データの利用や管理でメインフレームとクラウドを橋渡しするModel9

イスラエルでメインフレームを扱っていたグループが起業したModel9は、メインフレームコンピューターとクラウドの間でデータを転送するサービスだ。同社は米国時間2月900万ドル(約98700万円)のシリーズA調達を発表した。

Intel Capitalがこのラウンドをリードし、StageOneやNorth First Ventures、Glenrock Israelなどの既存の投資家が参加した。同社のこれまでの調達総額は、1300万ドル(約14億2500万円)近くになる。

実は、大きな銀行や保険会社、航空会社、大型リテイラーなど世界最大級の企業は、まだメインフレームを使っている。これらの企業は、毎日の大量のトランザクション処理のために、そのがっしりとしたマシンを必要としているが、そのままでは貴重なデータを現代的なデータ分析にかけることが難しい。その難問をModel9が解決する。

Model9のCEOで共同創業者のGil Peleg(ギル・プレグ氏によると、同社の技術はメインフレームのユーザーがデータをクラウドやそのほかのオンプレミスのストレージに持ち込むことを助ける。「メインフレームのデータはプロプライエタリなストレージに閉じ込められていて、急速に進化し変化しているクラウドの世界で起きていることにまったくアクセスできない。そこで、私たちの特許を取った技術が、メインフレームが直接、クラウドや、メインフレームではない分散ストレージシステムにデータをリードライトできるようにする」と同氏は説明する。

重要なユースケースがいくつかあり、例えばそんなストレージやクラウドが使えるとテープによる高価なバックアップがいらないので、事故からのリカバリーに利用できる。また、データをクラウドに送れれば、現代的なデータ分析を適用できる。それは前には不可能だったことだ。

同社のソリューションは、AWSやGCP(Google Cloud Platform)、Microsoft Azure、IBMのクラウドサービスなどと互換性がある。またEMC、Nutanix、NetApp、などのオンプレミスのストレージソリューションも使える。それにより同社の顧客は、本格的なハイブリッドクラウドを構築できる。クラウドは、プライベートクラウドでもパブリッククラウドでもどちらでもいい。

同氏は「理想は顧客がハイブリッドクラウドのトポロジーをデプロイして、両方の世界の利点を享受できることだ。メインフレームには、信頼性とセキュリティの面で強みがあり、クラウドはスケールと毎日急激に増加するデータを管理できるし、事故時のリカバリーやデータの管理とアナリティクスなど、現代的なテクノロジーがある」と語る。

同社は2016年に設立され、ソリューションの開発に2年を要した。現在の同社はメインフレームを使っている大企業数社を顧客にしている。同氏によると、今回得られた資金は営業とマーケティングを拡充してこのソリューションの市場を広げることに当てたいという。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

立ち遅れている地域小売業をテクノロジーで底上げするRubikloudが$37Mを調達してグローバル化へ

小売業界はテクノロジーによる改革が著しく後れている。AmazonやWalmartなどの巨大企業の影で、小売店はレガシーシステムにしがみつき、最新のツールを生かして連中に対抗することができない。今日(米国時間1/3)3700万ドルの資金調達を発表したRubikloudは、人工知能を使ったクラウドツールで、小売店の現代化への取り組みを助ける。

この資金調達ラウンドをリードしたのはIntel Capitalで、Inovia CapitalとOTEAF、それに既存の投資家Horizons VenturesとAccess Industriesが参加した。これにより同社の調達総額は4700万ドルに達した、と同社は言っている。

Intelが小売業界に足場を築きたいのは、同社のIoT技術にとってそこが広大な未開の大陸だからだ。同社は、そのIoT技術とRubikloudのインテリジェントなオートメーションやデータ処理を組み合わせることで、強力なパートナーシップが生まれると信じている。小売業界に関して、同社がとくに攻めたい領域が三つある: それらは、サプライチェーン、企業の購買需要、そして店内の販促だ。

Rubikloudは、お店の販売促進ツールや、顧客への売り込みを個人化する顧客ライフサイクル管理などのための、SaaSツールを提供している。そのほかに、たとえばRubiCoreは、既存のシステムからデータを取り込み、選んだデータをRubikloudのプロプライエタリなデータモデルへ入れる。またRubiOneは、Rubikloudのデータセットをベースに小売店が独自の機械学習アプリケーションを作るためのツールとライブラリだ。

小売店は同社のアプリケーションを使ってより効果的な販促プランを作り、顧客を理解し、またお店独自のアプリケーションも作れるようになる。

それは堅実なアプローチのように見えるが競合他社も多く、Adobeのような巨大企業すら小売店支援をメニューに持っている。しかしそれでも、投資家たちはRubikloudに将来性を感じており、だからこそ数千万ドル単位の資金を投じているのだ。

今回得た資金は、ヨーロッパとアジアにオフィスを開き、グローバルな拡張をしていくために使われる予定だ。

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エッジ処理向けの深層学習モデルを開発、LeepMindがIntel Capitalなどから11.5億円調達

企業向けのディープラーニング・ソリューション「JUIZ DoT」などを提供するLeepMindは10月23日、合計7社を引受先とする第三者割当増資を実施し、総額11.5億円の資金調達を完了したと発表した。

投資家リストは以下の通り:

LeapMindは、高い処理能力や高電力を前提としたこれまでのディープラーニング(深層学習)とは違い、小さなコンピューティングリソースでも動くような計算処理を圧縮した独自モデルの開発を行うスタートアップだ。

通常、ディープラーニングというと大きなコンピューティングリソースを利用したものを想像する人が多いと思う。たとえば、人間のプロ囲碁棋士を打ち負かしたことで話題になったAlphaGoにはCPU1202個とGPU176基がものリソースが利用されていた。

もちろん、そんな巨大コンピューターをいちいち移動させたり色々な場所に配置したりする訳にはいかない。だから、処理を行うサーバーは離れた場所に置かれ、データを取得する端末とネットワークを介して通信することになる。いわゆるクラウドコンピューティングだ。

クラウドのメリットは、たとえ端末自体の処理能力が低くても、外部のリソースを活用することでディープラーニングのような複雑な処理ができること。逆にデメリットとして挙げられるのは、離れた場所にあるサーバーと通信を行う以上、処理結果が返ってくるまでに多少の遅延が発生してしまう点だ。

でも、人のいのちに関わる自動運転の分野などでは、そのような遅延は許されない。そこで自動運転の発展とともに注目され始めているのがエッジコンピューティングだ。これは、端末の近くにサーバーを分散配置することで遅延を少なくするというもので、クラウドとは異なる発想をもつコンピューティング技術だ。

エッジコンピューティングで利用できるリソースは限られている。巨大なコンピューターをクルマに積むことなんてできないからだ。すこし前置きが長くなってしまったけれど、LeepMindはそんな小さなコンピューティングリソースでもディープラーニングを行えるよう、計算量を圧縮した独自モデルの開発をしている。

従来モデルの500分の1のサイズ、10倍の処理速度

LeepMindによれば、同社の独自モデルはケンブリッジ大学が開発した「SegNet」と比べて500分の1のサイズでありながら、精度は5%ほどの低下に留めることに成功したという。また、LeepMindが提供するSaaS型ディープラーニングサービスであるJUIZを利用してFPGA(参考)上に専用回路を構築することで、CPUでの処理に比べて10倍の速度で処理を完了することができるという。

また、FPGAに構築されたモデルは従来のものに比べて省電力であり(約12分の1)、電力が限られたIoTデバイスでもディープラーニングが行えるように開発されている。

LeepMindが掲げる「DoT(Deep Learning of Things)」という言葉のとおり、エッジ上で精度の高いディープラーニングを行うことが可能になれば、自動運転だけでなく、ドローンに高度な画像認識モジュールを搭載するなど様々なことが可能になりそうだ。

今回のラウンドには米国のIntel Capitalがリード投資家として参加しているけれど、彼らは注力分野としてAI、FPGA、IoT、自動運転などを挙げている。それを考えれば、LeepMindはIntel Capitalにとって絶好の投資先だったのかもしれない。

LeepMindは今回調達した資金を利用して、「ソフトウェアとハードウェアの両領域におけるソリューションの研究開発、またそれに伴う世界中からの優秀な従業員の雇用、さらには海外を含めた事業開発/営業基盤の拡大に充当する予定」だとしている。

過去に、同社は2016年8月のシリーズAで3.4億円を調達している。

MariaDBがさらに$9Mを調達、‘アメリカ化’をねらってMichael HowardをCEO、Monty WideniusがCTOに

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オープンソースの世界にビッグニュースがまたひとつ。MariaDB Corporation(元SkySQL)が、新たに900万ドルの資金を調達し、新CEO Michael Howardの就任を発表した。MariaDB Corporationは、MariaDB Foundationが管理しているMySQLフォークの商用バージョンを作っている企業で、Howardはエンタプライズ畑のベテラン経営者だ。これでMariaDBの調達総額は4000万ドルをわずかに超え、今回のラウンドはこれまでの投資家Intel CapitalとCalifornia Technology Venturesがリードした。

さらに同社は、もうひとつの重要な役員人事を発表した。MySQLを作り、後年MariaDBを作ったMichael “Monty” Wideniusが、CTOとして加わったのだ。彼は、MariaDB Foundationのファウンダでオープンソースの運動家でもある。

Howardは、前にGreenPlumやC9などを手がけ、今回はPatrik Sallnerに代わってMariaDBのCEOになる。フィンランド人のSallnerは、2012年からMariaDBのCEOを務めた。Howardによると、新たな資金は主にマーケティングと、新製品開発、そして事業の比重を故国フィンランドから合衆国へシフトしていくことに充てられる。

“今、パロアルトかメンロパークにいい場所を探している”、と彼は語る。“徐々に合衆国の企業にしていきたいし、だからこそアメリカ人を新CEOに選んだのだ。主なパートナーシップはみなシリコンバレーにいるから、その意味でも合衆国を活動拠点にしていきたい”。…マスコットも、フィンランドふう(上図)から、ウェストコーストふうに変わるのかな?

MariaDBは評価額を公表しないが、しかしHowardによると、今回の投資は今後12か月以内に予想されるより大きな投資への“踏み台”だそうだ。

Howardによると、同社の現在のユーザ数はおよそ900万、ソフトウェアのダウンロード数は1200万で、収益性はきわめて快調、という。“Webサイトのビジター数は数百万に達する。Linuxに載って配布されているから、今やオープンソースの定番だと思う。ITのインフラストラクチャにMariaDBがあり、そのコミュニティの一員であることは、単なるビジネスモデルではなくて戦略的意思決定だ”、と彼は語る。

たしかに、それまでプロプライエタリだったソフトウェアがオープンソースになる例が最近多い。それに今では大企業もオープンソース本格的な投資をして自分たちもその需要を確実に掴まえようとしている。

MariaDBの新製品についてHowardはあえて言葉を濁すが、データベースとセキュリティ、時間的な処理、そしてIoTだ、と言った。IoTも、同社が将来、買収をしそうな分野のひとつだそうだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

オートバイ用スマートヘルメットのSKULLYが生産体制確立のためシリーズAで$11Mを調達

Indiegogo始まって以来の大成功をおさめて、さらに150万ドルのシード資金まで獲得した、オートバイ用ディスプレイつきヘルメットのSKULLYが、今度はシリーズAで110万ドルを調達した。

このラウンドを仕切ったのはWalden Riverwood VenturesIntel Capital、これにFormation 8TechstarsWestern Technology Investmentsが参加した。

お金の一部はそのスマートヘルメットAR-1の生産に充てられる。Indiegogoの資金集めで大成功したこの製品は、まだ発売までこぎつけてなくて、同社によると、もうすぐ初期の支援者には送り始めたい、という。

いまはその本格生産のために、大量のソフトウェア技術者とハードウェア技術者を雇っている最中だ。その陣容で、次の製品開発も進める予定だ。でも消息筋によるとSKULLYは人の出入りが激しく、過去半年でかなりの社員が去ったそうだ。

同社のスポークスパーソンによると、サンフランシスコのスタートアップの平均よりはSKULLYの人の移動は少ない、という。

ファウンダでCEOのMarcus Wellerは、現状は将来計画どころではない、と言う。今の焦眉の課題はなにしろ新しい資金でさらに人を雇い、製品の発売に漕ぎ着けることだ。

“量産体制は相当な資金を要する。今度の資金でなんとかその難関を乗り越えて、技術面のロードマップを加速したい”、とWellerは語る。

Walden Riverwood Venturesの創業時からのパートナーの一人であるNicholas Brathwaiteが、SKULLYの取締役会に入る。彼を招いたことには、戦略的な意味もある。彼はGoProへの投資も仕切ったし、その前は電子機器メーカーFlextronicsのCTOだった。だから彼はSKULLYの成長のために、広範な人的ネットワークと専門知識を提供できるだろう。

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翻訳プラットフォームのGengoがIntel Capital等から1200万ドルを調達

Gengoは人気上昇中のオンライン翻訳サービスで、7500名以上の事前審査、評価済みの翻訳者のネットワークを利用して33の言語で質の高い翻訳を提供している。このほど1200万ドルの資金調達ラウンドを完了した。リードしたのはIntel Capitalで、他にIris CapitalInfocommNTT-IP、およびSaudi Telecom Venturesが参加した他Atomicoも再出資した。

本ラウンドに通信会社が複数含まれていることは、「通信会社がGengoの国際的可能性を『理解』していることを示している」とGengoのCEO・ファウンダー、Robert Laingがメールで私に伝えた。

「Gengoチームは、Intel Capitalのリードによってアジア、米国、ヨーロッパ、中東の投資家と仕事ができることを喜んでいる。各社の国際経験や起業家を支援してきた実績に期待している」とLaingが今日の発表資料に書いている。

GengoのCTO・共同ファウンダー、Matthew Romaineもこう付け加えた。「大規模な翻訳における技術的要素は大きいため、歴史あるIntel Capitalと仕事ができることは光栄だ」。

現在Gengoの売上は、日本と米国が約40%ずつを占めている。現在同社は東京に30名、カリフォルニア州サンマテオに9名の従業員がいる。

Laingは同社が急成長を続けていると言う。Gengoでは2013年に入ってこれまでに、2012年全体よりも多くのテキストを翻訳している。成長の理由の一部はもちろん、GoogleのYouTubeとの提携によるものであり、最近の3Play Mediaとの提携と合わせて、YouTubeの2大統合有料翻訳サービスとなっている。

Laingによると、Gengoではビデオの他に、旅行やEコマースサイトからも大量の翻訳依絡があり、多くの「大手Eコマース、オンライントラベル、コミュニティー・ポータル」が現在Gengoを利用しているという。

Gengoでは今回の新ラウンドの資金を、海外展開の加速と、翻訳プラットフォームおよび翻訳プロセス速度の改善に利用する計画だ。

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(翻訳:Nob Takahashi)