単純安価でレンジの広いメッシュネットワークを作れるLibreRouterプロジェクト

都市では、どこにいても、あたりの10か20ぐらいのルーターや、携帯電話用のタワー、そのほかのワイヤレスのインフラストラクチャによって電波が飽和している。しかし田舎では、たった一つのインターネット接続が村全体をカバーしているかもしれない。LibreRouterは、そのようなコミュニティが、自分たち専用の現代的で堅牢なメッシュネットワークを作って、その限られた接続を最大限に利用するための、ハードウェアとソフトウェアのプロジェクトだ。

想定しているユースケースは、たとえば衛星や有線の接続終点がその地域の中央にあって、それを利用したい人びとはその周辺に住んでいるけど、Wi-Fiの到達域である100フィートの圏内ではない、といった状況だ。そしてそんな場合は往々にして、線の延伸やセルタワーの増設は高くつきすぎるので不可能だ。

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そこで、人びとを信号の近くまで来させる代わりに、メッシュネットワークで信号を彼らのところまで持っていけばよい。複数のワイヤレスルーターを互いに接続して、それらのルーターの圏域内のどこへも/どこからでも信号を渡し伝えていくのだ。

このやり方には、問題もある。ルーターの費用が高すぎたり、メンテナンスや修理が困難だったり、ネットワークそのもののセットアップやトラブルシューティングが難しかったりするだろう。だから一般市販のルーターは、あまり適していない。そこで、問題意識を共有するハッカーたちが独自のソリューション: LibreRouterとそのためのソフトウェアLibreMeshを作った。

それは、画期的なデバイスでもなければ、一風変わったソフトウェアでもない。彼らがそれをテストしたアルゼンチンやメキシコ、スペイン、カナダなどの田舎のコミュニティで使われる、目的を絞ったハードとソフトだ。

その目標を、LibreRouterのNicolás PaceがAPNIC説明している。それは、安価で堅牢でスケーラブルで運用しやすいメッシュネットワークを作ることだ。すべてを彼らがやるのではなくて、彼らが作ったのはハードウェアの実動プロトタイプと、よく知られ信頼されているワイヤレスのユーティリティOpenWRTをベースとするソフトウェアスタックだ。

彼らが設計したルーターは、現代的で強力で、しかも通常のツールと一般市販の部品で容易に修理できることを目標にしている。ソフトウェアは、ワンクリックで終了するほど簡単ではないが、メッシュの構成の難しい部分の多くを自動化する。レンジは数メートルではなく数キロメートルだから、かなり広い範囲を接続できる。

もちろん、それらはすべてオープンソースで、したがってつねにコントリビューターを求めている。Paceによると、関心は十分に多くて、設計が完成したら今後2年間で2500台のデバイスを発売できる。

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企業はネットのインフラをどうやって買うのか、シードで$3Mを調達したInflectがそのための正しいデータを提供

企業が自社のためのインターネットのインフラストラクチャをもっと容易に買えるようにするサービスInflectが、300万ドルのシード資金を獲得した。そのサービスはまだプレビューだが、企業がデータセンターのための場所や、ネットワークサービス、エクスチェンジプロバイダーなどを買おうとしているとき、購買の意思決定をするために必要なデータを揃えてあげることが、メインのお仕事だ。

シードラウンドの投資家は、Greenpoint TechnologiesのJon Buccola Sr, WeeblyのCTO Chris Fanini, Server CentralのCEO Jordan Lowe, Global Communications NetworkのCEO Chris Palermo, そしてやや意外ながらCruise AutomationのCTO Kyle Vogt(Twitchの元CEO)だ。

Inflectの協同ファウンダーでCEOのMike Nguyenは、声明文の中でこう言っている: “この業界の買う側と売る側の両方をよく知っている方々からご投資いただいたことは、まことに幸運である。彼らは、コロケーションやマネージドサービス、ネットワークサービスなどを買うことの難しさを、熟知しておられる。業界のインサイダーである彼らは、正しいソリューションを得るために必要な正しいデータと、適正なサービスプロバイダーへのコンタクトが、欠落していたことに由来する失敗と損失を、全員が経験しておられる”。

Inflectはまだしばらくプレビューだが、しかしそこには、世界中の40あまりのサービスプロバイダーや約4000のデータセンターから得た検証済みのデータがある。同社の推計によると、これはグローバルに可利用でパブリックなインフラストラクチャの約80%に相当する。

なお、このようなデータの収集は難事業であり、それを集めたからといってAPIで他へ公開しようとする企業はあまりいない(Cruise AutomationのKyle Vogtは、この業界は“腹立たしいほど不透明だ”、と言う)。データサービスや通信サービスは手作業的に買うのが従来のやり方だったが、しかし、インフラストラクチャのベテランたちが創業したInflectは、それを変えようとしている。目下、データの収集が主な仕事だが、今後はユーザーが同社のカタログから直接、サービスを購買できるようになるだろう。

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複数クラウドにまたがるアプリケーションの管理をコンテナとKubernetesで自動化するOverclock Labs

Overclock Labsは、アプリケーションの複数のクラウドにまたがるデプロイと管理を自動化により容易にするためのサービスを提供している。そのために同社が作った、分散クラウドインフラストラクチャを自動化するツールは、今どき当然ながらコンテナを使用する。そしてそれらのツールの主役は、コンテナオーケストレーションツールKubernetesだ。

今日(米国時間11/21)、2年前に創業されたOverclock Labsはステルス状態を脱し、130万ドルの資金調達を発表した。投資家はシリコンバレーの複数のエンジェルとCrunchFund、こちらは本誌TechCrunchと名前や経歴を多少共有しているが、本誌と特別の関係はない。

同社は、今回初めて一般に公表される資金を使って、DISCOというものを開発していた。DISCOは Decentralized Infrastructure for Serverless Computing Operations(サーバーレスコンピューティングオペレーションのための分散インフラストラクチャ)の頭字語だ。サーバーレスとあるからにはそれは、AWSのLambdaやAzure Functionsのようなイベントドリブンのサービスか? そう考えたくなるのも無理もないが、しかしOverclock Labsの協同ファウンダーGreg Osuri(CEO)とGreg Gopman(COO)によると、彼らの言う“サーバーレス”とは、完全な自動化のことだ。Lambdaは、イベントドリブンなアプリケーションのためにリアルタイムの自動化をやってくれるが、オープンソースにする予定のDISCOの場合は、もっといろんなアプリケーションのサポートを目指している。なお、同社の三人目の協同ファウンダーは、Adam Bozanichである。

Osuriが説明するその基本的な考え方は、ユーザーがどんなクラウドサービスのプロバイダーでも使えて、それら複数のクラウド間を容易に行き来できるようにすることだ。そのようなデベロッパー体験は、クラウドアプリケーションプラットホームのHerokuにやや似ており、ユーザーインタフェイスはGUIとコマンドラインの両方を提供している。

目下このツールがサポートしているのはAWSとGoogle Cloud Platform、そしてベアメタルのスペシャリストPacketだが、今後徐々にそのほかのクラウドもサポートしていく。DISCOはオープンソースだから、ほかの人たちが自分のものを統合するのも容易だ。

DISCOを使ってアプリケーションをデプロイするやり方は、二(ふた)とおりある。12-factor appのありがたい教えに従ってアプリケーションを作っている場合は、DISCOは単純にソースコードを取り込んでアプリケーションをデプロイする。あるいは独自のコンテナでアプリケーションを作ってる場合は、それらのコンテナをDISCOに渡してデプロイさせる。するとDISCOがコンテナレジストリを扱い、コンテナをデベロッパーに代わって管理する。

DISCOの約束は、アプリケーションのデプロイをHerokuを使う場合のように容易にすること、ただしその1/3のコストで。前にAngelHackを一緒に作ったOsuriとGopmanには、オープンソースのツールを作った経験が豊富にあり、今でもオープンソースのエコシステムの一員だ。だからDISCOをオープンソースにするのも自然な流れで、その上に有料サービスを乗っけていく気だ。

その有料サービスは現段階ではまだ具体化していないが、とにかく同社が真っ先にやることは数か月後にDISCOをリリースし、そのまわりにエコシステムを築いていくことだ。

今では高度なオープンソースのプロジェクトが毎日のようにローンチしているから、DISCOのエコシステムづくりも容易ではないだろう。でも同社のファウンダーたちは、その過程について現実的な見方をしている。それに、コンテナとKubernetesによるアプリケーションのマルチクラウドデプロイと管理の自動化は、誰にでもできることだから、そのうち競合他社があふれてくるだろう。近くAWSのre:Inventカンファレンスがあるから、そのへんの情況を確認してみたい。でもOverclock Labsの連中は、早くスタートした者にはそれなりの優位性があり、ビッグプレイヤーになれる、と信じている。

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インフラストラクチャのマーケットプレースInflectがサービスプロバイダー30社データセンターとピアリングロケーション2200を新たに加える

サンフランシスコのInflectは、企業が適切なコロケーションファシリティやネットワークサービス、エクスチェンジプロバイダーなどを見つけようとしているとき、それをより容易にしてくれるスタートアップだ。2か月前にローンチしたばかりの同社は今日(米国時間8/24)、そのデータベースに新たに30あまりのサービスプロバイダーと約2200のデータセンター、およびネットワーキングのピアリングロケーションを加えたことを発表した。新しいサービスプロバイダーには、CenturyLink, Cogent, Comcast, Equinix, Level 3, T5, Telstraなどこの業界のヘビー級のプレーヤーたちも含まれる。

ネットワーキングやコロケーションのプロバイダーの詳細情報や課金情報は、あまり簡単には得られない。データや通信の企業は、非常に古いタイプの営業過程を経て契約が決まることが多く、その過程は透明性が乏しい。シードで200万ドルを調達したInflectは、そういった過程を21世紀にふさわしいものにしたい、と考えている。同社はデータをプロバイダーやPeeringDBのデータベースから自分で集める。後者は、ネットワークのピアリング情報を得るためのデファクトスタンダードだ。InflectはPeeringDBのデータをもらい、それを同社独自の検証処理にかける。そして情報のどこをどう変えたかを、PeeringDBと共有する。

協同ファウンダーでCEOのMike Nguyenはこう語る: “ここまで数週間のローンチ直後の反応は、嬉しいものであると同時に、反省を迫られるものでもあった。ユーザーは私たちに、正確で特定ベンダーに傾かないデータを低コストで提供するInflectのようなプラットホームをずっと求めていた、と言う。しかし同時に、サービスプロバイダーたちは、実際にこれから買おうとしている買い手の目の前に、自分たちのサービスを置いてくれるようなプラットホームを探していた、と言うのだ”。

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OpenStackの古参Mirantisが顧客の要望に逆らえずKubernetesをクラウドサービスの核に加える

OpenStackのエコシステムにその初期からいるMirantisが今日、これまでのメインプロダクトMirantis OpenStackのサポートを2019年5月に終了し、OpenStackとコンテナプラットホームKubernetesを組み合わせたクラウドサービスMirantis Cloud Platformをその後継プロダクトにする、と発表した。この新しいサービスでは、Kubernetesだけ、というサービス形態もありえる。

もちろんMirantisがOpenStackから一抜けるわけではないが、コンテナプラットホームとしてのKubernetesの人気と関心がMirantisの顧客のあいだでも最近はますます高まっているので、同社もそれに合わせざるをえない。今日発表された新しいプラットホームでは、OpenStackと共存してKubernetesの複数のクラスターをデプロイできるし、両者別々や、Kubernetesのみ、というデプロイも可能だ。顧客の中にはこのように、OpenStack抜きでソフトウェアのデプロイ方式を現代化したい、という要望もある。

新しいプラットホームは、その配布方法も変わっている。同社は顧客のMirantis Cloud Platformのデプロイを少なくとも6か月、彼らに代わって運用するが、その後は運用を顧客のOpsチームに委(ゆだ)ねる。同社は今日の発表声明で、こう言っている: “このデリバリモデルによって、ソフトウェアだけでなく、顧客のチームと工程もDevOpsのベストプラクティスに確実に従うようになる”。アップデートもこれからは、一定期間間隔で、迅速かつ楽に行われるようになる。従来の同社のOpenStackソリューションでは、アップデートもそれほど楽ではなかった。

Mirantisの協同ファウンダーでCMOのBoris Renskiは、自分の意見を言うとき、いわゆる歯に衣着せぬタイプだが、OpenStack vs. Kubernetesという議論に関しては、“人気と価値は違う”、と言う。“ハイスクールで人気者だった子が、大人になってフェラーリに乗ってるとはかぎらない。今のOpenStackは人気者ではないし、人気者はKubernetesだ。そして顧客は、人気者になびく場合が多いのだ”。

彼によると、Mirantisの顧客にもOpenStackを避けてKubernetesだけで行く、という企業が増えている。CanonicalのDustin Kirklandも、今月の初めに同じことを言っていた。Renskiは曰く、“OpenStackが人気トップだったころは、顧客は自分のデータセンターでOpenStack以外の何もかも脇に置くようになった。そして失敗した。重要なのは、その仕事に合った正しいツールを使うことだ。今、コンテナならKubernetesが良い。VMなら、OpenStackだ。たぶん明日になればAWSがLambdaをオープンソースにして、今度はKubernetesとコンテナが脇へ追いやられるだろう”。

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MicrosoftとFacebook、大西洋に高速海底ケーブルを建設へ

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これは日常あまり見ることのないニュースだ。MicrosoftとFacebookは今日(米国時間5/26)、共同で大西洋に海底ケーブルを敷設し、バージニア州バージニアビーチとスペインのビルバオを結ぶ計画であることを発表した

MAREAと呼ばれるこの海底ケーブルは、「高まる高速通信への顧客需要に答え、MicrosoftとFacebookおよびその顧客のために、クラウドとオンラインサービスの信頼性の高い接続を確保するため」だと両社は言っている。工事は8月に開始される予定で、完成は2017年10月を見込んでいる。

運用が開始されると、MAREAは大西洋を横断する最大容量の海底ケーブルとなり(少なくとも現時点で)、8ペアのファイバーケーブルが使用され。ケーブルは160 Tbpsの転送速度を擁し、既に米国とヨーロッパを結んでいる他のケーブルシステムとは異なる経路を利用する。この理由についてMicrosoftは、「回復力と信頼性と高い接続を、米国、ヨーロッパ他にいるわれわれの顧客に届けるため」と言っている。

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「われわれは、信頼性が高く遅延の少ない接続を提供する、新しく革新的な技術に投資を続けることで、Microsoft Cloudおよび全世界のインターネット基盤の価値を高めようとしている」と、Microsoft のグローバルネットワーク調達責任者、Frank Reyは言った。「これはインターネットの次世代基盤構築にとって重要な一歩だ」。

もう一つ変わっているのは、FacebookとMicrosoftがこの取り組みをリードしていることだ(他にTelefonicaおよび傘下のTexiusが加わりケーブルの運用を担当する)。通常、MicrosoftやFacebookのような企業は、多くのIT企業からなるコンソーシアムに参加し、通信会社が主体となってケーブルを建設(あるいは投資)する。しかし今回両社は、独自の通信基盤を作り(そこにはFacebookで知られるようになったオープンハードウェア手法が用いられている)、余剰の回線容量を第三者に販売する計画だ。

両社はこの取り組みに必要な費用について情報を公表していない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook