LightSail 2がついに太陽の光だけによる飛行に成功

非営利で宇宙を探究しているThe Planetary Societyは米国時間7月31日、これまでの一連の勝利の最終的成果を祝った。クラウドファンディングにも助けられて打ち上げられた宇宙船LightSail 2がついに、太陽の光だけで飛ぶことに成功した。Falcon Heavyに乗って打ち上げられ、自分の補助エンジンで定位置に到達した同船は、その後軌道を上げ、マイラー製の帆の表面に当る太陽からの光子の力だけで、最初の軌道より約2km上へ上昇した。

これは、すごい成果だ。通常CubeSatと呼ばれるような小型の人工衛星の軌道の高度修正を、光の力だけでやることが、一般的に可能になったのだ。LightSail 2は、地球の軌道で太陽帆走が可能であることを示した最初の宇宙船になり、太陽帆走を行った宇宙船としても、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)がまったく異なるミッションで2010年に行ったIkarosに次いで、やっと2機目だ。

LightSail 2の場合はあくまでもメインミッションとしての成功だが、まだその旅は終わっていない。太陽帆走による軌道の上昇は、軌道の遠地点(最高位置)を上げることを目指して今後も続行する。また、太陽帆走のパフォーマンスの改善にも取り組む。そのためには、「脱飽和」(Desaturation)と呼ばれる必要な処理の最適化が必要だ。それは、船体を目的とする太陽帆走の方向から一時的に逸らして、累積されている運動量を捨てる処理だ。

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今からほぼ1年後にLightSail 2は計画どおりに軌道を外れて地球の大気に入り、そこで燃え尽きる。

これは、宇宙探求のクラウドファンディングとしても大きな成果だ。ほぼ100カ国からの約5万名が資金を提供し、そのほかの団体や企業からの寄付も合わせると、宇宙船の開発と打ち上げのための資金として700万ドルの調達に成功した。

Planetary SocietyのCEOであるBill Nye氏は、帆走の成功を発表した米国時間7月31日のイベントで「私にとって、太陽の光による帆走は、とてもロマンチックなことです」とコメントした。

LightSail 2が集めたデータは、NASAなどほかの組織と共有される。NASA自身にも、地球近傍天体の調査を目的として独自の小さな太陽帆走人工衛星を打ち上げる計画がある。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

光の力だけで帆走する宇宙船LightSail 2が帆の展開に成功

クラウドファンディングから生まれた宇宙船「LightSail 2」は、その名に恥じず、ついに軌道上でその太陽帆を広げることに成功し、光の力だけで前進する準備ができた。マイラーでできている帆の表面が太陽からの光子を反射し、数え切れないほど多くの原子よりも小さなレベルのインパクトの累積効果により、徐々に速力を蓄える。チームによると、帆の展開は太平洋時間午前11時47分に始まり、総帆展開は太平洋時間午前11時50分に完了した。

LightSail 2は6月25日にFalcon Heavyの打ち上げに、NASAや空軍の実験器具など、さまざまなペイロードとともに便乗して発射された。この宇宙船を作ったThe Planetary Societyはビル・ナイ(Bill Nye)氏が率いる非営利団体で、宇宙探検の未来の進歩について研究している。現在の同団体の目標が、太陽帆走の実用化だ。その着想は数世紀前からあったが、何らかの実物による検証はきわめて困難だった。そのわずかな例の1つとして、2010年のJAXAのIKAROSミッションがある。

帆の総推力はびっくりするほど小さく、そしてその割には帆のサイズは大きくてボクシングのリングぐらいある。その大きな帆から得られる力は、あなたの手にとまるイエバエ程度だ。しかしそれはまた、理論的には燃料切れがありえない。そして宇宙の真空の中では摩擦がないので、時間とともにスピードは徐々に増えていく一方だ。すごい高速にもなるだろう。

The Planetary Societyのチーフサイエンティストであるブルース・ベッツ(Bruce Betts)氏は、帆の展開のライブストリーミングを見て、「計画どおりにうまくいっている」と語った。展開時の画像は、宇宙船が次に地上局との通信圏域に入った時に得られるだろう。画像が得られたら、本誌の記事もアップデートしよう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa