リフォーム仲介のHouzzが巨額$400Mを調達、コマース部門はディープラーニングとARをフル活用

住宅リフォームのHouzzは成長を続けており、再び大きな資金調達に臨もうとしている。同社によるとその金額は4億ドル、複数の報道が告げる評価額は40億ドルだ。

2009年に創業したHouzzはリフォーム仲介サービスのほか、必要な家具や設備を見つけるためのツールも提供している。ユーザーは世界中におり、その市場はアメリカ、イギリス、オーストラリア、フランス、ドイツ、ロシア、日本、イタリア、スペイン、スウェーデン、デンマーク、インドと幅広い。

同社の主な収益源は、各地元のリフォーム店や工事店などの紹介料(リスト掲載料)だが、同社のWebサイトやモバイルアプリからの、ディープラーニングやARを利用した直販にも熱心だ。

昨年の秋に導入したディープラーニングツールは、サイトに載ったユーザーの家の写真を分析して、そこに写っているのと同じような製品を同社のページから買うよう勧める(リコメンドする)。またモバイル上のAR機能で、新しい家具などと今のユーザーの家との相性をチェックできる。

最新の投資ラウンドは、Recodeの報道によるとIconiqがリードし、これまでにHouzzがSequoia, New Enterprise Associates, GGV Capitalなどから調達した2億ドルあまりに上乗せされる。

〔訳注: 写真はHouzzの協同ファウンダーでCEOのAdi Tatarko。このほか、最優秀アプリ賞インパクトの大きい女性ファウンダーなど、記事多し。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

住まいのコミュニティサイト・米国Houzzが日本上陸、iemoとは何が違う?

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リフォームをしたい人と住まいの専門家をつなげる米国のコミュニティサイト「Houzz」が日本に上陸。4月9日にサイトをオープンした。同サイトは専門家が投稿したインテリアやエクステリア、住空間の写真を閲覧して、自分の気に入ったものを保存したり、それらを元に専門家に発注できるのが特徴。写真は600万点以上にのぼり、世界最大のデータベースであるとHouzzは謳っている。

もともとは創業者のアディ・タタルコ氏が個人プロジェクトとして立ち上げたサイトから始まった。同氏は2006年にパロアルトに中古住宅を購入し、後にリフォームしようと計画していたが、予想以上に住宅の設計やデザインに関する情報が世の中には少なかったという。

「建築業者の評判を知るには友人からの口コミを頼るしかなかった。適切な情報を得るのに苦労し、かなりの予算と時間をかけたが、最終的に満足できる結果は得られなかった」と振り返る。そこで自らコミュニティサイトを立ち上げ、広く建築関係の専門家に関する情報を募ったのだという。

Houzz創業者のアディ・タタルコ氏

Houzz創業者のアディ・タタルコ氏

スタート時のユーザーはタタルコ氏夫婦2人、子どもの学校の家庭が20組ほど。パロアルト在住の設計士が数人いた程度だった。それにもかかわらず、サイトは「自律的、有機的に成長した」とタタルコ氏。少しずつ米国の他の都市にも拡大し、さまざまな業界、例えば造園業者の間にも浸透するなど、個人では管理しきれないほどスケールしたそうだ。

現在では毎月2500万人のユーザーがHouzzを利用しているという。そのうち住まいの専門家は約70万人。彼らがお互いにコラボレーションし、どうやったら自分の家がより住みやすくできるか相談できるコミュニティになっている。

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アジア最初のオフィスとして日本を選んだ理由

驚いたことにHouzzのユーザーは「世界のすべての国」にいるのだそうだ。国の数は195カ国ほどあるが、「文字通り“すべての国だ”」とタタルコ氏は断言した。ただし、コミュニティのローカライズは始まったばかり。2014年に米国外にも拠点を設ける方針を決定し、アジアの最初のオフィスとして日本を選んだ。

日本を選んだ理由は2つ。日本の住宅環境がHouzzと相性がいいというのが1つ目にある。タタルコ氏は「日本のリフォーム市場は数年前の米国に似ているし、可能性がある。課題としては空き家率の高さがある。中古住宅を改装して住みたいが、どうすればいいのか、わからない人も多い。また日本人は新築を好むが、新築に住んでも、いずれはリフォームが必要になる。そういった課題を抱えたマーケットであり、それを助けるコミュニティが求められている」と話した。

また2つ目の理由としては、グローバルのユーザーが日本の住環境に興味を持っていることがあるという。Houzzが実施した調査によれば、多くのユーザーが日本の建築、たとえば仏間や畳などについて学びたいと思っていることがわかったそうだ。「日本の住環境や文化がHouzzプラットフォームの成長を助けるものになる」とタタルコ氏は言う。

「Houzzは住宅デザインのWikipediaと表現されている。加えて、Houzzはただの情報提供ではなく、さまざまなプロフェッショナルのアイデアと知識が蓄積されており、それをコミュニティに提供できる場になっている。日本の方々が世界に発信されることも期待している」(タタルコ氏)

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Houzzは住宅デザインのWikipediaと表現されているという

 

iemoは日本市場で競合となるか

日本法人の代表は加藤愛子氏が務める。同氏はシカゴ大学経済学部を卒業後、米国投資会社ゴールドマンサックスのロンドン、および東京オフィスに勤務した経験を持つ。2011年にM.B.Aを取得後、ビューティー・トレンド・ジャパン株式会社の代表取締役に就任し、化粧品のサブスクリプションサービス「GLOSSYBOX」日本法人を成功に導いた。その後、ニューヨークを拠点にベンチャー企業の海外展開に関するコンサルティングを行い、2014年11月より現職だ。

日本の戦略を担う加藤氏に質問した。住まいに関するサイトといえばDeNAが買収したキュレーションメディア「iemo」が挙げられる。同サイトは少なからずHouzzを意識して作られたものだ。立ち上げ時にiemo代表の村田マリ氏に取材した記事では、ユーザーが投稿したコンテンツをシェアしたりコメントできるコミュニティ機能を持つプラットフォームは「海外のHouzzなどを除けばイエモのみ」と発言していた。

今後、Houzzにとってiemoは日本市場で競合となるのだろうか。加藤氏の答えはこうだ。「印象としてはかなり違うコンセプトで展開されていると思う。まず1つとして弊社としてはグローバルなプラットフォームで住宅のデザインをご紹介させていただいていて、そこから裏にいる専門家との交流の場を作っていく。専門家の方とエンドユーザーの方が同じ空間の中で共存し、いろいろなコミュニケーションを取っていただく。そういったところが大きく違うのかなと思います」

Houzz日本法人の加藤愛子氏

Houzz日本法人の加藤愛子氏

あくまで専門家とのつながりを促すグローバルなコミュニティに強みがある。Houzzに蓄積された写真や知識を記事として公開していく試みも始めている。メディアとしても人気を獲得できそうだ。

日本でのマネタイズは現段階では考えていないという。米国ではまずコミュニティを拡充し、情報を流通させ、そして最後にコマース機能で収益をあげてきた。それと同じステップを日本でも踏む。コミュニティを作り、ユーザー体験を満足いくものに仕上げ、その後にコマースのプラットフォームを構築する。

米国サイトの売上チャンネルの1つに「プロダクトマーケット」というものがある。実際に住宅業者1000社ほど参加し、そこで月間2500万ユーザーに商品を提案している。いずれ日本にも同様のマーケットを開設する方針だ。