契約マネジメントシステムのホームズクラウドがアイデンティティ管理のOktaと連携、シングルサインオン設定が数クリックで

Holmesは6月30日、Okta Japanが手がけるアイデンティティ管理・認証基盤プラットフォーム「Okta Identity Cloud」のアプリテンプレート群「Okta Integration Network」(OIN)において、契約マネジメントシステム「ホームズクラウド」が登録され、Okta Identity Cloudと連携したと発表した。

ホームズクラウド導入企業のIT管理者は、Okta Identity Cloudを利用することで、ホームズクラウドとのSAML認証方式を利用したシングルサインオン(SSO)の設定作業を数クリックで実施できるようになった。アプリをSSOに追加する作業時間のスピードと効率性の向上に加えて、利用者への迅速なアプリ展開と安全なアクセスの提供が可能となる。

ホームズクラウドは、契約書作成・レビュー・承認・締結・更新・管理といった契約にまつわる業務を集約し、契約業務の効率化を実現できるクラウド型の契約マネジメントシステム。また、Okta Identity Cloudは、クラウドあるいはオンプレミスを問わず、すべての人のアイデンティティとアクセスを安全に管理することを目指している。

Holmesは今回の連携に関して、今後も継続的にセキュリティ対策を実施し、法務領域のDXを推進すると述べている。

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リーガルテックのHolmesとクラウドサインが提携、シームレスな契約締結が可能になる
企業全体で契約ノウハウを蓄積・共有・活用する「Holmes Knowledge Cloud」がリリース
事業は全てが契約、契約をプロジェクト単位で管理し最適化する「Holmes Project Cloud」

カテゴリー:セキュリティ
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リーガルテックのHolmesとクラウドサインが提携、シームレスな契約締結が可能になる

契約マネジメントサービス「ホームズクラウド」を提供するHolmesと電子契約サービス「クラウドサイン」を提供する弁護士ドットコムは、2月3日に業務提携を発表。ホームズクラウドの電子契約機能としてクラウドサインをデフォルトで搭載し、2020年秋ごろから提供することを明らかにした。

写真左からHolmes代表取締役CEO 笹原健太氏、弁護士ドットコム取締役 クラウドサイン事業部長 橘大地氏

Holmesが提供するホームズクラウドは、契約書の作成・承認・締結・管理まで一連の業務を支援するSaaSだ。単体の契約プロセス管理のほか、プロジェクト単位で複数の契約を管理できる「プロジェクトクラウド」、法務部門・事業部門間など企業全体で契約業務に関するノウハウを共有できる「ナレッジクラウド」も展開している。

もう一方のクラウドサインは、電子契約の分野ではパイオニア的な存在で、2015年10月のリリース以来の導入社数は6万社を超える。電子署名・タイムスタンプによる電子契約の署名・締結機能に強みを持ちつつ、書類作成・送信や契約書の保管・検索、テンプレート作成・管理、チーム管理といった、電子契約業務に関わる一連のサービスをクラウドで提供。上位プランではアカウント管理や承認などの機能も搭載されている。

今回の提携により、ホームズクラウドで契約書を作成し、承認、締結まで工程が進むと、クラウドサインの電子契約機能がシームレスに使えるようになる。クラウドサインのAPIをホームズクラウドから呼び出すことで、ホームズクラウドから遷移することなく、契約締結を完了させることが可能になる。

既にホームズクラウドを利用しているユーザーは、これまでと同じ料金でクラウドサインの電子契約機能を利用できる。クラウドサインの実装後にホームズクラウドを使い始める場合は、ホームズクラウドの既存の電子契約機能の利用料金に代えて、契約送信費用として1件あたり200円がかかる。

UX向上で顧客の契約体験をより良くしたい

契約書の電子化という領域では一見、競合部分もありそうな両社。提携について、Holmes代表取締役CEOの笹原健太氏は「契約という行為は幅広く、その中でもサイニング(署名・押印)の領域で、クラウドサインは磨き込まれていて鋭い刀のようなプロダクト。電子契約書や電子契約におけるユーザーの便益やユーザー体験を考えたときに、サイニングについての体験、世界観については、磨き上げた刀を使っていただく方が、ユーザーのためにシンプルに良いと思った」と述べ、「こちらからクラウドサインへ(提携の)声をかけた」と明かす。

