視して作業を続けることができる。こんな小さいロボットだからまだ安心だが、これが巨大化したらと思うとさすがに少々恐ろしい。

via Spectrum

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


この紙は、自らを折り畳んでロボットになる

想像してほしい。平らなシートの束が宇宙に送られ、自らを折り畳んで衛星になったり、崩壊したビルに送り込まれた平面ロボットが、自分自身を組み立てて作業する場面を。そんな未来が十分可能になった。人の手を借りることなく自らを折り畳んで動くロボットが、昨日世界で初めて公開された。

ハーバード大学の大学院生、Sam Feltonは、ハーバード大学SEASおよびMITの仲間と共に、自己折り畳みロボットを作った。複雑な3D形状を作り上げる折り紙からアイデアを得たもので、Science誌で公開されている。

Feltonによると、このロボットは、複合紙および折り畳み可能回路基板で作られ、おもちゃのShrinky Dinks[プラ板]― 加熱されると、縮んで小さく固くなる ― を利用している。これらの材料を使うと、安価なロボットを早く作ることができるが、Felton曰く、将来もっと良い材料を使えば、手の届かない場所で物体を組み立てるのに役立つだろうと言う。

下のビデオでは、平らな1枚の複合紙が、立ち上がってロボットの形になり、ちょこちょこと走っていく姿を見ることができる。このプロジェクトは、未来の挑戦に無限を可能性を与える、興味深いスタートだ。[訳注:1:00付近からロボットが動く]

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook