微生物育ちのヘッドホンは持続可能な電子機器の未来か

電子機器の陳腐化によって生産される大量の有害な廃棄物は、数千年残るであろうゴミ処理場を生み出す。しかし、自然界にもいくつかの強固で多目的に使える物質が存在する。ならば、それを用いない理由はない。フィンランドのデザイン会社ことAivanは、菌類やバイオプラスチック、その他の天然素材によるヘッドホンのコンセプトを作成した。

このアイデアは、すべてのものを自然由来の素材で置き換えるというもので、素材は多岐にわたるが、その中には入手の難しいものもある。

Dezeenによれば、Korvaaと名付けられたこのヘッドホンはあらゆる素材が天然由来だが、それは森の中から拾ってきたというわけではない。

ヘッドホンの基本構造は3Dプリントされており、その素材はイースト菌が乳酸を生産する際の副産物となるバイオプラスチックだ。このポリ乳酸ポリマーは強度があり、なおかつヘッドホンバンドやイヤカップとして使えるほどの柔軟性がある。

パッドを入れたイヤピースはヒドロホビンと呼ばれるタンパク質でできており、人工のフォームのように多数の泡でできている。これらは菌類によって作られ、植物のセルロースによって補強されている。また、これらは革のようで柔軟がある別の菌類による素材で覆われている。

そしてこれらの上部は、合成された蜘蛛の糸を紡いだ素材のメッシュで覆われている。これはBolt Threadsの蜘蛛の糸によるネクタイと同じアプローチだ。

なお、このヘッドホンは実際には動作せず、現時点ではプロトタイプやコンセプトプロダクトとなっている。しかし、動作するヘッドホンを作成するのが今回の目的ではない。ヘッドホンが現在のように、生分解性ではない素材で生産される必要がないということなのだ。

「これは、バイオエンジニアリングによる素材がどこへ向かい、また将来何ができるのかというほんの一例だ」と、デザイナーの一人のThomas Tallqvists氏はDezeenに伝えている。

このヘッドホンは、フィンランドで開催されるいくつかのデザインショーにて展示される予定だ。オーディオテクニカやゼンハイザーががそこに立ち寄り、インスピレーションを得れば面白いことになるかもしれない。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter