本田技研工業がオフロードも走れる最新自律型作業車両を公開

CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)2018で、いくつかのコンパニオンモビリティロボットのコンセプトを公開したHonda(本田技研工業)は、そのうち少なくとも1つ、オフロードを走れる自律走行車の開発を進めている。Hondaとエンジニアリング会社のBlack & Veatch(ブラック・アンド・ヴィアッチ)は、第2世代の自律作業車(AWV)を、ソーラーパネルの建設現場で試用している。

これは、複数の自律作業車が連携して作業を行う初めてのフィールドテストだ。自律作業車はトレーラーを牽引し、建設資材や水などの物資を1000エーカー(約4.04平方キロメートル)の作業現場で運んだ。自律作業車は、最大で399kgの有料積載量を運ぶことができ、総重量750kgのトレーラーを牽引することができる。

自律作業車を紹介する動画の中で、Black & Veatchの社員は、このような広い敷地を移動するには時間がかかると述べている。そのような環境では、自律作業車に資材を積んで別の場所に送ることで、社員の移動時間を短縮し、他の作業に充てることができ、効率的に作業を進めることができる。

Hondaは、現場の高精細な地図を作成し、オペレーターが自律作業車の始点と終点を設定できるようにした。自律作業車は目的地から数センチ以内に停止したという。また、自律作業車は自律走行だけでなく、遠隔操作も可能だ。

また、同社によると、高温環境下でも1回の充電で最大8時間の走行が可能だという。自律作業車には、GPS、レーダー、LiDARなどのナビゲーション用センサーや、遠隔監視用の3Dカメラなどが搭載されている。Hondaによると、自律作業車は最大積載量でも、ユースケースに応じて最大27.9マイル(約45km)の航続距離を実現している。

Hondaは、(いまのままでもかわいい)プロトタイプを改良しながら、自律作業車の性能とデザインを向上させることを目指している。また、アタッチメントやツールを追加できるようになるかもしれない。なお、Hondaは、自律作業車の市販化について、まだ明らかにしていない。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のKris HoltはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Honda

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(文:Kris Holt、翻訳:Yuta Kaminishi)

ホンダがモバイルバッテリーをシェアサイクルに活用、電動自転車の「電池切れ」解消へ

ホンダがモバイルバッテリーをシェアサイクルに活用、電動自転車の「電池切れ」解消へ

電動アシスト自転車の“電池切れ”をモバイルバッテリーで解消する──。そんなことが可能になる「シェアサイクル用2電源システム」をHondaが開発しました。2022年にシェアサイクル事業者との共同実験を行い、事業化を目指すとしています。

このシステムは、普段持ち歩くモバイルバッテリーをシェアサイクル用の電動アシスト自転車に接続するという至って単純な仕組み。これにより、走行時の電池切れを防げるほか、停車時に自転車への充電も可能です。

いまや公共交通機関やクルマのラストワンマイルを支える“モビリティ”に欠かせない手段となった自転車ですが、Hondaによれば、車両の充電を含めたシェアサイクル事業者のオペレーションコストは、売上の半分以上を占めるとのこと。

Hondaは、このシステムを活用することで、シェアサイクル事業者が車両を充電するためにかかるコストを削減し、事業収益の改善に貢献できる点もアピールしています。

ちなみに、このシステムのネーミングの由来については、「モバイルバッテリーと車両本体のバッテリーの2つから同時に電力を供給することができるシステムという意味を表現した」としています。

・本田技研工業株式会社 執行職 モビリティサービス事業本部長 高見聡氏のコメント

現在、都市における移動手段として利用が拡大するシェアサイクル領域ですが、事業者のオペレーションコスト削減が課題となっています。シェアサイクル用2電源システムはシンプルなアイデアから生まれましたが、ユーザーには利便性を高め安心して利用いただくことができ、事業者の課題である充電切れ解消や電池交換コスト削減にも貢献することができると考えています。Hondaは、こうした課題解決を通じ、モビリティサービスの更なる充実にチャレンジしていきます

(Source:HondaEngadget日本版より転載)

本田技研工業がeVTOL、アバターロボット、宇宙技術に向けた計画を発表

本田技研工業は9月下旬、電動垂直離着陸機(eVTOL)、二足歩行ロボット、宇宙技術などの新規事業分野におけるイノベーション計画を発表した。

本田技研工業(HMC)のイノベーション部門である株式会社本田技術研究所(Honda R&D)が中心となり「モビリティの可能性を3次元、さらには時間や空間の制約を受けない4次元、そして最終的には宇宙へと広げて、人々に新たな価値をもたらすテクノロジーへの既成概念にとらわれない研究」を行なっていくという。

まるでSF小説のような話である。こういったイノベーション計画は結局うまく行かずに終わることも多々あるが、説明会で同社は過去73年間にわたって開発し続けてきた燃焼、電動化、制御、ロボティクスなどのコア技術が、これまでのモビリティニーズと大きく異なる未来の目的に適応し、いかに進化を遂げることができるかを論証したのである。

ハイブリッドeVTOLとそれに対応するモビリティ・エコシステム

画像クレジット:本田技研工業株式会社

eVTOLとヘリコプターの違いは、前者がバッテリーからの電力で駆動する独立したモーターを持つ複数のプロペラを備えているのに対し、後者は巨大で騒がしいローターを上部に備えていることである。つまりeVTOLは通常、より安全で静か、そしてクリーンであることになる。

世界中で開発されているeVTOLのほとんどがオール電化であるのに対し、HMCは「自社の電動化技術を活用し、ガスタービンハイブリッドのパワーユニットを搭載したHonda eVTOLを開発する」ことを目標としている。この分野での技術開発を進めていくという計画意図は4月の記者会見で初めて発表されたが、その中でHMCは2050年までに製品を100%EVにするという目標も掲げている。

HMCのコーポレートコミュニケーション担当マネージャーであるMarcos Frommer(マルコス・フロマー)氏はプレスブリーフィングの中で、全電動式のeVTOLは質量あたりのバッテリー容量の関係で航続距離が非常に短いため、新型車両のほとんどのユースケースが都市間移動やシャトル便などの近距離飛行に限られると説明している。2024年までの商業化計画を発表したばかりのJoby Aviation(ジョビー・アビエーション)でさえ、これまでで最も長いeVTOLのテスト飛行は1回の充電で約150マイル(約241km)だったという。

「当社の市場調査結果によると、eVTOL機での移動における最大のニーズは、航続距離が250マイル(約402km)程度の長距離の都市間移動です」とフロマー氏。「自動車の電動化もあって、ホンダはリチウムイオン電池の研究開発に力を入れています。しかし、現在のリチウムイオン電池をベースに進歩しても、容量あたりのエネルギー密度は今後20年間で数倍程度にしかならないと予想されています。そのため、さらなる軽量化が求められる空のモビリティでは電池だけで長距離を実現するのは難しいと考えています」。

フロマー氏によると、将来的にバッテリーがさらに進化すれば、HMCはガスタービン発電機を取り外してeVTOLをオール電化にすることも可能だという。

ホンダはコアテクノロジーを活用しながら新分野へ取り組み、挑み続けている(画像クレジット:本田技研工業株式会社)

同社はeVTOLを核に、地上のモビリティ製品と連携した新しい「モビリティ・エコシステム」を構築したいと考えているという。同社の説明会ではアニメーションを使った次の例が発表された。ケープコッドに住むビジネスエグゼクティブが、1つのアプリを使ってハイブリッドeVTOLを予約。ニューヨークのオフィスまでは空路でわずか2時間の距離だ。このアプリはホンダの自律走行車に接続されており、離陸のためのモビリティーハブに向かう間には今日の天気を教えてくれるだろう。着陸すると自律走行のシャトルがビッグアップルで待機していて、オフィスに連れて行ってくれる。仕事が終わり、悠々と帰宅すれば、家族と一緒に自宅のテラスでディナーを楽しむことができるだろう。

「モデルベース・システム・エンジニアリング(MBSE)の手法を用いて、従来のものづくり企業から、システムやサービスの設計・商品化も行う新しい企業へと変革するために挑んでいます。予約システムのインフラ、航空管制、運航、自動車などの既存のモビリティー製品など、さまざまな要素からなる1つの大きなシステムを完成させてこそ、お客様に新たな価値をお届けすることができるのです。これらの要素をすべて弊社だけでまかなうことは不可能であり、多くの企業や政府機関とのコラボレーションが必要になるでしょう」とフロマー氏は話している。

HMCは2023年に試作機による技術検証を行い、2025年にハイブリッド実証機の飛行試験を行うことを予定している。商業化の判断はそれからだ。HMCがそこから進み続けることを決めた場合、2030年までに認証を取得し、その次の10年でローンチできるようにしたいと考えている。同社がTechCrunchに話してくれたところによると、商業化が実現した場合、一度に4人以上の乗客を乗せることができるeVTOLの価格は民間旅客機のビジネスクラスよりも低くなることが予想されている。

「商用化の可能性については、まだ詳細を議論中です。しかし、すべてのお客様が民間旅客機のビジネスクラスよりも安い価格で当社のeVTOL機を利用できるようになるよう努力しています」とフロマー氏は話している。2040年までにはeVTOLが日常化するとHMCは予想しており、それまでに市場規模は約2690億ドル(29兆8800億円)になると予測している。

ホンダのロボット「Asimo」で時空を超えた世界へ

ホンダのアバター・ロボット・レンダリングは、医師が遠隔で患者を助けることを可能にする(画像クレジット:本田技研工業株式会社)

ユーザーが実際にその場にいなくてもタスクを実行したり物事を体験したりできるという、第二の自分を持つことを可能にする、ホンダによるアバターロボットコンセプトの「Asimo」。ユーザーはVRヘッドセットと、手の動きを正確に反映させることができる触覚グローブを装着することで、アバターを接続して遠隔操作することができる。

「私たちはこれを、2Dや3Dのモビリティを超え、時間と空間を超越した4Dモビリティと位置づけています」とフロマー氏。

Asimoは、世界で通用するような外科医がいない発展途上国では高いニーズを得るであろう遠隔手術や、人が住めない場所や人が到達するのが困難な場所にアバター版の人間を送る宇宙探査などの用途を想定している。

「アバターロボット実現の核となるのが、弊社の強みであるロボット技術を活かして開発された多指ロボットハンドと、ホンダ独自のAI支援の遠隔操作機能です。多指ハンドを使って人間用に設計されたツールを使いこなすことができ、AIによってサポートされた直感的なユーザー操作に基づいて複雑な作業を迅速かつ正確に行うことができるアバターロボットを目指しました」と同社は話している。

トヨタ自動車にもテレプレゼンスでコントロールできる同様の二足歩行アバターロボットT-HR3があり、テスラも最近人型ロボットの計画を発表している(テスラのロボットは遠隔操作技術をベースにはしていないようだが)。もしホンダがAsimoの計画を進めるならば、操作を容易にするためにも、ロボットの学習のためにも、遠隔操作の利用は理に適っている。ロボットに動作を直接行わせるというのは、ロボットを訓練する上で最良の方法なのかもしれない。

同社は2030年代にはAsimoを実用化したいと考えており、2024年3月期末までにテストを実施したいと考えている。

宇宙技術の研究・開発を強化する

循環型の再生可能エネルギーシステム(画像クレジット:本田技研工業株式会社)

同社はさらに宇宙技術分野、特に月面開発の研究開発を加速する計画も発表した。その中で少し触れたのが、同社が以前発表した循環型再生可能エネルギーシステムだ。6月、本田技術研究所と宇宙航空研究開発機構はこのシステムの共同事業化調査を発表した。月面上の基地や惑星探査機に酸素、水素、電気を供給し、人間が長期間にわたって宇宙で生活できるようにすることを目的としたシステムについてである。このシステムは、ホンダの既存の燃料電池技術と高差圧水電解技術を活用したものだという。

同社は宇宙飛行士が宇宙に飛び出す際のリスクを最小限にするために、月面で遠隔操作のロボットを使うこと、さらには地球からバーチャルで月を探索できるようにするということも検討している。月面用ロボットには、アバターロボットで開発中の多指ハンド技術や、AI支援の遠隔操作技術に加え、ホンダが衝突被害軽減のために使用しているトルク制御技術が搭載される予定だ。

同社はまた、再利用可能なロケットの製造に向けて、流体や燃焼、誘導、制御などのコア技術を役立てたいと考えている。

「このようなロケットを使って低軌道の小型衛星を打ち上げることができれば、コネクテッドサービスをはじめとするさまざまなサービスにコア技術を進化させることが期待できます」とフロマー氏はいう。「これらのサービスはすべて、ホンダの技術と互換性を持つことになるでしょう」。

フロマー氏によると、同社はロケット製造を夢見る「若いエンジニア」たちに、2019年末に研究開発を開始する許可を与えたという。ホンダは宇宙に関するいずれの取り組みについても、それ以上の具体的な内容を明らかにしていない。

画像クレジット: Honda Motor Company

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

ホンダが「空飛ぶハイブリッドカー」「アバターロボ」「月面循環エネルギーシステム」「再使用型小型ロケット」など挑戦

ホンダが「空飛ぶハイブリッドカー」「アバターロボ」「月面循環エネルギーシステム」「再使用型小型ロケット」など新領域に挑戦

Avatar / 20th Century Studios

ホンダが「新しい事業領域に関する説明会」を開催し、都市間や都市内移動用の「Honda eVTOL(電動垂直離着陸機)」や、時間や空間の制約に縛られず、バーチャルな能力拡張を実現する「Hondaアバターロボット」の開発に取り組んでいくと発表しました。また、月面で使用することを想定した燃料電池式発電システムの開発も行うとしています。

ホンダはeVTOLにはEVやPHEVで培ったリチウムイオン電池に加えガスタービン式ハイブリッドパワーユニットを搭載し、電池だけでは足りない航続距離を確保します。もちろんこの計画はまだごく初期の段階なので、実機が登場するには10年ほどの歳月がかかると予想されます。ホンダは2030年代に試作機、開発機を制作し、2040年代の商業化を目指しています。

次世代の交通であるeVTOL分野には、スタートアップから既存自動車メーカーまで多くの企業が参入しています。たとえばNASAと提携するJobyは実物大のモックアップに近い試作機をすでにテスト的に飛行させています。また、VTOLではないもののスロバキアのKlein Visionは今年、空陸両用車「AirCar」の35分間の有人飛行を成功させています。ただ、まだ乗客を乗せての商業飛行を行うには機体の安全性や信頼性、搭乗可能人数、航続距離、そして既存の法規制といったさまざまなハードルがあり、それらをひとつひとつ解決潰していかねばなりません。先行する企業に遅れての参入はホンダにとってハンデかもしれませんが、ホンダにはすでに小型ジェット機の開発実績・技術があり、それをeVTOLにも応用できると考えられます。

一方「Hondaアバターロボット」については多指ハンドと独自のAIサポート遠隔操縦機能を組み合わせたものになり、利用者はわざわざ遠隔地に出向くことなく、VRヘッドセットとグローブを通じてアバターロボットの視覚と触覚を借りて作業ができるようになるとのこと。たとえば、多指ハンドを通じて人が使う道具を使いこなし、AIサポートによって複雑な作業も直感的な操作で正確に行えることを目指すとしています。

このロボットはASIMOをベースに改良を加えたものになるとしており、2024年第1四半期末までに技術実証実験を行う計画。そのための第一歩としてはASIMOの手をもっと小さくしつつ、物を掴む力を向上させるための開発を行うとのこと。

さらにもうひとつ、ホンダは宇宙開発にもその守備範囲を拡げようとしています。「燃焼・誘導制御技術、燃料電池技術、ロボティクス技術といったHondaならではのコア技術」を活かし、月面で利用可能な循環型再生可能エネルギーシステムの構築を検討しています。

このシステムでは、太陽光など再生可能エネルギーとして得た電力を使って、液体の水を電気分解し、水素と酸素を生成します。これを燃料電池で使用して発電すると同時に月面の居住施設に酸素とロケットの燃料にもなる水素を供給します。

ホンダが「空飛ぶハイブリッドカー」「アバターロボ」「月面循環エネルギーシステム」「再使用型小型ロケット」など新領域に挑戦

©JAXA/Honda

ほかにも、ホンダは若手技術者の発案をきっかけとした小型ロケットの開発にも取り組むことを明らかにしました。これは地球低軌道への小型人工衛星の打上げを目標とするとのことです。JAXA/Honda

(Source:HondaEngadget日本版より転載)

Androidスマホに多数の運転者向け新機能、グーグルはホンダとの協業も発表

Google(グーグル)は米国時間9月23日「Android Auto(アンドロイト・オート)」に追加されるさまざまな新機能を発表した。また、2022年後半に北米で発売されるHonda(本田技研工業、ホンダ)の新型車より、ホンダとGoogleの協業による車載向けコネクテッドサービスの搭載が開始されることも、両社から発表されている。

Googleは2015年に「Android Auto(アンドロイト・オート)」と呼ばれるアプリを発表。これを使ってドライバーは車内でスマートフォンと車載オーディオを無線で接続し、スマートフォンから音楽を車内で再生したり、マップのナビゲーションをスピーカーから音声で読み上げたり、ハンドルを握ったまま車載サウンドシステムを通じて電話をかけたりすることができるようになった。それから6年が経った今、Android Autoも、それが動作する車載インフォテインメントシステムも、格段に賢くなっている。Googleは今回、さらに多くの機能をドライバーに提供すると発表した。これらの機能はドライバーがスマートフォンでAndroid Autoを起動しなくても、車載システムを通じて直接利用できる。

Android Autoは運転中のドライバーの気を散らさないように設計されたものだが、これまでは携帯電話を車載インフォテインメントシステムやオーディオシステムに接続するのにも一苦労だった。携帯電話でBluetoothが有効になっていることを確認し、クルマにデバイスを認識させてペアリングし、さらに実際にAndroid Autoにさせたいことをさせるためには、無数の音声コマンドを覚えなければならなかった。しかし、もうそんな必要はなくなるのだ! ドライバーは「Hey Google, let’s drive.」と声をかけるだけで、接続のプロセスを実質的に自動化できるようになる。

さらに、Googleはユーザーインターフェイスも刷新し、Amazon Music(アマゾン・ミュージック)、Audible(オーディブル)、iHeartRadio(アイハートラジオ)、JioSaavn(ジオサーバン)、Pandora(パンドラ)、Podcast Addict(ポッドキャスト・アディクト)、SoundCloud(サウンドクラウド)、YouTube Music(ユーチューブ・ミュージック)など、数多くのコンテンツソースにワンタップでアクセスできるようにした他、受信したテキストメッセージをシステムが読み上げ、ドライバーが音声で応答できるようにした。これらの新機能は、今後数週間のうちに、英語圏をはじめ、ドイツ、スペイン、メキシコ、フランス、イタリアの各市場で提供される予定だ。

また、デュアルSIM携帯電話を使用している国際的な旅行者のために、Android Autoでは仕事用と個人用のプロファイルを別々に設定し、運転している時間や用事に応じて、関連する連絡先リストやカレンダーの予定を表示できるようになる。

車載ディスプレイを搭載している車両では、Android Autoに追加されたゲームなどの新機能を利用できるようになる。GoogleはGameSnacks(ゲームスナックス)と提携し、車を駐車している間、ドライバーに手軽で楽しい気分転換を提供する。これで公共の充電施設で座ったまま、くだらないニュースを読んで時間を潰す行為から解放される。さらにGoogleは、ガソリン代の支払い方法も簡単にした。「Hey Google, pay for gas」というだけで、Google Pay(グーグル・ペイ)による非接触型の支払いが完了する。もっとも、燃料の種類を選択したり、実際に給油したりする作業は依然として必要だが。この機能はまず、Exxon Mobil(エクソンモービル)、Conoco(コノコ)、Phillips 66(フィリップス66)、76(セブンティシックス)の全米3万2500店舗のガソリンスタンドから利用できるようになる。

一方、車両搭載型システムの「Android Automotive OS(アンドロイド・オートモーティブOS)」は現在、Polestar 2 (ポールスター2)やVolvo XC40 Recharge(ボルボXC40リチャージ)といった一部の車に搭載されているが、今後はFord(フォード)やGMなど、さらに多くのメーカーやモデルに搭載されることになる予定だ。Googleはその最新のパートナーがホンダになることを発表した。ホンダはGoogleと協業して「Googleの車載向けコネクテッドサービス」を搭載した新型車を、まずは2022年後半に北米で発売し「その後、順次グローバルに展開」していくと述べている。Googleの車載システムは、Chevy Silverado(シボレー・シルバラード)とRenault Mégane E-Tech(ルノー・メガーヌEテック)にも搭載される予定だ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のAndrew Tarantolaは、Engadgetの編集主任。

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画像クレジット:Geoff Robins / AFP / Getty Images

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(文:Andrew Tarantola、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

トヨタとホンダは米自動車メーカーに有利なEV税制優遇措置拡大に反発

Toyota Motor(トヨタ自動車)とHonda(ホンダ)は、米国内で労働組合員が製造した電気自動車の税制優遇措置を拡大する法案を、否決するようにと議員たちに要請している。

この法案は、米国内で労働組合員によって製造された自動車に対する連邦税の優遇措置を7500ドル(約82万円)から最大1万2500ドル(約137万円)に拡大するというもので、トヨタは議会に提出した書簡の中で「明らかに偏っている」「法外だ」と非難している。さらに、米国内で製造されたバッテリー搭載車には優遇措置が500ドル(約5万5000円)上乗せされる。この法案が可決された場合、トヨタ、ホンダ、Tesla(テスラ)などの自動車メーカーの車両は優遇措置の対象外となるが、デトロイトの「ビッグ3」と呼ばれるメーカーはすべて対象となる。

トヨタは議員に宛てた書簡の中で、「現在の法案は、組合に加入しないという選択をした米国の自動車労働者を差別し、電動車両の普及を加速させるという目的を二の次にする」と述べ、「これは不公平であり、間違っています。この明らかに偏った提案を否決してくださることを求めます」と嘆願している。

さらにトヨタは、この法案は富裕層、つまり電気自動車の購入に公的資金を必要としない人々を優遇するものだと述べている。この法案には、調整後所得が40万ドル(約4400万円)までの個人、または80万ドル(約8800万円)までの世帯に、優遇措置の適用を制限するという所得調査の条項が設けられている。所得制限を設けるかどうか、あるいはその所得制限をどのようにするかは、議会の民主党と共和党の間で大きな争点となっている。

テスラのElon Musk(イーロン・マスク)CEOは、この法案を「メキシコで電気自動車を製造しているFord(フォード)  / UAW(全米自動車労働組合)のロビイストが書いたものだ。これがどれだけ米国の納税者のためになるのかはわからない」とツイッターで批判した。

Whole Mars Catalog

労働組合のために4500ドル(約49万円)に引き上げ、米国製に対してはたったの500ドルに減らしたことには、開いた口が塞がりません。

労働組合への2500ドル(約27万4000円)はすでに馬鹿げていました。しかし、新提案ではそれを4500ドルに拡大するとは?!? 彼らは明らかに1つの企業をターゲットにしています。

Elon Musk

メキシコで電気自動車を製造しているフォード / 全米自動車労働組合のロビイストが書いたものです。これがどれだけアメリカの納税者のためになるかはわかりません。

この法案は、EVに対する最大7500ドル(約82万円)の税額控除が10年以上前に施行されて以来、初めての増額となる可能性がある。また、この法案では20万台以上のEVを販売した自動車製造業者の車両を控除の対象外とする規定が廃止されるため、General Motors(ゼネラルモーターズ)やテスラのクルマも再び対象となる。

GM、フォード、そして旧クライスラー(Chrysler)のStellantis(ステランティス)という、全米自動車労働組合に代表される従業員が働く大手自動車メーカー3社は、この法案を賞賛している。

この法案は米国時間9月14日に下院歳入委員会で審議される。この税控除拡大は、現在議会で審議されている3兆5000億ドル(約383兆6000億円)規模の巨大な予算調整法案の一部に過ぎず、その中には他にも教育、医療、気候変動などを対象とした社会的に進歩的な提案が多数含まれている。

画像クレジット:Toyota

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

モントレー・カーウィーク開催、未来のEVと高性能ハイブリッド車が注目を集める

現地時間8月15日(日曜日)に閉幕したMonterey Car Week(モントレー・カー・ウィーク)では、ペブルビーチにコンクール・デレガンスが戻ってきた。太平洋を望むペブルビーチ・ゴルフコースで開催され、2021年で70回目を迎えるこのショーでは、黒の1938年式メルセデス・ベンツ540K Autobahnkurierがベストショーの栄冠に輝いた。しかし、2021年目立ったのは、ビンテージカーではなく、EVハイパーカーや高性能ハイブリッド車である。

絵画のように美しいモントレー半島一帯で、自動車レース、展示、パレード、販売を中心としたさまざまな催しが一週間以上も開催されるモントレー・カーウィーク。このペブルビーチのイベントは年を追うごとに華やかになり、2020年は中止となったが、2021年は(新型コロナウイルスの蔓延が懸念されていたにもかかわらず)シャンパンが振る舞われた。

デルタ型変異ウイルスの懸念を受け、2021年8月初めにニューヨークモーターショーの中止が決定した際には、モントレー・カーウィークも中止になるのではないかという憶測が流れた。しかし、秋に向かって先行き不透明なパンデミック禍でもショーを行う必要があることから、カーウィークは事実上のショーとして開催された。

2021年8月15日、ペブルビーチで開催された「2021年ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」で、ベスト・オブ・ショーを受賞した1938年式メルセデス・ベンツ540K Autobahnkurier(画像クレジット:David Paul Morris / Bloomberg)

コンクール・デレガンスまでの数日間、カーメルやモントレーの街は静かで人通りも少なく、走行しているビンテージカーも少ないように感じられた。駐車スペースでは、ランボルギーニやベントレー、フェラーリなどのモダンカーがスタンバイしていた。霧のような雨と低い気温にもかかわらず、ほとんどが屋外で行われたイベントでは、多くのゲストがマスクをつけたり外したりしていた。日曜日になると、大勢の観客がやってきて、コンクールは例年のような賑わいとなった。

メインイベントであるペブルビーチ・コンクール・デレガンスは、かつては戦前のレストアされたビンテージカーを対象としたイベントだったが、世代や嗜好の変化に伴い、会場のゴルフコース上には新車も登場するようになった。来場者の年齢層が若くなったことから、今では高性能なスポーツカーが数多く展示されている。

8月13日(金曜日)の夜に行われたGooding & Company(グッディングアンドカンパニー)のオークションでは、1995年式マクラーレンF1が2000万ドル(約22億円)という記録的な高値で落札された。一方、自動車メーカー各社は、高額なスーパーカーの限定モデルを、メディアやプライベートイベントに参加している上顧客に向けて、慌ただしく発表した。

Lamborghini(ランボルギーニ)のCTOであるMaurizio Reggiani(マウリツィオ・レッジャーニ)氏は「ペブルビーチは要です」と話す。「ペブルビーチのイベントは、車の美しさという側面で、人々が何を好んでいるかを教えてくれます」。

注目すべきは、現地時間8月11日(水曜日)、Audi(アウディ)が未来的なSkysphere conceptを展示したことだ。金曜日にはMercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)が、カリフォルニアスタイルの新しいコンバーチブルSLをプレビューしたが、このモデルは9月まで正式には発表されない。Aston Martin(アストンマーティン)は、ペブルビーチのゴルフコースを見下ろす広々としたスタンドで「Valkyrie」と「Valhalla」のモデルを展示したが、モデルを間近で見ることができたのはメディアと十分に吟味された顧客のみだった。

Rimac Automobili(リマックアウトモビリ)とLucid Group(ルシードグループ)の両社は、最も高価なEVパワートレインに投資する余裕のある潜在顧客と接触するためにペブルビーチに登場。Rimacは台座の上に圧倒的なスピードを誇るスポーツカー「Nevera」をデビューさせた。2021年のモントレー・カーウィークは、モダンカーと新しいプレイヤーが、周りの古い車を追い抜いてしまったように見えた。

超高級車に対する1年越しの鬱積した需要の高まりの中で、モントレーやカーメル周辺のレーストラック、道路は、パンデミック禍で購入したすべての車を披露できる最高の舞台だ。オークション価格が高騰し、7桁台(日本円では1億円以上)のスポーツカーが完売する中、ハイパフォーマンスカーへの情熱が衰えていないことが明らかになった。今回、ペブルビーチでお披露目された新車には、高価格、スポーツカーテクノロジーの集結、生産台数が少ないという共通点がある。以下、ハイライトを紹介する。

Aston Martin

画像クレジット:Tamara Warren

ここ数年、何度か延期されていたAston Martin Valkyrie Spiderだが、新CEOのTobias Moers(トビアス・ムアース)氏によってすでに完売したと発表された。Valkyrieは、取り外し可能なルーフパネルを備え、最高速度は時速350kmにも達する。パンデミック中にCEOに就任したムアース氏は、同社の生産方法を大幅に改良している。

ムアース氏は、新しい車載技術を加えることはブランドの将来にとって不可欠であり、それによって前世代のメルセデス・ベンツの技術から脱却できると話す。Astonのブースでは、ハイブリッドパワートレインを搭載したValhalla(2024年モデル)も展示されていた。

Audi Skysphere

「ザ・クエイル、ア・モータースポーツギャザリング」(カリフォルニア州カーメル)に出展されたEVコンセプトカー「Audi AG Skysphere」(画像クレジット:David Paul Morris/Bloomberg)

自動運転のコンセプトカー「Skysphere」は、ビンテージカーのコンクールというよりも、CES(コンシューマー・エレクトロニクスショー)に出展されているような印象を受けたが、ペブルビーチで発表された車の中で、最も興味深い車として注目を集めていた。Audiによれば、グランドツーリングモードとスポーツモードでホイールベースを変化させられるとのこと。

Bentley Flying Spur Mulliner

Bentley Flying Spur Mulliner(画像クレジット:Bentley)

Bentley Flying Spur Mullinerの豪華なインテリアは、贅沢なレザーで賛辞を集めたが、Bentley(ベントレー)にとって重要な意味を持つのはハイブリッドパワートレインを搭載するというニュースだ。

Bugatti Bolide

2021年の「ザ・クエイル、ア・モータースポーツギャザリング」でBugatti Bolideの横に立つBugatti Automobiles(ブガッティ・オートモービルズ)のプレジデント、Stephan Winkelmann(ステファン・ヴィンケルマン)氏(画像クレジット:Bugatti)

Bolideはペブルビーチではなく、金曜日にザ・クエイルで開催されたプレスカンファレンスで発表された。超高級自動車メーカーにとって、新型車は大きな意味を持つが、特に最後のガソリン車となるモデルは重要である。Bugattiによれば、Bolideは40台製造され、価格は1台400万ドル(約4億4000万円)。最高速度は時速480kmにもなるという。

Lamborghini Countach LPI 800-4

「ザ・クエイル、ア・モータースポーツギャザリング」に出展された「Lamborghini SpA Countach」(画像クレジット:David Paul Morris / Bloomberg)

デビュー50周年を記念し、初代モデルをオマージュしてデザインされたCountach。ボンネットの中には2.8秒で時速100kmに達するというハイブリッドパワートレインを搭載した、まったく新しいモデルである。

Acura NSX Type S

Acura NSX Type S(2022年モデル)。(画像クレジット:Acura)

Acura(アキュラ)は、現行最後のスーパーカー「NSX」の最終モデルとして、ハイエンドのハイブリッドバージョンを発表した。350台限定生産を予定し、価格はおよそ17万1000ドル(約1900万円)から。

Rimac Nevera

「ザ・クエイル、ア・モータースポーツギャザリング」に出展された高級EVスーパーカー「Rimac Nevera」(画像クレジット:David Paul Morris / Bloomberg)

Rimacは、244万ドル(約2億7000万円)のEVスーパーカー「Nevera」を米国でデビューさせ、モントレーにその名を刻んだ。Rimacによると、Neveraはフル充電で最大400マイル(約640km)走行可能で、最高速度は時速258マイル(約410km)とのこと。モントレーでのRimacの華やかな存在感は、かつてはビンテージカーの象徴だったペブルビーチで、競争相手を凌駕する新たなEVプレイヤーが求められていることを示している。

画像クレジット:David Paul Morris/Bloomberg via Getty Images

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(文:Tamara Warren、翻訳:Dragonfly)

ホンダから誕生したベンチャー企業Ashiraseが視覚障がい者向けの先進的歩行支援システムを公開

学術誌「Investigative Ophthalmology and Visual Science(眼科学および視覚学の研究)」に掲載された2020年のデータによると、世界では2億2500万人が中程度または重度の視覚障がいを患っていると推定され、4910万人が失明しているという。Honda(ホンダ)の新事業創出プログラムから誕生した日本のスタートアップは、視覚障がい者が世界をより簡単に、より安全にナビゲートできるようになることを望んでいる。

ホンダのビジネス創造プログラム「IGNITION(イグニッション)」から生まれた最初のベンチャー企業として6月にデビューした株式会社Ashirase(あしらせ)は、米国時間7月28日、視覚障がい者向けシューズイン型ナビゲーションシステムの詳細を公開した。「あしらせ」と名付けられたこのシステムは、スマートフォンのナビゲーションアプリと連動し、足に振動を与えることで歩く方向を知らせ、視覚障がい者の日常生活における自立を支援することを目的としている。Ashiraseはこのシステムを2022年10月までに製品化したいと考えている。

ホンダは、同社の従業員が持つ独創的な技術、アイデア、デザインを形にし、社会課題の解決や同社の既存事業を超えることを目的として、2017年にIGNITIONを起ち上げた。AshiraseのCEOである千野歩氏は、2008年からホンダでEVのモーター制御や自動運転システムの研究開発に携わってきた。千野氏の経歴は、このナビゲーションシステムの技術にも表れており、同氏によれば、自動車用の先進運転支援システムや自動運転システムから着想を得たという。

「共通する視点には、例えば、センサー情報の活用方法などが挙げられます」と、千野氏はTechCrunchの取材に語った。「私たちは、センサーフュージョン技術、つまり異なるセンサーからの情報を組み合わせる技術を使っています。私自身、その分野の経験があるので、それが役に立ちました。加えて、自動運転技術と重なる点もあります。というのも、私たちが安全な歩行というものを考えていたとき、自動運転の技術がコンセプトの発想につながったからです」。

「Ashirase」とは日本語の「足」と「知らせ」を意味する。その名が表す通り、アプリ内で設定したルートに基づき、靴に装着したデバイスが振動することで、直進、右左折、停止といった情報をユーザーに知らせ、ナビゲーションを行う。デバイスには加速度センサー、ジャイロセンサー、方位センサーで構成されたモーションセンサーが内蔵されており、ユーザーがどのように歩いているかを把握することができる。

外出時には、衛星測位システムによる位置情報と、足の動作データをもとに、ユーザーの現在位置を特定し、誘導情報を生成する。Ashiraseのアプリは、Googleマップなどさまざまな地図ベンダーと接続されており、異なる地図で得られる異なった情報に適応するように、デバイスを切り替えることができると千野氏はいう。例えば、ある地図では封鎖されている道路についての情報が更新されている場合などには、その情報を無線で送ることができるので便利だ。

「将来的には、屋外環境のセンサーを利用して、地図そのものを生成する機能を開発したいと考えていますが、それは5年くらい先の話になるでしょう」と、千野氏は語った。

バイブレータは足の神経層に沿って配置されており、振動を感じやすいように設計されている。直進を指示する時は、靴の前方に備わるバイブレーターが振動する。左右に曲がる場所に来たら、靴の左右に配置されたバイブレーターが曲がる方向を知らせる。

このような直感的なナビゲーションにより、歩行者は常にルート確認しなければならない心理的負担から解放され、より安全でストレスの少ない歩行が可能になると、Ashiraseは述べている。

また、例えば横断歩道などのように、デバイスが前方の障害物を警告することができない場所でも、ユーザーは聴覚による周囲の安全確認により集中できる。

「今後は、視覚障がい者のように障害物を認識する手立てを持たない全盲のユーザーに向けた技術的なアップデートも考えています」と、千野氏はいう。「今のところ、このデバイスは視覚障がい者の歩行を想定して設計されています」。

ショッピングモールなどの屋内では、衛星測位システムの電波が届かず、ユーザーが位置を特定できる地図もない。これを解決するために、同社ではWiFiやBluetoothを使って測位し、店内の他の機器や携帯電話と接続して、視覚障がい者の位置を特定することを計画しているという。

Ashiraseでは公共交通機関との連携も検討しており、次の停留所に到着したことやその近くにいることを、ユーザーに知らせることができるようにしたい、と千野氏は語っている。

どんな靴にも取り付けられるこの小さなデバイスには、たくさんの技術が詰め込まれている。千野氏によれば、さまざまな種類、形、サイズの靴に柔軟にフィットするようにデザインされており、1日に3時間の使用なら週に1回の充電で済むという。

Ashiraseは、2021年の10月か11月にベータ版をリリースしてテストとデータ収集を行い、2022年10月までに量産を開始したいと考えている。製品版には、まだ価格は明らかになっていないがユーザーに直接販売するモデルの他、月額2000~3000円程度のサブスクリプションモデルも用意される見込みだ。

市場投入までには、すでに調達した資金を含めて、2億円ほど必要になると千野氏は考えている。同社はこれまでに、一度のエクイティ投資ラウンドと、いくつかのノンエクイティ投資ラウンドで、総額7000万円の資金を調達しているという。

ホンダは投資家の1人として同社に関わり、事業をサポートし、フォローしていくものの、Ashiraseは独立した会社として上場することを目指している。

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ホンダと楽天が自動配送ロボットの走行実証実験を共同で開始、筑波大学構内および一部公道で実施
北米ホンダ初の電動SUV「プロローグ」は2024年初めに発売、EV量販モデル第1弾はGMと共同開発

カテゴリー:ハードウェア
タグ:HondaAshirase視覚歩行

画像クレジット:Ashirase

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ホンダと楽天が自動配送ロボットの走行実証実験を共同で開始、筑波大学構内および一部公道で実施

写真右下側にあるボックスが、Hondaの交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack」(モバイルパワーパック)

写真右下側にあるボックスが、Hondaの交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack」(モバイルパワーパック)

本田技術研究所(Honda)と楽天グループ(楽天)は7月19日、自動配送ロボットの走行実証実験を共同で開始したと発表した。実施期間は7月19日~8月31日。実施場所は、筑波大学構内の宿舎周辺と一部公道を含む全長約500m。

現在、コロナ禍により、ラストワンマイルにおける「遠隔・非対面・非接触」配送ニーズの増加、また少子高齢化に伴う配達員不足への対応といった社会課題が顕在化している。その解決に向け、Hondaが長年研究してきたロボティクス技術と、楽天の配送サービスのノウハウとを活用し、自動配送ロボットの検証を行う。

同実証実験では、Hondaが開発した自動配送機能を備えた車台に、楽天が開発した商品配送用ボックスを搭載した自動配送ロボットが、筑波大学構内(一部公道を含む)を自動走行する。電力源にはHondaの交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack」(モバイルパワーパック)を採用しており、充電を待つことなく配送サービスの継続が可能という。

走行中は、楽天モバイルの通信回線(LTE)を用いて、宿舎周辺から最大約650m離れた地点から自動配送ロボットの遠隔監視などを安全確認のために実施する。

また同実証実験での技術検証・データ収集・ニーズ把握を踏まえ、自動配送ロボットを活用した商品配送サービスの提供を目指し技術開発を継続するとしている。

各社の役割

  • Honda:自動配送ロボットの機体とシステムの開発・仕様検討および技術実証
  • 楽天:安全面での対策の検討、商品配送用ボックスの開発およびサービス実用化に向けた検討

なお同実証実験は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「自動走行ロボットを活用した新たな配送サービス実現に向けた技術開発事業」による支援を受けて実施するものという。

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タグ:自動運転 / 自律運転(用語)配送 / 宅配 / デリバリー(用語)物流 / ロジスティクス / 運輸(用語)Honda / 本田技研(企業)楽天 / Rakuten(企業)ロボット配達(用語)日本(国・地域)

北米ホンダ初の電動SUV「プロローグ」は2024年初めに発売、EV量販モデル第1弾はGMと共同開発

ホンダの米国法人であるAmerican Honda Motor Co.(アメリカン・ホンダモーター)は、同社にとっては北米で初のフル電動SUVを2024年初頭に発売すると発表した。これは、2020年代半ばまでにガソリン車からの脱却を目指す同社の取り組みの一環だ。「Prologue(プロローグ)」という車名は、ホンダが「新しい電動化時代」と呼ぶものの序章を意味している。

Prologueは、ゼネラルモーターズ(GM)の「アルティウムセルズ」EVプラットフォームとバッテリーパックを採用した、今後発売される2車種のホンダ車のうちの1つだ。もう1車種はAcura(アキュラ)ブランドの電動SUVで、2024年にデビューする予定。GMはOEMメーカー2社の間で長年続いているパートナーシップの一環として、これら2車種を北米の同社工場で製造する。

ホンダは価格やクルマの外観などを含め、これらの新型SUVの重要な詳細については今のところ口を閉ざしている。しかし同社は、Tesla(テスラ)の「Model Y(モデルY)」、Ford(フォード)の「Mustang Mach-E(マスタング・マッハE)」、Volkswagen(フォルクスワーゲン)の「ID.4」などのライバルに対抗し、競争の激しい電動SUV市場に参入することになる。

ホンダは、GMやVolvo(ボルボ)を含む他の自動車メーカーとともに、北米地域での野心的な電動化目標を設定している。同社の三部敏宏社長は2021年4月、バッテリー式・燃料電池EV販売の割合を2030年までに40%、2035年までに80%まで引き上げ、2040年までに内燃エンジン車の販売を全廃するという目標を掲げた。その一環として、ホンダは独自の新EVプラットフォーム「e:Architecture(e:アーキテクチャー)」を開発し、2020年代後半に発売するEVモデルに採用する計画があると発表した。

また、ホンダは米国時間6月28日、Battery Resourcersとの間で、ホンダとアキュラのEVに搭載されたバッテリーをリサイクルする契約を締結したと別途発表した。これらのバッテリーは、まずマサチューセッツ州ウースターにあるリサイクル会社のサイトで処理され、その後、2022年に稼働する予定の商業規模の工場で処理されるとのこと。Battery Resourcersは最近、新工場の開設を含む事業拡大のために2000万ドル(約22億1000万円)のシリーズBを調達していた。

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画像クレジット:Geoff Robins / AFP / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

ホンダ新事業創出プログラムIGINITION第1号のAshiraseが5000万円調達、視覚障がい者向け単独歩行ナビを2022年度製品化

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靴に装着した「あしらせ」とスマートフォンアプリ

本田技研工業(Honda)の新事業創出プログラム「IGINITION」(イグニッション)発第1号スタートアップ企業「Ashirase」(アシラセ)は6月11日、シードラウンドにおいて、5000万円の資金調達を発表した。引受先は、Hondaおよびリアルテックファンド。調達した資金により、視覚障がい者の方に実際の生活で利用可能かつ最終仕様に近い試作を2021年度に製作することを目的に、靴装着型IoTデバイスおよびナビゲーションアプリを開発、2021年中に実証試験を実施する。またその結果を活用し、2022年度中の製品化を目指す。

Ashiraseが開発する「あしらせ」は、音声入力や案内を行うスマートフォンアプリと、靴の中に取り付ける立体型のモーションセンサー付き振動デバイスで構成された、視覚障がい者向け単独歩行支援ナビゲーションシステム。

ホンダ新事業創出プログラムIGINITION第1号「Ashirase」が5000万円調達、視覚障がい者向け単独歩行ナビを2022年度に製品化

「あしらせ」の振動デバイス

なおこのデバイスは、本体には柔らかく、形状を保てる素材を採用し、靴の中に入れても違和感が少ないという。装着したまま靴を脱ぎ履きできるため、付け忘れの心配もないそうだ。また充電はマグネットでの設置方式を採用しており、1回2時間の充電で1週間程度の使用が可能。

あしらせでは、GNSS測位情報と、ユーザーの足元の動作データから、視覚障がい者向けの誘導情報を生成。アプリで移動ルートを設定すると、白杖を持つ手や周囲の音を聞く耳を邪魔しないよう、靴の中に取り付けたデバイスが振動する形でナビゲーションを実施。直進時は足の前方の振動子が振動、右左折地点が近づくと右側あるいは左側の振動子が振動して通知する。進行方向を直感的に理解できるため、ルートを常に気にする必要がなくなり、より安全に、気持ちに余裕を持って歩行できるようになるとしている。

ホンダ新事業創出プログラムIGINITION第1号「Ashirase」が5000万円調達、視覚障がい者向け単独歩行ナビを2022年度に製品化

ホンダ新事業創出プログラムIGINITION第1号「Ashirase」が5000万円調達、視覚障がい者向け単独歩行ナビを2022年度に製品化

ロービジョンを含めた日本の視覚障がい者数は、国内164万人(【日本眼科医会研究班報告 2006~2008】日本における視覚障害の社会的コスト)、アメリカや欧州を含めた先進国全体では、1,200万人にのぼると推定されているという。一方、盲導犬は国内1000頭程度しか存在しないそうだ。また、ガイドヘルパーは自治体ごとに利用制限が設けられているとともに、歩行支援では腕を掴むなど必ず密になることから、コロナ禍の影響でヘルパーを辞める方が増えているという。

こうした背景から、視覚障がい者の方は単独で歩行するケースが増えているとされるものの、単独歩行には様々な課題がある。Ashiraseは、その中でも「歩行が出来ない、大変な思いをすることで、『外出が怖い』といった心理的課題が発生」「安全確認とルート確認に追われながら歩いている」「歩行時は聴覚に頼ることが多いため、音声ナビなどを使う聴覚を邪魔され、不安を感じたり危険に遭遇したりする」の3点に注目したそうだ。

ホンダ新事業創出プログラムIGINITION第1号「Ashirase」が5000万円調達、視覚障がい者向け単独歩行ナビを2022年度に製品化

Ashiraseは、「あしらせ」により視覚障がい者が自分自身で安全を担保しつつ余裕を持って歩けることが外出したいと思える気持ちや達成感の後押しとなり、ひいては自立につながると考えているそうだ。

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タグ:アクセシビリティ(用語)Ashirase(企業・サービス)Honda / 本田技研(企業)資金調達(用語)日本(国・地域)

ホンダは2040年までに北米における販売の100%EV達成を目指す

本田技研の新しい目標は、2050年までにカーボンニュートラルを達成するという大目標の一環として、2040年までに北米における販売台数の100%をEVにすることだ。CEOの三部敏宏氏は、内燃機関からの移行計画を4月23日の記者発表で述べたが、それは彼が2021年4月初めに同社最高位役員になってから初めての発表だった。

このところ伝統的な自動車メーカーは相次いで、無公害車の生産比率を上げてカーボンニュートラルを達成すると発表しているが、今回はその最新のケースとなる。GM(ゼネラルモーターズ)は2035年までに北米規格の軽負荷車輌からガソリン車とディーゼル車を廃止する計画だ。マツダ、三菱および日産はいずれも、2050年までに炭素排出量をゼロにすると述べている。本田技研の目標は日本の電化計画にも沿うものであり、そこでは2030年までに排出量を46%カットするとなっている。

本田技研はこの計画にすぐに着手し、2030年までに販売台数の40%、2035年までに主要市場のすべてで80%をEVにする予定だ。2020年代の後半には、この日本で2番目に大きい自動車メーカーは北米で、同社のプラットフォームに基づく一連の新しいEV車種を立ち上げる。このプラットフォームは、ホンダの広報担当者によれば「ボディーとEVの三大部位であるバッテリーとモーターとインバーターの共用性を増し、同時に高いスペース効率とバッテリー搭載効率を実現した」というものだ。

本田技研と同社アキュラ事業部はまた、2024年にGMのUltium(アルティウム)バッテリーを用いる大型EVを2車種を導入する。同社とGMのコラボレーションは今後さらに深まり、本田技研は商用トラックや電源装置など一連の製品にGMの燃料電池技術を適用していく予定だ。

関連記事:ホンダとベライゾンがドライバーの安全性向上に5Gとエッジコンピューティングの活用を検討

カテゴリー:モビリティ
タグ:honda電気自動車カーボンニュートラルGM二酸化炭素

画像クレジット:Drive Oregon

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ホンダとベライゾンがドライバーの安全性向上に5Gとエッジコンピューティングの活用を検討

Honda(ホンダ)とVerizon(ベライゾン)は、5Gとモバイルエッジコンピューティング(MEC)が、現代のコネクテッドカーと将来の自動運転車の安全性向上にどう役立つかについて検証を行っている。

米国時間4月8日に提携を発表したこの2つの企業は、ミシガン大学にあるコネクテッドカーと自動運転車のための試験場Mcity(エムシティー)で、さまざまな安全シナリオを試験中だ。このベンチャーの目的は、5G接続とエッジコンピューティングの組み合わせをどのように使えば、自動車、歩行者、道路インフラ間の高速通信が可能になるかを研究することにある。要するに、高速通信により、衝突や危険を回避してより安全なルートを自動車が判断できるようにすることだ(TechCrunchはVerizonのVerizon Mediaの所有している)。

5Gのテストは、まだ予備研究の段階であり、ホンダはこの新技術を使った機能を製品に実装する予定はない。Verizonは、2021年中に少なくとも4つの都市で5G対応車の公道テストを計画していると、同社技術開発上級マネージャーでありこのプロジェクトのリーダーの1人Brian Peebles(ブライアン・ピーブルス)氏は話している。

この提携事業は、ホンダが2017年から開発を進めているSAFE SWARM(セーフスウォーム)車載AI技術の上に成り立っている。これには、C-V2X(Cellular Vehicle-to-Everything)通信が利用されている。その名が示すとおり、C-V2Xは、クルマとその他の道路利用者との通信を行うための標準技術だ。

以前にも、DSRC(Dedicated Short Range Communications)という同様の通信技術があったが、これは基地局を介してクルマ同士の通信を行うというものだった。一方、V2Xと5Gの組み合わせには、デバイス間の直接通信が可能になるという優位性がある。もちろん、FCC(米連邦通信委員会)も承認している。

「そもそも、V2Xは車両同士が対話をするものです」と、ホンダ先進技術研究部門の研究グループリーダーEhsan Moradi Pari(エサン・モラディ・パリ)博士はTechCrunchに話してくれた。「車両は、互いに現在位置、速度、その他のセンサー情報を提供し合い、各車両は他車との衝突しないかどうかといった脅威の査定を行います。この(5GとMECという)技術により、私たち全員が自身の情報をネットワークに提供することで、事故の恐れがないかどうかをネットワークが教えてくれるようになります」。

ホンダとVerizonは、この技術なら車載コンピューターよりもずっと速く通信を処理できるという前提に立っている。クルマに搭載されている非力なコンピューターにネットワーク処理を任せるのではなく、コネクテッドカー、歩行者、道路インフラで生成された情報を5Gネットワークに送信する。そうして、ネットワークのエッジで(つまりクラウド内ではなく)コンピューター処理をリアルタイムで行わせる。

センサーとソフトウェアに依存した車両では、ドライバーが何かにぶつかりそうになったと感知してからブレーキをかけることになるが、MECの場合は道路のずっと先で何が起きているかを確認しコミュニケーションをとることで、ほぼ未来を予測できる。そこが利点だ。

ピーブルス氏によれば、通信速度は際立っており、Verizonの5GネットワークからMECとの間の往復の遅延テストでは、50ミリ秒以下という成績が得られたという。

Verizonとホンダがテストを行った安全シナリオには、信号無視もあった。彼らは、スマートカメラ、MEC、V2Xソフトウェアからのデータを使うことで、赤信号を無視して突っ込んでくる車両を感知し、視覚的な警告メッセージをその交差点に近づきつつある他の車両に送ることに成功した。同様のシナリオを用いて、建物の陰に歩行者が隠れていることや、大音量で音楽をかけていてサイレンが聞こえないドライバーに緊急車両の接近を知らせるテストも行った。

「すべての道路利用者間の確実なアルタイム通信は、自動運転環境に極めて重要な役割を果たします」とパリ氏。「こうしたネットワーク接続を用いた安全技術により、潜在的な危険をはらむ状況をリアルタイムで感知し、ドライバーや自動運転システムに警告を発することが可能になります」。

この研究の初期段階には、人が運転する車の安全性を向上させる技術も含まれているが、ホンダとVerizonの提携関係は、将来の自動運転車の5G利用に向けた下地を作ることになる。このテストでコネクテッドカーの安全性が証明されたなら、やがてはより効率的なネットワークが生み出され、交通渋滞の緩和と、ひいては大気汚染の減少につながっていくはずだ。

「私たちの第1の目的は、クルマの安全と人の安全の向上です」とピーブルス氏はTechCrunchに語った。「米国内だけでも、年間4万2000人以上が交通事故で亡くなり、200万人が怪我をしています。人間が運転する時代から進化するためには、テクノロジーの重要性はさらに高まります。その移行は、安全で総合的なやり方、つまりすべてのものが協調して動くとった方向で進めなければなりません」。

現在公道で走行テストが行われている自動運転車は、5Gもエッジコンピューティングも必要としないものだ。自動運転車のメーカー各社も、5Gの可能性に注目しているが、彼らは今の技術をベースに車両を開発している。

5GとMECの組み合わせには、課題もある。これほどのレベルの相互接続性は、ハイウェイ全般と、すべての交差点にセンサーを配置して初めて機能する。5G対応の車両やデバイスは相互通信が可能だが、歩行者や道路インフラとコミュニケートするためには、スマートカメラがそれらの存在に気づき、その情報をネットワークで共有できなければならない。しかも、センサーは完ぺきではない。

これには巨大なインフラ投資が必要であり、さらに、必要なあらゆるセンサーの設置には、州、都市、地方自治体の住民の支持と協力が欠かせない。だが、1つのユースケースとして中国に目を向ける人もいるだろう。中国では、5Gネットワークへの早急な移行を国策にしており、同国の多くの自動運転車メーカーは、開発には、5G通信と高度な計算能力が極めて重要であることに気づいている。

カテゴリー:モビリティ
タグ:HondaVerizonエッジコンピューティング自動運転5G

画像クレジット:Verizon

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:金井哲夫)

ホンダがレベル3自動運転機能搭載「レジェンド」発売、高速道路渋滞時などの一定条件下でシステムが運転操作

ホンダがレベル3自動運転機能搭載「レジェンド」発売、高速道路渋滞時などの一定条件下でシステムが運転操作

ホンダが、世界で初めてレベル3自動運転機能を搭載する量産車となる新型「レジェンド」を発売しました。高速道路上、特定条件下に限定されるものの、自動的にアクセルおよびブレーキ、ステアリング操作を自動運転システム「Honda SENSING Elite」のなかの「トラフィックジャムパイロット(渋滞運転)」機能がドライバーに代わって操作します。

「Honda SENSING Elite」はハンズオフ機能が付いた車線内運転支援機能、車線変更支援機能、高度車線変更支援機能などを備えており、ハンドルを握らずとも高速道路を走行できます。

トラフィックジャムパイロットが作動するのは、このハンズオフ機能を使用して高速道路本線を走行中、渋滞またはそれに近い状況に差し掛かったときで、速度が30km/hを下回ると自動的に切り替わります。いちどトラフィックジャムパイロットが作動すれば、速度が50km/hを上回るまではその状態を継続し、ドライバーは運転を車に任せ、ナビゲーションの画面を操作したり、TVやDVD鑑賞なども可能になります。もちろんスマートフォンの操作もOK。

渋滞が緩和されて速度が50km/h以上になればトラフィックジャムパイロットは終了しドライバーに通常のアダプティブクルーズコントロール(ACC、車線維持機能あり)に移行します。もし、トラフィックジャムパイロットが終了するのにドライバーが気づいていなければ、車は自動で車がシートベルトを振動させて対応を促します。それでも反応がない場合は、システムは警報音やクラクションを鳴らし、ハザードランプ、クラクションなどでドライバーに運転への復帰を促します。

もしそれでもドライバーからの応答がなければ、ドライバーに何らかの異状が発生していると判断し、自動的に「緊急時停車支援機能」が働いて車を停車できそうな場所に停めて不慮の事態を回避します。なお、レベル3自動運転機能搭載車には、「自動運転」の表示をする必要があります。

限定的とはいえレベル3自動運転の搭載は、最終的にレベル5を目指す自動車メーカー全体にとって重要かつ大きな1歩です。テスラはAutopilotの開発において、ベータ版のソフトウェアを顧客に使わせ、言いようによっては顧客を実験台とすることで機能向上を図ってきました。そのテスラでも、まだレベル3の実用化には至っていません

(Source:HondaEngadget日本版より転載)

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タグ:自動運転(用語)Honda / 本田技研(企業)日本(国・地域)

ホンダが市販車初となるドライバーの監視が不要な自動運転レベル3の「レジェンド」を2021年3月発売

Honda(ホンダ)はSAEレベル3機能の自動運転車を初めて量産するメーカーになったことを発表した。Honda Legend luxury sedanの完全認定済み自動運転装置付きモデルは2021年3月に日本で販売開始される。Hondaはこのニュースをプレスリリースで発表し、これは日本政府が同社の自動運転装置「Traffic Jam Pilot(トラフィック・ジャム・パイロット)」を認定したのを受けたもので、ドライバーは初めて、装置作動中実際に道路から目を離すことが許される。

同じ日本の日産自動車には、Pro Pilot Assist(プロ・パイロット・アシスト)という機能が以前からあるが、これはSAE基準のレベル2で、速度と操舵を自動制御できるが、運転席のドライバーは必要な時はいつでも手動制御に切り替えるよう常に準備しておく必要がある。SAEレベル3は、実際に無人運転であるとほとんどの専門家が感じられるカテゴリーに属すものでドライバーは車の制御を完全に任せることができる。レベル3はそれでも、システムの要求があった時にドライバーが代わって運転できなければならないが、レベル4、5ではその必要がない。

Tesla(テスラ)も独自の「完全自動運転」機能のベータプログラムを開始しており、徐々にテストドライバーを増やしているが、批評家によると、その名前と異なり実際には完全な自動システムではなく、規則の上でもその分類にはまだ入らないという。Hondaによる2021年3月のレベル3レジェンドの発売は、当局承認済みの量産自動運転システム初の本格的テストとして、世界中の規制当局と一般ドライバーが注目するだろう。

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タグ:Honda自動運転

画像クレジット:Honda

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook