D-WaveとNECがハイパフォーマンスコンピュータと量子システムのハイブリッドアプリを開発

D-Wave Systemsは米国時間12月10日、NECとのパートナーシップを発表した。NECのハイパフォーマンスコンピューター(HPC)とD-Waveの量子システムを組み合わせて「ハイブリッドアプリケーションとサービス」の開発を目的としている。

また、両社はNECがD-Waveへ1000万ドル(約10億900万円)を投資することも発表した。Crunchbaseのデータによると、D-Waveがこれまで獲得した資金調達総額は2億400万ドル(約222億)だ。

今週、1月1日付けで同社のCEOに就任すると発表されたD-Waveのプロダクト最高責任者でR&D担当執行副社長Alan Baratz(アラン・バラツ)氏によると、同社はすでに日本で多くのビジネスを行っており、今回の大きな契約によってその技術をさらに広めることができるという。声明中で彼は、「世界的にもパイオニアであるNECとのコラボレーションは、商用の量子アプリケーション研究における大きな節目だ」と述べている。

同社によると今回の契約は、量子ベンダーとNECほどの人員/業域規模の多国籍IT企業との協働、その最初期における例の1つだという。両社が最初に取り組むのは、NECのスーパーコンピューターやそのほかの伝統的システムと、D-Waveの量子技術を組み合わせたハイブリッドサービスの共同開発だ。古典的システムと量子システムを組み合わせることで、古典的システムだけだった場合よりも低いコストで高いパフォーマンスが得られるのではないかと期待されている。

また、両社はNECの顧客と共同で、このハイブリッド方式を活かせるアプリケーションを作る。さらにNECは、D-Waveが提供するクラウドサービスの公認再販業者になる。

1999年に世界で初めて量子ビットデバイスのデモをしたと主張するNECにとって、今回のパートナーシップは、商用の量子コンピューティングを前進させるための道を見つける努力のひとつだ。NEC Corporationの執行副社長でCTOの西原基夫氏は、「現在の最も複雑な問題の解決に取り組んでいるあらゆる業界の未来で、量子コンピューティングの開発は重要である。ハイブリッドアプリケーションと、量子システムへのアクセス増大により、真に商用利用できる量子ソリューションの実現が可能になるだろう」と述べている。

この度のパートナーシップ契約は、両社をそんな目標に向けて前進させるものになるだろう。

関連記事: D-Wave sticks with its approach to quantum computing(D-Waveは量子コンピューティングのアプローチを固持、未訳)

画像クレジット: D-Wave Systems

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Nvidiaで生まれた怪獣HGX-2はHPCやAIのサーバーを単一アーキテクチャでまかなう

Nvidiaが昨日(米国時間5/29)発表したモンスターHGX-2は、ギークの夢の実現だ。それはクラウドサーバー専用機と称され、しかもハイパフォーマンスコンピューティングと人工知能の要件をひとつの強力なパッケージで満足させている。

まず、誰もが気になる仕様から。プロセッサーは16x NVIDIA Tesla V100 GPUsで、処理能力は低精度のAIで2ペタFLOPS、中精度なら250テラFLOPS、最高の精度では125テラFLOPSだ。標準メモリは1/2テラバイトで、12のNvidia NVSwitchesにより300GB/secのGPU間通信をサポートする。これらにより、総合性能は昨年リリースされたHGX-1のほぼ倍になる。

図提供: Nvidia

NvidiaのTeslaデータセンタープロダクトを担当するマーケティングマネージャーParesh Kharyaによると、これだけの通信スピードがあれば、複数のGPUを一つの巨大なGPUのように扱うことができる。“それによって得られるのは、膨大な処理能力だけでなく、1/2テラバイトのGPUメモリを単一のメモリブロックのようにアクセスできる能力だ”、と彼は説明する。

図提供: Nvidia

残念ながらこのボックスをエンドユーザーが直接買うことはできない。売り先はもっぱら、ハイパースケールなデータセンターやクラウド環境をエンドユーザーに提供する、インフラのプロバイダー、いわゆるリセラーたちだ。これによりリセラーは、ワンボックスでさまざまなレンジ(幅)の精度を実現/提供できる。

Kharyaはこう説明する: “プラットホームが統一されるので、企業やクラウドプロバイダーなどがインフラを構築するとき単一のアーキテクチャだけを相手にすればよく、しかもその単機がハイパフォーマンスワークロードの全レンジをサポートする。AIやハイパフォーマンスなシミュレーションなどで、各ワークロードが必要とするさまざまなレンジを単一のプラットホームで提供できる”。

彼によると、このことがとくに重要なのが大規模なデータセンターだ。“ハイパースケールな企業やクラウドプロバイダーでは、スケールメリットを確実に提供できることがきわめて重要だ。そのためにも、アーキテクチャがバラバラでないことが有利であり、アーキテクチャが統一されていればオペレーションの効率も最大化できる。HGXを使えば、そのような単一の統一的プラットホームへ標準化することが可能だ”、と彼は述べる。

そしてデベロッパーは、そういう低レベルの技術を有効利用するプログラムを書くことができ、必要とする高い精度を一つのボックスから得ることができる。

HGX-2が動くサーバーは、今年後半にLenovo, QCT, Supermicro, Wiwynnなどのリセラーパートナーから提供されるだろう。

画像クレジット: Nvidia

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AWSがイタリアのNICEを買収してハイパフォーマンスコンピューティング部門を強化

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AWSは、これまで続けてきたハイパフォーマンスコンピューティング部門を強化していく過程の一環として、今日(米国時間2/12)は、イタリアのソフトウェアおよびサービス企業NICEを買収した。買収の価額等は、公表されていない。

NICEには、AWSが欲しがるような一連のツールと技術がある。またその顧客展開も国際的だ。したがってAWSとしては、ハイエンドなコンピューティングサービスを求める顧客の集合を獲得できるメリットもある。

買収を発表するブログ記事でAWSのJeff Barrがこう書いている: “これらのプロダクトにより顧客は、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)と視覚化のワークロードを最適化および中央集権化でき、また、モバイルデバイスを利用する分散ワークフォースに合った絶好のツールを利用できる”。

NICEが保有する技術の中でも、とくにDesktop Cloud Visualization(DCV)と呼ばれる便利なツールは、2Dや3Dのアプリケーションへのリモートアクセスを提供し、エンジニアやゲームデザイナーなどが自分のデザインとハイエンドのハードウェアにアクセスして、それらをクラウドから提供できるようにしていく。その際、重要なのはあくまでもクラウドからの提供物なので、自分が使っているデスクトップやラップトップの性能は問われない。

またNICE EnginFrameと呼ばれる技術は、AWSにとってとくに魅力的かもしれない。顧客はこれを標準のブラウザーから使って、HPCのクラスタのようなハイエンドコンピューティング環境やデータ、ライセンス、バッチ、対話的アプリケーションなど、クラウド上のリソースを利用できる。

Constellation ResearchのファウンダーR Ray Wangは、今回AWSは良い買い物をした、と見ている。

Wangは曰く、“NICEの買収はAmazonに相当量の知財を与える。また、良質なクライアントとヨーロッパや中近東、アフリカ(EMEA地区)における良質なプレゼンスも与える。これらの知財はパフォーマンスの向上を助け、一部の新しい機能はAmazonの全体的なプラットホームに便益を与える”。

彼によると、ここで言う知財にはパフォーマンス向上のためのアルゴリズムも含まれる。

なおAWSはヨーロッパではすでにかなり前から、大きなプレゼンスを有しており、NICEのあるイタリアも含め、EU各国に事業所(オフィス)を展開している。

しかしこの買収はAmazonに、より強力なコンピューティング能力を求めるクライアント集合へのアクセスを与える。昨年Amazonは、ハイパフォーマンスコンピューティングの環境をクラウドに求める企業のために、C4インスタンスをローンチしたばかりだ。そのとき本誌のFrederic Lardinoisはこう書いている:

Amazonによると、この新しいインスタンスはCPUの性能がきわめて重視されるアプリケーション向けに設計されている。それらはたとえば、“トラフィックの多いフロントエンド集合、MMOゲーム、メディア処理、コード変換、HPC(High-Performance Computing)アプリケーションなど”、だ。

当面AWSは、NICEのブランドと顧客とチームの現状を維持し、今後徐々にAWSの機能を高めるためのソリューションを実装していく予定だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa