iPhoneなどの分解で人気のiFixitが医療機器の修理マニュアルのデータベースを無料提供中

デバイスの分解で有名なiFixitが米国時間5月19日に、現在の緊急事態にさらに注力したい、と発表した。これまでの2カ月の間、同サイトはスタッフのおよそ半分を医療機器のマニュアルのデータベースの開発にあてた。この種のデータベースとしては「世界最大」だという。

そこには、数百社分の誰もが自由に使えるマニュアルが13000ほどもある。中にはiFixit自身が制作したものや、多くのエキスパートが寄与貢献したクラウドソーシングの文献もある。

iFixitのCEOであるKyle Wiens(カイル・ウィーンズ)氏は「とても大きな仕事だったが、幸いにも全国の200名を超える司書や文書発掘専門家の協力を得られた。文書官たちの出自は、大学や公立図書館、研究所、保険企業、ソフトウェア企業、それにもちろんバイオメディカルの企業など多岐にわたる。全員がボランティアとして活躍してくれた。彼らが山のようなドキュメントを整理して閲覧と検索が可能な形にまとめるために費やした人時は、数千時間に達するだろう」という。

同サイトは、ボランティアたちのリストも作っており、多数の大学や図書館はもちろんLinkedInのような企業からの参加もある。このようなプロジェクトの遂行は最近まで不可能と思われていたかもしれないが、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックで医療の負荷があまりにも過重になっており、多くの人が自分にできることは何でもやろうという気になっているのだろう。

iFixitによると、このデータベースは新型コロナが収束した後も利用可だが、このようなリソースが最も必要なのは、まさに今だ。

画像クレジット:val lawless / Shutterstock

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

iPhone 11 Proを分解、ロジックボードは小さくバッテリーは大きくなった

iFixitがApple(アップル)の新しいiPhoneを分解し、昨年のモデルとの違いを明らかにした。iFixitはiPhone 11 Proを分解する様子をライブ中継し、iPhone 11 Pro Maxの分解の手引きを書いた。

最初の大きな違いは、iPhone 11 ProとPro MaxのバッテリーはiPhone XSとXS Maxよりずっと大きいことだ。

iPhone 11 Pro Maxは本体が0.4 mm厚くなり、スクリーンは0.25 mm薄くなった。John Gruber(ジョン・グルーバー)が予想したように、新しいiPhoneは3D Touchをやめたことで、スクリーンが少し薄くなった。3D Touchには圧力を検知するために画面の下に余分なレイヤーが必要だった。

小さな違いに思えるかもしれないが、おかげでバッテリーのためにスペースが増えた。iPhone 11 ProとiPhone XSは同じ単一セルのL型デザインだ。しかしMaxは従来の2セルから単一セルに変更された。

その結果iPhone 11 Pro Maxのバッテリー容量は3969mAhになり、1年前のiPhone XS Maxの3179mAhより25%近く改善された。

こうしたハードウェアの改良にApple A13 SoC(System-on-a-Chip)の効率の良さを組み合わせることで、バッテリー持続時間は大きく改善された。Appleは、iPhone 11 Proと11 Pro Maxは前世代機種と比べてそれぞれ最大4時間あるいは5時間長くもつようになったと公表している。

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Photo credit: iFixit

ほかのニュースとしては、カメラモジュールが(予想どおり)大きくなった。Appleは第3のカメラを収めるためにロジックボードのサイズを小さくした。

そのロジックボードはiPhone Xで導入されたのと同じ2層設計だ。チップのクラブハウスサンドイッチのようなものだ。AppleとQualcomm(クアルコム)は数十億ドルの訴訟で和解したが、iPhone 11 Proのモデムは今回もIntel(インテル)製だ。

まだわかっていないこととしては、iFixitはRAM容量を突き止めることができなかった。Steve Troughton-Smith(スティーヴ・トラウトン-スミス)氏は、ベンチマークでは検出されないカメラ専用の2GBメモリーがあるらしいと考えている

また、バッテリーコネクター2つあった。2番目のコネクターが双方向ワイヤレス充電のためなのかどうかまだわかっていない。ほかにもいろいろな可能性がある。Appleは逆方向のワイヤレス充電を追加したかったが、土壇場で封印したという噂もある。

iFixitは総合的な「修理しやすさ」を10点中6点と評価した。iPhone XSも同じく10点中6点だった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Galaxy Foldの画面は驚くほど脆い、分解レポートが公開される

サムスンが初期調査に乗り出す中、iFixitは折り畳みスマートフォン「Galaxy Fold」の詳細な分解レポートを公開した。その内容は第1世代デバイスの野心を褒め称えつつも、いくつかの明らかな欠陥を指摘している。

iFixitによるおなじみの19ステップの徹底的な分解レポートで注目したいのは、「驚くほど脆い」と評されたディスプレイの構造だ。iFixitが同サイトにて「驚くほど」とまで表現することは、めったにない。

サムスンが発売日の延期と共に発表した声明では、「初期調査では、上下のヒンジの露出部分からの衝撃が、ディスプレイに問題を生じさせた可能性がある」としていた。その脆い構造が、レポートでは実際に確認された形となった。

また、サムスンの他のデバイスにも付属しているので、多くのレビューアーが間違えて剥がした画面の保護レイヤーについても、iFixitは報告している。「確認されたすべてのケースにおいて、この保護レイヤーを剥がすことはディスプレイの損傷につながる。ディスプレイは保護レイヤーなしでも動作するが、密接に接着されており、ディスプレイが壊れるほどの力をかけない限り取り除くことはできないほど画面は脆かった」

一方で、iFixitはヒンジの構造には感心していたが、蝶番部分の大きな隙間は異物の混入を招き、ヒンジやディスプレイの間に挟まる可能性があると指摘している。これはサムスンによる「なんらかの物質がデバイス内部に入り込み、ディスプレイのパフォーマンスに影響を与えた可能性がある」という説明とも一致している。

そして分解レポートは、このような問題がごく少数のレビュー用端末に限らない可能性にも触れている。サムスンが上記の問題を解決することを願うばかりだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

モトローラ、ガジェット分解のiFixitと組んで「公式DIY修理キット」を発売

携帯電話の修理は必要以上に難しい。この10年端末メーカーは機体の薄さと契約期間だけもてばいいデバイスの開発に注力し、修理のしやすさはおよそ気にかけてこなかった。修理が必要だって? eBayで見つかりますように!

そんな中Motorolaは、公式修理キットをiFixitと提携して販売する。

おそらく読者はiFixitのことを、ほとんどの人気新端末を発売数時間後にはバラバラにしている連中だと知っているだろう。彼らの奥深いガジェット分解記事は、中でどうやって時が刻まれ、どうやってシリコンハムスターが車を回しているのかを、あなたの大切な端末を無事動かしたままの状態で覗かせてくれる。

しかし彼らは、道具が動かなくなったときのための道具もいろいろ売っている。古いiPodからゲーム機のコントローラーまで、あらゆる種類のデバイスを修理するための個別パーツを山ほど揃えている。そして今、多くのMotorola端末のために、彼らはMotorolaのお墨付きを得て商売を始めた。

このほど同社が販売開始した修理キットには、Motoralaから直接仕入れた交換部品が入っている。現時点で8種類の携帯電話に対応している(Moto Z、Moto X、Droid Turbo 2、Moto Z Play、Moto G5、Z Force、X Pure、およびG4 Plus)。同社は最もよく使われる2大交換部品——バッテリーとスクリーン——に焦点を合わせており、キットには端末を分解し、部品を交換して元に戻すのに必要なものがすべて入っている。バッテリー交換キットは40ドル前後、スクリーンキットは100~200ドル程度。

他社も追随するかって? それはなんとも言えない。しかし、ぜひそう願いたいものだ。次世代スマートフォンの魅力が益々薄れていく中(「カメラが少しだけよくなった! スクリーンが明るい? 硬い? 速い?  頑丈?)、多くの人が進んで修理するようになるのはすばらしいことだ。

(画像出典:iFixit’s Moto Z repair guide)

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

iFixitはAppleのお詫び料金に合わせて電池交換を29ドルに値下げ、Apple未対応の機種も

iFixitが、修理に関するAppleのポリシーを好感したことはない。それどころかAppleのガジェットは同社のサイトにおいてつねに、修理適性で低い得点をいただいていた。その同社が今日(米国時間12/29)は、当の巨大テクノロジー企業に対しまた辛辣な姿勢を見せ、その電池交換キットを29ドルに値下げした。それはAppleがiPhoneの低速化ポリシーに対する一種の慰謝料として、保証期間切れの電池交換に設定した料金と同額だ。

ご存知のようにAppleは、今週の初めから煮え湯を飲まされていた。同社は、電池の古いiPhoneの動作速度を落としたことを認め、それに関する透明性の欠如を詫びた。

同社がめったに発表することのない公開詫び状には、こう書かれている: “約1年前のiOS 10.2.1において弊社は、電源管理部分のアップデートを行い、iPhone 6, iPhone 6 Plus, iPhone 6s, iPhone 6s Plus, およびiPhone SEにおけるピーク負荷時の予期せざるシャットダウンを防ごうとした。しかしこれらの変更そのものが感知されることはなくても、場合によってはユーザーが、それまでよりも長いアプリの立ち上げ時間や、そのほかの性能劣化を経験することがありえる”。

iFixitによると、このお詫びがニュースで知れ渡って以来、電池交換の注文がそれまでの3倍に跳ね上がった。同社はAppleの情報公開の姿勢に対しお世辞を言うとともに、予防的な電池交換を熱心にユーザーに勧めた。

iFixitに電池交換を頼んでも安くはならないが、ちょっと頑張るだけでGenius Barの待ち行列に並ばずにすむし、さらに彼らの手にiPhoneを渡したあとの待ち時間にいらいらすることもない。しかもiFixitは、Appleが対応しない古い機種の電池も安く提供している。

今、Samsung, HTC, Motorola, LGなどのAndroid勢力は、これを宣伝の好機としてとらえ、Appleのように古い機種のスピードを下げたりしませんよ、と訴求している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

iPhone 8は分解しても意外性は少ない、でもSonyによるカメラの細部技術がおもしろい

いつものごとく待望のiFixitによるiPhone 8の分解報告が出た。今回は、意外さという点では大したものはないが、でも、そこに隠されていたおもしろいお話はいくつかある。たとえば、“pixel pitch”(ピクセルピッチ、ドットピッチ)なんて言葉、あなたは知ってたかな?

基本的にこのスマートフォンは、大方の予想どおり、衣装を変えたiPhone 7と言ってもよい。ペイントとスーパーグラス(ガラス)が変わっている。分解も7の場合とほとんど変わらなかったが、Apple特製のネジが減り、ふつうのネジに換わった。ただしバックパネルは、前よりもずっと開(あ)けにくくなっている。結局iFixitは、ガラスをレーザーで削らなければならなかった。

8のバッテリーは7の7.45mAhよりやや小さく、6.96mAhになっている。Appleの言うとおり効率がアップしたのなら、あまり重要な問題ではないが。

ディスプレイの部分に、iFixitにも分からないおかしな小さなチップがある。誰か、わかる人いる?

これは一体何だ?

すでに言われているとおり、リアカメラの性能はこれまでのスマートフォン中最高だ。今回分解したのは8 Plusではなく8だが、TechInsightsが撮った8 PlusのX線写真(下図)には、センサーのマニアにとっておもしろそうなものが、写っている。

どちらもSony製の裏面(りめん)照射型CMOS画像センサーで、大きさは32.8平方ミリメートル、ただしデフォルトの広角カメラセンサーの方はピクセルピッチ(ドットピッチ)が1.22 マイクロメートル、一方ズームは、より小さい1マイクロメートルのピッチだ。

 
ピッチが大きいと、そこに当たる光量も多い。そして1/4マイクロメートルの差は結構大きい〔面積では5割増し〕。だから広角の方のカメラは低照度で性能が良く、ISOの設定を上げなくても短い露出時間が可能だ。

そして最後に、これはAppleがカメラに積層型センサーを採用する最初の製品だ。つまり、ピクセルウェルと信号処理とメモリが一体化している。iPhone 8のカメラはすごいよ!と人に自慢したくなったときは、心の片隅でSonyにも感謝しようね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Googleの環境感知プロジェクトTangoのプロトタイプデバイスを分解してみた

GoogleのProject Tango用スマートフォンのプロトタイプは、カメラを4つ搭載して自分のまわりの環境をぐるっと眺め、そして3Dの奥行き感知情報を記録し利用する。要するにそれは大量のカメラとセンサを、クァドコアのプロセッサと2GBのRAMを載せたかなりハイエンドなAndroidスマートフォンに詰め込んで、大量の環境データをパクつく、というしろものだ。iFixitが例によってこれを分解し、中身を見せてくれたが、この市販品ではないハードウェアには、たしかにおもしろい臓器がいくつかあるようだ。

USBポートは一つではなく三つある。mini USBとmicroUSBとUSB 3.0だ。そしてこのデブのおちびさんには3000mAhのバッテリーと5インチのディスプレイがある。しかし、いちばんの見ものはカメラだ。フロントカメラは視野角120度で、人間の目に近い。そして4メガピクセルのメインカメラには、3D奥行き感知用の赤外線センサがある。

魚眼レンズカメラは180度の視界を撮り、B&Wカメラは動きを追う。iFixitはこのデバイスの赤外線プロジェクターも動かしてみたが、自分のまわりの奥行きマップを構築する能力は、Kinectに似ている。

iFixitによると、これは消費者製品ではないにもかかわらず、消費者のための修理サービスがとてもしやすい構造になっている。同社がつけた修理適正の評価は9点から10点で、スマートフォンとしては最高の部類だ。結局それは、デベロッパやハードウェアマニアなどがいじりやすい設計にしている、ということだ。Araが実際に製品化されるまで一般消費者は、完全に閉じたシステムを一方的にあてがわれるしかないのだが。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))