産業用ロボティクスAIのスタートアップCovariantが約43億円調達

米国カリフォルニア州バークレーを拠点とする創業3年のスタートアップであるCovariantは今週、Index Venturesが率いるシリーズBで4000万ドル(約42億5800万円)を調達したことを発表した。これにより調達総額は6700万ドル(約71億3300万円)になる。カリフォルニア大学バークレー校のPieter Abbeel(ピーター・アビール)教授を共同創業者とする同社は、産業用ロボットに自律性を持たせる研究・開発に専念している。

いまはますます多くの企業が、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの最中にあって前進するための方法としてロボティクスとオートメーションに着目している。Covariantは1月にステルスを脱し、すでに同社の技術がヨーロッパや北米に実在する工場で使われていると発表した。3月に同社は、産業用ロボットの上位企業ABBとのパートナーシップを発表した。

アビール氏は、今回の投資に関連するニュースリリースで「Covariantを創業したときの目標は、AIを装備したロボットが現実世界で自律的に作業できるようにすることだった。そのマイルストーンに到達した今では、弊社の普遍的なAI技術を新たな用途や、新たな顧客環境、そして新たな業界に拡張していくことに、次の大きな利益機会がある」と語る。

新たな資金はCovariantの人員増と、同社の技術が適用される新たなカテゴリーの探究にあてられる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

レガシー企業のITをクラウドネイティブ&サーバーレス化するTriggerMesh

オープンソースのKubernetesを利用するエンタープライズサービスのTriggerMeshは、企業がクラウドや従来型のデータセンターで動かしているアプリケーションの「サーバーレス化」を支援する。同社はこのほど300万ドル(約3億2800万円)のシード資金を調達した。

このラウンドをリードしたのは、Index VenturesとCrane Venture Partnersだ。TriggerMeshによると「この投資は同社の開発チームを増員して、同社が自称する業界初の『サーバーレス時代のためのクラウドネイティブな統合化プラットホーム』を提供していくために使いたい」という。

同社の2人の創業者である、CEOのSebastien Goasguen(セバスチャン・ゴアスグエン)氏とCMOのMark Hinkle(マーク・ヒンクル)氏は、どちらもオープンソースの世界では名を知られた人物だ。二人の出身地は、ジュネーブとノースカロライナである。TriggerMeshのプラットホームにより企業は、複数のクラウドやデータセンターにまたがるエンタープライズ級のアプリケーションを構築できる。同社によると、サーバーレスというアーキテクチャがもっと普及するには、そこが克服すべき難関だ。

TriggerMeshのプラットホームとサーバーレスのクラウドバスは、「アプリケーションのフローオーケストレーション」(イベントフローのオーケストレーション)を行い、さまざまなデータセンターアプリケーションやクラウドのイベントソースからのイベントを消費して、サーバーレスのファンクションをトリガーする。

それを同社は「クラウドネイティブのアプリケーションはクラウドで大量のサーバーレスの提供物を使うから、TriggerMeshは宣言的なAPIと各種のツールを提供して、モダンなアプリケーションを構成するイベントフローとファンクションを定義できるようにする」と説明する。

特にTriggerMeshがセールスポイントとして強調するのは、レガシーなエンタープライズなどにおけるオンプレミスソフトウェアとの統合化だ。同社のソフトウェアによりSaaSやサーバーレスのクラウド提供物、そしてオンプレミスのアプリケーションへの接続が容易になり、低コストかつ迅速にスケーラブルなクラウドネイティブアプリケーションを提供できる。

Crane Venture Partnersの共同創業者でパートナーのScott Sage(スコット・セージ)氏が声明で「今は膨大な数の非接続アプリケーションがあり、それらはクラウドコンピューティングや増加する一方のネットワーク接続を十分に利用できない。多くの企業にクラウドとオンプレミスのアプリケーションの何らかの組み合わせがあり、さまざまなベンダーからのアプリケーションが増えるに伴い、統合化のニーズが今や限界まで高まっている。TriggerMeshのソリューションはこのニーズに理想的にフィットしており、そのために魅力的な投資対象にもなっている」と語る。

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職場のチャットサービスを大きく逸脱したSlackが$200Mの巨額を調達、調達総額は$500Mを超える

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ロケット船Slackは減速しない。この、企業向けメッセージングサービスはこのほど、投資前評価額38億ドルで2億ドルを調達した。ラウンドをリードしたのはThrive Capital、これにGGV, Comcast Ventures、そしてSlackのこれまでの投資家Accel, Index Ventures, Social Capitalらが参加した。

これで同社は、創業3年にして5億4000万ドルの巨額を調達したことになる。この前は、昨年の4月に28億ドルの評価額だった。そして今年は、ユーザー数が前年比で3.5倍に増加した

SlackのCEOで協同ファウンダーのStewart Butterfieldは、声明文の中でこう言っている: “これまでもそうであったように、弊社はこの機会にトップ走者としての地位をさらに揺るぎないものにし、継続的に意欲的な成長プランを追求していきたい。この資本は弊社の資金力をさらに厚くすることによって、妥協の要のない長期的戦略的展望への注力を可能にする”。

Thrive Capitalの常勤役員パートナーJosh Kushnerは、こう述べている: “チームワークの形を変えつつあるSlackとパートナーできることは、喜びである。複数のプラットホームやチームやアプリケーションが複雑に関与していく未来のコミュニケーションを、Slackはシームレスに支えることができる、とわれわれは確信している”。

顧客企業には、NASA, LinkedIn, Spotifyなどがいる。本誌TechCrunchも、社内コミュニケーションにSlackを使っている。同社の社員数は430名、本社はサンフランシスコにある。

Slackは、社内コミュニケーションからメールを追放するかも、という点でシリコンバレーでも注目を集めている。今、毎日のユーザー数は270万、エンタープライズ系のスタートアップとしては相当多い。同社は最近の本誌主催Crunchie’s賞で、“最速成長賞”を獲得した。

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その異様な人気と、巨額な資金調達、膨大なユーザー数、周辺デベロッパーの活動量、どれをとっても、Slackはメッセージングというシンプルな業態を大きく逸脱している。その主要機能を他社が真似ることはできても、蓄積されたネットワーク効果と、統合されているさまざまなアプリケーションやチャットボットなどは、逆立ちしても真似できない。

この成長が今後も続くと信ずる者から見ると、評価額はやや低いと思えるかもしれないが、それはあくまでも現在のユーザー数をベースとする高値の生涯値だ。今度新たに得られた2億ドルは何をするための資金か、その計画はまだSlackの胸の中にある。買収か、より高度な人材の雇用か、強力なR&Dか、そのすべてがありえる。たとえば今同社は、音声チャットとビデオチャットの導入に取り組んでいる。

残る疑問は、果たして誰かがSlackの勢いを止められるだろうか?

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

リアルタイムデータストリーミングApache Kafkaの商用サービスConfluentが$24MのシリーズBを完了

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リアルタイムのストリームデータサービスKafkaは、5年あまり前にLinkedIndで生まれた。その後KafkaはApacheのオープンソースプロジェクトになり、最初のデベロッパたちは昨年LinkedInを去って、企業向けにKafkaサービスを提供していくConfluentを立ち上げた。

そのConfluentが今日(米国時間7/8)、Index Ventures率いるシリーズBのラウンドで2400万ドルを調達したことを発表した。これには、同社の700万ドルのシリーズAを仕切ったBenchmark Venturesも参加した。

Confluentの計画では、この資金は同社のプラットホームの充実強化に充てられる。具体的には、セキュリティ機能と管理ツールを改良し、Kafkaのストリーム処理能力も強化する。また、既存のデータベース用のプラグインも、対応データベースを今より多くしていく。

Apache Kafkaの中核的な機能はリアルタイムのメッセージングサービスだ。たとえばLinkedInでは、毎日8000億あまりのメッセージを処理した(バックエンドツールとユーザへの通知を合わせて)。現在のユーザはたとえばLinkedIn、Netflix、Uber、Cisco、Goldman Sachsなどだ。そのリアルタイムの処理能力は、これから伸びる物のインターネット(IoT)関連のサービスや、同じく大量のデータを扱うオンラインのゲームサービスなどにうってつけだ。またマイクロサービスを軸とするアーキテクチャが主流になりつつある今日のトレンドでは、ユーザとデータベースのあいだを行き来するデータのためのハブおよびバッファとしてもKafkaが重宝されるだろう。たとえばHadoopが取り込むデータや、同じくLinkedIn生まれのApache Samzaがフィードするストリームの処理にも利用できる〔すでにKafkaを使用〕。既存のデータベースを抱える企業は、Kafka提供のプラグインを使ってそれらとKafkaを接続できる。そのため、データベースシステムを更新しなくても、これらの新しい技術を利用できる。

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ConfluentのCEO Jay Krepsと技術部門のトップNeha Narkhede(彼らとJun Raoの計3名が協同ファウンダ)によると、今回Indexをラウンドのリーダーとして選んだのは、このVC企業が、過去にもHortonworksやElastic(元elasticsearch)を扱うなど、オープンソース企業の経験が厚いからだ。IndexのパートナーMike Volpiが、Confluentの取締役会に加わる。

そのVolpiは今日の発表声明の中で、次のように述べている: “Confluentのプラットホームは、それぞれ異なるチームによって作られた何百ものアプリケーションをサポートでき、それらの重要なアップデートにも対応できるほど、十分にスケーラブルであり信頼性にも富む。そのストリーム処理機能を既存のアプリケーションやデータベースに容易に統合して、リアルタイムの処理能力を持たせることができる。JayとNehaとJunの三名は高度にインテリジェントなプロダクトを作った。その今後の継続的な成長を支援できることは、まことに喜ばしい”。

ConfluentはKafkaを、サポートを伴う商用製品として提供するだけでなく、同プラットホームに関する技術的なコンサルティングや教育訓練サービスも提供している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa