台湾のスタートアップDeep 01がAI医療画像診断ソフトウェアで約3億円を調達

医師が脳のCTスキャンをより迅速に解釈するためのソフトウェアを開発する台湾のスタートアップであるDeep01は、米国時間6月22日に270万ドル(約2億9000万円)の資金調達を行ったと発表した。資金調達を主導したのはPCメーカーのASUSTek(エイスーステック)だ。

Deep01の製品は台湾と米国食品医薬品局(FDA)の両方から認可を得ており、同社は2月に約70万ドル(約7500万円)相当の最初の注文を受けていた。

他の投資家には、台湾の研究機関である工業技術研究院(ITRI)と情報産業研究所(III)が共同出資するデジタル・エコノミー・ファンドと、BEキャピタルが含まれる。

Deep01のソフトウェアは現在、台湾の2つの医療センターと4つの病院で使用されており、すでに2000件以上の脳スキャンに役立っている。

Deep01は救急科向けに開発されたソフトウェアで、急性脳内出血を93%〜95%の精度で30秒以内に検出できるという。

Deep01は創業者かつCEOのDavid Chou(ダビッド・チョウ)氏によって、2016年に設立された。チョウ氏はカーネギーメロン大学でコンピュータサイエンスの修士号を取得し、2018年から2019年の間にハーバード大学のマサチューセッツ総合病院の研究員として勤務していた。

ASUSのコーポレートバイスプレジデントかつAIoTビジネスグループの共同責任者を務めるAlbert Chang(アルバート・チャン)氏は声明にて「Deep 01はAI医療分野のリーディングスタートアップだ。今回のコラボレーションはヘルステック分野において有望である」と述べている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

医療機器セキュリティ向上のCyberMDXが約22億円を調達

ヘルスケアセキュリティのスタートアップであるCyberMDXは、最新の資金調達ラウンドで2000万ドル(約22億円)を調達したことを米国時間4月7日に認めた。

ニューヨークに拠点を置くCyberMDXは、病院のネットワークに接続された資産とデバイスを管理し、リアルタイムで攻撃を監視するサイバーインテリジェンスプラットフォームを通じて、主に医療機器の保護と病院ネットワークのセキュリティ向上に取り組んでいる。

CyberMDXはわずか4年前に設立されたにもかかわらず、医療分野でより存在の知られたサイバーセキュリティスタートアップの1社となった。同社の研究部門はすでに、麻酔器や呼吸器に使用される輸液ポンプやネットワークプロトコルなど、広く使用されている医療機器に複数の脆弱性があることを発見しており、米国土安全保障省を通じて警告を発している。

2000万ドル(約22億円)の資金調達は、Relyens Groupの一部門かつヨーロッパ最大の保険とリスク管理プロバイダーであるShamが主導し、既存投資主であるPitango Venture CapitalとQure Venturesが参加した。

CyberMDXはこの2000万ドル(約22億円)により、新しい地域や市場に向けてプラットフォームを展開していく予定だと述べている。

今回の資金調達は極めて重要な時期に実施された。世界中の何千もの病院や医療施設が新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによる重圧の中で、CyberMDXは同社のプラットフォームが彼らの負担を軽減できることを望んでいる。

「今日の新型コロナウイルスや前例のない事案を考慮すると、この困難な時期に医療コミュニティを支援することが我々のミッションの一部であると考えている」と、CyberMDXの共同設立者かつCEOのAmir Magner(アミール・マグナー)氏は述べている。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

トイレを使って全自動のヘルスモニタリング——健康IoTのサイマックスが資金調達

ヘルスケアIoT製品を開発するスタートアップのサイマックスは12月9日、Draper Nexus Venture Partners II,LLC、iGSインベストメントワークス(アイスタイル傘下のCVCだ。詳細はこちら)および個人投資家から資金調達を実施したことを明らかにした。調達額は非公開で、今回がシリーズAの調達となる(IoTスタートアップを支援するインキュベーターのABBA Labからシードマネーを得ている)。払い込みは11月で、リードインベスターはDraperとなっている。

サイマックスは2014年6月の設立。代表取締役の鶴岡マリア氏は以前、インキュベーターのサムライインキュベートで投資家の支援から新規事業までを担当していた人物だ。同社のオフィス兼コワーキングスペース「Samurai Startup Island(SSI)」の立ち上げにも関わっており、こちらのスペースで同氏を見たことがあるというスタートアップ関係者も少なくないのではないだろうか。

残念ながら同氏が手がけたサービスは終了してしまったのだが、その後サムライインキュベートを退社、起業の準備を進めてきた。

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タンク左側に見えるのがサイマックスの製品だ

サイマックスが開発するのは、世界初となる小型・低価格のトイレ後付け型の分析装置とヘルスモニタリングサービス——もう少し具体的に説明すると、自宅や施設のトイレに後付けで設置し、自動で排泄物の分析を行うというもの。

こちらの写真を見て欲しいのだが、便器内にセンサーを設置、タンク左に付いている装置でデータを取得、クラウド上にデータをアップして解析、その結果をスマホアプリで閲覧できるというものになる。

その精度は非常に高いそう。またクラウド上で解析を行うため、逐次その検査方法もアップデートできるのも強み。すでにヘルスケアメーカーなどが競合製品を提供しているが、鶴岡氏いわく強みとなるのは検査項目の多さと価格。

サイマックスの製品で検査できる項目は早期の糖尿病(完全に治せるフェーズ)、痛風、高血圧・心疾患リスク、感染症などのスクリーニングやモニタリング。「発見できる疾患数は桁違い」(鶴岡氏)。また価格は競合製品では200万円程度のものから数千万円のモノ(病院や検査機関にある装置)まであるそうで、手軽に導入するのは難しそうだ。サイマックスの製品価格は非公開ながらそれよりも安価に導入できるとしており、さらに「施設のトイレに導入して使用する場合、1回980円でサービスを提供できる予定」(鶴岡氏)とのことだ。

同社は2014年以降製品を開発を進めてきた。最近ではメドピア主催イベント「Health 2.0-Japan」内で行われたヘルステックのピッチコンテスト「Afternoon Pitch Competition」に出場して優勝するなど徐々に露出を始めている。

サイマックスでは以前、血液1滴で疾患の検査ができるというプロダクトを開発していた。そこからトイレを使った全自動なシステムにピボットしたようだ。「病院に行かず、この場で腫瘍マーカー検査ができるとしてユーザーテストを行ったが、針を使って血を抜くこと自体をやったことないので抵抗があるという人が多かった。予防領域だと『血を抜く』という行為はハードルが高かった」(鶴岡氏)。そこでより簡単に疾患をチェックできるものを…と思い、現在のプロダクトにピボットした。今後はテスト導入を進めていき、来夏にも正式にリリースする予定。