暗号資産取引所コインチェックが国内初となるIEOを2021夏実施予定と発表

暗号資産取引所コインチェックが国内初となるIEOを2021夏実施予定と発表

コインチェックは5月31日、ブロックチェーン分野のコンサルティングとシステム開発を行うのNFT関連子会社HashpaletteによるIEO(Initial Exchange Offering)を2021年夏実施予定と発表した。Hashpaletteが2021年3月にテストネットをローンチした、NFT特化ブロックチェーン「パレット」(Palette)のユーティリティトークン「PLT」を販売する予定。

またコインチェックは、IEOに関する情報を掲載する公式サイトを公開した。今後、HashpaletteのIEOに関する情報を告知するためのプロジェクト詳細ページの公開を2021年6月頃に予定。今夏のIEO実施に向け準備を進めるとしている。

IEOは、トークン発行によるコミュニティの形成・強化や資金調達を暗号資産取引所が支援するという仕組み。企業・プロジェクトなどの発行体がユーティリティ・トークンを電子的に発行することで資金調達を行う仕組み「ICO」(Initial Coin Offering)の中でも、暗号資産取引所が主体となって発行体のトークンの販売を行うモデルとしている。

企業やプロジェクトによるトークンの発行は、世界中のユーザー・開発者・投資家・サービスプロバイダーなどのネットワーク参加者とオープンな分散型ネットワークを構築することを可能にし、さらにすべてのネットワーク参加者に対しインセンティブを与えることができる手法という。

コインチェックでは、これまで企業やプロジェクトによるトークン発行を支援することで、暗号資産市場の更なる発展に貢献すべくIEO事業への参入を検討し、2020年8月よりHashpaletteとともに日本初のIEO実現に向け取り組んできたそうだ。

暗号資産取引所コインチェックが国内初となるIEOを2021夏実施予定と発表

Hashpaletteによると、パレットは、エンターテイメント領域におけるデジタルコンテンツの発行・管理・流通に特化。マンガ・アニメ・スポーツ・音楽といったコンテンツのNFT形式での流通に最適化されたブロックチェーンネットワークという。

また、クロスチェーン技術を実装しており、発行したNFTはPalette以外のブロックチェーンネットワークでも利用可能。現在、イーサリアム(Ethereum)、ネオ(NEO)、オントロジー(Ontology)mp3つのブロックチェーンネットワークとのクロスチェーンに対応しており、NFTの発行および流通のハブとして対応先を今後順次拡大予定としている。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:IEO(用語)ICOEthereum / イーサリアム(製品・サービス)NFT / 非代替性トークン / クリプトアート(用語)コインチェック(企業・サービス)資金調達(用語)HashpaletteHashPortブロックチェーン(用語)日本(国・地域)

英国のデータ保護監視当局がアドテック業界に「冷静に法を守る」よう要請

英国のデータ保護監視当局がオンライン広告システムのリアルタイム入札(RTB)の無法状態に警告を発してから6カ月後、無策の半年間に区切りをつけるために、当局は広告業界に対して「業界の問題」の解決策を講じるよう求めるブログ記事を投稿した。

欧州の法を軽視するアドテック業界に対してICO(プライバシー監視機関)が送ったクリスマス前のメッセージを読んだ一般読者は、当局が「冷静になって自主規制を進めなさい」と言っているように感じただろう。

しかし事情に詳しい読者で、リアルタイム入札が広告ターゲティングのために人々の個人データを高速に取引きするシステマティックでプライバシーをないがしろにした仕組みだと理解している者なら、そんな自主規制こそが、アドテック業界の絶望的な状態を示していると指摘したいだろう。

それゆえに、同じような組織的失敗を要求しているデータ保護当局には失望するしかない。

ICOの技術・革新担当執行役員のSimon McDougall(サイモン・マクドゥーガル)氏(強制執行とはかけ離れた部門に属している)による控えめな内容のブログ記事には、アドテックの無法者たちに対して「業界団体と協力するように」という崇高な助言が書かれている。

申し訳ないが、そんなやり方でプライバシーが守られる方向に動くとは思えない。あるいはマクドゥーガル氏が言う「イノベーションとプライバシーを融合するソリューション」もだ。

法的問題を解決するために彼が業界に求めているもう1つの非現実的な発想は、アドテック業界で働く人たちに「自分たちのアプローチをレビューする」よう上級幹部に「チャレンジ」を求めていることだ。

たしかに、最近、社員の会社内での積極的な活動は流行している。少なくとも、一部の独占的なIT巨人であまりにもスケールが大きくなりすぎて、強大な弁護士団を擁して社会的行動規範に無頓着になっている会社ではそうかもしれない。しかし、英国のデータ監視当局がアドテックのプロフェッショナルたちに向かって、自分の仕事を全うして法を守るのではなく、上司に伺いを立てることを推奨するのは見るに値するものではない。

もしかしたら比較的最近入局したばかりのマクドゥーガル氏は、自ら率いる「技術・革新」部門の視点から現状を読み取れていないのかもしれない。しかし、最近のICOは強力な武器を持っている。たとえばEU一般データ保護規則の枠組みの下では、重大な違反を犯した組織に対して全世界売上の最大4%の罰金を科すことができる。

さらに、違法なデータ処理を停止させる命令を下すこともできる。しかし、運用型広告が引き起こす大規模なプライバシー違反を阻止する何よりもすぐれた方法は、リアルタイム入札に個人データを使わないように規制することだとは思わないだろうか?

これは、オンライン広告のターゲティングをなくそうという意味ではない。コンテキスト的ターゲティングに個人情報は必要ない。そしてトラッキングをしない検索エンジンであるDuckDuckGoはその方法を使って(利益ができるほど)成功している。これは、極めて不気味でストーカー的なやり方を終わらせようというだけだ。そんなやり方は消費者に嫌悪感をいただけれるだけでなく、社会的悪影響も引き起こす。インターネットユーザーの一括プロファイリングは、差別や弱者からの搾取を助長するからだ。

マイクロターゲティング広告もまた、みなさんご存知のように、民主主義と社会に対する攻撃の温床であり、悪質な誤情報の蔓延を誘発する。

社会的影響の大きさは計り知れない。それなのにICOは、アドテック業界に冷静さを求めて任せているだけのようで、強制執行することなく、ただ年に2回「合法性」に関する「懸念」のリマインダーを発信するだけだ。

To wit: “We have significant concerns about the lawfulness of the processing of special category data which we’ve seen in the industry, and the lack of explicit consent for that processing,” as McDougall admits in the post.

すなわち「我々はこれまで業界で見られた特殊カテゴリーのデータ処理の合法性、およびその処理に対する明示的な同意を得ていないことに対して重大な懸念を抱いている」ことをマクドゥーガル氏はブログで認めている。

「さらに我々は、契約条項に頼ってその後のデータ共有を正当化することが法の遵守に十分であるかどうかについての懸念もある。これを適切に正当化したと思われる事例研究をまだ見たことがない」

「しくじった」というトーンだろうか。

ICOのブログ記事のタイトル「アドテックおよびデータ保護に関するディベート--次はどこへ?」も、矛盾をはらんでいる。業界がデータ保護法を遵守するかどうかに、果たして「ディベート」が必要だろうか?

では、ICOが「リアルタイム入札の利用におけるプライバシーを前提とした設計」(これもブログ記事にある大きな提案)の実装を失敗をし続け、その結果、法律違反が続くことになった時、ICOは何を「実際に」やってくれるとアドテック業界は期待できるのだろうか?

ICOの「今後数週間」の計画についてマクドゥーガル氏が言うには、時間をかけて「集めたすべての情報と一年を通じて行った中身の濃い議論をすべて吸収」してからギアをシフトし、「我々に可能な選択肢をすべて評価する」と言っている。

急ぐ必要はない、ということだろうか?

「次の報告」は「2020年早期」に出てくる予定で、そこでICOの立ち位置が決まるはずだ。3度目の正直なるのだろうか。

聞くところによると、その次期報告には「現在進行中の行動すべて」も含まれるらしいので、何もないまま、ということも考えられる。

「リアルタイム入札の未来は今も存続の危機にあり、関連するあらゆる組織の手にかかっている」とマクドゥーガル氏は書いている。あたかも、当局の強制執行には業界の承諾が必要かのようだ。

英国の納税者が、データ保護当局は一体何のために存在しているのか、不思議に思うのも無理はない。今からの数カ月のうちに、なにか方法を見つけることを期待したい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookの新暗号通貨プラットフォーム「Libra」を解剖する

米国時間6月18日、Facebookは独自の暗号通貨、Libraを発表した。プロジェクトの内容はTechCrunchの今月始めの予測とほぼ一致していた。LibraはFacebookが構築しようとしている新しい金融システムの一環となるものだ。

Libraを利用したウォレット・サービスのためにCalibraという子会社も設立された。またMastercard、PayPal、Visa、Uber、Andreessen Horowitz、Creative Destruction Labなど有力企業が提携先となっている。

FacebookのLibraイニシアティブは革新的、野心的である一方で大きなリスクもはらんでいる。実はLibraには先行する試みがあり、これと比較することがFacebookのビジョンを理解するために役立つとおもう。

ここで考えているのは英国ロンドン発のモバイルチャットサービスのKikと、そのソーシャルネットワークを利用した仮想通貨のkikkinだ。KinについてTechCrunchの読者に一番よく知られているのは、SEC(米証券取引委員会)に訴追を受けていることだろう。SECはKikが2017に実施したICO(暗号通貨による資金調達)を違法としている。KikはこのICOで1億ドルを調達したが、公衆からの資金調達に必要な認可をSECから得ていなかった。

KikのCEOであるTed Livingston(テッド・リビングストン)氏によれば「Kikが暗号通貨は通貨の一種でありSECの管轄外と考えているのに対し、SECは管轄内の証券の一種と考えていることによる」のが根本的な対立点だという。両者の主張の法的当否は別として(仮に通貨だとしてもKikには法定通貨を発行する権限がないのは明らかだ)、KinはFacebookが独自の暗号通貨を作った背景、仕組み、将来構想を理解するために役立つ。

Creative Destruction Labのイベントで先週、リビングストン氏は「我々には資金が必要だった」と語った。Kinはこの極めて差し迫った問題に対する回答だった。Kikではいくつか異なったマネタイズを試してきた。ひとつはCardsモデルで、これはモバイルメッセージアプリ内にHTML5で書かれたツールやゲームが利用できるエコシステムだ。これは中国のWeChatモデルに近い。

Kikは英国発のメッセージアプリとして大成功した(ただし子供を狙う犯罪者に愛用されているという指摘もあった)とはいえ、規模はFacebookとはかけ離れている。そのためFacebookのように安定した広告収入を得ることはできなかった。 LivingstonのCEOの回想によれば、2011年にKik はBitcoin(ビットコイン)を知り、「これが我々が探していたビジネスモデルかもしれない」と考えたのだという。

リビングストン氏は「ユーザーのコミュニティに自然な形で簡単、迅速に価値を交換できるため暗号通貨はKinのプラットフォームにとって大きな意味があると気づいた」と語った。Kinのコミュニティはクッキングなどメンバーの得意分野の知識を交換する場になっていたので、支払い手段として暗号通貨は適していた。

KikにとってカギとなったのはKinを利用することがユーザーにもデベロッパーにも利益となるようなモデルを構築できるかどうかだった。Kikやデベロッパーには当然ながらkinの普及を図る動機があったが、ユーザーがKinを利用したくなる動機とは別のものだった。リビングストン氏よれば、暗号通貨でサービス提供者とユーザーとの利益を調整するのは広告モデルのビジネスとは決定的に違うという。このため両者のインセンティブがまったく噛み合わないケースが出てくるのはわれわれもたびたび見てきた。

SECによる訴追も含めKinの将来については不確定な要素が多いが、上で述べた問題はすべてLibraにも当てはまる。両者の違いは規模だ。Facebookは成熟した大企業であり、それ自身の巨大な経済圏を持っている。Kikは暗号通貨を資金調達手段として利用した。これはすぐにも資金が必要だったからだ(そこでICOに飛びついた)。

Kikにはビッグネーム企業多数をプラットフォームに参加させ、自力で市場の構造そのものを変えるような力はなかった。見切り発車してコミュニティーに活用されることをデモし、投資家やパートナーが後から参加してくることに望みをつないだ。、

これに対し、FacebookはKikが持っていなかったものをすべて持っている。企業規模と市場支配力はプロジェクトのスタート当初から大企業をパートナーとして参加させるのに十分であり、背に腹は代えられない資金調達の必要にも迫られていない。もしプロジェクトが失敗しても機会損失というコスト生じるだけだ。また今後も相当期間、広告ビジネスからの安定した収入が見込める。

しかし根本的なレベルではFacebookとKikの暗号通貨プロジェクトは極めて似ている。 暗号通貨による決済プラットフォームは広告モデル以上にユーザーに利益をもたらし長期にわたって維持可能なビジネスモデルとなるという認識だ。

現在のところFacebookのLibraは広告ビジネスに対するリスクヘッジという意味が強い。これがFacebookの生き残りをかけたコミットメントに変わるときに真価が問われることになるのだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

暗号通貨の明るいニュース:SECがトークンは有価証券であると宣言

暗号通貨は、大暴落stablecoins誕生日のニュースの後、先週ちょっとした後押しを受けた。SEC[証券取引委員会]はICO企業のCarrierEQ Inc.およびParagon Coin Inc.の2社が売っているのは、いわゆるユーティリティートークンではなく有価証券であると判断した。

「両社とも被害にあった投資家に資金を返還し、トークンを有価証券として登録し、SECに定期報告書を提出したうえで罰金を支払うことに同意した」とSECのPamela Sawhneyは書いた。「これは、ICOの登録違反のみに対してSECが民事制裁金を科す最初の事例だ」

リリースにはこう書かれている:

ボストン拠点のスタートアップAirfoxは、約1500万ドル相当のデジタル資産を同社のトークン建て「エコシステム」開発のために調達した。途上国ユーザーが広告の閲覧と引き換えにトークンを入手できるモバイルアプリケーションを利用する。オンラインサービスのParagonは約1200万ドル相当のデジタル資産を調達し、大麻産業にブロックチェーン技術を応用することで大麻合法化の道を開くビジネスプランの構築と実施を目指している。AirfoxもParagonも自社のICOを連邦証券法に基づいて登録せず、登録例外の認定も受けていなかった。

この行動——フィンテックのためには危険を顧みない——は、年のはじめに大流行した。理論上企業のエコシステムの中で使われるユーティリティートークンに対して、セキュリティートークン(事実上の株式)の申請に関する明確な指針はなかったからだ。実際、ICOを実施した企業はあらゆる手立てで自分たちの「ユーティリティートークン」が証券法の複雑な規制に沿っているように見せようとした。

「われわれは、ICOを通じて有価証券を発行する企業は証券登録を規制する既存の法に従う必要があることを明確に示した」とSEC監視部副部長のStephanie Avakianが言った。「これらのケースは、同じような行動を起こそうとしていた人たちに対して、SECが今後もデジタル資産に関する連邦証券法違反に目を光らせていることを知らしめるものだ」

SECは両社に対してそれぞれ25万ドルの罰金を科した。将来のICOを目指す企業は、少なくとも米国では、十分このことを念頭に置くべきだろう。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

資金調達の新たなる「普通」

TechCrunchがスタートアップのことを書き始めたころ、地球規模の大志を持ったスモールビジネスというスタートアップの概念は、幻想のようなものだった。Twitterのような副業が、ヒーローや悪役の代弁者になり得るのだろうか? YouTubeのような動画投稿サイトが、どうしてメディア業界を破壊できるのだろうか? ブログ(完全に消耗しきった元弁護士が寝室で書いたような文章)が、起業、成長、売却のプロセスの考え方を根本的にひっくり返すことなど、どうしてできようか?

しかし、それは現実となった。2005年から2010年までの数年間で、世界は変わった。TechCrunchは野心的な読み物となった。無数の起業を夢見る者たちが、パーテションで囲まれた会社の席に座り、パソコンの画面をスクロールさせながら、笑ってしまうほど多額の小切手をベンチャー投資家が自分のフリースのポケットにねじ込んでくれる順番を待っている。2007年、スタートアップ設立を目指す2人のオランダ人と話したことを、今でもはっきり憶えている。彼らは、それまで続けてきた科学的な研究に基づく素晴らしいアイデアを聞かせてくれた。そして、率直にこう相談された。仕事を辞めるべきだろうかと。その3年前だったなら、馬鹿なことを考えるなと言っただろう。学術分野の楽な仕事を捨てて一発を狙う? 絶対に反対だ。

しかし、彼らと話したその午後は、スタートアップ革命から2年が経ち、資金調達はTechCrunchに投稿するのと同じぐらい簡単になっていた時期だ。一発は狙うべきものと考えられていた。

現在、私たちは新しい「普通」に直面している。この数年間の努力いよって進歩してきたものは、ひっくり返されようとしている。2014年、ベンチャー投資家がリスクを嫌って金を出し惜しみするようになり、エンジェル投資やシード投資が鈍化し、巨大なB2Bソリューションを超えようとするスタートアップの成長は失速した。そして、Creamery、会議、「情熱」、Allbirdsの退屈な文化も同様に失速した。私がセントルイスからスコピエまで、世界を旅して回ったとき、どの都市でも、TechCrunch風ではない次の起業家精神に移行しようとしていることを感じた。どの都市にも独自のカンファレンスがあり、メイソンジャーに入った小麦スムージーと、共同創設者たちが感情をエモーションハックできる快適な部屋で満ちていた。講演者たちは「キミならやれる!」か「それは間違ってる!」のいずれかの言葉を連発し、ピッチオフとハッカソンが葛のように世界中にはびこっていた。

しかし、こうした夢想家を支援するベンチャー投資家の現金は減り続けている。起業家のようなライフスタイルを実行するのは簡単だが、起業家としての生活を送るのはずっと難しい。4年前、私の友人は仕事を辞めたが、今は年金で暮らしている。その他の知人も、スタートアップから手を引いて、暖かく快適なデスクワークの勤め人に収まっている。バラは散ってしまった。

その同時期、私はICO(今はSTOだが)の市場の爆発的な成長を観察してきた。わずかな年月で巨大な富が再分配され、一部の勇敢な連中が大金持ちになり、彼らのスタートアップは自己資金で賄えるようになった。暗号通貨の平等主義のおかげで、ザグレブの15歳の子どもからも、モスクワのマフィアの帳簿係からも、2006年にシリコンバレーの投資家が集まっていたスタンドヒル・ロードと同じぐらい、簡単に金が手に入る。間違いなく、この新しい市場はリスクに満ちている。投資家は、その投資家がスペインに移住して姿をくらませたとしたら頼りになるものを失うが、それが今は普通だ。新しいスタートアップの方法論だ。ベンチャー投資家は価値を高めると大声で叫ぶが、彼らにはできない。価値を高めるのは金だ。そして金はICO市場から出てくる。

私は、ICO市場の企業を理解しようと頑張ってきたが、それはじつに困難であることがわかった。まずは、もしあなたが、ICOで資金調達をした、またはブロックチェーンをベースとしたというスタートアップの創設者なら、この入力フォームを使って私に自分たちのことを教えて欲しい。その中からいくつかを選んで、私は数カ月かけて記事にする。その後で、2005年に透明性が元で起きた火事の教訓をお教えしたいと思う。

第一に、以前にも書いたが、ICOの広報は最悪だ。数カ月前に私が書いた記事から引用したい。

残念なことだが、みなさんの広報担当者は無能だ。私が話を聞いたすべての広報担当者は、暗号通貨のことを何も知らなかった。この業界にはたくさんの企業があり、どこのことか明言は避けるが、もし知りたいなら、john@biggs.ccまでメールで質問して欲しい。その名前を教えよう。私が会ったあらゆる広報担当者は、内部のコミュニケーション責任者も含めて、最低だった。まったく新しい業界なので、かならずしも彼らの責任とは言えないが、それでも無能な人間が多い。

ありがたいことに、状況は好転している。ICOは本質的にクラウドセールだ。クラウドセールに人々の関心を集めることは、これまでほぼ不可能だった。Kickstarterが注目を集めるようになったのは、多くの人が出荷までこぎつけて成功してからだ。今これを書いている時点では、成果を出したICOは、まだほどんどない。つまりこの記事は、あなたがICOを行うかどうかという話ではない。頭のいい人たちが、巨大な難問の解決のために集まりつつあるという話だ。彼らが大勢のオタクやギャングから8000万ドル(約90億円)を調達したことは、この際、重要性としては二の次、三の次だ。もちろん、期限に間に合わなかったために彼らがストックホルムの地下牢で発見されたとなれば別だが。

第二に、コミュニケーションが鍵だ。私はトップ100のICO企業に話を聞いたが、彼らは、いじめが発覚した大学の社交クラブ以上に秘密主義だった。資金を調達し、そのことについて何かを話せばRedditでコインの悪口を書かれ、価格に影響すると彼らは考えているからだ。今こそ、その残念な輪から抜け出して決断するときだ。今後は、価格には噂や中傷に対する抵抗力を持たせるべきだと。

ICO業界のそのどちらの問題も、これまでに解決されている。一時はひどい広報をしていたスタートアップも、TechCrunchの創始者Michael Arringtonが話を聞き出せるのは、取り引きを見送って恨みを抱える人たちだけだったという状況もだ。この手の記事は、業界の発足初期のころで、怒れる投資家とクビにされた元従業員の憂さ晴らしには有効だった。しかし今では、スタートアップの広報はビジネスサイクルの一部に受け入れられている。ウォール・ストリート・ジャーナルでも、新しい資金調達法の情報を読むことができる。ゆくゆくは、同紙はICOを、IPOと同じように扱うことになるだろう。ブロックチェーン企業は、もう一段階、本気でステップアップする必要がある。

もうひとつある。世界とのコミュニケーションは、ICOで資金調達した人たちが思っているよりずっと重要だ。株主の関係は業界で確立されているが、トークンの所有者の関係も、すぐにそうなるだろう。しかし今の時点では、トークンのコミュニケーションの相手は、Telegramルームの不愉快な書き込みの削除を業務とする一人の人間に限られている。私が訪れたほぼすべてのサイトには、たとえばsupport@dingocoin.ioのようなメールアドレスがひとつだけ掲載されていて、それはZendeskの顧客管理システムにつながっている。そしてそこへ送ったメールは、ブラックホールに消える。もし、小口のエンジェル投資家が投資を持ちかけようとして連絡が取れなかったとしたら、信用は丸潰れだ。

頭のいい人たちの小さなグループが、資金調達のものすごい方法を無から生み出すという考えは、とても魅力的だ。今は新しい資金調達の時代の黎明期だ。すべてのファンドを一時的に停止すべきだ。多くの人がこの流行に乗って、まったくワケのわからない言葉を吐きまくる起業家に、律儀に会いに行っている。なぜなら、2005年にはスタートアップというものを誰も理解できなかったため、あらゆるものに成功する可能性があったからだ。今は暗号通貨を理解できる人間がいないため、あらゆるものに成功する可能性がある。すべての起業家の最大の興味は、スープをすすり、実績を上げて、驚異の自己啓発本『ゼロ・トゥ・ワン スタートアップ立ち上げのハード・シングス・ハンドブック』を閉じることだ。私たちは前に進む以外に道はない。今こそ出発のときだ。

[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)

パブリック・ファイナンスについて考える

もしあなたが特定の年齢であるとしたら、地方債の購入や債券の購入方法など考えたこともないかもしれない。それらを思いついたことがあったとしても、そうしたプロセスは意図的に漠然としたものとなっている。

とはいえ、スタートアップ、投資先を探している個人、インフラを再構築しようとしている自治体にとって、それらは現状を刷新するのに大きな機会となるかもしれない。

まず第一に、債券購入は検討に値するだけの理由がある。昨年後半、トランプ政権は、納税者の財産税や地方・国の所得税の控除額に1万ドルという上限を設けた。さまざまな税金の支払いをしなければならないほとんどの納税者は、他の新税制により何らかの形で恩恵を受けている。しかし、それらが非常にいいというわけではない。そこで地方債の出番だ。というのも、地方債による利子収入に課される税金をみると、連邦税が免除されるからだ(住んでいる州が発行した地方債なら州税も免除される)。

では、さほど税金に苦しんでいない人ではどうか。1つ言えるのは、債券というのは非常に安全な投資であるということだ。すごく魅力的というわけではない。本当だ(通常、利率は1桁だ)。しかし低いデフォルト率という特徴も持つ。州や市、郡といった自治体の債務は通常、国が保証していて、債券の満期時には満額が支払われる。事実、地方債のデフォルト率は過去10年間で0.3%以下とかなり低い。加えて、いやそれ以上に意味があるのが、地方債は住民にとって住んでいるコミュニティを手助けする手段となることだ。例えば、カリフォルニア州オークランドの住民は2016年、古くなった道路の改修や手ごろ価格の住宅の建設などを行うための6億ドルの債券を承認した。

ここまで読んだあなたは、そうした投資機会がどこにあるのか、その際にテックがどんな役割を果たすのかと思うだろう。具体的に、地方債マーケットで動いているお金で考えてみよう。Morningstar Directによると、昨年は地方債ファンドと上場投資信託へ340億ドルもの流入があった。こうした商品以外でも、投資家向けのポートフォリオに幅を持たせるためにたくさんの債券を組み合わせたパッケージなどの動きも活発だった。

ファイナンシャルサービスディスラプターと同様、ここで言えるのは、大きな金融機関が提供するような商品がたくさん出回り始めているが、より低コストになってきていることだ。

また、現状よりもたくさんの債券を発行する余地がある。今年はじめNew York Timesが報じたように、2008年の金融危機以降、地方債の発行は少ない。さらに、トランプ政権の新たな税法は“期限前借り換え問題”と呼ばれる要素を排除している。この問題に関し、Timesは地方債のような種のファイナンスは市場の15%を占める、としている。つまり、供給を強いるような環境にあり、需要もある。

今のところ、パブリック・ファイナンスに関心を持つスタートアップはそう多くない。おそらく、地方債マーケットを21世紀にもたらすことに焦点をあてているスタートアップは1社、Neighborlyだけだ。設立6年、ベイエリアを拠点とする債券ブローカーとしてはかなり革新的なスタートアップだ。2017年には、同社のテックのおかげで、マサチューセッツ州ケンブリッジ市は200万ドルの“ミニ債”を発行できた。このミニ債で、住民は通常より少額の債券に適用される非課税の利子を稼ぐことができた。また、仲介人なしにさまざまなプロジェクトに直接投資することができた(明らかにこれは成功例で、ケンブリッジ市は今年はじめ2回目のミニ債を発行した)。

年初にNeighborlyはカリフォルニア州バークレー市に“イニシャル・コミュニティ・オファリング”と名付けたICO(Initial coin offering)を提案した。これは、バークレー市の資金不足プロジェクトに投資してもらう代わりに暗号通貨トークンを発行するというものだートークンは地方債により保護される(債券保有者はデジタルコインか現金で元金を受け取ることができる)。この試みはまだ進行形だが、もしうまくいけば他都市にとってもロードマップとなるはずだ。

この分野でNeighborlyがこの先も先駆者でい続けられるのか、それとも新規参入社がその位置を奪うのかはまだ見えないが、長年、政治戦略家だったインベスターBradley Tuskが我々に今後の可能性についてヒントをくれた。以下にTuskとの会話の一部を紹介する。TuskはNeighborlyのインベスターではなく、最近同社へのアドバイスを始めていることを記しておく。長さの関係上、以下の会話は編集されている。

TC:あなたは地方債マーケットは破綻していると考えている。それはなぜか。

BT:我々には今、片手で動かせるシステムがある。政府は国債を発行でき、人々がそれを支払う。つまり、プロジェクトを立ち上げ、人々はそれに伴う返金を受け取れる。それが仕組みの基本だ。しかし非常に曖昧で、閉ざされたシステムでもある。他の閉ざされた産業をテックがどうにかディスラプトし、変革をもたらし、そして効率的で透明なものにしたのと同じように、同様のことをパブリック・ファイナンスに活用しない手はない。

[キャリア初期]私はLehman Brothersで働いた。彼らは私をどこに配置してよいかわからず、パブリック・ファイナンスを割り当てた。その部門で働いていた人たちは率直で、世界経済を破綻させたような人々ではなかった。しかし実のところ彼らは効率的に多くの金を稼ぎ、納税者としてはトップランクだった。そうした額は、[銀行の]契約査定コストに組み込まれていた。今では必要ないものだろう。

TC:現在、債券はブローカーを通じて入手できる。あなたの目にはブローカーは課金しすぎだと映っている。しかし途中をスキップして“イニシャル・コミュニティ・オファリング”やブロックチェーンテクノロジーに直に移行するのが正しい道なのか。それは人々をおののかせることになるかもしれない。

BT:ブロックチェーンは暗号という点で誤解されているように思う。究極的には、ブロックチェーンはつなぐためのより良いシステムで、台帳でポイントAからポイントBへとデータを移すのにより効率的な手法だ。ディストリビュートされた多くの異なる場所で作業が行えるので、より安全で、ハッキングもされにくい。それは配管作業だ。要するにインフラなのだ。だからこそ、複雑で部分やパーツを伴う移送を、より簡単に素早く行うことができるレベルに持っていける。かつて我々が行なっていたことをインターネットがいかに素早く行えるようにしたかということと大差はない。電子メールは、手紙を書くより早い。テキストは電子メールよりも早い。

[あなたの質問に答えると]Neighborlyが成し遂げようとしていることは、ブロックチェーンに完全に頼るというものではない。[Neighborlyの創業者でCEOのJase. Wilsonが]最初にこのアイデアを思いついた時、Neighborlyが現在のような形で存在していたとは思えない。言いたいのは、現在のパブリック・ファイナンスは高価なもので、しかも明瞭でなく、特に民主的でもないということだ。一方で、[債券の金がどこに行くべきかについての]判断で影響を受ける人々がそうした問題を認識していないという事実もある。それこそが、Neighborlyや他の企業が指摘しようとしている、マーケットプレイスにおける真の非効率性だ。ブロックチェーンはそれをより効率的にするのを手助けするだけでいい。

TC:Neighborlyはプラットフォームユーザーが利用可能な債券をすでに作っているのか、それとも新たな債券商品を作ろうとしているのか。

BT:どちらもだ。プロセスに参加して債券を発行することもできるし、コミュニティが幅広く所有する債券を発行したいと考えている地方自治体と共同で作業することもできる。

TC:Neighborlyのようなスタートアップに協力するよう政府を説得するというチャレンジについてはどうか。この点について特に考えるところ、改善すべきことはあるか。

BT:いま、非常に大きな問題を抱えている。その問題というのは、そうしたスタートアップは政府に国債を発行するよう、あるいはそうしたプロセスに参加するようアドバイスしている。それらの企業の多くは候補者にお金を提供することを禁じられているにもかかわらず、だ。彼らは非常に用心深く身を隠している。そして彼らは予算を組むオフィスの中堅どころと関係を築いている。

これは、Uberがタクシー業界を、Airbnbがホテル業界を相手に競争を展開しているように、戦わなければならないカルテルだ。ある意味、戦うのが難しいカルテルといえる。というのも、かなり不透明だからだ。誰も、予算のプロセスが内部でどうなっているのか実のところを知らない。ゆえに、大きくかつ静か、そして最もパワフルなカルテルとも言え、かなり大きな戦いだ。Neighborlyはそれを受けて立つと考えている。

TC:先例はあるか。

BT:[ほとんどない]1社がうまくいけば、15社がその後に続くだろう。最初の会社というのは開拓の重荷を背負い、あらゆる戦いに挑まなければならない。おそらくそれが今起こっていることだ。マーケットが開かれたとき、人々はお金の活用法があると認識し、さらなる参入が予想される。しかし今現在、作業の多くを行なっていると私が認識しているのは1社のみだ。

パブリック・ファイナンス部門というのは債務を発行し引き受ける人と協働するのが得意だ。そしてどちらというとNeighborlyはパブリック・ファイナンス部門がゲームをしなくてもいいような世界で事業を行う。しかしそこにはある程度、政治の現実も介在する。

イメージクレジット: Bryce Durbin / TechCrunch

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

GunosyとAnyPayがブロックチェーン関連事業を行う合弁会社「LayerX」の設立へ

写真左がLayerX代表取締役社長となるGunosy代表取締役 最高経営責任者の福島良典氏、右が代表取締役副社長となるAnyPay取締役の日向諒氏

GunosyAnyPayは本日7月12日、ブロックチェーン関連事業を行う合弁会社「LayerX(レイヤーエックス)」の設立について合意したと発表した。

同社の代表取締役社長はGunosy代表取締役 最高経営責任者の福島良典氏、代表取締役副社長はAnyPay取締役の日向諒氏、資本金は5000万円(株主構成はGunosy:50%、AnyPay:50%)となっており、設立は2018年8月1日を予定しているという。

新会社LayerXではブロックチェーン技術に特化したコンサルティングや開発、自社サービスの運営を軸に展開する方針。具体的にはトークンの設計コンサルティングや開発、ハッキングを防ぐコード監査、そして仮想通貨マイニングに関する事業などを検討しているそうだ。

これまでAnyPayではICOコンサルティング事業を展開。一方のGunosyでも2018年5月よりシェアオフィスなどの運営を手がけるツクルバと、ブロックチェーン技術の不動産領域への活用にむけた共同研究を開始している。

日向氏はTechCrunch Japanの取材に対し、「AnyPayがビジネス面、Gunosyが開発面でのサポート。合弁にして一緒にやっていくことで相乗効果が出てくる」と意気込んだ。

IDC Japanは2017年6月に発表した調査で「国内ブロックチェーン関連ソリューション市場の市場規模は今後急速に拡大し、2021年には298億円、2016年~2021年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は133.0%になる」と予測している。

そのような状況が背景にある中、福島氏は「おそらくこのブロックチェーンによる変化は数十年に一回あるか無いかの変化。ここに専念するというのが会社としての流れだ」と語った。

Gunosyは役割の明確化のために、代表取締役を2名体制から1名に変更。代表取締役 最高経営責任者は⽵⾕祐哉氏が勤め、福島氏はGunosy取締役 ファウンダー、そしてLayerX 代表取締役を兼任することになる。この異動は2018年8月24日に正式に決定される予定だ。

「代表である僕が新会社に専念する形になる。それだけ本気でこの領域を立ち上げる」(福島氏)

新会社LayerXはICO市場で技術的に⾼度で専⾨的なサポートへの需要が⾼まっていくと予測し、設立される。

コード監査事業に関しては、福島氏の話だと「スマートコントラクトでは一度コードをすると契約が自動的に執行されるため、性質上バグが入り込んでしまっても容易に修正できない。海外の大きなプロジェクトではプロフェッショナルに事前のコードチェックが当然のようにやられている」そう。今後日本でもブロックチェーンのアプリケーションが増えていく中で、同じような需要が増えていくことを見据えた事業になるという。

また、マイニングに関する事業に関して、「課題としては今、中国がマイニングのシェアの7割以上に到達している。この状態は仮想通貨・ブロックチェーンの未来を考えると良い状況ではない」と説明した上で、「日本の電気代とかだとなかなかマイニングするのが難しく、そもそもマイニング自体の専門的な知識も必要だ。たとえば僕たちが海外の良い場所を探してきてお客さんに提供できないか、といったことを検討している」と語った。

福島氏はGunosyの今後の方針に関して、「Gunosyはニュースアプリや、”LUCRA”のような女性向けメディアなどの”メディアの会社”としてやってきたが、本当の強みは裏側のアルゴリズムなどのテクノロジーの部分だ。メディアカンパニーというところから、テクノロジーの総合カンパニーに移行していく」と語った。

なお、Gunosyは同日、技術革新や規制緩和が期待できる領域のスタートアップに対する投資育成を行うコーポレートベンチャーキャピタル「Gunosy Capital」を設立することを発表した。「主にブロックチェーン/シェアリングエコノミー/AI 等のデジタル領域等、今 後規制緩和や技術革新が期待できる領域に対する投資育成」を目的としているという。設立は2018年9月1日を予定している。

何千もの暗号通貨プロジェクトがすでに死んだ、そして詐欺も多い

失敗した暗号通貨プロジェクトの目録を熱心に作り続けているCoinopsyDeadCoinsによると、2018年に失敗したプロジェクトは現時点(6月)で1000を超える。それらのプロジェクトは、本物のabandonware(アバンダンウェア)から単なる詐欺にいたるまでさまざまで、その中には、二人の“自称兄弟”Jack/Jay Brigによる詐欺BRIGや、SECによる捜査で終わったTitaniumなどもある。

どんな分野でも新人は自分たち独自のルールを作って新機軸を志向するが、ブロックチェーンの世界でもまさにそれが起きている。しかし彼らが相手にしているのは、トークン(私的代用通貨)による資金調達という、大きな可能性の世界だから、発生する諸問題も大きい。スタートアップに失敗はつきものでも、これらのプロジェクトを洪水のように押し流す膨大なキャッシュの量が、大きな問題だ。スタートアップが、あまりにも多くの燃料をあまりにも短期間で入手すると、それによって起きる大火災は会社とファウンダーの両方を焼きつくし、そのあとに、投資家の救いになるものは何もない。

そんな大火災は至るところで発生し、今やグローバルな現象だ。2017年には、詐欺と死んだICOの調達総額は10億ドルに達し、その中には、いかがわしいスタートアップが297社もいる

破綻したICOを“修復する”と称する、ケープタウンのCoinJanitorのような怪しげな企業もいるが、そんな、明日になったら夜逃げして行方不明のような企業が多いことは、この業界にとって良い前兆ではない。

ICOで資金調達をしたスタートアップは現在、結果的/実質的に、マルチ商法(multi-level marketing, MLM)のような策略で事業を構築している。そうではなくて彼らは、KickstarterやIndiegogoにページを持つべきだ。これらのクラウドファンディングプラットホームは、信頼をアートにした。お金を出した支援者たちは一種のチームであり、それがプロジェクトとリスクとアイデアの未来を定義する。多くの資金がなくても、容易にビジネスを構築できる。残念なことに、合理的な思考よりもむしろ貪欲を教唆するために現在のICO市場が使っているロックアップ(監禁、封じ込め)と詐欺的な価格設定は、業界を支えるのではなく、傷つけている。

ではどうすべきか? 失ってもよい額だけを投資し、どんなトークンにも失敗がありえることを覚悟しよう。そして究極の望みは、万一失敗しなかったときの嬉しい意外性だ。それ以外では、あなたは失望の世界へ向かって踏み出すのだ。

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Facebook、暗号通貨広告を部分的に解禁――ICO、バイナリーオプションは引き続き禁止

Facebookは暗号通貨関連広告を全面的に禁止する方針を撤回した。広告収入の可能性は無視し続けるには大きすぎたようだ。今日(米国時間6/26)、Facebookは暗号通貨の広告を禁止した約款を改正したことを発表した。新約款は直ちに実施された。

暗号通貨広告はすべてが解禁されたわけではない。Facebookによれば、広告主は事前に承認を受けた上で暗号通貨関連の出広が可能となる。ただしバイナリーオプションとICOのプロモーションは引き続き禁止される。

Facebookは今年1月に暗号通貨広告をすべて禁止した。Facebookはこの理由を、「現在この分野では不誠実な運営を行っている会社が多過ぎる」からだと説明していた。

Facebook自身、「暗号通貨関連の広告を全面的に禁止するのは影響の大きい方針転換」だと認めたものの、新方針は「Facebookの広告の「正当な運用とセキュリティーを改善し、Facebookを利用して悪事を企み利益を得ることを困難にする」ものだとしていた。

ただしFacebookでは、悪質な広告に対する防衛機能が改善されるに従ってこの方針は随時再検討されるとも述べていた。

その後6ヶ月経って、Facebookは暗号通貨広告の津波と戦う用意ができたようだ。

新しい手続きはこうだ。 広告主はまず出広の申し込みを行い、審査を受ける必要がある。広告主は、ライセンスの状態、上場企業か否か、など企業の現状について詳しく答えねばならない。

ただしこうして広告主から得られた情報についてFacebookがどの程度のファクトチェックを行うのかは現状では不明だ。

Facebookは他の広告同様、暗号通貨関連広告に関してもガイドライン違反を指摘する「この広告を通報」機能を用意すると述べている。つまり悪質な広告が多少は紛れこむことを予期しているのだろう。

Facebookでは新約款でも依然としてある種のプロダクトの広告が禁止されている点について注意を喚起すると同時に、今回の出広規則も暫定的なものだと強調している。Facebookのプロダクトマネジメント担当ディレクター、Rob Leathernは声明で以下のように述べている。

…新約款の有効性や影響についてわれわれはフィードバックを注意深く検討していく。〔暗号通貨〕テクノロジーについても引き続き研究を続け、必要に応じて約款を見直す。

Facebookが暗号通貨広告を禁止した後、3月にはGoogleもこれに続いた。このときGoogleはこの分野の広告は公的規制下になく投機的なものが多いからだと説明している。新しい規則は6月から有効となっている。TwitterとSnapも暗号通貨広告を制限する規則を制定している。Twitterの場合は上場企業による取引所とウォレットの広告のみ許可している。SnapはICOの広告を禁止しているが、それ以外の暗号通貨広告は許可される。

暗号通貨分野ではスカム(インチキなビジネス)が横行している。FacebookやGoogleのようなメジャーなプラットフォームはどんな広告が許されるのか、ルールを制定して規制を行う必要があるだろう。月曜にCoindesk が報じたところでは、FTC〔連邦取引委員会〕の調査で、暗号通貨に関連して、2018年の最初の2月だけで5億3200万ドルの詐欺があったことが判明したという。FTCでは「年末までに詐欺被害額は30億ドルに上る可能性がある」lと警告している。

画像:ryce Durbin/TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


大型ICO関係者、証券詐欺で起訴――ボクシングの元チャンプ、メイウェザーもCentra Techの広告塔だった

ICOで3200万ドルを集めたCentra Techの共同ファウンダーに有線通信詐欺、証券詐欺等の容疑がかかっているとはすでに報じたが、このほど3人が正式に起訴された。有罪になれば最低でも5年の刑期が課せられる。

共同ファウンダーはRaymond Trapani、Sohrab Sharma、Robert Farkasの3名で、ICOによって投資家を騙そうとしたという。Centra Techの詐欺行為ではトークン販売を助けるためにVisaとMasterCardと提携したという虚偽の宣伝をしたとされる。ニューヨーク南部地区連邦検事、Robert Khuzamiによれば、容疑者たちは「暗号通貨関連の資産を販売すると称し、有線通信詐欺、証券詐欺を構成すべき計画を予謀し、かつ実行した。これにより複数の被害者に重大な情報の隠蔽、捏造によりCentra Techが発行したものと称して暗号通貨トークンを用いて無登録の証券を販売し、数百万ドルの損害を与えた」と述べている。

ボクシングの元世界チャンピオン、フロイド・メイウェザー・ジュニアや著名なアーティストのDJキャレドのようなセレブもをInstagramにCentra TechのICOを支援する投稿を掲載し、同社のクレジットカードを使ってBitcoin、Ethereum、「その他のコイン」による支払ができると述べていた。メイウェザーの投稿はこちらだったが、現在は削除されている。

3人の共同ファウンダーの行為はことの他悪質とされ、SECもきわめて厳しく追求している。Khuzami検事によれば、3人はトークンを販売するためにさまざまな捏造を行ったが、その中には偽のCEOをでっち上げることが含まれていたという。【起訴状略】

FBIは詐欺チームが所有していた9万1000 Ether(9000万ドル相当)を差し押さえた。3人は「長期5年の刑となるべき証券詐欺の謀議1件、長期20年の刑となるべき有線通信詐欺の謀議1件、長期20年の刑となるべき証券詐欺1件、長期20年の刑となるべき有線通信詐欺1件」の容疑に直面している。

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Telegramの史上最大、17億ドルのICOが大混乱――初期投資家が大量に利食い売り

Telegramの新規暗号通貨売出しは新たな非集権的インターネットのプラットフォーム構築の資金となると期待されていた。しかし現実としては精緻に組み立てられた企業の資金調達市場に大混乱をもたらす結果となっている。Telegramの初期の投資家が利食いを狙って大量のトークン売却に出ているからだ。

今週、Wall Street Journalが報じたところによればTelegramは最近ICOの一般向け販売をキャンセルした。同社がこれに先立って特定投資家向けのトークン販売で17億ドル相当の資金調達(SEC提出書類)に成功したことはTechCrunchも報道している。 しかしこの問題が起きたのはそれより以前からだった。

TelegramはTON(Telegram Open Network)と呼ばれるブロックチェーン・テクノロジーを利用したプラットフォームとこれを利用するためのメッセージ・アプリを提供している。Telegramのビジョンは、各種支払だけでなく、ファイル保存、検閲を受けないブラウジング、その他各種の非集権的アプリのプラットフォームとなることだ。この3月、Telegramはメッセージ・アプリの1日当たりアクティブユーザーが間もなく2億人になると発表していた。当初のホワイトペーパーによれば、Telegramは招待オンリーの特定投資家と一般投資家、双方へのトークン売出しで12億ドル相当の資金を調達することを計画していた。

Telegramは調達額目標を17億ドルにアップし、その後一般投資家への売出しをキャンセルした。これは同社がTONネットワークを構築するために必要な資金をすでに確保したことを意味すると同時に、SEC〔米証券取引委員会〕がスタートさせた公衆から資金を調達するICOに関する調査を避ける意味合いだと考えられている。

この結果、一般投資家はGramと呼ばれるTelegramのトークンを直接購入することができず、トークンが取引所に現れるのを待つことになったが、Gramの取引所における売買が開始されるスケジュールは現在不明だ。しかしTelegramのメッセージ・アプリが大成功を収めていること、また初期投資家は大幅な割引価格でトークンを購入できたため、トークンを取引所外で売買するセカンダリーマーケットが出現した。これにより一部の投資家はすでに大金を手にしている。

TechCrunchが取材したある情報源によれば、初期投資家向けトランシュではトークンあたり価格は0.37ドルだったという。それが現在では1.30ドルでの売りを狙っている。実現すれば、公開取引が開始される前にすでに3.5倍の値上がり益を手にできる。これ以外にもさまざまな価格で同種の取引が行われてきたとTechCrunchでは考えている。簡単に大きな値ざやが稼げるところから新たな仲介者も現れた。売り手と買い手をマッチングさせ、取引が成立すれば手数料を得るブローカー業者だ。

ここに挙げたのは同種の非公式取引の一例にすぎない。Gramに対する需要が旺盛なためトークンを所有する初期投資家は現金化の機会を得た。また一般向け売出しがキャンセルされため、この傾向にはますます拍車がかかった。初期投資家は大幅な割引価格でGramを購入できたのできわめて容易に大きな利益を手にすることができるわけだ。

TechCrunchが取材した別の情報源によれば、Telegramはこうした非公式なトークンの売買が行われていることを認識しているものの、なんら法規に違反しているわけではない――ICOは公的規制を受けていない――ため、打つ手はないのだという。Telegramがこうした巨額の資金移動をコントロールできていないという事実はICOプロセスに強い懸念を抱かせる。【略】

TelegramのICOはこれまでで最大の暗号通貨売出しによる資金調達だ。2位のFilecoinの2億5000万ドルのICOをはるかに引き離している。しかしICOとして模範的なものとなったとは到底いえそうにない。

トークンの無秩序な売買に加えて、このICO自体の不透明性が当初から強く批判されていた。 Pantera Capitalの Charles Noyesは、TelegramのICOを「オポチュニスト的」と述べ、ホワイトペーパーについて「簡単に言えば、こうなれば良いという希望的観測のリストだ。クラッシュと炎上を避けられたらこうなるはずという筋書きを述べたもの」だと批判した。MIT Technology Reviewの記事は「大胆だがアイディアに乏しい」とした。またこの文書中のテクノロジー面の理論付けは他のプロジェクトからリサイクルされたものだという批判も出ていた。

しかも現在Telegramにとっての難題はICO関係だけではない。ロシア政府は強引な検閲によりTelegramのメッセージ・アプリを無効化しようと試みている。Telegramに対する取締りを逃れるために利用されていたIPアドレスでロシア政府よってブロックされた数は1900万に上ると推定されている。この大規模なもぐら叩きの巻き添えを受けてTwitch、Slack、Soundcloud、Viber、Spotify、Fifa、Nintendoなどのサービスにも被害が出ている。

TechCrunchはTelegramのCEO、Pavel Durovにコメントを求めたが本記事執筆時点では回答がない。

情報開示:執筆者のJon Russellは少額の暗号通貨を所有している。

画像:Carl Court / Getty Images

〔日本版〕フランス政府は政府職員がTelegram利用することを禁止し独自アプリに移行させることを準備中。

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インターネットを監視不可能な層で覆うOrchid Labsが$125Mの資金調達過程に入る

インターネットの上に監視のない層を作ろうとするサンフランシスコのOrchid Labsが巨額の資金調達を行い、SECに提出された報告文書によれば、この1歳のスタートアップはこのたび、3610万ドルのラウンドを完了した。同社はこれよりわずか5か月前に、Yes VCなどの投資家と、Caterina FakeやJyri Engeströmなどのシリアル・アントレプレナーから450万ドルを調達したばかりだ。

同社のサイトによれば、初期の支援者にはAndreessen Horowitz, DFJ, MetaStable, Compound, Box Group, Blockchain Capital, Sequoia Capitalなどがいる。

同社が宣言しているOrchidの目標は、世界中の人びとに匿名化されたインターネットアクセスを提供することだ。その典型的な想定ユーザーとしては、政府が国民の閲覧やショッピング行為を監視している国の個人が挙げられる。

その目標にはまた、ユーザーのデータを私物化して売っているような多くの企業からユーザーを隔離することも含まれるようだ。そんな企業の著名な例としては、FacebookやAT&Tのようなウォールド・ガーデン(高い塀のある庭)が挙げられる。〔Facebookが…売ってる、は象徴的な意味合いか〕

データの悪用に関しては、Cambridge Analyticaのスキャンダルのような事件が氷山の一角にすぎない今の世界では、このプロジェクトの投資家にとっての魅力も容易に理解できる。上記SEC文書によると、同社は3610万ドルをSAFTで調達している。それは、暗号通貨の開発者たちが認定投資家たちに与える投資契約だ。〔SAFT参考記事

当文書によると、これまで42名の個人が参加している。しかしながらその目標額は$125,595,882〔約1億2560万ドル〕であり、今ブロックチェーンは急速にその人気が過熱している(今週初めのBasisの例を見よ)から、今でなくてももうじき、同社にはもっと多くのお金が流れこむだろう。それもまた、この文書上のすごいターゲットだ。

今本誌は、同社に詳しい情報を求めている。読者は、このホワイトペーパーを勉強してもよろしい。

Orchidの5名のファウンダーは、その経歴がおもしろい:

Stephen BellはTrilogy Venturesで7年間マネージングディレクターを務め、その後中国に機会を探し、2015年にアメリカに帰国した

Steve Waterhouseは長年、デジタル通貨専門のPantera Capitalの投資家だった。

Gustav Simonssonは、元Ethereum Foundationのデベロッパーだ。

Jay Freemanは、ソフトウェアエンジニア。

Brian Foxは1995年に世界で初めての対話的オンラインバンキングソフトウェアをWells Fargoのために作った、とクレジットされており、また伝説のプログラマーRichard StallmanのFree Software Foundationの最初の職員でもあった。

金額、ミッション、そしてファウンダーたちの顔ぶれからして、これは大物のようだ。今後に注目しよう。

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広告をブロックするブラウザーBraveがDow Jones Media Groupとパートナーしてブロックチェーンを実験

Mozillaの前のCEOだったBrendan Eichが始めた広告をブロックするWebブラウザーBraveに、少なくとも一社の、大手ニュース発行者が味方についたようだ。

Brave Softwareと、Dow Jonesのメディア部門Dow Jones Media Groupが今日発表したパートナーシップにより、Media Groupのコンテンツ、具体的にはBarrons.comや有料のニューズレターMarketWatchへのフルアクセスが、Braveブラウザーをダウンロードしたユーザーの一定数に、早いもの勝ちで提供される。

さらに、Barron’sとMarketWatchは、BraveのBasic Attention Token(BAT)プラットホーム上の公認パブリッシャーになる。それは、消費者と、最終的には広告主たちがパブリッシャーに支払うための、ブロックチェーンを使ったシステムだ(Braveは昨年、ICOで大成功を収めた)。

そして両社は、メディアや広告の業界におけるブロックチェーンのさまざまな有効利用について今後実験を重ねていく。

Barron’sのSVP Daniel Bernardが、発表声明で述べている: “グローバルなデジタルパブリッシャーとして弊社は、高品質な顧客体験の構築に利用できる新しいテクノロジーを継続的に探求していくことが重要、と信じている”。

なお、パートナーシップの相手はDow Jones Media Groupであり、The Wall Street Journalなどを発行しているより大きなDow Jones本体*ではない。また両社の発言からは、実験が今回のパートナーシップの主な目的であることが伺われる。〔*: さらにそのオーナー企業がNews Corp.〕

でも、パブリッシャーたちはこれまでもっぱら、ブラウザーの広告ブロック機能を痛烈に批判してきたのだから、今回の動きは劇的な変化だ。たとえば2年前には、WSJ紙を含む新聞発行者のグループが、Braveのビジネスは“われわれのコンテンツを盗んでWebサイト上に載せることと同じだ”、とする書簡を発表した

Braveはまた、最近発表したリフェラルプログラム(referral program, 紹介制度)により、ファンをBraveブラウザーに切り替えさせたクリエイターに報奨としてBATを提供している。その発表声明の中では、当ブラウザーの月間アクティブユーザーが200万、と言っている。

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ベトナムのICOで6.6億ドルと首謀者7人が消えた――愚か者とその金は…?

ベトナムに本拠を置くスタートアップ、Modern TechはPincoinというトークンを売り出してICOを行い、3万2000人から6億6000万ドルを集めた。Modern TechはPincoin ICOの後、投資に対する継続的利益を約束しつつ、続いてiFan(セレブ向けソーシャルネットワーク・トークンとやらいうもの))を売り出した。Picoinの出資者は当初、キャッシュで配当を受けるが、その後iFanのトークンが利益として支払われるはずだった。

その後、連中は姿を消した。

こういう手口はエグジット・スカムと呼ばれるが、その中でも今回の事件は近年稀に見る規模だ。またICO市場の今後を考える上でも大いに示唆するものがあった。ベトナム国籍の7人組は、騙されたと知った大勢の投資家が本社に押しかける中、密かに国を脱出していたという。

Tuoi Treの報道によれば、

この事件の首謀者はベトナム国籍の7人で、チームはハノイやホーチミン市、さらに地方都市でもカンファレンスを開き、投資家を釣り寄せていた

7人組は投資家に対して最初の出資に対して月48%の利益が得られるとし、4ヶ月後には投資元本が回収できると説明していた。また新たな投資家を紹介できた場合、その投資額の8%がコミッションとして与えられると約束した。

この「新たなメンバーを引き込むとボーナスが支払われる」というPincoinの仕組みはどこかで聞いたことがある人も多いだろう。スカム屋どもはこの1月までは約束どおりキャッシュで支払っていたが、その後は支払をiFanトークンに変えた。そして先月、洒落たオフィスはもぬけの殻になった。後に残ったのは作りかけではあるが妙に出来のよいウェブサイトだけだった。

そのサイトを詳しく観察すると、ビジネスモデルが巧みなごまかしの上に成り立っていたことがよくわかる。「PINプロジェクトの使命は、共有経済の原則の上に世界のコミュニティーのために共同消費のプラットフォームを構築することであり、これにはブロックチェーン・テクノロジーによる暗号通貨が用いられる…」といった空中のパイ〔絵に描いた餅〕の羅列だけで、どこを探してもファウンダーやアドバイザーについての言及がない。しかも多国語の洒落たホワイトペーパーにさえファウンダーの身元をはっっきりさせるような情報がない。簡単にいえば7人組が力を入れたのはもっともらしいウェブサイトを作ることで、これによって大勢にちゃんとした会社であると信じ込ませることに成功した。

Viet Baoによればチームは以下の7人だという。Bui Thi My Ngoc、Ho Phu Ty、Ho Xuan Van、Luong Huynh Quoc Huy、Luu Trong Tuan、 Nguyen Duc Trong、Nguyen Trung Hieu、Vu Huu Loi。彼らはPincoinとiFanをゼロから立ち上げて数ヶ月で数千万ドルの規模にした。【略】

口先巧みに人を丸め込もうとした興味ある例がiFanのページに見出される。ページの中ほどに彼らのトークンは「Ethereumプラットフォームを利用している」とあり、続いてEthereumの値動きやビジネスの規模が紹介されている。つまりiFanトークンの価値がEthereumと直接連動しているかのように思い込ませようとした表現だ。

このくだりは7人組のホワイトペーパーの中にも出てくる。

現在のような規制のないICOビジネスは「愚か者とその金はすぐに別れる」ということわざの興味深い実例となる雲行きだ。

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暗号通貨による資金調達「ICO」、ブームの影でその約半数が失敗に終わったとの調査結果

eng-logo-20152017年は暗号通貨そのものの価値急騰だけでなく、暗号通貨を使った資金調達方法であるICO(Initial Coin Offering)がいろいろと話題になった年でした。

しかし、ICOは従来の新規株式公開(IPO)にベンチャー企業などが手軽に資金集めをできる手法である一方、2017年に実施されたICOの実に半数近くがすでに失敗に終わっているという気がかりなデータが報告されました。

2017年の暗号通貨の人気急騰にともない、多くの人がその利益を手にしようと暗号通貨購入に走ったほか、いくつかの企業はマイニングに参加したり、新たな取引所開設などもありました。そして、投資家たちのあいだでブームとも言える盛り上がりを見せたのがICOの数々です。

ICOを実施するのにはいくつかの目的があるものの、その多くは資金調達を目的としており、企業が独自に発行する”トークン”を投資家が購入することで、その後トークンの価値が上昇すればキャピタルゲインを得られるというしくみ。IPOでは企業が株式を売買しますが、ICOの場合は株式の代わりがトークンであり、トークンを購入するのには仮想通貨が用いられます。

Bitcoin.comはTokendataのデータをもとに、2017年に実施された902件のクラウドセールスベースのICOを分析しました。その結果、全体の46%がすでに失敗に終わっていることが判明したとのこと。

これらのうち142のICOは資金調達自体に失敗し、別の276の例はジリジリと状況が悪化しフェードアウトしたものだったり、詐欺まがいのものであったりしたとのこと。さらにそのほかの113例では、すでにSNSなどを通じた宣伝は停止しており、すでにプロジェクトが瀕死の状態であることを醸し出しています。

そして、まだ生き残っているプロジェクトも、決してうまく行っているわけではありません。もちろん、なかには1000万ドル以上の調達に成功した例もあるもののそれはほんの一握りだけであり、残りはいまだ厳しい戦いを続けている状態です。

詐欺プロジェクトは論外として、こうしたICOのほとんどがうまくいかない理由は、もともと対象とする商品が歯科、貨物輸送、不動産といったニッチな商品を対象としたもので、大勢の興味を惹きつけられなかったことがあげられます。投資家の多くはこうしたICOには敏感に反応して手早く手を引く一方で、やはり一定数は被害を被る人がいます。こうした失敗プロジェクトが集めた金額を合計すると、約248億円にものぼるとのこと。

こうした状況にもかかわらずいまだにICOのブームは続いています。今年始めには米イーストマン・コダックがICOを実施すると発表し、直後に株価が急騰していました。しかしその後はICOプロセスにおける投資家審査の遅れなどから再び株価を下げるなど若干波乱含みな様相を呈しています。

2018年に入ってから上記コダックの他にも、ゲームメーカーのアタリコインチェックのNEM流出問題の際に少し話題になったチャットアプリ「Telegram」を開発するTelegramのICO案件もまた注目を集めています。

とはいえ、このように注目されると、どうしても信頼性の低い案件も続々と出てくることが考えられます。投資家には、これまで以上に厳しい嗅覚が求められることになりそうです。

Engadget 日本版からの転載。

ICOで資金調達を発表したKodak、株価89%アップ

創業以来130年の歴史を誇るEastman Kodakは昨日(米国時間1/9)、ICOを行うことを発表した。2018年にはなんでもありを感じさせるこの発表に、株価は89%アップして現在11.90ドルを付けている。Kodak株がこの水準になったのは2017年3月以来だ。

もちろん、暗号通貨による資金調達を発表して株価が高騰した会社はKodakが最初ではない。Veltyco、LongFin、それに(覚えているだろうか?)Long Island Iced Tea Corpまで暗号通貨ブームに参入して株価を2倍以上にしている。

KodakのICOによる資金はブロックチェーン・テクノロジーを利用した安全なデジタル写真の著作権認証システムの開発に充てられる。このシステムによって写真家は著作権料を得ることができる。KodakはさらにCES 2018で暗号通貨のマイニング装置も発表した。

このぶんでいけば、どこでもいいが経営が傾いている有名会社を買ってICOを実行すると発表すれば手っ取り早く荒稼ぎができそうだ。

画像: spDuchamp/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ICO時代の新しい企業のカタチ「自壊企業」

【編集部注】筆者のEden SchochatはイスラエルのベンチャーキャピタルAlephのパートナー。

数々の投資家や起業家は、トークンを基点としたネットワークが企業の誕生や運営を左右する世界に突入しようとしている。ネットワークビジネス(ネットワークが根幹にあるビジネスの意。連鎖販売取引とは異なる)のモデルを根源から変えるこの変革についていけない企業は、いずれ取り残されることになるだろう。

ネットワークビジネスのなかでも、特にスケールやマネタイズが困難でこれまで広告に頼ることの多かったものは、一企業が顧客にサービスを提供するというモデルよりも、「トークンネットワーク」を活用した方が得るものが多い。このトークンネットワークによって、私たちのスタートアップの捉え方も、単に顧客がサービスに対して対価を支払う企業体のモデルから、経済の計画、構築、維持などに関する決定権を参加者が持つネットワークへと変わっていくだろう。さらにトークン経済においては、ネットワーク内で生み出された価値が、ファウンダーや開発者、顧客、サービスプロバイダー、投資家といったさまざまなステークホルダー(=トークンホルダー)の間でより効率的に共有できる可能性もある。

しかしここ最近、イニシャル・コイン・オファリング(ICO)には逆風が吹き荒れている。

相対するふたつの恐怖がトークンネットワークの普及を妨げているのだ。ひとつはガバナンスの欠如に対する恐れ、そしてもうひとつが規制に対する恐れ。

その一方でトークン時代の今、矛盾しているようにも見えるこのふたつの恐怖を同時に解消するような起業の手段がある。

その手段とは、企業を完全に崩壊させてしまうというものだ。まずは従来の企業のように株式と引き換えに資金を調達してから事業をスタートさせ、ある地点で企業という名の「殻」を破り、ガバナンス体制を非中央集権的なものへと転換させるというのがその概要だ。

ICOが抱える問題のひとつは、トークンネットワークの構築や資金調達に関するルールが現在作られている最中だということ。今年はICOを通じて何億ドルという資金を手にする企業が何社も生まれたが、ほとんどの場合、ICO時に確認できたのは笑顔のファウンダーの写真と、簡単には読みこなせないホワイトペーパーだけだった。

多くのICOが成功をおさめる背景となったのが、仮想通貨という近代史上類を見ない速度で価値が上昇した資産を通じて大金を手にしたクリプト・エンジェルの「金余り」状態だ。ビットコインやイーサリアムをはじめとする仮想通貨の過去10年間の値動きを見てみると、5000億ドルもの資産がたった10年未満で生まれたとわかる。しかもそのうち4500億ドルは過去1年(2017年12月22日現在)のうちに誕生したのだ。

ビットコインの驚異的な値上がりの様子

こうして生まれた資金が市場に流れこんだ結果、初期のICOにおいてはガバナンス体制など問題にならなかった。さらに、どんな分野であれ黎明期には詐欺行為が横行する。ペニーストック(1株当たり1ドル未満で取引される株式)のIPOが同じような道をたどったのを覚えている人もいるかもしれない。ペニーストックをめぐる詐欺行為が増えた結果、1930年代には何千万ドルという売上が上場の必須条件となった。歴史はそのまま繰り返すことはなくとも、このように時代を超えて同じパターンを目にすることはある。今日のICO周りの動きは、ペニーストックのそれに似ていると言っても過言ではないだろう。

さらに先日、米証券取引委員会(SEC)は初期にICOを行ったThe DAOに関する調査レポートを発表した。同レポートの焦点はプリンシパル・エージェント問題にあり、利害関係の一致しない少数のマネージャーによって管理されるネットワークの構造が、SECの調査のきっかけとなったのだ。これを受けて、現在規制強化に対する恐れが高まっており、実際にSECは最近何件かのICOをストップさせた。

規制当局がICOに関与しだしたことで、最近ではICOを検討している企業の代理人を何十万ドルという料金で務めようとする法律事務所を見かけることもある。同時に、以前は創業チームとビジネスアイディアだけを材料に積極的な姿勢を見せていた投資家の勢いもおさまり、既にトークンネットワークの構築を終えたような、ある程度成熟したプロジェクトに注目が集まるようになった。要するに、これまでのようにICOを実施するだけでは、大金を集められなくなりつつあるのだ。

これは、最初の資金作りにICOを活用するというモデルが、もはや(比較的最近ながらも)過去のものになろうとしている、と言い換えることもできる。この変化自体は必ずしも悪いこととは言えない。というのも、アイディア段階にあるにもかかわらず必要以上の資金を調達したスタートアップが失敗しがちということは、過去の例を見れば明らかだからだ。新しいテクノロジーが登場したところで、この傾向が変わる兆しはない。

そもそもトークンの価値とは、早い段階でどれだけの資金を調達できるかではなく、トークンネットワークが公開された時点でのバリューフローや生み出された価値によって決められるべきだ。プロダクトが完成する前にICOを実施するということは、多くの企業の存在を脅かすことにもつながる。もしもプロダクト完成前にトークンの価格が急騰すれば、ローンチ前にもかかわらず企業がトークンホルダーに提供しなければいけない価値も当然上昇する。これを望むファウンダーはいないだろう。

上記から、「トークンネットワークは起業において大きなメリットを持つ」そして「ICOで『上場』するというのは、ビジネスモデルとして成立し、資金調達上のメリットもあるが、ICOにかかるコストは上がってきており、投資家を保護しようとする規制当局の意向にも反する」ということがわかる。

SECによるThe DAOのレポートには、ポジティブな面があるということも忘れてはならない。トークンホルダーが資金使途を自分たちで決められるような、完全に非中央集権化したトークンネットワークでは、プリンシパル・エージェント問題が発生しえないため、(SECのような)中央集権的組織が不要になるのだ。しかし残念なことに、プロダクト開発の初期段階においては、非中央集権的な組織よりもむしろ中央集権的な組織の方が課題を乗り越える上で効率が良い。LinuxにはLinusがいたように、FacebookにはMarkが、イーサリアムにはVitalikが、ビットコインにはSatoshiがいたのだ。TravisなしにUberがこれほどまでに成長していたかどうか考えてみるといいだろう。

この点に関しては、興味深いことに、インターネットや自動運転車など今日のさまざまなテクノロジーの母とも言える米国防高等研究計画局(DARPA)から学べることがある。

DARPAは、当初の課題を解決した後も主導権を握り続ける「Kingdom Builders(王国の建国者)」になることを良しとしない。それを防ぐために、DARPAはプロジェクトを率いるプログラムマネージャーに対して、具体的な責任区分と時間制限を設けている。

そのため、各プログラムマネージャーはプロジェクトの成否にかかわらず、いずれは自分がプロジェクトから手を引かなければならないということを理解している。さらに任期はIDバッジにも明記されており、彼ら自身そして彼らの同僚も、大事な仕事を完遂するまでの時間は限られているということを意識せざるをえない。つまりプロジェクトマネージャーにとって、各プロジェクトはいずれ「消え去る」ものなのだ。実際にほぼ全てのOpen Sourceプロジェクトで、特定の創始者と協力者がいるフェーズを過ぎると、プロジェクトの運営主体がコミュニティへと変化していった。

もしも特定のネットワークを構築するという明確なミッションと、それを達成するまでの期間、そしてネットワークが完成した後は権限を移譲するということが予め定められた企業があったとしたらどうだろうか?

これこそが「自壊企業」のアイディアの根幹だ。

自壊企業のアイディアのもとでは、企業のライフサイクルを次の3つに分けることができる。まずはネットワーク構築に向け、企業が「ネットワーク主体」として機能する段階。この段階では、影響力のあるファウンダーが先頭に立ち、当局の認可を受けた投資家(ベンチャーキャピタルや仮想通貨億万長者のような人たち)からさまざまな形(株式、SAFEのようなコンバーチブルノート、SAFTのような将来的なトークン入手権など)で資金を調達するというモデルが考えられる。その次がトークンと株式が共存する第2段階だ。

第2段階はトークン経済のテストからスタートする。ファウンダーはネットワークを構築し、初期の顧客に対してトークンを「エアドロップ(無料配布)」したり、預入金に応じて配布(「預金者」に対してある種の資産を提供しつつも、トークンを販売しているわけではないので規制を避けられる)したりする。そうすることで、企業は規制対応にコストをかけず、将来についての意思決定ができる自己統制機能を備えた存在としての第一歩を踏み出せるのだ。そして最終段階として、予め決められた時期もしくはマイルストーンに到達した時点で、ネットワークはトークンだけで動きだすようになる。もともとネットワークの運営主体であった中央集権的な企業は、ICOを通じて権利をコミュニティに移譲し、設立当初に組み込まれた「時限爆弾」がその終わりを告げる。面白いことに、このステップをたどればICOがIPOに代わってレーターステージにおける資金調達の代替手段となりえるのだ。

最後にトークンオンリーの段階を設けることで、株主価値とトークン価格のどちらを最大化すればいいのかということについて、経営層の衝突を避けることができる。その一方で、株式とトークンが共存するハイブリッドな段階では、異なる(ときには衝突するかもしれない)利害関係が生まれることになる。

企業を解体するにはいくつかの方法が考えられる。そのうちのひとつが、ICO時に株式とトークンを等価交換するというもの。つまり株主は配当金のように株式の保有割合に応じてトークンを受け取るということだ。税金のことを考えると、保有割合に応じて各株主へのトークンの販売価格を割り引くという方法もありえるだろう。いずれにしろ、株式とトークンを交換する場合には、交換用のトークンが別途必要になる可能性があるため、経営陣はスマートコントラクトを作る前にこのステップについて十分に理解し、綿密な計画を練らなければいけない。

本稿で紹介したモデルには、何百年間もほぼ変わらずに生き続ける従来の企業構造と比較して以下のようなメリットがある。

  • プロジェクト開始時に必要な資金をトークン販売以外の方法で調達するため、規制環境をそこまで気にしなくてもよい
  • 各段階で重視すべき価値が明確化されるため、株主とトークンホルダーの板挟みにあわない
  • ベンチャーキャピタルの投資を受け、ファウンダーが旗振り役を担う企業であれば、ネットワークを十分なレベルまで成長させられるため、規制に準拠し自己統制ができるようになった段階でICOを迎えられるようになる
  • 自壊企業は最終的にトークンオンリーの構造へと変化することから、勝者が全てを獲得するネットワークの世界において、トークンホルダーがネットワーク効果を生み出し、口コミでバイラルにネットワークを広げるインセンティブを生み出せる

このように、自壊企業はネットワークをベースとしたビジネスモデルの未来にウィンウィンの状況をもたらす存在であるとともに、時代遅れの起業メカニズムを加速化させるトークンというエンジンの活用法としても魅力的なモデルなのだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

B Dash Venturesが100億円規模のICOファンド設立へ、ICOで大成功したQUOINEも参画

今年、いろいろな意味でかなりの注目を集めたキーワードは何かと聞かれると、「ICO」と答える人も多いのではないだろうか。そのICO分野でまた大きなニュースが飛び込んできた。日本のVCであるB Dash VenturesがグローバルICOファンドを設立するのだ。

B Dash Venturesは2017年10月、仮想通貨への投資事業やICOコンサルティング事業を行うことを目的に新会社「B Cryptos」を設立しており、今回発表されたICOファンドの運営は同社が行うことになる。

写真左より、B Dash Ventures代表取締役の渡辺洋行氏、B Cryptos代表取締役の本吉浩之氏、QUOINE代表取締役の栢森加里矢氏

TechCrunch Japan読者のなかには仮想通貨まわりに詳しい人がいることは承知の上で説明しておくと、ICOとはイニシャルコインオファリングの略で、資金調達を行いたい企業が独自の仮想通貨(トークン)を発行することで資金を集めることを指す。企業が発行したトークンが仮想通貨の取引所へ上場をすれば、株式と同じように取引所経由で売買ができるようになる。また、トークンのなかには発行企業が提供するプロダクトやサービスの購入にも使えるものもある。

B CryptosのICOファンドはこれから組成していくという段階だから、どのようなLP(出資者)の顔ぶれになるのか、ファンド規模がどれくらいになるのかはまだ分からない。しかし、B Dash Ventures代表取締役の渡辺洋行氏によれば「ファンド規模は100億円ほどになる」見込みだという。これは、米Pantera Capitalが設立した1億ドルのICOファンドに匹敵する規模だ。

B Cryptosがファンドとして利益をあげる仕組みはこうだ。同ファンドは、ICOでトークンを発行したスタートアップ企業への出資の対価として、上場前のトークンを受け取る。基本的には、トークンが取引所に上場して価格が上昇したところで売却し、利益を得る。従来のエクイティ投資でいえば、これは未公開株式への投資にあたる。第三者割当増資などでスタートアップの株式を引受け、株式市場への上場(IPO)のタイミングで株式を市場に放出することだ。

しかし、B Cryptosはそういった上場前のトークン投資だけでなく、上場後のトークンにも投資を行っていくという。その割合は「外部環境がどうなるかによって変わる」(渡辺氏)ということだが、ファンドとして比較的大きな利益を狙いやすいのは上場前のトークンを取得することには変わりはない。

ICOファンドの出資者として考えられるのは、通常のVCファンドと同じく、事業会社や機関投資家、個人投資家などだ。また、その出資者リストのなかに他のVCが含まれる可能性も大いにあるだろう。VCによっては、ファンド組成時の規約もあって暗号通貨に直接投資できないこともある。前述したPantera Capitalの場合は、そういったVCが出資者としてICOファンドに参加した例もある。

登録仮想通貨交換業者であるQUOINEがファンド運営のサポート

今回組成する予定のICOファンドでは、2017年9月に仮想通貨交換業登録(関東財務局長第00002号)を受けたQUOINE(コイン)が参画する。B Dash Venturesによれば、これによりB CryptosのICOファンドは「登録仮想通貨交換業者がサポートする日本初のグローバルICOファンド」になるという。

QUOINEはみずからもICOを成功させたことでも有名だ。QUOINE CFOの紺野勝弥氏によれば、同社は2017年11月に行った独自トークン「QASH(キャッシュ)」の売り出しにより、日本円にして約100億円を調達。ICOに参加した投資家は、世界98カ国4988人だったという。ディスカウントも含めた売り出し価格が26円だったQASHは、現在100円付近の価格をつけるまでになった。

それと、ちょっとややこしいのだけれど、QUOINEはB Dash Venturesの投資先の1つでもあり、仮想通貨取引所「QUIONEX」を運営する企業でもある。また、B Criptosの投資委員会にはQUOINEから人材が拠出されることにもなっている。つまり、投資案件によっては、QUIONEXに上場予定の企業に投資するかどうかを検討する場にQUIONEの社員がいるというケースも出てくるだろう。

それについて渡辺氏は、「(以上のようなケースの場合、)利益相反になることを防ぐため、投資委員会ではQUOINE、B Dash Venturesに加え、外部の有識者の方に入って頂き、公正で的確な投資判断を行う」としている。

そのうえで、B CryptosのICOファンドにQUOINEが参画することによるメリットとはなんだろうか。B Cryptosによれば、QUOINEが今回のICOファンドに果たす役割は以下の通りだ。

  • ICOファンドの投資委員会に人材を拠出
  • 投資案件のソーシング
  • QUOINEがもつセキュアな取引所システムの活用(例えば、ウォレット管理システムの活用による資産保全、アービトラージ取引でのシステムの活用)

まあでも、おそらくQUIONEが参画することでB Cryptosが得られる一番のメリットは、このICOファンドの信用度が高まるということではないだろうか。ICOには大きな期待が寄せられている反面、いわゆる「ICO詐欺」が現れるなど、不安視する声があることも確かだ。これから出資者を集めるフェーズに入るB Cryptosにとっては、そのような不安を払拭することが重要になってくる。

「ファンドの構想から約半年かかった」と渡辺氏が話すB CryptosのICOファンド。彼らはこれから、どのような出資者からどれだけの金額を集めるのだろうか、そしてどのような企業に投資をしていくのだろうか。

ICOで34万7000ドル集めた会社、直後に雲隠れ

Confidoなる会社がカスタマイズされたCFD〔差金決済取引商品〕を売って小規模なICOを行った。これは「安全かつtrustlessな(中央集権的発行権限を必要としない)暗号通貨」による払い込みという宣伝だった。ICODropsによればこの会社は目標の40万ドルに近い金を集めとたんにキャッシュを握ったまま消えた。会社のドメインは放棄されたらしく、サーバーには何も残っていない。

ファウンダーは元eBay社員のJoost van Doornという人物らしい(画像参照)。DoornのRedditのConfidoフォーラムへの投稿によると、「われわれは契約から生じる法的な困難に直面している。われわれが署名した契約について弁護士は法的に問題なくリスクも最小限だと保証していた。ここで詳細を明らかにすることはできないし、するつもりはないが、弁護士は間違っていた。大問題になっている」ということだ。

このICOについてのフォーラムのモデレーターは「Joostの性格から考えられないこと…自分にも事情はまったく分からない」と述べている。【略】

ICOあるいは「トークンによる資金調達」は現在大ブームだが、私が取材したファウンダーの多くが深刻な―といっても今回ほどドラスティックな結果をもたらしてはいないが―法律的トラブルに遭遇していた。ファウンダーはICOの手続きを法律的、論理的、セキュリティー的に詳細に見直すことを迫られているようだ。関連する暗号通貨の額、法律や金融の諸規則、財務運営手続きの複雑さなどを考えあわせると、ICOにこういう事故がもっとたびたび起こっていないのが不思議なくらいだ。

今日(米国時間11/21)の時点では会社の創立チームに対してまったく連絡が取れない。トークンはクラッシュ直前に1ドルまで上昇したが、その後無価値になってしまった。ファウンダーが雲隠れ前に集めた37万4000ドルはKraft& Wurgaft, P.C.のエスクロに入っているようだ。

このICOを実施したTokenLotの共同ファウンダー、Eli LewittはMotherboardのインタビューに対して「とんでもないインチキだ」と答えている。.

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

コンテナ型機器による仮想通貨マイニングでICO、テックビューロ、Looop、クリプトマイニングジャパン

仮想通貨取引所ZaifやICOソリューションCOMSAを提供するテックビューロ、太陽光発電セットの販売や電力小売サービスを手がけるLooop、仮想通貨マイニング分野のスタートアップ企業であるクリプトマイニングジャパン(CMJ)の3社は、仮想通貨マイニング事業に関して業務提携を結んだ。Looopとクリプトマイニングジャパンの2社はそれぞれ事業展開のためのICOを近々実施する。テックビューロのICOソリューションCOMSAを利用する。トークン数量や用途などのICOの詳細は追って発表する予定だ。

仮想通貨マイニング事業は、電力コストとマイニング機器の電力対性能比が収益を左右することから、電力コストが安い中国奥地や北欧に設備を置くのが有利とされていた。今回の発表では、Looopが提供する安価な電力とクリプトマイニングジャパンが開発提供する「マイニングコンテナ」を使うことで、日本国内でもマイニング事業の競争力を確保できるとしている。テックビューロ代表取締役の朝山貴生氏は「日本国内でもビットコインのハッシュパワーを確保したい」と話している。

クリプトマイニングジャパンは、独自設計の「マイニングコンテナ」の提供、マイニングプール(複数マイナーが協力して採掘)、クラウドマイニングサービス(多くのユーザーから資金を集めてマイニング事業に投入、収益を分配)の提供を目的として2017年12月から2018年1月までの間にICOを実施する。「マイニングコンテナ」は、輸送用コンテナ内部にデータセンターの機器類を高密度で搭載する「コンテナ型データセンター」の考え方を応用したもの。移動と設置が容易で、高集積かつ電力使用効率が良いメリットがある。コンテナの上部にLooopの太陽光発電設備を設置することで、設置面積あたりの防熱や発電の効率向上に寄与するとしている。コンテナ型には、移動が容易でスケールしやすいメリットもある。クリプトマイニングジャパン代表取締役の三代飛翔氏は、コンテナ型のメリットについて「工場を建設するのに比べて、コンテナ型は短時間で設備をスケール(規模拡大)できる」と話す。マイニングに使うASIC機器やGPU機器の選定、調達に関しても、三代氏は「マイニングを研究するコミュニティ運営を通してノウハウを蓄積してきた」と話している。

今回提携の3社のうちLooopは、2017年12月から2018年2月までの間に発電事業とマイニング事業の拡大を目的とするICOを実施するべく検討を進めている。同社は2011年3月11日の東日本大震災の被災地域へソーラー発電セットの無償提供を実施したことをきっかけに同年創業。家庭向け太陽光発電セットの販売や電力小売サービス「Looopでんき」を手がけてきた。最近では仮想通貨マイニング事業者向けの定額電力料金プラン「マイニングフラット」の提供予定を発表している。同社はICOで調達した資金や仮想通貨マイニングによる収益を、再生可能エネルギーによる低価格な電力供給のビジネスのための設備投資などに活用していく考えだ。

テックビューロは、マイニングで採掘した仮想通貨による決済技術や仮想通貨売却の機能を提供する。またマイニング事業者が仮想通貨の価格下落に対するリスク分散ができるようにするデリバティブ商品などを提供するとしている。

日本でも、最近はビットコインを筆頭とする仮想通貨のマイニング事業への参入のニュースが相次いでいる。GMOインターネットは専用半導体と北欧のデータセンターに100億円規模を投資してビットコインのマイニング事業を開始すると発表しており、マイニングボード販売に関するICOも検討中と発表している。このほかDMM.comやSBIグループも仮想通貨マイニング事業への参入意向を表明している。日本企業によるマイニング事業の機運が急速に高まりつつある状況の中、マイニングに特化したスタートアップ企業と再生可能エネルギーによる新電力事業を運営するスタートアップ企業がICOに挑む形となる。