「既存の自社サービスの中にも電子契約締結の仕組みはあるが、セキュリティ強化やさらなるUIの磨き込みなど、ユーザーニーズに合わせてアップデートし続けなければならない。今後、電子契約・電子署名の部分の磨き込みについてはクラウドサインの力を借りることで、ほかの部分のユーザー体験向上に集中し、開発リソースを有効に使おうと考えている」(笹原氏)

弁護士ドットコム取締役でクラウドサイン事業部長の橘大地氏も「クラウドサインだけでも4年間、エンジニアがガリガリと開発・アップデートを続けているが、まだまだやるべきことが山ほどある」と述べている。

「電子契約という意味では一部競合する部分があるが、今回、クラウドサインに契約締結の部分を委ねていただくことで、契約全体のプロセスをデジタル化して、顧客の契約体験をもっと良くしていきたい。うまく棲み分けができ、ありがたい提携だと思っている」(橘氏)

「Holmesは契約マネジメント全体の工程に取り組んでいて、以前からすごいと思っていた」という橘氏は「契約の工程のうち、後半部分に当たる契約締結の部分についてはクラウドサインが磨き込んでいくことで、より利便性のある顧客体験をしていただけるのではないかという点で(Holmesと)考えが合致。一緒に伸ばしていきましょうということになった」とも話している。

クラウドサインでは、締結済みの契約書がクラウド上に蓄積していくことから「既存の紙の契約書を取り込むことも含め、締結の事後に契約したものをどのように管理し、検索するかといった、契約管理の部分については昨年あたりから重要視し、磨き込み続けている」と橘氏。「締結前の一連のプロセスについてはHolmes、事後的な管理はクラウドサインといったように、さまざまな使い方をユーザーが選択していくようになるのだと思う」と述べる。

笹原氏も「契約の世界は広く、業務も多種多様。さらに契約書の作成・承認・締結・管理といった契約行為の前業務として営業や交渉があり、契約行為の後にも、代金の請求やサービスの納品、登記などの手続きのほか、さまざまな庶務・雑務なども生まれる」として、「契約行為を中心にした前後の業務は、会社ごとに多様なフローやオペレーションがあって、1プロダクトで全て賄えるようなものではない」という。

「1企業の中だけでも、人事系やお金を払う方のフロー、お金をもらう方のフローなどさまざまなフローに対して、1プロダクトで解決するというよりは、さまざまなプロダクトを組み合わせて解決していくものだ。契約に関するサービスは、競合や分野重複と見られがちだが、案外、企業・部署・プロジェクトごとにニーズがあるので、競合というイメージは自分にはあまりない。実現したい課題に合うようなプロダクトが、それぞれの契約で選ばれていくことが多いのではないか」(笹原氏)

今回の提携はエクスクルーシブなものではなく、契約上は他社との提携もあり得るのだが、「この領域ではHolmesとクラウドサインで一緒に伸ばしていこう、というのが基本方針」と橘氏。あえて独占契約にはしていないが、実質一番よい組み合わせだと両者とも考えているということだった。

企業全体で契約ノウハウを蓄積・共有・活用する「Holmes Knowledge Cloud」がリリース

企業の契約に関わる業務全般を最適化する契約マネジメントシステムを提供するHolmesは9月25日、企業内において発生する法務部と事業部との間の「契約業務の相談や回答」などのノウハウを蓄積した上で共有、活用ができるナレッジマネジメントシステムの「Holmes Knowledge Cloud」を提供開始すると発表した。

Holmesは6月に新ソリューションの「Holmes Project Cloud」の提供を開始したばかりだ。Project Cloudは、ビジネスに必要となる数ある契約をプロジェクト単位で設計し、最適化するための契約マネジメントシステム。Holmes代表取締役の笹原健太氏はHolmes Project Cloudのリリースを「新たなHolmesへのパラダイムシフト」と表していた。今回のKnowledge Cloudのリリースもそのパラダイムシフトの一環と言えるだろう。同社は他にも契約書の作成、承認、締結、管理をクラウド上で効率的に行うシステムの「Holmes Contract Cloud」も提供している。

笹原氏は「企業内において、事業部からすると法務部に法律的な相談が非常にしにくい状態にある。事業部と法務部の間には垣根がある。事業部は気軽に相談できる雰囲気ではないと感じ、法務部は『何故それを早く言はないのか』と感じることもある」と述べ、Knowledge Cloudで解決を目指す課題を説明した。Holmesのミッションは「世の中の紛争裁判をなくす」こと。契約が最適であれば紛争裁判はなくなる、そして、社内でより早く相談ができる環境を作ればその実現に近づく、と笹原氏は言う。

Knowledge Cloudでは、特定ユーザー間の相談ルームを設け、チャット形式のコミュニケーションを進めることで特定の課題に対するナレッジを作成していく。相談内容が解決されたか否かのステータス更新は相談者側で判断できるため、事業部は回答に納得するまで法務部とやりとりを続けることができる。

前述のように、Knowledge Cloudは「相談の窓口」としての役割を果たすほか、相談によって生まれたナレッジを蓄積し、共有、活用するためのプラットフォームでもある。例えば電話やメールで法務相談を行なった場合、回答者と相談者の間でのみ情報が共有され、属人化が発生してしまう。そのため、ナレッジをプラットフォーム上に蓄積する必要があった。Knowledge Cloudでは特定のナレッジに関する過去のドラフトから、公開時点の最新バージョンまでをまとめて管理することができ、バージョン単位の再編集や再公開も可能だ。これにより、法務部はナレッジの編集履歴を時系列で把握することができ、引継などの際、後任者に簡単に情報を共有できる。

そして笹原氏は「ただナレッジが蓄積されるだけでは意味がない」と指摘。Knowledge CloudはContract Cloudと連携させて利用することを前提に設計されている。Knowledge Cloudでは、Contract Cloudのアカウントで登録している特定の契約テンプレートにナレッジを紐付けることで、契約締結時にナレッジのチェックを強制する「チェックリスト」を表示することが可能だ。つまり、ユーザーは必要な時に必要なナレッジを確認することとなる。「見させて意味のあるものでなければ、ナレッジを蓄積しておいても意味がない。その結果、紛争裁判になってしまったり、利益などに影響を及ぼすことも。強制的に見させて防いだ方が良い」(笹原氏)。

事業は全てが契約、契約をプロジェクト単位で管理し最適化する「Holmes Project Cloud」

Holmes代表取締役の笹原健太氏

新ソリューション「Holmes Project Cloud」とは

契約書の作成から管理までを一括サポートするクラウドサービス「Holmes(ホームズ)」を運営するHolmesが新ソリューション「Holmes Project Cloud」の提供を開始した。同社はこの展開を「新たなHolmesへのパラダイムシフト」としている。

Project Cloudは、ビジネスに必要となる数ある契約をプロジェクト単位で設計し、最適化するための「契約マネジメントシステム」。

従来のプロダクトでは1つ1つの契約書の作成から管理までを行なっていたのに対し、新ソリューションでは「プロジェクト単位で複数の契約の管理」を行うことが可能だ。

プロジェクトの例を挙げるならば、「開発プロジェクト」「新卒社員雇用プロジェクト」「株主総会プロジェクト」など。

事業が大きくなるにつれ、契約の数も、当然、爆発的に増えていく。

「必要な契約書は全部揃った?」「あの会社との契約どうなってる?」「この契約って、誰がどういう経緯で交わしたの?」などの問題が発生しがちだが、管理プラットフォームとなっているProject Cloudを使うことで、どのようなアクションが必要かは一目瞭然となり、情報や注意点を共有することで、ミスコミュニケーションにより生じるリスクを軽減することが可能だ。

なお、「一連の契約書業務を効率化」する従来のプロダクトは「Holmes Contract Cloud」となるが、今後はProject CloudとContract Cloudのセットがスタンダードプランとして提供される。

「事業は全てが契約」「契約に関係のない人はいない」

Holmes代表取締役の笹原健太氏は、契約は企業の「血液だと思っている」、そういった意味では「Holmesは企業にとっての大動脈となる」と話す。

笹原健太氏
Holmes 代表取締役
東京出身、中央大学法学部へ進学、その後慶應義塾大学法科大学院を中退。弁護士業務に従事し、2013年に弁護士法人 PRESIDENTを設立。「世の中から紛争裁判をなくす」という志のもと、17年にリグシー(現Holmes=ホームズ)を設立。18年末にはジャフコ、500 Startups Japan(現Coral Capital)など著名なVCおよび個人投資家から総額約5.2億円の資金調達を実施。現在は弁護士登録を抹消し、CEOとしてHolmesの経営に力を注いでいる。

「売り上げ、仕入れ、人や物・場所の調達、など、事業は全てが契約だと思っている。契約書の集合体が点。契約書の集合体が事業。事業の集合体が企業。契約書は事業の時間軸の中の、ある1点だ。なのに、これまでは契約書という点だけを解決しようとしていた」(笹原氏)

これまでの電子契約の世界観は「印紙や郵送などのコストをカットしたり、契約の締結の部分だけを楽にしよう」というものだった。従来のプロダクトは法務部など、限られた部署のタスク軽減や時間短縮のためのサービスに止まっていた、と同氏は説明する。

だが、契約には、多くの場合、企業内の複数の部署が関わっている。笹原氏は「契約書は法務部や弁護士が担当するイメージがあるが、契約に関係のない従業員はいない」と言い、以下のように課題感を説明した。

「企業の中には無数の契約があり、その1つ1つの契約の中には、様々な権利義務が存在する。全ての権利が実行されたかどうか、全ての義務が履行されたかどうかを、個人個人が把握するのは不可能だ。現在、契約書を結んでしまったら、それはどこかのファイルに収納してあったり、電子化されていたりしても、簡単に探せる状態にはなっていない。契約の締結後も取引は続いていくのにも関わらず、契約内容を現場がどれくらい把握しているかというと、できていない」(笹原氏)

例えば、賃貸借事業には、入居前、入居時、入居後など、様々な時間軸があり、その様々な時間軸の中には数々の契約書が存在する。そして、そのプロセスには、営業部だけでなく、審査部、総務部など、様々な部署が絡んでいる。

そのような中で「賃貸者契約書の作成から締結までのプロセス」だけが簡単になったとしても、書類漏れが防げないほか、更新されたかどうかは把握できない。だが、Project Cloudでは「どういう書類がどういう部署でどういうやりとりをされたのか、全ての情報が線となり集約されている」(笹原氏)

加えて、「契約書を適切に管理していないと契約情報を認識せずに取引をしてしまったり、契約更新に漏れがあったり」「担当者がいなくなった時に、契約の前後関係がブラックボックス化してしまう」といったリスクも回避できる、と同社は説明する。

事業成⻑のためには契約を最適化することが不可欠

プロジェクト単位で契約を管理することは、企業にとってどのようなメリットがあるのだろうか。

「事業成⻑のためには契約を最適化することが不可欠」だと謳うHolmesは、「権利と義務を最適にマネジメントすれば、それだけ事業が伸びる」と説明している。

「最適な権利実現」により「売上UP / 無駄な支出減」、「最適な義務履行」により「顧客満足 / 紛争リスク減」、そして「コンプライアンス」を強化することで「社会的な信用」を失うリスクを回避できると同社は説明する。

「契約書の作成から締結まで」「書類を自動作成」といったサービスを提供するリーガルテック領域のスタートアップが増えてきている中、「事業と契約は表裏一体」と話す笹原氏が率いるHolmesのProject Cloudはより包括的だ。かつ、「事業成長のためのツール」であるといった意味で趣旨が大きく異なる。

「事業」視点で開発されたProject Cloudのリリースで、Holmesは冒頭でも説明したとおり「新たなHolmesへのパラダイムシフト」を迎えたと言えるだろう。

本社・店舗間における雇用契約業務の管理を一元化できる「Holmes for 店舗」がリリース

契約書の作成から管理までを一括サポートするクラウドサービス「Holmes(ホームズ)」を運営するHolmesいわく、外食業や小売業、宿泊業などの店舗ビジネスは、新規出店数の増加に伴い、慢性的な人材不足を抱えているという。

リソースが限られているため、店舗責任者や本社の人事担当者にとって、「店舗と本社」や「店長と採用予定者」の間でやりとりが発生する“雇用契約業務”はとても大きな負担になっていると言えるだろう。

加えて、4月からは「改正出入国管理法」の施行により、一定の知識や経験を有する外国人就労者に新たな在留資格が付与され、日本の多くの多店舗企業で外国人材の雇用が促進されることが予想される。

Holmesは「来たる東京オリンピック・パラリンピックに向けたサービス向上」のためにも「店舗責任者と本社の人事担当者は、この法改正に備えて雇用管理のオペレーションを見直す必要がある」と説明している。

そんな同社は3月1日、外食業や小売業、宿泊業などの多店舗展開企業向けの雇用契約ソリューション「Holmes for 店舗」を新たにリリース。上記のような課題の解決を目指す。

これまでもTechCrunch Japanで紹介してきたHolmesは、クラウド上で企業間の契約書の作成、締結、管理までを一括して行えるSaaSサービスだ。

そして、今回新たに発表されたHolmes for 店舗は、多店舗展開型の企業向けに提供される雇用契約ソリューション。採用予定者との「内定通知書」「入社承諾書」「誓約書」「雇用契約書」などのやりとりをクラウド上で行い、店舗と本社の間でリアルタイムに共有。本社と店舗間における契約書業務の管理を一元化し、雇用契約業務を効率化する。

なお、Holmes for 店舗はHolmesの機能の一部として提供されるため、利用するにはHolmesの契約が必要となる。

具体的に何ができるのか。Holmes for 店舗では、まず、自社で扱っている雇用契約書やその他の雇用契約に関連する内定通知書や入社承諾書などのデータを、テンプレートとして登録することが可能だ。クラウド上にデータが格納されることで、人事の負担の削減や業務効率の改善が期待できる。なぜなら本社の人事担当者は各店舗向けに雇用契約書を毎回作成し郵送する必要がなくなるからだ。

また、雇用契約の締結もタブレットまたはPCを渡し、もしくはメールなどでURLを送り、「必要事項の記入」と「本人確認書類の画像データの共有」に対応してもらうだけで可能だ。

さらに、Holmesのダッシュボードでは、雇用契約の締結内容や進捗状況なども確認することが可能だ。これにより、店舗責任者と本社人事担当者の間でのコミュニケーションロスの軽減や、記入漏れや添付漏れが起きない仕組み作りの構築などが期待できる。結果、雇用契約の未締結や書類不備といったコンプライアンス面でのリスクを最小限に防げる。

2017年3月設立のHolmesはHolmes for 店舗に続き、今後も新たな業種や業態に向けたソリューションをリリースしていく予定だという。今回のHolmes for 店舗は第一弾と位置付けられているみたいなので、第二弾、そして第三弾も発表されるのでは。

なお4月には「労働基準法施行規則」の改正により、「労働条件通知書」の書面交付義務がなくなり、電子メールによる交付が可能となる。この国における“雇用契約の電子化”の更なる加速に期待したい。

クラウド契約サービス「Holmes」がMF KESSAIなどと連携ーー契約書に関わる“すべて”を楽に

契約書の作成から管理までを一括サポートするクラウドサービス「Holmes(ホームズ)」。同サービスを提供するリグシーは6月7日、電子署名サービスの「ドキュサイン」、およびマネーフォワードグループの「MF KESSAI」とのサービス連携を発表した。同サービスはこれにより、単なる“契約書のクラウド作成サービス”からの脱却を目指すという。

Holmesは、クラウド上で企業間の契約書の作成、締結、管理までを一括して行えるSaaSサービスだ。サービス上には弁護士が作成した様々なタイプのテンプレートが用意されているほか、それらの文言を自由に編集することでオリジナルの契約書を作成することが可能だ。

Holmesは契約書を軸にしたコラボレーションツールとしても機能する。契約書の修正やチェックの過程で社員同士がコメントなどを書き込めるほか、各部署間にまたがる承認フローなどもすべてサービス上で完結できる。2017年8月リリースのHolmesは、これまでに約150社の有料ユーザーを獲得。100人以上の従業員を抱える企業がその大半だという。

今回、リグシーがサービス連携を発表したドキュサインは、2003年設立の米国企業。同社が提供する電子署名サービスは約180ヶ国の37万社以上で導入されており、2018年4月にはNASDAQ証券取引所への上場も果たしている。

実は、これまでのHolmesにも独自の電子署名機能は搭載されていた。しかし、「これまでのHolmesでは、相手先に契約締結を依頼する際に自動で送られるメールが日本語にしか対応していないことが、グローバル契約において障害となっていた。また、Holmesのような新しいサービスを導入する際に必要な稟議が通り易くなるなど、ドキュサインの知名度が生かされる可能性もある」とリグシー代表取締役の笹原健太氏は話す。

今後、ユーザーはHolmes上でドキュサインの電子署名サービス選択することができ、英語やフランス語など多言語化された締結依頼メールが送られる。通常は年間契約が必要なドキュサインを、1通あたり600円という従量課金で利用できることもメリットだ。

そしてもう1つ、Holmesがこれまでの“契約書のクラウド作成サービス”からの進化を象徴する連携がある。マネーフォワードグループのMF KESSAIとの連携だ。

これまでもTechCrunch Japanに度々登場してきたMF KESSAIは、企業の与信審査から請求書発行、代金回収などの請求業務を代行するサービスだ。これまで、ユーザーがMF KESSAIを利用する場合、代金の支払日や請求先などのデータを手入力する必要があった。しかし、今回の連携によりHolmesで作成した契約書のデータを自動的にMF KESSAIに取り込むことが可能になる。

笹原氏はこの連携について、「営業にとって、契約書はゴール。でも、経理にとってはスタートになるもの。契約書は業務間をつなぐハブのような存在だ。契約書を作るのも楽だし、その後の関連業務もすべて楽になるというような世界観を今後つくって行きたい」と話す。

MF KESSAIとの連携もその世界観を構成する1つで、契約書を締結した後にやってくる請求業務をサービス連携によって楽にするという考え方だ。笹原氏によれば、リグシーは今後も他社との連携によって、AIによる契約書の自動作成・自動チェックサービスや、企業に溜まった紙の契約書をPDF化して保管するサービスなどを2018年夏頃をめどに提供していく予定だという。

リグシーは2017年3月の創業。同年10月には500 Startups Japanなどから数千万円規模の資金調達を実施している。

オンラインで契約書の作成から締結まで可能、クラウド契約サービスの「Holmes」が資金調達

法務系クラウドサービス「Holmes」を提供するリグシーは10月24日、500 Startups Japanを引受先とする第三者割当増資を実施したと発表した。調達金額は非公開だが、数千万円規模だという。

Holmesは、クラウド上で企業間の契約書の作成、締結、管理までを一括して行えるSaaSサービスだ。サービス上には弁護士が作成した様々なタイプのテンプレートが用意されているほかそれらの文言を自由に編集することでオリジナルの契約書を作成することが可能だ。

土地や建物の売り買い、担保の譲渡などの取引関係や、労務関係のものまで200種以上のテンプレートが利用できる。

作成した契約書はサービス上から直接Eメールを通して契約相手に送ることができる。受け取った企業がメールに記載されたリンクから契約書の内容を確認し、承認することで契約が締結される。

通常、紙ベースの契約書で締結を完了させようとすると、承認フローを含めて1〜2週間程度の時間がかかってしまうこともある。その一方、締結までのフローをすべてオンラインで完結できるHolmesを使えば、その時間を大幅に短縮することができる。

Holmesは2017年8月にサービスを正式ローンチ。リグシー代表取締役の笠原健太氏は、いざローンチしてみると意外な顧客層からの反響が大きかったと話す。

「当初は、コストや時間的な面から契約書の作成を避けてきた中小企業やスタートアップをターゲットとして想定していました。しかし、ローンチしてみると、意外にも大企業からの問い合わせが多かったのです」(笠原氏)

大企業ともなれば、様々な企業と契約を交わす機会も多い。しかし、その数が多ければ多いほど管理が煩雑になってしまう。その点、オンラインで契約書を締結でき、その後の管理もサービス上で行えるHolmesは大企業にもウケたようだ。

現在Holemsは、月額無料で契約書ごとに都度購入する「Freeプラン」、月額980円で契約書を作成し放題の「Standardプラン」、契約フローや権限の管理までを行いたい大企業向けの「Enterpriseプラン」を用意している(料金は個別見積もり)。

自身も弁護士である笠原氏に聞けば、契約書の作成を弁護士に依頼すると1通3〜5万円ほどの費用がかかるというから、この料金設定は十分に魅力的だと言えるだろう。

創業は「裁判をなくしたい」との想いから

今回の取材はリグシーのオフィスも兼ねる法律事務所で行った。そこはオフィスビルが立ち並ぶ赤坂見附の中心地にあって、巨大な円卓で取材をするなんていうスタートアップではちょっとないような、立派で豪華なオフィスだった。普僕は普段マンションの1室で取材をすることも多いものだから、最初、場所を間違えたと思い一度エレベーターを降りたくらいだ。

普通なら現在の成功に甘んじてしまいそうなものだけれど、その笠原氏がなぜスタートアップを立ち上げようと思ったのだろうか?

「もともと弁護士として自分の法律事務所を立ち上げたのは、『この世から紛争裁判をなくしたい』という想いからでした。裁判は費用もかかるし、それまで取引相手だった相手方との関係も崩れてしまう」と笠原氏は語る。

「紛争裁判が起こる一番の理由は、面倒くさいだとか作成の仕方が分からないなどの理由で契約書を作成しないことです。だから、今度は『契約書を作らない理由をなくしたい』という想いでリグシーを創業しました」(笠原氏)

それまではスタートアップ業界とはかけ離れた業界で暮らし、もちろんSaaSサービスの開発ノウハウもなかった笠原氏は、当初は外部企業と協力しながらHolmesをつくり上げ、2017年3月にリグシーを創業。現在は自社の開発メンバーも含む11名でリグシーを運営している。

血液検査スタートアップのセラノス、創業者の持ち株を投資家に提供

Theranosが生き残る望みのひとつは、投資家に持ち株を倍増させる提案をすることであり、ファウンダーであるElizabeth Holmesの持ち株も供出する。ただし投資家が訴訟しないことが条件だ。

Theranosは、投資家と消費者による相次ぐ訴訟で窮地にたたされている。昨年Theranosの血液検査製品は、精度に問題があり自身の基準に達していなかったことが発覚したためだ。主要パートナーである薬局チェーン大手のWalgreensは販売を中止し損害賠償訴訟を起こした。

Wall Street Journalによると、2月にTheranosの取締役会は、投資家を鎮静化させるためにファウンダー、Elizabeth Holmesの持ち分を含めて自社株を供出することを承認した。

2015年にTheranosが6億ドルを調達した最後の投資ラウンドの投資家が対象となる模様で、同ラウンドで購入した株の2倍の株を入手することになる。 BlueCross BlueShield Venture Partners、Continental Properties Co.、Esoom(台湾企業)、Jupiter Partners, Palmieri Trust、Dixon Doll、Ray Bingham、およびB.J. Cassinら後期段階の投資家も対象となる可能性がある。Wall Street Journalが報じTheranosも認めた。

「これは従業員、投資家その他の利害関係者と今後の関係を築くための積極的施策だ」とTheranos取締役のDaniel J. WarmenhovenがTechCrunch宛ての声明で語った。「Holmesは他の株主の持ち株が希薄化されることを防ぐために自身の持ち株を提供することを申し出た。私の経験上これは特別に配慮された提案であり、当社の経営状況への理解を示しているだけでなく、Holmesの無私無欲と会社の成功に対する思い入れを反映したものだ」。

Holmesがどれだけの株式を手放すつもりなのかは明らかにされていないが、少なくとも何人かの投資家は受け入れていない。TheranosはNews Corp21st Century Fox Inc.の執行会長であるRupert Murdochと個別の契約を交わしている。Murdochは他の投資家と同じ条件に同意しなかった ― 税金に関わる理由と考えられる。代わりにTheranosはMurdochの株を1ドルで買い戻すことになるだろうと同紙の情報筋は伝えている。

サンフランシスコ拠点のヘッジファンドでTheranosに投資しているPartner Fund Management LPも条件に同意していない。10月にTheranosを訴えた。同社はシリーズCラウンドで1.98億ドルを投資しており、かつてTheranosの評価額が90億ドルになるきっかけとなった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook