潜在的な採用候補者を可視化するタレントプール「HERP Nurture」ベータ版公開

社員主導型のクラウド型採用管理システム「HERP Hire(旧サービス名 HERP ATS)」を運営するHERPは1月20日、社員の知り合いの潜在的な候補者をデータベース化・可視化するタレントプールサービス「HERP Nurture」のベータ版提供を開始した。

既存サービスのHERP Hireは、採用担当だけでなく、現場社員も含めた全社で採用活動に取り組みたい企業のための採用管理プラットフォームだ。複数の求人媒体と情報を自動連携して一括管理でき、Slackなどとの連携により現場メンバーとの迅速な情報共有を支援。社員が積極的に採用活動に参画できるように促す。2018年1月にベータ版、2019年3月に正式版がリリースされたHERP Hireは、2020年1月現在、導入企業数200社を超えた。

HERP代表取締役CEOの庄田一郎氏によれば、導入社数が増えていく中で、「選考課程に入った候補者を対象にした採用管理ツール(ATS)と、社員とつながりのある潜在的な候補人材(タレント)のリストやタレントプール管理ツールとが連携していない」という悩みを聞くようになったという。

「HERP Hireもそうだが、求人媒体やエージェントの情報と連携する採用管理ツールはある。しかし、社員の持つ人材情報は独立したチャネルとなっていて、連携していなかった。でも(社員主導型採用を進める)HERP Hireから見れば、社員からのチャネルも媒体やエージェントと同じく、大切なチャネルだ。連携を前提としたサービスがないなら、いずれ他社のタレントプール管理ツールと連携するとしても、まずは自分たちで作ろう、ということになった」(庄田氏)

今回リリースされたHERP Nurtureは、こうしてHERP Hire導入企業からのニーズに応えて、構想・開発された。HERP Nurtureでは、タレントをリストに登録して、職種や優先度ごとにタグ管理が可能。タレントの転職状況やアプローチの履歴をHERP Nurtureに投稿することで、彼らへのアプローチを可視化することができる。投稿内容はリアルタイムでSlackに通知されるので、最適なタイミングで、タレントへの最適なコミュニケーションを取ることが可能となっている。

1月中には、選考を開始したタレント情報をHERP Hireへシームレスに連携する機能も追加される予定。その他、イベント管理媒体との連携や、SNS連携によるタレント登録など、下記のような機能が搭載される。

HERP Nurture機能一覧(各機能の本格リリースのタイミングは未定)

今後、他社サービスとも順次連携していくというHERP Nurture。ベータ版リリース時点では、下記サービスとの連携が予定されている。

・ダイレクトリクルーティング採用プラットフォーム「Eight Career Design
・PR活動支援サービス「PR Table
・知人紹介プラットフォーム「Spready
・IT勉強会・セミナー等の情報検索サービス「TECH PLAY
・副業・転職のリファラル採用プラットフォーム「YOUTRUST

庄田氏は「社員のつながりによるタレントプールを活用しやすくすることで、社内の協力を得て、リファラルで採用成果が出るようになれば、社員主導型の採用、スクラム採用がカルチャーとして広がっていく。HERP NurtureとHERP Hireは、そのためのプラットフォームだ」とHERPのプロダクト開発スタンスについて語る。

「現状では、人事担当者は実際の面接スケジュールに乗っている人に対応するだけで精一杯。また現場社員は目の前に仕事に追われ、リファラル採用の候補者を紹介している時間が取れないのが実態だ。HERPのプロダクトで採用成果を上げてもらうことで、社員主導の採用に対するマインドを底上げしたい」(庄田氏)

また庄田氏は「採用マーケティングも、他のマーケティングと同様にマーケティングオートメーション(MA)が可能だと考えている」と話している。

「CRM・SFA・MAと同じように、タレント管理ができて、候補者の入社への意欲が可視化され、それぞれの候補者のフェーズにあったコンテンツが自動的に配信できるのが理想の姿。自動化というと、人事・採用とはそぐわないと感じる人もいるかもしれないが、効率よく、最適なタイミングでコミュニケーションを取れれば、採用担当も現場も本来やるべきことに集中できる。もちろん採用では、最後は人と人が面接して決定していくことになるのだが、自動化も取り入れることで、採用活動全体の効率化を価値として提供したい」(庄田氏)

社員主導型採用システムのHERPがシリーズAで総額4.6億円を調達

HERPのメンバー。写真右端が代表取締役CEOの庄田一郎氏

クラウド型採用管理システム「HERP ATS」を運営するHERPは8月19日、総額約4.6億円の資金調達を実施したことを明らかにした。第三者割当増資の引受先はDCM VenturesDNX Venturesと、メルカリCEOの小泉文明氏やエウレカ共同創業者の赤坂優氏、西川順氏ら複数の個人投資家。調達ラウンドはシリーズAに当たる。

HERPは2017年3月創業。TechCrunch Tokyo 2018スタートアップバトルにも出場した、HRテックのスタートアップだ。代表取締役CEOの庄田一郎氏は、リクルートで新卒エンジニア採用などを担当したあと、採用広報担当としてエウレカに入社。エウレカでは「Couples」の事業担当者も務めていた人物だ。2017年12月には、エウレカの共同創業者である赤坂優氏と西川順氏から、数千万円規模のシード資金調達を発表。今回の調達はこれに続くもので、累積資金調達額は約5.1億円となる。

HERPが提供するHERP ATSは、採用担当だけでなく、現場社員も含めた全社で採用活動に取り組みたい企業を支援する、採用管理プラットフォーム。複数の求人媒体と情報を自動連携して一括管理でき、Slackとの連携により、進捗などを現場メンバーとのスピーディな情報共有を実現。社員が積極的に採用活動に参画できるようサポートする。

2018年1月からベータ版として提供されてきたHERP ATSは、2019年3月に正式にリリースされ、約5カ月で累計導入企業は150社に到達。売上も前月比140%ペースで伸びているという。

HERPはまた、人材採用業界版のOpen APIとして「Open Recruiting API構想」を掲げてきており、これまでに「SmartHR」や「カオナビ」など、各種HRサービスとの連携を発表している。

今回の調達資金はHERP ATSへの事業投資と、それに伴う人材採用強化に充てるという。また、今後は全社型の採用プラットフォームとして、HRテック業界でシェア拡大を目指し、日本の採用のさらなる成長に貢献するべく、引き続きプロダクト開発・運営に取り組むとしている。

庄田氏はHERPが「自社で採用媒体や人材紹介などの人材情報を扱うサービスを運営していないという点で、HR業界において第三者としてのポジションにある」と述べ、「それを前提に、社員主導型の採用方式『スクラム採用』という独自の思想を持っていること」、「HR領域における深いドメイン知識を持つ強いプロダクトチームが育っていること」、そして「多くのユーザーに応援いただいていること」に強みがある、とコメントしている。

調達にあたって庄田氏は、「これらの強みをベースに、ユーザーに愛される真に価値あるサービスが、自然と広がっていくようなHR業界を作る、その当事者になっていきたい」と抱負を語る。HERPでは、2021年末までに累計導入社数1000社を目指すという。

採用管理システム「HERP ATS」正式リリース、社員参加型採用にも対応

近年、労働者人口の減少や通年採用などにより、人材採用の世界にも変化が訪れており、担当者は柔軟な採用への対応と効率化を求められている。そんな中で、アナログな採用活動に代わって採用業務をサポートするものとして導入が進んでいるのが「ATS(Applicant Tracking System)」=採用管理システムだ。

複数の求人媒体と自動連動する採用管理システム「HERP ATS」を2018年1月からベータ版として提供してきたHERPは3月18日、同プロダクトを正式にリリースしたと発表。正式リリースに伴い、採用担当者だけでなく、全社で採用に取り組みたい企業向けに機能を強化し、本格的にサービスをスタートした。

HERP ATSは、既存の求人媒体と情報を連携して応募を自動で登録し、一括管理できる採用プラットフォームとして、2018年1月にベータ版が公開された。IT系企業が利用する10以上の求人媒体からの応募情報を自動取得。採用担当者の事務作業を自動化し、より本質的な採用活動に取り組めるようにすることを目的としている。

今回の正式リリースでは、さらに媒体との連携だけでなく、エージェント推薦や社員紹介など、別の経路からの応募情報も集約し、採用候補者の情報を一元管理できるようにした。

また、候補者情報や面接内容は、採用の選考プロセスに関わるメンバーへSlack連携で自動で共有される。また採用成果は職種別にレポートすることも可能。選考の意思決定のスピードアップ、精度の向上や、採用担当者から現場メンバーへの、より本質的なフィードバックが期待できる。

さらに面接スケジュールを登録すると、面接官を務める社内メンバーへ通知が送られる。選考フローをスムーズに管理することができ、採用の進捗もリアルタイムで把握可能。選考プロセスが可視化されることで、採用に関わる現場メンバーが採用に参画しやすくなるという。

これらの拡張機能はいずれも、採用活動を採用担当者だけのものとするのではなく、リファラル採用など、日本の企業でも取り入れられるようになってきた、全社一丸となって社員採用に取り組もう、というトレンドに沿ったものだ。採用担当者に採用業務が集中することを回避し、「現場の社員が自社の採用に積極的に参加しやすい仕組みとなった」とHERPではコメントしている。

HERP ATSは現在、IT系を中心に、導入企業が50社を超えている。導入企業には「CASH」のBANKや「ホテル番付」の空、スキルマッチングのココナラなど、TechCrunchでもおなじみのスタートアップも多く、採用に手間をできるだけかけず効率的に、かつ社員主導型で取り組みたい、というニーズは高かったということだ。

HERPは2017年3月、リクルートとエウレカで採用に携わっていた代表取締役CEOの庄田一郎氏が設立。TechCrunch Tokyo 2018スタートアップバトルではファイナリストとして出場した同社は、人材採用業界版のOpen API、「Open Recruiting API構想」を掲げ、HR Tech各社とのAPI連携も進めている

人材採用のOpen API構想を掲げるHERPが「doda」と連携開始へ

(写真左から)パーソルキャリア 転職メディア事業部プロダクト開発統括部転職メディアBITA部プロダクトBITAグループマネジャー 松岡諭史氏、ビジネス開発部DODA Recruitersビジネス開発グループ 原田歩美氏、プロダクト企画統括部ビジネス開発部ゼネラルマネジャー 福島直人氏、HERP代表取締役CEO 庄⽥⼀郎氏

求人媒体連動型の採用管理システム「HERP ATS」を開発・運営するスタートアップ、HERP。TechCrunch Tokyo 2018スタートアップバトルのファイナリストでもある同社は、人材採用業界版のOpen API構想、「Open Recruiting API構想」を掲げている。

企業の採用業務に関連するあらゆる情報をオープン化する、というこの構想でHERPが目指すのは、エージェントや媒体に偏りがちな求職者の情報、企業の情報のオープン化による、採用業務の合理化だ。企業・候補者・採用媒体それぞれにとって、よりメリットある形に採用を進化させることを目的としている。

Open Recruiting API構想のもと、同社は2018年7月には第1弾として「Find Job!」「SCOUTER」とのAPI連携を発表。今年1月には、第2弾として「bosyu」「Findy」「YOUTRUST」とのAPI連携を発表していた。

そして今日2月26日には構想の第3弾として、パーソルキャリアの中途採用管理システム「doda Assist(デューダ アシスト)」が保有する応募者データとの連携を4月から開始することを明らかにした。

doda Assistはパーソルキャリアが運営する「doda」ブランドの転職サービス、「doda求⼈情報サービス」、「doda⼈材紹介サービス」、「doda Recruiters」を利用する企業が、中途採用業務全般を一元管理できるシステム。選考・応募者情報・⼈材紹介会社の管理機能や、メール連絡、doda Recruitersを使ったスカウト機能などで、採⽤業務の効率アップを支援している。

パーソルキャリアではHERPとの業務連携、Open Recruiting API構想への参加により、「dodaを利用する顧客の採用事務工数を削減し、より価値が高い採用業務に注力できるよう、取り組んでいく」としている。

HERPは2017年3月、リクルートとエウレカで採用に携わっていた代表取締役CEOの庄田一郎氏により設立された。実際に採用現場に携わった経験から庄田氏は、Open Recruiting API構想を表明。構想発表時の取材でも庄田氏は「採用、HRの業界構造を変えたい」「今後、採用にまつわる情報は複雑化する。これを見据えて、データオープン化への対応を準備していく」と語っていた。

HERPでは引き続き、企業の採⽤活動で合理的な意思決定をサポートするとともに、HR業界のより良い未来を実現すべく、プロダクト開発に取り組む、としている。

TechCrunch Tokyo 2018スタートアップバトル、グループD出場企業を発表

11月15日、16日に開催する「TechCrunch Tokyo 2018」内で行われるスタートアップバトル・グループDの出場企業を発表しよう。グループDに出場するのは、Eco-Pork、POL、すむたす、HERP、アートローグの5社だ。

Eco-Pork

人口増加と中間層拡大により「世界タンパク質危機」という言葉が叫ばれるようになった。それをイエバエのちからで解決しようとするムスカ(グループB出場)に対し、“養豚×最新テクノロジー”で問題解決を目指すのがEco-Porkだ。世界で最も消費されている食肉である豚肉んも生産性を高めることを目指す。具体的には、農家の経営改善を支援する養豚経営支援システム「Porker」などを提供している。

POL

POLは研究者版LinkedInとも言える「LabBase」山岳連携を加速する研究者DBの「LabBase R&D」などを提供するスタートアップ。東大工学部生の加茂倫明氏と元ガリバー専務取締役の吉田行宏氏により2016年9月に共同創業。2017年4月にはBEENEXTなどから5000万円を調達した。ICC KYOTO 2018内で行なわれたスタートアップコンテストでは準優勝を受賞している。

すむたす

すむたすはAIを用いた不動産査定サービス「すむたす買取」を提供するスタートアップ。オンライン査定で買取価格を即座に表示し、マンション売却後、最短2日間で入金可能なシステムを構築した。2018年10月には500 Startups Japanなどから5000万円を調達している。テクノロジーで「住まいに価値を足す」新しい形の不動産会社を目指す。

HERP

HERPは求人媒体と連動した採用管理システムの「HERP ATS」などを提供するスタートアップ。企業と候補者を中心に添えた新しい採用のかたち「採用2.0」を実現することがミッションだという。HERPの庄田一郎氏はリクルートとエウレカで実際に採用現場に携わった人物。2017年12月にはエウレカ創業者の赤坂優氏などから数千万円規模の資金調達も行った。

アートローグ

アートローグは、芸術領域のメディア「ARTLOGUE」やeコマース事業、シンクタンク事業などを展開するスタートアップ。「文化芸術を守るためにも、活かし、誰もが、いつでも、どこからでもアートを楽しめる世界へ」をビジョンにしている。2018年6月にはマネックスグループCEOの松本大氏やマリ美術館館長の南條史生氏らエンジェル投資家から資金調達を行っている。

TechCrunch Tokyo 2018の開催までいよいよあと6日となった。イベントページには当日のフルプログラムも公開されているので、ご確認いただきたい。チケットをまだ購入していない皆さんは以下のページから購入可能なので、検討いただきたい。

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人材採用のOpen API構想を掲げるHERPが「Find Job!」「SCOUTER」とAPI連携開始へ

AI採用プラットフォーム「HERP」は、複数の求人媒体からの応募を自動で登録・通知し、まとめて管理できる採用管理システム「HERP ATS」を軸とした、採用担当者向けのSaaSだ。

サービスを開発するHERPは人材採用業界版のOpen API構想、「Open Recruiting API構想」を掲げる。企業の採用業務に関連するあらゆる情報をオープン化する、というこの構想については以前の記事でも詳しく紹介したが、HERPが目指すのは、エージェントや媒体に偏りがちな求職者の情報、企業の情報のオープン化による、採用業務の合理化だ。

7月23日、同社は構想の第1弾として、ミクシィ・リクルートメントが提供するIT・Web業界の転職・求人サイト「Find Job!」とSCOUTERが提供するソーシャルヘッドハンティングサービス「SCOUTER」とのAPI連携を開始すると発表した。Find Job!やSCOUTERを利用する企業向けにデータをオープン化し、まずは応募者情報の自動連携をHERP ATS上で8月からスタートする予定だ。

HERP代表取締役CEOの庄田一郎氏は、今回の連携について「両社とも(顧客である)採用担当者の利便性向上に対して思いを持っている点が、大きなポイント」と述べ、「HERPとの連携を通じて、媒体自体の利便性も向上すると考えてもらっている」と話す。

庄田氏は「今後さらに他社との連携も考えている」として「網羅性をできる限り担保していきたい」と構想実現に向けての意欲を強調した。

人材採用のOpen API構想を掲げるHERPにスタートアップの経営者ら8名がパートナーとして参画

HERP」は複数の求人媒体と自動連動する採用管理システムを軸とした、AIリクルーティングプラットフォームだ。2017年12月に発表された同サービスは、既存の求人媒体と情報を連携して応募を自動で登録し、一括管理できる仕組み。採用担当が行う事務作業の多くを自動化し、戦略的な採用活動に注力できるよう支援することを目的に開発されている。

同サービスを開発するHERPは3月12日、スタートアップの経営や採用戦略に携わる8名がパートナーとして加わり、経営に参画すると発表した。HERP PARTNERとして迎えられたのは、以下の8名。このうちエウレカ共同創業者の赤坂氏と西川氏は、HERPに合計数千万円規模の出資を行っている。

  • 赤坂優氏(エウレカ 共同創業者/エンジェル投資家)
  • 石黒卓弥氏(メルカリ 採用担当)
  • 小澤政生氏(サイバーエージェント採用担当)
  • 河合総一郎氏(ReBoost 代表取締役社長)
  • 桑田友紀氏(サイバーエージェント 採用担当)
  • 小泉文明氏(メルカリ 取締役社長兼COO)
  • 高野秀俊氏(キープレイヤーズ 代表)
  • 西川順氏(エウレカ共同創業者/エンジェル投資家)

HERPは2017年3月創業。代表取締役CEOの庄田一郎氏は、リクルートで新卒エンジニア採用などを担当したあと、採用広報担当としてエウレカに入社。エウレカでは「Couples」の事業担当者も務めていた。

庄田氏は「採用、HRの業界構造は60年ぐらい変わっていない。企業は工数をかけてエージェントや媒体に情報を提供し、採用が決まったらお金を払う。これでは情報は、エージェントや媒体に偏る。また求職者にとっても、企業選びはエージェントの持ってくる情報に限定された状況だ」と言う。

この状況を変えたい、と考えられたのが同社の掲げる「Open Recruiting API構想」だ。これは利用企業が持つ求人データ、応募する候補者データを、API経由で採用媒体やエージェントと適切にやり取りする、というもの。「金融業界ではマネーフォワードが『Open Bank API』を提唱してきた。その後、銀行が更新系APIの提供を始めたが、これは時代の流れ。採用業界でも同じことをやりたい」と庄田氏は語る。

「今後、採用にまつわる情報は複雑化していく。働き方改革で副業が広がり、新卒採用、終身雇用といった制度もなくなっていくだろう。また外国人の雇用も増えていくはずだ。そうなると、人事にかかるコストは膨らんでいく。これを見据えて、データのオープン化への対応を準備していく」(庄田氏)

庄田氏は「これまで変化のなかった採用業界で、既存の媒体がこれを推進するのは難しいだろう。だから僕らが進めたい」と話す。「デジタル業界、ウェブ系企業では、データのオープン化にも理解があるところが多い。今回は、スタートアップ、ベンチャー企業のHRの権威や経営者の方に、この思想に共感し、参画してもらった。今後も、Open Recruiting API構想に協力するパートナーは増やしていきたい」(庄田氏)

庄田氏はまた「直近では採用事務を自動化することを目指す。そのためには、まだまだツールが必要」として、その開発を進めていきたい、と話している。「採用担当者は、媒体の管理画面から手入力で候補者の情報をExcelに入力することも多い。それでは正確な候補者データを担保できない。まずは、正確なデータを企業が入手できるようにしたい」(庄田氏)

手入力やコピーペーストの登録による弊害はほかにもある。応募してきた候補者リストが、企業にデータとして集約されないケースだ。「人事担当者が媒体の管理画面上で確認し、その場で不採用メールを送る、ということはよくある。この場合Excelに転記されないので、面接フローに乗った人だけしか、管理できない。粒度のそろったデータにならないので、採用分析にも支障がある」(庄田氏)

また、パフォーマンスや早期離職の分析など、入社後にも採用時のデータは活用できる。「入口でデータを持っていなければ、そういった活用にはつながらない。HERPは媒体と自動連携することで、企業が手間をかけずにデータを入手できる機能を提供する」と庄田氏は説明する。

さらに将来的には、より深い分析も可能になるだろう、と庄田氏は述べている。「応募者側で言えば、レジュメと自分の情報を登録すれば、希望する企業の合格率が分かる、といったことも考えられる。企業側も、例えば1000万円をかけて財務担当を採用したい、となったときに、媒体ごとにいくらかければよいのか、AIを使って費用を最適化することもできるだろう」(庄田氏)

庄田氏は「広告で人材を獲得するときの効果測定は、マーケティングと一緒」と話す。「1人あたりいくらかかったのか、その後の効果はどうなのか。データがなければ分析、確認はできない」(庄田氏)

昨年12月にサービスの発表と同時に公開されたHERPのティザーサイトでは、ベータ版ユーザーの登録を募集している。庄田氏によると、これまでの3カ月で約400社の登録があったそうだ。「プロモーションを行わずにこの数字だったので、手応えはある」と庄田氏は言う。「ウェブサービスなどの企業のほか、大企業からの登録もあった。意外だったのは、弁護士事務所などの士業からの申し込みも結構あったことだ」(庄田氏)

HERPは現在、クローズドベータの形で数社に公開され、試用が始まっているとのこと。登録企業全体に公開されるのは、今春の予定だ。

エウレカ出身者が採用管理システム「HERP」を発表、エウレカ共同創業者の赤坂氏と西川氏も出資

エウレカ出身者が創業したHR系スタートアップのHERPは12月19日、自動連携型の採用管理システム「HERP」を発表し、同サービスのティザーサイトを公開した。

また、HERPはエウレカの共同創業者である赤坂優氏と西川順氏の2人から資金調達を行ったことも明らかになっている。調達金額は非公開だが、数千万円規模の調達とみられる。同社はHERPのベータ版を2018年1月中旬より提供開始する予定だ。

HERPは、複数の既存求人媒体と自動連動するAIリクルーティングプラットフォームだ。採用担当が行う各種作業をシステムを自動化することで、採用担当は戦略的な採用活動そのものに注力できるようになる。

HERPには3つの構成要素がある。自動応募管理の「HERP ATS」、チャットアプリケーションの「HERP CHAT」、求人票一括管理の「HERP JOBS」だ(CHATとJOBSは現在開発中)。

HERP ATSは、複数の求人媒体に送られた応募をHERP上に自動登録し、一括で管理できる機能だ。新着情報がくるとSlackに通知が送られ、そこから候補者とのチャット画面に遷移できるようになっている。

各求人媒体に応募した候補者とHERP上でコミュニケーションを取るための機能がCHATだ。タブで複数の求人媒体を開いてコミュニケーションを取る必要がなくなる。また、各媒体に提出した求人の中身を変更する場合でも、HERP JOBSを利用することで一括更新を行うことができる。

現状、求人媒体との連携はHERPが採用担当者のログイン情報を保持するというかたちで連携が行なわれているが、同社は今後、それらの媒体との正式連携を進めていく方針だという。また、「SmartHR」など他のHR系システムとの連携もすすめる。Smart HRとの連携では、入社予定の候補者データをSmartHRへ簡単に移行できるような仕組みを整える。

HERP創業者の庄田一郎氏は、リクルートで新卒エンジニア採用などを担当したあと、採用広報担当としてエウレカに入社。そのうちの半年間は「Couples」の事業担当者も務めている。これらの経験を重ねるなかで採用現場の不合理さを目の当たりにしたことが、後にHERPを創業するきっかけになったそうだ。

「エウレカ創業者の赤坂さん、西川さんには毎月食事に行くレベルでお世話になり、経営者としての学び、Web業界への学び、人としての学び、たくさんの学びを得た。最後に背中を押してくれたのも彼らでした。そういった背景もあり、早期に株主として入って頂いています」(庄田氏)

HERPは現在、ティザーサイトにてベータ版のユーザー登録を受付中だ。