iMessageの写真、ビデオ、ファイルの暗号化が解読されるセキュリティホールが見つかる

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暗号化は猫と鼠のゲームだ。Johns Hopkins University(ジョンズホプキンス大学)の研究者たちが、そのことを証明するすごい方法を見つけた。彼らが Washington Postにシェアした研究によると、iMessageで送った写真やビデオやファイルの中身を見られてしまう、深刻なセキュリティホールが見つかったのだ。

iMessageは最初から、暗号化されたメッセージングプロトコルだ。ユーザーがiMessageを送ると、デバイスはAppleのサーバーとのセキュアな接続を開く。メッセージはユーザーのスマートフォン上で秘密鍵を用いて暗号化され、Appleのサーバーへ送られ、相手に届く。そして彼/彼女のスマートフォン上で、メッセージは解読される。

したがってユーザーのメッセージはAppleのサーバー上では解読不能な寝言の集まりだ。Apple自身は、メッセージを解読するための鍵を持っていない。

しかしJohns Hopkins Universityの研究者たちは、ホールを見つけた。メッセージは解読できないが、写真やビデオやファイルを横取りする方法を見つけたのだ。

ファイルは、64ビットの暗号鍵による弱い暗号化方法を使ってきた。研究者たちは、Appleのサーバーのふりをして暗号化されているファイルを横取りするサーバーを開発した。そしてAppleは失敗回数を制限していないので、彼らは何千もの鍵を試した。この力づくのやり方で研究者たちは、誰にも気づかれずに、Appleのサーバーからのファイルを解読できた。

Washington Postによると、すでにiOS 9以降では、デバイスから来るファイルを解読することは困難になっている。しかしそれでも、NSAなどなら解読できるだろう。政府機関やハッカーが、この方法を実際に使っているかは、不明だ。

幸いにもAppleはすでに対策を開発し、今日(米国時間3/21)リリースされるiOS 9.3にはそれが実装されている。ハッキングのやり方は公表されていないし、Appleがそのセキュリティホールを閉じたら研究チームはホワイトペーパーを共有する予定だ。

このハックは、暗号化が完全ではありえないことを、あらためて証明している。セキュリティホールはつねにあり、ハッカーたちはそれを見つける。そしてAppleのような大きなソフトウェアメーカーは、ホールを塞いでハッカー鼠たちを追い払おうとする。だから、ご自分のデバイスにパッチをインストールすることは、とても重要だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))