NTTコミュニケーションズ、山形県との連携のもとAIで積雪状況を分析し除雪業務の効率化を目指す実証実験を開始

NTTコミュニケーションズ、山形県との連携のもとAIで積雪状況を分析し除雪業務の効率化を目指す実証実験を開始

NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は2月4日、山形県との連携のもと、米沢市と高畠町において、車載カメラで収集した画像データからAIで積雪状況を分析する実証実験を同日開始した。これは除雪業務の効率化を目指す実験で、積雪状況をリアルタイムに「可視化プラットフォーム」の地図上に表示する。

同実証実験はNTT Comの社内ビジネスコンテスト「DigiCom」および社内新規事業創出プログラム「BI challenge」にて創発されたビジネスアイデアで、その事業化に向けた取り組みの一環。

山形県は豪雪地帯として知られているが、なかでも米沢市と高畠町は国土交通省から「特別豪雪地帯」に指定されており、除雪の緊急度把握が特に重要な地域となっている。今回実験を行うNTTコミュニケーションズのシステムは、様々な車両の車載カメラで撮影された道路の映像をクラウドに集め、地図上にマッピングするというもので、積雪状況のリアルタイムの可視化、状況把握の効率化、緊急度に応じた除雪車の早期手配などに役立つ。

これには、NTT Comが提供するクラウド録画カメラサービス「coomonita 」(コーモニタ)」と、ネット地図サービス企業HERE Technologies(ヒアテクノロジーズ)の位置情報システム「HERE Maps API」が用いられる。AI画像分析は、東大・松尾研発のAIスタートアップACES(エーシーズ)と協力し実施する。

実証実験は、2つのステップで実施される。2月28日まで実施されるステップ1では、道路などの積雪状況の画像データを集め、個人情報をマスキングした上でリアルタイムに「可視化プラットフォーム」の地図上に画像を表示し、可視化データを自治体に提供する。2022年12月に実施予定のステップ2では、積雪状況、道路の幅、事故、道路陥没状況などをAIで画像分析し、結果を自治体に提供する。

今後は、積雪アラートなどの機能を追加すると同時に、道路の損傷検知や地域防犯など、積雪地域以外の全国にも同システムを展開を目指すとのことだ。

コネクテッドカーのビジネスモデル予測、日産、富士通らのキーマンはどう考える?

安全な運転の促進や効率的な保険の提供など、モビリティの安全性と利便性を向上させるコネクテッドカー。しかし、その活用方法やビジネスモデルの未来は未知数だ。そこで、フロスト&サリバンのモビリティ担当プリンシパルコンサルタントであるPaulo Mutuc(パウロ・ムトゥック)氏がモデレーターとなり、HERE Technologiesグローバル・セールス・ディレクター白石美成氏、Gojekモビリティ関連製品担当役員Vikrama Dhiman(ヴィクラマ・ディマン)氏、日産自動車コネクティド技術開発&サービスオペレーション部部長の村松寿郎氏、富士通中央および東ヨーロッパ地区コネクテッド・サービス、製造、モビリティ部門担当役員Tobias Geber-Jauch(トビアス・ガバー・ヤウ)氏がコネクテッドカー活用の未来を語り合った。

本記事はフロスト&サリバン主催『インテリジェントモビリティサミット2021 ゼロへのイノベーション』中のセッションの一部講演を編集、再構成したものとなる

日本、米国、中国で求めるものが違う

コネクテッドカーは世界的にどういった動きを見せているのだろうか。モバイルサービスにデータを提供するHERE Technologiesの白石氏によると、インドでは80%、中国では76%が「コネクテッドカーは有用」と捉えているという。

白石氏は「コネクテッドカーの活用促進には政府の政策も大きな役割を果たします。インド政府はMtoMを支援しているため、コネクテッドカーの体験も良くなっていくでしょう」と話す。

日産自動車の村松氏は、日本、米国、中国におけるコネクテッドカーの需要の違いに着目する。

村松氏は「コネクテッドカーへの取り組みは日米ではほぼ同時期にスタートしています。米国では、安心・安全のため、テレマティクスのためのコネクテッドカーという側面が強い。しかし、日本ではあまりそういう需要はありませんでした。しかし、最近ではユーザーもコネクテッドカーの有用性を理解し始めています。中国のコネクテッドカーはガジェット的な意味合いが強いですね」と話す。

Gojekのディマン氏はインドと中国の市場の性質の違いを指摘する。インドのコネクテッドカー市場は市場の期待で動き、中国の市場は政府からの支援で動くという。

コネクテッドカーは誰のためのもの?

富士通のガバー・ヤウ氏はコネクテッドカーの普及率が低いことに注目する。「コネクテッドカーはプレミアムカーの特権のようなものです。しかしながら、ユーザー全員のクルマがプレミアムカーというわけではありません。シンガポールではほとんどのクルマがプレミアムカーなので、逆にコネクテッドカーの普及率が高くなります」と解説する。

では、コネクテッドカーを普及させるには何が必要なのか。ガバー・ヤウ氏は適切なビジネスモデルとユーザー向けの価値創出が必要だと語る。

「自動車メーカーは『データを使って儲けたい』と考えます。シンガポールでは、新しい交通・物流が必要でした。だからこそコネクテッドカー活用が進んでいます。規制によっては、自動運転のトラックが街を走ることになるかもしれません。しかし、1人ひとりのドライバーには、物流の変革なんてどうでもいいことです。自動車メーカーにとって『データを使って儲ける』ことには価値がありますが、ユーザーには価値がないのです。『データを使って儲ける』にはデータが必要ですが、個人個人のユーザーに対する利益が発生しないなら、彼らがデータを渡したくなる理由も発生しません。ユーザーも利益を得るビジネスモデルが必要です」とガバー・ヤウ氏。

白石氏は「Here Technoligiesは位置データを提供する企業ですが、もし自動車メーカーのデータを利用できれば、当社のサービスに生かすことができます。これは、自動車メーカーからすれば、データのマネタイズの側面もあります。しかし、自動車メーカーのデータがユーザーから収集されるものだとしたら、そのデータの所有者は誰なのでしょうか?これも考える必要があります」と問題を提起する。

スーパーアプリはゲームチェンジャーになるか

ここでモデレーターのムトゥック氏は「スーパーアプリとコネクテッドカーの今後はどうなっていくと考えますか?」と質問した。

スーパーアプリとは、1つのアプリの中でさまざまなミニアプリを開くことができるアプリケーションを指す。1つのスーパーアプリの中で数多くのことができるため、プラットフォームとしても機能する。

ディマン氏は「公共交通のデータを使ってどこに何があるのか、どこを通るのかといったことを把握できれば、スーパーアプリの中に車の移動に関するアプリも入ってくるでしょう」と話す。さらに「こうしたデータ収集がユーザーに何をもたらすのかをきちんと見せることができれば、データを持つ企業にとって大きなリードになもなるでしょう」という。

白石氏は「スマホは顧客との最初の接点です。自動車メーカーとスーパーアプリがどう手をつなぐのかが今後重要になります。これには、自動車メーカーが社内のディスプレイを通して、どうユーザーとコミュニケーションをとるのかという問題も含まれます」と指摘する。

さらに白石氏はミニアプリの重要性にも触れた。自動車メーカーがコラボレーションするスパーアプリを選定する際、ミニアプリが手がかりになる可能性があるからだ。さらに、スーパーアプリに搭載されるミニアプリが充実すれば、スーパーアプリがプラットフォームとしてさらに強力になるため、スーパーアプリだけでなく、ミニアプリの内容も考慮することが重要だという。

村松氏は、日産が展開する「Nissan Connect」を例に、日産とアプリの関係について話す。Nissan Connectは通信機能を使い、最新の交通情報を基にした最速ルートをドライバーに提供するなど、多様な機能を備えたサービスだ。

「当社にはNissan Connectというアプリがありますが、これを自動車業界ではないところと統合するイメージはつきにくいのが現状です。外のエコシステムとどう繋がるかは大きなテーマです。例えばエネルギー業界とLeafのデータを共有することができたら、ダイナミックに電力価格を設定することも可能でしょう」と村松氏は語る。

私たちはクルマを所有しなくなる

モデレーターのムトゥック氏は最後に「今後のコネクテッドカーの行方についてどう予測しますか?」と質問した。

ディマン氏はまずコネクテッドかーには5つの側面があり、それをまず考える必要があると話す。その5つとは、「1. vehicle to Infrastracture(クルマ-インフラ)」「2. vehicle to vehicle(クルマ-クルマ)」「3. vehicle to cloud(クルマ-クラウド)」「4. vehicle to pedestrian(クルマ-歩行者)」「5. vehicle to X(everything)(クルマ-すべて)」だ。

「では、こうした側面から、コネクテッドカーをどう活用するのか。例えば夜外食するのにクルマで出てきた時、パーキングが1時間見つからなかったら、ディナーが食べれなくなります。自動車がドライバーなしでパーキングを見つけ、駐車できるなら、ユーザーはゆっくり夕食を楽しめます。コネクテッドカーの話をすると、コネクテッドシティの話になりがちですが、大事なのは今の例のようにユーザー優先の発想です。これが今後重要になるでしょう」とディマン氏。

村松氏は自動車業界ではない業界との連携の重要性を指摘。「GAFAやBATHなど、IT業界との連携が重要ですが、10年後のIT業界がどうなっているかは見えませんね」と回答。

白石氏は「クラウドデータが自動車メーカーを含めたエコシステム全体で重要になります。クラウドソースのデータは常に更新されなければいけません」という。

ガバー・ヤウ氏は「10年、20年、30年後と、ビジネスモデルはどんどん変わっていきます。私たちはクルマを持たず、病院などの『行先』が私たちのところに迎えのクルマを出すようなパッセンジャーエコノミーになっていくでしょう。さらに、何か欲しい商品があったとき、商品の販売者の方からクルマで商品が持って来られるようなこともあり得ます。クルマを所有することをやめ、サービスとしてクルマを使うような社会が訪れるでしょう」と今後の展望を予測した。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:コネクテッドカーHERE TechnologiesGojek日産自動車富士通テレマティクス

Here Technologiesの車載APIにwhat3wordsのシンプルなアドレスシステムが統合

ジオコーディングのスタートアップであるwhat3wordsは、世界を一辺が3mの正方形に分割し、それぞれにユニークな3つの単語ラベルつけて、位置情報の共有を簡単にしている。同社はこのほど、歴史的に自動車業界と縁の深いマッピング企業であるHere Technologiesとの提携により、新たに車載用の統合機能を獲得した。

米国時間10月22日、Hereのナビゲーションプラットフォームを使用しているOEMは、それ自体を統合する必要はなく、Here Search APIを介して直接what3wordsを車載ナビ機能として含めることができると両社は発表した。既存のプラットフォームユーザーは、アップデートを介してwhat3wordsのアドレッシング技術にアクセスできるようになる。

Hereによると、同社のマップデータサービスは現在、世界中の1億5000万台の車に搭載されているという。

what3wordsのこのような統合は決してこれが初めてではない。登場後、シンプルな語呂がいいアドレシングシステムは車両との相性が意外と良いことがわかった。2013年に創業(未訳記事)された同社は、2019年にFordと提携し、またDaimlerも同社に投資している(what3wordリリース)。

ドライバーが話たり、3つの単語を入力して車のGPSシステムに位置情報を入力するkとおには、正確に住所をしているするよりも楽で明確なメリットがある。what3wordsは一般的な郵便番号よりも位置を具体的な場所をピンポイントで特定することができ、またハイキングコースや特別の待避所、キャンパスの入り口など、住所がない目的地も指定できる。

what3wordsによると、同社の技術はMercedes-Benz、Tata Motors、DB Schenker、Hermes、Cabifyといった世界中の自動車企業やロジスティクスのプロバイダー、モビリティアプリなどが採用しているという。

最近では、この新しいアドレシングシステムはAirbnbに気に入られており、モンゴル遊牧民のゲルなといった通常の位置指定ができない宿泊先(未訳記事)の位置を簡単に共有できるようになった。

what3wordsのCEOで共同創業者のChris Sheldrick(クリス・シェルドリック)氏は、今回のパートナーシップについて 「自動車メーカーやモビリティサービスからの需要が、明らかに増加している。今回、Hereに組み込まれることになり、私たちのアドレスシステムは新しい車両でも古い車両でもシンプルかつ容易に利用できるようになった」と声明で語っている。

一方、Here Technologiesの上級副社長でプロダクト最高責任者のJørgen Behrens(ヨルゲン・ベーレンス)氏は、「自動車OEMやティア1サプライヤーは、自社で統合する必要がなく、 Here Search APIを介してwhat3wordsのサービスを顧客に提供できる。これによりドライバーは、標準的なアドレス方式を採用している混み合った都市環境でも容易に移動したり、地元のパブや登山道の入り口など、あらゆる場所へシームレスにたどり着けるようになる」と別の声明で述べている。

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タグ:ジオコーディングHere Technologieswhat3words

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa