プログラミング教育のHolbertonが波乱の年を経て「教育のOS」になるべくEdTCH SaaSに転身、約22億円調達

サンフランシスコでスタートしたHolbertonはパートナーと協力して米国、ヨーロッパ、中南米、ヨーロッパでコンピュータのコーディング教育を提供している。同社は米国時間3月28日、Redpoint evnturesがリードしたシリーズBラウンドで2000万ドル(約22億円)の資金調達を調達したと発表した。現在の投資家であるDaphniImaginable FuturesPearson VenturesReach CapitalTrinity Venturesも参加しており、Holbertonの資金調達総額は3300万ドル(約36億1000万円)となった。

Holbertonの発表は2020年が同社にとって相当な苦難の年だったことが影響している。原因はパンデミックによって対面式のスクールの運営ができなくなったことだけではない。

Holbertonの当初のシステムは個人情報を隠したプロセスによって選別された学生に、大学レベルの充実したソフトウェア開発教育を当初の支払いなしで提供するというものだった。Holbertonは「所得シェアリング」を採用しており、学生はコース終了後数年間の給与のうちから最高8万5000ドル(約930万円)を後払いの授業料として支払うことになっていた

しかし2020年初めにカリフォルニア州私立高等教育局(BPPE)は、Holbertonが認可されていない新しいプログラムを提供し始めたとして直ちに運営停止を命じた。問題のプログラムは9カ月間のトレーニングプログラムで6カ月間の雇用をともなった。この場合、学生は当初認可されたプログラムの授業料8万5000ドルを全額支払う必要があった。BPPEはヒアリングの結果、Holbertonがこれ以外のプログラムの運営を継続することを認めるた。しかし多くの学生が当初約束されたような教育を受けられなかったとして同校を訴えた

しかしこの波乱の時期にもHolbertonは成長を続けて、メキシコやペルーにキャンパスを開設していた。2020年にはキャンパスの数が9校から18校に倍増した。

しかし2020年12月17日にHolbertonはカリフォルニア州で受けていた学校教育の運営許可を自主的に返上した。その前日、Holbertonは、パンデミックのために2020年3月から閉鎖していたサンフランシスコのキャンパスを再開しないことを発表している。Holbertonの共同ファウンダーであるSylvain Kalache (シルヴァン・カラシュ)氏は「我々が描くミッションを達成するためには、市場の独自のニーズを深く理解しているすばらしい現地のパートナーと協力することが最も適している」と述べ、自社でキャンパスを運営することはしないとした。

現在、Holbertonは自らを「フランチャイズキャンパスや教育ツールを提供する教育のOS」と考えている。

2021年1月には、カリフォルニア州の司法長官は同校に不正行為があるという主張を取り下げた。カラシュ氏は同社として訴訟について始めて公にした文書で「カリフォルニア州はHolbertonが規制上の問題に直面した唯一のマーケットだった。この問題が解決したことで、我々は世界中のソフトウェアエンジニア志望者に手頃な料金でアクセスできる教育を提供するという本来の使命に立ち返ることができる」と書いてる。

新たな投資ラウンドの成功をみれば、投資家も同感だったに違いない。Redpoint eventuresのマネージングパートナーであるManoel Lemos(マノエル・レモス)氏はこう述べている。

Holbertonは世界レベルのカリキュラムを提供しながら高いコストやアクセスの困難といった高等教育のハードルを取り払うことに成功しています。Holbertonは「教育のOSをサービスとして提供する」というコンセプトのもとにユーザーがキャリヤで成功を収めるするために必要なすべてのツールを提供しています。投資家には地域経済の発展を目指す非営利投資家、新型コロナ後の学習環境における教え方のギャップを埋めたい教育機関に加えて、自らが教育機関となりまたは社員の研修育成プログラムとして高度なトレーニングを提供したい企業などさまざまです。

HolbertonのファウンダーであるCEOのJulien Barbier(ジュリアン・バルビエ)氏は私のインタビューに「スタートして以来、初めて我々は大学との協力を始めています。従来の手法に加えてさらに優れた学習体験と実践的な教育を提供し始めました。教育機関も学生、教員も教育方法の開発、修正に多大な時間を費やすことなく教育に専念できるので満足しています」と述べた。

バルビエ氏は、2019年に500人だった生徒が2021年は5000人に増え、米国、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、アフリカに新しいキャンパスができてネットワークが拡大すものと期待している。また各種の教育プロジェクトを自動で評価する「教育のOS」ツールや、オンライン教育プログラムにをすでに採用している顧客がいる点も指摘した。今週、タルサ市のHolbertyonは同市の物理的なキャンパスを2倍以上に増やす計画を発表したばかりだ。バルビエ氏は次のように述べた。

新たな資金調達は「教育のOS」を作るというビジョンを支え、加速させるのに役立っています。多くの教育機関が生徒やスタッフを支援するためのより良いツールを必要としています。今こそ私たちの助けが役立つときだと考えています。繰り返しますが、新型コロナはデジタル化による社会の変容を加速させており、埋めねばならないギャップが多数あります。今、我々は企業や大学、非営利団体に私たちのツールやコンテンツを提供して使用料を得るSaaS企業となっています。これによりユーザーは教育の質を向上させ、優れた学習体験を得られる大規模な教育/トレーニングプログラムを運営することができるのです。

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カテゴリー:EdTech
タグ:Holberton資金調達プログラミング

画像クレジット:Holberton

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:滑川海彦@Facebook