バーチャルイベントで急成長したユニコーンHopinが「持続可能な成長」を理由に12%の人員削減

複数の情報筋によると、パンデミックの中で急速に規模を拡大したことでしばしば称賛されるバーチャルイベントプラットフォームのHopin(ホピン)が、スタッフの12%に当たる138名のフルタイム従業員と、一部の契約社員を削減したとのこと。TechCrunchに対しリストラを認めたHopinの広報担当者は、影響を受けた従業員には、3カ月分の報酬、健康保険、およびラップトップを支給することも確認している。また、株式の権利確定条件となっている1年間の対象勤務期間を取り除き、人材紹介会社のRiseSmart(ライズスマート)を利用して就職活動を支援するとのこと。

「前例のない成長といくつかの買収を経て、当社はより効率的で持続的な成長のための目標に沿って組織を再編します」と同社はTechCrunchへの声明で述べている。「チームメイトと別れるのは簡単なことではありませんが、彼らがHopinに与えてくれたインパクトに深く感謝しています」とも。

TechCrunchが入手したスクリーンショットによると、HopinのCEOであるJohnny Boufarha(ジョニー・ブファラート)氏は、同社のSlackにこの組織再編に関する声明を投稿している。

同氏は「当社は必要な財務規律と組織的な厳密さを確保しつつ、より効率的になることを約束します」と記している。また、今回のリストラは、急速な成長と買収に伴い「ビジネスに忍び寄るオーバーラップや重複を解決するため」と指摘している。注目すべきは、HopinはStreamYardを2億5000万ドル(約290億円)で買収したのを含め、2021年だけで5社を買収していることだ。

この声明は、Hopinが56億5000万ドル(約6548億円)の評価額で4億ドル(約464億円)の資金調達を完了したわずか11カ月前とは異なるトーンを示している。当時、ブファラート氏はTechCrunchに対し、彼の会社は「2022年には運用面でIPOの準備を整えていくつもりだ」と述べていた。ベンチャー支援を受けたこのスタートアップは、Crunchbaseによると、Tiger Global(タイガー・グローバル)、Andreessen Horowitz(a16z、アンドリーセン・ホロウィッツ)、General Catalyst(ゼネラル・カタリスト)、Accel(アクセル)、Slack Fund(スラック・ファンド)、Coatue(コートゥ)、Salesforce Ventures(セールスフォースベンチャーズ)などのトップ投資家から、2年間で最大10億ドル(約1159億円)の既知のベンチャーキャピタルを集めている。

このユニコーン企業でリストラが行われているというニュースを最初に報じたレポーターのGergely Orosz(ゲルゲリー・オロッシュ)氏は、記事の中で「Hopinの最大の問題は、パンデミック時の需要に目を奪われ、アフターコロナの世界への準備ができていなかったことだ」と指摘している。

パンデミックで増幅された需要に追いつくために、スタートアップが急成長を求めて規律を失ったというよく似たストーリーは、ここ数週間で他の業界にも波及している。

Peloton(ペロトン)は、この「得やすいものは失いやすい」トレンドを最も顕著に示しており、今週、2800人の雇用を削減し、CEOのJohn Foley(ジョン・フォーリー)氏を会社の指揮から外した。この動きは、フィットネス機器メーカーであるPelotonが、消費者からの需要の低迷により、トレッドミルやバイク製品の生産を停止せざるを得なくなったことを受けての措置だ。

画像クレジット:AndreyPopov / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Aya Nakazato)

バーチャルイベントプラットフォームのユニコーンHopinがさらに2社を買収しビデオ事業に3倍賭け

バーチャルイベントサービスで知られるユニコーン企業のHopin(ホピン)は、米国時間3月23日朝、さらに2社を買収したことを発表した。買収されたのはJammStreamableの2社で、Hopinは取引の詳細を明らかにしていない。

しかしHopinの創業者兼CEOであるJohnny Boufarhat(ジョニー・ブファラート)氏はTechCrunchへのメールの中で、2社とも「アーリーステージ」の企業だと述べている。このコメントから、取引の規模をある程度推測することができる。

Hopinは今回の取引に加えて、2021年1月にStreamYardを2億5000万ドル(約272億円)で買収すると発表するなど、ここ数カ月、買収に積極的だ。

Jammは「ワンクリックでできるチームのためのビデオコラボレーション」と称してサービスを販売しており、Streamableは他社のビデオのアップロードやストリーミングを支援している。ライブ動画配信サービスを提供していたStreamYardを買収したことからしても、Hopinの小切手帳の焦点がビデオであることは想像に難くない。

ブファラート氏はそれを認め、今回の買収は「プロ仕様のビデオ機能を大きな規模で簡単に利用できるようにするために、さらに多くの技術を構築する」ために役立つとTechCrunchに説明している。CEOは、同社は「非公式」にその取り組みを「ビデオのあらゆる側面を活用したコネクションのエコシステム」と呼んでいる、と付け加えた。

このビジョンに対するTAM(Total Addressable Market、総獲得可能市場)は、Hopinが最も得意とするバーチャルイベントの事業や、同社が元々サポートするために生まれたオンライン / オフラインのハイブリッドイベント市場よりも大きいと思われる。

HopinがStreamYardの買収を発表したとき、それは重要な収益を上げている会社を買収したということだった。ブファラート氏のチームは、StreamYardを単独の製品として存続させることを決めた。JammとStreamableはよりアーリーステージの案件だが、同じような扱いを受けるのだろうか?

答えはイエスでもあり、ノーでもある。Streamableの場合はイエス、Jammはノーだという。ブファラート氏によると、Jammは「Hopinの製品に完全に統合される」とのことで、一方、Streamableは単独の製品として存続させつつ、イベントプラットフォームに統合するポイントを見つけていくとのことだ。

TechCrunchは、StreamYardの取引のように、Hopinが買収した収益の量は重要なのかどうかコメントを求めた。ブファラート氏によれば、それはないという。つまり、2021年3月初めに行われた4億ドル(約435億2000万円)の資金調達ラウンドで開示された、Hopinの最後の収益額である7000万ドル(約76億2000万円)のARR(年間経常収益)は、まだ適切である可能性が高い。当時のHopinの評価額は56億5000万ドル(約6147億円)だった。

Hopinは同社のプラットフォームを利用してイベントを開催する「オーガナイザー」の数が、2021年3月初めの8万5000人から米国時間3月23日の時点で9万人に増加したことを明らかにした。これは、カ月足らずで6%弱の成長を意味する。Hopinの急成長の軌跡は、今のところ損なわれていないようだ。

関連記事:VCが注目するバーチャルイベントプラットフォームHopinの企業価値は最大6370億円に

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タグ:Hopin買収バーチャルイベント

画像クレジット:Hoxton/Tom Merton / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Aya Nakazato)

VCが注目するバーチャルイベントプラットフォームHopinの企業価値は最大6370億円に

バーチャルイベントプラットフォームのHopinは、巨額な企業価値を期待している。

TechCrunchが話した複数の情報筋によると、2019年半ばに設立された同社は、現在資金調達の巡回中で、資金調達前企業価値50億ドル(約5310億円)で約4億ドル(約420億円)を調達するシリーズCラウンドをまもなく完了するという。リードしたのはおそらくAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)とGeneral Catalyst(ゼネラル・カタリスト)の2社といわれている。

企業価値は60億ドル(約6370億円)までいくのではないか、と2つの情報筋は示唆しているが、同社が受け取った一部の提案条件によると希薄化が大きくなるという。契約条件は流動的で、ラウンドの規模、企業価値ともに今後変更される可能性がある。

ある筋がTechCrunchに伝えたところによると、同社のARR(年間経常収益)は6000万ドル(約64億円)に達しており、聞こえてくる価値額のとおりだとすると、企業価値マルチプルは80〜100倍になる。この種の倍率は、SaaSベースビジネスモデルの有望企業の資金調達ではありえない話ではない。

Hopinはこの数カ月間、資金調達に忙しくしている。2020年11月のシリーズBでは企業価値21億2500万ドル(約2250億円)で1億2500万ドル(約130億円)を調達、夏のシリーズAでは4000万ドル(約40億円)、その前の冬には650万ドル(約7億円)のシードラウンドを完了している。Crunchbaseによると、誕生からおよそ20カ月の間に、計1億7140万ドル(約182億円)をVCから獲得したことになる。

本誌が最後に同社について報じたとき、Hopinの年間経常収益はゼロから2000万ドル(約21億円)へと成長し、ユーザー基盤も事実上のゼロから11月には3500万ユーザーへと伸びた。当時同社は、5万のグループが同プラットフォームを使っていると報告していた。

Hopinのプラットフォームは、対面イベントの体験をバーチャルに変換するためのもので、展示フロアを歩き回る体験を再現するツールを提供し、1対1をネットワークでつないでファイアサイドチャット(炉辺談話)やパネルにも自然に参加できる。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック下で国内外の移動が強く制約され,ビジネスや教育のカンファレンスが軒並み中止となった時期に大人気となった。


ちなみに本誌のビジネスチームはDisrupt,Early Stage、Extra Crunch Live、あるいは来週のTechCrunch Sessions:Justice 2021などTechCrunchの報道イベントすべてをHopinで運用している(こうしたソフトウェアの選択とコストは、幸いなことに、私たち編集チームの権限の外にある)。

Hopinは現在バーチャルイベント分野のメガリーダーであるかもしれないが、突然生まれたこのバーチャル業界に挑んでいるスタートアップはここだけではない。Run The World(ラン・ザ・ワールド)は2020年資金を調達し、Welcome(ウェルカム)は「イベントプラットフォームのザ・リッツ・カールトン」を目指している。Spotify(スポティファイ)が参入を準備し、Clubhouse(クラブハウス)も強敵に違いない。InEvent(インイベント)は2021年シード資金を獲得し、Hubilo(ハビロ)も参入した

本誌はHopinにコメントを求めている。

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画像クレジット:Colin Anderson Productions pty ltd / Getty Images

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(文:Danny Crichton、Steve O’Hear、翻訳:Nob Takahashi / facebook