InstagramがスタンドアローンのIGTVアプリを3月中旬にアプリストアから削除

Instagram(インスタグラム)は米国時間2月28日、IGTVのスタンドアローンアプリについてサポートを終了すると発表した。Instagramの親会社であるMeta(メタ)はTechCrunchに対し、3月中旬にアプリストアからIGTVが削除されることを認めた。Instagramはブログ記事で、この変更は動画の発見と作成をできるだけシンプルにするための取り組みの1つであると説明している。Instagramによれば、同社はこれから動画をすべてInstagram本体のアプリに統合することに集中し、今後数カ月間かけて本体アプリの動画機能をシンプルにし、向上させるという。

2021年10月にInstagramはIGTVのブランディングを廃止し、IGTVの長尺動画とInstagramのフィードの動画を「Instagram動画」という新しいフォーマットに一本化した。その時点でInstagramは、IGTVアプリは廃止せずリブランドすると述べていた。

米国時間2月28日に同社は、リールに集中するためインストリーム動画広告(旧IGTV広告)のサポートを終了することも発表した。同社は、インストリーム動画広告で精力的に収益化しているクリエイターには、最近の収益に基づいて一時的に毎月臨時金が支払われるとしている。これはクリエイターの収益化に関して言えば後退のように思えるが、同社はユーザーが収益を得る方法をさらに増やすべく模索していることを明らかにした。2022年中にはInstagramの新たな広告機能のテストを開始し、この機能によりリールに表示される広告から収益を得られるようにする予定だという。この新しい収益化のオプションは、クリエイターが毎月収益化するチャンスであるリールのボーナスプログラムに追加されるものだ。

同日の発表の中でInstagramは、TikTokの競合である短尺動画のリールに注力する考えを再び述べた。同社は、リールは引き続きアプリのエンゲージメント向上に最も大きく貢献するもので、今後も投資を続けていく計画であるとしている。

ブログ記事で同社は「動画は、人々がInstagramを利用する大きな動機の1つです。クリエイターのみなさんが動画を自己表現や他のクリエイターとのコラボに、そしてフォロワーとのつながり構築に活用していることをうれしく思います。リールは今後も成長し、Instagramの重要な機能であり続けることから、私たちはこのフォーマットによりいっそう注力する考えです」と述べた。

IGTVはスタンドアローンのプロダクトとしてはすでに人気を失っていたことから、アプリの終了が決定した。2020年初めにInstagramは、トラクションが少ないためInstagramのホームページからオレンジ色のIGTVボタンを削除していた。以前にTechCrunchがSensor Towerの調査を引用して報じた通り、10億人以上いるInstagramユーザーのうちスタンドアローンのIGTVアプリをダウンロードしたのはせいぜい700万人だった。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Aisha Malik、翻訳:Kaori Koyama)

InstagramがついにTikTokに敗北を認める

Instagramには10億人のユーザーがいるというのに、ショートビデオのIGTVアプリをダウンロードしたのは2018年6月のリリース以来、18カ月で700万人だった。これはTiktokの80分の1のインストール数だ。

InstagramのメインアプリからIGTVの利用を促す目ざわりなオレンジ色のボタンが消えたのはこの結果に敗北を認めたからだろう。TikTokは同じ期間に世界で11億5000万のユーザーを獲得している。Sensor Towerのデータによると米国だけでTikTokでは8050万ダウンロードがあったのにIGTVはわずか110万件だった。

たしかにTikTokはインストールを促す広告に巨額の費用を注ぎ込んでいる。しかし将来はどうなるにせよ、Instagramが長尺縦型ビデオというプラットフォームで成功を収められなかったことも確かだ。

要するにInstagramのユーザーはIGTVのような長いビデオを見る別アプリを必要としなかった。IGTVの機能はInstagramのメインアプリに組み込まれ、フィードに冒頭が流れ、タブから探索することもできた。ストーリーズやユーザープロフィールからも表示できた。それでも多くのユーザーにとってIGTVはInstagram本体のようなホームにするほどの魅力がなかった。

もうひとつ問題だったのはInstagramのクリエイターがIGTVにアップしたビデオを直接に収益化する方法がなかったことだ。 YouTubeやFacebook Watchのように広告収入の分配を受けることも Facebook、Twitch、Patreonのようにサブスクリプションや投げ銭を得る方法もサポートされなかった。

Facebook、Instagramからの唯一の財政的サポートといえば、一部のセレブの場合だとビデオの製作コストの一部が償還される程度だった。しかもBloombergのLucas Shaw(ルーカス・ショー)氏、Sarah Frier(サラ・フリヤー)氏によれば.こうした特権を得るにはコンテンツは政治的、社会的問題や公職の選挙に関する話題を含むことが許されないという。

【略】

Instagramのホームのトップからボタンが消えたので、今後はIGTVは「Explore」(発見)タブから開くことになる。またIGTVにビデオをアップしても十分な数のビューが得られていない。トップ20タイトルでさえ再生は20万回以下だ。Instagramでフォロワーが1000万人もいるトップクリエーターのBabyArielでさえ、IGTVには20本しか投稿しておらず、50万以上のビューを得たのは1本に過ぎない。

【略】

IGTVがスタートしたときは、 縦位置の長尺ビデオがよくわからない理由で熱狂的にもてはやされていたが、問題はこのフォーマットの優れたコンテンツがほとんど上がってこないことだった。複数の被写体を収めるような長尺ビデオは横位置が適しており、縦位置ビデオというのは自画撮りや何かをとっさに撮ったる場合がほとんどだった。

ところがInstagramの共同創業者のKevin Systrom(ケビン・シストロム)氏は2018年にIGTVを私に説明して「モバイルオンリーのフルスクリーン縦型ビデオは私が最も誇りに思うサービスだ。このフォーマットはここ以外どこにも存在しない」と語った

残念ながら縦型オンリーというビデオフォーマットはもはやInstagramにも存在しない。2019年5月にIGTVは縦位置のみというイデオロギーを捨てて横位置のビデオも受け入れるようになった。

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IGTVは中途半端で使い勝手もよくなかった。それでもSnapchatやTikTokが存在しない世界だったらそれなりに需要はあったかもしれない。

しかしInstagramが直面したのは非常に厳しい競争の存在する世界で、短編ビデオならジェフリー・カッツェンバーグのQuibiがモバイルビデオの視聴者を集めようとしている。プラットフォームを提供すればあとはひとりでにコンテンツが集まってくるというような楽な環境ではない。

Instagramは視聴者が望むコンテンツを吟味し、クリエーターをもっと積極的に支援しなければならない。特にクリエイターが活動を続けられるような収入を確保できる道を提供するのが重要だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

インスタとIGTVに投稿スケジューリング機能を導入

Facebookは、米国時間9月16日に、アムステルダムで開催されているIBC(International Broadcasting Convention、国際放送会議)のセッションで、ビデオクリエーターとパブリッシャー向けの各種アップデートを発表した。その中には、Facebookのライブビデオのブロードキャスト機能であるWatch Party(ウォッチパーティ)、Creator Studio(クリエイタースタジオ)のアップデートが含まれている。細かく見ていくと、ツールの増強、機能の拡充、分析の改良などがある。

中でも目立っているのは、ライブブロードキャストの準備と生放送のための機能強化、Watch Partyイベントの効果的な活用方法、ビデオのパフォーマンスを追跡測定する新たな方法、そしてこれまで待ち望まれていたInstagram/IGTVコンテンツを最長6カ月前からスケジューリングするためのオプションなどだ。

ライブビデオ

ライブビデオに関してFacebookは、Facebook上で実際にライブで放送している人たちからのフィードバックに耳を傾けた。そしてリクエストの多かった機能を、プロフィールではなくFacebookページで利用できるよう、現在展開しているところだという。この変更は、Facebookのライブ放送機能を、たとえばYouTubeのようなプラットフォームに代えて、あるいはそれらに加えて利用したいと考えているプロのブロードキャスターの要求に応えるもの。

パブリッシャーは、LiveのAPIを利用して、ライブ放送について「リハーサル」機能が使えるようになった。この機能が利用できるのは、ページの管理者と編集者だけだが、新たな制作環境やインターラクティブな機能をテストしたり、実際の視聴者に公開する前に、フォーマットを確認したりすることができる。Facebook上で、月に何百時間ものライブをブロードキャストしているQVCも、この機能をテストした。新しいワークフローとフォーマットを試してみたかったからだ。

パブリッシャーでは、ライブビデオの最初と最後の部分をトリミングすることもできるようになる。また、以前の上限が4時間だったのに対し、その2倍に相当する最大8時間ものライブをブロードキャストすることが可能となった。

この時間の延長は、例えばすでにNASAが活用し、8時間にわたる宇宙遊泳をブロードキャストしている。また、ライブスポーツ、ニュースイベント、あるいはTwitchのようなゲームのブロードキャストに対しても、余裕のある時間枠となっている。

おそらく最も注目すべきことは、ライブのブロードキャスターはFacebook以外の視聴者も対象に放送する必要があるということを、Facebookが認識したことだろう。今後パブリッシャーは、複数のストリーミングサービスに対して同時にブロードキャストすることを可能にするアプリを利用できるようになる。これもLive APIの同時放送機能を利用したもの。

同社によると、ライブビデオ機能は、最近Facebook Liteでも利用可能になったという。

Watch Party

Facebookはさらに、同時視聴機能であるWatch Partyについてもいくつかの新しい機能を発表した。これには、Facebookページで事前にパーティーをスケジューリングして予告する機能、パーティに参加しなかった人も放送後にビデオを楽しめる「リプレイ」のサポート、ブランドのコンテンツでビジネスパートナーにタグを付ける機能、さらに新しい分析機能が含まれている。

分析機能としては、2つの新しい測定指標がCreator Studioに追加された。Minutes Viewd(視聴分数)と、Unique 60s Viewers(Watch Partyで少なくとも60秒間視聴したユニークなユーザーの総数)だ。これらは、リーチやエンゲージメントといった、既存の指標を補完するもの。

Live Commenting(ライブコメント)機能は、Watch Partyでホスト自らがコメントをライブで表示できるようにするもの。これも全世界的に利用可能となった。

Creator Studio

そして最も大きなアップデートが、Creator Studioに組み込まれた。パブリッシャーは、これを使ってFacebookとInstagramの両方に対してコンテンツを投稿し、管理し、収益化し、評価することができる。

Creator Studioのダッシュボードには、もうすぐLoyalty Insights(ロイヤルティのインサイト)に新しい視覚化レイヤーが追加される。クリエイターは、どのビデオに視聴者が戻ってくるかを計測することで、忠実なファンが見たいのはどのビデオなのかを把握することができる。

新しいDistribution(配信)指標は、ページの各種指標の履歴の平均に基づいて、個々のビデオのパフォーマンスに点数を付けるもの。その指標には、1分再生数(動画が1分以上再生された回数)、平均視聴時間、リテンション(持続率)といったものが含まれる。この機能は、今後数カ月の間に展開される予定だ。これにより、ビデオのパフォーマンスがわかりやすい数字で把握できるようになる。

Creator Studioは、さらに13の言語について、自動キャプション付け機能のサポートを追加する。内訳は、アラビア語、中国語、ドイツ語、ヒンディー語、イタリア語、マレー語、ロシア語、タガログ語、タミル語、タイ語、トルコ語、ウルドゥー語、ベトナム語だ。これ以前には、英語、フランス語、ポルトガル語、スペイン語の4言語が、すでにサポートされていた。

InstagramとIGTVのスケジューリング

そして最後に取り上げる機能は、パブリッシャーとクリエイターが、Instagramのフィードと、IGTVのコンテンツを、最長6カ月前から、スケジューリングして公開できるようになるというもの。Facebookによれば、あと数カ月のうちには、InstagramのフィードとIGTVの下書きと編集機能も利用できるようになるという。

これらの機能は、今回の発表の前に非公式に発見されたことが報告されていて、Instagramの管理者やインフルエンサーのコミュニティをにぎやかにしていた。実は、昨年のInstagramのAPIの更新によって、先にサードパーティのアプリケーションによるスケジューリングは可能となっていた。ただし、純正アプリによる機能は、そうしたAPIを使ったサードパーティの機能に比べると、制約の少ないものとなっている。

この機能は、現在、Facebookページのすべてのクリエイターとパブリッシャーに公開されている。これまでは「近日公開」のように表示されたり、実際には動作しない状態となっていたものだ。ストーリーのスケジューリングについては、まだ実現されていない。しかし、今後いつの間にか追加されたとしても驚くには値しない。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

インスタはIGTVのビデオをFacebookに配信する機能をテスト中

Instagram(インスタグラム)の創立者が会社を去ってからというもの、Facebookは、InstagramとFacebook本体をより緊密に統合する方向で作業を進めている。すでにInstagramの隣にFacebookというブランド名を表示するようにしたり、両者のメッセージ機能で相互にやり取りできるようにするための開発も進めている。そしてさらにFacebookは、InstagramのIGTVビデオを、Facebookのビデオサイト、Facebook Watchに配信する機能を試作中だ。IGTVは、Instagramが開発したスタンドアロンのビデオアプリだ。

有名なリバースエンジニア、Jane Manchun Wong(ジェーン・マンチン・ワン)氏が新たに発見したところによれば、IGTVのコンテンツを投稿する際にユーザーがスイッチの設定によって、、Instagramにプレビューとして、またはFacebook本体とFacebook Watchに、あるいはそれら両方を選べるようにする機能を、Instagramが開発中だという。後者のスイッチには「Make Visible on Facebook(Facebook上でも見えるようにする)」というラベルが付いている。

ワン氏は、この機能はまだプロトタイプであり、スイッチも機能していないと報告している。

このような機能が実現すれば、より多くのビデオクリエーターに対してIGTVの利用を促す効果を持つ。Facebookからも直接観られるようになれば、IGTVに投稿した作品の配信先を拡大することになるからだ。ワン氏は、こうしたビデオは、エピソードのシリーズに含めることもできるのではないかと見ている。

これは結局、独立したビデオのプラットフォームとしてはなかなかブレークしないIGTVを支援することになるだろう。今のところIGTVは、TikTokやSnapchatの縦長ビデオから大いにヒントを得ている。その目的は、より縦に長いポートレートモードのビデオコンテンツによって、Instagram本体と独立したIGTVアプリの両方で、Instagramユーザーの注目を集めること。しかしIGTVでは、ウェブ上にあるビデオを適当にトリミングして、安易に縦長にしただけのようなコンテンツが多く目に付き、最初からIGTVを意識して作成されたものは少ないのが現状だ。

またIGTVのアプリは、本家のInstagramとは違ってアプリストアのランキングの上位に食い込むほどの人気を得ることができていない。今見てみると、IGTVは、App Storeの「写真/ビデオ」のカテゴリーで159位となっているが、総合のランキングには含まれていない。

クリエイターが不満を漏らしていたいくつかの問題に対処するため、Instagramは今週、IGTVのアップロードの操作方法に若干の変更を加えた。たとえば、クリエーターのプロフィールのカバー写真用に、IGTVサムネイルを1対1の縦横比でトリミングしたり、フィード内のIGTVビデオの5対4のセクションを編集できるようにする機能を追加した。

また、IGTVのタイトルと説明に、Instagramのハンドルとタグを自動入力できるようにもなった。さらに、モバイルデバイスから、より長尺のビデオをアップロードできるようになった。その結果、モバイルからのアップロードするビデオの最小時間を1分に、最長を15分に変更した。

Instagramは、IGTVのコンテンツがFacebookやFacebook Watchに配信される可能性について、コメントを拒否した。

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Fumihiko Shibata)