【コラム】創業者の派手な発言は会社のためになっているのか?

1年前には、2014年に設立されたチェックアウトテクノロジー企業であるBolt(ボルト)というブランドも、その創業者であるRyan Breslow(ライアン・ブレスロー)氏もほとんど知る者はいなかった。ブレスロー氏は一見すると典型的なシリコンバレー型人物で、スマートで意志が強く、スタンフォード大学を中退してわずか2年で起業したのだ。

それが2022年1月から始まった一連の派手な発言により、Boltは突然注目の企業となり、ブレスロー氏も記者や投資家、創業者の注目を集めることとなった。

疑問は、これほどまでの論争を引き起こすことがBoltのためになっているのかということだ。

ブレスロー氏の最新の宣言は、今週の米国時間2月14日にTwitterで発表された。すでに他の企業よりも従業員にストックオプションを行使するための期間を長く提供しているBoltが、すべての従業員に対してストックオプションを行使するために会社からお金を借りる機会を提供するというものだ。この前例のない「過激」な提案は、一般社員が株式を購入する際にも、上級管理職と同じように税制上の優遇措置を与えるというものだ(早めに株を買っておけば、株の価値が上がり続ける限り、理論的には税金を減らすことができる)。

この動きを称賛する創業者は多く、その中には、継続的な収入源を持つ企業に先行投資を行うことで急成長を遂げているPipe(パイプ)の創業者でCEOのHarry Hurst(ハリー・ハースト)氏も含まれている。「はい、当然ですね!自分たちも2020年に同じことをしましたが、すばらしいものでした。正しいやり方です」とハースト氏はツイートした。

しかし、このアイデアは斬新でも賢明でもないと主張した人も多い。このような融資は、会社の株価が下落した場合、従業員を非常に不安定な財政状態に置く可能性があるというのだ。

GGV Capital,のマネージングディレクターであるJeff Richards(ジェフ・リチャーズ)氏もその1人だ。昨日コメントを求められたリチャーズ氏は我々にメールでこう返信してきた「通常は創業者の『アドバイス』スレッドにコメントすることは避けているのですが、今回は黙っていられませんでした。これは文字通り、創業者仲間に与えることのできるアドバイスの中でも最悪のものの1つです。多くの人が、ローンを抱えた社員が避けられない負の局面に対処することを助けるという、悪夢のようなシナリオを経験しています。これはただ悲しいことなのです。最も重要なのは、ライアン氏のツイートに関わらず、これは『新しい』ことではないということです。たくさんの企業がすでにこれを行っています。優れた企業がそれをしなくなったのには理由があります。それはひどいアイデアだったからです」。

SecfiのエクイティアドバイザリーシニアディレクターであるVieje Piauwasdy(ビジェ・ピアワジー)氏も同意見だ。ただしSecfiは中立な立場ではない。同社はストックオプションファイナンスの会社であり、ノンリコースローンを提供している。これは、後から一気に返済することを条件に、前もって従業員にお金を渡すというものだ。だが、PriceWaterhouseCoopers(プライスウォーターハウスクーパース)に5年間勤務した経験を持つSecfiのピアワジー氏は、ブレスロー氏が提案しているようなローンは「非常にリスクが高い」と指摘する。

「Boltが成功することを祈るだけです」とピアワジー氏はいう。「ライアン(ブレスロー氏)は、Boltが従業員の味方であることを望んでいます。しかし、将来を予測することはできません。もし、株式の価値がゼロになったとしても、何らかの形でリコースローンを返済しなければならないのです」。

27歳のブレスロー氏は2月14日月曜日のツイートで、VCが「これは災難だというだろう」と予測したが、従業員への株式ローンに関する大げさなスレッドは、これまでプレスロー氏が行ってきた他の発言を象徴しているようだ。2週間前には、やはり賞賛と軽蔑の両方を集めたスレッドで、彼は決済会社のStripe(ストライプ)がY Combinator(YC、ワイコンビネーター)のメッセージボードを支配しているという間違った非難を行い、YCはStripeのライバルたちに資金を提供する気がない(実際にはYCは提供を行っている)と主張し、Lyft(リフト)をYCの仲間だと言った(LyftはYCのアクセラレータープログラムには参加していない)。

このツイートの嵐への反響を受けて、ブレスロー氏はCEOを退任し、かねてから計画していたというエグゼクティブチェアマンに就任した。

明らかにブレスロー氏はこの勝負に賭けている。Boltは2022年1月、BlackRock、General Atlantic、Willoughby Capitalなどの有力企業から110億ドル(約1兆3000億円)の評価額の下に資金調達を完了しており、ブレスローはその25%の株式を保有していると言われている。しかし、ブレスロー氏のツイッターゲームが、顧客や投資家から会社の評価を得るためにどのように役立っているのかはわかりにくい。投資家は、140億ドル(約1兆6000億円)の評価額で会社にさらに資金を投入しようとしているとも報じられている。

ブレスロー氏の今回の発言は、非常に厳しい市場において求職者を惹きつけることを目的としたものである可能性が高いが、同時に、このチェックアウトスタートアップの中で誰が本当の責任者なのかということについて混乱を招くシグナルを、潜在的な求職者に送っているに違いない(また、同社の新CEOである元アマゾン幹部のMaju Kuruvilla(マジュ・クルブラ)氏にも、どのようなシグナルが送られているのかも気になるところだ)。

今週初めにブレスロー氏に話を聞こうとしたみたところ、彼は当面「オフライン」だという返答だった。それでも、ブレスロー氏はツイッターで話題を振りまくことをやめないだろう。今や書類上では米国最年少の億万長者であるブレスロー氏は、そのツイートの最後に、読者にフォローを求めた上で、スタートアップの作り方についての「過激な」アイデアを発表することを約束すると語っている。彼のプロフィールには、2月9日のツイートが貼り付けられていて、その使命が強調されている。

その内容は「先月はすごかった。30日でフォロワーが5万人増えた。ちなみに、フォロワー数が4000人になるのには8年かかった。教訓:自分の真実を語ると聞く人は喜ぶ」というものだ。

画像クレジット:Bet_Noir / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

オンラインチェックアウトテックのBoltが405億円調達、評価額100億ドル超えのデカコーンに

チェックアウトテクノロジー企業のBolt(ボルト)は、新たな資本を引き寄せ続けている。同社は現地時間1月14日にシリーズEラウンドで3億5500万ドル(約405億円)を調達したと発表し、同社に近い情報筋によると、評価額は110億ドル(約1兆2565億円)に達したという。

Boltのワンクリックチェックアウトの製品は、Amazon(アマゾン)が1997年以来採用していることで知られているのと同じ技術を企業に提供することを目的としている。と同時に、取引が本物であることや支払いを受け付けられることを保証する決済および詐欺防止サービスを組み込んでいる。さらに、買い物客は一度アカウントを作成すれば、そのクレデンシャルを何百ものBoltネットワークブランドのネットワークで使用することができる。

今回のラウンドは、シリーズDで3億9300万ドル(約448億円)という大規模な資金調達を行ったわずか3カ月後に行われた。シリーズEを含めると、Boltのこれまでの資金調達総額は10億ドル(約1142億円)近くになる。創業者でCEOのRyan Breslow(ライアン・ブレスロー)氏は、評価額はシリーズD時のほぼ2倍になった、とTechCrunchに語った。

Boltの調達総額が10億ドル近くまで増えたことについて、Boltは実際に数千億ドルの価値がある競合企業が存在する分野で事業を展開している、とブレスロー氏は説明した。ソースによると、Stripe(ストライプ)、Shopify(ショッピファイ)、Checkout.com(チェックアウト・ドットコム)のような企業と競合している。

「多くの資金を手にしたように見えるかもしれません。しかし、実際には違います。これは競争力を高めるための資金なのです」とブレスロー氏は付け加えた。「競合他社と肩を並べるだけでなく、もっと上を目指したいと思っています。この資金で優秀な人材を獲得し、戦略的な買収を行い、当社にとって重要な欧州への進出を実現することができます」。

国際展開という点では、2021年11月から乗り出した。Benefit CosmeticsとPrestaShopの両方と契約を締結し、そして初めて買収を行った(あらゆるデジタル画面でのダイレクトチェックアウトを可能にするスウェーデンの技術会社Tipserだ)。

ブレスロー氏は当時「TipserがBoltにとっていかに重要な存在になりうるか、我々は理解していました」と述べた。「彼らは10年前から組み込み型コマース技術を完成させており、唯一手ごわい存在でした。我々が苦手とする分野で、Tipserは当社を上回っていました。Tipserをチームに迎えたことは、非常に戦略的なことです」。

買収から2カ月、BoltのネイティブチェックアウトとショッパーエクスペリエンスにTipserの組み込みコマース技術を統合させる作業は続いており、すでにいくつかの大口顧客と契約しているとブレスロー氏は話す。

一方、シリーズEは、BlackRockが運用するファンドや口座がリードし、既存投資家のActivant CapitalとMoore Strategic Venturesに加え、新たにSchonfeld、Invus Opportunities、CreditEase、H.I.G. Growthが参加した。

Invus Opportunities のパートナーのBen Tsai(ベン・ サイ)氏は「eコマースを取り巻く状況はオンラインチェックアウト体験を改善する大きなチャンスを提供していて、小売業者は結果として顧客を失っていることに気づきつつあります」と電子メールで述べた。

「拡大するBoltの小売店ネットワークの中で、ワンクリックで簡単にチェックアウトできる恩恵を受けている数百万人もの買い物客のネットワークを同社は有しています」と同氏は付け加えた。「ライアンと野心的なBoltチームを支援し、Boltがディスラプトしている業界に大きなチャンスがあることをうれしく思います」。

Boltは2021年に加盟店あたりの流通取引総額を80%成長させ、アカウントは2020年比で180%増え、取引は前年比で200%成長した。また、今後18カ月で買い物客1億人がBoltのネットワークに参加する見込みだという。

最後に、企業が人間優先の職場文化を作ることを目的としたプレイブック「Conscious Culture」を2021年5月に発表した後、現在では80社近く、数百の顧客を抱えている。

Boltの従業員は550人を超え、200以上の都市でリモート勤務している。今回の資金調達により、人材採用、買収、国際展開に加えて、2022年中に多数の新製品を発表するという目標に向けた取り組みを加速させる。

構想にはソーシャルコマースのような分野への重要な投資が含まれており、ウェブサイト、チャットボット、店舗、ビデオストリーム、ゲームなど、あらゆるチャネルでネイティブの組み込み型コマースを実現できるようになる。これにより、Boltのチェックアウト機能があらゆるところに配置されることになるとブレスロー氏は予想している。また、Boltのネットワーク上で客がより効率的に買い物ができるよう、消費者向け製品の拡大にも資金が投入される予定だ。

将来的には、Boltが新製品を発売する際に「Amazonゴールドスタンダード」と呼ばれる購入体験を分解し、どんなビジネスでもワンクリックでチェックアウトできるだけでなく、シームレスな注文追跡、迅速な返品、迅速な配送、会員特典など、Amazonが早期に優位に立った技術をすべて利用できるようになるとブレスロー氏は見ている。

上場が近いか、という質問に対し、同氏は当面の目標でもなければ最終目標でもないと答えた。

「目標はただ1つ、史上最高の会社を作ることです」と付け加えた。

画像クレジット:Bolt

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

決済テックBoltが同業Tipserを買収、「リモートチェックアウト」を開始

デジタルコンテンツを発見した時点で何かを購入するという機能は存在するが、決済テクノロジー企業のBolt(ボルト)は、それを「ワンクリック」で処理する機会を得た。同社は米国時間11月29日、初となる買収でスウェーデン拠点のTipser(ティスパー)を買収したことを発表した。Tipserはあらゆるデジタル端末でのダイレクト決済を可能にするテクノロジー企業だ。

サンフランシスコを拠点とするBoltは、10月に3億300万ドル(約345億円)のシリーズD資金を調達したばかりで、これまでの累計調達額は6億ドル(約682億円)に達している。Boltの創業者でCEOのRyan Breslow(ライアン・ブレスロウ)氏は今回の買収について「しばらく前から計画していた」とTechCrunchに語った。

Tipserの技術は、オンライン出版物、モバイルマーケットプレイス、価格比較サイト、ソーシャルメディアプラットフォームや検索エンジンなどのサイトから、消費者がネイティブに商品を購入することを可能にする。同社は、共同創業者でCEOのMarcus Jacobsson(マーカス・ヤコブソン)氏が率いており、2012年にAxel Wolrath(アクセル・ウォルラス)氏、Jonas Sjöstedt(ヨナス・ショステッド)氏とともに会社を立ち上げた。

実は、BoltがTipserと話を始めた当初、同社は売れる状況ではなく、次の投資ラウンドに向けて動いていた(約16億円を調達)が、結果的に2社はより深い話をすることになり、文化的融合がよりうまくいくことがわかった、とブレスロウ氏は話した。

「我々は、TipserがBoltにとってどれほど大きな意味を持つかを知りました。Tipserは10年間にわたって組み込み型コマースの技術を洗練させており、唯一の強力なプレイヤーでした。我々が苦手とする分野で、彼らは我々よりも強かったのです。彼らをチームに迎え入れることは非常に戦略的です」と付け加えた。

正確な取引額は公表されていないが、ブレスロウ氏はTechCrunchに対し、全株式でのこの買収は「2億ドル(約228億円)弱」であったことを明らかにした。Tipserの全チームはそのまま残り、Boltは100人の増員となる。また、最近発表されたヨーロッパへの進出にともない、TipserがあるスウェーデンはBoltのヨーロッパ本社としても機能することになる。

Boltは、今回の買収に加えて、買い物客が発見したその場で商品を購入できるツール、リモートチェックアウトを立ち上げる。ピュー研究所によると、買い物客の84%がレビューを見るソーシャルメディアで何かを見た後、別のウェブサイトに行って購入している。

この新しいツールは、Boltが1年以上前から社内で開発していたもので、同じく商品を発見してアプリから直接決済できるツールであるInstagram Checkoutにヒントを得たとブレスローは話す。

「トラッキングやクッキーが廃止されたことで、小売業者がコンバージョンを追跡できるよう、ネイティブ決済の必要性が出てくるかもしれません。消費者にとっては、何度もクリックする必要がない方がいいですから」と付け加えた。

Boltのリモート決済の特徴は、ワンクリックでの直接決済、Boltのショッパーネットワークとのエンゲージメント、そして業者が複数のチャネルで注文を受けながらコンバージョン率を高め、訪問者との直接的な関係を築くことができることだ。また、匿名の訪問者をログインしたアカウントホルダーに変え、オンサイトでトラフィックを収益化することができる。

メディア出版社であるBDG(旧Bustle Digital Group)の社長兼CROであるJason Wagenheim(ジェイソン・ヴァーゲンハイム)氏は、出版社やクリエイターが自分のサイトに来たトラフィックを収益化できるという機能に特に興味を示した。BDGは、Bustle、EliteDaily、Fatherlyなどのブランドを展開している。

1月に米国の出版社としては初めてTipserと契約し、4月にはBDGの13サイトのうち2サイトで運用を開始したヴァーゲンハイム氏は、今回の合併を傍観者のように見ていたとインタビューで語った。

「今回の買収で最も気に入っているのは、何百もの業者を当社のプラットフォームに乗せることを加速できることです。これは、コンテンツとコマースの融合です」。

ソーシャルメディア、そしてBoltやTipserのような企業が登場する以前は、雑誌のページから直接買い物をするにはQRコードを利用していたが、人々が思っていたようには普及しなかった、とヴァーゲンハイム氏はいう。

他の出版社もQRコードを取り込もうとしたが、Goopはそれができた数少ない出版社の1つだったという。今では、これらの新しい技術により、出版社やクリエイターは、アッパーファネルとロワーファネルの間のギャップを埋めることができ、ワンクリックで買い物ができるコマースにより、認知度を高めることができる。

同氏はTipserとのBDGのプロジェクトはまだベータ版と考えているが、来年にはBDGのすべてのサイトにこの技術を導入する計画だ。BDGでは、すでに2500万回以上のセッションが行われており、1回のセッションで平均10個の商品を見ていると話す。これは、プロセスが機能していることを示している、と同氏は指摘する。人々はプロダクトに時間を費やし、そしてカートにプロダクトを入れる。

「エディターが記事を書くための業者が数百社に増え、ワンクリックでの取引が可能になりました。これは画期的なことです」と付け加えた。

画像クレジット:Tipser

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

日本のヘルステックBisuがアシックスなどから3.5億円調達、自宅でラボグレードの尿・唾液検査を可能に

マッキンゼーの報告書によると、2020年1月以降、遠隔医療サービスの導入は38倍に増加しており、パンデミックに後押しされブームとなっている。コンシューマーと臨床医の間の通信レイヤーを構築する企業が注目されている一方で、テレヘルス環境でモニターまたは対処できる内容を拡大するためのデバイスを開発する企業も増えている。

最近の動きとしては、東京に本社を置くヘルスケアスタートアップのBisu, Inc.(ビース)が320万ドル(約3億5000万円)の資金を調達した。Bisuは、自宅で使用できるラボグレードの検査機器を開発し、実用的な健康データに変換する診断を行っている。今回のシードラウンドは、簡単で正確な尿や唾液の検査を通じて、個人に合わせた栄養やライフスタイルのアドバイスを提供するポータブルホームヘルスラボ「Bisu Body Coach」の立ち上げに使用される。今回のシード資金により、同社の累計調達額は430万ドル(約4億8000万円)に達した。

今回の資金調達は、QUADが主導し、アシックスベンチャーズ株式会社、15th Rock Ventures、パシフィコ・インベストメンツ、SOSV Investmentsが参加した。スポーツシューズ大手のアシックスは戦略的に支援しており、健康・フィットネスサービスの取り組みでBisuと協業していく予定。Bisuは、フィットネス、ペットケア、バスルームなどの分野で他の企業との追加提携を検討していると、共同設立者兼CEOのDaniel Maggs(ダニエル・マグス)氏はTechCrunchに語った。

Bisuは2015年に設立され、2017年にHAXのアクセラレータープログラムに参加して事業を開始した。

Bisu Body Coachは、使い捨て型のテストスティックと、スマホアプリと連動するリーダーを使用する。これらのテストスティックは、マイクロ流体を活用した「ラボオンチップ(Lab-on-a-chip)」技術により、ユーザーがわずか2分でさまざまなバイオマーカーを測定することを可能にする。

マイクロ流体「ラボオンチップ」技術は、分光分析とリアルタイムのエンド・ツー・エンド測定を用いて、従来のテストストリップが抱える測定タイミングの問題を解消する。また、血液、尿、唾液、汗などのサンプルを微小な流路内で操作し、化学的または生物学的プロセスを実行する。

ラボオンチップ技術を採用している他の競合他社との差別化について質問されたBisuは、複数のバイオマーカーを同時に検査することで、ユーザーが医師の診察を受けることなく、食生活やライフスタイルを理解し、前向きに変化させることができることに焦点を当てていると答えた。競合製品は、新型コロナウイルスやインフルエンザなど、重要度の高い個別のバイオマーカーを検出して、ユーザーに医師の助けを求めるように誘導するものが一般的だ。

Bisuアプリは、水分補給、ミネラル、ビタミン、pH、尿酸、ケトン体などの主要な栄養指標に関するフィードバックを提供する。ユーザーの目標、プリファレンス、活動パターン、睡眠、体重などをもとに、Bisu Body Coachはパーソナライズされたアドバイスを表示する。Bisuは今後、亜鉛やビタミンBの測定機能を追加する予定で、犬猫用のペット健康診断キットの発売も見込んでいる。

Bisu Body Coachは現在、米国とEUでベータテストを行っている。2022年にこれらの市場での商品化を目指しており、2023年には日本や韓国などのアジア市場への参入も視野に入れて準備を進めていると、マグス氏は述べている。

同社の中核となる研究開発および生産チームは東京にあり、Bisuのソフトウェアおよびマーケティングチームは米国に拠点を置いている。

マグス氏によると、従来の在宅検査市場は、主に(何らかの疾患を持つ)患者が中心で、約50億ドル規模(約5580億円)と推定され成長を続けているという。

しかし、Bisuの在宅検査は、非患者、つまり、何か特別なことで医師などの治療を受けているわけではないが、自分の体の中で何が起こっているのか知りたいと思っている人たちにも市場を広げる可能性がある。マグス氏によると、非患者向けの在宅診断の市場は、現在約100億ドル(約1兆1160億円)と推定されている。

画像クレジット:Bisu / Bisu platform

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

オンラインチェックアウトの支配をめぐる戦いが続く中、BoltがシリーズCで78億円を追加調達

小売業者にオンラインチェックアウトテクノロジーを提供するスタートアップであるBolt(ボルト)は米国時間12月21日、シリーズCラウンドで更に7500万ドル(約78億円)を調達し、累計では1億2500万ドル(約130億円)を調達したと発表した。

WestCapとGeneral Atlanticが新しいトランシェをリードした。BoltのCEOであるRyan Breslow(ライアン・ブレスロウ)氏がTechCrunchに語ったところによると、バリュエーションはシリーズCの約2倍になった。PitchBookは、同社のシリーズCでのバリュエーションをポストマネーで5億ドル(約520億円)とした。つまりシリーズC1では約10億ドル(約1040億円)の評価だったということだ。

同社は最新の小切手を「シリーズC1」と呼んでいる。なぜシリーズDといわないのか。ブレスロウ氏によるとBoltの将来のシリーズDははるかに大きくなるという。

Boltが創造的に区切ったシリーズC1は興味深いが、今回の資金調達イベントは足元でのチェックアウトの分野全体の成長度合いと整合している。ある特定のeコマースの問題点の解決のために多額の資金が使われている。

競合するオンラインチェックアウトのソフトウェアプロバイダーであるFast2020年3月に2000万ドル(約21億円)を調達した(未訳記事)。そして6月、英国に本拠を置くが世界各国にもオフィスを持つCheckout.comが55億ドル(約5720億円)のバリュエーションで1億5000万ドル(約160億円)を調達している(未訳記事)。

Boltは7月、シリーズCの最初の5000万ドル(約53億円)を発表した。従い、今年のC1イベントは同社への4番目の主要な投資となるだけでなく、今や普通のトレンドになった「2020年に2回資金調達を行った急成長中のスタートアップ」の1つにもなった。Welcome(未訳記事)、Skyflow(未訳記事)、AgentSync(未訳記事)、Bestow(FinLedger記事)などの会社も今年その偉業を成し遂げた。

しかし、この市場について語るのはこれで十分だろう。Boltが何を開発していて、なぜそれが再びトラックいっぱいのキャッシュの受け取りにつながったのか掘り下げてみたい。

シリーズC1

Boltは、チェックアウト、決済、ユーザーアカウント、不正防止の4つのコネクテッドサービスを提供している。

同社のコアサービスはチェックアウトのプロダクトだ。同業の平均よりも速く、コンバージョンレートも高いと同社は主張する。同社の決済および不正防止サービスは、チェックアウトの世界で取引が本物であり支払いが受け入れ可能であることを保証する。最後に、Boltのユーザーアカウント(買い物客は最初に何かを購入する際、同社の技術によりユーザーの認証情報を保存するよう求められる)は、この技術を使用してオンラインでチェックアウトする人が将来再びそうする可能性を高める。こうしてBoltのサービスにより顧客がメリットを得られるようなる。

Boltは買い物客を多く引き付けるほど市場でより多くのアカウントを持つことになり、より多くのデータを不正防止ツールとチェックアウトパーソナライズテクノロジーに供給することができる。

そしてBoltはより多くのオンライン購入者にリーチしている。2020年に同社のサービスでアカウントを作成した人数は約10倍になったと同社は主張する。ブレスロウ氏によると、2019年12月時点でその数は約45万人だった。現在は約450万人であり、来年には3000万人に達すると同社は予想する。

想定する新規アカウントの規模が非常に大きいため、TechCrunchはブレスロウ氏に信頼区間について尋ねた。同氏は、Boltと提携しているAuthentic Brands Group(ABG)のおかげで、90%だと述べた。この提携は同社が先月発表した(PRWeb記事)取引だ。ブレスロウ氏はABGが5000万人の買い物客を抱えると述べた。おそらく3000万という数字は可能だ。

チェックアウトテクノロジーの配布は、酸素のようなものだ。そのため、この分野の競合企業は普及について語るのが大好きだ。たとえばここに、WooCommerceからサポートを受ける(PRWeb記事)Fastの話が先週からある。Fastはこの発表後、TechCrunchに処理件数に関する成長指標を開示することを拒否した。

Boltのこれまでの買い物客数の成長は、総取引数を通じリターンをもたらしている。同社はTechCrunchに対し、2020年は約10億ドル(約1040億円)の取引を処理し、2019年の流通取引総額(GMV)の約3.5倍に増えたと語った。おおむねその成長ペースは、2019年のBoltのGMVが約2億8600万ドル(約300億円)だったことを意味する。同社が2021年にその数字をどこまで拡大できるかが、ABGとの提携がどれだけうまく機能したかを測る主要な指標になる。

ブレスロウ氏はTechCrunchに、Boltは2021年にGMVが3倍になると予想していると語った。これはおよそ30億ドル(約3120億円)という数字を意味するとTechCrunchは解釈する。

ただしその数字を鵜呑みにせず、決済処理の割合を考慮した上でBoltの売上高を見積もってほしい。同社は決済だけでなく、詐欺防止などの他のサービスの料金をSaaSベースで請求することで収益を上げている。したがってBoltは決済とソフトウェアのハイブリッド企業であり、これはますます人気が高まっているモデルだが、特定のカテゴリーではソフトウェアの採用が遅れている。

GMVを3倍にし、買い物客のネットワークを大幅に拡大するというBoltの計画を支えているのは新しい資金だ。同社によれば、7500万ドル(約78億円)の新しいキャッシュが市場の需要に対応し、アップマーケットとエンジニアリングを動かしているという。要するに、より良いチェックアウトテクノロジー、つまりすべてのベンチャー活動に対して市場内の需要が多く、大規模な顧客はより多くのカスタマイズと販売サポートを必要としている。Boltは資金をそれらに使うつもりだ。

Boltが再び資金調達したばかりであることを考えると、FastやCheckout.comが2021年の第1四半期または第2四半期にさらに多くの資金を調達したとしても驚くにあたらない。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Bolt資金調達

画像クレジット:Jure Batagelj / 500px / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi