ロボットのHitchBOTが単独でカナダ横断ヒッチハイクの旅に成功…ロボットにとって人間は安全か?

カナダの複数の大学やスタートアップとMicrosoft Azureが共同スポンサーとなったHitchBOTロボットが、カナダ横断の旅に成功した。彼は東海岸のHalifaxを出発し、太平洋に面したブリティッシュコロンビア州Victoriaに到着した。

このプロジェクトは、初期的な洗練されてないスタイルのロボットが、見知らぬ人びとの、拾って運んでやろうという意思にだけ依存して、目的地まで旅をする過程を目撃した。その旅程は1か月足らずで、大きな障害は何もなかった。わずかに、彼のLED製の‘顔’を保護するプロテクターにひびが入り、また最初の雄弁さに比べると、スピーチがややたどたどしくなっていた。

HitchBOTは旅を開始してからわずか2分後に早くも拾われ、その後の親切な車も簡単に見つかったようだ。ロボットのデザインはきわめて原始的だが、運転者との会話はできた。ただしときどき、車のシガレットライターポートやふつうのコンセントからの電力供給を必要とした。そのスピーチエンジンもきわめて単純で、たくさん質問をされると過負荷になりシャットダウンしてリブートした。リブートには、数分、ときには2時間を要することもあった。

HitchBOTの複雑さ、ないし複雑性の欠如はこのアート/科学/研究プロジェクトの主眼ではない。プロジェクトの制作者の一人であるFrauke Zellerによると、ロボットの早くて安全だったカナダ横断旅行は、ロボットが見知らぬ人の親切をあてにできることを示している。彼はToronto Starのインタビューで、そう述べている。

人間がロボットを信頼できるか、という話題が多い中で、このプロジェクトはその逆を行っている。映画「ターミネーター」に登場するSkynetのような、ロボットに支配される社会の恐怖はよく語られるが、逆に人間たちが、ヒッチハイクを頼んできたロボットをぶち壊す、というストーリーはどうか? むしろ、そっちの方がありえるのではないか? このプロジェクトは、その可能性の有無をテストしたのだ。

HitchBOTの旅は無事だったが、でもカナダの国民性は世界でもいちばん親切で温和だと言われている。次回はHitchBOTに合衆国横断、あるいはせめて、イギリスのスラム街を旅させてみたい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))